お知らせ |日本共産党 金沢市議員団

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 日本共産党市議員団を代表して、議会議案 第33号 ジェンダーの視点での災害支援の強化を求める意見書について、提案理由説明を行います。

 能登半島地震は、未曽有の大災害となり、発災当初は避難者数が3万人にのぼりました。発災からまもなく3カ月となる今も、1次、1.5次、2次避難所の各避難所のほか、避難所に指定されていない自主避難や車中泊など、多くの方が避難生活を余儀なくされています。
自然災害は、年齢や性別を問わず、全ての人に突然おそいかかってきますが、ジェンダー格差の大きな国ほど女性の被害が甚大になるという研究報告もあります。災害に遭った時、被災者が性別に関わらず、安全と安心を確保できる環境を整備するためにも、自治体においては、普段から男女共同参画の視点が不可欠です。
 内閣府の男女共同参画局が2020年に策定した「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」では、平常時からの男女共同参画の推進が防災・復興の基盤となると明記されています。また、女性の視点から、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配慮された災害対応が行われることが、防災や減災、災害に強い社会の実現にとって必須だとし、「男女の人権を尊重して安全・安心を確保する」といった7つの基本方針が掲げられました。このように、女性の視点が大事であると強調されてきたにも関わらず、能登半島地震の避難所においても、「仕切りがなく着替えができない」「下着を干せない」「配布担当が男性なので生理用品をもらいに行きづらい」「食事づくりは女性が担当している」など、避難所生活において女性に対する配慮に欠ける実態があります。
 全国の自治体を対象とした調査によると、2023年、防災・危機管理部局に女性職員が配置されている割合は、都道府県平均で12.8%、石川県はその半分以下の4.3%にとどまっています。全国1741の市区町村でみると、女性職員がまったくいない自治体は900を超え半数以上にのぼっています。本市もそのひとつです。自治体の防災会議においては、女性委員の比率を30%にすると目標を定めましたが、30%を超えたのはわずか8都県にとどまりました。災害時の多様なニーズやリスクに対し適切に対応するためにも、防災現場や意思決定の場に女性を増やすことが重要です。
 この意見書は、国に対して、防災分野のジェンダーギャップの解消と、性別によって災害時にさらなる弱者を生まない環境づくりのために、ジェンダーの視点での災害支援の強化を国に求めるものです。議員各位のご賛同をお願いしまして、提案理由説明といたします。

森尾よしあき議員(パネルを持つ山下議員)

-森尾議員
私は、日本共産党市議員団の会派として連合審査会での質問を行います。
 最初の質問は、金沢市都市像・未来共創計画と新年度予算についてです。この都市像に基づく10年間にわたる未来共創計画が打ち出され、その具現化の初年度にあたる新年度予算が提案されました。私は昨年12月議会で金沢市都市像について質問し、その中で、三つの課題が欠落したり、不十分であることに触れました。その三つの点について具体的に伺いたいと思います。
 まず、平和擁護についてです。金沢市平和都市宣言が行われ、来年40周年を迎えます。広島、長崎に原爆が投下され、来年80周年を迎えます。この歴史的節目を迎え、市長の所信を伺います。

-村山市長
 世界の恒久平和は人類すべての願いであり、我々はその実現に向けて不断の努力をしていかなければならないと考えております。平和都市宣言は、本市固有の歴史・文化を発信し、世界の人々と友好関係を深める中で、恒久平和に貢献していくということを宣言したものであり、これからも機会をとらえて平和都市宣言の基本理念を呼び掛けていきたいと考えています。

-森尾議員
 金沢市平和都市宣言では、「核兵器の全面禁止・廃絶の実現に不断の努力をしていく」と述べられています。この立場から、核兵器禁止・廃絶の実現に向け、今年から来年に向けてどのように取り組んでいかれますか。市長の決意と金沢市の行動計画について明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長
 核兵器の廃絶ということでありますが、原爆投下から80年ということであります。金沢市ではこれまでも毎年夏に市立図書館で原爆に関するポスター展を開催してきたところであります。明年度はこれに加えて、本庁舎と戦没者慰霊式の会場においてもこのポスター展を開催する予定であります。また令和7年はそうした節目の年となります。引き続きどのような取り組みができるか、関係する方々ともお話をしながら検討していきたいと考えています。

-森尾議員
 次に、ジェンダー平等についてです。セクハラ、パワハラをなくし、誰もが人として尊重され、自由に生きていく社会の実現が期待されています。そしてジェンダー平等に向け、一人ひとりの努力が求められています。先日、都道府県版ジェンダー・ギャップ指数が発表されました。各分野で「課題は依然多い」との指摘がありました。そこで、金沢市役所における女性の管理職登用について伺います。まず、金沢市の現状について明らかにしてください。

-青木・人事課長
 本市の管理職に占める女性の割合は年々増加しております。令和3年度が13.3%、令和4年度が14.0%、令和5年度が15.5%となっております。女性活躍推進法に基づきます第2期金沢市特定事業主行動計画に定めた令和7年度までの目標であります15.0%を上回っている状況となっています。

-森尾議員
 北九州市では、2030年までに職員に占める女性の管理職登用を30%まで引き上げるとして、女性役職者の長期的・計画的育成を掲げています。市長。金沢市は、目標すら掲げていません。あなたの掲げた未来共創計画の中にもありません。見解を伺います。

-村山市長
 金沢市役所として特に民間企業に率先して女性の管理職への登用を行っていかなければならないという認識を非常に強く持っております。また、市政を運営する中で、女性もそうですけれども例えば若い世代も含めて様々な方々と協議をしながら進めていく、これが基本姿勢であります。一方、しかしながら管理職として登用していくためには係長の試験に合格し、さらには管理職に向けた試験、そういったものもございます。そういったことをクリアしていただくということもある中で、取り組んできたという実態があります。これまでも女性幹部職員の養成のためには、熱意と意欲のある女性職員を自治大学校や市町村アカデミーなどの研修機関に派遣してまいりました。そしてキャリア形成の支援として、例えば国等への派遣や配置部署の拡大も図っています。管理職としてふさわしい能力、意欲のある女性職員を育成するとともに、権限と責任を持ち、そしてロールモデルとなるような女性管理職を積極的に登用していきたいというふうに考えております。

-森尾議員
 32歳以上の主任が主査試験を受けることができます。女性の場合、この年齢時期は、妊娠・出産による産休・育休により職場を休むことになります。さらに主査を8年、課長補佐5年間の経験を経て課長の管理職試験を受けることができます。女性にとって、妊娠・出産があり、仕事をしながら自らの成長を重ねていくことは多くの苦労があります。機構改革と共に、金沢市として女性役職者の長期的・計画的育成をどのように取り組んでいかれるのか。担当課長に伺います。

-青木・人事課長
 女性の妊娠・出産といった大きなライフイベントでございます。主査の承認考査の時期に重なることが多いことを踏まえまして、令和3年度の試験より産休・育休を取得することで受験することができなかった回数を繰延する措置を講じております。管理職に進むための門戸を広げているほか、女性職員のキャリア支援として産休・育休復帰後のワークライフバランス、こういったものも実施しているところでございます。今後とも、管理職としてふさわしい能力・意欲のある女性職員の育成に向けて長期的・計画的な取り組みを進めてまいりたいと思います。

-森尾議員
 3つ目に、気候変動・地球温暖化対策についてです。金沢市地球温暖化対策実行計画において、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比50%削減する目標を掲げています。現状は、18.7%にとどまっています。目標の50%削減を2030年度までに達成する実行計画はどのようになっていますか。伺います。

-加藤・環境局長
 本市では昨年度条例を制定させていただきまして、再生可能エネルギー発電設備の設置に関するルールを明確化することとしまして、その整備促進を図っておるところでございます。明年度からは東山・主計町地区全体におきましてCO2排出量ゼロの電力を使用するということで、地域全体の脱炭素化を図る事業に着手をしてまいります。この事業をモデルといたしまして、今後地域における脱炭素化の検討を進めてまいりますとともに、製品プラスチックごみの分別、資源化の推進、また公共施設でのPPA等の事業手法などを用いた太陽光発電設備の整備、電気自動車の積極的な導入等々、新たな取り組みを通じまして、目標の達成に向けましてさらなる削減率の向上を図ってまいりたいと考えております。

-森尾議員
 金沢市は、2050年度までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを掲げています。ところが、打ち出された未来共創計画にはこのことが明記されず、2030年度までに50%削減実現も掲げられていません。その途中の目標が記載されています。金沢市が本当に掲げた目標を実現するのか、本気度があるのか、問われています。見解を伺います。

-永井・環境政策課長
 地球温暖化対策実行計画の目標を達成するために、計画期間内に一定の中間目標を設定することは、進捗を把握するためにも必要であると捉えておりまして、今回未来共創計画で設定した目標を地球温暖化対策実行計画における中間目標とすることといたしました。今後、地球温暖化対策実行計画の見直し等の機会に合わせ、計画に位置付けてまいります。

-森尾議員
新年度予算では、「人と自然が共生する地球にやさしい生活環境の形成に向けて」ということで、20事業2億6千万円の予算が盛り込まれています。先ほどの到達点からしても、事業と予算を2倍3倍に引き上げない限り達成できないと考えます。市長。本当に目標達成する決意はありますか。伺います。

-村山市長
 これまで再生可能エネルギー設備や省エネルギー機器等の導入のほか、市民や事業者と協同した食品ロス削減やごみの削減など、必要な経費を予算化し取り組んできております。これらに加えて、明年度予算には地域の脱炭素化や製品プラスチックごみの分別収集、ふらっとバスへの電動バスの導入等の新規事業にも必要な経費を盛り込みました。私はかつて仙台市役所で勤めたときに、環境都市推進課長を務めました。そのときの経験ではありますけれども、環境教育であったり地球温暖化対策の啓発、そういったものもこれから大事になってまいります。民間企業、そして市民の方々に対してどのように呼び掛けていくかというのが次の段階で必要になるというように考えております。そうした中で、本市の豊かな自然環境を守り、そして美しい景観を守って金沢の価値を高めていく、その取り組みをさらに加速していくという中で、今回ゼロカーボン推進室を格上げしてゼロカーボンシティ推進課を新設したところであります。国の動向、新たな技術開発等の動向も注視しながら、これから加速化して対策を進めてまいりたいと考えております。

-森尾議員
 能登半島地震は甚大な被害をもたらしました。2ヶ月が経過してもライフラインが復旧できていません。上下水道の被害が深刻です。上水道では、浄水場や主要な送水管の破損により6県で最大約14万戸の断水が発生しました。県内では3月に入っても、断水戸数は約1万7千戸に上っています。下水道では、県内17市町で、総延長の27%で、汚水を流す機能を失ったり、マンホールが地上に浮き上がったりしたとの報告です。市長。今回の地震による上下水道への被害と影響についてどのように受け止めておられますか。見解を伺います。

-村山市長
 被災地で復旧にあたっている本市を始めとした自治体の職員からは、これまでの地震では被害の見られなかった浄水場や配水池、基幹管路をはじめ水道施設全般に被害が及んでいることに加えて、道路の寸断などにより復旧作業に支障が生じたことなどが時間を要している理由と聞いております。特に水道だけではなくて下水について非常に甚大な被害があり、そしてその復旧に非常に時間がかかるということが判明してまいりました。改めてライフラインの大切さを痛感したところです。今回の震災から得られた知見をもとに、本市におきましても耐震化をどんどんと進めていきたいと考えております。

-森尾議員
 今回の能登半島地震では、上水道における管路の被害は、1㎞あたりの被害発生個所数は能登町で2.66、輪島市で2.63と報告されています。管路1㎞あたり3カ所で被害発生が起こったという報告です。金沢市の上水道の総延長は約2500㎞ですから、今回の能登半島地震による被害発生個所に照らして考えると約7500ヵ所で被害が発生するということになります。金沢市地域防災計画では、どのような被害予測をされていますか。

-中村・企業局建設課長
 金沢市の地域防災計画では、上水道・下水道ともに1kmあたりの被害は0.9箇所と想定しております。

-森尾議員
 地震規模マグニチュード7以上を想定したのが金沢市地域防災計画です。この被害予測では、約2000ヵ所で被害が発生すると予測しています。先ほどの能登半島地震の実態からみると、極めて小さいことがわかります。地域防災計画の地震被害想定について見直しが求められていると考えますが、企業管理者に見解を伺います。

-松田・公営企業管理者
 先ほどの数字、輪島市と能登町を例に挙げておっしゃられました。あのときの資料、国の会議の資料なのですが、その際には穴水町の数字も出ております。穴水町はちなみに、0.9です。水道化の耐震化の状況は自治体によって異なっております。ですから、本市におきましても同様の被害が発生するとは考えてはおりません。また地域防災計画の策定から本市の水道管の耐震化もだいぶ進んでおります。そういったことから、明年度地域防災計画の見直しが予定されておりますことから、今回の能登半島地震の被害状況を踏まえ、被害想定につきましては検証していきたいと考えております。

-森尾議員
 金沢市上下水道の耐震状況について、パネルを見ていただきたいと思います。2020年度末の段階で、上水道では、浄水場87%。配水池68%、基幹管路60%となっています。下水道は、処理場69%、ポンプ場100%、重要な幹線65%となっています。そこで伺います。上水道についてです。先に発表された金沢市水道施設再整備基本構想では、末浄水場の緩速ろ過施設は現役の水道施設として維持していきます、と述べています。急速ろ過施設は、令和20年を目途に更新します、と明記されています。本会議の答弁で公営企業管理者は、「末浄水場の緩速ろ過施設は耐震化が困難」と述べました。耐震化しなければ水道施設として維持できないではありませんか。公営企業管理者に見解を伺います。

