金沢市議会10月定例月議会 一般質問(一括質問で)
金沢市議会議員 奥野 ひでなり
このたび、10月の補欠選挙において、金沢市議会での議席をいただきました。執筆業を通じて培ってきた経験を活かしながら、私と同じ若い世代はもちろん、幅広い市民のみなさまのお声を届けて参ります。
今回、初めての質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一人として質問させていただきます。
まず始めに、市長に、政治にたずさわる者として求められる政治姿勢について伺います。
私は政治にたずさわったばかりですが、政治にたずさわる者には2つのことが重要であると考えます。
1つは倫理観です。
中国の故事「李下に冠を正さず、瓜田に靴を入れず」でもありませんが、市民・有権者から疑われるような行為は厳に慎まなければなりません。まして、道義に反する行為は絶対に許されるものではありません。
私の先輩である升きよみさんも、6月議会において、「自らを厳しく律し、高い倫理観をもって行動することが何よりも必要である」との質問されたことは市長もご記憶のことかと思います。
昨今、国政においても地方においても、議員のモラルが厳しく問われております。
本市においては、ことのほかモラルが問われており、市長はもちろん、全議員が姿勢を正さねばならず、市民のみなさまから信頼していただける市政をつくりあげていかなければなりません。
政治にたずさわる者の倫理観について、市長のお考えをお聞かせください。
2つ目は、偏りのない歴史観を持つことだと考えます。
市長は前の選挙戦の折、「歴史・伝統・文化・学術が金沢の個性であり魅力であり、強み」と公開討論会の政策アンケートで述べられておられますし、15日の市長提案説明においても「歴史や文化を大切にする」とのことでしたが、市長の言われる「金沢の歴史・伝統・文化」とは何か、具体的にお伺いしたいと存じます。
一般的に金沢の歴史といいますと、前田家加賀百万石の以降の歴史ばかりが注目され、それが「金沢の歴史・伝統・文化」ととらえられている節があります。
もちろん、加賀藩前田家が築きあげた歴史、そして加賀藩が文化・芸術に力を入れた結果、加賀友禅や金箔などの伝統工芸が金沢の代名詞になっていることは事実であります。
しかし、来年3月の北陸新幹線開業を前にして発信されている金沢の歴史・文化は、加賀百万石の武家文化ばかりに力点が置かれていませんでしょうか?
歴史をひもときますと、チカモリ遺跡・観法寺(かんぽうじ)遺跡をはじめとした古代の遺物、源平争乱期には木曽義仲が陣を置いたとされる平岡野(ひらおかの)神社があります。
そして忘れてならないのが、加賀藩ができる前の100年間の歴史です。過酷な年貢を取り立ていた富樫氏に対して民衆が怒って立ち上がり、これを打ち破って「百姓の持ちたる国」として自治を行っていたという歴史があります。
こうした前田家が統治した以前の歴史に対しても、専門家や郷土歴史家と連携を取って、しっかりと見直しをはかり、遺跡・遺物を守ることが必要ではないでしょうか?
南町(みなみちょう)の旧町名の復活など、本市としても取り組んでいる事業はありますが、加賀百万石以降の歴史の掘り起こしはもちろんのこと、さらに踏み込んで加賀百万石以前の歴史の掘り起こしをする必要があると考えますが、市長のご見解を伺います。
さらに申し上げれば、加賀百万石の武家文化は、改作法による厳しい年貢の取り立ての上に成立していたということも忘れてはなりません。農民に対しては、「米をみだりに食べるな、煙草を呑むな、着物は木綿とせよ」など厳しい統制が加えられておりました。
こうした歴史も踏まえなければ、加賀百万石の武家文化や、為政者の政治ばかりが重視される偏った歴史観のもとで、市政や街づくりが進められていくのではないか、と危惧いたします。
市長の歴史観をお聴きして、次の質問に移ります。
二番目の質問は、平和に対しての市長のお考えを伺います。
本年7月1日、安倍政権は集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行いたしました。この決定について、市長は地方政治に、そして本市に、どのような影響が及ぶとお考えでしょうか?
