新年度予算を中心にお話しします。
みなさんのご意見もうかがいます。

新年度予算を中心にお話しします。
みなさんのご意見もうかがいます。
私は、日本共産党市議員団を代表して、反対討論を行います。
わが党は、提出された議案62件のうち、議案第65号、議案第67号、議案第71号、議案第72号、議案第75号、議案第76号、議案第81号、議案第85号、議案第88号、議案第94号、議案第100号、議案第101号、議案第104号、議案第123号の以上14の議案に反対であります。
その主な理由を述べます。
市民生活と営業をめぐる状況は、一段と厳しい状況を迎えています。厚生労働省が行った国民生活基礎調査で生活が「苦しい」と回答した世帯は約6割にのぼっています。また、中小企業をめぐっては、諸経費の値上がりが続き、業績改善は容易ではなく、今後は倒産、廃業が増加する事態となっています。こうした中、「政治とカネ」をめぐる問題で政治不信が極限まで高まっています。石破首相の10万円商品券配布問題は、厳しい世論が沸き起こっています。高額療養費引き上げをめぐって国民の批判の高まりの中、実施凍結に追い込まれました。
共同通信社が、今月の22日23日に実施した世論調査によると、石破内閣に対する支持率が1か月前に実施した調査から12.0ポイント急落し、27.6%だったことが報道されました。
石破内閣は、国民の信頼を失っています。
新年度国の予算において、9兆円にも上る防衛費計上は、まさに暮らしと平和を壊す政治そのものとなっています。こうした中、金沢市新年度予算が一般会計で初めて2000億円を超える規模となりましたが、わが党は、市民生活と営業を守る上で市政の転換を求めるものです。
第1に、市民の願いにこたえた予算となっていません。まず、市民負担を増やすことには、反対です。
その1に、国民健康保険料を引き上ることです。前年度に比べ平均で12.5%引き上げられ、金額で1万3942円の増加となります。中には、45歳の夫婦で、夫だけの収入、中学生と高校生の子ども二人の世帯では、年間の引き上げ額が7万円を超える保険料の引き上げとなります。
かつてない大幅な保険料の引き上げです。今でさえ、負担感の強い国民健康保険料が
これだけ引き上げられると加入者の負担感はさらに高まります。保険料の引き上げを中止し、支払える保険料にすることを求めるものです。
その2に、予防接種の自己負担が増えます。高齢者コロナ感染症予防接種料の個人負担が2300円から5200円へ。高齢者インフルエンザ予防接種の個人負担が1400円から1500円へ増えることに反対です。
次に、市民生活にかかわる課題にこたえたものとなっていません。
その1に、学校給食費無償化の実施です。国は、2026年度から小学校から学校給食費の無償化を検討するとしています。こうした中、県内の自治体では、それに先がけて無償化実施を打ち出し、実行しています。一方、市長は、かたくなに無償化実施を拒否し市民の願いに背を向けている姿とは対照的です。
その2に、子ども医療費助成制度について、通院も18歳まで対象を広げ、無料とすることを強く求めます。18歳まで対象を拡充していないのは、金沢市だけとなっています。子育てのしやすい金沢市をめざすというならば、まず、この制度の拡充に取り組むべきです。
その3に、保育料の引き下げ実施です。今回、3歳未満児を対象に二人目の子どもさんの保育料を無償化するとしています。負担感の強い、保育料の引き下げ実施を強く求めます。
その4に、高齢者の補聴器購入にあたっての助成制度の創設です。誰もが年を重ねと身体機能の低下が起こってきます。耳が聞こえにくくなることへの不安をなくし、自分らしい生活水準を維持していく上でこの制度の創設への願いにこたえることを求めます。後期高齢者医療制度は、75歳を持って別の医療制度に移行すると共に、高齢者の一部負担が増やされていくことには、反対です。
今議会に、用水路上に立地する市所有の既存不適格建築物である材木消防分団機械器具置場について、住民負担を伴わない至急の適正化を求める地域住民11名の方々から陳情が提出されました。わが党は、この陳情に賛成であります。
したがって、こうした地域住民の要望が予算に反映されないことから予算措置に対して同意できないことを表明いたします。
なお、金沢方式の見直しをめぐって、様々な角度から意見が交わされてきました。今回、公民館や消防分団関係に関する住民負担の軽減が打ち出されたものの、住民負担をなくすという立場からの検証や考え方の見直しがされたものではありません。引き続き、検証と検討を求めておきたいと思います。
第2に、大型開発事業には反対です。
その1に、金沢港湾事業です。この事業は、38豪雪を経験したことから、金沢港からの輸送ルートを確保する必要があるとして、整備事業が始まりました。しかし、大きな転機となったのが、大手企業のコマツが進出し、大型機械の輸出するために、大浜ふ頭を大深水岸壁に改良する事業が始まったことです。そして、クルーズ船を金沢港に呼びこむとして無量寺岸壁などの改良事業です。その結果、金沢港湾事業の全体事業費は、2006年から2026年の20年間で、464億円となり、そのうち、金沢市負担が88億円にのぼり、新年度予算では、7億6370万円が計上されています。市民の理解を得らないことから反対です。なお、代表質問で取り上げましたが、金沢港を「特定利用港湾」に指定する問題です。これは、自衛隊や海上保安庁が訓練等に円滑に利用できるよう指定するものです。金沢港が軍事利用される恐れがあり、戦争する国づくりへと進めるものだとして批判が広がっています。金沢港を「特定利用港湾」に指定することに反対であります。
その2に、都市再生緊急整備地域の指定を受け、金沢駅周辺から武蔵地区、香林坊、片町地区の都心軸にそった開発事業が進められようとしています。これまで、市民と共に作り上げてきたまちづくりと高さ制限などの景観方針を覆し、市民の理解と合意のないまま進められようとする開発事業には反対です。
第3に、市民の理解と合意なしに進められている事業について反対です。
その1に、マイナンバー制度を国民に押し付け、次々に制度の拡大が進められています。マイナ保険証は、昨年12月2日から従来の保険証が廃止され、国民に押し付けられてきています。しかし、医療機関からも批判が続き、従来の保険証の継続が求められています。
その2に、市民からの電話による対応についてです。保健所でのAIによる電話対応が拡大され、納税窓口では、相談窓口や、電話による対応を民間に委託化し、国民健康保険業務での電話対応が民間に委託化されます。行政が責任を持って、市民からの対応に当たるべきです。
第4に、教育行政に関して、
その1に、学校給食についてです。南部共同調理場建設と設置に関する条例に反対です。今年、9月から供用開始となります。わずか4か所あった小学校の単独調理場がなくなり、中規模の共同調理場が統廃合され、一日8000食にのぼる大型共同調理場がつくられました。しかも、調理の民間委託方式が採用されます。全国的には、単独校方式が半分、共同調理場方式が半分であることから金沢市がすべて共同調理場方式となり、特異的な対応となっています。同意することは、できません。
その2に、小中学校にデジタル化新設に1億円を超える予算、学習用末端の活用等によるGIGAスクール環境の充実に6億円の予算が投じられようとしています。また、金沢市独自の学力テストが引き続き予算化されました。子どもたちに寄り添う教育の実践からはかけ離れたものであり、同意できません。
第5に、職員の定数に関して、64人が増員され、54人が減員される内容となっています。その減員には、技能職員の定年による退職者不補充や保育所給食調理業務の委託化よる職員の削減が行われます。このことから反対です。
第6に、水道事業と工業用水道事業に反対です。水道事業において、自己水の4倍も高い県水を膨大に受け入れ、安くておいしい自己水を3割程度しか利用していません。
県水受水契約により、契約水量の6割が押し付けられ、年間の県水受水費用は、年間24.5億円と経常費用に占める割合は30%にのぼります。安くておいしい自己水を基本とする水道行政に転換すべきです。
工業用水道事業は、森本にあるテクノパーク工業用地に立地した企業に供給するものです。発足以来、給水料金では賄えず、赤字額を一般会計から補填し続けています。新年度予算では、3400万円にのぼります。市民の理解を得られるものなく、反対です。
第7に、議案第81号は、金沢市一般職の任期付職員の採用及び給与に関する条例制定です。金沢市職員は、正規職員を基本として採用すべきです。現在、金沢市役所職員の内、会計年度任用職員が1579人と全体の35.6%にのぼります。正規職員の採用こそ拡充すべきであり、同意できません。
議案第88号は、職員の配偶者扶養手当の廃止が盛り込まれていることから、
議案第100号は、保育事業に規制緩和が行わることからいずれも、反対です。
議案第104号は、金沢市城北市民運動公園について、指定管理導入のための条例であり、議案第123号は、金沢駅東駐車場及び武蔵地下駐車場について、民間の大手企業に指定管理を行うものです。金沢市が直接管理運営することを求め、いずれの議案にも反対です。
次に、陳情・請願についてです。
請願第7号高額療養費改定の一旦凍結を求める請願は、石川県社会保障推進協議会の代表委員から提出されました。ガンを患いながら、生活を送っている患者団体から悲痛の叫びと反対の声が広がり石破首相は、引き上げを凍結へと変更に追い込まれました。患者団体は、高額療養費引き上げを行わないよう求めています。その実現をめざし、奮闘する決意を込めて、賛成いたします。
陳情第17号は、用水路上に立地する市所有の既存不適格建築物である材木消防分団機械器具置場について、住民負担を伴わない至急の適正化を求めるもので、地域住民から提出されました。審議された常任委員会で、一般会計予算が採択されたことから一時不再議をもってこの陳情が不採択としましたが、市民から提出された陳情について、十分審議され、採決が行われるべきと考えます。わが党は、この陳情に賛成です。
陳情第18号は、政務調査費領収書ネット公開についての陳情で、市民オンブズマン石川の代表幹事から提出されました。政務活動費の領収書は、公開されていますが、ネット公開することを求めるこの陳情に、賛成です。
よって、以上の請願・陳情について、審議された各常任委員会と議会運営委員会での否決に対し、反対であります。以上で反対討論を終わります。
私は提出者を代表して、議会議案第37号「米の安定供給の保障を求める意見書」について、提案理由説明を行います。
日本の食卓に欠かせないコメの値上がりが止まりません。昨年夏のコメ不足・価格高騰に対し政府は「新米が出回ればコメ不足は解消し値段も下がる」と繰り返し述べてきました。新米が出荷されると、店頭などの品不足はなくなりましたが、価格はその後も上がり続けています。3月21日に総務省が発表した2月の全国消費者物価指数では、コメ類は前年同月比80.9%上昇し、5カ月連続で過去最大の上昇率を更新しました。1年前店頭では、5キロ当たり2000円台だったものが、4000円台と平均価格が2倍近くに達し、家計を直撃しています。政府は備蓄米の放出を決定し、コメの価格が下がることを期待しますが、これは一時的な対策にすぎません。
長引く米不足と価格高騰の背景には、消費量が毎年減少することを前提に米の生産量をぎりぎりに抑え、流通や価格を市場に委ねてきた米政策があります。米農家は2000年以降、175万戸から約3分の1に減少し、70歳以上の生産者が約6割を占めます。帝国データバンクの調査では24年の米農家の倒産、廃業件数は過去最高となるなど、米の生産基盤は著しく弱体化しています。米価が回復してきたとはいえ、長年の低米価に苦しんできた米農家には、資材の高騰や過去の赤字の穴埋めで余裕はありません。米の価格高騰によって消費者の米離れが進めば、再び米価が下落するのではないかという不安も広がっています。
いま求められるのは、国民のくらしや疲弊する生産現場を直視し、米政策を抜本的に転換することです。国は、需給と価格の安定に責任を持ち、ゆとりある需給見通しのもとで生産と備蓄を拡大すべきです。様々な要因で需給バランスが崩れた際には、過剰時には備蓄米を増やし、不足時には放出する仕組みを強化することが必要です。そして何より、生産者が将来にわたり安心して生産に励める環境を国の責任で整え、生産基盤の弱体化に歯止めをかけることが急務です。
この意見書は、国に対して、コメの安定供給の保障のために、農業関連予算を大幅に増額し、再生産を可能にする価格保証や所得補償を抜本的に充実させるよう強く求めるものです。議員各位の賛同をお願いしまして提案理由説明といたします。
わたしは、提出者を代表して議会議案第36号「消費税の減税を求める意見書」の提案理由説明を行います。
現在国会では、所得税の課税最低限の引き上げが議論され、それが税制の中心課題であるかのようになっています。もちろん、長年据え置かれてきた課税最低限を引き上げることは必要なことです。しかし一方で、消費税は逆進性のため、税全体の累進性、すなわち所得の多い人ほど厚く負担するという所得再配分の基礎が失われています。消費税の負担にメスを入れることが重要です。
消費税の負担割合についてみると、年収900万円以下の世帯までは所得税より消費税の負担割合のほうが高く、年収に対する税全体の負担率も10%前後で推移し累進性がありません。
つまり、中間所得層も含め最も重い税金は消費税であり、低所得になればなるほど消費税によってくらしが追い詰められています。年収200万円以下では所得税の負担率は0.6%、消費税は10倍以上の6.3%になり、年間12万6000円もの負担です。
しかし、その一方で、大企業や富裕層には減税が行われてきました。
1989年に消費税が導入され、この37年間で571兆円もの税収に達していますが、かたや大企業の法人税や富裕層の所得税などの減税は605兆円にも及んでおり、消費税はこの減収の穴埋めに使われたにすぎません。
応能負担の原則に立ち返り、大企業の法人税をアベノミクス以前の税率に戻し、「1億円の壁」と呼ばれる富裕層への税優遇を是正すれば、15兆円の税収が見込まれ消費税を5%引き下げることが可能です。金沢市でも多くの市民が年収900万円以下の世帯です。ぜひ、金沢市からも消費税減税の意見書をあげていきましょう。みなさんのご賛同をお願いして提案理由説明といたします。
-広田委員
質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として質問いたします。
まずは、金沢方式にかかわってです。
本会議で市長は、材木消防分団の機械器具置場整備について、両町会連合会の合意が得られたとしました。しかし、住民から出された「市の設置を求める」要望書には町会長の名前もあります。
そして、そもそもなぜ町会連合会の合意なのかと疑問の声も寄せられています。
そこで、先日の総務常任委員会で確認したところ、予算を作成した財政部局は、担当課である消防局にて地元合意の確認をし予算化したとのことで、財政部局は要望書は見ていないそうです。
では、消防局の方で町会連合会の合意が得られているという根拠をお持ちなのか、なにか書類が出ているのなら、いつ、どなたが出したのかあきらかにしてください。
-蔵消防局長
材木消防分団の機械器具置場の建設に関しましては、材木・味噌蔵両地区の町会連合会において合意が得られたうえで、材木消防分団分団長から令和6年11月18日付で補助要望書の提出がありました。
-広田委員
今、言葉では両町会の合意が得られたうえでとおっしゃいましたけれども、書面はあくまでも材木分団からということです。となると、はっきりとした根拠としては、「町会・町連の同意」というのは違うのではないですか。
-蔵消防局長
材木消防分団からの提出にありましては、材木・味噌蔵両地区の町会連合会において合意が得られたものと承知をしており、そのことを踏まえて発言させていただいたものでございます。
-広田委員
分団から出された書類のどこに、そのことが明記されているんでしょうか。
-蔵消防局長
要望書の中には、町会連合会等の名前は記載されておりません。
-広田委員
あくまで、客観的に見た根拠というのはその書類しかありませんから、消防分団が出したもの、ということに他なりません。
市長、町会連合会からとおっしゃいましたけれど、いかがかということと、私聞いていて思ったんですけれど、消防分団から市長に書類を出すというのは、同じ市の組織なのにそんな提出の仕方があるんでしょうか。
