2010年9月15日
定例第3回金沢市議会 質問原稿
日本共産党 升 きよみ
私は、日本共産党市議員団として、市長及び、関係者に質問致します。
第1は、6選出馬表明された市長の所信と政治姿勢について伺います。
有権者、市民は、昨年の自公政権退場の審判に続き、先の参議院選挙では、民主党政権に厳しい審判を下しました。長きにわたる自公政治でとりわけ、構造改革路線による貧困と格差の解消をはじめとするこれまでの政治を変えたいとした思いが、いまだに民主党新政権下でも示されない中で閉塞感に満ちた政治の打開を求め、その道を真剣に模索している状況下で、市長選を迎えます。先の市長の6選出馬表明以後、市民の方々のお声をお聞きしました。
「えー。市長まだお出になるの。まだ市長はなにされたいんかね。」「世界都市もいいけど、これからどんな金沢にしようと言うがや。」「私らの生活のことも考えてや。」「次の人育っておいでんがかねぇ。」「市長は他の人に譲れんがかねぇ。」「今、私らの生活大変や。若いもんに仕事がないし、これから先どうなるのか不安やけど、そんな私らの生活、わかっておいでるんかねぇ。」等のお声がありました。言葉をあらげないまでも、市民の中にある率直な思いが語られました。
市長はなんと言っても大きな権限を持つ市のトップの座におられます。それだけに、市民の直接の声が聞こえにくいのかもしれませんが、こうした生の声が届いておられますか。
この度の市長の施政方針をお聞きしましたが、今日、市民が求めている願いや、今の政治を変えたいと思う市民の声に本当に応えているのか。それは率直なところ、全く聞こえませんでしたが、如何でしょう。
市長は、北陸新幹線の開業4年後に控えこのまちを日本の内外にひらいていく為にその道程を一歩、確かにしていく為に意を固めたとおっしゃいました。そして今一度、初心に返って市政運営にあたり、志と情熱を持って市政の発展に燃焼し尽くすと表明されました。しかしそこには、今日の市民生活の実態に応えたメッセージが伝わってまいりませんでした。
20年前の市長の市政方針を振り返りますと市長は、市政発展と市民福祉の向上に精進する。市民一人ひとりの明日への幸せを求めると高らかに話しておられました。その言葉を思い出しながら今回、お聞きしておりましたが全く市民の一人ひとりを大切にするとしたことが語られませんでした。
この4月から、ハローワークで失業により社会保険から国民健康保険に替わり、保険料軽減をする人が1000人近い状況、国保世帯の2割が保険料が納められず滞納し、生活が厳しく窓口に行くと滞納分の納入を言われ結局、医者へも行けないと訴える方もいます。老舗の地元企業の自己破産等、倒産や失業と、深刻な状況にある方々が増え続けている現状を見ますと、そうした生活困難の打開方向が示されておりません。
少なくとも市長は、かつて社会的に弱い人達に温かい手を差し伸べ障害のある方や、子ども達の健やかな成長を願って、あくまでも市民本位とした思いやりの市政を進めていくとおっしゃっておりましたが、今や市民ひとり一人が大切にされ、又、福祉を優先させる政治姿勢が失われつつあるのではありませんか。
ところで市長は20年前、本市は、国際文化産業都市の建設を目指して行くとしておられましたが、その到達状況はどうなっていますか。少なくとも、この間の市政がどうあったのか検証が必要です。
市政のすべての分野を語れませんが、産業都市を掲げるならば、地元の中小企業の方々の苦境打開がどう図られていくのかなど、示されるべきです。
我が党はこれまで税金のムダづかいや一部の特定企業に偏った市政に厳しく指摘をしました。この間、市長は、国の政治に追随しながら大型開発をすすめ、その結果、市民ひとり56万円と中核都市でも4番目に高い借金を抱え、今議会でも借金返済に10億円を支出する状況です。
市長は、今回、コマツや横河電機などの世界企業の立地をみるなど、本市産業の厚みは着実に増しているとおっしゃいました。
しかし果たして本市の中小企業の方々が元気が出ているのでしょうか。
市長が就任された20年前からみて今は製造業の事業所の数は2200件、従業員数では1500人程が減りました。同時に卸売り業では、900店、従業員数では8000人が減り、小売業では、従業員数はあまり変わらないものの、2000店の店舗が減っている現状にあります。地元企業のこうした実態から見て、市長はこれで活力ある街、産業都市、本市産業の厚みは着実に増していると本気でお考えですか。
地元企業が栄えて希望のみえる市勢が本当に示されるのですか。どんな金沢を描かれているのか、市長のご所見を伺います。
質問の第2点