また、この集団的自衛権行使容認が、戦争への道のりになるのではないかという強い不安感から、同時に、国民に対して説明不足ではないかという考えから、閣議決定の撤回を求める意見書をあげる自治体もあります。
本市においても、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回するよう意見書を出すべきだと考えますが、市長のご所見をお聞かせください。
同時に、日清戦争後、本市には陸軍の第九師団が置かれ、当時の金沢市の人口の約一割が軍事関連にたずさわっていたといわれています。以降、終戦まで「軍都・金沢」と呼ばれました。
幸いにして、本市は戦災をまぬがれましたが、「軍都・金沢」だったという歴史を踏まえて、昭和60年に平和都市宣言が議決されました。
――世界の恒久平和と核兵器の全面禁止・廃絶は、人類すべての願いであり、われわれはその実現に向けて不断の努力をしていかなければならない。わが金沢市は、既に世界の各都市と姉妹友好都市提携を行い、市民交流と友好親善の増進に努めているところであるが、世界平和と人類の限りない繁栄を希求し、金沢市が永遠の平和都市となることを内外に宣言する
との宣言です。
これは、「再び金沢を軍都にしてはいけない」という市民の強い思いが集約されたものと考えます。
非戦災都市として平和を築き上げてきた歴史ある本市から、平和の大切さ、そして平和を守る施策を推し進めていく必要があると考えますが、市長のお考えを伺います。
三番目の質問は、学園都市・金沢にふさわしい奨学金制度についてお伺いいたします。
教育は国づくりの根幹であり、憲法においても「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」という規定があります。
しかし、長びく不況で、経済的な格差が広がるばかり。
先般も、高校生に貸与した県育英資金の返済滞納額が、7年ぶりに前年比を上回ったとの新聞報道があったばかりです。高校卒業で就職した学生の多くは、派遣社員やアルバイトといった非正規雇用になってしまうため、収入が少なく、返済が滞るのも無理はありません。
本市には、高校生に対して、月額1万円を給付するという奨学金制度がありますが、受けられるのは一校に数名程度です。
奨学金制度というと、独立行政法人・日本学生支援機構の奨学金制度を連想しがちですが、現行ある本市の給付型の奨学金制度を広く周知徹底するとともに、給付額や募集定員数を増やして、安心して学業に励めるよう環境を整える必要があると考えますが、市長のご見解はいかがでしょうか?
専門学生や大学生、大学院生が置かれている現状も深刻です。
「授業料が払えない」「親御さんからの仕送りが減った」という声が多く上がっており、経済的な理由から学業を断念する事例も起こっております。
金沢大学が2013年に行なった調査でも、仕送りに負担を感じているという保護者の割合は61.7%、授業料の負担が大きいと感じている保護者は76.3%にのぼっております。
さらに、ひとり親家庭、とりわけ母子家庭では経済的理由から就学や進学が困難なケースも見られます。
江戸時代の加賀・金沢は、「天下一の書府」といわれるほど書籍を集めて藩士たちに勉学に励ませ、寺子屋も数多くあったといわれております。また明治時代以降は、金沢医学館や旧制第四高等学校(しこう)が置かれたことから「学問の都、学都・金沢」と呼ばれたことは広く知られているところです。現在、本市とその近郊には、18の高等教育機関があり、「学都・金沢」「学園都市・金沢」は健在です。
しかし、その「学園都市・金沢」において、経済的な理由から就学・進学ができない、学業を断念せざるを得ないという状況は、看過できるものではありません。
市長は、こうした状況に対して、どのようなご見解をお持ちでしょうか?
本年4月より消費税が8%に増税させたため、4月から6月期の個人消費が大きく落ち込み、家計での教育にかけるお金も減少しているという報道がなされております。この上、消費税が10%に増税される事態になれば、教育費の捻出がますます難しくなることは明白です。
大学生や専門学生のなかには、アルバイトによって経済的困難を解消しようとする方もいらっしゃいますが、アルバイト先が過酷勤務・長時間勤務を強いるような、昨今いわれるブラックアルバイトのケースであったならば、どうでしょうか。学業がおろそかになるどころか、最悪の場合には、身体や心を壊してしまうといったことにもなりかねません。
経済的な困難を持っているのであれば、奨学金制度を活用すればいいとのご意見もあるでしょうが、現行ある奨学金制度は貸付型のものが大半を占めています。貸付ですから、返済を求められます。それも、利息を含めて返済せねばならないものばかりです。
主催団体によって、借りられる条件、金額や返済時の利息などは異なりますが、全国の奨学生一人あたりの平均貸与額は300万円、大学院まで奨学金の貸与を受けた場合には、総額が800万円から1000万円近くになるというケースも見受けられます。
これは学生にとって、大きな負担になることは間違いありません。
まして、正規社員として就職できるかわからない、就職したとしても、そこがいわゆるブラック企業かもしれない、自営業の方ならば商売を続けていけるかわからない、という不安がつきまとう社会情勢ならばならさらのことです。
市長!こうした現状を鑑みるに、大学生などには本市独自の奨学金制度、それも給付型や無利子の奨学金制度を創設していく必要があると考えますが、市長のご意見はいかがでしょうか?