-川江・企業局上水課長
 末浄水場の緩速ろ過施設につきましては、名勝としての本質的価値への配慮から、耐震補強が困難であるため、水道施設再整備基本構想においては適切な維持修繕を行い、現役の水道施設として保全するものの、施設能力としましては予備力として位置づけたところでございます。

-森尾議員
 基本構想では、急速ろ過施設の更新も14年後との方針です。これは見直しが必要ではありませんか。見解を伺います。

-松田・公営企業管理者
 末浄水場の急速ろ過施設は、既に耐震化を終えております。そのため、水道施設再整備基本構想では、施設更新の基準年数である、建設より73年、これを迎えます令和20年を目途に施設を更新するとしているものでございます。

-森尾議員
 上水道の基幹管路の耐震化率は、令和3年度末で60.4%です。管路全体の耐震化率は30.3%にとどまっています。どのように耐震化率を引き上げていかれますか。また、今回の地震では、耐震化した水道管も破断したとの報告がございます。どのように受け止めておられますか。伺います。

-沖津・企業局維持管理課長
 今回の能登半島地震では、土砂災害によって耐震化された管路が破断したと聞いております。こうした特殊な場合を除き、管路の耐震化は震災対策として有効でありますことから、引き続き優先順位を定め計画的に耐震化を進めてまいります。

-森尾議員
 公営企業管理者に伺います。末浄水場について、現役の水道施設として維持していくという企業局の方針は、変わりませんか。

-松田・公営企業管理者
 先ほど上水課長が答弁いたしました通り、適切な維持修繕により現役の水道施設として保全するものの、施設能力としては予備力と位置づけているところでございます。

-森尾議員
 金沢市地域防災計画について、今回の地震を教訓にその見直しを行うとしています。上下水道においても、見直しを図る必要があると考えます。第1に、金沢市水道施設再整備基本構想が策定されましたが、今回の地震発生以前のものです。地震対策を踏まえ、見直しが必要だと考えます。第2に、災害等の発生に対応する下水道の業務継続計画の策定が必要です。見解を伺います。

-市村・企業局次長
 水道施設再整備基本構想は、地震など非常時も想定したうえで必要な施設規模を定めたものであり、今回の能登半島地震により耐震基準の見直しなどがあれば個別に施設の対策を行っていきます。また下水道の業務継続計画でございますけれども、管路と処理場でそれぞれすでに作成されておりまして、今回の地震を受け必要があれば見直していきたいと考えております。

-森尾議員
 粟崎地区での液状化対策についてです。基礎部分の傾きなどによる被害が発生し、早急に復旧工事を進めることが1つ。もう1つは、面的に再発防止を進める液状化対策を一体的に進めることが求められているのではないかと考えます。下水道も水道施設も、同じく対応が必要だと考えます。国会でのわが党の井上参議院議員の質問に対して岸田首相は、液状化被害に対して近く支援策を行うと表明されました。今後の取り組みについて市長から答弁を求めたいと思います。

-村山市長
 地震の液状化現象による被害につきましては、明年度危機管理課に被災地区復旧推進室を設置し、被災メカニズムの究明に必要となる調査分析を行うとともに、有識者からなる技術検討会議の意見を反映した復旧工法等を検討することとしております。上下水道の対策についてもその中で検討してまいります。今回の能登半島地震では液状化により広範囲かつ甚大な被害があったことから、国も重く受け止めていると認識しています。今後国の動向を注視したいと考えています。

-森尾議員
 最後に、学校給食費無償化と安全対策について伺います。県内の11の市での学校給食費無償化の実施状況について、パネルを見ていただきたいと思います。7つの市が無償化を実施するに至っています。白山市では中学校ですでに無償化実施、かほく市では市長が実施することを表明しました。野々市市は要望を重く受け止めると市長が議会答弁で述べています。では、金沢市はどのように対応されますか。市長の見解を伺います。

-村山市長
 本市では保護者の負担を軽減するため、経済的な理由で就学が困難な場合について就学援助制度により給食費の全額を支援しております。その他、食材費の高騰が続く状況下において、令和4年度以降、給食費食材費と保護者負担分の差額について全額公費で補填する物価高騰特別対策を行っております。給食費の無償化は考えてはございません。

-森尾議員
 『周回遅れのトップランナー』という言葉があります。一番前にいたけれど周回遅れだということには、気づいていなかった。教育環境整備は進んでいたと思っていたら、学校給食費の無償化は、最終の自治体となっていた。市長は、どのように思いますか。

-村山市長
 周回遅れのトップランナーと表現するときには、例えばICT化が遅れていたけれども最新技術を導入することができたことによってトップになる、そのようなときには使うことができるのかなと思っておりました。県内自治体の実施状況は存じ上げておりますけれども、人口等が同規模である中核市、すなわち財政的に類似団体という言い方をする団体における無償化の実施は、全体で2市にとどまっております。その分多額の恒久的な財源が必要ということが、同規模の財政状況にある市で進まない理由のひとつであるというように思っております。学校給食の無償化につきましては国主導のもとで全国一律で実施されることが望ましいと考えております。先月の衆議院予算委員会において、全国ベースの実態調査結果を6月までに公表すると、そして実施状況の違いや法制面を含めた課題を整理し、結論を出したいということを国は方向性を示しております。引き続き国の動向を注視してまいります。

-森尾議員
 市長、もう一度パネルをご覧ください。金沢市では学校給食費無償化を実施しなくともよいのかと、市民から指摘があります。一体なぜ金沢市は学校給食費無償化をしないのかという市民からの声もあります。もう一度、市長、どう向き合いますか。

-村山市長
 学校給食費の無償化、先ほど同レベルの財政状況にある市の比較を申し上げました。金沢市で申し上げますと年間21億円以上のお金がかかるというように試算をしております。今後食材費の高騰、あるいは人件費の高騰などによってこれも高騰する可能性もあるというように考えておりますけれども、そういったことの中で財源の捻出ができないということであります。さらにこのような課題については国全体でとらえるべき課題だということも認識しておりまして、そうした意味で金沢市として給食費の無償化は考えてはおりません。

-森尾議員
 学校給食の安全対策について伺います。先日、学校給食で出されたウズラの卵をのどに詰まらせ、児童が死亡するという事件が起こりました。金沢市教育委員会の対応について伺います。

-貞廣・学校指導課長
 福岡県みやま市での学校給食における窒息事故をうけまして、市教育委員会では文部科学省の通知を踏まえ、学校給食における安全対策として、食べ物を食べやすい大きさにしてよく噛んで食べること、早食いは危険であること、給食の際は学級担任等が注意深く児童生徒の様子を観察すること、食べ物を噛んで飲み込む能力には個人差があり、個別の対応が必要な児童生徒については全教職員で共通理解を図ることなどについて、各学校に通知いたしました。引き続き、給食時における安全に配慮した指導を徹底してまいります。

-森尾議員
 学校給食における食物アレルギーによる発症について、金沢市での状況を報告していただきたいと思います。

-貞廣・学校指導課長
 本年度の学校給食における食物アレルギーの発症件数は18件であり、その内訳は、誤食が14件、食後の運動誘発が1件、新規発症が1件、その他体調不良時の突発的な発症が2件となっております。

-森尾議員
 最後に教育長に伺います。本市における食物アレルギーの発症状況をお聞きしますと、だいたい年間20件前後の食物アレルギーの発症が報告されています。児童生徒の健康といのちに関わるというだけに、学校給食の安全対策というのは非常に重要だというふうに思います。教育委員会としてどのように取り組んでいかれるのか、最後に伺います。

-野口・教育長
 本市教育委員会ではこれまでも本市で作成いたしました学校における食物アレルギー対応指針に基づいて、各学校に対しまして学校給食におけるアレルギー事故防止の取り組みを推進するよう繰り返し求めてきております。具体的には校長会議において、誤食を防ぐために保護者が除去食の記載を忘れていないか、急な対応等が生じても複数職員による確認ができる体制になっているか、児童生徒本人に確認を行っているか、などについて周知をいたしております。引き続き食物アレルギーの発症を防ぐために、保護者から提出される学校生活管理指導表を活用し、その未然防止に最大限努めるように指導してまいります。あとしばらくで人事異動が行われます。職員も替わります。しっかりと学校の方で統制が図れるように指導してまいりたいと思っています。

山下明希議員

-山下議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党 市議員団の一員として、以下質問いたします。

 本市の2024年度一般会計当初予算案では、市税による歳入が845億円となりました。市民のみなさんからお預かりした税金が、地方自治の本旨に基づき、住民福祉の向上に広くいかされることをまず冒頭に求め、質問に入ります。

 はじめに、災害対策基本法に基づく、本市の取り組みについておたずねします。

 人命や日常生活に甚大な被害をもたらす自然災害に対して尊い命が失われないよう防ぐ役割が、この間、政治に大きく求められてきました。私たちはこれまでの災害の教訓や課題を共有してこれたのか、能登半島地震を教訓にしていけるのかが問われます。

 まず、福祉避難所についてお伺いします。

 福祉避難所は、災害対策基本法 施行令のなかで、災害対策基本法による避難所の指定基準の一つとして規定されています。災害時に高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児その他の特に配慮を要する方の2次被害を避け、いのちを守るためにも、福祉避難所は重要な役割を担います。そこで、本市には市保有の福祉避難所がいくつあり、どれだけの民間施設と協定を結び、どの程度の避難所開設訓練を行ってきたのか、現状をお聞かせください。

-山口福祉健康局長

 本市の福祉避難所につきましては、市有施設で6施設、協定を締結している施設は81施設でございます。開設の訓練につきましては平成29年度から開始しておりまして、これまでに市有施設では延べ7施設、協定締結施設では延べ92施設で実施をしております。

-山下議員

 私も今回の地震で初めて一般避難所である学校の体育館に行きました。わかるだけで、要配慮者が数名いらっしゃいました。そのうちのおひとりは福祉避難所への移動を希望されましたが、受け入れ先が決まらず、ご家族と自宅へ戻られるということがありました。そこでおたずねしますが、今回の地震災害で、市内では福祉避難所は開設されたのかお聞かせください。

-山口健康福祉局長

 今回の地震発災後、輪島市から避難してきた要介護高齢者等を受け入れるために福祉避難所を3施設開設いたしまして、受け入れの準備を行っておりましたが、要配慮者の状況等を踏まえまして通常の施設入所というかたちに至りましたことから、結果的には福祉避難所としての利用はございませんでした。

-山下議員

 ある福祉関係者の方から、要介護の利用者を福祉避難所に連れていきたかったけれども、市内のどこが福祉避難所なのかわからず自宅避難せざるをえなかったという状況をお聞きました。本市は、福祉避難所を公表しているのでしょうか。公表していないのであれば、その理由をあきらかにしてください。

-村山市長

 市有施設の6か所については、災害対策基本法に基づき指定福祉避難所として告示をしております。その他の施設はあらかじめ公表すると受け入れ準備が整う前に避難者が集中するなど運営に支障をきたすことが懸念されるため、現在は公表しておりませんが、明年度予定している個別避難計画の作成に合わせて福祉避難所の公表の在り方についても検討してまいります。

-山下議員

 ぜひ公表の在り方を検討していただきたいと思います。

 要配慮者は、一旦、一次避難所に避難をして、そこから医師や保健師などが判断をして必要な方が福祉避難所に移動をするという取り決めになっています。知的障害があるお子さんを持つ保護者の方は、一般避難所では心配なので福祉避難所へ直接避難したいというふうに話されていました。また災害によっては、リスクのある中ふたたび移動を強いられることは、要配慮者にとって大きな負担にもなります。要配慮者が直接、福祉避難所へ避難できるような仕組みが必要だと考えますが、見解をうかがいます。

-村山市長

 一部繰り返しになりますけれども、明年度から避難行動要支援者名簿に記載された方を対象に避難予定の場所や避難する際に必要な支援などを記載した個別避難計画の作成に着手をいたします。要配慮者が確実に避難できるように体制を整備する予定であります。計画の作成にあたっては、避難予定の場所の選定等においても留意したいと考えております。

-山下議員

 要配慮者が安全に避難できるような、そうした運営・仕組みをぜひ考えていただきたいと思います。

 次に個別避難計画の作成についておたずねします。

 東日本大震災では、亡くなられた方の6割が60才以上の高齢者であり、また、障害者の死亡の割合は被災住民全体と比較して2倍以上だったと言われています。こうした状況を受けて、2013年、災害対策基本法を改正し、避難に手助けが必要な要支援者の名簿作成を市区町村の義務としました。さらに、2021年の改正では要支援者の個別避難計画作成も市区町村の努力義務となっています。能登半島地震では、亡くなられた方の7割が60才以上、個別避難計画の作成については、能登の6市町で、要支援者全体の1割の作成率だったということです。個別避難計画の作成は喫緊の課題ではありますが、作成自体が困難だったということも聞いています。本市においても、個別避難計画を作成するにあたり、考えられる課題をお聞かせください。

-村山市長

 作成にあたっての課題につきましては、要支援者から作成についての同意をいただく必要があるということ、さらに避難する際に必要となる支援者を確保すること、心身の状況を記載するための福祉専門職の参画が必要であること、こういったことが課題であると捉えております。

