3月議会連合審査会 大桑はつえ質問

-大桑委員
私は、日本共産党市議員団の一員として質問させていただきます。
まず、観光政策についてお聞きします。本市は今、ホテル建設ブームに沸いています。この背景には、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにむけ、観光客を2020年には4000万人、2030年には6000万人にするという安倍政権の観光成長戦略があります。しかし、その実態は儲け本位の観光ビジョンであり、観光客の呼びこみを進めるということになっています。
そこで、まず、安倍政権の推し進める観光政策を、市長はどのように考えていますか。

-山野市長
 「明日の日本を支える観光ビジョン」のことをお尋ねでした。観光は真に我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱であると、そういう認識のもと、観光先進国の実現を標榜するものだというふうに思っています。観光による地域経済の活性化を目指した本市の観光戦略プランとベクトルは同じであるというふうに思っています。本会議でも何度か述べておりますけれども、日本政府観光局(JNTO)の顧問をお務めであるデービッド・アトキンソンさん、金沢市にも何度かお越しいただいて私も意見交換をしておりますけれども、アトキンソンさんがおっしゃっているのはやはり本物のまちをきちんと作っていくようにと、そのことが結果として観光戦略に繋がっていくんだと、そんな方を政府はJNTOの顧問に迎えていらっしゃるということは、私は日本の観光戦略はそんな方向でいくんだろうと、ここも金沢市とベクトルが一致するところだというふうに思っています。

-大桑委員
金沢の町は、暮らしや生業が一体となって文化や景観が作られ、それが訪れる人の大きな魅力になっているのではないかと思います。「訪れてよし」そして「住んでよし」が一体のものとして発展してきました。しかし今、県外資本のホテル建設などで、街中が大きく変わってきています。駅界隈では、地域の人たちが利用していた店が廃業になり、新しい飲食店が次々進出し住宅地にまで伸びてきています。ところで本市は、観光で市民の暮らしが魅力的なまちを目指すとしていますが、このめざす姿とは、どのようなものなのでしょうか、お尋ねいたします。

-上出観光政策課長
 本市の歴史・伝統・文化を源流とした金沢らしい美意識や、市民の日常生活に浸透するたしなみ、そして良好な地域コミュニティなど、市民の普段着の生活に触れることが観光客には非日常の体験となり、金沢に魅力を感じるものと考えております。金沢市観光戦略プラン2016では、金沢の観光が目指す姿の一つとして、こうした市民の豊かな暮らしを体感した観光客が金沢で暮らしてみたいと憧れるまちとなることを目指すこととしたものです。

-大桑委員
「金沢市観光戦略プラン2016」の中で、2020年の目標を観光客入込数1100万人、宿泊数を320万人とし、外国人宿泊数は40万人とみています。しかし、本年がこの「観光戦略プラン」の5カ年の中間年度に当たるため内容を見直したということですが、見直した内容とその理由を教えてください

-上出観光政策課長
 観光戦略プランでは、計画期間の中間年となります本年度に中間検証を行うこととしております。学識経験者や業界団体等からなる委員会を設置し、検証しましたところ、2020年に設定している数値目標がすでに達成あるいは達成間近であったことから、国の観光ビジョンで示された目標値等を参考に、年間宿泊客数を320万人から370万人に、年間外国人宿泊客数を40万人から70万人に、それぞれ上方修正したものであります。

-大桑委員
すでに達成ということで、金沢市と比べられる京都では今、金沢以上に観光客が押し寄せています。その中でオーバーツーリズムが起こっていて旅の安全、安心が失われるのではないかという危機感が起こっているそうです。そういう中で、私は本市においても、今やることは訪れる人の数を増やすのではなく、増えたことによる弊害をしっかり調査し対策を講ずることではないかと思います。
本市は、いろんなプロモーションを続けて観光客に来てもらっているわけですが、本市においても先程述べた京都のように影響が本当に起こっています。その一つが近江町市場です。市民の台所として、かつては 魚、花、衣料品、お菓子などの店屋が軒を連ね、賑わっていました。しかし近年では、観光客が優先される一方で、地域住民が利用している花屋が閉店になったり、店頭の品物の種類が少なくなった、そして値段も高くなった、と嘆く方も多くいらっしゃったりで、近江町市場から市民の足が遠のいているといわなければなりません。他の地域でも、ごみ問題や、騒音など、市民の生活の「住んでよし」が失われつつあるのではないかと思うのですけれども、その認識はお持ちでしょうか。