-蔵消防局長
消防分団長から提出される要望書につきましては、あくまでも地域の合意を得たうえでの提出だというふうに、こちらの方では捉えておるところでございます。
-広田委員
あきらかな証拠としては、とても弱いというふうに思いますし、消防分団は市長の管理下にある組織ですよ。その組織から市長宛に出された、まぁ内部文書ですよね、はっきり言って。地域の意見が反映されている根拠とはなり得ないと思いますが、市長、いかがですか。
-村山市長
これまでも消防分団の機械器具置場の整備についての要望というのは、各分団からいただいているというものでありますので、特段、材木分団から提出されたものに対しての疑いというか、疑義は生じないものと考えております。
-広田委員
重ねて申し上げますけれども、消防分団は市長の管理下であり、市の内部組織です。そこから市長に出された文書が、地域の意見を反映しているとは到底言えませんし、慣例・慣習で地域の意見が出され、まとまったら消防さんが出すということにしていたのならば、それは多くの市民に説明がつきませんから、改めるべきです。
どちらにせよ、「市の設置を求める要望書」が出されたのはそのあとの2月21日です。総務常任委員会では、市長は見られているという秘書課からのご答弁でした。同日、消防局へわたったとのことですが、この機械器具置場は市の所有・管理物件であり、消防組織・施設の管理責任は、くどいですが市長にあります。市長から何と言って消防局へお渡しになったのでしょうか。
-蔵消防局長
消防局には、内容についてしっかりと確認するよう市長より指示を受けております。なお、陳情書の趣旨につきましては、住民負担を伴わない整備と理解しており、地域による一定の負担を含め、地域主導・ボランティアといった本市の地域コミュニティの特徴は今後も継承すべきだというふうに考えているところでございます。
-広田委員
市長から確認しなさいと言われたけれども、金沢方式は地元負担が必要なので、確認されなかったということですか。この要望書に関して、出された方々に確認や、町会連合会の方にもう一度お話を聞くという確認はされずに終わったということですか。
-蔵消防局長
要望書の提出を受けた時点で、町会連合会の会長さん並びに分団長さんにもその内容について確認をさせていただきました。先ほど言いましたように、その趣旨については地元負担を全くなくする、金沢方式というもの自体をなくするという趣旨でありましたので、こちらの方ではそれは違うというふうに考えまして、対応したところでございます。
-広田委員
それは金沢方式という政策の話であって、消防局長が判断する話じゃないですよね。あくまで担当課は、合意が得られているかという金沢方式の仕組みにおいてしっかり確認しなければいけなかったんですよ。そこが抜けてますよね。それは認めますか。
-蔵消防局長
あの要望書をいただいたのちに、両町会連合会の会長さんにもしっかり確認をさせていただきました。これについては町会連合会の役員等もすべて出席している会議ということで、地元の総意というふうに言ってもらっても結構ですというふうに答えをいただいているところでございます。
-広田委員
これまで繰り返し、「総意」ってなんなんだろうということが議会でも議論になってきたわけですけれども、役員の方が総意だと言えば総意だということが、この金沢方式の実態であることがわかってきました。
要望書を、市民のみなさんがお名前も住所も書いてハンコも押すというのは、相当な勇気が要ることです。前に出て「私は納得がいかない」ということを表明するんですよ。相当な勇気ですよ。それなのに、この方々に話も聞かず、役員の方々でもって総意としてしまえば、金沢方式はもうこれから長くはないですね。
私は、本当に要望書の扱いについてずさんだと、この件について感じておりますし、金沢方式は地域の総意をもとにすすめるというより、地域の分断を招くと、実態を見て言わざるを得ません。
市長、実態としては地域の声はまとまっていません。補助金の申請についてはこれからです。ぜひ地元への確認と、地域での丁寧な話し合いを促していただくよう求めますがいかがですか。
-村山市長
この金沢市議会でも様々な議案について、一部反対の声がありながらも議決をいただく案件もあります。すべての住民の意見という形になっていくと、進むべき施策も進まなくなるということは、民主主義の中では起こりうることだというように思っております。
今回は町会連合会の方からも合意もいただいたという中であります。地元の町会連合会の中から、今回の合意について再度確認したいという申し出がございましたら話を聞きたいと思っております。
-広田委員
本当に残念な発言だと思います。それでは誰も町会に入らなくなるんじゃないですか。全国では考えられないやり方だということがまず金沢方式であるにも関わらず、その中の合意形成はあまりにもずさんだったということです。
これは私は、ひとえに役員の方々の問題ではなく、みなさん方市側があまりにも地域任せにしているという金沢方式の実態があるからだと思います。
そして今、地域の総意がないと市長が認めてしまえば、今予算に上程された地元からの寄附は、自発的だとは言えなくなるので、ご答弁できないというのもわかっております。合意形成について無責任だということを述べ、次に移りたいと思います。
次は整備事業費についてです。表でまとめてみました。今予算では積算単価を引き上げ、按分率も1/5にしました。これについては評価できるものかと思います。しかし実際の金額は、地元負担は1/5とは到底なりません。というのも、合計額を按分する単純な計算にはなっていないからです。
そして市には国からの交付もあります。
もうひとつの表を見てもらうと、もし金沢方式を適用せず国の交付を最大限活用すれば、工事費については5761万円のうち全体で1729万円の負担となるのですが、実際は(金沢方式では)市が補助する3260万円について起債するので、市の負担は実質978万円と安くなりますが、地元負担はなんと2501万円となるのです。
さらに負担割合について国交付を加味して割り出すと、47%も地元負担となるわけです。市長、この、国の交付金も得ないで、市民負担を増やすというのは、適切な予算執行と言えますか?
-蔵消防局長
消防分団における整備費の一部を地元に負担をいただくことで、住民自治の意識が高揚し、地域住民が主体的に参画することに繋がっているというふうに認識しております。なお地元負担の軽減につきましては、消防分団機械器具置場の整備にかかる補助単価の大幅な引き上げを議会でお諮りしているところでございます。
-広田委員
仮に市の事業として公民館のようにやるならば、まず交付税全部得られてのちの(地元からの)寄附金になるわけですから、地元負担は少なくなるんですよ。そうした方法すら考えずに、ずっと消防の場合は補助要領でやっている、そのことも併せて私は言っています。
そして、この消防分団の事業は地元の事業であるばかりに、設計や工事の業者選定については、合い見積もりだけでよいということになっています。
しかしこれでは、地域の中で事業の透明性が保てるとは到底言えません。
そして、先程来言っている合意の確認というのも、公民館整備の場合は市の事業として行うため、各町会長の捺印が要るのに対し、消防分団事業は補助事業なので要らないとなっている。
私は以上の点からも、まずは消防分団の事業については市が行うべきというふうに思いますし、そののち地元負担をなくすというふうにやっていただきたいと思いますがいかがですか。
-村山市長
今般、金沢方式の見直しを行ったというのは、人口減少・少子高齢化・町会加入率の減少・建築単価の上昇などの経済社会情勢の変化がありました。これまで市議会が全会一致で、しかもこれまで金沢方式のなくすべきだという議論は行われてこなかったというように思いますが、そのような中で、こうしたまちづくりの文化としてこれまで市議会が全会一致で認めてきたこの金沢方式を次に繋げて行くためにはどうしたらいいかということで、今回地元の負担割合を引き下げ、また消防分団の機械器具置場の補助基準単価も大幅に引き下げたということであります。
このきっかけで、私の方で金沢方式の見直しを申し上げたところでもあります。
金沢市も予算の非常に長い歴史の中で毎年各事業を認めていただいた経緯があるという中で、今回については改めて地域コミュニティの意義を見直すきっかけとなるものというように思いますし、今後も持続可能なものとするために行ったものであることはご理解いただければというように思います。
今ほどご指摘いただきました消防分団の施設整備にかかる事業主体についてでありますが、こちらについては消防団や町会連合会のご意見も伺いまして今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。
-広田委員
ぜひ研究していただきたいと思います、まずは。法律に即すこと、そして市民の負担を減らすことが私は行政の役割だと思っています。
市長は金沢方式を文化とまでおっしゃいますけれども、実際懇話会で町連の会長は「限りなくゼロにしてほしい」と求め、これは金沢方式の地元負担の是非が問われていると考えます。地元負担解消を求め、次へ移ります。
消防分団は金沢市の管理下にあり、多くの機械器具置き場(消防小屋)も市の所有・管理です。よって、他都市では市が整備や修繕を行うのが普通ですが、金沢市では金沢方式で地元負担があります。
さらに、公民館や児童館の整備も金沢方式なのですが、市が整備など事業を行いその後に地元からの負担(寄附)を入れる方法です。
一方、消防分団は地元が整備などの事業を行うことになっており、市は補助金を入れる仕組みです。なので、最初から最後まで消防分団や地元が行わなくてはならず相当な負担です。
次は、除雪・消融雪について伺います。今シーズンは2月に2回の大雪で、職員のみなさん、委託業者のみなさん、本当にお疲れさまでした。
今回はじめてGPSが活用され、本会議でも「除雪の進捗状況がリアルに把握でき、市民の問い合わせに即応でき、業者への指示・応援依頼がスムーズだった」など利点が報告されました。
一方、GPSを活用する他都市では、除雪の進捗状況がホームページで見られます。金沢市でも今後行う予定はあるのでしょうか。
あわせて、表にありますように、福井市のように除雪路線の表示も求めますがいかがですか。さらに市がどの路線に指示を出したかもあわせて表示されるともっと有効だと思いますがいかがでしょうか。
※画像をタップすると福井市のホームページにとびます。
-伊藤道路管理課長
本市では現在、石川県広域データ連携基盤の利用による除雪情報の公開について検討を進めております。なお、除雪開始指示の情報につきましては、市民から除雪作業本部へ問い合わせが増え、除雪作業に混乱を来す可能性が高いことから、公開する予定はございません。
-広田委員
広域連携でデータを公開をする検討をしているということですね。
一方で、GPSをつけても残念ながら除雪路線が増えるわけではなく、現在4割の除雪路線の拡大は急務です。1次路線と2次路線は同じ積雪10㎝の基準ですが、1次路線は業者の自主出動に対し、2次路線は市の指示です。
本会議で市長は「1次路線の作業状況を踏まえ2次路線の指示が迅速化された」と述べていました。私も今般の除雪の進捗を見ていてそう感じました。
でしたら、カメラやGPSがそなわった今、ぜひ2次路線を1次路線のような自主出動にできないのか伺います。
-伊藤道路管理課長
2次路線は積雪10cmを超え、さらに降雪が予想される場合、除雪作業本部が気象予報を参考にし、出動を指示していますことから、2次路線を自主出動とすることは現時点では考えていません。
しかしながら、今年度はGPSを搭載しました1次路線の除雪機械の作業状況や、積雪監視カメラの映像、気象台等の降雪予測をもとにしまして、地域の状況に応じた2次路線の迅速な作業指示を行うことができたと捉えております。
明年度以降、除雪管理システムに蓄積されましたデータを検証・分析するとともに、除雪業者へのアンケート結果や他都市の事例を参考にいたしまして、引き続き効率的な除雪作業について研究してまいります。
-広田委員
ぜひ、GPSを導入されたんですからいろんな工夫をして、除雪路線の拡大にこそ活かしていただきたいと思います。
つぎに、雪捨て場がない問題についてです。これは地域でよくあがっている声ですけれども、市は2018年の大雪の際には臨時で公園などを解放したことがありますが、ぜひ解放の基準をきちんと設けて仕組みとして確立していただけないでしょうか。
-伊藤道路管理課長
排雪場の運営管理上の一番の課題としましては、アスファルトガラなどのがれきや、木くずなどの廃棄物等が圧雪した雪に多く混在していますことから、使用した施設の安全上の懸念や清掃等にかかる費用などが挙げられます。このようなことから、常設と臨時の排雪場を指定しておりまして、公園や公共空地を常設の排雪場として使用することは考えてはございません。
-広田委員
除雪計画では、市民に協力を呼び掛けているんですよね。本来法律で、市が管理する道路は市がやらなければいけないところを、法律度外視で協力を呼び掛けているにもかかわらず、捨てる場所すらないんです。駐車場を埋め尽くし車を停める場所がなくなると、職場においてこなきゃいけない。そんな声まで聞いています。ぜひ検討を求めておきたいと思います。
つぎに、地域除排雪活動費補助についてです。今シーズンの利用件数はのべ425団体だったと報告がありましたが、金額と除雪実績をあきらかにしていただきたいのと、この補助金は年々増えており、コミュニティ基金活用の多くを占めるようになりましたが、本来は道路管理費を充てるべきものです。
しかし今年は、除雪費用として除排雪特別交付税の申請にも入れたそうです。来年度の検討によっては、ごみ袋の製造費が上がると聞いており、使える基金が減るんじゃないでしょうか。よって、基金ではなく一般財源を充て、町会負担もなくすべきと求めますが、いかがですか。
-伊藤道路管理課長
広田委員のご質問につきまして、まず私の方から利用実績の方についてお答えさせていただきます。今冬の地域除排雪活動費補助制度につきましては、2月上旬と下旬の長期の寒波によりまして、2回の適用期間がございました。
1回目の申請件数は約300件、除雪距離は約580km、補助金額は約7,300万円でございます。また、2回目の申請件数は約110件、除雪距離は約240km、補助金額は約1,800万円でございます。
-佐野財政課長
私からは地域コミュニティの活性化基金の関係を述べさせていただきます。今冬の大雪、2度雪害対策本部を設置いたしましたが、その対策に多額の経費を要しましたことから、今ほどの地域除排雪活動費の補助を含めまして、国に特別交付税の申請を行っております。
理論上、この計算式なんですれども、一定の額を上回る経費の1/2が加算されるということとなっておりますが、特別交付税はあくまでも一般財源でありますので、引き続き地域コミュニティ活性化基金の充当事業としております。
なお、この地域コミュニティ活性化基金の充当事業につきましては、基金の残高の状況などを含めまして、地域コミュニティ活性化推進審議会の意見も踏まえながら、毎年度対象事業全体の中で検討していくこととしております。
-広田委員
今年度9,100万円にものぼりました。多くの距離をこの地域除排雪でやっているということは、これはコミュニティ基金とは言えなくなっている性格です。ぜひ、一般財源で町会負担をなくすよう求めます。
つぎに消融雪施設について伺います。本会議では、公共の消融雪については水が出にくい箇所など修繕計画を作成すると答弁がありましたので、これは早めの修繕を求めておきたいと思います。
民間消融雪については、調査やアンケートの結果、これまで把握していた90か所を上回る140か所を台帳にし、官民連携による持続可能な運営手法を検討していくとのことです。老朽化、高齢化などの課題を言われていましたが、わたしもいくつか伺っています。
「管理が大変で埋設型に更新しようとしているが、工事費があがっており補助金をあげられないか」「設置後の管理運営費の負担は全額地元負担であり、電気代や部品の交換などでかなりの出費がある、支援の新設はできないか」「高齢化で担い手もいない、管理を請け負う業者さんも見つからないので市管理への移行ができないか」などです。
これからの運営手法の検討の中で、こうした実態を視野に支援の検討を行うよう求めますがいかがですか。
-木谷土木局長