次に二元代表制についての市長の御見解を伺います。
このところ、大阪府の橋本知事の議会、内閣制提案や名古屋市の河村市長の議会解散リコール運動などで、一気に地方自治の原則である議会と首長のどちらも選ぶ二元代表制のことが話題を呼んでおります。私共、議会関係者にとっては、あらためて憲法と地方自治法に基づく、議会制民主主義の尊重の立場からも、首長と議会のあり方を明確にし、市民の付託に応えるべく、地方自治を進めていかなければなりません。
ご承知の様に日本の自治制度は二元代表制を採用し、住民から直接選ばれた首長と議会がチェックアンドバランスの関係で互いに独断や暴走を防ぐ民主主義を保障する仕組みで行っています。
それにより、首長と議会議員は各々、住民によって選挙される公選職であり、その民主的正統性に差異がなく、その意味で首長と議員は対等であり、どちらが上司でもなく、部下という関係でもなく相互に切磋琢磨して、牽制と協力によって全体としての自治体運営が適正に機能することを目指しています。
ですから首長と議会が喰い違った場合は、両者で一致点を見出していくことは当然です。他都市の事ではありますが、名古屋市の河村市市長の議会否定の異常や専決処分乱発の阿久根市長に道理がないことは明白です。
近年、市民の政治への関心や参加が活発になる中では、従来型の町会等対象の「わが町トーク」やパブリックコメント等、広報広聴のあり方や、市民参加前提での議会との関係も検討されなければなりません。首長の権限等が強すぎる中で専決処分までに至らずとも議会軽視の傾向などに対し、色々意見のあるところです。
市長、市長はこの二元代表制について、どうお考えですか。
又、議会に対してどう向き合っておられますか。これまでにも問題はなかったのか。ご所見を伺うものです。
質問の第3点は、
相次ぐ職員不祥事に関連してです。
今年度に入り、職員の逮捕者が3人と不祥事に歯止めがかからない状態に市職員に比較的、暖かい眼で見ている市民の方でも、さすがに「一体、どうなっているの?金沢市役所は?」「市長を初め、幹部の方々はどんな職員教育をしているのか。」「上がたるんでいるからではないか。」等ストレートに市民の方から厳しく言われます。
人材育成如何によっては、自治体の将来に大きく左右するだけに新しい時代を生き抜くために、自治体首長はどの様なポリシーで
人材を育てていくのか問われております。
そんな折での市職員の連続不祥事は、極めて残念至極です。ストーカー、その為の他の個人情報漏洩が簡単になされたことや、盗撮や公然ワイセツと、モラルに反する恥ずべき行為が行われたことは、規範とすべき幹部職員だけになんとも言いようがありません。
近年、公務員に対する市民の目線はより厳しく、賃金や待遇についてのバッシングとなっている折、大きく他の職員全体に影響を及ぼしています。 改めて職員においては、パブリックサーバント(公僕)としての意識づけ教育が必要ではないでしょうか。
市長、こうした事態を招いた原因、人事管理のあり方に問題はなかったですか。
職員が誇りと希望のもてる職場環境になっていますか。
人材育成、職員教育がどのように進められていますか。再発防止策について伺います。
ところでこの間、地方行革に基づく、職員削減が進み、多様な市民要望と業務量、それに充分対応できない等により過度なストレスによる解消のしかたが充分でない職員もあると思われます。
職員の心の病気をはじめとする健康管理の実態は如何なっているかも併せて伺います。
質問の第4点は、福祉、教育分野での雇用創出をと仕事起こしについてです。
1に雇用、2に雇用、と言われる程、今日、雇用問題が深刻化しております。
金沢公共職業安定所管内でみても職を求める人12500人、求人倍率0.59と依然として厳しい状況にあります。
失業者が増え、雇用不安が高まる状況では、経済危機に拍車がかかり、少子化への影響にもなる。自殺や犯罪の増大との関連も指摘される等々、雇用危機を打開し雇用確保の対策をすすめる事が重要となっています。それ故、政治を司る者にとっては、雇用問題の解決策を示すことは、極めて重要であります。
それには、雇用創出の新たな積極的な提案を思いきって進めて行かなければなりません。我が党は度重ねて、福祉教育分野における雇用拡大を図ることを提案してまいりました。
保育士の配置、グループホームや介護施設、障害者施設での職員配置など、人手不足の福祉の現場での積極的な雇用拡大をすすめることですが、市長は、新たな雇用創出を如何お考えなのか伺います。