-吉田経済局長
 近江町市場、それから新幹線開業直後ではひがし茶屋街、いろいろ混雑等による様々な問題が生じてきたところではありますが、それぞれの地域におきまして地域住民によるまちづくり協定の締結、あるいは商店街振興組合によるマナーアップの取り組み、それから地元消費者に向けました広報誌の作成などを通じまして、徐々に改善は図られてきているというふうに思っている次第です。また市民生活と調和した持続可能な観光振興に取り組みますため、宿泊税を導入することとした次第でありまして、明年度はポイ捨て等の迷惑行為に対するマナーの啓発事業や交通混雑緩和のため観光バス等の乗降場を整備するなど、宿泊税を活用した様々な施策を通して住む人・訪れる人双方にとって魅力的なまちづくりに努めてまいりたいというふうに思っております。

-大桑委員
宿泊税に頼らない、そういうまちづくりの景観をきちんとやっていくっていうことが必要なのではないでしょうか。
本市の来年度の政策の中にも、外国人富裕層のためにという観光施策が強調されています。外国人宿泊客を70万人に増やす目標、これを設定して外資系のホテルの誘致を積極的に進め、新年度、金沢駅からホテルまで屋根付きの歩道などの整備に8億円もかけています。その一方でこれまで本市を支えてきた小規模の旅館や、ビジネスホテルが厳しい状況になっています。こういうことも含めて、外資系ホテルの誘致より、地元宿泊業者の声も聴き地元業者を応援する観光施策に切り替えるべきではないでしょうか。お尋ねいたします。

-吉田経済局長
 本市ではこれまで金沢市旅館ホテル協同組合が実施いたします朝ごはんプロジェクトや、金沢ライトアップバスの運行などに支援し、滞在型観光の推進に取り組んできましたほか、宿泊施設の外国語対応やWi-Fi環境などの整備にも支援し、外国人の誘客推進にも努めてきたところであります。明年度は新たに、宿泊施設の内装工事やバリアフリー改修に係る工事への助成制度を創設致しますほか、宿泊を伴う学生のスポーツ合宿やゼミ合宿への支援、さらには経済波及効果の高い大型コンベンションや宿泊者が落ち込む冬季に開催されるコンベンションへの助成を拡充することとしておりまして、宿泊事業者への支援を一層強化してまいります。

-大桑委員
 これからも、地元宿泊業者の声を聞いて応援する観光施策をよろしくお願いいたします。

次に交通政策についてお尋ねいたします。
これまでも日本共産党市議員団は議会において、公共交通の充実、とりわけコミュニティバスの導入を求めてきました。新年度の予算案の中でも、公共交通の活性化推進費が計上され、郊外バス路線利用推進モデル事業費や、地域運営交通費の増額などが計上されています。
2015年に道路交通法が一部改正されました。その中で「運転免許の自主返納で車を運転することが出来ない高齢者の移動手段の確保については地方自治体とも連携しながら、適切に対策を講じていくこと」としています。本市においても、そもそもバスの通っていない地域がまだあるのですが、そういうところの方が免許証を返納した場合や、高齢の方で足が痛くてバス停まで行けないという方のことも考え、高齢者社会を迎えての持続可能な地域公共交通ネットワークの取り組みが必要だと考えますが、 いかがでしょうか、お伺いいたします。

-山野市長
 超高齢社会を迎える中におきまして、公共交通ネットワークの充実は私は今後のまちづくりの肝になってくるひとつだと思っています。3年前に第2次金沢交通戦略を策定をいたしました。この超高齢社会を見据え、これまでの歩行者と公共交通優先のまちづくり、それに加えまして街中を核にネットワークで繋ぐまちづくりを基本的な考え方として掲げたところであります。具体的には、ひとつには地域住民が主体で運営するバス等の運行に対する支援、ふたつには高齢者向けの割引定期券購入に対する助成、みっつにはノンステップバスの導入支援によるバリアフリー化の推進など、こういったものに取り組むことによって超高齢社会に対応した交通ネットワークの充実に引き続き努めてまいります。