民間消融雪施設につきましては、今年度、民間消融雪施設の管理団体へアンケート調査を初めて実施し、現在約140施設が稼働していることを確認するとともに、消融雪施設のデータや管理状況などを元にして施設台帳を作成し、民間消融雪施設の実態を把握したところであります
。明年度がアンケート調査結果から把握した施設の老朽化や管理者の高齢化などの課題を分析することとしており、民間消融雪施設の維持管理をするために、支援方法や持続可能な運営方法について検討してまいりたいと考えております。
-広田委員
私は今回の民間の消融雪施設調査は非常に重要だったと思うんです。金沢市は市民の協力をベースにしていただけに、地域によって雪対応が本当に様々です。
今言った消融雪のところや、独自で機械除雪しているところ、機械除雪したくても業者さんが捕まらないところ、そしてロードヒーティングを入れているところ、また何もできないところなど。私は今後除雪消融雪路線を拡大するために、こうした地域の実態をくまなく調査し、何が有効か対策を練り、業者と連携すべきと考えますし、そのための体制拡充が必要だと考えますがいかがですか。
-木谷土木局長
民間消融雪施設の管理運営についてでございますが、現時点では民間消融雪施設の管理を市がやることは考えてはおりませんが、明年度以降、施設の老朽化や管理者の高齢化など、様々な課題を分析して持続可能な運営手法を検討してまいります。
地域の実態調査についてでございますが、毎年10月下旬に開催している金沢市道路除雪会議において、金沢市町会連合会や校下婦人会連絡協議会など、地域の方に出席いただき、ご意見をお伺いしております。また、金沢市の町会連合会理事会では、道路除雪計画や除雪等に関する各種制度を説明して、ご意見も伺っているところであります。今後ともこれらの活動を通して地域からの相談に丁寧に対応していきます。
-村山市長
除雪にかかる体制の強化についてのご質問をいただきました。今年度からGPSを活用した新システムを導入しました。市民からの除雪作業に対する問い合わせに対しまして迅速に対応ができたということ、また、支払い事務の省略可などによりましても除雪業務の効率化が進んだというように考えています。
12月から3月までの冬期間については、従来除雪作業本部を設置いたしまして、気象状況に応じて24時間体制で土木局の全職員が一丸となって従事しておりまして、雪対策に特化した独立の組織というかたちでは現在のところは考えてはおりません。
引き続き、除雪業者の掘り起こしやオペレーターの確保に取り組みまして、除雪体制の維持・強化に努めてまいりたいと考えております。
-広田委員
除雪シーズンになると本当に残業が増えている実態などをお見かけしております。体制の拡充を求めておきたいと思います。
さいごにカラスについて伺います。ご存じの通り、カラスは生態系の中でなくてはならない生き物です。しかし、人間生活と密接であるがゆえに摩擦も生じています。
今予算で、まちなかのカラス対策の強化に関する予算が5倍で計上され今議会でも多くとりあげられました。ここでは、まちなかや住宅街のカラスと共存するうえで、現状の把握と必要な対策について伺います。
専門家の調査では、ご存じの通りだと思いますけれどもカラスの増減は、人間の生活スタイルやごみの量とごみの環境変化が影響するとされています。
東京都心の調査では、1980年代の飽食の時代に生ごみの増加とともにカラスが急増しましたが、どんどん減りましてコロナ禍ではさらに激減、飲食店の休業、テイクアウトの増加が関連しています。
グラフのように、本市の金沢城公園をねぐらとするカラスの個体数も、2003年をピークに減少傾向が続いています。一方、被害に対して捕獲を求める声もありますが、環境省は捕獲の効果は限定的としており、ごみなど食物の量が多いままなら、ほかの場所から流入するので数は減らない。
個体数の管理はあくまで食物の量を減らすのが効果的としていますが、金沢市はカラスの増減や捕獲についてどのようなお考えか、あきらかにしてください。
-越山環境局長
本市では金沢城公園をねぐらとするカラスの個体数について、委員もグラフでお示しの通り、平成10年度から調査を実施しておりまして、平成15年の約1万羽をピークに増減を繰り返しながら、ここ5年間は概ね3500羽から5000羽まで減少しているという状況でございます。
捕獲については鳥獣保護管理法において、カラスなどの野生鳥獣は、狩猟により捕獲する場合を除いて原則としてその捕獲や殺傷が禁止されているため、カラスの被害への対策は、原則追い払いを基本としております。
一方、例外として生活環境、農林水産業、または生態系に対して被害が生じている場合などには、許可を受けて捕獲などをすることが認められていることから、金沢城公園内で檻による捕獲を行っているところでございます。
-広田委員
本会議で市長は、まちなかではねぐらに戻らず電線や公園の木にいるカラスに特殊なLEDライトで追い払いをするとしました。一
方、環境省のマニュアルでは、「現状を客観的に認識し科学的に対応し、腰をすえて取り組む必要がある。対症療法ばかりでは問題を繰り返す悪循環から抜け出せない」としています。カラス追い払いについても「一時的で限定された場所での方法となり、移動先で新たな問題となる可能性もあり根本的な解決にならない」としています。
よってまず、なぜねぐらに戻らないのか調査がされているのか、これからするのか。本来のねぐらである金沢城公園の樹木の伐採とは関係がないのか、ということを教えてほしいと同時に、もし調査が進んでいないのであれば、私は今回のLEDライトは緊急対策として位置づけ、あわせて専門家の方も調査されるということなので、ぜひこちらに重きを置き、丁寧な調査をし、根本原因を突き止めるよう求めますがいかがですか。
-川端環境政策課長
近年まちなかでカラスの糞害が顕著となったのは、夜間にねぐらである金沢城公園に戻らず、街路樹や電線などにとどまるカラスが増えてきたためと推察しておりまして、LED光線による追い払いに合わせて、夜間におけるカラスの実態を調査することとしております。
お尋ねにありました金沢城公園の樹木の伐採の影響についてですが、金沢城公園を管理する石川県からは、近年まとまった樹木の伐採は行っていないと聞いております。また、明年度実施する行動調査では、糞害の多い地点を固定カメラで定点観測し、カラスの行動を分析するほか、専門家による現地調査を行うこととしております。
-広田委員
ぜひ調査をしっかり行っていただきたいと思います。
最後に、先程も申し上げたとおり、人間のごみにアクセスできなければ自然とカラスの個体数は減り、摩擦は解消するとされています。カラスがごみにアクセスできているかの指標が、住宅街でのごみの散乱状況だと考えます。地域の美化のうえでもカラスへのえさを増やさないうえでも、カラスがごみにあり付けない対策が有効です。
そこで表を見ていただきますと、金沢市が貸与しているカラスネットというものは激減しており、かわりにケージ型という箱型の、カラスが近づきにくいものが申請としては増えております。よって、カラスネットに加え、ぜひこのケージ型の貸与を求めたいと思いますがいかがでしょうか。
-越山環境局長
市内には様々なゴミステーションがございます。ケージ型の器材は、カラスネットに比べその設置場所が限られるなどの課題があると考えています。
また、器材の設置を希望する町会からの相談には丁寧に対応するとともに、整備費用の3/4を助成するなど支援に努めているところでございまして、ケージ型器材の貸与までは考えてはおりません。
-広田委員
カラスの目的はごみを散らかすことではありません。目当ての食べ物を探るために、内容物を引き出し、食べないものは置き去りにする結果、ごみが散らかるのです。
いつまでも感情的にカラスの責任にしていても問題は解決しませんので、ぜひ人間側が、カラスからごみを物理的に遮断する方法をとっていただくよう求めます。
さいごに情報をぜひ一元化して、カラスの情報というのは好き嫌いも含めていろんなところからいろんな形で入ってくると思いますけれども、しっかりそれを一元化することでカラスの生態をつかみ、適切な対応をすることができると思いますので、求めて質問を終わりたいと思います。
私は、日本共産党市議員団を代表して、反対討論を行います。
私どもは、上程された議案16件のうち、議案第127号、議案第135号、議案第141号の
議案3件について反対します。その主な理由を述べます。
まず、議案第127号 令和6年度 金沢市一般会計補正予算についてです。
港湾費で3億7,370万円が盛り込まれています。この最終補正によって今年度の本市負担分は11億3,310万円、全体事業費としては53億5,890万円にも上ります。
大手企業コマツの工場誘致やクルーズ船誘致のために、岸壁改良工事や施設整備に多額の税金投入が続いています。港湾整備事業の全体事業費合計額は2006年から2026年の20年間でおよそ464億円であり、そのうち本市の負担金は88億円にものぼる予定です。市民の暮らしが厳しさを増す中で、一部の大手企業のために多額の税金投入が行われることは認められません。
次に、議案第135号 令和6年度 金沢市中央卸売市場特別会計補正予算についてです。
金沢市中央卸売市場再整備事業に関して、基本設計に関わる3,500万円が最終補正に計上されました。当初8,900万円で契約した基本設計は、2024年9月末に完了する予定でした。しかし、2025年2月末まで延長するとの方針を打ち出し、今度はさらに1年延長するというものです。市当局は5か月延長の方針を出した際も、期日通りに進行すると繰り返し説明してきました。期日通り完了していれば3,500万円は不要だったのではないですか。この間、どんな話し合いが行われ、何が問題となったのか議会に報告もないことや進め方の不透明さを厳しく指摘しなければなりません。
また、本来終了すべき年度内の基本設計契約が変更され、次年度への繰越しが行われることも問題です。新年度で新たに契約を結ぶ措置を取るべきではありませんか。
これらのことから、今回の補正予算に同意することはできません。
次に、議案第141号 事業契約の締結についてです。
公共施設LED照明導入推進事業として、本市で初めてのPFI方式による事業契約です。
PFI方式とは、民間の資金と経営能力、技術力を活用し、公共施設等の整備や維持管理、運営を行うものとされています。今回の事業は、PFI方式により公共施設の照明をLEDに換え、10年間にわたって民間に管理運営を任せるというものです。初期費用もかからず、コストも下げられると言われていますが、PFI方式にはリスクも伴います。民間事業者が利益を追求することで、サービス内容が低下すること、管理運営においても民間が主体となるため、公共性が後退します。また、長期契約により、市場の変化や災害時の対応、事業者自体の倒産や合併など、環境の変化に対応できない場合が生じます。市民のための公共施設管理にはそぐわないため、反対です。
以上、討論といたします。
質問の機会を得ましたので日本共産党市議員団の一員として金沢方式について質問いたします。
「金沢方式」は、市の施設である公民館や児童館、消防分団などの運営や施設整備に対して地域住民が一定の負担をする金沢市独自の仕組みです。
試算によると、地元負担の金額は、公民館だけで過去20年間で47億円、今後20年間で80億円にものぼるとされてきました。
しかしその実態は、法令上の根拠もなく、寄附の強制ではないかなど議会や地域でたびたび問題視されてきました。
今年度は「金沢方式あり方検討懇話会」を通じて議論が行われました。懇話会メンバーは金沢方式の利害関係者ばかりで、公募も市民へのアンケートもなく、ちゃんと市民の意見が反映されるのかという批判の中からのスタートでした。懇話会の当初は金沢方式を肯定的に捉える意見が多かったものの、「移住者からは理解されない」「地方財政法に反するのではないか」といった意見が出されるようになりました。
最終回では、金沢市町会連合会の会長からも「地域住民の負担が大きくなることで、住民が町会から離れる、町会が町会連合会から離れ、地域を根底から崩す課題となりうる」との懸念が示されるに至りました。しかし最終的な報告書では、地域負担の軽減を求めるものの、地域の自主性や連帯意識を醸成するために「一定の負担は継承すべき」とまとめられたのです。
これは、懇話会の中で交わされた「金沢方式そのものに理解ができない市民がいる」という実態と矛盾しています。そもそもこの委員会の議事進行や資料作成は金沢市ですから、はじめから地元負担を温存しようとする姿勢が透けて見えるものでした。ところが、傍聴者も多く、市民や議会からも意見も寄せられ、地元負担を継続するかどうかの議論に踏み込む流れもできつつありました。しかし、時間の制約を盾に、拙速に今回の報告書に至ったのです。
座長が市長に報告書を手渡す際「委員も市民もさまざまな意見をお持ちであり、これで終わりとせず今後も議論してほしい」と求めたのは、十分に議論を尽くせなかった苦悩だと受け止めました。
ところが市長は、報告書を受け取った直後に、一定の地元負担を継続する姿勢を示したそうです。市長、懇話会の開催の仕方や市長の姿勢から、市は最初から結論ありきだったのではないかと疑問の声が寄せられています。
市長、どのような姿勢で見直しに臨んだのかあきらかにしてください。また、市の見直しでは地元負担を5%削減するとしましたが、その理由をあきらかにしてください。また、地元負担の解消を少しも検討されなかったのか伺います。
-村山市長
まず初めに、金沢方式を「まちづくりの文化」というように定義をさせていただきました。これは規範と言ってもいいかもしれません。毎年度の予算において、金沢方式を含めた予算についてお諮りをさせていただいている中で、ここ40年以上、これは金沢方式ができたというのを昭和30年代にするのか27年にするのかわかりませんが、それだとすればもう60年以上の間、金沢市議会でお認めをいただいてきた、これはまちづくりの規範と言ってもいいかというように思っております。それを尊重した中での金沢方式のあり方の検討を行ってきたというものであります。そういった中で、今般、人口減少・少子高齢化の進展とともに、町会加入率が減少するなど、地域を取り巻く環境が変化する中で、地元負担の見直しが必要と考え、あり方検討懇話会を立ち上げて検討を重ねてきたものであります。
懇話会では地元負担の見直しだけではなく、金沢方式自体の周知・広報、また地域活動における担い手にかかる今後の方向性など、持続可能な地域コミュニティのあり方について幅広く議論いただいたと思っております。この懇話会では、委員からの意見を受けまして、持続可能な負担のあり方について様々なシミュレーションを行いまして議論をしてきたところであります。これらの議論を踏まえて、これまで40年以上変わっていない地元負担の割合について見直すということ、ここに一歩踏み出して勇気を持って見直しを行いました。
そして地域コミュニティのさらなる強化に資する地元負担の軽減にかかる予算案について、本議会にお諮りしたところであります。具体的には施設整備に関して地元負担を4分の1から5分の1に軽減する、これは5%という形になりますけれども、軽減をさせていただくという一歩を踏み出させていただきました。
また施設解体や長寿命化にかかる経費、こちらについては全額市の負担といたします。
また、消防分団機械器具置場の補助基準単価の引き上げも行わせていただきました。
また地区公民館の運営にかかる負担についても、4分の1から5分の1への引き下げを行うのと合わせて、施設整備と同様にこの運営についても世帯数に応じた軽減措置を導入するということで、金沢方式を持続可能な形でどのように承継していくか、そのような手立てを講じさせていただいたものであります。
金沢の地域コミュニティについて、自分たちの地域は自分たちで守り育て、運営していくという基本的な考えのもと、地域主導、ボランティア、地元による一定の負担で成り立っております。継承していくべきまちづくりの文化だと捉えております。
懇話会におきましては、地元住民はもとより、町会長や公民館役員であっても知らない方が多いといったご意見がございましたので、地域活動の内容や日常生活との関係性など、正確な情報を若い世代や移住者などを含め、改めて広く市民に周知・広報していく必要があると考えておりまして、本会議に関連する予算を計上させていただいたところであります。
-広田議員
一方で、座長や議会からも議論の継続や市民からの意見聴取が求められていますが、担当部署は今後どこになるのかあきらかにしてください。
