6月 |日本共産党 金沢市議員団 2019 |日本共産党 金沢市議員団

2019年6月

「弾道ミサイル防衛体制の整備を求める意見書」に対する反対討論 広田みよ議員

 わたしは、日本共産党金沢市議員団を代表して、議会議案第3号弾道ミサイル防衛体制の整備を求める意見書への反対討論をいたします。

この意見書は、政府が配備しようとしている陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の整備をすることは急務で、着実に整備を進めよという意見書です。

 しかし、その候補地である、秋田市の新屋、山口県萩市では、計画が持ち上がった当初から、「周辺には学校がある」「有事には攻撃対象になる」など、住民から不安や反対の声が出されています。 

さらに、相次ぐ報告書や説明資料の誤り、しかも誰でも見られるグーグルアースを用いたため誤差が出てしまったなどという配備ありきのずさんな対応があきらかとなり、住民の批判がさらに巻き起こっています。

 とりわけ新屋に関しては、データの誤りや二転三転する説明で、「適地」とする根拠が崩壊。それでも防衛省が「新屋ありき」の立場を変えないのは、「米国防衛」のための「適地」だからという可能性が指摘されています。

一連の経過で、秋田県、佐竹知事も記者団に対し、新屋への配備について「白紙だ」と強調しました。

また、秋田市に近接する能代市の市議会は25日、「防衛省が秋田市の新屋地区へのイージス・アショア配備計画の撤回を求める請願」を採択しました。

 請願では、防衛省の説明は納得できず、「周辺住民に対する日常生活への重大な悪影響に対する不安が増すばかり」と指摘。「そもそも住宅密集地に隣接してミサイル基地を配備すること自体、常識で考えてあり得ないこと」としています。

 山口県萩市に隣接する、阿武町(あぶちょう)の花田町長は以前から「まちづくりが壊される」と反対を表明しています。

 このように、現地の住民や長、議会が、理解どころか、相次ぐ誤りもあり、批判や異議を訴えている渦中に、本市議会がこのような促進する意見書をあげるべきではありません。

また、新屋を適地とする報告書に誤りがあった問題で、18日、わが党の井上議員はイージス・アショアの配備撤回を求め、「少なくとも住民合意がないまま来年度予算の概算要求に関連経費を計上しないと明言すべきだ」と迫ったところ、岩屋防衛大臣は「地元の理解がない状況で配備先を前提とした予算計上はしない」と認めました。

 よって、政府自らも、配備よりも、まずは地元への説明や、誤ったデータや資料の調査を優先しているのであり、整備促進を求める意見書はふさわしくありません。

武力ではなく、対話と交渉によって、朝鮮半島の非核化と平和体制の構築をめざす動きが起こっています。その動きにこそ呼応することこそわたしたち、政治に携わるものの役割ではないでしょうか。

よって、この意見書は可決すべきではないことを訴え討論をおわります。

私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。

わが党は、上程された議案20件のうち、議案第12号、議案第14号、議案第15号、の議案3件について、反対であります。

その主な理由について述べます。

金沢駅西広場周辺歩行環境整備事業は、金沢駅西口広場横での外資系ホテルの建設と合わせ、その周辺で行なわれている事業であり、今回二つの工事請負の案件が提案されました。

この事業は、外資系ホテルが建設される周辺に於いて、鉄道路線に沿った市道路の一部廃止を予定し、ホテルに隣接する駅西広場を拡張するなど整備するものです。さらに、金沢駅西口への出入り口からこのホテル入り口までの163mにわたって、屋根付きで融雪装置を敷設した歩道を整備する。そして、その通路の途中に大屋根のシェルターを設置し、このホテルの周辺道路に新たに融雪装置を敷設するというものです。

これらの事業費は、総額約7億円にのぼります。

市長は、駅西区域に外資系ホテルを誘致することを打ち出しました。そして、東京に本社があるオリックス株式会社が、アメリカの企業で、世界的事業展開しているハイアット関連のホテルを建設する事業として進められてきました。

二つの建物が建設されます。地下1階地上14階の建物には、250室のホテル。もう一つは、地下1階地上15階で、長期滞在型ホテル90室とマンション114戸が建設され、共通部分には、商業施設、会議室などが予定され、開業は、2020年6月としています。

本市は、この事業のために、250台の駐車場として活用していた本市が所有する用地を安く業者に売却し、さらに、金沢駅西広場周辺歩行環境整備事業だとして広場を拡張し、屋根と融雪付きの歩道を整備、周辺道路に融雪装置の敷設など現時点で、約7億円の税金を投ずるとしています。さらに、今後、観光対策として、欧州の富裕層をターゲットとして誘致事業を推進するとしています。

建設される外資系ホテルのために様々な利便をはかり、税金を投ずることは、行政がやるべきことではありません。

議案第12号は、家庭的保育事業等に係るものです。

この家庭的保育事業等は、民間事業者が0歳から2歳児を対象に小規模で行う保育事業です。待機児童の解消とともに、過疎化が進み、保育機能の確保が困難な地域での普及をねらいとしています。しかし、果たして幼児の安全が確保できる施設であるのか。保育士を常時配置することができるのか。問題が指摘されています。保育を継続していく上で、連携施設の確保が大切です。法令改正で、5年までに確保しなければならないものが、10年に延長される等、保育の規制緩和がすすめられもので、この議案には反対です。

次に、請願についてです。

 請願第1号マクロ経済スライドの実施中止を求める請願として、全日本年金者組合金沢支部の代表から提出されました。

 公的年金だけでは不足し「老後に2000万円貯蓄が必要」との金融庁の報告書が老後への不安を広げています。そして、減り続ける年金の仕組みがマクロ経済スライドです。

安倍首相は、この仕組みの廃止は「ばかげた案」だと拒否し、その理由として、この制度を廃止するには、「7兆円の財源が必要」と述べました。国民が受け取るはずの年金が、マクロ経済スライドによって、7兆円規模で削減することを認めたことになります。これは、重大です。年金制度の安定どころか、7兆円も削減するとはとんでもありません。

 減り続ける年金制度を中止し、低すぎる年金の底上げこそ行わなければなりません。そのためには、高額所得者優遇の保険料・給付の見直しで年金財政の収入を1兆円ふやす。約200兆円にのぼる年金積立金を活用する。何よりも、労働者の賃上げと正規雇用を増やすことで、保険料収入と加入者を増やし、年金財政を安定化させることが可能であり、その実行で、年金制度を充実させていくことこそ政治の責任です。

 こうした立場から、この請願に賛成です。

 陳情第1号金沢市の子ども医療費助成制度の拡充を求める陳情書で、新日本婦人の会金沢支部の代表から提出されました。

 県内にある19の市と町で、この制度の対象が中学校卒業までとしているのは、本市だけとなりました。本市以外の県内の自治体では、18歳まで対象が拡充されています。

 さらに、医療機関の窓口で、完全無料化が実施されていない自治体は、本市を含め、わずか4つの市です。

 したがって、この陳情は、本市が他の自治体と比較して制度の内容が遅れていることから、一刻も早く、この制度の助成対象を18歳まで引き上げるとともに、医療機関の窓口での完全無料化を実施することを求めています。私どもは、賛成です。

 請願第1号、陳情第1号、いずれも付託されました市民福祉常任委員会において不採択となりました。この不採択に対して反対するものです。以上で討論を終わります。

声明

山野市長による自衛隊へ個人情報提供を行うとの発言について

2019年6月27日 日本共産党金沢市議員団

森尾 嘉昭
広田 美代
大桑 初枝

一 去る6月26日市議会本会議において、高岩勝人市議(自民党)の質問に対して、山野市長が自衛官募集に協力するため自衛隊石川地方協力本部からの求めがあれば、若者の個人情報(住所・氏名・月日、性別)を電子媒体で提供すると表明しました。

  昨年5月、防衛省が各自治体に自衛官募集に協力するよう依頼してきたことが発端となったものです。しかし、その根拠とされる自衛隊法(97条や同施行令や120条)は「求めることができる」とあるだけで自治体に協力する義務や強制力はなく、法的根拠はありません。

  今回の市長の表明は、これまで本市が住民基本台帳から18歳になろうとする若者の個人情報(住所・氏名・月日、性別)を閲覧するとの対応をさらに、進めたものです。なお、住民基本台帳法には「法令で定める事務の遂行のために必要である」場合、住民基本台帳の一部の写しの閲覧が可能としています。(同法第11条)しかし、自衛官の募集に対して、この条文を適用し、閲覧を可能としてよいのか、問題が指摘されています。まして、電子媒体での提供は、想定したものではありません。

一 今年、2月10日自民党大会で安倍首相・自民党総裁が演説し、「都道府県が自衛隊の採用に協力していない」と述べ、その上で「憲法にしっかり自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とう」と訴えました。このことから、全国で自衛隊への情報提供をめぐって、「個人情報を本人の承諾なく、提供していいのか」「若者を紛争地域(戦場)にお送り出すことに自治体が手を貸すことにならないのか」など批判と心配の声が広がっています。

一 本市情報公開及び個人情報保護に関する条例では、本人の同意なく個人情報を提供することを禁じています。したがって、自治体には、市民の安全とプライバシーを厳格に守る責任があります。よって、今回の山野市長の対応と見解は、市民の願いとはかけ離れ、行政への信頼を失わせるものと言えます。

  党市議団は、自衛隊への市民の個人情報の積極的な提供との対応と発言に抗議すると共に、撤回することを強く求めるものです。

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2019年6月26日の実際の質問と答弁は次の通りです。

 一般質問における、自衛隊への名簿提供についての自民党高岩議員と市長のやりとり


 ※テープ起こしは、市議員団が作成したものです。

高岩議員

自衛官募集事務に関しての質問です。まずその前に、市長に、自衛隊の存在というものに対して、市長の持論というか考えを聞いておきたいと思います。

市長

わたくしは、自衛隊の皆さん方には心から感謝をしています。

たしか、職務の宣誓だったかと思いますが、ことに臨んでは危険をかえりみず、責務の遂行に努めると、書いてあります。そんな思いで仕事をしている方が果たしてどれだけ我々日本の中にいるんだろうか。自衛隊の皆さんは日々そんな思いの中で責務の遂行に努めていただいています。そして、なんといっても我々日本国民の生命、財産と領土、主権を守るために日々厳しい訓練に取り組んでいます。わたくしは心から感謝を申し上げたいと思っています。金沢市長としてどういう感謝の気持ちを表せるかということを常に考えていました。いろんな権限があるわけではありませんので、わたしができることは自衛隊からさまざまな行事の案内が来ますけれども物理的に可能な限りにおいては出席をさせていただいて、感謝の態度、感謝の気持ちを述べていきたいとそんな思いでいるところです。毎年夏に道路祭りでパレードをしていただいています。わたくしはそんな時を通して、わたしもそうですけれども、多くの市民のみなさんも同じお気持ちをお伝えいただいているのではないかと思いますし、引き続きそんな思いでいきたいと考えています。

高岩議員

 市長が、よくわたしも自衛隊の会合に呼んでいただいて、市長のあいさつの中で度々というかいつも感謝の気持ちをどのような形で表現したらいいのか、そういうことを意識されて、自衛隊のみなさんに感謝をされているんだなあということをわたしも市長のあいさつから拝察をしているわけで、わたしも全く同感です。

 ということで、そういう理解のある市長だからこそ、今その事務手続きにおいて、なかなか大変だなあという風に思っていますので、ぜひとも改善を願いたいと、その内容がですね、自衛官募集事務に係る対象者情報の提供を求められた場合、どのような対応をしているかと、この業務の改善を求めるものですが、まずは現状、募集対象情報の提供を求められた場合、どのような対応をされているのか、教えてください。

長谷市民局長

 本市ではこれまで、自衛隊石川地方協力本部からの請求(年末頃の予定)に基づきまして、翌年度中に満18歳に達する者を抽出した台帳を閲覧に供しております。

高岩議員

 長谷局長、これ18歳になる者を抜粋したものをこうやって閲覧していいですよ、ということですか?