-大桑委員
新年度予算の中に、郊外バス路線の利用促進モデル事業として、犀川線などのバス運賃に上限を設けて利用促進をはかる費用を計上しています。これにより、どのくらいの利用向上を見込んでいるのか。また、犀川線など対象路線を選んだ理由をお尋ねいたします。

-川島交通政策部長
 まず利用見込みでございますが、これまで実施した公共交通モニタリング調査の結果では、運賃の低減など利用環境が向上すれば、約6割の方が公共交通を利用すると回答したことを踏まえまして、同程度の利用者増を期待しているところでございます。このモデル事業を契機として普段バスを利用しない方をはじめ、できるだけ多くの方に利用していただき、郊外の公共交通ネットワークの充実につなげたいと考えております。またこのモデル事業の目的は、郊外におけるバス利用を促進することであり、そのため利用が少なく赤字路線として市が独自で補助をしている郊外のバス路線を基本として対象路線を選定したものでございます。

-大桑委員
市内には片道のバス代が400円を超える地域がまだまだたくさんありますので、ぜひこの取り組みを検証していってほしいと思います。
そしてバス運賃の上限を軽減する路線を他にも拡充するつもりはありませんか。

-川島交通政策部長
 交通事業者が運行するバス路線のうち、赤字となっている路線については、将来的に廃止や減便の可能性がありますことから、こうした路線の利用を促進しネットワークの充実に繋げることを目的に、対象を限定しモデル事業を実施するものでございまして、他の路線への拡充は今のところ考えておりません。

-大桑委員
本当は路線を拡充していってほしいと思っているんですけれども。
本市の公共交通は北陸鉄道のバスによるところが大きく、採算がとれなくなると便数を減らしたり、路線が見直されたりしてしまいます。そうなると利用者の方々が不便をうけることになり、バスを利用しなくなるという悪循環になります。公共交通を民間任せではなく、市が運営するコミュニティバスを市内の要望があるところに、運行すべきではないでしょうか。お伺いいたします。

-松田都市政策局長
 現在運行しております街中以外にコミュニティバスを導入することにつきましては、既存バス路線との競合ですとか財政負担の拡大など、解決すべき課題が多く、現状では困難であると考えております。そのため街中以外の交通不便地域におきましては、地域住民が主体で運営するバス等の運行を支援する制度を設けているところでございまして、明年度制度を拡充いたしますことから、さらなる活用を促してまいりたいと存じます。

-大桑委員
地域運営交通支援制度の活用をしてほしい、利用拡大を目指してほしいと言われますが、一向にこの制度の地域導入が進んでいません。私の住んでいる地域も、病院に行くにも買い物に行くにも大変不便な地域です。住民の方からは病院に行くためのバスがほしいという願いが大きくなっています。今回森本地域で、導入を目指す動きがあるとの報告がありました。町会によっては高齢化が進み、なかなか住民の動きが前に出ない町会もあり、地域の状況もいろいろあると思うのですが、地域導入が増えないこの状況をどう考えているのかお伺いいたします。又、街中に運行されているコミュニティバス、便利な地域と運行されていない地域で、公共交通の利便性に大きな差が生じております。市長がよくおっしゃる市民生活の公平性の観点から、これをどのようにお考えですか。

-松田都市政策局長
 支援制度の導入に当たりましては、費用負担の他、運行ルートや便数など、多様な住民ニーズの取りまとめに時間と労力が必要になると考えております。こうしたことから、アドバイザーの派遣や運行実験に要する費用の支援など、これまでも支援制度の充実に努めてきたところであり、これに加えまして明年度は公共交通重要路線に接続した場合、地元負担の軽減を図ったところでございます。なお、ふらっとバスは中心市街地の活性化を目的に導入したものでございまして、街中以外における導入は先程申し上げました通り、解決すべき課題が多いことから困難と考えており、引き続き支援制度の活用を促してまいりたいと存じます。

