金沢市議会9月議会 一般質問の全文
日本共産党金沢市議会議員 升 きよみ
(質問の第1点) 最初に市民生活の厳しい現況の打開を図るためにさし迫った課題と政治姿勢について伺います。
今日の市民生活の現況が如何に苦しい実態にあるか。倒産件数の増や営業不振などにより市税収入が落ち込み、58億円に上る収入未済や滞納の増加、又、就学援助の申請増や、最多の生活保護受給世帯からもその一端が伺えます。 こんな時、本来、政府は、国民生活を最優先した施策の実行をするべきです。にもかかわらず、国会では、民・自・公三党の協議をもとに、国民の7割も反対している消費税を2014年4月から8%、2015年10月から10%の引き上げとしました。 これが実施されると、今でも長期にわたる所得の減少等の苦しい現実に、一層拍車がかかり、暮らしは更に厳しく、生活が成り立たなくなる、商売も立ち行かなくなる事は必至です。 今回の増税は、税と社会保障の一体改革とは名ばかりで、年金給付や、子ども手当の減額、医療費の窓口負担・介護負担増などが押し付けられ、その上増税で得た財源を高速道路や巨大港湾などの大型公共事業にまわす条項まで付則に盛り込んでおり、まさに公共事業と税の一体改革と言えるものでした。消費税と社会保障の切り捨てで20兆円もの負担増が国民にかかってくるのですから、市民のくらしと経済、財政のことを考えると、黙っている訳にはいきません。地方からしっかり声をあげるべきです。 市長は、社会保障制度改革の議論が先送りされたのは残念、地方消費税を含む税率の引き上げは、ある程度避けられないとおっしゃいましたが、とんでもありません。
今の市民生活の実態や、市政運営からも、増税が如何に厳しく、市民生活を圧迫するかを、しっかり見て対応することこそ、貴方の立場ではありませんか。 全国商店街組合理事長をはじめ業者は、増税の価格転嫁はできず、営業破壊である。又、全国の公立病院加入の自治体病院協議会会長の方が「現行の5%でも病院経営は青息吐息、そこに増税では経営の影響が大きすぎて病院経営が成り立たない。」と言われております。それほどに今回の増税の実施は深刻です。 ②市長!市長は市民生活、市財政への影響をどう認識されていますか。 消費税増税を実施させないために、市民生活防衛をどのようにすすめるのか御所見をお聞かせ下さい 優先すべきは市民の所得を増やし、経済を内需主導で健全な成長の軌道に乗せることです。政治はそれに応えねばなりません。 そこで、具体的な市民の懐を暖める施策について、市長はどのようにお考えですか。市長がすすめる経済活性化策に、真に市民の懐が暖まる施策が見えません。金沢森本インター工業団地整備等の公共事業は27億円をかけて進めておられますが、これとて結局、金沢テクノパーク進出企業等への利便性を図るためのものとも考えられますが、そうした施策の実行では、本当に市民生活が豊になり地元経済のたてなおしとなれるとは思えませんが如何ですか。 市長、市長はこれまで、大工さんら、小規模建築関連業者の方々から強く要望が出されている住宅リフォーム制度については、目的別の支援制度を実施しているから、目的・区域を限定しない住宅リフォーム助成制度の導入は考えないとおっしゃって、かたくなに拒んでおられます。 津幡町や内灘町の周辺自治体をはじめ全国多くの自治体で業者への仕事出しとして実施し、住民から大変喜ばれています。本市は、一人親方のような最も弱小の業者の方々への支援策、経済対策として、この制度をおやりになる意思はあくまでもございませんか。お考えを問うものです。
次に、(質問の第2点は、)南海トラフ巨大地震予測に伴う本市の防災・原発等への対応についてです。
先日、公表された南海トラフ巨大地震の被害想定により、各地で津波発生等の防災訓練が行われる等、対応策がとられてきています。隣接福井県坂井市でも、日本海の地震に備え、最大津波が従来の3、5倍に当たる8、6mを予想しての防災対策を進める等、太平洋側にとどまらず、各地で防災対策のみなおしが行われています。本市地域防災計画についても今後、液状化対策を中心に取り組む事が明らかにされましたが、津波についても、金石沖等、現行の3、7m 3、8mの津波想定になっており、更なるみなおしが必要だと考えますが、如何ですか。 特に今、重大な関心事となっている、大飯原発に次いで危険性が高い志賀原発は、直下にS-1断層の活断層が存在している事が明らかとなり、県民は不安を強め、志賀原発、即時廃炉を求める声となって広まっております。ご承知の様に、官邸前広場から始まった原発ゼロをめざすデモは17万人集会を機に全国に広がり、本市北電前、県庁前でも続けられています。