-山下議員

 本市は今年度、個別避難計画作成検討会をもち、優先的に計画を作成する対象者の範囲や計画作成にあたっての体制づくりなど検討してきました。市内4カ所をモデル区域とした計画の作成や、福祉専門職による計画作成のモデル事業にも着手しています。避難の実行性も問われるこの個別避難計画ですが、これまでの事業から見えた課題も含め、今後の取り組み方針についてお聞かせください。

-村山市長

 個別避難計画では、これまで実施したモデル事業の経過等を踏まえて、今年度個別避難計画作成検討会において計画の様式や関係者の協力体制等をとりまとめたところであります。計画の作成にあたっては民生委員や自主防災組織などの地域の支援者、ケアマネジャーなどの福祉専門職の協力を得て取り組んでいく予定であります。今般の能登半島地震を踏まえた課題等についても関係者と検証しながら、ひとりひとりの要支援者に寄り添った計画となるよう意を用いてまいります。

-山下議員

 計画を作成するにおいては、本市職員の体制、また医療・福祉の専門職員、地区社協や町会、民生委員などマンパワーが必要不可欠となっています。その業務にあたる職員の確保と、専門職や町会等に財政的な支援も必要と考えますが、見解を伺います。

-山口福祉健康局長

 個別避難計画の作成にあたりましては、専任の職員の配置をいたしますとともに、各校下・地区・町会連合会が主体となる自主防災組織に対しましては計画作成1点当たり3千円の作成費に加えまして、1団体当たり5万円の事務費を支給させていただきますほか、ケアマネジャーや相談支援専門員には計画1件あたり7千円の作成費を支給する予定でございます。明年度予算においてお諮りをしているところでございます。

-山下議員

 早急な計画の作成も求められていると思いますが、ぜひ地域の合意も含めて丁寧な作成をお願いしたいと思います。

 つぎに、介護保険制度についておたずねします。

 介護保険制度は「介護の社会化」そして「地方分権の試金石」とうたわれ2000年に導入されてから、保険者である自治体の役割が変容しています。公的介護保障であった措置制度から契約という申請主義を導入し福祉の市場化が進む中で、自治体が自ら、高齢者の困難を把握し、求められる支援が何かを考える福祉行政の現場感覚と専門性が失われたという指摘もあります。今回の地震における避難者への対応でも、現場からは「丸投げすぎる」との声もあり、そのことが露呈したと言わざるを得ません。自治体の福祉行政がいかにして住民の生存権保障のための役割を果たしていけるのか、福祉の最終的な責任は行政にあります。保険者としての役割をどのようにお考えか、うかがいます。

-村山市長

 介護保険制度につきましては、サービスを必要とする高齢者が心身の状況に応じて必要なサービスを適切に受けられることが大切であると考えております。制度が安定的に運営されるよう、適正なサービス提供について事業者へ指導・助言すること、また介護人材不足の中でさらなるサービスの質の向上を図るための人材の確保や定着に取り組むことなどにより、必要なサービスが切れ目なく提供され、地域包括ケアを推進するということが保険者としての役割と考えています。

-山下議員

 保険者として適切な役割を果たしていただきたいと思います。 

 来年度の介護報酬改定率は+1.59%、3年平均では+1.54%のプラス改定だと言われますが、訪問介護においては基本報酬が2%から3%引き下げられる予定です。市民や介護関係者からは抗議と撤回を求める声が相次いでいます。訪問介護はこの間、サービス時間は短縮され、介護報酬も削られてきました。同じ介護職でもとりわけ低賃金で、職員不足、さらには職員の高齢化が進む事業所にとって、報酬の引き下げが実施されれば、事業継続する未来が見えません。本市が2022年に実施した在宅介護実態調査では、在宅介護している方へ施設等を検討しているかという問いに、「検討していない」との回答が 72.5%と最も高く、多くの方が在宅生活を望んでいることがわかりました。その在宅を支えるのが訪問介護です。この在宅介護の崩壊とも言われる改定が、市内の介護事業所、または利用者にどのような影響をおよぼすと考えますか。お聞かせください。

-山口健康福祉局長

 今回の介護報酬の改定につきましては全体でプラスとなっておりますけれども、サービスごとの経営状況も踏まえまして、一部サービスにつきまして基本報酬は引き下げられたというふうに認識しております。一方では、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行いますために、ベースアップに確実につながる処遇改善加算が見直され、ご指摘の訪問介護につきましては他のサービスに比べて高い加算率とされているところでございます。報酬の改定につきましては基本報酬だけではなく全体でみることも必要というふうに考えております。今後改定の影響を注視していきたいと思っております。

-山下議員

 全国でもヘルパーステーションの赤字経営、廃業が相次いでいます。また、家族の介護を理由に離職する方が全国で10万人を超える現状があります。その中でさらに追い打ちをかけるような今回の介護報酬改定です。介護保険制度の保険者として、制度を維持し、高齢者の命や生活、またその家族の生活を守るためにも、この介護報酬改定は撤回をと、国に強く求めていただきたいと思いますが、市長、見解を伺います。

-村山市長

 今回の報酬改定につきましては、介護保険制度の安定性・持続可能性を高め、すべての世代にとって安心できる制度を構築するということとともに、介護人材不足のなかでさらなる介護サービスの質の向上を図るため、処遇改善や生産性向上による職場環境の改善を推進するものと捉えております。国に撤回を求めることは考えてはおりません。

-山下議員

 介護事業所の存続が問われる現状です。ぜひ撤回を求めていただきたいと求めて、次にうつります。

 市営住宅についておたずねします

 「住まいは人権」と言われるように、住まいは憲法によって保障されている権利です。現在における公営住宅の役割についておうかがいます。

-村山市長

 公営住宅は住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で住宅を提供することで、生活の安定・社会福祉の増進に寄与することを目的としております。住宅のセーフティネットとして重要な役割を担っていると認識しています。

-山下議員

 本市においても、被災し避難を余儀なくされた方に、市営住宅の空き室を整備し提供しています。整備の要望が強かった風呂釜、給湯器、ガスコンロを設置したことは、たいへん喜ばれています。本市は所有も管理も直営で行っているからこそ、被災者ひとりひとりの悩みに寄り添いながら住居を提供し、生活の安定を保障できたと考えます。ただ国の住宅政策をみると、2006年からの住生活基本法のもとで5万戸も公営住宅が減少しました。さらには、2007年の閣議決定によって、入居収入基準が政令月収20万円から15万8千円と大幅に引き下げられ、安定した住居の供給の推進ではなく、削減の推進が続く実態があります。資本主義的な政策の下で住宅確保を自己責任としてきた結果、空き家の増加や、入居者の高い高齢化率で町会役員の担い手がいないなど、地域コミュニティの維持においても課題が山積しています。

 今回の予算案には、学生による入居のモデル事業が盛り込まれました。昨年、石川県が県営住宅に学生の入居募集を始めたところですが、本市は、どのような目的で事業をすすめていくのかお聞かせください。

-村山市長

 議員のおっしゃる通り、市営住宅で入居者の高齢化が進んだことによって町会活動の担い手が不足している、これが大きな課題となっております。そこで学生が市営住宅に入居し、町会の一員として地域活動に参加することで、多様な世代間での交流が生まれ、町会活動が活性化することを期待して、まずはモデル事業として取り組むこととしております。

-山下議員

 市営住宅の活性化やコミュニティーの再生につながっていくことを期待したいと思います。ただやはり公営住宅の根幹は、住居のセーフティネットという役割です。昨今、非正規雇用の拡大にもみられる雇用情勢の悪化など、住宅困窮に陥る世帯は高齢者だけではありません。若年層、中高年の単身世帯でも公営住宅の要求は強くなっています。60才以下の単身世帯が入居できるよう、対象を拡充する検討を求めますが、見解を伺います。

-坪田都市整備局長

 市営住宅への単身入居につきましては、高齢者、障害のある方、生活保護受給者等、民間賃貸住宅への入居が比較的難しい方を対象に、特に配慮し認めているところでございまして、60才未満の単身世帯を対象とした制度拡充につきましては現時点では考えてはおりません。

-山下議員

 ぜひ広く制度の拡充を考えていただきたいと思います。

 市営住宅の整備をどのように行っていくのかということは、まさに本市のまちづくりの考え方がここに表れてきます。本市が整備や管理もこのまま直営で責任をもって「安心して住める公営住宅」を維持することを求めて、次の質問に移ります。

 次期金沢型学校教育モデルについてお尋ねします。

 次年度、新たな金沢型学校教育モデルの構築にともない、小中学校において「デジタル科」の新設に向けたカリキュラムに編成すると、予算案にもりこまれました。なぜいま、デジタル科の新設が必要なのか、デジタル科で何を学ぶのか、誰が指導し、誰がどう評価するのかお聞かせください。

-野口教育長

 社会全体でデジタル化が進展する中で、新たな時代を生きていく子どもたちにはIOTやビッグデータ、AI等の技術革新に触れ、主体的にデジタル社会と関わる力の育成が不可欠であると考えています。新設するデジタル科におきましては、小学校では現行のプログラミング学習をもとにドローンを活用した学習を行うことに加え、生活を豊かにしたり地域の課題を解決したりする学習を、また中学校ではデータを活用して地域や社会の課題を解決する探究学習を行うことに加え、大学・企業と連携しVR、メタバース等の先端技術を体験する学習を想定しております。授業や評価につきましては、基本、学級担任または教科担任が担うことになりますけれども、評価につきましては数値的な評価ではなく子どもたちの学習の状況や成果、学習に対する意欲や態度などについて文章で記述することを予定しております。

-山下議員

 次期金沢型学校教育モデルでは、「デジタル力」「読解力」「コミュニケーション力」を基盤に、児童生徒の創造力を育むということで、この3つの力をつけるため重点的に各教科の教育課程に位置付けることは一定の理解ができます。ただ、なぜデジタルだけを特化して教科化する必要があるのかということは疑問です。教科化することによる授業時間数への影響や、教員の負担について、どうお考えかお聞かせください。

-野口教育長

 デジタル科の新設にあたりましては、関連する既存の教科で実施をするということ、また複数の教科で年間3時間程度減じて教育課程を編成できる国の授業時数特例校制度の活用によって、各学年の年間総授業時数は増加をいたしません。加えて授業では、ICT支援員に技術面でのサポート、また先端技術の体験学習等につきましては大学や企業のご協力をいただき実施していくことを考えており、教員と子どもたちが共に体験する、今回新しく先端技術を一緒に体験していただきたいと思っております。そうした中で、共に学び高め合っていけるような授業づくりを今後提案していきたいと考えております。

-山下議員

 授業数は増加をしないということでしたが、教員の負担は増えるのかなというふうにも感じます。デジタル科を、総合の時間に上乗せて位置付けることを検討しているとお聞きしました。総合的な学習の時間は本来、人権や環境、平和など従来の教科枠にはまることなく、子どもたちの意欲によってすすめられる教科であり、「なにを学びなさい」と押しつけられる教科ではありません。今回の位置付けは、この「総合的な学習の時間」の学びの趣旨に反することにならないか、お伺いします。

-野口教育長

 総合的な学習の時間に上乗せをする理由でありますけれども、デジタル科での学習は教科横断的な視点に立った資質・能力の育成や、探究的な活動の充実に資することが求められている総合的な学習の時間の目的に合っていること、また本市の小学校ではすでに総合的な学習の時間を中心としてプログラミング学習を行っていること、また中学校で先端技術を体験する学習やデータを活用した探究的カリキュラムを編成し、実施する学習に際しては、総合的な学習の時間を活用することが適していることなどがあります。なお、現在総合的な学習の時間において取り組まれております金沢ふるさと学習、また環境教育、キャリア教育などにつきましては、その時間数を減ずることはせず、現行のまま継続することにしております。

-山下議員

 本来であれば、カリキュラムの構築というのは、子どもの関心や興味に即したことから教育的価値を見出し、目の前にいる児童生徒との関係の中で、子どもたちとともに作られていくべきではないでしょうか。今回あまりにも拙速すぎるデジタル科新設について再検討を求めますが、見解をうかがいます。

-野口教育長

 GIGAスクール構想に基づく学習によって、現在の子どもたちはデジタル機器を有効に使い学びを深めています。そうした子供たちがこれから生きていく社会におきましては、大きく変化する技術革新に触れながら新しい価値や最適解を見出す創造力を育成することが求められていると考えています。そのためにも、主体的にデジタル社会と関わるデジタル力はその重要な要素のひとつであると捉えております。

-山下議員

 次に市独自の学力調査についておたずねします。

 予算案に、市独自の学力調査を実施する「学力到達度調査費」がもりこまれました。金沢市はすでに、全国学力・学習状況調査、石川県の基礎学力調査を実施しています。市独自の学力調査がなぜ必要なのか、誰が必要と感じて実施するのか、お聞かせください。