長谷市民局長

 対象となる者を抜粋した台帳でございます。

高岩議員

 他の自治体、全体的にどうかというと、そもそも論として中には住民基本台帳から抜粋するわけですが、法律違反じゃないかという人が一部誤解をされていますけれど、これ全く法律違反ではありませんので、なぜならということを言うと時間がないので言いませんけれども、このあたりはしっかりと住民基本台帳を所管している総務省と防衛省の間で問題がないということは確認をされているということを先に言っときます。

 で、防衛省によりますと、全部の自治体は1700ほどあるわけですが、そこに今のように提供を求めています。その結果、今の18歳になる人を抽出してどうぞと持って帰っていいですよとやっているのが全体の4割だそうです。金沢市はちゅうしゅつして、ここで転写してってくださいって、やっているのが3割、住民基本台帳をこのままわたして、この中から18歳になる対象者を見つけてさらに転写してくださいね、て言っているのが2割、住民基本台帳を使わずに○○しているのが1割だそうです。そうすると、本市は抽出してここで閲覧してくださいね、という事ですから、この中で言うと3割にあたるということでありますけれども、長谷局長、これ 、対象人数ってどれくらいいるんですかね?

長谷市民局長

令和2年度に18歳になるものは約4200人、22歳になるものは4800人でございます。

※本市は現状、18歳になるもののみ請求に応じて閲覧を認めている。

高岩議員

そうすると、9000人の名簿がここにあって、これを転写してくださいねって話になってくると、これね一日や二日で終わらないんですよね。大変な作業になってきて、で、市長は自衛隊に対して先ほども大変理解があります。9000名を書き写せという、ぜひともですね、理解のある山野市長にですね、ここは大きな改善を求めたいと思いますのでお願いいたします。

※本市は現状、18歳になるもののみ請求に応じて閲覧を認めている。

市長

いろいろと議論がなされたということも報道で拝見をしています。

募集対象者情報につきましては、今年度ですけども、防衛大臣のほうから紙媒体や電子媒体での提供の依頼が改めて、初めてありましたので、今後石川地方協力本部から依頼があった場合にはしっかりと対応していきます。

高岩議員

もうちょっと踏み込みますけど、仮に石川地方協力本部から電子媒体でくださいと言って来たら、求めに応じるんですか。

市長

求めに応じるつもりでいます。

高岩議員

ぜひとも今日の中継を自衛隊の方に見とってほしいなと思いますので、今のところはじめて防衛大臣からのお達しということで、電子媒体で渡している自治体と言うのはひとつもないと思いますので、これはもう大きな、ほかの市町村にとってもですね、大きな第一歩になるんではないかなと思いますので、ぜひとも求めが来たらですね、電子媒体という形でわたしてあげられれば、これまで3日ほどかかっとったものがわずか1分くらいで終わらんないかなと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

※電子媒体で提供している自治体はすでに存在します。

①交通施策について

ー大桑議員

ここ数年、ドライバーの運転ミスによる交通事故が相次ぎ幼い子どもが犠牲になる事故が多発しています。とりわけ今年5月に滋賀県で起きた事故は、信号待ちをしていた保育園児の列に車が突っ込み、園児など16人が死傷するという痛ましいものでした。このような痛ましい事故をきっかけに、厚生労働省は、「保育所等での保育における安全管理の徹底について」との通達を都道府県や中核市に出しました。その中で「現時点では保育所の対応に問題のある点は確認されていない」としながらも、保育所外での活動する際の移動経路の安全性や、職員の体制などの再確認の徹底を、市、町、および保育所に周知をしています。今回の滋賀県の事故は、どれだけ保育士が注意を払っても防ぐことが出来ない事故であるとしながらも、一方で、日常的に利用する散歩の経路や公園などの危険性の有無、交通量などを含め安全に十分配慮することを求めています。その上で、保育所外での活動の大切さを認め、引き続き積極的に活用してほしいとしています。

滋賀県で起きた交通事故が再び起きないよう、行政の責任で園児の安全を守るための対策が必要です。他都市では行政側が、道路管理者と一緒に現地を確認しながら、安全対策に取り組んでいるとのお話も聞きます。本市においては、保育施設の散歩等の園外活動、集団で移動する経路の安全確保に向けた取り組みについて、どのような対策をとってきたのか、お伺いいたします。

国の交通安全会議の中でも「子どもが集団で移動する経路の安全確保は一刻の猶予も許されない、時代のニーズに応え迅速に取り組むこと」と指示を出し、保育施設周辺で「キッズゾーン」新設の提案や、幼稚園、保育所周辺の歩行の安全性を緊急点検に取り組むよう指示を出しています。

車の行き来が多い交通路に面している保育園もあり、車の通行に気を配りながらの散歩等の活動は大きな課題です。

私は長年、幼稚園に従事し、子どもたちの安全に最大限の配慮を行ってきました。最も神経を使ったのが、園外活動などで子どもたちと横断歩道を使用するときでした。交通量、横断歩道の長さ、信号の変わる速度、子どもたちの歩くスピードなどを考慮して、左右の安全を確認し、場合によっては数回に分けて子どもたちを横断させたものです。それでも道路幅の狭いところに、大型車両が通ったり、ふらふらと蛇行しながら運転する車があったりしたら、はらはらしたものです。

本市は城下町の町並みを残していることから、幅が狭い道路や曲道(まがりみち)が多く、また高齢化社会の流れから高齢ドライバーも多くなっています。子どもたちの安全を確保することが喫緊(きっきん)の課題です。

子どもたちの安全の確保に、行政としてどのような取り組みをするかが問われています。園児たちの安全確保はもちろんのこと、小学生や中学生に対しても安全確保する取り組みが求められています。

 この質問の2番目として、公共交通の整備についても質問いたします。

各地で、高齢ドライバーの事故が多発していることを受けて、運転免許証の自主返納も進んでいるといいます。ある新聞に、75歳以上のドライバーに運転免許証を自主返納する考えがあるかどうかについて聞いた結果の、興味深い報道がありました。そのアンケートは、石川を含む中部9県を中心にとったものです。それによると、「返納するつもり」と「すでに返納した」と答えた方の合計30%に対し、「返納するつもりはない」と答えた方は全体の33.8%とのことです。「返納するつもりはない」と答えた方の多くは、日常生活の足として車を使っていて、「買い物や病院など車なしでは生活できない」と訴えておられます。これとは別に、免許証を返納しようかと迷っている方も多くいらっしゃいます。身体的な衰えを感じながらも決心がつかない方や、多発している高齢者の事故を受けて悩んでいる方もいらっしゃるといいます。共通して言えることは、ドアツードアの移動も含めた、安心して移動できる環境整備を強く望んでいらっしゃるという事です。

そこで、お尋ねいたします。本市の75歳以上の方の免許保有者と免許返納の動きを、お聞かせください。

また、本市では、高齢運転者による交通事故を未然に防止する為、運転免許証を自主返納した方へ北鉄バスシルバー定期券,JRバスや鉄道線の定期券購入の際、ひと月2500円、一年間、3万円助成をする制度を設け自主返納を進める一つの対策としています。75歳以上で運転免許証を返納された方のうち、どれくらいの方がこの制度を利用されたのか、ここ数年の実績と周知方法、合わせて普及が伸びないのであればその理由をどう分析されているのかお聞かせください。

私が住む西部の地域で全くバスが来ていない地域があります。又、バスの便があったにしても、土曜、日曜は1時間に1本もない事もあり、交通の不便な地域になっています。その為、免許証自主返納に伴う現行の補助制度は「バスがないのに利用できるわけがない」と住民の方が言っています。他市では運転免許自主返納の方には、乗り合いタクシーの利用券を配布するなどいくつかの選択肢を用意したりしているところもあります。本市でも自主返納に伴う支援制度については住民のニーズに対応した多様な助成制度を検討すべきと思いますがいかがでしょうか。

 公共交通の整備に関しても、国は交通安全対策関係閣僚会議の中で高齢者が自ら運転せずに暮らせるようにするため公共交通機関の利便性を図るようにと指示しています。

 公共交通の整備は単に移動困難な方の解消を図るだけではなく、人と人との交流を図り、住民の医療や福祉、教育、生業や、農業をささえ、まちづくりを形成する土台そのものです。人々の暮らしを支える豊かな交通は(憲法が保障している基本的人権であり)、どこに住んでいても受けることが出来る交通権として保証されるべきです。国や地方自治体は暮らしや、生活を守る地域の交通を確保し保証するという責務があります。

 この観点から、本市の取り組みを見てみます。本市においては地域住民が運営するバスの運行をサポートする制度を持っています。それは、手厚い支援メニューで、地域の負担を軽減し,地域住民が運営するバスの導入促進、交通のネットワークの充実につなげたいとしています。そういうことで、今までにも、いくつかの地域で住民が、地域運営交通実現の要望で頑張っていると聞いています。しかし、まだまだ十分な広がりを見せていません。

 本市のなかには、地域独自の工夫や努力で、地域の人たちが買い物や病院に行くための車を定期的に運行している所があります。その方にお話を伺うと、「坂道が多い地域なので冬になったら車が滑らないように運転に気を使う」とおっしゃっていました。そして、「町中に走っているフラットバスのような市が運営するコミュニティバスが通っていれば、住民たちも喜ぶのに」、ともお話しされました。

持続可能なまちづくりの観点からも、地域住民の交通権を保証するため、地域住民主体ではなく、市が運営の主体となり住民と一緒につくるコミュニティバスの導入が必要と考えますが、いかがでしょうか。市長のお考えをお伺いいたします。

子供から高齢者まで安心・安全な暮らしを送るためにも持続可能なコミュニティバスの実現こそ必要です。交通権の確保については、自治体は地域住民の主体に任せるのではなく、積極的にかかわりどこに問題があるのかなど課題解決を一緒に取り組むべきだと考えますいかがでしょうか。 >