最後四番目の質問は、高齢化社会について、どのような対応を考えておられるかという点です。
私は今回の選挙戦を通じて、若い方々からのご支援とともに、多くのご高齢の方々から「今、若い人に頑張ってもらわないと、私たちの生活が心配だ」との励ましの声を行く先々でいただきました。
具体的には、年金制度を維持してほしい、医療や介護が十分に受けられるのか、などといった率直なご意見でした。
社会保障の充実のため、という口実で消費税が引き上げられたのに、年金は下げられるいっぽう。今年度からは、70歳からの医療費の窓口負担も増えております。
その上、介護保険制度改正で、要支援1・2の方々への介護外しが始まるのではないか、という不安も広がっております。
認知症対策は進んでいるのかという疑問、高齢者の憩いの場をなくさないでほしい、生きがいを感じられる場をつくってほしい、老人センターや福祉作業所はどうなるのか、シルバー人材センターの仕事を充実してほしいという願いも切実です。
特別養護老人ホームに入りたくても入れないという、切羽詰まったお声も数多く寄せられました。
本市において、特別養護老人ホームの待機者は約1300人にのぼりますが、入所を希望されたまま、不幸にしてお亡くなりになるというケースも見受けられます。
安心して入居できる特別養護老人ホームを増設していく必要があると考えますが、市長のご見解を伺います。
町会の高齢化を危惧するお声もありました。
幸いにして本市は、他の自治体と比べて、町会の制度が根づき、盛んに町会活動が行われておりますが、このまま高齢化が進めば、町会長や民生委員の担い手が少なくなり、町会制度を維持していくことが困難となります。
当面は、若い世帯や県外・市外から移り住んでこられた方々に、町会の存在を知って頂けるよう、そして、町会に入会していただけるような取り組みを、よりいっそう強化する必要があると考えます。
県外・市外から転入された世帯への町会の周知対策と、町会の高齢化対策について、市長の取り組み姿勢をお伺いいたします。
ご高齢の方々の心配のお声は、これだけではありません。もっとも多くいただいたご要望が、買い物や公衆浴場、役所や病院、公共施設に気軽に行ける環境を整えてほしいというものでした。
本市は、城下町の形態を残したままの街づくりが進められているため、坂道や小路が多く、ご高齢の方にとって移動は困難と危険を伴うものになっています。
安心して移動できる交通手段を早急に確保するため、私は「ふらっとバス」の路線を拡充すること、とりわけ郊外での路線確保の必要があると考えますが、市長のご見解をお聞かせください。
日本全体では65歳以上の人口が、総人口に占める割合の25%を超え、高齢化社会を通り越して超高齢化社会へと突入しつつあります。2025年には、団塊の世代が75才を迎え、超高齢化社会に拍車がかかることは火を見るよりも明らかですが、国の施策を見る限りでは、本市で暮らすご高齢の方々の心配は増すばかりです。
もちろん、長寿安心プランにおいて、こうしたご高齢の方々への不安・心配に対して十分な対応がなされていること、そして福祉施策が今後も拡充・発展していくものと考えますが、長寿安心プラン作成に際し、市長のご決意、ご所見をお伺いして、私からの質問とさせていただきます。
(再質問)
・昨日の本議場で、夏休み中の8月6日・9日の登校日を通じて、子どもたちに平和を学んでほしい、との議論がありました。平和宣言をしている本市として、登校日だけでなく、授業や学校図書などを通じて、平和への取り組みを積極的に推し進めるべきだと考えますが、市長のご見解を伺います?