-野口教育長

 児童生徒の学力の実態や経年変化を把握することで、児童生徒のつまずきを解消し、自信をもって日々の授業に臨めるように授業改善を図ることは、教員の大切な仕事のひとつであると私は考えています。特に児童生徒がつまずきやすい、そして戸惑いを抱くとされる小学校3年生の算数と、中学校1年生の英語について、本市独自で調査を行っていきたいと考えています。その理由でありますけれども、小学校の算数では3年生までに数や図形の概念、計算の意味や技能と基礎的・基本的な知識及び技能を獲得する内容が多く含まれていること、もっと端的に言いますと私が小学校の教員をやっているときに4年生を担任することが多かったんですが、担任をして3年生の授業をしてみるとわり算ができない。わり算ができないということは3年生の授業でわり算がしっかりできていないから、4年生になってそれができていない。そのことが4年生に入ってから小数のかけ算・わり算に影響していったり、そのあとの分数のかけ算・わり算等にも影響していくということになります。こういったことに非常に危惧をしています。それから中学校の英語なんですが、中学校の先生といろいろな話をしておりますと、小学校の英語では話す・聞くという活動が中心なんですが、中学校に入りましたら読むと書くの活動が増えることから学習が難しくなっている。そうすると中学校に入ってからこの2つの分野が入ってくることになって英語学習が異常に子どもたちに馴染みづらくなっているということをお伺いしています。したがってこのふたつの教科によって本市独自の調査を行いながら、児童生徒の学力向上に繋げていきたい、早期につまずきを解消してあげたいと思っています。

-山下議員

 もう少し詳しく聞きます。調査のためのテストは、誰がつくり、誰が採点し、誰が分析するのか、あきらかにしてください。

-野口教育長

 委託業者が学力調査の問題作成と、その採点・分析を行うこととしております。その作成段階にあたりましては教育委員会の指導主事等が加わって相談させていただきたいと思っています。

-山下議員

 さきほど、小学校3年生の算数と中学校1年生の英語ということでしたが、全員実施となるのか、そして調査の結果はどのように公表するのか明らかにしてください。

-野口教育長

 先ほど触れましたが、小学校では3年生の全学級で算数、中学校では1年生の全学級で英語の調査を、現在のところでありますが12月に1週間程度の期間を設けて、学校が選択した日に実施をする予定としております。採点・分析後、各学校には市全体と当該校の結果に加え、各設問における正答等の状況を記載した個人票を提供し、子どもたちのつまずきの解消に役立てていくことにしております。なおこれ以上の公表は行わないことといたしております。

-山下議員

 つまずきの解消や授業の改善を図るということでしたが、全国で行われている学力テストでは、学習指導要領通りに指導できているか、教員に対するチェックや管理につながること、また都道府県別の平均正答率が公表となり、正答率をあげることが最重要課題となって競争を助長し、教員、児童生徒への強力な圧力につながっていると、調査自体が問題視されています。ある学者は、平均正答率が高いとしても、それが指導や政策による効果なのか、それとも家庭環境、保護者の学歴や年収などの社会的要因によるものなのか区別できない、調査であれば、全員実施ではなく抽出方式で可能だと指摘をしています。定着の度合いを知るということであれば、日々のテストで可能ではないでしょうか。教育政策にいかす調査であれば、全員が同じテストを受ける必要がなく抽出方式で十分です。市独自の調査をすすめる場合、国や県の学力調査はどうされるのでしょうか。参加をしない考えはあるのでしょうか。

-野口教育長

 本市独自の学力調査と表現されておりますけれども、今回予算計上させていただいているこの調査とその目的と、国や県の調査の目的は、私は違っていると思っています。市の方でやる今回の学力調査は、あくまでもその当該学年の特定された教科のつまずきや戸惑いについて、それを解消しながら改善を図って、そして子どもたちが自身をもって授業に臨めるためにやるものであります。一方、国や県の学力調査の目的は、これも何回もこの議場でやり取りをさせていただきましたけれども、あくまでも義務教育の機会均等と、その水準の維持・向上の観点から、あくまでも指導力の充実とか学習状況の改善に役立てていること、このことを我々はしっかりと守ってきたつもりでいます。このことを観点におきながら、今後もその目的に則って参加をしていくつもりであります。

-山下議員

 子どもたちにとって、おそらく初めて経験する大きな震災後の新年度です。心に大きな負担を感じている子どもたちは少なくないはずです。東日本大震災、熊本地震では学力テストを中止しました。まず本市がやるべきことは、子どもたちの声をていねいにきく。そのことが重要ですし、そこにぜひ注力していただきたいと思います。国や県に対しても、学力テストの中止を求めるのが、本市の立ち位置ではないでしょうか。市独自の学力調査の実施についても強く見直しを求めます。改めて見解をお願いします。

-野口教育長

 繰り返しになりますけれども、あくまでも市の学力調査というか、子どもたちの勉強の力を調査するのは、つまずきを発見して早期に解決をして、自信をもって次の学年で勉強してもらうため、ここにあります。そして国や県の調査というのは、あくまでも先生方の授業力の向上とか、また学習状況の改善をするために行うものであります。いろんな震災等がございましたが、その影響下にあっても今子どもたちがどのような状況にあるのかをしっかり把握して、それを次に役立てて改善をしていく必要はあると思っていますので、これについては継続をしてやっていきます。

-山下議員

 つまずきを改善するという意味では、私は日々の授業やテストの中でも可能ではないかというふうに思います。今回の予算案には、不登校対策推進費としていくつか新事業も盛り込まれました。本来ならば学校は安心して学ぶことができて、安心して友だちや先生と繋がれる場であるということが求められている中で、今回教員の負担が増えて点数主義が助長するのではないかというふうを危惧します。不登校対策と相反するものではないかと考えます。改めて市独自の学力調査の中止を求め、次にうつります。

 就学援助制度についておたずねします。

 就学援助制度は、憲法26条の「教育を受ける権利」「義務教育無償の原則」に基づき、小中学生がお金の心配なく学校へ通えるように、保護者に対して必要な援助を行うものです。就学援助制度の意義について、どうお考えかお聞かせください。

-上寺教育次長

 就学援助制度は経済的な理由により就学が困難な児童生徒の保護者に対して小中学校で必要な学用品費や給食費等の支援を行い、経済的な負担を軽減することによりまして、義務教育の円滑な実施を図ることを目的としており、子どもたちの学びを保証する重要な制度でございます。

-山下議員

 ぜひこの制度を多くの保護者の方に利用していただきたいというふうに思います。ただこの間、消費税が10%に増税になったことに加え、長引く物価高騰は子育て世帯にも大きな影響を与え、保護者の就学にかかる経済的負担も大きくなっています。そこで、支給対象基準を引き上げた自治体や、給食費のみ認定をするという区分を新たに設けた自治体もでてきました。本市においても、就学援助の支給対象基準を従来の生活保護基準の1.5倍に引き上げる、または給食費のみ認定する区分を設けるなど、制度の拡充を求めますが、見解を伺います。

-上寺教育次長

 就学援助制度が一般財源化されました平成17年度以降、認定基準を引き下げる自治体がある中、本市では世帯の所得額の基準であります生活保護基準の1.3倍未満を維持してきており、引き続き基準の維持に努めていきたいと考えております。ご指摘の基準引き上げや新たな区分の設定については考えておりません。

-山下議員

 対象となる世帯にはぜひ漏れることなく利用していただきたいと考えます。ところがこの間、制度を知らずに4年間も過ごしていたという保護者の方がいらっしゃいました。制度の周知の徹底には工夫が必要です。制度を知っていても、子どもになにか不利な影響が働くのではないかと申請をためらったという話も聞きます。保護者が制度を認知し、ためらわず申請できるよう、受給を希望するしないの希望調査票もふくめた全員提出に切り替えてはどうかと考えますが、見解をうかがいます。

-上寺教育次長

 就学援助の申請は任意提出でありまして、ご指摘の申請希望の有無を含めた全員提出への切り替えは考えてはおりません。なお、毎年4月当初に全小中学校の児童生徒の保護者に対して就学援助制度の案内チラシを配布しております。今後とも支援を必要とする世帯に制度がいきわたるよう、わかりやすい周知に努めてまいります。

-山下議員

 だいぶわかりやすい周知になってきているとは思いますけれども、やはりまだ届いていない方がいらっしゃいますので、ぜひ周知の方法を工夫していただきたいというふうに思います。

 最後に、市立病院の再整備についておたずねします。

 市立病院は公立病院として、利益最優先ではなく不採算の政策医療である「感染症医療」や「災害医療」を担い、市民の命と健康を守るためになくてはならない医療機関です。そこでおたずねします。予算案では、「再整備に向けて平和町公園を候補地とする」と新病院の候補地が明らかとなっています。候補地を平和町公園に決定した理由を明らかにしてください。

-村山市長

 移転候補地を平和町公園にしたことについては、本市の南部地区の中核病院として果たすべき役割や、あるべき姿を踏まえて、周辺地域での連携登録医療機関の数や公共機関など、患者の利便性に加え、能登半島地震を踏まえた緊急輸送道路までの距離など、大規模災害時の緊急輸送対応や浸水・土砂災害・液状化リスク等の土地の安全性などを総合的に判断いたしました。

-山下議員

 新たな場所では病床数を減らすのではなく十分確保するため、敷地を拡充する選択ができるのか、また住民の合意を得ての移転が大前提となりますが、現病院跡地の活用をするなど新たな公園を整備する見通しがあるのかお聞かせください。

広田美代議員

-広田議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団を代表して質問いたします。

本日は、2024年能登半島地震発災から2カ月余り、東日本大震災から13年が経過しました。改めて被災されたすべてのみなさまにお悔やみとお見舞いを申し上げます。わたしは東日本大震災の発生直後に議員になりました。政治の役割は人々の命とくらしを守ることだと実感しながら今に至ります。今回の震災で一刻も早く、被災者の思いに沿った復旧と復興が進むよう、全力で取り組む決意です。

 はじめに、能登半島地震に関連して伺います。

目次 [非表示]

●断層の評価と被害想定、地域防災計画の見直しについて

〇石川県の地域防災計画について

 まずは、断層の評価と被害想定、防災計画の見直しについてです。災害対策基本法では、地方自治体が地域防災計画を作成し、毎年検討を加え、必要な時は修正をする義務があります。

 今回の地震が起きた時点での石川県の地域防災計画「地震災害対策編」は30年前の地震被害想定調査をもとに、今回の北方沖の震源について、断層規模は長さ50㎞、Ⅿ7.0、最大震度6弱と想定していましたが、1月1日に実際起きた地震の規模はエネルギーは8倍のⅯ7.6、最大震度7、震源断層は150キロにもなるとされています。

 県内全体の被害予想も、死者7名、建物全壊120棟とされていましたが、桁違いの被害となりました(死者241名 建物被害80640棟 ※3/12時点)。金沢市についての想定は、震度は5強と同様ですが、建物全壊や死者・負傷者とも0と想定されていたところ、今回の住家被害は3月5日時点で6千棟を超えています。

 決して読みが甘かったわけではなく、今回の北方沖の震源については2010年に国が新たな断層を示し、石川県もⅯ8.1の地震が生じうると試算をしていたにも関わらず、県は「津波災害対策編」は見直したものの、セットであるはずの「地震災害対策編」は2025年度までに見直すとして遅れていたのです。

 馳知事は「被害想定の見直しには国の長期評価の調査が必要で待っていた」としていますが、最新の知見が得られた時点で見直すことが必要です。

 本市でも国が示した新たな断層評価についてご存じだったはずですが、県に計画の見直しを急ぐよう求めなかったのでしょうか。

〇金沢市の地域防災計画の見直しについて

 市長、今後は早急にあらたな知見をもとに被害想定を見直し、地域防災計画に反映することが必要です。石川県も本市も地域防災計画を見直すとしていますが、本市は来年度、そしてそれ以降どのような動きになるのかあきらかにしてください。

-村山市長

 本市では阪神淡路大震災を契機として平成10年度に地域防災計画を策定し、その後森本富樫断層帯における国からの新たな評価の公表や東日本大震災を受けて津波被害予測など、その時点での最新の知見に基づき数回に渡り大幅な見直しを実施しています。 

 他方、県の地域防災計画が見直されない中でも本市の地域防災計画を随時見直しており、独自に防災体制の強化を図ってきたところであります。

 県においては令和5年度から地震被害想定を見直しているところであり、その作業中であります。今後とも県との連携を深めてまいりたいと考えています。

 今回の地震を踏まえ、被害状況や災害対応について検証し、より実効性の高い内容として地域防災計画を改定することが重要であると考えております。明年度、有識者や地域代表からなる検証会議を設置し、会議の意見を踏まえ改定を進めることとしております。

〇森本・富樫断層帯について

-広田議員

 本市にとっての最大の懸念は、森本・富樫断層帯による都市直下型地震です。昨年受けた防災士の講習でも、いつ起こってもおかしくないと学びました。

 金沢市はこれまで、この断層帯について「金沢市震災アセスメント調査」を1995年度から行い、98年度に金沢市地域防災計画〔震災対策編〕を策定し、その後も随時見直しをしてきたとしています。

 それでは、現在の地域防災計画〔震災対策編〕は最新の調査や評価、被害想定をもとにしたものと理解してよいのか。まだ盛り込まれていない最新知見があれば早急に反映させるべきではありませんか。

-村山市長

 現在の地域防災計画は、平成17年から18年にかけて実施した金沢市地震被害想定調査における森本富樫断層帯の評価をもとに平成24年度に策定したものであり、その後国から断層帯の新たな評価は発表されておりません。以降は時点修正を実施しており、直近では熊本地震を受けて平成29年度に地区防災計画策定に関する事項について見直すなど、適宜改定を実施してきたところであります。

●住宅の耐震化について

-広田議員

 住宅の耐震化について伺います。

 今回の地震では住宅の倒壊が相次ぎ、死因の多くが倒壊した家屋の下敷きになったとされています。倒壊した要因の一つが「木造住宅の耐震化不足」です。

 現在、金沢市内の住宅耐震化は、2021年3月現在で89.9%、未耐震は2万1千戸に及びます。「金沢市建築物耐震改修促進計画」では2026年には95%を目標としていますが、もっと早くに100%に近づける必要があるのではないでしょうか。新年度にこの計画を改定するとのことですが、なにかあらたな方針があるのか伺います。