-山野市長

 7番大桑議員にお答えをいたします。

 保育園の園外活動の安全確保についてお尋ねがございました。本市では毎年、保育施設の指導監査の際、日常的に利用する散歩の経路や公園等に異常や危険箇所がないか、交通量等も含めて点検するように指導をしているところであります。今回の大津市での事件も受けまして改めて、保育施設及び幼稚園に対し、児童の安全確保のための点検等を行うよう通知をするとともに、横断旗を施設に配布をし、警察など関係機関と連携した園外活動を実施をするなど、児童の安全確保に努めているところであります。

国の緊急対策を受けての施策についてお尋ねがございました。6月18日付で国から出されました、未就学児の交通安全の徹底に関する通知を受け、今後道路管理者や警察など関係機関と連携し、保育施設における散歩等の経路の合同点検を実施することとしています。関係機関と情報を共有し、危険箇所の抽出を行い、必要な対策を講じる他、児童や職員に対し交通安全の基本的な心構え、危険な行動の回避、道路の横断の仕方などについて改めて指導してまいります。

高齢者の免許証返納のことについてお尋ねがございました。平成30年ですけれども、市内における75歳以上の高齢者の運転免許証保有者は1万9千525人であります。免許証を返納した方は923人となっております。本市では免許証を返納した高齢者の方を対象として、公共交通の定期券購入に対する助成を行っておりまして、75歳以上の新規申請者数ですけれども、平成28年度の71人から平成30年度には164人と着実に増加をしています。これまでも免許証返納の際、警察署などでチラシを配布するなど制度の周知に努めてきたところでありますが、さらなる制度の利用促進を図るため、様々な機会をとらえ周知に努めてまいります。

今ほど申し上げましたことの他にも、様々な住民ニーズに対応した制度が必要ではないかというご提案をいただきました。高齢者の免許証返納者の支援制度につきましては、平成29年10月に助成対象となる交通機関の拡大、助成額の引き上げなど制度の充実を図ったところでありまして、まずはその利用促進を図ってまいりたいというふうに考えています。

コミュニティバス・地域バスのことについてお尋ねがございました。地域住民が運営するコミュニティバスの導入にあたりましては、費用負担の他、運行ルートや便数など多様な住民ニーズの取りまとめに時間と労力が必要になると考えています。こういうことから、本市としても積極的に関わっているところでもありますし、住民の皆さんと一緒に打ち合わせを何度もさせていただく、そんなところもいくつもあります。またアドバイザーの派遣、運行実験に要する費用も支援をしているところであります。そして今年度新たに利便性向上と地域の負担軽減を図るため、補助率のかさ上げなど制度の充実に努めてきたところであります。引き続き地域の皆さんと連携をしながら活用を促していきたいというふうに思っております。

再質問

-森尾議員

 道路交通法の改正で、75歳以上の方が認知症の判断を受けることが義務化されて、認知症と判断されれば運転免許証の取り消しが行われるということになりました。これに対して、医療機関の側からの報告というのが、日本認知症ケア学会大会の中で行われました。この中で、医療機関での評価・診断の難しさという報告とともに、地域における支援システムが必要だという報告がありました。この中で、運転しないという選択は生活の不便さだけではなくて身体的機能の衰えとか認知症の進行、また楽しみや生きがいの喪失などに繋がる可能性があるとして、事故の防止をしながらも、地域を整備して自主返納をできる社会づくりが必要だという報告がありました。私は改めてこの点を踏まえると、行政の長として市長は今の情勢のもとでこうした状況についてどう立ち向かうかというのが、大桑議員の質問の核心部分だったというふうに思うんですが、改めて伺いたいと思います。

―山野市長

 問題意識は私も共有しているところであります。だからこそ、地域の皆さんと話し合いをしながら、地域の皆さん主体となったバスのことにつきまして提案もさせていただいているところであります。いろんなご意見をいただきながら本年度、その充実もさせていただいているところであります。丸投げをしているわけでは決してありません。市の職員も直接皆さんと話し合いをしながらしておりますし、専門家の方をアドバイザーとして派遣をしながら、一日も早く実現に向けて取り組んでいきたいと思っております。これからもしっかり対応してまいります。

-森尾議員

 先程の市長の答弁では、今の発想というのは非常に立ち遅れがあるというふうに思っています。先程の報告の中で、全ての人が歳をとって車を運転しないという決断を迫られるときがおとずれると、こう指摘をし、全ての方々、そして高齢者を視野に入れた交通システムを含めて対応が今後必要ですよという報告が行われました。これに視野を捉えるなら、市長の答弁というのは非常に立ち遅れた取り組みの視点になっているのではないかというふうに思っています。例えば、ふらっとバスが運行して4ルート、このふらっとバスは沿線の住民、校下は11小学校区、住民は9万3千人、全体の21%に過ぎません。65歳以上の住民は3万人です。全65歳以上の市民に占める割合はわずか26%に過ぎません。そういう視野で考えると、全ての住民と高齢者を視野に入れた交通システムや対策が必要ではないかということが、大桑議員のコミュニティバスを全ての地域と住民を視野に入れてこれから検討するべきではないかというのが提言なんです。繰り返すようですが、全ての方々がこれから歳をとり認知症を迎える、こういう視野に立ったシステムを検討すべきではないかというふうに思うのですが、再度伺いたいと思います。

-山野市長

 金沢市内全ての住民の方たちに、この地域住民が運営するコミュニティバスのご提案をさせていただいているわけであります。ある地域だけに提案をしているわけではありませんし、ある地域だけに市の職員が足を運んでいるわけではありません。遍く多くの方たちに我々の方からも相談を投げかけておりますし、お答えを受けながら進めているところであります。引き続き、この制度の周知と同時に地域の皆さんとお話し合いを続けていきたいと考えております。

②教員の働き方について

ー大桑議員

私は平成30年12月議会においても、教員の勤務実態について質問いたしました。

この6月、教育消防委員会において市立小中学校の勤務時間の集計結果についての報告がされました。それによれば、確かに時間外勤務は削減されているものの、依然として月80時間以上勤務をしている教員が、小学校では8.4%、中学校では28.6%いるとの報告がされました。月80時間以上の時間外勤務は過労死レベルにあたるとされており、これは見過ごすわけにはいきません。県は目標として、時間外勤務80時間越えの教職員ゼロを目指すとしています。

 勤務時間記録の集計結果の報告には、集計しきれていない問題もあると私は考えています。それは、自宅に持ち帰っての仕事です。

私の知り合いの息子さんがこの4月から小学校の教員をしています。

その方の家族の方にお話をお伺いしたところ、息子さんは帰宅時間が遅い上、自宅に帰ってからも明日の授業の準備だとか遅くまで仕事を、しているとの事で、教員になったのは嬉しいが、身体が心配だとおっしゃっていました。消化しきれないほどの仕事量があるにもかかわらず、帰るように促され、やむなく家で授業をすることも、実際存在するとのことです。教員の勤務時間の実態の把握を正確に行い、長時間労働の解消に向けた有効な手立てを講ずる出発点としていただきたいと思いますが、教員の時間外勤務時間の現状をどのように受け止めているのかお聞きいたします。

教員の仕事量は増えるいっぽうだとも、知り合いの方からおききいたしました。教師の長時間過密労働は肉体的にも精神的にも教職員を追い詰め、子どもたちの教育にゆとりをもって専念することを困難にしています。「忙しくて子供たちと接する時間もない。ちゃんと向き合う時間を確保してほしい」「きちんと教材研究をして授業の準備を優先したい」との声は切実です。長時間問題は教員自らの健康を損なう問題にとどまらず、子どもと向き合う時間の確保と合わせて「教育の質」を確保し向上をさせる課題としても捉える必要があるとしています。子どもとともに学び成長するところに喜びがあるのに、それすら奪うような長時間問題、月80時間以上の時間外勤務をしている教員に対して、速やかに改善するべきと考えますが、改善策はお考えでしょうか。

今議会の中でも教員の長時間労働が社会問題になっていることが指摘され、一刻も早く是正するよう求める質問が多く出されています。今後英語学習やプロミング教育など小学校に新たな学習が入ってきます。このことが教員からゆとりを奪い、長時間過密労働の温床となっていくとも言えます。何よりも教員の授業負担を増やすことが、今日の長時間労働になる大本です。教えるのは基本的に担任の教員ということになり、従来通りの授業の進め方や教材研究に加え、新たなものがプラスされるわけですから、教員の負担が大きくなるのは必然です。本市として教員の負担増にならない様、どのような施策を考えているかお伺いいたします。

 小学校の多くの教員が1日5コマ、6コマの授業をしています。1日6コマの授業をこなし、法律どうりに45分の休憩をとれば、残り25分しかないというデータがあります。その中で授業準備や採点、各種打ち合わせや、報告書作りなどの公務があり、長時間の残業は当然で、所定の時間内に仕事を終えることは不可能です。教員の持ち時間の上限を1日4コマを目安に定めることが早急に求められます。文科省の政策の中には少人数学級の実現や、教員の持ち時間の軽減など、子供と教育、教師にゆとりをもたらす政策が、不十分だと言われております。

 何よりも教師の定数を増やすことです。この点については、教育長も国による教職員の定数改善が必要不可欠であると考えている、と答弁されています。そして全国都市教育長協議会や中核市教育長協議会を通して国に働きかけているとも答弁されましたが、現状をどのように考えておられるのか、改めてお尋ねいたします。そして、教師の定数増は非正規教職員でまかなうのではなく、正規の教職員で定数を確保するよう求めますが、いかがでしょうか?

