森尾市議の反対討論

2011年3月
 金沢市議会3月議会 反対討論
       日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
 討論に先立ち、東北・関東大地震による被害は日を追うごとに拡大し、かつて経験したことのない規模に広がっています。物資をはじめ、あらゆる支援を集中し、救命と復旧に力を合わせることを表明するとともに、関係の方々に心からお見舞い申し上げます。また、福島第一原発では、原子炉格納容器損傷、放射能物質の外部放出という重大事態が同時に進行しています。状況の正確な情報を公開すると共に、あらゆる英知をあつめ、事態の打開と安全対策を図るよう国に強く求めるものです。
私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。
 わが党は、提出された議案50件のうち、議案第1号、第3号、第5号議案第9号、議案第10号、議案第16号、議案第24号、議案第44号、議案第46号及び、議案第48号の議案10件に反対であります。
 その主な理由について述べます。
 市民生活をめぐる状況は、一段と厳しさを増しています。
 本市が実施した商店経営と商店街の実態調査によると一年間の売上状況について、「減少している」と回答した商店は、57%にのぼり、「客数が減少している」と57パーセントの商店が答え、厳しい実情を訴えています。また、市内にある35の商店街への調査では、「停滞している」「衰退している」「やや衰退している」との回答は、実に34商店街となり、ほとんどすべての商店街が苦境に追い込まれています。市民生活の状況も収入が減ったり、仕事がなくなったり、不安が広がり、逆に税金や、保険料が増え生活の実態が厳しくなっています。また、特別養護老人ホームの待機者は、増え続け、1600人を超えています。老後の不安がひろがり、安心感の持てる生活が遠のいています。
 こうした中で、本市新年度予算が市民の生活不安に応え、市民生活を応援するものとなっているかが問われました。その点から、同意できない内容となっています。
 第一に、国民健康保険料の引き上げです。総額で、2億1千万円が新たに市民負担の増額となるものです。
 介護保険料分の保険料率の引き上げ、さらに、賦課限度額を医療保険料分、後期高齢者支援金分、介護保険料分がそれぞれ引き上げるとし、賦課限度額の総額は年額73万円から4万円引き上げ、77万円となるものです。賦課限度額の対象となるのは、2800世帯です。
現在でも、国民健康保険料が高すぎて支払えないという声が広がっています。例えば、4人家族で年間300万円の所得のある方の国民健康保険料は、38万円を超え、所得の1割以上が国民健康保険料となっています。
 その結果、国民健康保険料を支払うことができない滞納世帯は、1万2千世帯となり、加入世帯の約2割、5世帯に1世帯が滞納せざるをえない状況となっています。滞納を理由に、6カ月と短い保険証が渡されている世帯は、約4千世帯となっています。
解決しなければならない事は、すべての加入者に保険証を手渡すこと。一世帯年間1万円の保険料を引き下げること。その実行を強く求めるものです。
第二に、税金の使い方です。これまでの市政が進めてきた大型開発に市民の税金を注ぎ込む事を改めていない事です。
海側幹線道路と区画整理事業、金沢駅武蔵北地区再開発事業第三工区そして、金沢駅西口広場再整備事業について改めようとはせず、この事業に184億円を投入し進めています。
さらに、金沢テクノパークと新たな工業団地についてです。
 先端産業を誘致するとして280億円を投入して森本山間部に工業団地を造成しました。最初の企業が参入して15年が経過し、いまだ造成地の4分の1、東京ドームの約2個分に相当する面積が残っています。そのため、土地開発公社は、その土地の簿価として30億円が残り、その金利を負担続けています。今回、補正予算で、一般会計から無利子で30億円が土地開発公社に貸し付けられました。その資金は、15年間で返済する事になり、年間一般会計から2億円を負担することになりました。土地はいつ売れるかわかりません。失敗したツケをこうした形で市民の税金で対応する事は到底市民の理解を得られるものではありません。
そして、今度は、この金沢テクノパークから車で5分とかからない場所で、河原市流通工業団地を造成するとしています。
大手の企業呼び込み型で、誘致に依存した地域産業振興施策は、多くの問題を引き起こしています。その反省もなく、教訓を生かそうとする行政の姿勢がかけています。
本市の二つの工業団地についても未だ売れ残っているうえに、さらに、現在の景気動向からしても、新たな工業団地造成は、採算の見通しのないまま進めようようとするもので責任ある方策ではありません。
やるべきことは、本市の中小企業に対する支援策を思い切って強化すること。その具体化の一つとして、住宅リフォーム助成制度の実施を求めています。そして、売れ残った工業用地の利用と活用を促進することです。
第3に、これまでの市政が進めてきた施策が改められていません。
 金沢テクノパークへの工業用水に対する一般会計から年間5千万円にのぼる財政支出が続いていること。職員定数が実質削減され、市民サービスに直結するごみ収集体制の見直しや、小中学校校務士を各学校一人配置に削減する事などが進められていること。本市スポーツ施設や障害者高齢者体育館の施設管理に民間企業を指定することです。公共施設の管理運営は、市民サービスの向上と公共的な立場を貫いてこそ市民の期待にこたえる事が出来ます。その点で、利益を第一に追求する民間の企業にゆだねるべきではありません。今回、新たに、本市温水プールについても民間の業者に管理委託することは、民間のスイミングクラブと変わらない方向を歩むことにつながるもので認めることはできません。
 なお、後期高齢者医療制度は、すぐに廃止すべきであり、この特別会計予算に反対であります。
 次に、請願についてです。
 請願第51号は、後期高齢者医療制度を直ちに廃止し国民のだれもが安心して医療を受けられる医療制度を求めるもので、請願第52号は、2011年度の年金引き下げの撤回と無年金・低年金者に緊急措置を国に求めるもので、いずれも、全日本年金者組合石川県本部金沢支部から提出されたものです。
 請願第53号は、国保広域化への慎重な対応を求める国への意見書提出を求めるもので、金沢社会保障推進協議会から提出されたものです。
 わが党は、いずれの請願も市民から切実に求められており、賛成であります。
 よって、市民福祉常任委員会での不採択に反対するものです。
  以上をもって討論を終わります。

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