-坪田都市整備局長

 次期の耐震改修促進計画には令和6年度に基礎調査、7年度に改定作業を行う予定としております。基礎調査の結果や社会情勢の変化、今後見直しされる地域防災計画、さらには能登半島地震を受けての国の動向を踏まえまして、計画の策定作業を進める中で方針を定めていきたいというふうに考えております。

-広田議員

 高齢化率が高いと耐震化率が低いという相関関係があります。まちなか区域はその傾向があり、高齢の方からは耐震化には多額の費用がかかり、今更費用をかけられない、というお声を伺います。しかし少しでも耐震化を前にすすめるため、他都市では今回の地震を機に助成額の上限を引き上げる動きがあります。本市も引き上げる考えはないのか。あきらかにしてください。

-坪田都市整備局長

 耐震化の助成額につきまして、木造住宅の耐震化にかかる支援制度は令和元年度に補助率10/10、限度額を200万円に引き上げたところでありまして、全国でも手厚い内容で運用しております。現段階で助成額の引き上げは考えてはおりません。

●志賀原発について

-広田議員

 志賀原発についてです。

 今回の地震で、志賀原発は震度5強の揺れ、敷地前の海域で最大3mの津波が観測されました。公表されているだけでも、変圧器が破損して大量の油が漏れ、5回線ある外部電源のうち2回線が使用不能になり、周辺のモニタリングポストの一部も測定不能になるなど重大なトラブルが起きています。

 北陸電力は2014年に2号機の再稼働に向けた審査を申請し、能登半島北側で活断層が96キロ連動すると想定しています。ところが、今回の地震では150キロの断層が連動したとされており、断層評価の前提も崩れたのです。

 そしてこの地震によって、陸路は道路の寸断、海路は海底の隆起などで、住民の避難計画に実効性がないことも明確になりました。

 本市は、志賀原発から半径50km以内を含み、原子力災害対策計画を策定しています。いざというときは、市民に安定ヨウ素剤の配布・服用指示も必要となり、半径30kmのUPZ内の広域避難者およそ88,621名を71か所で受け入れを行う計画もあります。

 今回は、どの段階まで動きがとられたのか、今回の地震だけでも、本市の対応は精いっぱいのように見受けましたが、それに加え原子力災害の対応が可能だったと考えるのか、あきらかにしてください。

-村山市長

 志賀原発につきましては、地震発生当日の夜に開催された本市の第2回災害対策本部会議の場において、志賀原発について異常がないことが報告されており、以降状況確認を継続する体制といたしました。

 他方、現状の本市の地域防災計画では志賀原発が被災した場合の広域避難者受け入れについて明記をしておりますが、本市と同時に大規模な被災があった場合に備えて、今回の地震を教訓として課題を整理した上で地域防災計画の見直しの中で検討していきたいと考えています。

―広田議員

 能登半島では過去に珠洲原発が計画されました。住民の粘り強いたたかいで凍結となりましたが、「高屋」という原発予定候補地は、この地震で市街につながるすべての道路が土砂崩れで断絶。海岸は隆起し、船も出せない孤立集落となりました。

 市長、日本の国土は世界の400分の1でしかありませんが、世界で起こる地震の10分の1が発生する超地震大国です。原発を推進する政府の政策は、見直しが必要だと考えますがいかがですか。

-村山市長

 原発の推進については、国のエネルギー政策の根幹に関わるもので、一義的には国において議論されるものと考えており、引き続き国の動向を注視してまいります。

●避難行動と避難所運営、防災訓練について

〇避難行動について

-広田議員

 避難行動や避難所について伺います。

今回、本市では避難所数は最大124か所、避難者数は最大10,300名の利用のほか、津波から逃れようと高台に車でおられた方など、未だかつてない状況でした。

 避難と避難所運営について多くの方が経験し、計画やマニュアルが現実に即していなかったり、そもそも知らないことに気づかされたのではないでしょうか。本市としては、現時点でどのようなことが課題としてあげられているのか伺います。

-村山市長

 避難行動についてでありますが、今回の地震では震度5強を観測するとともに、津波警報も発令され、多くの方が津波被害から身を守るため道路渋滞のほか、一部の避難所において混乱が見られました。

 また、開設までに時間を要した避難所がございました他、冬季における運営方法などが課題であると判明いたしました。

〇避難所運営マニュアルについて

-広田議員

 わたしも、近くの学校の避難所運営にあたりました。地区支部要員が早めに駆けつけ開設は早かったと思いますが、地域の方々は、誰が鍵を持っているのかわからず不安そうにしていましたし、各地での状況を聞くにつけ、避難所開設の仕組みが市民にはほとんど伝わっていないことを実感しました。

 まずは、震度5弱以上ですべての指定避難所が開設されることになっていますが、今回の地震ですべての避難所が開設できたのか。できなかったのはなぜなのか。また開設までの解錠などの取り決めはマニュアルではどうなっているのかも含め、あきらかにしてください。

-上野危機管理監

 本市において地震の際に使用できる避難所には、小学校や公民館など地域の拠点となる避難所66か所と、中学校や高校・大学などの指定避難所146か所の計212か所がございます。

 そのうち今回の地震で開設されましたのは、全ての拠点避難所と指定避難所58か所であり、開設されなかった指定避難所につきましては元日で施設管理者が不在であったなどの理由で開設に至らなかったものと考えております。

 避難所運営マニュアルにおきましては、拠点避難所では市職員や自主防災組織が、指定避難所では施設管理者などが鍵を開けることとしておりますが、今後の見直しでは今回避難所が開設されなかった理由などを検証・整理したうえで、地域の自主防災組織や施設管理者と連携しながら、連絡体制の強化を図り、迅速な避難所開設に繋げてまいります。

〇避難所の冷暖房設備について

-広田議員

 避難所での冷暖房設備についてです。

 計画では、避難所ではストーブは1つか2つとされており、広い体育館ではなかなか温まりません。避難されたみなさんも毛布にくるまっても寒いと話されていました。ご高齢の方や障害をお持ちの方もおられ、心配な状況でした。

 本市のマニュアルでは室温について詳しくは書かれていませんが、内閣府の避難所運営ガイドラインには「暑さ・寒さ対策を検討」についての項目に「冷暖房器具を確保」とあります。

 しかしながら、体育館等ではスポット的な冷暖房器具の用意であり、避難所としてよい環境にするため、エアコン設置などの改善が必要と考えますがいかがですか。

-村山市長

 本市では以前から、避難所となる小学校及び中学校にはスポット的な冷暖房器具を配備しておりますけれども、気温の状況によっては冷暖房を完備している普通教室に避難住民を案内するなど、柔軟な対応に努めてまいりたいと考えております。

-広田議員

 子どもたちのため、避難所としても、体育館の冷暖房空調設備は必要不可欠です。文科省の「学校施設環境改善交付金」は、通常1/3を補助する国庫補助事業ですが、体育館については、2023年度から25年度の3年間に限り1/2へ引き上げられています。ぜひ、早期の検討と決断を求めますがいかがですか。

-上寺教育次長

 すべての小中学校の普通教室への空調設備の整備が完了したことから、明年度からは特別教室への計画的な整備に向けて実施設計に着手することとしており、整備完了後は普通教室を合わせ避難時の使用も可能になります。

 体育館への空調設備の整備にあたりましては、国庫補助の条件としまして大規模な断熱工事を要件としていることから、導入の手法と合わせ他都市の事例を検証するなど、今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。

〇マニュアルの見直しについて

-広田議員 

 また、避難所に関しては、ほかにもさまざまな課題が浮き彫りになりました。市長、計画やマニュアルについて、今後どのように見直していくのか。幅広く市民の意見を募集すべきではないでしょうか。

-村山市長

 避難所運営等各種マニュアルにつきましては、今後学識経験者や地域代表からの意見を聴取し、検証会議において課題等の整理・検討を行い、実効性の高い内容に改定することとしております。

〇防災訓練について

-広田議員

 そして、今回の経験で、自分の地域ではどのようなリスクがあるのか、避難の流れ、指定避難場所はどこなのか、多くの市民に知られていないことも実感しました。

 やはり、日頃からの防災訓練が必要不可欠です。法的には義務付けがなく実施が地域任せになっていますが、まずは実施の現状はどうなっているのか。本市と地域が一緒になって毎年計画的に行うべきではないか求めますがいかがでしょうか。

-村山市長

 防災訓練については、本市では地域の自主防災組織がそれぞれの地域特性に応じた防災計画を策定しております。その計画に基づき、防災訓練や防災講座を実施しています。これまでも防災訓練の実施を促すとともに、地域からの要請に応じて協力してきたところであります。今後も地域への協力を継続してまいります。

●職員数について

〇民営化やデジタル化ではなく増員を

-広田議員

 震災対応で、行政職員の不足も浮き彫りになりました。能登方面では職員自身も被災しながら役所に泊まり込み、替わりがおらず不眠無休で疲弊している様子が報道でも映し出されました。

 市町村の合併、定数削減によって職員が減らされ、ぎりぎりの体制。消防や保健所も市町ごとにはなく、広域化されています。

 効率化一辺倒は災害に弱いということが露呈しました。本市でも大規模災害が起きたときに、職員の基本的な体制は万全なのでしょうか。

 特に、危機管理や消防、土木、医療福祉、保健所などは必須と考えます。しかし、本市の新年度編成の増員計画では、たとえば、災害対策の中心である「危機管理課」は2名、「がけ地対策」1名、「道路管理課」1名、「内水整備課」2名にとどまっています。そして、生活支援課は1名増員ですが、職員ひとりあたり受給者80名という国基準を超えています(84名)。また、消防職員は国の整備指針と照らすと、今年度6名増員しますが、およそ1割の不足です(90.9%)。

 一方で、新年度予算では「公共インフラ包括的民間委託」検討費、下水道事業のウォーターPPPの導入可能性調査費など提案、「PFI活用ガイドライン」まで策定するとしています。

 市長、災害対策基本法は、国と地方自治体に対し災害から国民を守るための重い責務を規定しています。民営化ばかりでこの責任が果たされるのですか。災害時でも市民の命とくらしを守るため、民営化ではなく、必要な部署の増員を行うべきではないでしょうか。

-村山市長

 職員配置につきまして、本市ではこれまでも民間活力の導入を図り、良質な公共サービスを提供するため、可能な業務につきましては随時外部委託化等を進めています。職員につきましては、業務の見直しや効率化による減員に合わせ、必要な部署へは増員を行うなど、適正な定員管理に努めてきたところであります。明年度は災害対応の強化や救急隊の増隊等で増員を予定しております。

-広田議員

 保健所の保健師は3人の減員です。別の部署に配置するということですが、その代わりに保健所の代表電話をAIにするというものです。コロナ禍のような緊急時に備えてということですが、緊急時ならなおさら人間が見極める必要があります。保健師さんのご苦労もわかりますが、まずは、交換手を置くなど工夫の余地があるはずですし、なにより保健師を増員をするべきですがいかがですか。

-村山市長

 保健所の保健師については、新型コロナの5類移行により減員とする一方で、保健師自体については増員としております。こども家庭センターの運営や、後期高齢者保健介護予防推進事業の実施などによって、5名増員することとしております。引き続き業務の見直しや効率化を図りながら、適正な配置に努めてまいります。

 なお、行政のデジタル化は複雑化・多様化する行政ニーズに対応するため必要不可欠な流れであり、業務効率化が図られることによってきめ細やかな市民サービスの提供にもつながると考えております。積極的に導入してまいりたいと考えています。

●失われた30年と裏金・金権腐敗政治について

-広田議員

 次に、市民のくらしと予算編成ついて伺います。

賃金の伸びが物価上昇に追いつかず、目減りが続いています。実質賃金が1996年をピークに低下し、暮らしに困難をもたらしたことが、「失われた30年」と呼ばれる経済の停滞を生んでいます。そこを襲ったのが急激な物価高。さらに能登半島地震の被害が追い打ちをかけています。

 一方で、大企業は大幅に利益を増やし、この30年間で内部留保は520兆円を超え、過去最高です。「失われた30年」は自然現象では決してありません。自民党政治が、大企業向けの減税と一体に消費税増税、インバウンドを押し付け、暮らしに大打撃を与えてきました。働く人の4割を非正規ワーカーにした結果、「賃金が上がらない国」になったのです。若い世代は、重すぎる教育費負担と奨学金返済で苦しみ、年金・医療・介護の給付減・負担増は、すべての世代に不安と犠牲をもたらしています。

 これらの根っこには、「財界・大企業のもうけ最優先」「後は野となれ山となれ」の政治のゆがみがあります。裏金事件で明るみに出た金権腐敗も、この政治のゆがみと一体のものです。市長は「失われた30年と市民のくらしの大変さ」についてどうお考えでしょうか。

 そして、裏金とともに、企業団体からの献金について廃止の議論がされていますが、市長はどのようにお考えでしょうか。

-村山市長

 市政運営につきまして、これまでバブル崩壊やリーマンショック、新型コロナウイルス感染症拡大など、社会経済活動に大きな影響を及ぼす事態が発生した際も、基礎自治体である市として市民生活の安全と安心を最優先に、なしうる限りの対策を講じてきたと承知しております。引き続きそのことに意を用いながら、市政運営に全力で取り組んでまいりたいと考えています。