-村山市長
懇話会から報告がございました、市民への周知・広報の強化、あるいは地元負担の軽減、担い手不足への対策強化など、今後取り組むべき施策の方向性につきましては、地域コミュニティにかかわる部署が相互に連携をし、情報共有を図りながら、地域コミュニティの醸成に向けて取り組みを進化させていくことが必要であります。今後更なる社会環境の変化等を踏まえつつ、まちづくりミーティングなどを通じて、地域の声をお聞きしながら、持続可能なコミュニティを支える基盤の強化に向けまして議論を重ねていくことも大切だと感じております。
-広田議員
金沢方式の周知について予算化されています。概要だけではなく、各施設の地元負担の仕組みをあきらかにするとともに、地元からの「負担」ではなく「寄附」であることを明確に周知するよう求めますがいかがですか。
-村山市長
懇話会におきましては、金沢方式を知らない方が多いといったご意見があったことから、改めて地域活動の内容や日常生活との関係性などの情報を広く市民に周知・広報していく必要があると考えております。明年度、市民の地域活動への参加意識を醸成させるため、地域コミュニティの特徴と合わせまして、町会、公民館活動を紹介するパンフレットなどを作成し、こちらは結ネット等も活用しながら広く市民に周知してまいりたいと考えています。
-広田議員
さらに、第4次協働推進計画策定や、町会加入促進強化に向けた市民アンケート調査を実施する予算が計上されていますが、金沢方式についての質問を盛り込むべきですがいかがですか。また、計画のパブリックコメントはいつ頃実施されるのかあきらかにしてください。
-村山市長
第4次協働推進計画の策定にかかる基礎資料といたしまして、市民の地域活動・市民活動に関する意識調査を行うこととしております。今後、有識者や地域団体などで構成する協働を進める市民会議の中で、新たな担い手の育成など、市民協働を推進する上で必要な調査項目について検討してまいります。また、策定に伴うパブリックコメント手続についても、明年1月をめどに、実施する予定であります。
-広田議員
報告書には重要な指摘も加わりました。「各地域での施設整備の際、正確な情報が地域住民に示された上で、丁寧な議論や合意形成等が望まれる。」というものです。市長ご自身も、「設置を望む地域の総意を最大限に尊重する。地元負担が生じることを了承していただいたうえで事業を進めており、その了承がない限り市は事業に着手しない」とまで述べています。
では、今予算に金沢方式にもとづく事業がいくつか計上されていますが、みな総意を得たものなのでしょうか。消防分団の機械器具置き場についての予算が2件あります。しかし、材木分団については、地元住民から市長や議会へ今議会に対し「住民負担をともなわない整備を求める」陳情が提出されています。市長、地域の総意を尊重するとしながら、この予算を計上されたのは矛盾しませんか。
-村山市長
いくつかの地区公民館や消防分団、機械器具置場の建設等にかかる地域の合意形成につきましては、こちらがはかられたため、額公民館、東浅川公民館、材木分団機械器具置場、芳斉町分団機械器具置場、こちらについて、その他、本議会に関する予算を計上しているところであります。
この中の材木消防分団の機械器具置場の整備についてご指摘がございました。こちらにつきましては、材木・味噌蔵両地区の町会連合会において、合意が得られたことから、当該予算を計上したものであります。
-広田議員
また、公民館・児童館整備事業などで、住民の議論が継続しており、予算化に至らない事業もいくつもあるとお聞きしています。どのような状況か理由も含めてあきらかにしてください。
-村山市長
公民館、児童館の建設につきましては、検討を進めてはおりますけれども、まだ全体の合意形成までには至っていない地域が数ヶ所あることは把握をしております。これらの地域を含めまして、建設について地域からのご相談がございましたら、今回の金沢方式の見直しの内容などを説明するなど丁寧に対応してまいりたいと存じます。
-広田議員
金沢方式の歴史や意義についての市の説明も再検討が必要です。資料にもあります通り、これまで金沢市は「昭和27年に地元負担も含め住民が要望した」と説明しています。
しかし、過去の資料や歴史的事実を再調査した結果、この仕組みは住民の要望ではなく、市が財政負担を回避するために設けたものであることがうかがえます。
市長は、金沢市教育委員会と公民館連絡協議会が発行した金沢市公民館50周年記念誌を読まれましたか?
こう書いてあります。「昭和24年に社会教育法が施行、金沢市公民館設置条例が制定された。昭和27年までに8公民館を設置したが、設置できなかった校下には、学校や善隣館の一部を事務所に「公民教育委員」が委嘱され、一律補助を行っていた。
しかし、公民館がある校下との補助額に大きな違いが生じ、その差を放置しておくことが困難な状況となり、政治判断で昭和27年に全市の校下で公民館を設置することを決断した。その前提には、町内会が復活し、財政的援助を期待できると踏んでの決断ではあったと思う。」と書かれています。
昭和27年は町会が復活した年です。戦後GHQが大政翼賛会の組織下であった町会等を禁止していたのですが、昭和27年にGHQが引き上げた際に復活したのです。
しかしその後、市の直営にすべきだという声があがります。昭和35年頃から公民館連絡協議会が陳情運動を行い、「市が設置するという社会教育法の通り、市の直営にしてほしい」と求めたと記されています。
その動きに対し昭和38年、市はあらたな計画を発表。8つの直営公民館を設置するので、これまでの地区公民館へは今後、委託・補助はしないとしたのです。当然、直営を求める運動は収束します。各地区の公民館建設についてはその後のことですから、建設についても地元負担ありきで進まざるをえなくなっていったと考えられます。
つまり、昭和27年の金沢方式のはじまりは町会復活に乗じた市の政策的判断であり、直近の歴史では、市民は法律通り市の責任による運営を求めていたことがわかりました。市長、この歴史をどのように受け止めますか?
-村山市長
公民館50 周年記念誌につきましては、これは読む人によって解釈が違うんだなということを感じた次第であります。
昭和27年までに8公民館を設置したが、公民館がある校下と公民教育委員会があった校下とでは、市からの補助額に違いが生じ、その差を放置しておくことが困難な状況になりつつあったということ、これは議員のご指摘のとおりであります。その他に、市が実際に公民館を設置し始めると、各校下に一つずつ公民館が欲しいという要望があったということも記載されております。
さらに昭和27年には、地区公民館職員の服務管理が市から地区公民館長に変更となる金沢市公民館設置条例の改正があったことなどの記載がございました。こうしたことを総合的に勘案しますと、金沢方式については、多少の地元負担を伴ってでも公民館の設置を求めるという金沢方式、この方式については、昭和27年頃に始まったと推察できるのではないかと考えております。もちろん、この呼称に決まったかどうかというのはこの頃ではないということも承知をしております。
-広田議員
そもそも、町会は藩政時代から存在し、自らの経費で行政の仕事を請け負い、戦後でも小中学校の建設負担金を拠出したり、川や用水、橋の改修を自ら行うなど自治組織と行政の役割が曖昧でした。
その歴史は他の自治体にも共通し、過去に金沢市同様、公民館の住民負担があった自治体もあります。福井市では昭和30年代、公民館建設に2分の1の地元負担があったそうですが、市民の批判を受け、全額市負担に改善したとのことです。
消防分団においても、住民負担があった名古屋市では検討会を開き、「消防団に要する費用は市費により負担されるべきである」と市長へ答申されています。
市長、他都市では市民の声を受けて公民館整備や消防分団の住民負担を解消させている例がある中、金沢市だけが地元負担を維持している特異な状況ではないですか。
この特異な状況について金沢市は、金沢方式の意義としてこう説明しています。「地域が一定の負担をしながら自主的運営を行うことは、活動の自主性・自立性を担保することで地域の連帯・連携を強めて協同をはぐくむ」。
しかし、これも歴史的には住民ではなく、市側の理屈として読み取れます。50周年記念誌に「市教育委員会としては、金沢方式は、住民が自主性をもって公民館を運営することは、市が直接運営するよりもよい方式であるという認識と、社会教育法の条文通りの公民館運営を求める公民館連絡協議会との間に妥協点を見いだせぬ対立があった」とあります。
市長、金沢方式は法律にも条例にもなく、唯一のよりどころは歴史です。しかし、金沢方式の歴史は、市側がその意義づけも含め、財政負担を回避するために編み出した仕組みなのではないですか。
意義については、「負担があることで町会を離脱する」というのが現実であり、役員の方も大変ご苦労されています。地域活動を自主的に取り組むことと、住民の金銭的負担は分けて考えるべきですがいかがですか。
さらに金沢市は、中核市平均より公民館などが多く、特別なので、地元負担が必要だという説明も行ってきました。
しかし、社会教育法に基づく公民館を中核市で比較してみると、表のように小学校区単位の規模で設置している市は15市ほどありますし、公民館数の対人口比では金沢市は10番目、対小学校比で7番目です。上位のほうではありますが、さらに上位の都市があり、それらの自治体では地元負担はないのです。金沢市が特別多いわけではなく、特別なのは地元負担があることですがいかがですか。
-堀場教育次長
他都市の状況からみて、公民館の建設等にかかる住民負担は特異な状況ではないか、また、金沢方式は法律にも条例にもなく、市が財政負担を回避するための施策ではないかとのお尋ねがございました。
金沢方式は、多少の地元負担を伴っても校下ごとに公民館がほしいという地域住民の強い要望を受け、一校下に一公民館の設置を目指してきたものでございます。また、公民館等の整備は、建設工事などに地元負担が生じることを了承の上、地域の方々と協議しながら、本市独自の方式で進めてきたものでございます。
地域が一定の負担をしながら自主的運営を行うことは、活動の自主性・自律性を担保することで地域の連携を高め、協働を育むための大きな役割を果たしてきたものと認識しております。
-村山市長
公民館等の整備については、建設工事等に地元負担が生じることを了承のうえで、地域の総意により、進められております。地元負担の集め方につきましては、地域によってさまざまな方法があると思っております。
今回の地元負担の見直しにあたりましては、今後の人口減少を見据えて、世帯数に応じた軽減措置を拡充するとともに、運営費につきましても同様の措置を導入して負担軽減を図ったところであります。このことも含めまして、金沢方式が「自分たちの地域は自分たちで守り、育て、運営して行く」という考え方のもとで成り立っているということを周知してまいりたいと存じます。
-広田議員
そして本市は、児童館・消防分団についても公民館の金沢方式が採用されたとしていますが、消防分団には明治からの別の歴史がありますし、児童館などは公民館と併設が多く、必然的な地元負担とも言えます。見解をあきらかにしてください。
-蔵消防局長
消防分団の金沢方式については、明治からの別の歴史があるのではないかというお尋ねがございました。本消防団の原型となる民間消防は、万治2年(1659年)金沢に18組の町火消が組織されたことを起源として、廃藩置県が行われるまで長く受け継がれてまいりました。明治以降、昭和23年消防組織法が施行されるまでの間、その組織体制は幾度も変遷を重ねることとなりますが、金沢方式についてはその当時に独自に存在していたかどうかについては定かではございません。
-安宅こども未来局長
児童館建設について、児童館の歴史についてお尋ねがございました。地区児童館は、昭和40年に長町地区で公民館と併設して開館したのが始まりでございます。その後、他の地区においても公民館との併設館として整備されたことから、公民館同様の金沢方式が取られております。以上です。
-広田議員
ところで、今予算では「老人憩の家」についても地元負担の軽減が示され、どうやら金沢方式のようです。しかし、国からの通知でこの施設は、市町村が設置および運営主体とするほか、利用は原則無料とまでしています。しかも、この通知が発出されたのは昭和40年であり、市内どの施設もそれ以降の施設です。どういう経緯で金沢方式を導入したのでしょうか。また、ほかにも金沢方式の事業があるのならばあきらかにしてください。
-山口福祉健康局長
老人憩の家に関しましてお尋ねがございました。老人憩の家は、昭和54 年から開設いたしまして、現在15箇所ございますが、いずれも公民館や児童館と併設しておりまして、地域において一体的に運営しておりますことから、同様の運用等が行われております。
-村山市長
金沢方式が適用されている施設ということであります。先ほど申し上げた通り、地元が一部負担してでも各地域に設置を望む住民の要望を受けて、身近な地域活動の拠点として地区公民館を設置したということに始まった仕組みであります。地区公民館に加えまして、児童館や消防分団、老人憩の家におきまして、この方式による整備・運用が行われております。
-広田議員
つぎに法的な問題についてです。金沢方式は住民に負担を割りあてる形となっており、地方財政法に反しています。市は、寄附が自発的なものであると主張しつつも、市自らが、今予算でも計上している通り、負担割合を事前に決めて、寄附の歳入など具体的な金額を予算書に組み込んでいます。つまり、地元住民にはじめから寄附を割り当てていることにほかならず、地方財政法第4条の5に反するのではないですか。
-村山市長
本市におきます公民館等の整備については、地元負担が生じることを了承の上で予算計上しております。地元負担相当分については、整備完了後に地元からの寄附申し出に基づき、寄附金として採納する予定でありまして、地元負担を強制しているという形ではありません。なお、地方財政法第4条の5におきまして、自発的な寄附は何ら禁止するものではないと解釈されておりまして、問題ないと考えております。
-広田議員
そして金沢市は、行政として重大な視点が欠落しています。資料にもある通り、社会教育法や消防組織法においては、住民の寄附を前提とした施設整備を認めているわけではありません。本来、市民の命を守ったり、社会教育を普及させるために、自治体が設置するものとして制度設計されています。住民が要望して負担もしなければ建て替えないなどという状況はありえないのです。
にもかかわらず、市長のこれまでの答弁では「市の方で老朽化の度合いは把握しているが、整備計画は持っていない」とし、住民の総意がなければ事業は着手しないという態度です。つまり、児童館や公民館も、お金が集められる地域組織かどうかで建て替えができるかどうか差が出ることになりませんか。
消防に関しては地域住民の命に関わります。市長、社会教育法や消防組織法はそのような地域格差を是認しているのですか。お答えください。
しかも、この地元負担は町会加入者だけに負担を負わせるものです。しかし、消防や公民館は地域住民全体の安全、社会教育に貢献する公共施設です。一部の住民にのみ税外負担を求めるのは、受益と負担の公平性に欠けませんか、お答えください。
-村山市長
消防分団における整備費の一部を住民が負担することで、こちらについては住民自治の意識が高揚し、地域住民が主体的に参画することに繋がっていると認識しております。
※答えていない
-広田議員
財政面からも伺います。前段で述べたように、国が法律で規定しているからこそ、財政支援も行われています。
しかし金沢市は、金沢方式にとらわれるばかり、国から得られるはずの財源も得られていません。たとえば、消防分団の機械器具置き場は、緊急防災・減災事業債で100%充当でき、地方交付税算定率は70%です。
つまり、1億円の事業ならば3000万円の市の負担で済むわけです。しかし、消防分団関係の事業主体は地元であり、市は補助する立場のため、1億円の事業のうち仮に5000万円が地元負担とするならば、国の支援が受けられるのは市が補助する5000万円に限られます。5000万円の70%つまり3500万円が国となり、残り6500万円は、市が1500万円、地元負担は5000万円となります。
本来3000万円で済む事業が6500万円となり、そのうち5000万円は住民の税外負担であるという矛盾が生じるわけですが、いかがですか。