-大桑委員
地域で地域運営交通を導入するには、町会などが運営主体になることが求められています。でも運行計画の策定や課題の解決、地域内の調整など、本当に多大な労力を要します。新聞の投書欄に次の様な市民の声が載せられていました。紹介いたします。
「観光客でにぎわう金沢、街中のふらっとバスは小型でいくつものルートがあり、視察も多いようです。観光客対応の格安のまちバスもありますが、ちょっと外れた所では交通難民がたくさんいます。私の住んでいる所は中心部までなら車なら7~8分の人口急増地域。でもバスがない!住民の「署名でも何でもするから、何とかしてほしい」という声も高齢者を中心に大きくなっています。」と。そしてこの方は、税金は暮らしに使って、ということでしめくくっています。町会の高齢化もありなかなか要求はあるのだが進まない所もあるというのが現状です。市が導入に向けてイニシアティブを取ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。

-越山交通政策課長
 これまで地域住民からの相談やかがやき発信講座などを通じて、職員が直接地域へ出向いて制度の内容について詳しく説明をし、積極的に活用を促しているほか、繰り返しになりますけれども運行に先立って計画を策定するためのアドバイザーの派遣や運行実験に要する費用に対しても支援しているところでございます。現在この制度の活用につきまして、複数の地域から問い合わせをいただいておりまして、先程おっしゃられた通り森本方面の一部地域においてはすでにアンケート調査を実施するなど住民の皆様と話し合いを重ねているところであり、今回の制度の充実を機に活用地区の拡大を図ってまいりたいと考えているところでございます。

-大桑委員
よくコミュニティバスというと岐阜市の取り組みが参考に出てきますが、本市でもその取り組みを参考にしてほしいと思いますがいかがでしょうか、お伺いいたします。

-越山交通政策課長
 岐阜市では2005年まで市営バスを運行していたという経緯がございまして、本市とは事情が異なることもご理解を願いたいと存じます。また岐阜市においての運賃などの収入が基準に満たない場合や市の補助金が限度額を超える場合は、ルートや便数など運行計画の見直しや利用促進の取り組みを行うなど、地域の皆さんが乗って支えるという高い意識を持って運行しているという点については、参考にしてまいりたいと考えております。

-大桑委員
今回、支援制度の拡充を図り補助率の嵩上げを行ったというところですが、先程言いました岐阜市のように、本当は地元の費用負担が生じないようにしてほしいと思うんです。地元負担をなくして本市が財政負担をしないと広まっていかないのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

-山野市長
 全ての地域において行政が移動手段を確保するということは財政の面からいっても物理的にも困難であるというふうに思っています。このため、地域住民が主体的に運営するバス等の運行を支援する制度を設け、地域の方々に一定のご負担とご協力をお願いをしているものでありますし、より活用しやすい制度に予算をお認めをいただきましたら、説明をさらに進めていきたいと思っています。地域の皆さんが自らルートや運行本数を設定することにより、乗って支えるという意識付けが持続的な運営に繋がるとともに、その過程の話し合いの中で地域コミュニティの形成にも寄与するものだというふうに考えています。今回、地域負担の軽減に向け支援制度の見直しを図ったところであり、これにより制度の活用地区を拡大し、交通ネットワークの充実に繋げてまいります。

-大桑委員
私も、「乗って支える」という言葉はよくわかります。先程観光政策の中でも言いましたけれども、「住んでよし」という金沢にするという意味でも、公共交通というのは避けては通れないとても大事なことだと思っています。ぜひ町会任せではなく市と一緒になって取り組むんですけれども、市が主体となってまず取り組んでほしいと思います。そして交通弱者が生じないよう、また誰もが気軽に安心して利用できる、そういう公共交通の整備をしていただきたいと思います。お願いいたします。

▲ このページの先頭にもどる

日本共産党中央委員会
「しんぶん赤旗」のご案内
日本共産党石川県委員会
井上さとし(日本共産党参議院議員)
たけだ良介(日本共産党参議院議員)
藤野やすふみ(日本共産党衆議院比例北陸信越ブロック)
金沢市議会のページへ
サイトポリシー
© 2010 - 2024 日本共産党 金沢市議員団