東京国立近代美術館工芸館の移転整備費1170万円が補正予算として計上され、わが党は反対を表明
2016年12月15日修正17日 日本共産党金沢市議員団
1 東京国立近代美術館工芸館は、現在東京都千代田区にある東京国立近代美術館とともに、設置されています。
工芸館は、1910年(明治43年)に建設された大日本帝国陸軍の近衛師団司令部庁舎を改築し、1977年(昭和52年)に開館したものです。明治以降今日までの日本と外国の工芸及びデザイン作品を収集し、中でも人間国宝の工芸家の作品が充実するとともに、陶芸、ガラス、木工、グラフイックデザインなど各分野にわたる約3400点を収蔵しています。
2 2014年(平成26年)安倍内閣が、「ひと・まち・しごと創生総合戦略」を掲げ、「地方創生に資する」政府関係機関を「地方からの提案を受ける形で地方への移転を進める」として、文化庁の京都への移転とともに、この工芸館の金沢市への移転を打ち出したのです。
3 今回、金沢市12月定例月議会で、東京国立近代美術館工芸館の移転整備費1170万円が補正予算として計上され、移転が本格化することとなります。しかし、この移転には重大な問題があると考えます。
第1に、移転とスケジュールが先にありきで、移転が本当に必要なのか。移転することで工芸館の発展となるのか。日本文化・芸術における工芸分野の発展にとっても、工芸館がどのような位置づけと役割を担うのか。など、関係者の中でも、十分な理解と合意がないまま進められています。こうした位置づけや方針が明確でないまま、観光の資源化することがことさら強調され、移転を進めることはあってはなりません。
第2に、文化庁は、今年8月31日この工芸館について2020年をめどに本市への移転を打ち出しました。移転先は、市内本多の森公園内とし、収蔵品の半数以上を移す奉とのことです。しかし、どんな施設を建設するのか。収蔵庫の設置など明確になっていない上に、移転費用やその後の経費など全容が明確ではありません。したがって、石川県、金沢市の関わり、財政負担も明確でない上に、市民への新たな負担が求められることについて市民の理解と合意もありません。
第3に、工芸館の移転によって、国立東京美術館の魅力を低下させ、関係機関との連携が不便となり、機能の低下が危惧されます。移転によって、国の責任や財政負担を後退させかねません。
以上の点から、工芸館の移転が石川県民、金沢市民、さらには、国民的理解と合意がないまま進められることに反対するものです。