さらに、児童館は国の交付金措置を活用していますが、それによって減額となるのは本市だけです。地元負担はあくまで全体額の4分の1となりますが、地元にはこのような説明はなく不公平ではないですか。
-村山市長
児童館に限らず、事業の実施にあたっては、財政の健全性を堅持するために、できる限り国・県の補助金など財源の確保に努めております。
-広田議員
また今回の予算にもありますが、市が移転補償を行う場合があります。たまたま市がすすめる公共施設の建築にあわせて整備事業を行った場合、地元負担はかなり少額で済みます。どういう仕組みかあきらかにしてください。市の都合という点では、材木消防分団の機械器具置き場も用水のうえに存在し、現地で建て替えが許可されません。市の施設であり、法令上移転が必要なのならば、市が移転補償すべきですがいかがですか。
-村山市長
消防団機械器具置き場の関係で、移転補償についての質問がございました。公共事業のため支障となって移転を余儀なくされた場合、この場合には国土交通省が定める公共用地の取得に伴う損失補償基準に基づいて保障費を算出し、地元に保証しているところであります。公共事業により支障となり、移転を余儀なくされた場合が移転補償という考え方は適用できますけれども、材木分団機械器具置き場については、そのような経緯ではありませんので、適用の対象外となっております。
-広田議員
市長、金沢方式の地元負担の解消を決断すべきです。これまで述べてきた通り、金沢方式という仕組みのもと、住民に税外で負担を転嫁する正当性はまったくありません。
もし財政的な問題があるならば、前段で示した直営で行っている他都市との比較を行い、どうすれば地元負担がなくても維持できるのか、できないならどうするのか、市民とともに検討すべきと考えます。
質問初日に市長は、「金沢方式はまちづくりの文化だ」とまでおっしゃいました。文化だと受け止める方もいらっしゃるかも知れません、しかし文化というのは決まりがあるわけでなく、あくまでも個人の価値観や受け止めです。多様性を重んじる市長はいろいろな考え方も尊重されるはずです。
そして、その多様な文化を議論し「条例や規則」に落とし込むのが我々議会の役割であり、その条例や規則にそって仕事をしていくのが行政の役割です。条例にも規則にもできない「寄附金」を予算に当てはめることは、地方財政法に違反する「寄附金の割当」にほかなりません。
もし「寄附金」の文化を重んじるのであれば、予算に計上するのでなく、寄附される志を持つ個人のみなさん宛てにお願いをし、結果として集まった寄附金を採納していただくことが行政の役割です。ご決断を求めます。
-村山市長
金沢の地域コミュニティは、改めてでありますけれども、長きにわたり自分たちの地域は自分たちで守り、育て、運営して行くという基本的な考え方のもとで、地域主導、ボランティア、地域による一定の負担といった、金沢の地域コミュニティの特徴と一体となって、地域の自主性や連帯意識の造成に大きな役割を果たしておるものであります。今後も本市独自の方式として継承すべきものと捉えております。
-広田美代議員
ご答弁ありがとうございます。市長、金沢方式の地元負担が、地域の自主性どころか地域の分断すら生んでいる現状がこれまで明らかにされてきているのに、市長のご答弁は現実を直視できずに、逆にこれまで以上に金沢方式に固執したものになっているように感じました。
まず、町会で分断が生まれている実態について、どう受け止めているのか明らかにしてください。
そして、ちょっと答弁で踏み込んでいませんでしたので、何点か。負担ではなく、寄附であることを明確に周知するよう求めること。
そして、材木分団においては、町連においての合意が取れているということでしたけれど、明らかに地元住民からの陳情が出されているんです。その方々も町会連合会に属しているんですよね。その方々の思いは、総意ではないんですか。市長のいう総意とはそういったレベルなのか。明らかにまずしてください。
-村山市長
まず、この金沢方式について議論をするというのは非常に思い切った決断でありました。それまでであったならば地域の負担が4分の1のままであり、そしてその他にも今回改正させて頂いた長寿命化であったり、解体費であったり、そういったところに踏み込んだというのは大きな一歩だったというふうに思っております。一方で地域の分断が生まれるのではないかというようなご指摘も、確かにあたるかというように思っています。
一方で、これは私の住まう町会の話になりますけれども、昨年の4月に公民館、児童館が新しくなりました。この中にあっては、さまざまな議論がありました。この地区の校下の中の一番端のところに位置するのは、私の住まいしているところでありましたので、その中で金沢方式をどういった形で考えていくべきかというのは議論もありました。そうした中で、やっぱりこの金沢方式に協力して行く、そして今後の公民館、児童館の使い方を一緒に考えていくという形になりまして、分断よりも結束が生まれたというのは結果でありました。こうした事例なども参考にしていただければというように思っております。
そして、広報についてでありますけれども、金沢方式が自分たちの手で守り育て、運営していくという考え方のもとで、地域主導、ボランティア、地元による一定の負担で成り立っているということ、そして今回の負担軽減など見直し内容を周知するということで、今回、負担ではなく寄附金ということを明記するという必要は生じてないというように考えております。
また、陳情の内容ということでありますけれども、今回、材木・味噌蔵両地区の町会連合会から合意が得られたというようにお話をいただきました。陳情はさまざまな形でいただくことはあるかと思いますけれども、この両町会連合会の方で進めたいということ、これをもって今回予算化させていただいたところであります。
-広田美代議員
懇話会でも正確な情報を提示するという意見が出されたわけです。ちゃんと寄附であることを明記すべきです。もう一度お願いします。
そして、総意はそういったとらえ方なのですね。それじゃあもう住民の中の合意作りは既定路線ということになりませんか?もう一度お願いします。
最後に財政健全性を主張されましたけど、先ほど消防分団の事例では、市は3000万から1500万になるかもしれないですけど、住民は5000万の負担のままですよ。住民の財政健全性が保たれないです。明らかにしてください。
-村山市長
市の歳入の方法としてどこにあたるかという話と実態ということは、全く違う話だというように思っておりますので、こちらについてはこれまで通り周知をして行きたいと考えております。
また、一人でも反対をすればというようなことにもつながる話かと思いますけれども、総意ということについては、どういうことで認めていくべきかということ、大変難しいと思いますが、町会連合会のほうでの合意が得られたということ、これは非常に大きな地元の意思だというように捉えさせていただきたいというように思っております。
さまざまな方式の中で、この金沢方式を運営しております。また、地元の負担については今回、4分の1から5分の1ということで明らかに小さくなったということを踏まえていただければと思います。
-山下議員
質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として、質問いたします。
最初の質問は、児童福祉施策についてです。毎年私たちは、保育関係者や保護者のみなさんとともに保育料の無償化を市に要望してきました。新年度予算に3歳未満児の第2子の保育料無償が盛り込まれ、要求の前進に喜びもあります。引き続き、保育料の完全無償化を求めていきたいと思います。経済的な負担なく保育所等を利用できることは子育て世帯の願いであり、社会で子育てをしていくという行政の責務でもあります。またあわせて、子どもたちが安心して過ごし、職員が安全に保育できる環境を整えることも行政の責務です。そこで6月議会に引き続き、保育所や認定こども園等の改築・改修費を国が2分の1補助する「就学前教育・保育施設整備交付金」についておたずねします。昨年、国の交付金が第1次申請分で想定の予算に達したため、第2次以降の申請が打ち切られました。本市では9施設が改築・改修を希望し申請を予定していましたが、当初の予定通り補助を受けることができたのでしょうか。今年度2回目以降の申請の結果と、新年度における申請の状況を明らかにしてください。
-安宅こども未来局長
今年度の保育施設等の整備でございますが、建て替えの3施設と大規模修繕の1施設につきまして補助申請を行い、先般、追加の内示があったことから、最終補正予算に事業費を計上しているところでございます。一方、一部施設の大規模修繕につきましては、着工時期の関係で明年度実施することとし、国へ協議案件の登録を行ったところでございます。
-山下議員
新年度、申請の状況が変更になったというふうに伺っていますが、改築・改修を予定している保育所等にどのような影響が考えられますか。お聞かせください。
-安宅こども未来局長
明年度の実施分から申請方法が変更となることから、現段階ではどのような影響が出るかはちょっと不明でございますが、今後施設への直接的な影響が出ないよう、国と協議してまいります。
-山下議員
資材や人件費等の高騰で、施設の改築・改修においても厳しい状況があると聞いています。こうした高騰分は交付金に加味されているのでしょうか。市独自でも補助が必要だと考えますが、いかがですか。
-安宅こども未来局長
今年度の国の補助単価および基準額につきましては、物価高騰を踏まえた増額がなされております。整備費用につきましても、これまでも国・市・施設が一定のルールに基づきまして負担してきていることから、市独自の財源措置は考えておりません。
-山下議員
よりよい保育等を提供するために、各施設では今後も改築・改修が行われていくと思いますので、引き続き保育環境の十分な整備とその支援をお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。こども誰でも通園制度は、保護者の就労状況を要件とせず、6か月から満3歳未満の保育所等に通わない乳幼児が通園できる制度です。どの子にも健やかな育ちを保障し、保護者の子育てに関する負担を軽減して、社会全体で子育てをしていくという制度の理念は共通認識ですが、子どもの安心・安全が保障されるのか、また保育所等預かる側の負担が大きいなど、すでに懸念の声が出ており、抜本的な見直しが必要だと私たちは考えます。そこで、新年度本市が行うモデル事業についてうかがいます。まず、本制度の利用対象となる乳幼児の想定数と、いくつの施設で行う予定かお聞かせください。
-安宅こども未来局長
モデル事業では、延べ300名が利用することを想定しておりまして、今後設置する設備や運営などの基準を満たした施設を選定する予定でございますが、必要な施設数は確保したいというふうに考えております。
-山下議員
制度導入にあたって保育士からは、通常の保育でも人手不足の中で、人見知りの多い時期の子どもを受け入れる体制が取れるのか、子どもの安全を保障できるのかという不安の声を聞いています。すでに試行的事業を行っている他自治体の園では、ベテランの保育士を配置して対応しているとのことです。しかし一方で、本制度は保育士資格を有しなくても従事できるとあります。本市はモデル事業をすすめるにあたり、保育士の配置基準や資格の有無について、どのように考えているか明らかにしてください。
-安宅こども未来局長
施設側が設置します設備や運営などの基準を定める条例を、6月定例月議会に上程する方向で現在準備を進めておりまして、その中で保育士の配置基準や資格の有無について定めていくこととなります。
-山下議員
十分子どもの安全が守れる配置と資格要件を設定していただきたいと思います。本制度には、利用する施設や曜日などを決める「定期利用」と、全国どこでも居住地以外の施設でも空きがあれば利用できる「自由利用」が認められています。しかし、環境の変化に敏感な6か月から2歳までの乳幼児にとって、施設を固定しない短時間の利用では、子どもも保護者も不安のなか過ごすことになります。保育施設での死亡事故はゼロ歳児と1歳児で8割となっており、預けはじめに非常に多く、この「自由利用」は子どもにとって安心・安全な場所とは言えません。本市のモデル事業では利用上限を月10時間としていますが、「定期利用」として行うのか、また「自由利用」も想定しているのか、うかがいます。
-安宅こども未来局長
子どもと保育者との関係が構築され、効果的な支援に繋がることが期待されることから、モデル事業では定期利用を想定しておりますが、自由利用については今後他の自治体の状況を踏まえて研究していきたいというふうに考えています。
-山下議員
本制度は、利用したい保護者が直接施設の空きを調べて申し込むという方式で、自治体による利用調整はありません。行政の関与が大きく後退するという点でも問題だと考えます。困難を抱える家庭の利用につながるのかという懸念もあります。2026年度より本格実施と国は決めていますが、すでに課題が多く見られており、現場の実態から制度の再構築が必要だと考えます。モデル事業をすすめるなかで、保育関係者や利用者の幅広い意見を聞いて課題を検証し、市としても国に対して安心できる保育制度の構築を求めるよう要望しますが、見解をうかがいます。
-村山市長
本市としてモデル事業を実施していく中で、保護者や実施施設の意見なども聞きながら、効果検証を行うこととしております。国においても次年度、事業の検討を進めるということを聞いております。まずはその動向を注視していきたいと考えています。
-山下議員
このままの制度ではやはり子どもの安全が守れないというふうに考えますし、行政のかかわりが後退するということはやはり「保育の市場化」への懸念が拭えません。公的責任で、ぜひ保育士の処遇改善と配置基準を大幅に拡充して、すべての子どもたちに安心で安全な質の高い保育を提供できるような制度の構築を改めて求めたいと思います。
次に、不登校支援について伺います。まず、現状と課題についてです。12月議会で、当事者実態ニーズ調査の回答に「学校にかわってほしい」という子どもやその保護者の声が多いことを紹介しました。新年度からの金沢型学校教育モデルを実践していくというふうにありますが、そのなかに不登校や学校に行きにくい児童生徒が含まれているのか、うかがいます。
-野口教育長
お答えいたします。私は教育におきましては、誰ひとり取り残されることがないこと、このことが最も大切にされるべきことだと思っております。この考え方に対しまして、この4月から実践が始まる新金沢型学校教育モデルでは、まず金沢探究スタイルを通して児童・生徒が自分事として課題をとらえ、学ぶ喜びと感動を大切にした学びを展開すること、また金沢リフレクションにおきましては、自分自身の成長や良さを実感する場を設けることで、すべての児童・生徒が自分に自信を持ち、学習や人との関わり等に関する意欲が回復するよう努めることといたしておりまして、不登校児童・生徒や学校に行きづらさを感じている児童・生徒も踏まえた実践となることを前提といたしております。
-山下議員
寄せられた声をもとに3点うかがいます。いまでも、どこへ相談したらよいかと悩む保護者に出会います。学校からの情報提供がなく一人であれこれ調べ思い悩まれています。本市は保護者や子どもたちに相談や支援先等の情報が行き届くよう、どんな積極的取り組みをしているかお聞かせください。
-野口教育長
私はこれまでも議会におきまして、不登校で悩んでいる保護者への支援は大切であると答弁してきております。そのため、教育プラザでは教育と福祉が連携し、0歳から15歳までの子どもに関わる様々な相談事業を実施しており、パンフレットや電話相談カードなどを配布し、広く市民への周知に努めております。また、市と不登校民間支援団体との連絡会におきまして、不登校になった際にどんな支援があるのか、どこに行けばいいのかわからないなどの当事者の声にお答えし、官民の様々な情報を掲載したリーフレットを作成し、各学校や医療機関に加え、多くの人に届くよう、市民センターや図書館等で案内するとともに、ホームページやポータルサイトでの発信も行っております。また後ほど触れさせていただきますが、校長会議等におきましても、得た情報は確実に保護者等に伝わるように周知をいたしております。
-山下議員