 一方で、政治資金の取り扱いについては、法律に基づき適切に管理されるべきものであります。私も政治家のひとりとして肝に銘じ、職務に精励してまいりたいと考えています。

●新年度予算における市民のくらし、福祉について

-広田議員

 このような中、市民のくらしを守るため、これまで市民から要望の多い点についてどのように本市が検討されたのか具体的に伺います。

〇国民健康保険料と介護保険料について

 まずは、国民健康保険料についてです。賦課限度額の引き上げ以外は据え置かれました。これまでも高すぎる保険料(年収200万円大人2子2で30万3千円)の引き下げに基金の活用を求めてきました。今回、県の標準保険料率に対し、どのような対応をしたのか、引き下げることはできなかったのかでしょうか。

-村山市長

 国民健康保険料については、県から示された標準保険料率を基本としておりますが、今回は市民生活への影響に配慮して料率を据え置くことといたしました。明年度は保険料負担の軽減のために約9億9千万円の基金取り崩しを行うこととしております。さらなる保険料の引き下げのために基金を活用することは考えておりません。

-広田議員

 つぎに、介護保険料についてです。今回第9期の保険料となりますが、基準月額は今期から据え置かれました。介護給付が増える中、どのように基金を取り崩し対応をしたのか、引き下げることはできなかったのか、あきらかにしてください。

-村山市長

 第9期の介護保険料については、市民の負担が過大にならないよう市民生活の影響に配慮し、今年度末の介護給付費準備基金の残高見込みでございます約29億円のうち、約26億円を今後3年間で計画的に取り崩すことによって、基準月額を据え置くことといたしました。今後高齢化の進展に伴って要介護認定者が増え、介護給付費の増加が見込まれるという中にあって、引き下げは考えておりません。

〇保育について

-広田議員

 保育については、新年度から保育士ひとりが担当する子どもの人数の国基準が、4,5歳児では30人から25人、3歳児では20人から15人に改善されます。本市ではそれを受けて、さらに4,5歳児で20:1へ引き上げた園への助成が提案されました。

 しかしながら、国の4,5歳児の配置基準加算について、チーム保育推進加算をしている施設は対象外となり、現場からは疑問の声があがっています。これらの加算は別物です。市長、国へ対象外としないよう求めていただきたいと考えますがいかがですか。

-村山市長

 今般、国において76年ぶりに4,5歳児の配置基準が改善されるということは、保育の質の向上につながるものと考えております。さらなる保育環境の充実を図るため、保育士の定数改善に向けた財政措置については引き続き国に要望してまいりたいと考えています。

〇学童保育について

-広田議員

 放課後児童クラブ、いわゆる学童保育については、求めてきた支援員の処遇改善が提案されました。まず、どの程度の引き上げになるのか伺います。

また、施設使用料(家賃)についても、(補助率が10/10、限度額も月額20万円に)引き上げがされました。待機児童解消のためとしていますが、どのような動きを期待しているのかあきらかにしてください。

-藤木こども未来局長

 新年度予算におけます放課後児童支援員の処遇改善につきましてですが、今回お諮りしております月額給与と賞与の改善によりまして、児童クラブの運営委託料に含まれます人件費の年額積算は、一人当たり本年度の約204万円から来年度は約250万円に引き上げとなります。

 続きまして、児童クラブの新設等にかかります施設使用料の助成制度の拡充につきまして、本市の児童クラブの7割以上が地域団体により運営されていることもございまして、施設使用料の助成を拡充することで児童クラブの新設やより良い環境への移転を促し、待機児童の解消と保育環境の向上につなげたいと考えております。

〇子どもの医療費助成制度について

-広田議員

 子どもの医療費助成制度についてですが、通院の対象年齢拡大はありませんでした。石川県内で唯一、本市だけが18歳まで到達しておりません。今回の予算編成段階でどのような検討がされたのか、もし通院についても、18歳まで拡大し窓口負担をなくすと追加の費用はいくらになるのか、あきらかにしてください。そして早急に拡大を求めますがいかがでしょうか。

-村山市長 

 明年度の子育て支援施策として新たにこども家庭センターの運営を開始するほか、拠点型こども宅食の本格実施、児童クラブの新設などにかかる施設使用料の助成の拡充などをお諮りしております。子育て支援医療助成費のさらなる拡充は行う予定はありません。

 なお、ご指摘の通院にかかる助成対象を18歳まで拡大し、窓口負担を無料化した場合の必要となる費用については、毎年年間で約4億8千万円と見込まれております。

〇補聴器購入補助制度について

-広田議員

 加齢にともなう補聴器購入補助制度についてです。新年度に予算化はされていません。これまで市長の答弁は、制度については全国市長会を通じて国に求めているものの、本市においては「研究する」というものでした。今回の予算編成にあたり、どのような検討をされ、研究に向けてなにか具体化されたのか伺います。

-村山市長

 加齢性難聴者を対象とした補聴器購入補助制度について中核市の状況を確認したところ、補助制度を持っているのは62市中8市と少ない状況であり、また本来は国が対応すべきものであると考えていることから、全国市長会を通じて国に対して補助制度の創設を要望しております。その動向を注視しているところであります。

〇熱中症対策について

-広田議員

 新年度あらたな施策として、熱中症対策が盛り込まれました。公共施設の一角に避暑休憩スペースを設置するとしていますが、具体的にどの施設にどんな機能を備えるのかあきらかにしてください。

-山口福祉健康局長

 熱中症対策につきましては、本庁舎に加えまして駅西・泉野・元町の各福祉健康センターや、健康プラザ大手町などに避暑休憩スペースを設置いたしまして、夏場の高温時に市民が気軽に暑さを凌ぐことができるようにテーブルや椅子を設置いたします他、うちわや冷却シート、また応急用としての飲料などを配備する予定でございます。

〇除雪について

-広田議員

 除雪については、除雪路線の拡大のために、除雪オペレーター育成支援や、第3次路線の基準緩和など取り組まれています。新年度では、さらに、車両系建設機械運転技能講習済みの方の大型特殊免許取得の経費を支援の対象にし、GPSでの除雪管理システムを導入するとしています。これらの拡充で、除雪路線の拡大をどの程度見込んでいるのか。

 また、民間消融雪施設の現況調査を行うとしていますが、その目的と、地域などで運営が困難になっている実態に対し支援も検討するのかお聞きします。

-坂本土木局長

 除雪につきまして2点質問がございました。最初に支援制度の拡充やシステムの導入によって除雪路線の拡大をどの程度見込んでいるかという点でございます。明年度、除雪オペレーター支援制度を拡充する予定ではありますが、現状の体制では除雪路線を拡大することは難しいと考えております。毎年実施しております除雪業者へのアンケートで、除雪業者の数やオペレーターの人数などを確認したうえで除雪路線の拡大について判断していきたいと考えております。なお、除雪管理システムは除雪体制の効率化や住民からの問い合わせなどに正確な情報を細やかに伝えるため導入するものでありまして、システムの導入による運用実績の検証とともに、引き続き除雪業者の掘り起こしに努めてまいります。

 次に、民間消融雪施設現況調査の調査目的についてでございます。民間消融雪施設の現況調査は、民間の消雪組合などで管理しております施設の老朽化や、管理者の高齢化、担い手不足などの課題が顕在化しておりますことから、施設の健全度や管理状況を調査するものであります。まずはその調査結果を施設の長寿命化や継続的な管理運営方法の検討資料とするほか、合わせて技術的なアドバイスを行うこととしております。

〇マイナ保険証と「保険年金課」について

-広田議員

 つぎに、マイナンバーカードと保険証との一体化についてです。本市は、国民健康保険の被保険者証等を「今年12月2日に廃止する」としています。

 まずは保険証に関してですが、本市の国保加入者のうち、マイナンバーにひもづけていない方は4割に及びます。そこで、廃止以降は、マイナ保険証を取得していない方には資格確認書というものが発行されるようですが、これは申請しないと発行されないのか。また、マイナ保険証をお持ちの方に発行される予定の「資格情報のお知らせ」の発行目的と、どのようなものかあきらかにしてください。

-山口福祉健康局長

 資格確認書は原則本人の申請に基づき交付することとされておりますが、当分の間はマイナ保険証を保有していない者、その他保険者が必要と認めた者につきましては、本人の申請によらず保険者が交付することとされており、本市の国民健康保険におきましても国の通知等に基づき対応してまいります。

 また資格情報のお知らせにつきましては、健康保険証の廃止に伴いまして、マイナ保険証の保有者がご自身の被保険者資格等を簡易に把握できるように、新規の資格取得時や負担割合の変更時等に交付されるものでございまして、A4版の大きさで資格情報の内容等が記載されているものでございます。

-広田議員

 市長、昨年の議会でも申し上げた通り、医療機関でのマイナ保険証利用に関しては未だトラブルが続いています。さらにマイナ保険証の利用率については、昨年11月時点の国家公務員全体の利用率は「4.36%」。国民全体の「4.33%」とほぼ同水準です。さらに、マイナ保険証を所管する厚生労働省の利用率ですら「4.88%」です。にも関わらず、先月末には、厚生労働省から医療機関に対し、利用率の増加によって支援金を支給することや、患者さんへの声かけを促しています。トラブルの解消もしていないのに、どうしてお勧めすることができるでしょうか。

 市長、そもそもマイナンバーカードの取得は任意です。このまま保険証が廃止されれば、保険に加入しているのに保険診療が受けられない事態になりかねません。市長、保険証存続の声をあげるよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 マイナ保険証につきましてはこれまでも本会議において申し上げた通り、マイナンバーカードの保険証利用により診療時に過去の健診結果や薬剤情報が共有でき、適切な医療に繋がるなど、市民の利便性が非常に高まると考えています。国においてはこうしたメリット等を考慮して健康保険証を廃止することとしたものと認識しております。国に対して保険証の存続を求めていくことは考えてはおりません。

-広田議員

 本市は新年度から、マイナ保険証を円滑に進めるためとして医療保険課を「福祉健康局」から「市民局」に移管し、「保険年金課」にするとしています。本市では、保険料が高くて払えず、滞納世帯が15%にものぼり、医療が受けられるか不安を抱える市民もいます。医療保険課はマイナ保険証にまい進する部署ではなく、皆保険の実現、命を守る部署であるべきです。そもそも管轄も厚生労働省であり、福祉健康局内で連携が必要です。市民局への移管は見直すよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 国民健康保険制度の国の所管は厚生労働省ではありますが、本市ではこれまでも必要に応じて部局横断的に関係課が連携し、本制度を適正に運用してきたところであります。今回の市民局への移管につきましては、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を円滑に進めるためのものでありますが、過去には市民局で国民健康保険制度を所管していたということもあります。引き続き関係課が連携することで業務への支障はないと考えています。

〇金沢方式の見直しについて

-広田議員

 金沢方式の見直しについてです。

「金沢方式あり方検討費」230万円が提案され、2025年4月からの適用開始をめざし、公民館・児童館・消防団の施設整備における地元負担の軽減等について検討するとしています。まず、検討費について、コミュニティ基金を充てたのはどうしてなのか。

 さらに、検討会のメンバーはどなたが担うのか、さまざまな住民の立場にたった方を選出するべきですし、市民全体にアンケートや公聴会なども開くべきと考えますがいかがですか。

-村山市長

 金沢方式は、地元からの要望により公民館等の地域主導による運営、多くのボランティアに支えられた活動、運営費や建設費の地元負担を特徴とした方式であります。地域の連帯を強め、協同を育むうえで、地域コミュニティの醸成や発展にこれまで大きな役割を果たしてまいりました。

 ご指摘の検討費については、公民館等の施設整備における地元負担の軽減等を含めた金沢方式の在り方を検討するものであります。地域コミュニティ組織の持続可能性の向上に資する事業と判断し、地域コミュニティ活性化推進審議会での審議を経て基金充当事業としたものであります。

 明年度に設置する懇話会は、地域団体や若い世代の代表者、有識者等で構成したいと考えており、その中で多くのご意見をお聞きしてまいりたいと考えています。これまでもまちづくりミーティング等を通じて地元負担の見直しが必要との声をお聞きしたところであり、市民全体を対象としたアンケートや公聴会の実施までは考えてはおりません。

-広田議員

 また、地元負担について2つ伺います。まずは、本市が負担割合を設定し、地域に負担を求めることについて、どのような法的根拠があるのか。

 つぎに、建て替えの実施については本市が行い、完成後に地元には1/4の負担金を求め、本市の歳入に「寄付金」として入れていますが、これは地方財政法の第4条の5「地方公共団体は住民に対し、寄附金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」に抵触しないのでしょうか。あきらかにしてください。

 また、公民館は運営費についても地元負担があり、貸館収入が必要な実態から、地元住民の利用についても一定の使用料金がかかる地域もあります。市民が自由に使えるように公民館の運営費についても見直しが必要ではないでしょうか。

-村山市長

 本市における公民館や児童館等の整備は、設置を望む地域の総意に基づき建設工事等に地元負担が生じることを了承の上作成いただいた地元からの要望書に従い地域の方々と協議しながら本市独自の方式で進めてきたものであります。

 また建設工事等にかかる地元負担分は、事業完了後地元からの寄付申出書に基づき寄付金として採納しております。本市の寄附採納事務処理要綱に沿って、地元の合意によって行っているものであります。

