2011年金沢市12月議会 一般質問 森尾 嘉昭

私は、日本共産党市議員団の一人として以下質問いたします。
最初の質問は、地場産業の振興についてです。
異常な円高と東日本大震災と福島の原発事故は、長期にわたる不況が続く日本経済に深刻な打撃となっています。このまま雇用や国内需要を犠牲にして外需依存の経済政策を続けていては暮らしも経済も良くなりません。国内需要を喚起させ、国民の所得を回復し、雇用確保と家計を応援する政策への抜本的転換が求められています。
市長!あなたは、今議会の提案説明の中で「景気・雇用への対応に万全を期し、元気なまちをつくる」と述べていますが、その中身は、従来の延長にすぎず、打開の方向すら見えません。
市民生活と中小企業の現況をしっかり受け止め、正面から支援する方向に政策の基軸を転換することが求められています。具体的に伺います。
第一に、呼び込み型の企業立地から脱却することです。
森本の山間部に先端産業を誘致するとして280億円を投入して森本テクノパークを建設しました。すでに20年近くが経過しましたが、参入したのはわずか5社に過ぎず、4分の1が売れ残ったままです。東京ドームの約2個分に相当する面積です。土地開発公社は、その土地の簿価30億円が残り、金利負担が続いてきました。そこで、本市は、今年度、一般会計から無利子で30億円を貸し付けました。これまでの政策の失敗を市民の税金でまかなうと言う対応は到底認められることではありません。しかも、このテクノパークに進出した渋谷工業は、3つの工場を建設しました。その進出に際し、本市は、なんと合わせて10億円もの助成を行いました。また、工業用水を供給するとして、特別会計で運営してきました。ところが、給水料金は、27%程度に過ぎず、赤字分は、全額一般会計で補てんしてきました。これまでの総額は、9億円にものぼっています。利用しているのは、3つの企業にすぎません。
市長!こうし現状について、どのように受け止めておられますか。伺うものです。その検証も反省もないまま、今度は、このテクノパークの真下に位置する河原市で工業団地の建設をすすめるとしています。
呼び込み型の企業立地から脱却し、本市の中小企業を支援する方向に転換するべきではありませんか。その見解を伺うものです。
第二に、大手企業への利便をはかる政策をやめ、地場産業を正面から支援する方向に切り替えるべきです。
大手企業であるコマツが金沢港周辺に進出するとして港湾などの整備事業に247億円が投入され、本市の負担分は、50億円にのぼります。コマツの第一工場が建設され、本市は、2億円までとしていた助成金をさらに1億円追加し、市民の税金で、3億円を助成しました。コマツは、工場進出の際に、県と合わせて、10億円もの助成金を手に入れました。そして、第二工場の進出にあたって、本市は、20億円を投じて、粟崎の防風林であったアカシアの林を伐採し造成しました。本市は、コマツの進出によって、その経済効果は、250億円だと述べ、本市のものづくりに新たな方向を作り上げるとして絶賛しました。それは、巨額の市民の税金を投入することをごまかすためのものでした。コマツは、小松市の本社を閉鎖し、世界的規模での再編成を進め、派遣労働者の雇い止めを進めてきました。
市長!本市の経済を支えてきた中小企業のほとんどが家族と数人の従業員という規模です。年末を迎え、資金繰りにも事欠く事態となっています。仕事を確保するにも大変です。こうした企業への支援策を正面に据える方向に政策を切り替えるべきと考えますが、その見解を伺うものです。
第三に、住宅リフォーム助成制度の導入についてです。
大工さんなど建築業者や塗装店、ガラス店など多くの業種への仕事出しや、雇用拡大にもつながるとして多くの自治体が導入してきています。
津幡町も新たに導入することが表明されました。
地場産業さらに、伝統産業へも波及効果が期待されるだけに本市での導入を改めて求めるものです。市長の見解を伺います。
質問の第二に、来年度から始まる第5期介護保険事業計画について伺います。
地域住民は、「高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けたい」と願っています。高齢者は、「お金のことを心配しないで医療や介護のサービスを受けたい」と訴え、家族や介護者からは、「認知症の母親をどうしたらよいのか。行き場所がない」との悲痛な訴えがあります。特別養護老人ホームの待機者家族会の方からは、「もう、介護も限界です。2年間も入居をまちつづけています」との訴えは、胸に迫るものがあります。「介護保険料を値上げしないでください。もらう年金がさらに少なくなってしまいます」との悲痛な訴えが相次いでいます。
市長は、こうした市民の声や、介護現場からの訴えをどのように受け止めておられるのか。伺うものです。