そうした取り組み、十分承知しております。その中でも、届いていない方がいるというのが今の声です。なので、ぜひ学校を通じてでもいいですし、子どもが持ち帰るパンフレットにもそのリーフレットのQRコードをつけるとか、入学式にいっぺんに渡すんじゃなくてもっと見やすい時期に、子どもが行きづらい5月とかそういう時期に、そうした案内が届くような工夫が必要だというふうに思います。
2点目、学校教育センターの不登校や発達障害の相談事業を利用してきた保護者が、義務教育が終わる段階で利用できなくなり、親子で世の荒波に放り出された感じだったというふうに話されていました。幼少期から関わりを積み重ねてきたセンターで15歳以上も継続的な支援をしてほしいという声です。いま全国の高等学校における不登校生徒数も過去最多となり、高校入学後に不登校になる、または中退する生徒がいることを見ても、中学校卒業後の支援も必要ではないでしょうか。対象を18歳まで拡充することを求めますが、いかがですか。
-野口教育長
学校教育センターにおきましては、義務教育である小中学校の児童・生徒、その保護者、教職員などを対象に、来所での面接相談や不登校支援を行っております「そだち」教室等での相談事業を実施いたしております。卒業後も相談を希望する保護者につきましては、県教育支援センターやすらぎ金沢や、医療機関等の関係機関にご紹介し、必要に応じて連携を図っておりますことから、学校教育センターでの18歳までの拡充については考えてはおりません。
-山下議員
継続的に同じ場所で支援をしてほしいという保護者のお声にも、ぜひ応えていただきたいと思います。
3点目、保護者の置かれている現状からお伝えします。働く保護者、とくに働く母親は子どもが学校に行きにくくなると仕事を遅刻、早退する、または休まざるを得ない状況になります。休職や離職を選択せざるをえなかった方も身近においでます。また、ひとり親の保護者は仕事をやめることができず、子どものケアが十分にできないとつらい思いをしています。子どもの心配とあわせて仕事と生活の不安を抱え、心理的にも追い詰められている現状があります。保護者の負担を軽減することも課題と考えますが、市としてどのような取り組みをしているか伺います。
-野口教育長
不登校児童・生徒の保護者の方の心理的負担を軽減するため、保護者がひとりで悩みを抱え込まないように支援をすることは大切なことであると、これは自分はしっかりと思っております。そのために、本市では「教育プラザ富樫」「教育プラザ此花」での保護者に対する相談体制の強化を図りますととともに、校長会議や不登校支援担当者の会議等におきまして、相談機関や民間支援団体等の情報を確実に周知するように求めております。教職員とかスクールカウンセラーとの相談によって、家庭から少しでもお子さんが外に出られるようになったという、その変化というものが、保護者の方の心理的負担の軽減に繋がるものと考えておりまして、引き続き多様な不登校支援に取り組んでまいります。
-山下議員
続いて、新年度予算に盛り込まれた事業についてうかがいます。2023年度の金沢市における不登校児童生徒数は小学校で498人、中学校で823人です。ひとりひとり状況が違えば、そのひとりひとりに応じた支援が求められます。不登校と定義されない学校に行きづらい児童生徒の状況をふまえても、多様な支援体制があることは重要だと考えます。
まず、学びの多様化学校についてです。これまで再度にわたり当事者の声を聞くこと、支援者も含めた実態調査を求めてきましたが、実態調査を行なったうえでの基本構想策定になるのか伺います。
-野口教育長
昨年の11月に学びの多様化学校設置検討委員会からご提出いただきました答申の中には、「個々のニーズに応じた学習支援や、個々に応じた進路指導等について検討することが必要である」と示されております。学びの多様化学校では、児童・生徒の意思を十分に尊重しつつ、個々の状況に応じ、特別な教育課程を編成して、教育活動を行う必要がありますことから、明年度策定する基本構想には、不登校児童・生徒やその保護者などの意見も反映させていきたいと考えております。
-山下議員
それでは、基本構想はどこでどのように策定していくのでしょうか。「将来の見通しが持てない」と悩んでいる当事者に、学校設置までの見通しを示すべきと考えますが、想定しているスケジュールを明らかにしてください。
-野口教育長
学びの多様化学校設置検討委員会からは、校種、教育課程、立地環境等に留意して、さらに議論を深めることが必要であるとのご答申を受けておりまして、明年度答申に示されました検討課題を踏まえて基本構想を策定することといたしております。今後の整備スケジュールにつきましては、基本構想の策定と合わせて検討していきたいと思っております。
-山下議員
ぜひその都度、市民のみなさん、そして子どもや保護者の方に届くように報告をしていただきたいと思います。
次は校内教育支援センターについてです。新年度は、校内教育支援センター支援員の配置が全小中学校に拡充されるということです。本市は校内教育支援センターの役割をどのように位置づけているのかうかがいます。
-野口教育長
校内教育支援センター、特に今年度、中学校で拡充をさせていただきまして、1年間実践をしてまいりました。自分なりに学校を巡ったり先生方と話をする中で、この校内教育支援センターは非常に有効であったというように実感しております。校内教育支援センターは、児童・生徒が学校には行けるが自分の教室には入れないときは、少しの時間でも学校へ登校し過ごしたいときなどに利用できる居場所でありますとともに、児童・生徒の意思に寄り添いながら、ひとりひとりのペースに合わせた学習支援や、相談活動等を行い、児童・生徒の気持ちに応える多様な学びの場としての役割を担うことを目的といたしております。今議会に予算についても計上させていただいております。さらに小学校でも拡充できないか、取り組んでいければと思っております。
-山下議員
校内教育支援センターについて、教員のなかにも支援の方向性について葛藤があるというような報告を見ました。また、子どもたちは「教室に入らずさぼっていると思われているのでは」という心理的負担があるという声も聞いています。位置付けられた役割の認識に違いがあれば、児童生徒やその保護者、教員にとっても負担のかかる場所になってしまいます。負担なく利用できる校内教育支援センターの役割とその周知が必要だと考えますが、いかがですか。
-野口教育長
そうしましたご懸念等も十分に想定をいたしておりました。校内教育支援センターにつきましては、その役割や支援を実施する上での留意点などをまとめた運営の手引きを、すべての小中学校に配布いたしますとともに、校長会議、また学校訪問などを通して、校内教育支援センターのさらなる充実に向けて指導・助言を行っております。合わせて、学校だよりなどを通じながら、児童・生徒本人や保護者にも校内教育支援センターの役割などについて周知するように指導いたしております。
-山下議員
校内に児童生徒が心身ともに安心できる居場所の拡充を引き続きお願いします。
次に、メタバースを活用したオンライン支援体制についてうかがいます。オンライン支援については、対面の相談・支援があるなかで、不登校の児童生徒がオンラインメインになってしまうのではないかという懸念や、身体的・心理的なフォローに欠けるのではないかという懸念の声もありますが、メタバースを活用したオンライン支援に取り組む目的を伺います。
-野口教育長
メタバースを活用したオンライン支援を行う目的は、学校や社会とつながりが持てず、家庭で多くの時間を過ごしている児童・生徒の社会的自立を図るとともに、教育から取り残されることのないように、学びの機会を保障することにあります。メタバースの活用に当たりましては、アバターを介して人とつながることから始め、将来の対面に向けた支援につなげていきたいと考えております。
-山下議員
全国では他の自治体も含め、民間のオンライン学習塾や不登校支援のNPOなどもすでに実施をしていますが、実施主体によっては、学校復帰を目指すもの、つながりの居場所として位置づけるものと、運用や目的が様々です。本市はどのように運用していくのか、開設時期もあわせて明らかにしてください。
-野口教育長
メタバースの活用につきましては、数年前から教育委員会におきまして研究を進めてまいりました。運用に当たりましては、外出することができず、家庭で多くの時間を過ごしている不登校状態にある小中学生を対象に、家庭から一人一台端末等を使用し、本市教育委員会が設定をいたしました仮想空間におきまして、児童・生徒がアバターと呼ばれる分身を通じて人と繋がることや、様々な活動を体験できるようにと考えておりまして、明年度中の開設を目指すことといたしております。
-山下議員
オンラインだけでなく、やはり対面支援との連携は欠かせないというふうに思いますので、またつぎのステップにどうつなげるかということも、継続的に支援を求めていきたいと思います。
次に子どもの居場所についてです。不登校支援において、学校復帰を前提としない子どもの居場所が、子どもからも保護者からも求められています。いま地域にある社会資源を最大限に活用するということが必要だと考えます。新事業に、城北児童会館での不登校等の中学生を対象とした学習支援の実施や、夏休みの子どもの居場所づくりに市が支援をしていくことも示されました。不登校の子どもたちは、普段から居場所がなく家で過ごさざるをえない状況にあります。夏休みだけでなく1年を通して、居場所や学びの環境を整えていくことが必要ではないでしょうか。子どもが歩い
て行ける児童館や公民館、集会所等の既存の施設を活用した居場所の取り組みの拡充を求めますがいかがですか。
-村山市長
本市では不登校を子どもを含め、すべての子どもが安心して過ごすことができる子どもの居場所づくりを支援しております。すでにいくつかの児童館や公民館、集会所において、地域主体のこども食堂や学習教室が通年で行われております。また明年度からは、城北児童会館で不登校の中学生を対象とした学習支援を行いますほか、長土塀青少年交流センターにおきましては中高生の自由な居場所となるユースセンターを開設することとしております。様々な施設の活用を図りながら、子どもが安心して過ごせる場所を広げていきたいと考えています。
-山下議員
ぜひ、多くの居場所の設置をお願いいたします。子どもたちは「いまの学校に自分の居場所がない」ということで、全身で表現していると思うんですね。学校が子どもの権利を保障する安心できる場所になるように、また引き続き議論していきたいと思います。
次に、市立病院事業についてうかがいます。国会では、少数与党の自民党、公明党が、来年度予算案を成立させるために、維新の会と「国民医療費の最低4兆円削減」を念頭に置いた合意文書を結びました。とんでもない削減です。赤字経営に苦しむ医療現場をさらに追い込み、患者負担が増えることは言うまでもありません。私たちはこうした医療崩壊を招く政策合意には断固反対です。こうした国の医療費削減に進むなか、よりいっそう公立病院の役割が問われてきます。市立病院が2023年地域医療支援病院に指定され約2年が経過しました。地域医療を支える柱となるべく、どのような役割を果たしてきたのか伺います。
-村山市長
地域医療支援病院として、開業医等からの紹介患者に対する医療提供や、医療機器の共同利用を通じまして、地域の医療機関との外来機能の分担・連携強化を進めてきております。引き続き南部地域の拠点病院としての役割を果たしてまいりたいと存じます。
-山下議員
地域医療支援病院となって、2023年10月から「特別な料金」と言われる選定療養費を徴収することとなりました。紹介状のない場合の初診は7700円に、また市立病院から他の医療機関への紹介状をもらったが再度市立病院を受診した場合の再診について3300円にと、市民に新たな負担が増えています。「特別な料金」の徴収は、市民の受療権の保障に逆行するものであり、受診抑制につながると考えますが、市立病院において「特別な料金」の徴収で、どのような影響が表れているのか明らかにしてください。
-松矢市立病院事務局長
当該制度は、初期医療について基本的に開業医等へ受診を促す制度であります。開業医等からの患者紹介率が、令和4年度の64%に比べ、令和6年度は今年1月末時点ではありますが88%に増加していることからも、地域の医療機関との連携が強化され、地域医療全体の充実が図られてきていると考えております。
-山下議員
「特別な料金」の徴収で受診抑制につながらないようにお願いいたします。
次に、移転整備事業についてうかがいます。2018年「市立病院の今後のあり方検討会」が設置され、コロナ禍にも重なりましたが5回の検討会議を経て2021年2月に「市立病院の今後のあり方に関する提言書」が出されました。検討会のなかで、市立病院の課題や公的病院の役割が明確になりました。そこで改めて、市立病院の移転新築整備がなぜ必要になったのか、お聞かせください。
-村山市長
現在の病院施設を建設してから35年以上が経過しました。設備の老朽化等により建て替えが必要となり、病院機能を維持しながらの現地建て替えが困難であるということから、現在の平和町公園での移転整備を行うことといたしました。
-山下議員
市民や職員のアンケートにも取り組みながら、新病院の整備の方向性等を議論し、2024年3月に基本構想が策定されました。能登半島地震を経験し、公的病院の役割のなかに、災害拠点病院としても重点がさらに置かれたのではないでしょうか。基本構想では、病床数を維持し、経営形態は、独立行政法人化や指定管理者制度を選択せず、「地方公営企業法の全部適用」を継続することが示されました。国が打ち出している地域医療構想のもと、全国では病床削減や公立病院の統廃合、民間譲渡が迫られるなかで、市立病院が公立病院の役割を継続する方向性を示したことはたいへん重要です。国は2040年を見据えた「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」を2024年12月に公表しました。これまでも掲げていた「病床の機能分化・連携」をさらに推進していくとあります。要するに病床削減をさらに進めて行こうという方針を変えていません。地域医療の崩壊を招かないためには、病床数や経営形態を維持継続していただきたいというふうに考えますが、今後も継続が示されていくのかうかがいます。
-村山市長
ご指摘いただきました病床数につきましては、救急や感染症、また災害等の政策的医療など、公立病院としての役割を果たしていくためにも、現在の306床を維持することとしております。昨年度策定した基本構想におきましては、現時点では経営形態の見直しを行わず、地方公営企業法の全部適用を継続していくこととしておりまして、基本計画におきましても変わりはありません。
-山下議員
新年度、市立病院移転整備のために市立病院事務局に「市立病院建設準備室」を新設し、移転整備に向けた基本設計に着手していくとのことです。令和2年の提言書では、基本構想からおおむね10年以内の完成を目指すことが適当であるとありました。そこで「建設準備室」の役割と、今後の整備スケジュールをお聞かせください。
-村山市長
明年度基本設計に着手いたしますとともに、移転候補地の用地取得や財源確保、医療連携に向けた関係機関との調整などが本格化いたしますことから、建設準備室を設置をいたします。整備スケジュールにつきましては、今のところ設計業務で約3年、工事で約3年の期間を見込んでおりますが、詳細なスケジュールにつきましては設計段階で確定する予定であります。
-山下議員
ぜひ公立病院の役割を後退させず、コンセプトにあるように「地域住民とともにつくる未来型自治体病院」ということで、市民とともに新病院建設をすすめていただきたいというふうに思います。
質問の最後は、公共交通についてです。公共交通は、まちづくりのあらゆる施策分野に共通した基盤となるインフラです。地域住民だれもが、いつでも、どこでも、自由に安全に移動することは、健康で文化的な生活を営むうえで欠かせません。本市では、2023年3月に策定した第3次金沢交通戦略に基づきすすめられてきましたが、そこに市民的ニーズと市民的合意があるのかが問われます。
そこで、連節バスの導入についてお聞きします。通常の路線バスと比較して、輸送力が約1.5倍の連節バスを導入し、市内で実証運行を行うというものです。その路線が平和町線等、と示されました。そこで、連節バス導入の目的と、連節バスを走行させる路線を平和町線と選定した理由を明らかにしてください。
-村山市長