特に、北電の調査報告「重要設備の安全性に問題ない」との表明をそのまま原子力安全保安院は「安全」との判断や審議不要としていることに、県民、市民の怒りは納まらない時だけに、自治体の長がどの様に市民を守ってくれるのか問われております。 市長!市長はこれまで志賀原発への考えを問われた際、北陸電力の株主として安定供給を求めることには力点がおかれ、市民が求めている原発の危険性の不安にどう応えるのかが、明確にされておりません。活断層の存在が指摘され、放射能にさらされる危険に、市民の不安がかつてなく高まっており、且つ、政府の原発ゼロ目標などの発表をうけた今日、市民の生命を守る立場から北陸電力側に強力に働きかけるべきです。市長!市長は明快に市民の安全を最優先にすべき立場で「廃炉を求め」少なくとも「再稼働をさせない事を(北陸電力に)求める」それを表明すべきではありませんか。あらためてお伺いします。 ところで、東海地震、南海トラフ巨大地震と震源区域内の立地から、地震のリスク回避のためにと、日機装株式会社が、静岡から金沢テクノパークへ新工場建設移転を表明しております。これは、本市が企業誘致策の一つとして、新年度、東日本大震災の被害を受けた企業が早期復興と経営の安定化支援にリスク分散することに対応する、企業の拠点再整備の助成制度を創設したことも、日機装の企業が大きく金沢への移転に踏み切る判断になったかと思われますが、如何ですか。それとも国や県による主導で進められているのですか。ご承知の様に本市テクノパーク周辺においては、森本活断層が近くに走っていますが、安全上問題がないのか、伺っておきます。尚、この際、日機装に対する助成がどのようなものか明らかにしてください。
質問の第3点目は、災害廃棄物の受け入れについてです。
本市は災害廃棄物受け入れ可能性検討会の結果を経て、戸室新保の処理施設で埋立方法によって、宮古市の漁具・漁網の受け入れ方針を明らかにし、この間、5回にわたって1ヶ所では延々7時間にも及ぶ説明会を行ってこられました。被災後1年半も経っても復興が進まない現地の方々の苦悩する様子を見ながら、一日も早い被災地の復旧復興のために遠い地にある金沢でも何かお役に立ちたい、素朴な思いも一度放射性物質を含む廃棄物の受け入れとなると、安全論争が白熱し、不安感強く、市民の心も二分する状況が説明会及び、その後の街の声となって出てきております。 これまでも、私たちは、受け入れは安全性の確保、住民の合意を前提とする立場から、この問題に当たってきましたが、その安全性についての評価対象、受け入れ対象が、漁具・漁網となってきた現況の中で、あらためて、安全性にかかる点について伺います。 市長は、説明会でも放射性物質を入れるのではないと繰り返しおっしゃっておられますが、それは、どんな御認識からでしょうか。放射性物質が含まれていない事を前提にした一般廃棄物としての取扱いを前提にしているのですか。 市民は、一般廃棄物には自然界にある放射性物質を含んでいることを承知しつつ、今回の福島原発による放射能汚染から漁具に付着している放射性物質の安全性を心配しております。その数値において、本市が安全基準や受け入れ基準の数値を国基準より厳しく国際的に認められているクリアランスレベルである数値にしている等で、最も安全であると、度重ねて繰り返し、強調されていますが、これまでも放射線量の測定数値をめぐっては、随分と論議がありました。 環境省の放射性物質として取り扱ってきた国際基準に基づく取扱いが放射性物質対処特別措置法での新たな基準を設けましたが、その数値そのものの根拠からして議論がありした。要は数値をめぐっての安全基準についても専門家の方々による科学的知見によって安全なものとおっしゃられても、市民的には何の数字が安全安心を保障するのかが充分に理解・納得できません。 例えば、線量測定でも量や場所、天候等々、いろいろと変化がありますし、作業数値も労働時間や作業方法等々あろうと思います。 2007年の国際放射線防護委員会が勧告した一般の年間線量限度をもってしたとされますが、それも昨年の福島原発事故後の具体的な安全への考え方について、科学者、専門家でも検討の必要ありと言われる程に議論されているのですから市当局が市民に説明しても厳しいものがあります。具体的に言って戸室埋立場で働く人達の健康・安全を絶対に保障できますか。又、短期間で破損になりかねないフレコンバッグでの埋立てに始まって、雨水、汚水への影響と対策、仮に何年かの後に起きうるかも知れない周辺住民の健康被害、体内被曝の対応などについて市民の不安にどうお答えされますか。 