本市は、「長寿安心プラン」と名うっていますが、安心どころか、「不安」ばかりだと訴えています。この事業計画の内容にも現状と問題点について明記すべきと考えますか、合わせ見解を伺うものです。
第二に、介護保険の利用料負担増などが一層進められようとしている中で、その対応について伺います。
要支援1と2の方についてその介護利用負担を現在の1割から2割に増やす。ケアプラン作成について、現在無料ですが、毎月1000円の負担を導入する。要介護1と2の施設入居者の費用の一部を現在の1割負担から2割負担にするなどが打ち出されています。
これらは、野田内閣がすすめる「税と社会保障の一体改革」の中で、具体化しようとするものです。
こんな事が実施されたならば、高齢者はさらに行き場所を失うことになり、介護は、お金しだいという事態となってしまいます。
市長!これにはきっぱりと反対すべきと考えますが、その見解を伺うものです。
また、要支援の方を介護保険事業から切り離し、「介護予防・日常生活支援総合事業」に切り替えるという方針が打ち出されています。現状からしても、本市での導入は、見送るべきと考えますが、その見解を伺うものです。
第三に、特別養護老人ホームを増やしていく計画について伺います。
特別養護老人ホームの待機者は、1600人を超え、4年前の1.5倍となっています。こうした中で、本市は、待機者の内から無作為で500人を抽出し、その実態調査を行いました。その内容からも、深刻な実態が浮き彫りとなっています。
待機者のうち、38%が在宅、介護老人施設で待っている方は、31%となっています。在宅で介護している方に聞いたところ、「不安を感じている」と答えた方が4割、「負担が大きい」「介護の限界」と答えた方が5割にのぼっています。待機している期間について聞いたところ、約6割の方が一年以上と答え、2年以上の方が35%となっています。待機者のうち、85歳以上の方が約6割となっているだけに、待機中に亡くなってしまうという事態が起こっています。いつになったら入居できるのか。と介護を続けなければならない家族のつらさを市長は、どのように受け止めますか。
市長!あなたは自ら掲げたマニフェストの中で、この特別養護老人ホームなどの増設を掲げました。その増設計画をどう進めるのか。明らかにしていただきたいと思います。
第四に、お年寄り地域福祉支援センターについてです。
本市には、中学校区に一ヶ所をめどに現在19ヶ所で設置され、介護支援専門員など3人から4名が配置されています。
地域の高齢者の把握、相談からケアプランの策定、介護予防の取り組みなど地域包括支援の拠点として重要な役割を果たされています。
私も、幾つかを訪ね、現状についてお聞きしてきました。ある支援センターでは、月の相談件数が900件と昨年と比べ2割の増加となっています。要支援の予防ケアプランは、月に200件近くとなっています。さらに、介護予防として、約200人を対象に訪問し、栄養教室などへの参加呼び掛けを行い、教室を実施しています。相談の中には、虐待や認知症など深刻なケースが増えています。その上、緊急通報装置への対応です。一人暮らしで、病弱の方に対して、緊急通報装置が設置されていて、その連絡先が、この支援センターとなっています。
深夜でも対応しなければなりません。気が抜けませんと語っておられました。
市長!こうした現状をご存じでしょうか。人も、予算も、しっかり配置してこそ、「長寿安心プラン」ではありませんか。また、現在、「お年寄り地域福祉支援センター」という名称となっていますが、この「お年寄り」という名称を外して欲しいとの声があります。今後の支援センターのあり方について、どのように検討されているのか。伺うものです。
質問の第三に、障がい者施策について伺います。
先日開かれた第3期金沢市障害福祉計画についての第一回市民フォーラムに参加してまいりました。110名が参加し、活発な意見交換がおこなわれました。
障害児支援学校に子どもが通っている父親は、スクールバスのバス停まで親が送迎しているが、この送迎のお手伝いをしてほしい。中学生になって、銭湯や、プールに出かけるときに送迎はできないものか。ヘルパーさんが継続して働けるように賃金など労働条件を改善して欲しい。と訴えられました。
視覚障害者の会からは、ガイドヘルパーを利用する際に、利用時間の制限があって、もっと利用しやすいように改善して欲しいと話されました。
26歳の障がいをもつ子どもさんの保護者の方は、将来この子が暮らしていけるだろうか不安になる。もしも、親が病気で入院でもしたらあずける施設が欲しい。短期入所施設を増やし、利用しやすいようにして下さいとの訴えがありました。 相談専門員の方からは、もうパンク状態で、来年4月から仕組みが変わろうとしているが、現状をしっかり把握し、相談事業所の連絡会を開いて欲しい。と話されました。