連節バスは、第3次金沢交通戦略に基づいて、バス1台当たりの輸送力を高めるとともに、運転手不足にも対応するため、導入したいと考えております。導入にあたりましては、交通事業者や道路管理者等とも協議をいたしまして、右左折の回数が少ない路線での運行が必要との判断のもとに、まずは金沢駅と金大付属学校を結ぶ平和町線に導入することといたしました。
-山下議員
2026年から実証運行を開始するという計画ですが、それまでの2年間は走行環境の整備を行うということです。南部は大型トラックが多く走行する地域です。普段から大型トラックや連節トラックが走り、騒音や道路陥没などの影響を受けています。地域住民からは安全性や道路環境について心配の声があがっています。道路やバス停など、これから環境整備が行われると思いますが、市民生活や通常の交通への影響はないのか伺います。
-村山市長
整備にあたりましては、通常の路線バスの運行や一般の道路交通、歩行者の安全・安心など、市民生活に影響が出ないように道路管理者や交通管理者等関係機関との調整を行いまして、整備をすることとしております。
-山下議員
ぜひ周辺住民に対して、丁寧な説明と合意のうえで進めることを求めます。
実証運行後の事業の見通しについて明らかにしてください。
-村山市長
実証運行から確認された走行環境等の安全性、また路線バスの利用状況等も踏まえまして、導入路線など、本格運行に向けた課題について、交通事業者とともに検討していくこととしております。
-山下議員
最後の質問は、交通政策の構築についてです。連節バス導入の特定事業計画の策定についても、金沢市交通まちづくり協議会において意見聴取を行っています。協議会はどのような委員で構成されているかお聞かせください。
-村角都市政策局長
協議会の委員でございますが、学識経験者2名、交通事業者5名のほか、労働、市民、経済団体等から6名、国・県で6名、市が2名の合計21名でございます。男性18名、女性3名の構成となっております。
-山下議員
国土交通省は2024年11月、あらゆる分野の計画、法律、政策などをジェンダーの視点でとらえ直し、すべての人の人権を支える仕組みにつくり直していく「ジェンダー主流化」の取り組みを始めると宣言しています。交通機関やバスダイヤが男性優位に構築されているという実例やデータもあるなかで、交通政策における意思決定の場に女性を増やすことは欠かせません。先程も答弁にありましたように協議会は委員21名のうち女性は3名となっています。意見聴取の課程に、ジェンダーの視点が欠如していると指摘せざるを得ません。あらゆる政策にジェンダーの視点をと言われている今日、本市はそうした視点で交通政策の構築に努めているのか伺います。
-村山市長
交通政策については男女や世代を問わずに広く市民や来街者の視点に立って推進することが重要と考えております。協議会の中で女性の委員の数を増やしてきたいという思いは同じに思っております。協議会委員の委嘱にあたりましては、男性の委員が多いという現状を踏まえまして、他の協議会と同じく関係団体に対してできるだけ女性委員を推薦していただくよう努めております。
-山下議員
ぜひ交通政策もジェンダーの視点で進めていただきたいと思います。
バス利用者はもちろん、多様な市民の声を十分にくみ取った公共交通政策の構築にむけて、やはり欧州のように行政が責任をもって積極的に予算をつけていくことも求められます。引き続き、市民の移動する権利を保障する地域公共交通の実現を求めて、私の質問を終わります。
私は、日本共産党市議員団を代表して、以下質問を行います。
今年、戦後80周年を迎えます。
終戦後の昭和22年・1947年8月文部省が「新しい憲法のはなし」と題する中学生向けの教科書を発行しました。
その中に、「戦争の放棄」という項目の中で、次のように記載されています。
「こんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機もおよそ戦争するためのものは一切もたないということ。もう一つは、よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって相手をまかして自分をとおそうとしないということをきめたのです」と述べています。
戦後80周年をむかえる現在の日本はどうでしょうか。
日本政府は、2023年から2027年度の5年間で43兆円もの防衛費増額を決定し、2027年度に国内総生産比で2%へと倍増させる空前の防衛費拡大計画を打ち出しました。これによって、2025年度予算での防衛費は、過去最大の8兆7005億円という規模となっています。さらに、先のトランプ米大統領との会談によって、さらなる防衛費拡大を約束してきました。米国国防次官は、3月4日「できるだけ早く3%以上」に引き上げるよう日本に要求しました。多くの国民は、戦争する国づくりではなく、平和の方向を歩むことを願っています。
金沢市平和都市宣言が今年40周年を迎えます。
この平和都市宣言は、核兵器廃絶と平和の実現に向け不断の努力することを内外に明らかにしたものです。
市長は、戦後80周年を迎え、金沢市平和都市宣言のもつ意味と内容をどのように市民に発信されるのか伺います。また、新年度予算に盛り込まれた「ヒロシマ原爆・平和展in金沢」の開催について具体的内容について明らかにしていただきたいと思います。
第二に、開かれている県議会において、馳知事が金沢港を「特定利用港湾」に指定したい旨国から申し入れがあったことを明らかにしました。これは、自衛隊や海上保安庁が訓練等に円滑に利用できるよう指定するものです。
すでに、国は令和6年12月末で8空港、20港湾を指定し、さらに全国各地の空港と港湾を指定しようとしています。これに対し、全国各地で反対の要請や行動が取り組まれています。
日本科学者会議は、昨年10月この指定は、戦争する国づくりへと進めるものだとして撤回するよう国に要請しました。
市長。こうした国からの指定に反対し、県に対しても国からの申し入れを断るよう求めていただきたいと思います。市長の見解を伺います。
質問の第二に、新年度予算と市民の願いにこたえる5つの提案についてです。
物価高騰が続き、市民生活は一段と厳しい状況となっています。
この3月の食料品の値上げは2343品目にひろがり、2025年に入っての累積の値上げ品目数は、1万品目を超える事態となっています。
新年度予算はこうした市民の暮らしを守るものとなっているのか。問われています。
具体的に5つの提案を通じて市長の見解を伺います。
まず、一つはコメ不足と価格高騰についてです。
コメの値上がりが異常です。店頭で、5㎏あたり、昨年2000円台だったものが、3000円を超え、4000円台と平均価格は1.9倍となっています。昨年夏のコメ不足の際に、政府は秋になれば新米が出荷され、コメ不足は解消すると述べてきました。ところが、新米が出荷されると今度は価格が高騰しました。ようやく、政府は、備蓄米を放出することを打ち出しましが、事態の解決に至っていません。市民は主食であるコメ不足と価格高騰に怒りの声を上げ解決策を強く求めています。
昨年の9月議会で、この問題を取り上げた際に、市長は「国の動向を注視する」として、関係者の声を聴くこともしませんでした。
コメの需要が705万トンに対し、供給は661万トンであり、コメ不足は深刻です。この間の減反政策によって、今回の事態となったものです。米を減らす政策から増やすための抜本的転換が求められています。
市長。国に対してコメ不足と価格高騰に対する打開策を求めるべきです。見解を伺います。
金沢市は、来年度「農業と森づくりプラン」を見直します。この際に、コメ作りへの積極的な施策と支援策を盛り込むよう求めます。見解を求めます。
二つ目に、学校給食費無償化と子ども医療費助成制度の拡充についてです。
学校給食費無償化の実施を行っていないのは、県内11ある市の中で、野々市市と金沢市だけとなっています。市長は、この実施を拒否し、国が実施すべきとの主張を繰り返しています。
国は、2026年度から小学校から学校給食費の無償化を検討するとしています。
市長は、金沢市の子どもたちと保護者にそれまで我慢してくださいというのですか。見解を伺います。
子ども医療費助成制度について、通院も18歳まで対象を広げ、無料とすることを強く求めます。18歳まで対象を拡充していないのは、金沢市だけとなっています。子育てのしやすい金沢市をめざすというならば、まず、この制度の拡充に取り組むべきです。見解を伺います。
三つ目に、国民健康保険料についてです。
新年度予算で、国民健康保険料の引き上げが提案されています。
今回の引き上げが行われると加入者一人当たり年間保険料は、平均12万5967円となり、前年度に比べ12.5%引き上げられ、金額で1万3942円の増加となります。
かつてない大幅な保険料の引き上げです。今でさえ、負担感の強い国民健康保険料が
これだけ引き上げられると加入者の負担感はさらに高まります。保険料の引き上げを中止し、支払える保険料にすることが求められます。
市長の見解を伺います。
国民健康保険の基金から6億円を繰り入れるとしていますが、まだ、6億円の基金が残っています。一般会計からの法定外繰り入れが3億8千万円となっています。保険料の引き上げを中止するために財源の確保するよう求めると共に、国に対し国民健康保険制度を安定的に維持するための財源措置を強く求めるべきです。見解を伺います。
第2に、国と県は、保険料水準の県内統一へと歩みを強めようとしています。県内で、同じ所得水準、同じ世帯構成であれば同じ保険料にするというものです。
そのために、基金と一般会計からの法定外繰り入れをやめるよう求めています。金沢市でこのことが実施されると保険料の大幅引き上げにつながります。反対すべきです。市長、国民皆保険制度という優れた制度を維持する上で国民健康保険制度は欠かすことはできません。国民健康保険制度について責任を持って運営するよう求めるものです。
第3に、マイナ保険証についてです。多くの国民の反対にも関わらず、昨年12月2日から従来の保険証の発行が中止されました。しかし、マイナ保険証を強制することに批判の声が続いています。マイナ保険証を持たない方などについて資格確認書交付を行うとしていますが、今後の金沢市の対応について、明らかにしていただきたいと思います。
四つに、保育料の引き下げについてです。
新年度予算では、二人目の子どもさんから保育料無償化が打ち出されましたが、給食費の無償化が行われていません。また、保育料を引き下げることは、切実な課題となっています。
なかでも、共働き世帯などに相当する所得階層の保育料を見ると、0歳から2歳までの保育料が月4万円にのぼります。これは、D階層の保育料が高いことによります。
この階層をはじめ保育料全体の引き下げが求められます。見解を伺います。
五つに、補聴器購入補助制度の創設についてです。
高齢者の場合、聞き取る機能が衰えると人とのコミュニケーションが後退し、さらに、認知機能の低下につながります。こうした状況を踏まえ、聴力検査や専門医による診察・相談、補聴器購入支援等の早期対応、フォローアップ、データー分析などが行われています。山形市では、国の介護保険者努力支援交付金を活用し、「聴こえくっきり事業」が取り組まれ注目されています。
金沢市において、この交付金を活用し、補聴器購入補助制度を含めた総合支援事業を実施することを求めます。見解を伺います。
質問の第三に、下水道施設の安全対策と新たな官民連携の推進についてです。
今年1月28日埼玉県八潮市で道路陥没が発生しました。その原因として地下にある下水道管の破損とみられるとしています。下水道管の安全対策が大きな課題となり、緊急の安全チェックが取り組まれています。
国土交通省によると全国の下水道管のうち、腐食のおそれが大きい個所について明らかにしました。それによると2024年9月末時点で、石川県では208㎞あり、全国で2番目に多い県となっているとしています。そこで、金沢市ではどのような実態となっているのか。明らかにしていただきたいと思います。
企業局によると下水道管の陥没は年間10ヵ所から20ヵ所発生しているとのことです。最近では平成27年入江交差点で大規模な陥没が発生しました。
今後、腐食のおそれが大きい個所の発見と対策をどのように進めていかれるのか明らかにしていただきたいと思います。
また、下水道の耐震化の現状と今後の対策方針について、明らかにするよう求めます。
第2に、下水道施設を対象とする新たな官民連携の推進についてです。
国土交通省は、新たな官民連携であるウォーターPPP導入を国の補助交付の要件とし、地方自治体にその導入を強制してきています。
この導入が進められると下水道事業が民間事業者の利益追求の対象となり、安全のためのコストカットにつながりかねません。また行政チェック、監視機能が低下すると共に、行政の技能継承が後退するなど問題が指摘されています。
したがって、地方自治体から国による強制をしないよう求める要請が行われています。
金沢市は、どのような対応をされるのか。具体的に伺います。
第3に、金沢市は、この新たな官民連携の導入について西部処理場と臨海処理場を対象に検討を進めるとしています。城北水質管理センターについては、すでに運転管理について民間に委託されています。今後の具体的推進について明らかにしていただきたいと思います。
この質問の最後に、水道事業について、この新たな官民連携であるウォーターPPP導入について従来から導入しないとの見解を明らかにしていますが、今後の対応について見解を伺います。
質問の第四に、金沢方式についてです。
市長は今議会の施政方針の中で、次のように述べました。
「地域の自主性や 連帯意識を背景とした、いわゆる「金沢方式」については、地域コミュニティが近年直面 している課題を踏まえ、地元負担の見直しを図るなど、持続可能なコミュニティを支える ための施策の充実・強化に取り組むこととした次第であります」と述べました。
さらに、「地区公民館、児童館、消防分団の施設整備に関して、近年の建築資材や労務単価の上昇を踏まえ、地元負担を軽減するとともに、施設の解体費や長寿命化につながる改修経費を全額市が負担します。また、地区公民館の運営費にかかる地元負担を軽減するとともに、施設整備と同様の世帯数に応じた軽減措置を導入します」との見解を明らかにしました。
要するに、金沢方式は継続し、地元負担軽減を図り、持続可能なコミュニティーを図っていくというものです。
今から、26年前平成11年・1999年に行われた公民館50周年記念誌の座談会において、当時の編集長が次のように述べています。
「金沢方式という形態は今では一応定着しているが、その内容は良い面もありますし、問題となる面も含んでおります」と発言されています。
市長。この中で指摘されている「問題となる面」は、今回解決されたのでしょうか。見解を伺います。
戦後、昭和24年・1949年社会教育法が制定され、金沢市公民館設置条例が同じ年につくられました。市内に設置された5つの公民館と中央公民館は金沢市の常勤職員が配置されました。一方地区公民館が38校下に広がると財政的な問題を町内会が用意する財源によって対応が始まりました。ところが、社会教育法第21条で「公民館は、市町村が設置する」との条文からすると金沢市の公民館運営はこれに反するのではないかという声があがりました。当時の市長は、市立公民館として新たに8ヵ所を整備する方針を打ち出しました。しかし、この方針は地域住民の理解を得られず、野町公民館が設置されただけで、中止されました。その結果、地区公民館に対する金沢市の公費負担が行われ、今日の負担割合まで拡充されてきました。
今回の市長提案はこうした施策の延長にすぎません。
社会教育法第21条で明記されている「公民館は、市町村が設置する」との立場に立ち地元負担を見直すことが求められています。見解を伺います。
第2に、社会教育法が明記する「公民館は、市町村が設置する」との立場から地元負担なしで公民館を設置し、運営するという公民館施策に切り替えていくことが求められます。市長の見解を伺います。
第3に、今後、公民館整備計画を策定するとともに、この中で、地元負担をなくすことを基本とし、地域住民の参加のもとで具体化することが求められます。市長の見解を伺います。
質問の最後に、金沢市中央卸売市場再整備事業についてです。
この事業について、市長は昨年9月この議場で、次のように述べました。
「基本設計を来年2月末まで延長することで、実施設計については令和7年度から取り組むこととなりますが、建設工事については予定通りの令和8年度中の着手を目指していきたい」と表明しました。