 先ほど述べた新採の教師も非正規の教師でした。「同じ担任の仕事をしても給与が違いすぎる。」など、その実態はあまりにも理不尽だと言っていました。教育に臨時はありません。教員は基本的に正規採用する事を求めます。

 教員は労働者であるとともに、教育の専門家です。子どもたちの成長に寄り添い、いろんな人との温かい人間関係の中で一人一人が個性的に人として育ちます。その人間形成を支える教員の仕事は広い教養や深い専門職的な知識、技能が求められる尊い専門職です。そうした教員の専門性の発揮のためにはそれにふさわしい労働条件が必要です。授業の準備や子どもへの理解や対応、教育活動の振り返りなどそれらが、人間らしい生活の中で保証されなければなりません。子どもたちの笑顔輝く学校づくりのためには教員ゆとりをもって教育活動を進められる職場環境が必要です。各学校で教職員の話し合いに基づく業務削減であったりは、直ちに実行できる所から始めることが肝要です。そのことが、長時間労働を減らす大きな力になっていきます。

労働条件の、見直しに関しては、国、県、本市が知恵を出し合い、異常な労働環境を大本から見直す必要があることを述べてこの質問を終わります。

-野口教育長

 初めに教員の時間外勤務時間の現状への受け止めについてお答えしたいと思います。時間外勤務時間が小中学校ともに減少してきたことは、学校と教育委員会による「金沢市立学校における教職員が本務に専念するための時間の確保に向けた取り組み方針」、この方針について具体的な中身がしっかりと行えているその成果ではないかと思っています。ただ一方で、長時間の過重業務とされております80時間を超える教員が依然として一定割合おりますので、引き続きその縮減を図っていく状況にあると捉えております。

次に80時間以上の時間外勤務をしている教員に対しての改善策についてでございますけれども、やはりより一層の時間外勤務の縮減にむけて、今年度も今ほど申し上げました取り組み方針、この中に掲げる具体の取り組みというのをひとつひとつ着実に実践していきたいと考えております。さらに本年4月から6月までの勤務時間記録の結果を受けて、私自ら100時間を超える教職員と面談をするとしておりまして、その中で勤務時間が長くなる事情など直接お伺いしながら、その解決策を話し合っていきたい、そういうふうに考えております。

小学校におけます英語教育、プログラミング教育などが教員の負担増にならないよう、どのような施策を考えているのかという点についてご質問がありました。本市におきましてはこれまでも英語科またプログラミング教科を含めました本市独自の教育課程の基本であります金沢ベーシックカリキュラムを策定しておりまして、全小中学校に配布をすることで教育課程が円滑に作成できるように準備をしておるところでございます。また英語教育におきましては本市が独自に作成いたしました音声CD、またピクチャーカードなどの教材・教具を配信するとともに、教員とチームティーチングを行う英語インストラクターの指導力の向上を図っているところでございます。ざらにプログラミング教育につきましては、モデル校での成果を公開授業などを通して広く発信をすることで、いずれの教員も不安なく指導できるよう努めていくことといたしております。

次に、教員の定数増についてもご質問がございました。先程大桑議員も触れられましたけれども、この定数増が図られることによってたくさんのことが私は改善できると思っておりますが、やはり定数増になりましたら教員の1週間の持ち時数、これも軽減できると思います。それから少人数学級も実現できると思います。またお一人お一人の校務文書に携わる量も減らすことができる、そんなふうにして思っております。従いまして、そうしたことを実現するには抜本的な改善を図るために、やはり国による教職員の定数改善が不可欠だと思っております。来月の4日には全国都市教育長協議会で来年度の予算要望をまとめる予定をしております。翌5日には中核市としてもまとめる予定をしておりまして、私は全国の役員は外れましたが中核市の役員はしておりますので、8月の上旬にこの要望を持って文部省等へお伺いすることとしています。頑張って引き続き国に働きかけてまいりたいと思います。ただ定数増が行われるにあたりましては、私も大桑議員がおっしゃいましたように正規の教員であるべきだと思いますので、そんな要望も含めてこれからしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。


 

 


  

本市のごみ施策について

①事業系ごみについて

-広田議員

まずは、本市のごみ施策についてです。

先日、30年度の本市のごみ排出量の確定値が報告されました。ごみの有料化は、29年度の2月から始まりましたので、この結果は、まる1年ごみの有料化の影響を受けたものということになります。

家庭系ごみは前年度比で、燃やすごみは17%の減少、埋め立てごみは24.5%の減少です。計画以上にすすんでいます。これは紛れもなく市民のみなさんのご協力があったからにほかなりません。

しかし、一方どうでしょうか。事業系ごみの量は、燃やすごみで前年度比1%減、埋め立てごみで0.9%減と横ばいです。第5期の計画とかけ離れている状況です。

こうなると、家庭系と事業系をあわせた全体量に占める割合は、燃やすごみにでは、事業系ごみはこれまで30%台であったものが43%に、埋め立てごみでは、70%台だったものが81%へと増加しました。まずは、この現状をどのように受け止めていますか。

-山野市長

ここ数年好調な経済活動が持続していることがひとつの要因として、事業系ごみがほぼ横ばいに推移しているのではないかというふうに思っています。ただその方たちもご家庭に戻れば新たな制度に変わったことによってご努力されています。私はやはり事業者の皆さんにも今一度、景気状況は把握しながらも一層の努力をお願いしたいというふうに思っています。引き続き事業者への立ち入り指導、講習会の開催などを通じ、事業所における「減量する」という意識の醸成に努めていかなければいけないというふうに思っています。今ここには強い問題意識を持っています。

-広田議員

市長は、3月議会でも「事業系のごみというものは、景気動向に大きく左右されるもの。横ばいで推移しているというのは、好調な経済活動の持続が要因の一つとも考えられる」と私に回答しました。 今もその答えが一部にありました。だけれども厳しくやっていかなければならない姿勢はあるということです。さらに経済活動だけでは、量においてはそう言えるかもしれませんが、ごみを減らすには発生を抑えると同時に資源化が必要となってきます。その点では、昨年度中、事業系ごみの組成調査が行われたと聞いています。その結果はどうだったのか、燃やすごみの中に資源化できるものがまだあるのではないか、お答えください。

-佐久間環境局長

昨年度に実施いたしましたごみ組成調査では、事業系の燃やすごみには生ごみが39.5%、紙ごみが42.5%含まれており、紙ごみのうち再生可能なダンボール・雑紙などがその半分を占めております。

-広田議員

事業系の燃やすごみの中に、特に生ごみと紙ごみの課題があるということが組成調査では明らかとなっているわけです。それが計画通りになかなか進んでいない。3月議会で市長は、事業系ごみをどう減らすかといった私の問いに、31年度は古紙回収業者や製紙業者と連携し、機密文書等のオフィスペーパーリサイクルの促進をするとおっしゃっていました。組成調査の業種別でみると、リサイクル可能な紙の含有量については、事務所では54%もあり、率先すべき官公庁でも30%です。今出された組成調査の結果を受け、この3月の答弁をどう具体化していくおつもりか、あきらかにしてください。

-山野市長

 多くの市民の皆さんがご理解をいただいて様々な取り組みをしてくれています。事業者の皆さんも家庭に戻れば地域の一員として様々な取り組みをしていただいていると思います。その意識を今一度、事業者の責任者として取り組んでいってもらえるような、そんな呼びかけもしていかなければならないと思っています。事業者自らが分別の徹底・保管スペースの確保に取り組むように、これは直接働きかけていきたいというふうに思っています。また一方、古紙回収業者や製紙業者とも連携もし、古紙回収拠点の設置、効率的なリサイクルルートの確立にも努めていきたいと考えています。

-広田議員

 紙ごみについては事業者責任がある、保管スペースの設置や収集場所などの設置も連携して行っていくということですけれども、何か具体的に動きは見えているのか、これまでずっと事業系ごみのことを質問してきていましたので、今年こそ何か具体的に動いているものがあれば教えていただきたいのですが、お願いします。

-山野市長

 様々な業者から。今いろんな状況を把握しているところでありまして、今担当部署の方で研究させていただいているところであります。

-広田議員

 ぜひ、すばやい状況把握をしていただき、今年度中に実施できるように、家庭ごみはこれだけ減っていますから、事業系ごみは法的に自分でごみを処理する、そして減らすという責任があるということを、ぜひ事業者の皆様にもお伝えいただきたいと思います。

さらに、生ごみ堆肥化の推進も行うと、3月議会でご答弁ありました。先程の39.5%の生ごみが含まれているという点について、どのように具体化されるのか明らかにしてください。

-山野市長

 今年度は飲食店・小売店・宿泊施設などを対象とし、業種ごとに生ごみの排出実態に関する調査をしているところであります。その結果を踏まえまして、これから収集方法や堆肥の安定的な供給先の確保など、課題の解決に向けて事業者と共に研究をし、実行に移していきたいと考えています。

-広田議員

 ぜひ、今年度中の実施をお願いしたいと思います。

 さらに市長は「大規模事業所はもちろん、中小事業者や各種団体にも減量化計画書の作成を働きかけ、広く事業所における減量化意識の醸成を促していきたい」とのことでした。先月の5月末が減量化計画書の提出期限だと思いますが、昨年度は55%と低い実態があきらかになりましたが、今年度の減量化計画書の提出率もあきらかにしてください。

-佐久間環境局長

 提出期限でございます5月末時点では、71%に当たる324事業所から提出されております。

-広田議員

 これだけ減量化計画書のことをこの議場でも言ってきましたので、100%近いお答えがあるかなと思いましたけれども、まずは15%上昇ということで現場の皆さんはご努力をされたのだというふうに感じておりますが、残り30%はなぜ出ていないのか、理由が明らかであれば教えてください。

-佐久間環境局長

 これまで未提出の事業者に対しましては、文書などで提出を求めております。またそういったなかなか提出のない事業者につきましてはさらに事業所に直接出向きまして、減量化計画書の提出と併せまして、今ほど言いました具体的に作成内容がわからないとかそういう理由が結構ございましたので、そういうような指導を重ねているところでございます。

-広田議員

 昨年の減量化計画書を100近く拝見しましたけれども、やはり提出させるだけではなくて中身でかなり事業所の現状が見えてくると、そしてどのようなアドバイスをしたらよいかということが見えてくるという大切な取り組みかと思います。条例に基づくものですので、きっちりやっていただかなければなりません。30%の事業者は、減量化計画書を出せないということはごみの処理についてもかなり困っている、わからないという部分もあるかもしれないので、ぜひ丁寧に指導して速やかに出していただくよう求めたいと思います。

さらに、私はもっと具体的な取り組みを進めるべきだと考えます。他都市では、事業系の燃やすごみ、特に紙などは資源回収すべきだということで、搬入規制しているところもあります。しかし私は、本市でまず企業に求めていただきたいのは、コストと同時に、SDGsという話もありますけれども、環境を優先した取り組みが今まさに求められるということをぜひ呼びかけていただきたい。それを市長自らが、ぜひ金沢市内の事業所に呼びかけていただきたいと。特に多量排出事業者に。そのことが一つと、先程出されました組成調査は議会にも出されていません。計画に載ってくるような資料です。これを市民や議会に対して公表する。このことを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

-山野市長

 ごみ組成調査の結果につきましては、第6期ごみ処理基本計画を策定していく過程で議会であったり廃棄物総合対策審議会などで説明させていただきたいというふうに考えています。また大規模排出事業者に対しては市長自らが呼びかけるべきだということでありました。私も事業者が集まる様々な機会をとらえてごみの減量化、事業化をはじめとした環境施策の推進につきましても啓発に努めてまいります。多くの市民の皆さんがこれだけ取り組んでいただいています。事業所にお勤めになっている皆さんもご家庭に戻られたら取り組んでいらっしゃると思います。そのことを改めて事業所においても取り組んでいただきたい、そのことを私も自らお願いや説明をさせていただけたらと思っています。