政府はこれまで雇用創出の目玉として、緊急雇用事業として、時限的措置として進めておりますが、長期に安定した雇用を創出する立場から、自治体の責任で効果ある公的就労をすすめることが必要です。
そこで先ず、本市の福祉健康局部門や教育部門での積極的な雇用確保が必要と考えます。
ちなみに、本市の職員数は、現在3275名。10年前と比べると正規職員は430名も減っており、それにかわって非常勤、臨時職員が223名と増えております。
当時と比べ年々業務量が増え、多岐にわたる市民要求に向き合っている職場、とりわけ、福祉健康局、教育委員会の分野での雇用創出が必要です。そのお考えがありますか。
そして、不況にあえぐ地元企業への仕事起こしについてです。
本市は住宅支援制度としてまちなかで住宅新築や購入、空き家や町屋の改修等に又、高齢者等の住宅改修等への助成金制度を実施しております。定住促進のための事業のみでなく、地域の小規模な住宅関係の業者の仕事出しにつながっています。こうした住宅支援制度を思い切って拡充する。(たとえばまちなかは、)建築年次の緩和や区域限定を全市域に広げること、更にバリアフリー住宅には融資以外に新しい制度を設けるなど改善が必要ではありませんか。
行政自らが仕事を生み出すお考えはありますか。
質問の第5点、
次に高齢者の安否確認と見守り活動強化を目指すために伺います。
高齢者の所在不明問題が大きな話題を呼びました。長寿日本と言われる中での行政の怠慢や家族の崩壊、貧困社会や地域のありようが問われ、私たちに多くの事を投げかけております。ところで今日は高齢者を見守る活動の重視が言われています。中でも行政が直接に係わることの大切さがあります。地域包括拠点センターと共に、民生委員の方々をはじめとする地域の方々との協力をすすめることは当然ですが、市役所の果たす役割が益々重要となっています。
同時に本市が実施している配食サービスの拡大や個別ゴミ回収等きめ細やかな対策での見守り活動が大切です。
一人暮らしの高齢者の方がベッドの横で倒れているのを、配食サービスの際見つけ、救急車を呼んで一命を取りとめたとか、お弁当を届けに行って戸が開かないので、家に入ってみて、倒れているので遠い家族の方に電話をしたとか色々なエピソードがあります。高齢者のボランティアの方が生き甲斐を感じながらすすめている配食サービスなどは大変歓迎されております。しかし、本市では、その実施が約16000人の一人暮らし、寝たきり、認知症高齢者の10%にも及ばない、一千人程度の状況です。積極的な拡大支援が必要です。
又、身体の不自由な高齢者の方にはゴミ出しも大変です。近くのゴミ集積所に行けない。特に冬期には難儀しています。このところ川口市をはじめ他の自治体で介護保険の認定1以上65歳以上、障害者手帳所持者の方々など希望すれば、市職員が直接自宅訪問し、状況把握とゴミ収集時に安否確認するなど高齢者の見守り支える活動が展開されています。
高齢者の社会的孤立が深刻化している状況下、安否確認など行政による見守り支援体制の強化、声をかけ支えあう地域の取り組みに対しても、積極的支援を図り地域住民と一体となってこそ行うべきです。
質問の最後は、小中学校の規模の適正化についての提言に関してです。
去る8月4日、市立小中学校の規模の適正化に関する懇話会の提言が発表されました。
その内容は少子化による児童生徒の減少、中心市街地の減少と郊外の増などの背景や経緯を踏まえ、小中学校の現状と規模による課題や適正規模の考え方などが明らかにされました。その中心点は概ね、12~24学級を適正規模とすることを基本に、具体的には、新竪、馬場、大野町、材木、野町、味噌蔵、菊川、朝日、俵小の統合及び通学区域の見直し、又、犀生中、小将町中の通学区域の見直しを基本とすることになっております。
そこで、先ずお聞きしたいのは、今回教育委員会が懇話会の提言を求めた真意は何でしょうか。教育的見地ですか。経済的、効率的見地からですか。これまで各々の校下住民から学校統廃合や通学区域の見直しの要望が出ているのですか。少なくとも地域住民や学校関係者からは統廃合や通学区域の見直しではなく、一日も早く老朽化した学校の改修、耐震化を求める声ではありませんか。
児童生徒の教育が中心とおっしゃるのであれば、学校規模の前提となる少人数学級の拡大や実施ではありませんか。
(なによりも児童、生徒、どの子も一人ひとり大切にされ、ゆとりあるわかる授業をすすめる、少人数学級を拡大することが最優先ではありませんか。)学校は地域のセンター、文化の拠点とも言えるものです。学校統合や通学区域の見直しについては、初めに結論ありきの方向でスタートするのではなく、慎重にすべきです。基本的な所見を伺います。