ところが、今議会の市長施政方針では、先の答弁を覆し、基本設計業務を「令和8年2月末まで延長する」と述べました。
市長は、市民と議会との約束を破ったことになります。
市長をはじめ市当局は、基本設計を今年2月末まで完了し、計画通り工事を令和8年度中着手すると繰り返し表明してきました。「できませんでした」ということでは済まされません。市長ご自身の責任について、見解を求めたいと思います。
また、市長は、基本計画について、「見直しは考えておりません」と答弁されましたが、今議会では、「基本計画を改めて検証したい」 と先の答弁を覆されました。
市長は、この事業について責任ある見解や表明ができない事態となっているのではありませんか。見解を伺います。
先に開かれた経済環境常任委員会に置いて、副市長から重大な説明がありました。現在地で、ローリング方式による工期10年以内の建て替えが難しいとの判断をしたのは昨年5月だったとのことです。ところが、このことを明らかにしないまま、昨年の9月議会で、基本設計を5か月延長しました。許されることではありません。説明を求めます。
第2に、市場関係者との信頼関係が壊されたことです。
市当局は現在地での建て替えが難しいと判断し、市場の外での仮設設置を提案しました。しかし、敷地が狭く、様々な問題が明らかとなり、断念しました。すると今度は県が所有する用地を仮設候補として提案されました。これも合意には至りませんでした。「意思形成過程」を隠れみのに様々な提案を繰り返し、市場関係者との信頼関係を壊してきました。市当局の責任は重大です。市長の見解を求めます。
第3に、基本設計に係る予算と今回の補正予算、さらに新年度予算に盛り込まれた基本計画の検証についてです。
金沢市は、基本設計をプロポーザルによる設計事務所を選定し、8900万円の予算で昨年9月30日までとする契約を交わしました。ところが、これを5か月延長し、今年2月28日までとする契約変更を昨年9月13日交わしました。
市当局は、現在地でローリング方式による工期10年以内の建て替えという基本方針を断念せざるにも関わらず、期日だけを変更する措置を取りました。一方で、市場の外での仮設設置を提案し、そのたびに設計事務所が対応しました。基本設計の期日だけを延長する契約変更は、おかしいのではないかとの指摘に対し、「基本設計をまとめていく上での資料であり、軽微な図面だ」との見解を述べてきました。すると今度は、補正予算で3500万円を計上しました。8900万円による基本設計は、何をさすのですか。そして、今度の補正予算で計上した3500万円は、やはり基本設計にかかわるものですか。明快な答弁を求めます。度重なる期日変更を繰り返し、基本設計が年度を超え、追加予算まで計上するのは、金沢市財務規則と事務決済規則に違反しませんか。見解を伺います。
また、新年度予算に盛り込まれた基本計画の検証について、どんな内容をどのように検証するのか。明らかにしていただきたいと思います。
以上で代表質問を終わります。
※一括質問形式で質疑しましたが、答弁をわかりやすくするために、一問一答形式に直して表記しています。
-山下議員
発言の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として議案第64号令和6年度金沢市一般会計補正予算(第6号)について質疑をおこないます。
まず初めに、物価高騰の影響と今回の補正予算編成についてです。国は昨年11月22日に新たな総合経済対策を決定し、12月17日総額約14兆円にもなる補正予算が可決・成立しました。わが党は反対をしており、国会の議論では、物価高騰から国民のくらしや営業を守る予算配分がされた一方で、能登半島地震の復旧復興費の3倍ともなる8,268億円の軍事費を計上し、半導体企業など一部企業支援に1兆円を超える巨額の予算を投入するなど、緊急的に必要な事業を行うという補正予算の本来の目的から外れる予算編成であり、重点支援地方交付金の増額や消費税減税など、国民のくらしを支えるもっと手厚い対策が必要だと指摘がされています。
市民生活は、お米や野菜などの食品、郵便料金など値上がりが続き、さらに厳しさを増しています。帝国データバンクの調査では、今年1月から4月までに値上げ予定の食品は6121品目になるとしています。先日はガソリン価格を抑制する補助金をさらに縮小するという政府方針が出されたところです。実質賃金は2022年から2024年11月まで、わずか2ヶ月プラスに転じただけで、この間マイナスが続いています。 東京商工リサーチが発表した2024年の企業倒産件数は、前年度比15.1%増の1万6件となり11年ぶりに1万件を超え、うち1万4件が中小企業です。石川県内では前年より35件多い85件という現状です。子育て中の保護者の方からは、こども食堂や食糧支援など利用できるものはしているけど、それでも生活は厳しいという声を聞いています。
そこで市長におたずねします。今緊急議会の補正予算案は、先の国会で成立した補正予算に伴うものです。市長は国の補正予算をどのように受け止め、長引く物価高騰の影響を受ける市民のくらしや営業の実情をどのように捉え、本市の補正予算に当たったのかお聞かせください。
-村山市長
先月成立した国の総合経済対策には、日本経済の成長に向けた賃上げ環境の整備のほか、新たな地方創生施策や足元の物価高対策、防災・減災対策など、地方自治体が直面するさまざまな課題を克服するための対策が盛り込まれており、事業を捉えたものと思っております。特に、エネルギー・物価高騰の影響を強く受ける低所得世帯等への支援や消費の下支えのための地域経済対策につきましては、できる限り速やかな対策を講じる必要があると考え、国の重点支援地方交付金を全額活用し、3月定例月議会に先立ち、今補正予算をお諮りした次第であります。
-山下議員
次に、住民税非課税世帯等緊急支援給付金事業費および、ひとり親世帯緊急支援給付金事業費についておたずねします。この事業は、エネルギー・食料品等の物価高騰の負担感が大きい低所得世帯への負担軽減をはかる事業です。 対象世帯は2023年1月~12月の所得等が基準となりますが、2024年1月1日の能登半島地震により、本市においても収入の変化や世帯構成の変化、住民票の移動など、影響を受けた世帯は少なくありません。給付金事業の実施においては、対象の確定から支給にいたるまで、対象世帯が漏れることのないようすすめることが求められます。特に家計急変世帯が申請につながる制度案内が重要となります。そこで、給付金についての周知や申請方法を明らかにしてください。
-山口福祉健康局長
住民税非課税世帯等緊急支援給付金につきましては、昨年以前に同様の緊急支援給付金を受給した世帯のうち、世帯構成に変更のない場合は、申請のいらないプッシュ型で支給することとしております。世帯構成等に変更のあった世帯につきましては、改めて扶養の状況や振込口座を確認する必要がありますことから、確認書を送付することとしております。なお、家計急変の世帯につきましては本市で把握することができませんことから、市のホームページや新聞広報等を通じて給付金の周知を図り、対象世帯からの申請を受け付けることとしております。
-安宅こども未来局長
私の方からは、ひとり親世帯緊急支援給付金についてお答えさせていただきます。給付金の周知と申請の方法ですが、支給対象世帯に対しましては、児童扶養手当の受給者情報をもとに2月末にも支給案内を発送し、3月中旬をめどに請求行為のいらないプッシュ型で支給をしていきます。
-山下議員
また、対象世帯について住民税非課税世帯等緊急支援給付金事業では約53100世帯、ひとり親世帯緊急支援給付金事業では約1400世帯、合わせて54500世帯を見込んでいますが、その世帯数は本市全世帯数の25%にすぎません。給付金事業において、支援対象の拡大を検討されたのかお聞かせください。
-安宅こども未来局長
給付対象の拡大を検討したのかというお尋ねがございました。エネルギー・食料品価格等の物価高騰によりまして家計負担が増加していることを踏まえ、児童扶養手当を受給する低所得のひとり親世帯のうち、全国一律の緊急支援給付金の対象とならない世帯に対し、市独自の支援として同額の給付金を支給することで対象の拡大を図ったところでございます。
-山下議員
どちらの事業も早急な支援が求められますが、支給予定が3月上旬から、ないし3月中旬となっています。支給予定日について速やかな支給の検討がされたのかお聞かせください。
-山口福祉健康局長
給付金の支給予定時期を早めることはできないかとのお尋ねに対してお答えいたします。住民税非課税世帯・ひとり親世帯ともに、給付金の支給時期につきましては、手続の簡素化や事務処理の効率化を十分考慮いたしまして、できる限り早期となるように設定したものでございます。これ以上早めることは難しいというふうに考えております。
-山下議員
次に、福祉光熱費助成金についておたずねします。 2023年度の福祉光熱費助成金は、当初予算と9月補正予算で計上され1年を通した光熱費の支援となっていました。しかし今年度は当初予算では支援事業が行われず、今回の補正予算案では対象月を2024年10月~2025年3月分としています。2023年度同様に、1年を通した支援となるよう上期まで対象とする支援を検討されたのか伺います。
-山口福祉健康局長
福祉光熱費助成金につきまして、昨年度は1年を通した助成であったが今年度は10月からの半年分となっていますことについてでございますが、令和5年度の12月補正予算及び1月補正予算に加えまして、令和6年度の当初予算に緊急支援給付金を計上し、支援を行っておりますことから、今年度の上期分の光熱費については助成をしなかったものでございます。
-山下議員
2023年度冬期の助成金額は1世帯あたり1万8千円でしたが、同時期の今年度の助成金額が1万5千円と減額になった理由をお聞かせください。
-山口福祉健康局長
昨年度の助成額1万8000円から今回は1万5000円に減額となった理由についてでございますが、今回の補助単価は、電気・灯油・ガス料金それぞれ令和5年の4月の価格と令和6年12月など直近の実績との差額を6カ月分として算出しております。この算出方法は昨年度までの助成金と同様でございますが、月々の電気等の料金や、国が行っておりますエネルギーの支援額の違い等により、結果として助成額が幾分減額となったものでございます。
-山下議員
福祉光熱費助成金は、生活保護世帯と住民税非課税の児童扶養手当受給世帯、要介護3以上の高齢者や重度の障害者を在宅で支える世帯が対象となっていますが、それぞれのどのくらいの世帯数なのかお聞かせください。また対象世帯への周知をどのように行うのか、申請が必要であればその期限はいつまでなのか、支給予定はいつなのか明らかにしてください。
-山口福祉健康局長
助成金の対象ごとの世帯数、周知や申請の方法、期限、支給予定についてでございますが、助成金の対象は生活保護世帯のほか、住民税非課税の要介護3以上の高齢者世帯、重度の障害者世帯、児童扶養手当受給世帯としておりまして、生活保護世帯は3300世帯、要介護3以上の高齢者世帯は1100世帯、重度の障害者世帯は1900世帯、児童扶養手当受給世帯は1000世帯の合計7300世帯を見込んでおります。今補正予算の議決後、1月下旬から順次案内文を送付し、2月下旬に支給を開始したいと考えております。このうち生活保護世帯と児童扶養手当受給世帯につきましては受給者の情報をもとにプッシュ型で支給をいたしますが、そのほかの世帯につきましては住民税非課税などの支給要件の確認を要しますことから申請が必要となりますものの、確実に支給できるよう丁寧に周知をしてまいりたいと考えております。
-山下議員
次に、福祉施設光熱費物価高騰特別対策費、および福祉施設食材料費物価高騰特別対策費についておたずねします。 まず、福祉施設光熱費物価高騰特別対策費は、エネルギー価格高騰に対応するための事業ですが、光熱費の一部助成のなかに、ガソリン代等の燃料費を含む検討はされたのか伺います。
-村山市長
福祉施設光熱費物価高騰特別対策費につきまして、本事業は高騰している電気・ガスなどの光熱費の一部を助成するものであります。ガソリン価格の高騰対策につきましては、別途国が対応するものと認識をしております。
-山下議員
次に、今回の2つの物価高騰特別対策事業の対象施設に、医療機関や保育施設を含む検討がされたのか、対象施設に含まれない理由もあわせて明らかにしてください。
-山口福祉健康局長
福祉施設に対する物価高騰特別対策費についてでございますが、医療機関につきましては、県が地域の実情に応じて医療提供体制の確保を行うこととなっております。本市として支援することは考えておりません。
-安宅こども未来局長
福祉施設光熱費並びに食材料費物価高騰特別対策費についてでございますが、保育施設につきましては既に当初予算におきまして1年分の光熱費及び食材費の物価高騰分が含まれていますことから、追加することは考えておりません。
-山下議員
また、児童館や公民館、児童クラブについては当初予算で光熱費について助成されていますが、今回の補正予算に追加する検討がされたのかお聞かせください。
-安宅こども未来局長
児童館や児童クラブなどについては、既に当初予算において1年分の光熱費上昇相当分を運営費に加算していますことから、追加することは考えておりません。
-山下議員
最後に、2つの物価高騰特別対策事業の対象施設への周知方法や申請の期限など、助成金支給までの流れを明らかにしてください。
-山口福祉健康局長
対象となる施設に対しましては、補正予算可決後速やかに申請方法や申請書の様式をホームページに掲載いたしますほか、各事業所宛に電子メールでも送付し、周知を図ることとしております。申請は2月1日から受け付けし、順次支給していくこととしております。申請期限は3月末でございますが、同様の支援策をこれまでも数度にわたって行っておりまして、未申請者への申請の勧奨を行うなど、漏れのない支給に努めてまいります。
-山下議員
次に、金沢の買い物応援商品券事業費についておたずねします。 商店街が発行する商品券事業は、本市でも経済対策、物価高騰対策として繰り返し行なわれてきました。今回の補正予算案では、歳入の一般財源約1億9千万円すべてが商品券事業に充てられています。市民の買い物負担を軽減し消費を下支えする目的を掲げていますが、商品券の購入者に要件はなく、金沢市民に限らず購入することができます。また商店街の活性化もあわせて目的とする事業ですが、団体に加入していない店舗は対象とならず、商店街によっては大型店舗に消費が偏るという傾向も見られます。他自治体の分析では、商品券事業期間の前後で買い控えが起きるため、期間中の売上のみで正しい経済効果が算出できないとも言われています。そこでこの事業が、市民の経済的負担を軽減し、物価高騰分を価格転嫁できない小規模事業者の経営を支える事業となるのかお聞かせください。
-村山市長
買い物応援商品券事業については、物価高騰が続く中で、消費を拡大しながら家計負担を軽減できる最適な手段と捉えています。加えて、これまで買い物応援商品券事業に取り組んだ際には、地域の商店街から、購買者の大多数は地元の皆さんであり、地域の店舗で利用され大変ありがたいとの感謝の声を伺っております。小規模事業者の下支えの役割も十分果たしていると捉えています。
-山下議員
最後に市独自の財源についておたずねします。今回の補正予算歳入の多くは国庫支出金が充てられています。重点支援地方創生臨時交付金約26億7500万円のうち、地方公共団体が地域の実情に応じて独自に活用できる推奨事業メニュー分が約8億9千万円交付される見込みです。推奨事業メニューには、今回の補正予算に提案されなかった農林水産業、中小企業等への支援、さらには個人や事業者へ幅広く支援が行き届くと考えられる上下水道料金の減免などにも交付金が充当できるとされています。 市独自の財源を積極的に投入し、こうした事業をおこなう検討がされたのかお聞きします。
-村山市長
予算に限りがある中で、特にエネルギー・物価高騰の影響を強く受ける低所得世帯や福祉施設等を優先的に支援する必要があると考えまして、国から交付される重点支援地方交付金を全額活用して必要な対策をお諮りいたしました。今補正予算の歳出の総額が重点支援地方交付金の交付額を上回ることとなりました。その差について、令和5年度の決算剰余金の一部を充当することとさせていただきます。エネルギー・物価高騰が続くことが想定されることから、引き続き、国や県の動向を注視しながら、適宜適切な対応・対策を検討していきたいと存じます。