-広田議員

 家庭でコスト意識が働き、ごみの減量化を意識した取り組みができるのならば、本来ならば事業系も値上げをしたはずなのでコスト意識が働くはずなんですけれども、なかなかそうはいかないといった金沢市の現状があります。だけれども搬入規制までは、と私は言っています。ぜひとも本当の環境施策という点で、本腰を入れて取り組んでいただきたいと思います。

そして第5期計画では、家庭系と事業系のそれぞれの目標値はないんです。全体の目標値設定しかありません。しかし今回、家庭系はすでに目標を達成しているようなものです。これから第6期計画の作成をしますけれども、私は事業系ごみの目標値は立てるべきだと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 ごみ処理基本計画は将来の処理施設の整備なども見据え策定することになります。家庭系・事業系合わせた目標を設定してきているところであります。ご提案をいただきました事業系ごみの目標の設定につきましては、廃棄物総合対策審議会等の意見もお伺いしながら検討させていただければと思います。

-広田議員

第5期計画でも、なにも適当に数字を操ってきたわけではなく、第5期計画処理編というところに推定値が毎年計算をされ、それの積み重ねが今回のごみの有料化のトータルした目標だと思っています。裏では市はしっかり目標値を持っているんだと思うんですが、それをやはり市民に明確に示して一緒に取り組んでいこうという姿勢を事業系ごみでも明らかにしていただきたいということを申し上げています。ぜひ審議会でも、組成調査を明らかにしていただくということでしたので、その点を踏まえ目標値の設定を重ねてお願いしたいと思います。

最後に事業系ごみについては、家庭ごみと違い、本来は自らの処理責任・減量の責任も位置付けられています。事業系ごみを減らせている多くの都市では、先程言った搬入規制や指定ごみ袋など厳しいルールでも行っていますが、同時に各事業所に丁寧な指導もしています。本市にも厳しくも丁寧な指導を心掛けていただきたいと思います。

②ごみの有料化について

-広田議員

このような状況ではこれまで進めてきた「ごみ有料化」についても厳しく問われ出していると考えます。有料化によって、市民が有料袋を買うことによって得る「地域コミュニティ活性化基金」が販売収入の増加や袋の製造単価が下がったことで、予定より基金の残高が大幅に増え、今年度の予算でも残高が1億6千4百万円にものぼっています。今言ったように事業系ごみにくらべて、家庭系ごみは大幅な減少を見せています。紛れもなく市民の協力のおかげですし、本来事業系ごみを減らしてから家庭系ごみの有料化について考えるべきだ、との批判もまた沸き起こっています。市民からは、基金を必要かどうかわからないまま貯めこむのではなく、袋の料金を値下げしたり、低所得の方々を支援するなどすべきいうお声もあります。市長のお考えを伺います。

-山野市長

 指定ごみ袋収集制度を始めましてから、この制度が市民の皆さんのご理解のもと、ごみ量の大きな減量効果、また分別意識の向上に繋がって資源化が促進されているというふうに思っています。今、市民の皆さんのご協力をいただいているところでもあります。この流れをしっかりと安定したものにしなければいけないというふうに思っています。今のところ、仰せの制度の見直しは考えてはおりません。

-広田議員

 ぜひとも、家庭の努力が事業系によって無為にされてしまうということが起こらないように、改めて求めておきたいと思います。

③プラスチック対策について

-広田議員

次に、プラスチック対策についてです。

政府は先月末、プラスチック資源循環戦略、海洋プラごみ対策の行動計画などを決定しました。中国のプラごみ輸出の制限、世界各地で深刻な環境汚染を引き起こし大きな問題になる中、日本は国民1人当たりのプラスチックごみの排出量が、アメリカに次いで世界第2位であり、積極的な役割を果たす必要があるのは言うまでもありません。ところが、発表された一連の決定は、求められている水準に見合ったものではありません。とりわけ、「有効利用」にリサイクルのほか、「熱回収」を含めていることは問題です。これは政府自身も「最終手段」だと言ってきたものですが、現在の国内の処理状況は、リサイクルは27.8%にすぎず、残りの58%は熱回収されているのが実態です。

そこで、本市の家庭から出されるプラスチックごみ。燃やすごみが減る一方で大幅に増えているわけですが、その量はどうなっているのか、市民の関心を呼んでいます。本市の資源搬入ステーションのプラごみの推移と、どこで処理をされているのか、そしてリサイクル率についてあきらかにしてください。

-佐久間環境局長

 昨年度全体で、容器包装プラスチックは前年度比26.5%増、ペットボトルは同じく3.1%増となっております。そのうち資源搬入ステーションでは、容器包装プラスチックは前年度比で71.0%増、ペットボトルは同じく37.6%増となっております。本市におきましては、これまで市民の皆様のご協力によって回収されておりますペットボトルと容器包装プラスチックの全量を、国から指定された日本容器包装リサイクル協会の委託を受けた再商品化事業者に引き渡し、そこではペットボトルの約8割が卵パックやユニフォームなどの原料に、容器包装プラスチックの約7割が物流用パレットや再生樹脂などに再商品化されております。

-広田議員

 今ご報告いただいたのは、本市が自治体として集め、一生懸命リサイクルの処理をしている実態であります。自治体として私は様々な努力をしてきていると考えています。しかし一方で産廃のプラごみについては、中国への輸出ができなくなり、さらに東南アジアなどへ輸出してきた汚れたプラごみは、バーゼル条約の改定で輸出が難しくなり、焼却に拍車がかかると懸念されています。そんな中、環境省は産業廃棄物のプラゴミの処理を本市も含む自治体へ依頼しています。これは事実上の焼却の押し付けです。国は「積極的に検討を」としていますが、本市はどうするおつもりなのか。これまでごみの有料化で市民に負担をしてもらってまで、「コスト削減、焼却炉の縮小化が必要」などと言ってきたことからも矛盾しますし、この産廃は本市の産廃ではなく全国どこから来るかわからないと言うではないですか。地方自治体各々の努力を無為にするようなものだと考えますがいかがですか。

-山野市長

 産業廃棄物の廃プラスチックの受け入れにつきましては、今お話がありましたように本市のこれまで取り組んできた施策と反することであります。私は今のところ難しいと、考えてはおりません。

-広田議員

 報道ですでに取り上げられましたけれども、市民の理解を得られないという同じ思いだと思っております。とはいえ、今回の輸出規制について、迅速で有効な対策を取らなければならない事態であることはあきらかです。レジ袋有料化が法制化されますが、消費者に対応を一方的に迫るやり方だけではなく、不必要なプラスチック製品や、紙など代替品があるプラ製品をつくらない「減プラスチック社会」に踏み出す時です。そのためには、生産から廃棄までメーカーが責任を負う「拡大生産者責任」を徹底することが必要で、法整備が必要だと思いますが、市長の見解を伺います。

-山野市長

 今お話がありましたように、拡大生産者責任につきましては一義的には法令等の整備が重要・必要であります。引き続き、全国都市清掃会議を通じ国に要望していきます。

小中学校の教育環境について

-広田議員

続いて、小中学校の教育環境について伺います。

 昨年、本市が行った「子どもの生活実態調査」では、本市の子育て世帯の切実な実態があきらかとなり、なかでも、「保護者が現在必要な支援はなにか」という問いに、一般世帯でも50%、相対的貧困層では68%の方が、「子どもの就学に係る費用の軽減」を選んでいます。文科省調べでは、教材や給食、部活などで、公立小学校では32万2千円、中学校では47万9千円の負担が年間あるとわかりました。

まずは、そのような実態があきらかになりましたが、どのように受け止めておられますか。少しでも教育にかかる経済的負担を減らしたいとお考えでしょうか。教育長に伺います。

-野口教育長

 私も大変貧しい家に育ちましたので、保護者の教育にかかる経済的負担というものについては非常に興味関心を持っているつもりであります。従いまして、本市では学校におけます保護者の負担を少しでも軽減したい、そういう思いから、小中学校において使用しておりますドリル、それからワークブック、また資料集等の補助教材につきましては、校長がしっかりとそれを吟味して教育的価値を認めたもので保護者の負担にも十分配慮した教材について、教育委員会に届けることにしていただいています。また併せましてその他の学用品等につきましても、必ずしもそれを購入する必要がないと思っておりまして、代用できるものがあればその使用を可とさせていただいています。そして併せまして給食費につきましても、本市では食材費のみを保護者負担とさせていただいています。

-広田議員

 教育長も経済的負担は減らしたいという思いはあるけれども、やれる範囲でやっているというお答えだったと思います。私はそんな中で、制度として確立している「就学援助制度」、これは非常に大切な制度だと考えます。まずは本市の認定基準、たとえば父・母・子2人の4人世帯だとどれくらいの基準なのか、そして昨年度確定した認定者数、認定率をお聞かせください。

-野口教育長

 本市の認定基準につきましては、世帯の所得額が生活保護基準の1.3倍未満としておりまして、就学援助制度が一般財源化されました平成17年度以降も、それまでの基準を維持しております。なお国は平成25年度以降、生活保護基準の引き下げをずっと行っておりますけれども、本市ではその影響が出ないよう見直し前の基準としております。今ほど具体的な例でお尋ねがありましたけれども、お尋ねがありましたことは本市の就学援助の案内チラシにも一例として載せされておりますが、「保護者を30代の両親、子どもは就学前と小学生の1人ずつとした4人世帯、収入は給与収入として給与収入から控除額を差し引いた世帯全体の所得額が概ね303万円程度以下の場合」を就学援助の対象となっていることを示しています。いろんな条件で算出したものを載せさせていただいています。

 平成30年度の認定者数でありますけれども、小中学校合わせて5634人で、全児童・生徒数に占める割合は16.25%でございました。

-広田議員

今おっしゃっていただいた人数ですが、ここ数年だけ少し減りましたけれども、右肩のぼりでした。今おっしゃった人数は認定者数ということになりますが、本市の場合はあくまでも申請主義に基づいていますので、補足率という点についてはどのようにお考えか、基準を満たすすべての方が受けられているのでしょうか。また、年度途中に経済状況が変わったとか、就学援助制度を知らなくて遅れて申し込んだという方など、年度途中の申請者はどのくらいにのぼっているのか、あきらかにしてください。

-野口教育長

 就学援助制度につきましては、毎年新たに小学校一年生や中学校一年生になる全ての児童・生徒に対しまして制度案内のチラシを配布しております。加えて新入学学用品費につきましてはあらかじめ入学までに全ての幼稚園や保育所等にも案内しております他、適宜新聞またはテレビなどを通じて周知に努めております。こうした取り組みによりまして、就学援助を必要としている方々は申請されているのではないかなと捉えております。今ほどありましたが、年度途中でやはり転校などしてくる方もいらっしゃるので、そういう方につきましては窓口等でもチラシ等については配布をさせていただいておりますので、申請されていると捉えております。なお30年度における年度途中の認定者数は115名でございました。