 懇話会では主に、公民館・児童館・消防団の施設整備における地元負担の軽減等を含めた在り方について検討を進めていくこととしております。なお、公民館の運営費についても在り方の検討に密接に関係していくことから、懇話会のご意見も十分お聞きしながら精査していきたいと考えています。

●大型開発ではなく、市民のいのち・くらし守り、災害に強いまちづくりを

〇都心軸の開発について

-広田議員

 こうした住民の負担も多く、くらし・福祉の充実もまだまだであるにもかかわらず、大型開発がすすめられようとしています。

都心軸の開発についてです。本市では今回、都市再生特別措置法を活用し、都心軸エリア全体の面的整備を促進するとして、都市再生緊急整備地域の「指定」をめざし、新年度から準備協議会を設立、地域整備方針を取りまとめとしています。

 まず、本市は具体的になにを整備するのか表明していませんが、少なくとも考えられるのは、金沢駅前の旧都ホテル跡地での開発、武蔵ヶ辻での開発、そして旧日銀跡地での開発、片町での開発、ということでよろしいでしょうか。

-村山市長

 金沢駅から片町に至る都心軸においては、都ホテル跡地の開発だけでなく、老朽ビルの再整備等が課題となっていることから、都市再生特別措置法を活用することにより民間による開発の気運を高め、都心軸エリア全体の面的整備の促進につなげていきたいと考えております。

―広田議員

 昨年末の総務常任委員会への報告と質疑で、これまでの経緯があきらかになりました。

 本市は5年前から、旧都ホテル跡地について所有する近鉄不動産に開発を働きかけてきた。昨年4月からは特措法の活用について内部で検討を行い、昨年10月19日に、近鉄不動産に意向を確認し、偶然にも翌日、旧都ホテル跡地における特措法の活用について県知事から発言があり、10月30日に市長から県知事に対し特措法について協力を要請し、了承を得て、国へ申請となったとのことです。

 これまで、議会にも報告がなかったことについては質してきましたが、今回伺いたいのは、こうした特措法の活用は、国へ申請をする前に、あらかじめ場所を特定し、その地権者に開発の意向を確認するのが正しいやり方なのかということです。あきらかにしてください。

-村山市長

 国が定める指定基準では、都市再生緊急整備地域については早期に実施されることが見込まれる都市再開発事業等の区域に加え、土地所有者の意向に基づく都市開発事業等の気運の存在が認められる地域とされております。このため、土地所有者から開発の意向を確認したうえで国への申請を行う必要があり、都ホテル跡地を所有する近鉄不動産に対してもあらかじめ意向を確認したものであります。

-広田議員

 12月の総務常任委員会では、委員に「これまでなぜ近鉄不動産に特措法の話をしなかったのか」と問われ、執行部から「特措法の制度は把握していたが、都ホテル跡地単独では活用できない。制度の活用には相当な面積が必要で、都ホテル跡地がある街区のみでの特措法の活用は難しいと整理をしている。」との答弁でした。

 つまり、都ホテル跡地はもともと個別に開発を行う予定だったが、特措法を活用するために、都心軸の面的整備として抱き合わせにしたということでよいですか。

-村山市長

 本年度新たな都市像の策定を進める過程において、都心軸の再興を検討する中、都ホテル跡地だけでなく老朽ビルの再整備等が課題となっていることを踏まえ、特措法を活用することにより民間による開発の気運を高め、都心軸エリア全体の面的整備の促進を図ることとしたものでございます。

-広田議員

 これまでの国交省の議論では、地方都市では「大都市に比べ需要が小さいことに起因し、採算が合いにくく、リスクも高くなりがちであることから、純粋な民間経済活動による投資は限定的」とされてきました。

 本市でも残念ながら、多額の税金を投入した再開発事業にでさえ、課題が残っています。金沢駅武蔵北地区市街地再開発事業では、駅前のライブ1やリファーレには保留床が残ったまま、37年もの間、一般会計を投入し続けています。片町の再開発では、建設費54億に対し34億の税金を投入し、テナント誘致では当初1億円の補助で2つの有名店舗を誘致しましたが、期間をすぎると撤退しました。開発に対して需要が満足でない現状が続いています。この現状についてどう整理されているのでしょうか。

-坪田都市整備局長

 都心軸の開発について、これまでの再開発事業についてどう整理されているかのお尋ねがございました。再開発事業は、防災性の向上、住環境の改善に加えまして、まちの活性化を目的としておりまして、駅・武蔵北地区や片町地区での再開発ビルにおきましては、これまでもテナントの入れ替えはあるものの継続的に入居している状況であり、都心軸の賑わい創出に寄与しているものと考えております。

-広田議員

 この特措法においては、都市再生緊急整備地域の設定、民間都市再生事業など税制優遇と規制緩和で民間開発を支援し、そこに公的な市街地再開発事業などの公共投資を組み込み、民間大企業、大手不動産、デベロッパーが進める大規模開発を支援するということが全国で行われています。税制優遇を受けながら、これまで市民が守ってきた、既存の都市計画や土地利用規制をも取っ払い、民間が保留床を最大化するため、巨大なビルを建てることができるのです。

 よって、本市の都市再生緊急整備地域への指定をめざした今の動きは、こうした規制緩和や税制面で優遇をしなければ、民間は動かないと判断した上のことなのですか。

-村山市長

 都心軸の再興を図るうえでは、民間による開発気運の醸成が必要と考え、都市再生緊急整備地域の指定を目指すものとしたことであります。

―広田議員

 また、開発の手法について、どの制度を利用していくのかは開発主体が検討されることかと思いますが、多額の税金投入がある、市街地再開発事業の手法もとられるのかあきらかにしてください。

―村山市長

 建物の更新など、開発にあたっては権利者自らが建築計画や資金調達を検討し、その中で単独での建て替えや再開発による共同化など、計画を実現可能とする事業手法を選定するものであり、まずは民間での動きを注視していきたいと考えています。

 なお、片町四番組海側・山側両地区においては、権利者間で議論を重ねた結果、市街地再開発事業の手法を選択したものであります。

―広田議員

 そして、高さ制限や容積率の緩和を行えるのはどのような事業についてなのかあきらかにしてください。

―村山市長

 都市再生緊急整備地域において、容積率や高さ制限など、既存の規制にとらわれず、都市開発事業を実施することができるようになるには、都市再生特別地区の設定が必要となります。なお、この設定には明年度立ち上げる準備協議会において作成する開発の考え方や、求められる機能等を掲げる地域整備方針に沿うことが求められるとともに、その設定には市の意見を踏まえた県の都市計画決定が必要となります。

-広田議員

 市長、都市計画や再開発は、「公共の福祉」の増進・寄与を前提としたものでなくてはならず、都市計画法や都市再開発法にもそう書き込まれています。この事業が誰のための事業なのか問われています。都市計画を守り、守らせること、市民とともに市民のためのまちづくりを行うことが市長の務めではないですか。

-村山市長

 金沢市都市像に掲げる都心軸の再興に向けて、都市再生特別措置法の活用を図るとともに、官民連携による都心軸エリアの価値向上を通じて、本市のまちづくりの規範である保全と開発の調和を発展させ、「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」にふさわしい品格と魅力のあふれる都市空間の形成を目指していきたいと考えています。金沢市都市像の実現に向けた取り組みは、すべての人々と共に、心豊かで活力ある未来を創るということであります。市政の発展と市民福祉の向上に繋がるものと考えています。

―広田議員

 今回、老朽ビルの再整備も同時に行うとしていますが、まずは地権者がいらっしゃる話です。みなさんが、どのような現状と方針をお持ちか調査はされたのでしょうか。

―村山市長

 建物の更新には権利者の意向が重要と認識しております。今議会でお諮りしている明年度予算で、都心軸沿線の権利者に対して意向調査をするとともに、建物の耐震化や空き店舗の有無など、現状を把握することとしております。能登半島地震の発生を機に、改めて老朽ビルの建て替えを促進する必要があると思った次第でございます。

―広田議員

 市長、面的な過大な開発を行い、どの都市にもあるような店舗が立ち並ぶ都市にするのではなく、市民や地元業者さんとともに、耐震基準を満たしていないビルや家屋の耐震対策などに地道に取り組み、金沢としての歴史や個性を磨く取り組みにできないのでしょうか。

 大型開発ではなく、市民のいのちとくらしを守り、市民とともに災害に強いまちづくりを進めることこそ求め、質問を終わります。

―村山市長

 都市再生特別措置法を活用した都心軸の再興に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。

<再質問>

-広田議員

 ご答弁ありがとうございます。

 まず1点目は原発について、1月1日夜に北陸電力から異常はないと確認したということですが、先ほど申し上げた通り数々の深刻なトラブルが起きて、外部電源についてはまだ復旧にも至っていないはずです。ちょっと、それだけの危機管理ということではとても残念なご答弁だったと思います。何か追加があればお願いします。

 そして、やはりこの震災を経験して私は、危機管理課が現在9名なんですね、今回2名増員するということですけれども、やはり足りないのではないかと考えます。人口46万人を超えるこの都市において、もっと増員すべきです。女性も含めて動員を改めて求めますけれども、危機管理について2点お願いします。

 もう一つ、失われた30年の中で市民のくらしの大変さは増しました。もう大企業に頼ってもトリクルダウンが起きないこともあきらかになったわけです。私はこの地方の疲弊もその結果だと思っています。市長は適切に対応してきたというふうにおっしゃいますけれども、一部拡充もありましたが、これまで全体のご答弁を聞いていて、いまだ古い大型開発、観光を呼び込むことにまい進し、市民の医療や介護、福祉は後回しだと言わざるを得ません。しかし市長、医療や福祉も経済なんです。そこに従事者がいます。金沢市では第3位の雇用者数、女性については第1位です。そしてこの事業があるからこそ、家族で抱え込まず働き経済活動ができる。こうした視点というのをお持ちになったことはありますか。

-村山市長

 3点、再質問をいただきました。1つ目が原発の関係であります。我々として、原発の被害がないかどうか、あるいはそれによって住民に被害が及ぶかどうかということが1つ目、そして志賀原発からの避難者をどう受け入れるか、その2つの心配をしなければならないというところであります。まず最初に異常がないということが報告されました。その後いくつか訂正はあったというところもありますけれども、それによる影響があるかどうかということも確認しながら対応してきたというところであります。

 続いて危機管理部局の増強についてもご質問をいただきました。非常に重要な課題であるというように思っております。一方で危機管理については、いざというときにどういった対応をするかということのなるべく早い意思決定と、そして情報収集が必要になるというところであります。情報収集については複数の部局に渡るところが収集をいたしますし、現場の対応ということでは消防の方の体制の充実ということで今回も都度対応させていただいているという中であります。時期を見ながら、そして必要に応じて、今回は危機管理課の中に対策室を設けたという中でありますけれども、その場面にふさわしい人員を配置できるように整えていきたいと考えています。

 市民の生活について、これは基本方針のうちのひとつに大きく位置づけております。暮らしを守ることが何より大事だというところ、それを位置づけながら、そして多方面での経済振興も行わなければならないという中での施策になっております。バランスをとった形として施策を今回打ち出させていただきました。これはもしかしたら議員の意向とずれがあるかもしれませんけれども、本市として行えるところについて、全て施策として来年度予算に盛り込ませていただいたと認識しております。

-広田議員

 まず原発ですけれども、モニタリングポストが止まっていたんですよね。誰が安全を確認できるのか。私は、石川県はもちろんですけれども金沢市も50km圏内に市民がいるわけですし、多くの避難を受け入れるわけですから、もっと本気で追及をしてほしいと思います。これから県と一緒に内部をしっかり公開させる、そのことを求めていただきたいと思います。

 そして、暮らしを守ることが大切とおっしゃっていましたけれども、私の観点は医療・福祉も経済なんだということなんですね。ヨーロッパ諸国はそういうふうに考えているということを聞いたことがあります。

 そこで1点、子どもの医療費助成制度、これがなぜ進まないのか。なぜ県内で金沢市だけ(外来が15歳まで)なのかと、疑問が大きいわけです。もちろん国保や介護は国のこともあるのでなかなか大変なんですが、この子どもの医療費は本市としてやれるわけです。先ほどご答弁がありました。あと4億8千万円で18歳まで窓口無料を拡大できるということです。

 そして、検討の中にあったのかはわかりませんけれども、この新年度から国民健康保険の国庫負担金の減額調整について、18歳未満までを対象に廃止されるんですよね。だったら自治体のみなさん、18歳まで拡大できるんじゃないですかというふうに今、全国で広がっているんです。ぜひ決断を求めますがいかがですか。

-村山市長

 原発について、当時災害対応にあたっている中で、これももちろん見なければならないところということでケアをしておりました。そして今後の内容について、これも北陸電力さんに対しても、その都度情報をいただいているところでもあります。一部、ご指摘のところもあったかとは思いますけれども、震災後の混乱の中、市民の安全を守るために重要なところとしてはしっかりと把握をし、そして情報収集をしていきたいというように考えています。

 こども医療費について、これは入院についての医療費の助成制度を先般見直させていただきました。そして通院についてもということだと思いますけれども、現状として低所得者への配慮を行っていることに加え、子育て施策としての充実を様々な観点から行っております。子育て世帯に対して、より魅力的な、そして金沢市で子育てしたいと思えるような環境を整えていくことをまず市として行っていきたいというように思っています。そして医療費の助成などについては本来国の方のレベルで考えるべき話だというように考えております。全国市長会などを通じた要望についても合わせて行っていきたいと考えています。