障害者施設の責任者からは、自立支援法が廃止され、新しい総合福祉法が検討されていますが、果たして現場の意見や要望が取り入れられ制定されるのか心配です。行政も議会も私たちの切実な声を国に届けてほしいとの訴えがありました。
この間、障害者自立支援法によって、各種制度の利用に1割の負担が押し付けられました。これに対して障がいをもっていても、普通の生活ができるよう求める運動が大きく発展し、この法律が廃止され、新しい総合福祉法の検討が進められています。
市長!こうした障がいをもちながらも、地域での暮らし、その生活を支え続けている現状について、どのように受け止めておられますか。そして、新しい総合福祉法の制定に向け、現場の意見や要望が反映されるよう国に求める考えはないか伺うものです。具体的に伺います。
第一に、新しい法の制定に向け、関係者で作り上げた「骨格提言」が出されています。この中で、6つのめざす目標が打ち出されています。
1 障害のない市民との平等と公平 2 谷間や空白の解消として、すべての
障害者を政策の対象とする。 3 格差の解消 4 放置できない社会問題の解決として、精神障害者の社会復帰をすすめる。5 本人ニーズにあった支援サービス 6 安定した予算の確保 以上の6つの目標が示されました。
こうした視点に立ち、本市の第3期金沢市障害福祉計画を作り上げて行くことが求められますが、その具体的検討内容について、明らかにしていただきたいと思います。
第二に、相談支援体制についてです。
現在、11ヶ所の相談事業がおこなわれていますが、新年度から見直しがされることになりました。具体的にどのようになるのか。伺うものです。また、相談から支給決定プロセスの見直しがされますが、利用したくとも利用できる支援がなかったり、子どもの場合、療育が始まって数ヶ月たってから個別の支援計画の検討と変更がおこなわれますが、そうした対応が可能なのか。検討が求められます。
障がいがあっても、安心して暮らせる地域づくりが人々の希望をつないでいくものであり、共に生きる地域づくりでもあります。こうした視点立ち、今後の障がい者施策を進めて行くよう求め、市長からの答弁を求めるものです。
質問の最後に、ゴミの回収と焼却施設について伺います。
本市では、来年4月から家庭ゴミの分別方法を一部変更し実施するとしています。容器包装プラスチックのうち、汚れの取れないケチャップ、マヨネーズなどの容器について、週2回実施されている燃やすゴミとして回収し、焼却するとしています。また、月1回埋め立てゴミとして回収されてきた燃やさないゴミのうち、硬質プラスチック類、皮革製品、ゴム製品については、週2回の燃やすゴミとして回収し、焼却する。小型家庭電化製品などは、従来通り、月1回の燃やさないゴミとして回収するが、埋め立てゴミとして処分せず、金属類と同じように再利用・資源化していくとのことであります。
分別方法が変更され、プラスチック類について、焼却処分するだけに市民から様々な意見が出されています。
そこで、市長から、今回の変更を打ち出した理由と効果をどのように考えておられるのか。また、市民への理解と説明をどう進めておられるのか伺うものです。
具体的に伺います。
第一に、プラスチック類について、再利用すると共に、出来ないものは、埋め立て処分するとしてきました。これは、プラスチック類を燃やすとダイオキシンなど有害物質の発生をともない事からの対応でした。今回は、一転して焼却するとの事です。新しい西部焼却施設によって、焼却が可能となるとしていますが、東部の焼却施設は、変わりません。しかも、二酸化炭素削減からすると逆行するものです。果たしてプラスチック類の焼却は大丈夫なのかお答えください。
第二に、汚れの取れないケチャップ、マヨネーズなどの容器や、硬質プラスチック類、皮革製品、ゴム製品などが週2回の燃やすゴミとしてステーションに集積されることになります。今でさえ、ステーションがいっぱいで、その管理に町会や住民は頭を痛めています。各ステーションに対する指導員の配置や、月2回の燃やさないゴミ回収を増やすなど具体的な対策が求められています。どのような対策を検討されているのか明らかにしていただきたいと思います。
最後に、住宅地に隣接する民間の焼却施設についてです。
木越団地とみずき団地の近くに民間の焼却施設があります。煙や、臭いの発生によって、以前から住民から苦情が相次いでいます。
この施設が建築廃材などを焼却し営業しています。最近、火災事故が頻繁に発生しています。安全性を問う声と共に、行政の対応にも意見が及んでいます。
火災事故について、報告を求める共に、本市は、この民間焼却施設に対してどのように対応しているのか伺いまして、私の質問を終わります。

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