-広田議員

 年度途中の115名についての理由はお聞きしていないということなのでわかりませんけれども、私の周りでは少なくとも就学援助制度っていうもの自体を知らないという方が、現に小中学校のお子さんをお持ちの親御さんの中でいらっしゃいます。ということから考えると、捕捉率については100%ではないだろうなというふうに感じております。私は、基準を満たすすべての方に受けてほしいと考えます。そのためには、知らなかったとか、「自分たちに必要かわからない」とかいう理由で申請しないということがないよう取り組んでいただきたいと思います。まずは入学説明会の時きちんと説明をすること、そして、現在「お知らせ兼申し込み書」には「経済的な理由でお困りの方に」と書かれていますが、先程言われたように収入による客観的な判断基準がありますので、そうした文言は外し、少しでも申請しやすい環境にしてはどうかと考えますがいかがですか。

-野口教育長

 就学援助制度について、制度を必要とする方に誤解なくわかりやすくお伝えするために、教育基本法の4条、学校教育法の19条で使用されている経済的理由だという言葉を用いておりますので、この用語については見直すつもりはないということであります。これまで現在の案内チラシについては長年多くの方々のご意見を取り入れて充実をさせていただいてきたものであります。先程お話がありました通り、それぞれのご家庭の要件によって基準額がずいぶん変わってまいりますので、違う方法をとってしまうと複雑になってしまうのではないかなというふうに思っていますので、誤解を招かないようにも不明な場合には窓口までお問い合わせいただいて丁寧にお答えをするという方向で行きたいと思います。

-広田議員

 現に他都市では、就学援助の申請漏れを防ぐことを目的として、年度当初に就学援助を必要としない方も含めて全員から回収しているという実態もあります。ぜひ本市でも検討を進めていただきたいと要望をしておきます。

学校給食の無償化についてもお聞きします。

この議場でも何度か求めてきました。学校給食の今日的な課題は「義務教育は無償」という観点と、昨今の格差と貧困の広がりによる家庭生活への影響であり、給食の無償化や減免を実施する自治体が増えてきました。文科省は昨年度「29年度中の学校給食の無償化の実施状況」について調査を実施しましたが、小中、小中いずれかで完全無償化しているのは82都市、一部無償化、一部補助をしているのは424都市、24.4%にのぼることが明らかとなっています。本市の給食費も高い数値となっています。

教育長にお聞きしたいのは、憲法26条で規定される「義務教育は無償」という観点についてです。1951年、政府自らが「義務教育の無償をできるだけ早く広範囲に実現したい」「学用品、学校給食費、できれば交通費」と参議院の文部委員会で述べていたことがあきらかとなりました。このことについて教育長の見解を伺います。

-野口教育長

 1951年、私が生まれる一年前の話でありまして、しっかりと全部精査して読ませていただきましたが、当時の答弁というのは政府の、いわゆる昭和26年度に入学をしてくる児童に対して、教科用図書の供与に関する審議の法律案にあたって、当時の政府の考え方を述べたものではないかなと、そんなふうに私は捉えております。

-広田議員

 私は、憲法制定間もない頃ですから、憲法の理想をしっかり政府が発言されたと思っております。ぜひともその観点で、教育長も取り組んでいただきたいと思います。

次に、学校給食法で保護者負担とされている食材費について、これも「自治体等が全額補助することも否定されない」と事務次官通達で出されています。事務次官通達に立ち返り、学校給食を無償化したり減免化することは可能であることをあきらかにしてください。

-野口教育長

 今広田議員がおっしゃられた国の通知でありますけれども、学校給食法の規定について給食の実施に必要な経費は原則学校の設置者と給食を受ける児童等の保護者とがそれぞれ分担することを定めたものでありまして、その上で例えば地方自治体や学校法人、その他のものが給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図ではない旨を明らかにしたものと捉えています。本市におきましては学校給食法により人件費や施設設備費は設置者の負担としておりますことから、経費の適切な負担の観点から給食の食材費のみ保護者にご負担いただくことにしております。なお、就学援助制度によりまして経済的にお困りの方に対しましては給食費の全額を支援しておりまして、学校給食費の無償化については現在のところ考えてはおりません。

-広田議員

 禁止しないのですから、学校給食を無償化したり減免したりすることは可能だというご答弁だと受け止めます。

最後に、エアコンの設置ですけれども、昨日もご答弁がありましたので端的に。

今年エアコンの設置が間に合うのは大規模の小学校8校のみです。あと残りを数えましたところ、来年度が18校、再来年度が27校、中学校は2022年度ということになります。多くの子供たちがこの暑い夏を乗り切れるのか、大変心配をしています。全ての子供に安全な学習環境をいち早く整備すべきです。一刻も早く、小中学校教室にエアコン設置を実現できるよう、努力するべきではないでしょうか。

-野口教育長

 今ほどお話がございました通り、今月末を持ちまして今年度設置予定の26校のうちの8校につきましては設置が完了いたします。また10月には今のところではありますが5校の完了、2月には13校について完了する予定で、今年度中にはなんとか26校完了したいと思っています。来年度は26校、令和3年度には中学校24校になります。できるだけ国の補助制度も活用しながら早期の設置完了に努めてまいりたいと思っています。

-広田議員

 昨日のご答弁を聞いておりましたら、前倒しをしたいけれども財政面で難しいというような答えだったと思います。そうであれば私は国庫補助をもっと増やすよう求めるべきだと思うんですけれども、見解を伺います。

-野口教育長

 国庫補助の額につきましては、私の認識では毎年額が違ってきているはずなので、一定ではありませんので、その中できちんといただけるものにつきましては申請をしながらそれを活用して、しっかりと設置の努力をしたい、そんなふうに思っているところであります。

こころの健康支援について

-広田議員

 こころの健康支援について、たくさん質問があったのですが端的に行います。

小学生ら20名が死傷した痛ましい事件から1か月近くが経とうとしています。遺族や傷つけられた子どもたちの心身のケアはもちろん大事ですし、このようなことは二度とあってはならないと考えます。そうした同じ思いを抱きながらも、偏見を助長するような風潮もありました。「川崎の事件を知って息子も人に危害を加えるかもしれないと思った」。長男を殺害したとされる元農水事務次官の供述も切実です。 

事件をめぐって聞こえてくるこうした声が、さまざまな事情を抱えてひきこもり状態にある人や家族を追いつめないような取り組みが、今一層必要だと感じています。それについては相談窓口、それから自殺対策の中に引きこもり支援も盛り込まれており、その点ではポータルサイトの設置もぜひ引きこもり対策に起用してほしいと思いますし、この窓口にしっかりご本人・ご家族が繋がっていくためには、私はこころの悩みを抱えることや自殺に追いつめられることは誰にでも起こり得るものであり、全ての人々がかけがえのない個人として尊重されるとともに、生きる力を基礎として生きがいや希望をもって暮らすことができるよう、政治も力を尽くすことはもちろんですが、それぞれの要因の解決に向けた行政支援と支える環境整備の充実が必要だと訴え、質問を終わります。

※もちろん、質問も用意していましたが、時間切れでできませんでした。以下がその部分です。

・ひきこもり支援について

   まずは、本市のひきこもり状態にある方々やご家族への支援の現状をあきらかにしてください。

・相談窓口について

各福祉健康センターでは日夜、保健師、専門家のみなさんが訪問、相談、マネジメント活動をされているかと思います。しかし、まだ孤立状態にいる方、相談するのを躊躇している方もいらっしゃいます。気軽に、相談しやすい窓口の開設と言う点ではどのような工夫をされているのか伺います。

・ポータルサイトについて

本市のひきこもり支援も含まれた自殺対策計画の中では、インターネット・SNSの活用が盛り込まれ、今年度は「ポータルサイト」の設置がされると聞いています。

厚生労働省の調査では、SNSでの自殺相談が2万件を超し、特に若い世代、女性からの相談が多かったようです。電話や行政機関では、相談時間も限られますが、インターネット・SNSはいつでもどこでも相談できるというメリットがあります。

また、国の自殺対策強化事業の実施要綱では、「日本の自殺は深夜と早朝にピークがあり、当該時間帯に電話相談を実施することで、自殺を直前で回避できる可能性がある」とのこと。

ポータルサイトの優位性、自殺が起きる時間帯などを加味し、とりわけ緊急性のあるご相談にはどのように応え、適切な対応がとれるようにするのか、あきらかにしてください。

このポータルサイトや相談窓口が、今以上に気軽に相談できるものにするために、「自殺に追い込まれるという危機は誰にでも起こりうる」「その場合は、誰かに援助を求めることは適切で躊躇することはない」ということが、社会全体の共通認識になるような普及啓発をしていくべきと考えますがいかがでしょうか。

・保健師の増員について

さいごに、日曜窓口の開設やポータルサイトなど、各種窓口を開設しても、関わっていくのは言うまでもなく人間です。とくに、各自治体では保健師を中心に訪問や相談、各機関との連携を行っているかと思いますが、本市では中核市で常勤の保健師の人数が人口当たり最も少ないという状況です。   ぜひとも、こうした中心的な役割を担う保健師の増員を求めたいと思いますがいかがですか。

-森尾議員

私は、日本共産党市議員団の一人として、質問いたします。

最初に、「くらしに希望を」と題して、3つの点について市長に伺いたいと思います。

 まず景気の動向と対策についてですが、景気の実感について「良い」「どちらかと言えば良い」と答えた方が24.9%。一方、「悪い」「どちらかと言えば悪い」と答えた方が66.6%。時事通信社が行った6月世論調査の結果です。7割近くの方が景気の実感は「悪い」と答えています。

 市長。あなたの今議会での提案説明の中での景気動向の認識とはずいぶんとかけ離れています。改めて、本市の景気と市民生活の実態についてどのように把握されておられるのか伺います。

-山野市長

 我が国の経済は、様々な指標を拝見しておりましてもゆるやかな回復基調にあります。特にこの北陸におきましてはその傾向が強くみられるということも、様々なデータから推察されるところであります。ただその空気が蔓延、全ての国民に広がるにはタイムラグがあるのであろうということがひとつ。もうひとつは少子化・高齢化と言われておりますけれども人口減少が現実的なものとなってまいりました。将来に対する様々な不安というものがやっぱり国民の気持ちの中にあるんだというふうに思っています。目の前の様々な指標から具体的な数字が出てきたとしても、将来のことの不安を考えるとなかなか感情としてはそういう気持ちになり得ない、そんな方も多いんではないかというふうに思っています。市といたしましても、少しでも市民の皆さんにそういう実感を感じてもらえるように、国の施策に速やかに対応することによって本市経済の興隆というものに努めていきたいというふうに考えています。

-森尾議員

 安倍政権が進めてきた経済政策であるアベノミクスによって、貧困と格差が広がり、暮らしと景気に深刻な影響をもたらしています。

 去る12日、白山市にある中小型液晶パネル大手のジャパンディスプレイがこの7月から9月まで工場の稼働を停止し、国内の工場で1200人の希望退職を募るとの人員削減を発表しました。県内には、その下請け企業が53社、2421人の従業員が働いているとしています。白山工場での人員削減、操業停止に伴う下請け企業に大きな影響をもたらしています。