市長はよく専門家による科学的知見に基づいて「安全」とおっしゃいますが安全性の指標となる放射線量の数値から始まって、市民の間には、この間の原発問題における東電や政府等の不信から、なかなか信頼が回復しない現況の中で当局が示される内容もまた信頼されていないのが率直なところです。そうした状況下では、市長のおっしゃることには、賛意を送れないのです。未来にわたっても「安全」と断言し、責任を持ってのご発言ができますか。 この間、全国各地で、当初の受け入れ表明から途中中止をする自治体が相次いでおります。被災地の処理状況にも、量や雇用の問題等で変化が生じております。安全であれば雇用対策上、受け入れしたいという現地周辺自治体も出てきております。今あえて市民の意見を二分してまで、本市として受け入れを強行するおつもりですか。慎重なる対応が必要ではありませんか。 市長はこの間の住民説明会を通して、安全への理解や合意が得られたと御判断なされますか。率直なところをお聞かせください。
質問の第4点、「いじめ問題」について伺います。
大津のいじめ自殺等、いじめ絡みで児童生徒が生命を絶つケースが後をたたないことに心を痛めます。この間、日本の子供の権利が保証されていないと国連から指摘されてきました。生命を絶つ問題にまでになっている事の重大さに適切な対応が求められております。 文科省は、①事前を含め、国への報告を求める事や②学校や教育委員会の能力を超えた犯罪として扱うべきで速やかに警察に相談することや③加害者に対する出席停止等を盛り込む方針をしております。が、これでいじめ問題が解決するものではないと思います。 いじめを多発、深刻化させている要因である過度の競争と管理の教育をあらため、子どもの声を聞きとり、子どもを人間として大切にする学校を作ることこそ重要です。 重要なことは①教育の現場で先生達が本当に子どもと向き合い、ゆとりをもって子どもに接する時間や環境を保障することで、多忙な業務の現状改善です。 いじめが疑われるような状況等を早い段階で察知でき得る教育の実践であって、教育委員会への報告云々でパソコンに向かうことが、大変多くなっている実態などの改善が図られることなくして、問題の解決には至らないと思います。優先すべきは②一人の子どもの生命も失わせない、生命を大切にする教育であると考えます。そして、③いじめ問題に対応する先生方自身がストレス状況であっては、様々な現象が出ます。絶対に許されないハレンチ行為などがあっては信頼も得られません。 そのために、子どもの権利条約の普及、いじめ問題についての理解促進、教員の多忙解消、保健室やスクールカウンセラーや、先生の指導アドバイザーの充実も必要です。これらと併せ教育長!子どもの生命、安全を最優先にして、絶対に金沢市から一人の子どもの生命も失わせないと表明する決意がお有りなのか伺うものです。
質問の第5点は、金沢市城北市民運動公園整備に関してです。
先頃の本市出身松本選手の金メダル獲得の快挙に、市民は沸き、スポーツへの関心もかつてなく高まっております。 市長は就任以来、スポーツ施策に意欲を抱いておられ、城北市民運動公園の整備もその一つと言えますが、その施策の具体化を進めるに当たって、6月議会で、プール施設建設工事の基本設計について、公募型プロポーザル方式をもって実施したい旨御答弁があり、早速、6月27日に公告され、その後6社から参加表明を経て8月21日に最終的に株式会社梓設計に決定されました。約50億円の建築、設備工事費による計画で提案条件には屋内国際公認プール施設として、エントランスや国際公認飛び込みプール、観客席1,500席程度他、可動床によるシンクロナイズドスイミングもできる設備をはじめ、自然エネルギーの利用や周辺環境考慮などの内容となっています。 ①つに今回の設計者選定に当たっては、スピーディな対応で審査会及び選定委員会を経て決定し、随意契約となっておりますが、その経緯と結果の公表について透明性が図られていますか。 ②つに選定委員会には、競技団体の代表の方も参加されておりますが、今後の施設設計に当たっては、競技力向上にむけた選手やコーチの方を含め、利用者、市民の意見が充分反映される仕組みが必要ですが、どのようにお考えですか。 今後における子ども用屋内広場の整備についても、主人公である子どもたちや関係者の声がどれ程迄に反映していくかが問われます。 ③又、国際公認を基準としたプール整備をなさろうとしておられますが、常時使用がほとんどなく、まれに行われる国際競技に合わせての公認用の整備があえて必要なのでしょうか。最近では一般的に多目的利用よりも専門性の高い施設化が進んできておりますし、又、費用的にも、効率的活用を図る上でも、スリム化した施設整備でこそ、アスリートからも歓迎されると思いますが、如何でしょうか。 以上、お聞きして、質問を終わります。