升きよみ 反対討論

私は、日本共産党金沢市議員団を代表して、提出された諸議案のうち議案第3号金沢市長の在任期間に関する条例制定について及び陳情第1号教育基本法・学習指導要領の目標に最も適した教科書(歴史・公民)の採択を求める陳情の2件について、反対の立場から討論を行います。

 議案第3号の本条例については、市長は、その職に連続して3任期を超えて在任しないよう努めるものとするとして、長期にわたり市長の職にあることは弊害が出るという理由で、今後の市長も拘束するものとして提案がありました。御自身の公約でもあり、その内容は自粛条例であるとのことでした。地方自治法との関係をクリアするため、強制力のない努力義務を定めるにとどまるものとしておりました。我が党はこれまで、基本的人権である選挙の自由、立候補の自由を逸脱する憲法違反であり、条例にはなじまない、取り下げるべきと求めてきました。そもそも市長の職は、ある特定の個人の目的物ではなく、憲法や地方自治法に定める地方自治の本旨、すなわち住民自治により地域住民の福祉を増進するための職であります。市長は、この目的を達成する職務を負うものであって、住民にとっては首長、いわばそれを達成する手段の立場にある人であり、公僕であります。したがって、だれが何期務めるかについても、この目的からしてどうなのかが問われ、それが第一の判断基準であり、住民自身が選挙により判断すべきものです。それこそ、現在の地方自治法が首長と議会議員をともに住民の直接選挙で投票するという、いわゆる二元代表制の原則をとっている中、提案側が首長とはいえ、また努力義務とはいえ、首長選出に関して議会側の議決で制約する結果となり、問題を残す条例と言わざるを得ません。さらに、本条例の委員会修正案が提出されました。この修正案は、現にその職にある者に限定するものですが、これは現市長の山野之義氏個人を特定するものです。市長御自身ならば、当然、市長自身が政治家として公約を守ればよいのであって、条例をもってするなどは当たりません。いずれの条例も、気が変わらないように条例化するという発想とも思えるもので、少なくともこうした条例を制定することはパフォーマンス的行為と言えるものであって、許されるものではありません。そのことを申し上げ、反対を表明いたします。

 次いで、陳情第1号についてです。本陳情は、平成24年度から中学校で使用される教科書の採択業務に関して、市教育委員会に対して、学習指導要領に示す目標にかなう教科書の採択を求めるものとなっております。そもそも現行の採択制度は、教科書はすべて文部科学省によって学習指導要領の目標にかなった教科書のみが選定され、その教科書の中から選定される仕組みになっております。ところが、この陳情書は、あたかもそのことを拒否・否定するかのように、市教育委員会が独自に再度、学習指導要領の目的・目標に合致しているか否かの選定や、採択の措置や指導を求めております。この陳情と時を同じくして、全国各地で新しい歴史教科書をつくる会などの方々が、戦略戦争を美化する自由社と育鵬社の歴史・公民教科書の採用を求めていることは、新聞報道などを通して聞き及びます。今議会では、教科書問題に関する質問もありました。一人一人の国民や議員が自衛隊や国旗・国家等にどのような考えを持つか、それは自由であります。しかし、今問われているのは、議会が教育委員会に対して、教科書を採択するに当たり、こうした陳情を採択したり、意見書提出で当局に迫ったりすること、議会で多数で押し切っていくことが本当にいいのかということです。憲法のもとでの国家と教育のあり方について、重要な論点を提起したものに最高裁の判決があります。この中では、教育内容に対する国家的介入は抑制的であるべきとしております。要約すると、政治は政党政治のもとで多数原理で決まるものだけれども、教育というのは人間の内面的価値に関する文化的営みだとしております。つまり、政治と教育は違う原理を持っているのであって、教育内容に関する国家的介入はできるだけ抑制的でなければならないということを憲法の要請としてはっきり明記しております。地方議会も同じです。そして、教育基本法では「教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。」との規定からも、今回の陳情や意見書の内容は、これを大きく逸脱するもので、地方議会による不当な支配にも当たる行為と言わなければなりません。子どもに適した教科書を選ぶに当たっては、子どもに最も深くかかわっている教員の意見をまず大切にする必要があります。まさに、教師が教科書採択に権利と責任を負うことは国際的な常識となっていることを改めて申し上げておきます。昨日のNHKの朝の連続テレビで、戦後、子どもたちが戦時中の教科書を黒塗りしていた様子を映しておりました。戦後教育の出発として、私たちの先輩によって民主教育が進められてきました。今日、教育基本法のもとで、教育がいかに政治などに介入されることなく、公正・公平を貫き、子ども一人一人を尊重する教育を進めるか、そして教科書もそうした立場で選ばれるのか、殊のほか重要になっております。教育委員会がその立場を連ねることがますます大切であり、改めて本陳情や議会議案による意見書の採択には反対であることを表明し、私の討論を終わります。

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