 本市の雇用と地場産業への影響について、どのように把握されているのか。市長に伺います。

-山野市長

 ジャパンディスプレイでは7月下旬から国内で希望退職者を募るというふうにしていますことから、現段階では離職の発生等の情報はなく、本市への影響についてお尋ねでございましたけれども今のところまだ不明、というふうに言わせていただきます。国・県などと関係機関と情報共有を図りながら、その動向を注視してまいります。今後、白山工場の操業停止に伴う希望退職者などから本市への雇用・労働に関する相談があれば、労働相談窓口で対応するとともに、昨年石川県労働局と金沢市雇用対策協定を締結いたしました。その協定に基づき、ハローワークを通じた再就職を支援してまいります。

-森尾議員

このジャパンディスプレイという会社は、2012年安倍政権が主導して中小型液晶で世界第一位の液晶パネルメーカーとしてつくられた企業です。ところが、スマートフォン向けの液晶パネルをめぐる競争と需要の低迷、アメリカと中国との貿易をめぐる激しい対応などによって、7年間の迷走の果てに、台湾と中国の企業に身売りする事態となりました。その結果、大合理化が始まったわけです。しかも誘致した石川県は、この工場進出に対して5年間で18億円を助成するとして、すでに8億円を実施しました。白山市は、10億円を助成したと伝えられています。

 地域活性化どころか、地域経済への深刻な影響をもたらした政治の責任は重大だというふうに考えます。市長、今お話がありましたが、退職を余儀なくされる労働者への支援策とその一次下請け、二次下請けの企業に対して相談と支援策が必要だと考えますが、具体的な考えをお伺いしたいと思います。

-山野市長

 先程の繰り返しになりますけれども、相談があった場合は速やかに対応をしていきたいというふうに思っていますし、石川労働局と結んだ協定もありますので、その協定に従いまして、そんなご相談があった方には不安がないような対応をできる限り県と連携しながら取り組んでまいります。

-森尾議員

 次に市民生活をめぐる問題で、10月からの消費税増税と年金問題が市民生活に大きな影響をもたらし、市民に不安を広げています。消費税増税が家計に与える影響について、実に7割弱の方が「影響が大きい」と答えています。これは、明治安田生命が行った「家計」に関するアンケート調査によるものです。この中で、消費税増税後の節約について聞いたところ、「外食を控える」「食費を減らす」「光熱費を減らす」と答え、妻の約6割が「夫のおこづかいを減らす」との回答も話題となっています。

 市長。家計への影響と暮らしへの不安を広げ、さらに景気の悪化をもたらす消費税増税に対する批判の声が増大しています。国に対して、消費税増税を中止するよう求める考えはないか伺います。

-山野市長

 国家財政、また先ほども申しました少子化・高齢化が急激に進展をしている状況を考えますと、これまで申し上げてきましたように消費税率の引き上げはある程度は避けられないのではないかというふうに考えておりまして、国に中止を求めることは考えておりません。

-森尾議員

 もうひとつ、「老後生活に年金だけでは不足する。夫婦二人で老後30年間に2000万円の蓄えが必要」との金融庁審議会報告書が大きな不安と怒りを呼んでいます。手にする年金が減り続け、暮らしていけないとの悲鳴が上がっています。今度は2000万円が必要との報告書の内容に唖然とし、市民から不安と怒りが沸騰しています。市民からは、年金が減り続け、暮らしが大変なのにこれからの老後はどうなるのか。夫婦で100歳まで人生設計するのに2000万円が必要なんてとてもムリです。と怒りと不安が広がっています。老後への不安をなくし、だれもが安心して暮らしていけるよう年金制度の充実を図るのが政治の責任だと考えます。

 市長ご自身は、「夫婦二人で老後30年間に2000万円の蓄えが必要」との金融庁審議会報告書に対して、市民のみなさんが怒りと不安の声を上げていることについて、どのように受け止めておられるのか伺います。

-山野市長

 報道等々で様々な多くの市民の皆さんの声をお聞きしているところであります。ただ一方では、繰り返しになりますけれども急激な少子化・高齢化という進展を考えますと、年金はもちろんではありますけれども、介護・医療・保険など社会保障全体というものを、私は真剣に考えていかなければならない、これは国が責任を持って持続可能な制度としていくことが大切なことなんだというふうに考えています。そういう取り組みを進め、そしてそういう取り組みを丁寧に説明することによって、国民の不安払拭に繋がっていくのではないかというふうに考えています。

-森尾議員

金融審議会の報告書を市長は読まれましたか。その中の10ページには「高齢者夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている」、16ページには「収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取り崩しが必要になる」と書かれています。

 市長。読まれていないとするなら、読んでください。要するにこの報告書は、公的年金だけでは不足し、30年で2000万円が必要ですよと、投資で資産づくりを求めたものです。100年安心の年金と言いながら、公的年金は減り続け、老後は、年金に頼るなと言うのは、あまりにもひどいではないかという声があがっています。年金制度の充実を図るのが政治の責任ではないかと思いますが、再度、市長の見解を求めたいと思います。

-山野市長

 これも再度同じ答弁になりますけれども、年金のみならず介護であったり医療であったり様々な社会保障制度を、私は国が責任を持って持続可能な制度とすることが大切だというふうに思っていますし、またそのことをもって国民に丁寧に説明をするということが、様々な不安の払拭に繋がるんだというふうに考えています。

-森尾議員

 市民の生活への不安、老後への不安、そして今の政治に対する怒りという声が広がっています。私は、市長として率直にこの声に耳を傾けるよう、改めて求めておきたいというふうに思っています。

 私ども日本共産党は、消費税増税に頼らない別の道があるということを提案しています。大企業・富裕層の不公平税制の是正などにより、7.5兆円の財源を確保し、くらし応援の施策実行を行うというものです。そして年金制度についても、「マクロ経済スライド」によって年金の削減を中止し、低い金額の年金については底上げすることを提案し、その実施を求めています。くらしに希望をつなぐことは今、政治が果たさなければならない最大の課題だと考えています。

 そこで、市民生活に関わる点として、国民健康保険料について伺いたいと思います。

 国民健康保険料が収入の1割前後となり、市民生活に大きな負担となっています。本市の保険料について、具体的に明らかにしていただきたいと思います。単身で年収100万円の場合、4人世帯で年収400万円の場合について、本市の保険料の金額を示してください。

-西川保健局長

 年収100万円の単身世帯につきましては、40歳以上64歳以下で介護分を含む世帯では年間約8万2千円であり、その他の世帯では年間約6万5千円であります。また、年収400万円の4人世帯につきましては、介護分を含む世帯では年間約50万1千円であり、その他の世帯では年間約42万3千円であります。

-森尾議員

 本市の保険料は、単身者で年収100万円の世帯では月額5千円から7千円。4人家族で年収400万円の世帯では、月額3万5千円から4万円です。保険料の負担感に歯止めをするためにも保険料の引き下げを行うことが求められています。ところが国は、市町村が国保料軽減のために独自に行ってきた公費繰り入れを除いた「標準保険料率」に合わせるよう迫っています。このことで公費繰り入れの削減・廃止が行われれば、保険料の連続、大幅引き上げが実施されることになります。

 本市では、今年度県が示している「標準保険料率」に比べ、低く保険料を算定したとのことですが、どのような財源対策を行ったのか明らかにしていただきたいと思います。

-山野市長

 保険料率ですけれども、国民健康保険の財政運営の責任主体となったら県から示された、おっしゃいましたように「標準保険料率」に準拠して決定をしているところであります。今回、金沢市ですけれども、1人当たりの医療費の増等に伴い、標準保険料率が引き上げられたところでありますけれども、市民生活への影響に配慮をし、基金から約11億3千万円の取り崩し、一般会計から約4億3千万円の特別の繰入を行い、改定幅が大きい医療保険分の均等割りと平等割を据え置くこととし、引き上げを極力抑制したところであります。

-森尾議員

 国民健康保険制度を安定して運営し、払える保険料に引き下げるためには、国の責任ある財政措置が必要だと考えます。全国知事会は、国に対して1兆円規模の財政対策を求めています。私どもは、全面的に賛成です。市長は、どのように国に対して安定した財政対策を求めていかれるのか伺うとともに、本市においては今答弁がありましたように、18億3千万円の基金残高があります。私は、ぜひともこの財源を活用するなど、本市の保険料の引き下げを実施すべきと考えますが、併せて市長の見解を伺います。

-山野市長

 被保険者の保険料負担の緩和を図り、国民健康保険制度が安定的で持続ある制度であり続けるために、国の責任ある財政措置が必要であると考えています。引き続き、医療費の増加に確実に対応できますよう、全国市長会、さらには国民健康保険中央会を通じ、国庫負担の拡充などの財政基盤の強化を国に強く働きかけてまいります。今後の国保財政ですけれども、やはり被保険者の高齢化の進展に伴います1人当たりの医療費の増加などにより、より一層厳しい状況が見込まれます。基金につきましては、今後保険料の引き上げが必要となった場合、避けられないとなった場合、急激な引き上げとならないように効果的な活用を図っていくこととしており、一時的な保険料の引き下げに使用することは考えてはいません。

-森尾議員

 18億3千万円にのぼる基金の残高があります。財源はある。あとは市長の決断、ということを示して、改めて保険料の引き下げを求めておきたいと思います。

 この項の質問の最後に、すべての被保険者に保険証を渡す、この問題についてです。保険料が払えず、特別の事情がない場合、1年間が経過すると保険証が取り上げられ、資格証明書が発行されます。医療機関の窓口で全額支払わなければなりません。本市の資格証明書の発行件数と今後の対応について明らかにしていただきたいと思います。

 昨年度の調査では、県内19の市町の中で資格証明書の発行は、9つの自治体です。そのうち本市の発行が突出しており、県内での発行件数の85%にのぼっています。市民の命を守る保険証の交付は、自治体の責任だと考えます。本市の現状は早急に打開すべきと考えますが、市長の見解を伺いたいと思います。

-山野市長

 資格証明書の発行世帯ですけれども、令和元年6月1日現在で、754世帯であります。資格証明書の発行は、できるだけ接触の機会を多く持ち、納付相談や指導に努めたいという主旨で行っているところであります。保険料の納付相談に当たりましては、これは森尾議員もご存じかと思いますけれども、職員が誠意を持って対応をしています。制度や法の主旨を説明をし、納付に対する理解が得られるように丁寧に説明をしています。夜間、そして休日にも関わらず、職員は再三再四に渡りまして戸別訪問をし、説明をさせていただいているところでもあります。また電話連絡でも丁寧な対応をさせていただいているところであります。ただ残念ながら、それでもご連絡をいただけない方がいらっしゃいます。或いは、納付にご理解をいただけない方がいらっしゃいます。そんな場合には、制度の維持、さらには負担の公平を図るとい観点から、私は国民健康保険法の規定に従い資格証明書の交付をせざるを得ないというふうに申し上げたいと思います。ご理解をいただきたいというふうに思います。