(クリックするとPDFが表示されます。)

※一括質問形式で質疑しましたが、答弁をわかりやすくするために、一問一答形式に直して表記しています。

―山下
発言の機会を得ましたので、日本共産党市議団の一員として、議案第115号、令和5年度一般会計補正予算第7号について質疑いたします。
質疑に先立ち、能登半島地震により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
能登半島地震、発災から2カ月が経過しました。この間、各地でお話しを聞く中で明らかになったのは、被災地と被災者の現状は、まだ復興の見通しが立たず、 被災された方々の困難や悩み、不安が幾重にも重なっている実態があるということです。本市としても、活用できる制度は対象者に漏れることなく周知し、実情に即した柔軟な制度の構築が不可欠と考えます。そこで、以下、数点にわたりお尋ねします。
まず初めに、 被災宿泊施設改修支援事業費補助についてお尋ねします。
能登半島地震で被災された事業者への支援として、国は、なりわい再建支援補助金制度の活用で、業種を問わず修繕等に対する支援を進めています。今回の被災宿泊施設改修支援事業費補助は金沢市独自の事業ですが、支援する業種を宿泊施設に限定した理由をお聞かせください。
―鳥倉経済局長
2次避難者や被災地応援者の受け入れと今後の観光客の受け入れによる観光振興のためにも、地震により被害を受けた宿泊施設の速やかな復旧が必要であることから、支援制度を創設いたしました。
―山下
本事業となりわい再支援補助金制度は、どちらも被災の程度が問われないため、事業を再建する事業者にとっては広く活用できる制度となっていますが、制度の併用は可能かどうか、お聞かせください。また、併用ができない場合、どちらの制度を活用したら良いか、事業者が選択に迷うことも考えられます。本市としてはどのような活用が適切と考えるか、お伺いします。
―鳥倉経済局長
なりわい再建支援補助金制度との併用はできないこととしておりまして、いずれの制度を利用するかにつきましては、 事業者の方にとってより利用しやすい制度を選択していただきたいと考えております。
―山下
現在市内の宿泊施設は、 2次避難所として、また能登の復旧を担う支援者の宿泊としても重要な役割を果たしています。補助事業を活用し、改修を済ませ、1日も早く事業を再建させることが事業者の願いだと思います。そこで、補助申請の受け付け期間はいつからいつまでになるのか、また、被災後、自力で修繕が終わっている宿泊施設についても補助対象となるのか、明らかにしてください。
―鳥倉経済局長
申請のスケジュールにつきましては、受付は4月30日まで行う予定としております。
能登半島地震による災害発生以降で交付決定前に行われた改修に要する経費につきましても、適正と認められる場合には遡及適用し、補助対象といたします。
―山下
次に、被災家屋公費解体事業費についてお尋ねします。
市内で半壊以上の被災家屋等の解体・撤去を希望があれば公費で実施するというものですが、 対象となりうる半壊以上の家屋等は市内に何件あるのか、明らかにしてください。
また、家屋以外で公費解体・撤去の対象となる建物等もあればお聞かせください。
―村山市長
被災家屋公費解体事業費についてでありますが、 2月末現在、国の基準に基づき公費解体の対象となる半壊以上の家屋等は334件でありますが、この中には、家屋以外のもの、半壊以上の倉庫、物置、納屋、事務所等の建物も含まれております。
―山下
家屋の被害は半壊に満たなかったものの、築50年以上経った家を修繕、耐震工事するには年齢的にも資力的にもどうしたらいいか という方もいらっしゃいます。被害が半壊以下の家屋等への対象拡大は検討してきたのか、お聞かせください。
―村山市長
公費解体は国の基準に基づく制度であるため、対象を拡大することは考えておりません。
―山下
被災した家屋に半壊判定が出た場合でも、今後家屋をどうすべきか判断に悩んでる方もいらっしゃいます。十分に検討、判断する時間や相談窓口も必要です。対象となる方が意思表示できるまで申請期間の余裕が必要だと考えますが、解体撤去はいつまで申請が可能か、お聞かせください。
―村山市長
申請については年末を目処に終えたいと考えています。
―山下
先日、珠洲では緊急の公費解体が開始されました。これから能登地域を中心に公費解体が進んでいく中で、市内において解体撤去を担う事業者をどのように確保していかれるのか、お伺いします。
―村山市長
解体業者の確保についても県に協力要請しているところであり、円滑な事業実施が図られるよう、引き続き解体業者の確保に努めてまいります。
―山下
解体撤去を実施することで発生する災害廃棄物の発生量の推計や処理計画はどうなっているか、お聞かせください。
―村山市長
国の指針による廃棄物発生量と本市の予定解体件数から、 災害廃棄物は約1万トン発生すると見込んでおりますが、本市が有するごみ処理施設での適正処理が可能であります。資源化処理を含め、民間の処理業者等の協力も得ながら、市民の日常生活に支障が出ないよう処理してまいりたいと考えています。
―山下
次に、被災者生活家電購入助成費についてお尋ねします。
2月に入り、災害救助法の対象にならない生活家電購入費用の助成が県から打ち出されました。みなし仮設住宅に入居された方から、居住の被災状況を問わないこともあり、本当に助かると声を聞いています。ただ、この間、幾つも制度が案内される中で、対象者への周知が不十分な現状があります。テレビのテロップで流れている、ホームページを見てください、LINE登録してください、では対象者全てに届きません。この助成制度の活用は、生活を再建するための大きな一歩となります。対象者へ案内が確実に届くよう、どのように周知徹底されるのか、お聞かせください。
―村山市長
被災者生活家電購入助成費の制度の周知につきましては、本市の被災者生活支援総合窓口に相談に訪れる方に対し本助成制度を案内するほか、ホームページやSNSなども活用してまいります。また、すでに生活家電を購入された方も助成対象としておりまして、市営住宅に入居された方に対しては個別に連絡をしてまいりますほか、県営住宅や賃貸型応急住宅等に入居された方の情報を共有し、県との連携を図って制度の周知を図ってまいります。
―山下
災害救助法に基づく衣類や寝具、台所用品等の生活必需品の給与については現物給付となっており、手持ち現金がなくても配布されます。生活家電購入助成については、現物給付ではなく、いったん自分で対象となる家電を購入した後、市へ申請をすれば償還払いされるというものです。家電を購入できるだけの現金がない方は、例えば家具什器制度のように見積もりを取ってもらい現金を給付するなど、現金がなくても生活家電を揃えられる検討がされたのか、お伺いします。
―村山市長
本事業は、現物での支給ではなく、応急仮設住宅入居者への災害救助法の対象とならない生活家電の購入費用を助成する制度としております。購入費用がないというご相談に対しましては、市社会福祉協議会の緊急小口資金の特例貸付制度を紹介しております。
―山下
購入助成費は、冷蔵庫、テレビ、洗濯機の3つが購入の対象ですが、1つの家電の購入費は6万円を上限とし、3つで上限13万円までとなっています。家族の人数が多ければ、 冷蔵庫や洗濯機は大きなものを選択せざるを得ません。そうすると、価格を13万円以内で抑えることは難しくなります。購入限度額13万円を超える購入費になった場合、市独自の支援はあるのか、お聞かせください。
―村山市長
限度額につきましては、石川県全体で同様としております。ご指摘の超過分については、本市独自の支援は考えておりません。

山下明希議員

―山下
次に、能登被災者食事支援費についてお尋ねします。
災害救助法に基づく食事提供は、国や県が責任を持ち実施しなければなりません。発生から2カ月過ぎた今も、食事提供がなく2次避難をしている方がいる現状です。今現在、 市内の2次避難所と避難者の数、そのうち食事提供がない2次避難所と避難者の数を明らかにしてください。
―鳥倉経済局長
避難者を受け入れる宿泊施設等についてのお尋ねでございました。昨日の時点で県から提供されました避難者リストによりますと、 避難者を受け入れております宿泊施設は126施設で、避難者は約2000人でございます。このうち、食事の提供のない宿泊施設は40施設で、人数は約350人となっております。
―山下
今回の被災者への支援の中で、本市が独自の食事支援を打ち出したわけですが、炊き出しや食品、弁当などの提供ではなく、プリペイドカードや食事券を提供する食事支援とした理由をお聞かせください。
―村山市長
被災宿泊施設等に2次避難されている方については、石川県が把握する名簿を日々変動しているほか、施設の数も多く、個別に食事を配布することが難しいといった事情に加えまして、不自由な避難生活の中で、可能な方であればご自身で栄養バランスの取れた食事を選ぶことができるように、現物給付ではないプリペイドカードの配布による支援といたしました。
―山下
プリペイドカードと食事券の提供は対象者へ事前に引き換え券をお渡しするとお聞きしていますが、市内で家族や親戚、知人宅に避難している方々へはどのように周知し、提供されるのか、お聞かせください。また、市内のみなし仮設住宅に入居されている方々は対象になるか、なるのかもお伺いします。
―村山市長
周知については、SNSやホームページを活用しているほか、県から提供を受けている名簿に記載されていない方や親戚宅に避難している方に対しては、配布会場において申請を受け付け、交付するなど、柔軟に対応してまいります。なお、今回の支援は宿泊施設などに2次避難している方々へのものでありまして、公営住宅や賃貸型応急住宅などに入居している方は対象としておりません。
―山下
食事券は市観光協会が発行するものですが、使用できる店舗が限られています。店舗を限定せず、どの飲食店でも使用できる方法は検討されなかったのかをお聞かせください。
―村山市長
新たな食事券提供制度を構築されるためには一定の時間と経費を必要とすることから、できる限り早期に支援を行うために、既存の食事券である金沢美味チケットを有効に活用することといたしました。
―山下
現在、ライフラインの復旧や能登地域での応急仮設住宅の建設が進んでいるものの、いつ能登へ戻れるのか見通しの立たない現状もあります。3月を過ぎても2次避難所で過ごすということも考えられますが、プリペイドカード、食事券の提供はいつまで継続されるのか、お聞かせください。
―村山市長
プリペイドカード等の配布については、現時点では提供期間を今月末までを1つのめどとしておりますが、今後、避難者の仮設住宅等への入居状況等を見極めながら 柔軟に対応することも必要と考えております。石川県とよく協議をしてまいりたいと思います。
―山下
この事業は2月26日からすでに開始をされています。補正予算の議決を待たずに執行されました。被災された方々への支援は1日も早く届くようにという共通の思いはありますが、予算については議会の議決を経て執行することを議会制民主主義において守らなければなりません。市長、今回の対応は適切なのか、お聞かせください。
―川端総務局長
能登避難所の食事支援費に関しまして、2月26日から配布していることに関してのお尋ねございました。地方自治法の規定では、予算の執行上必要がある場合に限りこれを猶予することができるとされており、今回は、2次避難所で食事提供のない被災者に対する経済的な負担を考慮し、緊急的、臨時的な措置として、被災者支援を目的とした同じ費目である災害救助費の帰結予算を流用して執行するものであり、法の規定に基づくものと考えております。
―山下
次に、金沢の買い物応援商品券事業費についてお尋ねします。
商店街が発行する商品券事業は、コロナ禍での経済対策、そして物価高騰対策でも行われてきました。これまでの商品券事業においては、プレミアム率は20%もしくは30%でありました。今回初めて40%というプレミアム率となっていますが、ここまで大幅な利率となった理由をお聞かせください。
―村山市長
金沢の買い物応援商品券事業費であります。地震による影響を強く受ける飲食店等への支援として、即効性の高い消費喚起策を速やかに実行する必要があると考え、これまでの運営ノウハウと実績がある商店街が発行するプレミアム商品券に対して、震災復興拡充分としてプレミアム率20%を上乗せすることといたしました。
―山下
地震の影響で、特に1月は様々な行事が中止となり、市内の飲食店の方からは週末でも全くお客さんがいないという声を聞きました。今回の商品券事業は、そうした地震の影響を強く受ける飲食店等での消費を喚起するためということですが、 まず、商店街に加盟していない店舗は対象になりません。そして、プレミアム率が高いので、高額な買い物に使用したいという声もある中、市内の飲食店等での消費を確実に呼び込むという事業の目的にしっかりつながるのか、見解を伺います。
―村山市長
今回の震災復興拡充分については、消費の低迷により影響を強く受けている飲食店等での利用について各商店街に呼び掛けていくとともに、 市民はもとより、観光客や被災地応援者などへの消費喚起効果も幅広く波及させていきたいと考えております。
―山下
最後に、能登応援震災復興キャンペーン事業費についてお尋ねをします。
発生から2カ月が経過し、命と健康を守る段階から、生活やなりわいを守る段階へと少しずつ移行している中、能登の産業、生産者への支援はこれからも求められています。
この事業は、北陸新幹線の金沢敦賀間の開業を契機として、能登物産展を金沢駅で開催するものですが、能登地域のどのような産業と、またどのような皆さんと提携して行われるのか、お聞かせください。
―鳥倉経済局長
この事業でございますが、能登の魅力発信のために行うものでございまして、 現在、連携先について、能登ゆかりの団体等を通じて準備を行っているところでございます。
―山下
今回の事業が能登の地場産業を支援するものになることを期待しておりますが、物産展の収益等は能登の産業の支援にすべて活用されるのかお伺いをして、私の質疑を終わります。
―鳥倉経済局長
物産店での売り上げにつきましては、全て能登の事業者の販売収入となることを想定いたしておりまして、 同時に、物産展会場におきまして義援金の呼び掛けも行う予定といたしております。

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