-森尾議員

 質問の第二は、イノシシ捕獲と今後の対策についてです。

 近年、イノシシが急増し、田畑の作物への被害が拡大すると共に、最近では市街地に出没する等市民生活への影響が心配される事態となっています。そこでまず、イノシシの捕獲実態について、その経年的推移について、明らかにしていただきたいと思います。

-山田農林水産局長

 イノシシの捕獲頭数でございますが、平成24年に22頭であったものが、平成27年度には723頭、その後平成29年度には約1700頭と急増しておりまして、30年度もほぼ同数となっております。

-森尾議員

 この5年間でみると捕獲頭数が9倍、そして昨年は年間1700頭にのぼっています。捕獲に対する支援と費用について、その実態を明らかにしていただきたいと思います。

-山田農林水産局長

 捕獲業務委託料といたしまして、石川県猟友会金沢支部に対しましてお支払いいたしておりますけれども、平成27年度までは止めさし回数や檻の設置数によりまして概ね年間約250万円をお支払いしておりました。それが捕獲頭数の増加に伴いまして、平成29年度は約1千800万円、さらに30年度からは積算方法を捕獲1頭当たり1万2千円に変更いたしまして、平成30年度では約2千万円の支払いとなっております。

-森尾議員

 イノシシの捕獲に対しての国からの交付金は、一頭あたり成獣で、焼却施設へ持ち込んだ場合、8千円、その他の場合は7千円。各自治体の協議会を通して各個人に交付されます。

 一方本市の場合、1頭に対して1万2千円が猟友会に委託料として支払われています。したがって、昨年の実績である1700頭に対して本市からは、猟友会に2040万円が支出されました。その他、猟友会には出動手当として27万円。クマ防除委託料として341万円。合わせて、2400万円余りの金額が支払われています。

 国の交付金は各個人に支払われているとのことですが、一方、本市の委託料は猟友会に支払われています。本市は、その目的に照らして、適切に運用されているのか把握はされているのか、伺いたいと思います。

-山野市長

 国や市からの委託料等をどのような人に用いるかにつきましては、捕獲従事者個人、又は猟友会で決定すべきものというふうに考えています。しかしながら、市からの委託料につきましては、有害鳥獣捕獲という公共性の高い業務を実施する経費として支出されていますことから、適切な会計処理につきまして必要に応じて助言をしてまいりたいと考えています。

-森尾議員

「適切な助言」という言葉は、使いようによっては良い表現なのですが。捕獲に対する市の委託料は猟友会に払われ、その目的に沿った運用がされているかどうか、今の市長の言葉を聞きますと、本当に捕獲に関わった方に委託料の支払いが行われているのかどうか、適切な運用をされているかどうか把握していない、また把握する必要がないという答弁とも受け取れるのですが、いかがですか。

-山野市長

 公共性の高い事業であります。それを猟友会の方に委託料としてお支払いをしているところであります。繰り返しになりますけれども、その会計処理につきまして、助言を求められましたら必要に応じて助言をしていきたいというふうに考えています。

-森尾議員

 目的に沿って本市が支払われている委託料について、その状況把握は当然税金をもって支払われている以上、適切的確な把握が必要だというふうに考えます。

 イノシシの捕獲問題やクマの防除対策に当たって、猟友会の果たしている役割は大きいと考えます。安全対策を確保すると共に、継続的な体制の確立が必要だというふうに考えています。こうした立場から本市として今後どのような支援を進めて行かれるのか。伺いたいと思います。

-山野市長

 本市では地域ぐるみによる獣害対策を推進しており、わな猟免許を取得する農業者等が増えたことにより、猟友会の会員数は増加をしました。ただ一方では、やはり高齢化をしているという状況もあります。仰せの通り、イノシシ等の捕獲頭数の増加に伴い、猟友会の役割は増大をしておりますことから、狩猟者登録に必要な人数確保のための費用等に助成をしているところであり、今後も安全かつ継続的な活動が行われますよう、猟友会とも相談しながら、支援策の充実について検討もしてまいります。

-森尾議員

 イノシシの捕獲とクマの防除対策に当たっておられる方々からお話を伺う機会がありました。地球温暖化の影響や森林環境の変化、人間の生活の変化などからクマやイノシシが私たちの生活の近いところに出没し始めた。クマに対しては、捕獲・捕殺するというよりも、捕獲して森林に返していく方針が行政としてとられているようだ。一方イノシシは急増に伴って、捕殺の方針を進めてきた。本来、行政のやるべきことなのに、頻繁に協力依頼があり対応に追われている。行政として方針を持ち、必要な人員と予算を確保してイノシシの捕獲やクマの防除対策にあたるべきではないか。こういうご意見をうかがいました。市長は、どのように受けとめられますか。

-山野市長

 先程申し上げましたように、猟友会の役割はたいへん重要性を増しているというふうに思っています。狩猟者登録に必要な人員確保のための費用等の助成をこれからも充実していくことによって、その体制を整えていくことが大切なんだというふうに考えています。

-森尾議員

この質問の最後に、イノシシの処理施設について伺います。

 穴水町が、イノシシの急増に伴って捕獲後の処理施設を検討するとしています。本市では、昨年イノシシの捕獲は1700頭にのぼっています。その処理施設について、今後どのように考えておられるのか伺いたいと思います。

-山野市長

 大変増加しているということをよく把握しておりますし、その捕獲後の処理に苦慮しているということもよくお聞きしているところでもあります。本市としても、今穴水町の例を出されましたけれども、県内の状況等も見ながら更なる処理体制の充実、有効活用について、ここは少し研究させていただきたいと思います。

-森尾議員

最後に、こどもの安全・安心を最優先とする教育に向けて。ふたたび、組体操について伺いたいと思います。

 4年前大阪の中学校で10段のピラミッドが崩れ、生徒6人が骨折するなど重軽傷を負うという出来事が発生しました。2013年度の組体操の事故は、小中高合わせて約8500件、小学校だけで6349件にのぼりました。組体操によって、子どもたちが骨折、打撲、捻挫などけがを負っている実態が明らかとなり、その安全対策が大きな問題となってきました。

 私は、2015年12月本市議会でこの問題をとりあげ、安全対策を求めました。その翌年、2016年3月スポーツ庁が通達を出しました。4月には本市教育委員会が方針を打ち出しました。

 改めて、本市の組体操に対する方針について、伺いたいと思います。

-野口教育長

 今議員が仰せの通り、平成28年3月25日付でスポーツ庁から出されました通知「組体操等による事故の防止について」、これを踏まえまして本市では同年4月8日付でピラミッドやタワーなど高さのある技については実施しないことや、その他の技を実施する場合については児童・生徒の体格・体力等を十分に考慮し、環境整備や段階的な指導を行うなどの方針を、全市立小中高等学校の方に示しております。

-森尾議員

 先日、テレビの全国放送である朝の情報番組でこの問題が取り上げられました。そして本市でも、ある小学校の運動会に向けて組体操の取り組みが行われており、安全対策は大丈夫かとの問い合わせがありました。

 組体操の安全対策に取り組んでこられた名古屋大学の内田良准教授は「10段ピラミッドだと高さは7m。一番下の子には、3.9人分200㎏の負荷がかかり、常に崩落の危険がある」と指摘し、その安全対策が必要だと述べてこられました。全国で組体操による事故・けがの発生は、年間8000件にのぼってきましたが、2016年度には、5000件、2017年度には4400件に減少してきました。しかし、骨折はいまだ1000件を超えています。本市において、組体操による事故・けがの発生はどのような実状になっているか、明らかにしていただきたいと思います。

-野口教育長

 平成28年度から30年度までの3年間の怪我の発生状況につきましては、打撲9件、捻挫7件、骨折3件、腰痛1件であり、医療機関受診後の日本スポーツ振興センターへの申請数は合計20件でございます。

-森尾議員

 本市において中学校では、これまでも組体操は行われていません。小学校では、組体操に関する2016年4月の教育委員会の方針を境に、高さのあるピラミッドやタワーなどの組体操は行われず、2段・3段や低い組体操等が行われ、昨年は市内の小学校35校で行われています。それでも、この3年間で20件の事故・けがが発生し、骨折は3件、捻挫、打撲が16件、その他1件となっています。「組体操による事故ゼロ」をめざし、一層の改善が必要だと考えますが、教育委員会の見解を伺いたいと思います。

-野口教育長

 これまでも運動会で組体操を取り入れる場合は、児童・生徒の実態に即して、安全確保や事故防止の観点から学校全体で段階的な指導計画及び実施内容の確認を行うとともに、事前に校内研修を実施するなど、事故防止に努めております。組体操による事故ゼロを目指すためには、数週間の練習期間だけではなく、年間を通した体育科の授業や、体育的活動の充実を図ることが大切であると考えておりまして、各学年の発達段階に合った指導の積み重ねの必要性や指導計画の工夫、また事故が発生しやすい状況を全教職員で確認することなどにつきましても、指導を行っていきたいと考えております。

-森尾議員

 教育長。組体操に関して改善が行われてきました。しかしそれでも、その事故・けがの発生も半減したものの、3年間で20件の事故・けがが発生しているわけです。このことからすれば、指導方法の改善や、安全対策に課題が残されているわけです。確かに組体操は見栄えがよく、児童・生徒の一体感に感動し大きな拍手がわきます。いわゆる運動会の花形となってきました。しかし大きな問題となって高さのあるピラミッドやタワーの組体操はやめたと。しかし低い肩車やサボテンという組体操が今回、骨折事故の原因となっています。運動会に向けて短期間に仕上げるために教師の側も不安を抱え、焦ります。それ以上に児童は、やらせ感の強い組体操への疑問と不安がつのっているんです。組体操をどのように安全に行うのか。その指導内容と対策が必要じゃないかというふうに考えます。運動会では、集団で行うソーランやエイサー、リズムダンスに切り替えている学校もあります。私は、こどもの安全・安心を最優先とする教育の実践に向けて、改めて教育委員会の決意と見解を伺いたいと思います。

-野口教育長

 本市では平成28年4月に示しました「組体操の方針」を踏まえまして、各学校で組体操を実施してきたことで事故発生件数が今ほどお話がありました通り減少はしてきておりますけれどもゼロとなっていないことから、今後もこどもの体力に応じた段階的な指導や、複数の教員で演技を補助するなど、安全対策には最大限注意を払うよう、各学校に指導を徹底してまいります。

-森尾議員

 以上で終わります。

金沢市議会6月議会が14日からはじまりました。
以下の日程で行われます。


予算などさらに詳しくはこちらからどうぞ。→広田みよ議員のページ

各議員の質問日も決まりました!
ぜひ、傍聴にお越しください。

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