75歳以上医療費2倍化と年金に関する意見書について提案理由説明 森尾議員

私は、日本共産党市議員団を代表して議会議案第22号75歳以上の医療費負担2倍化の中止を求める意見書の提案理由の説明を行います。

 今年10月から75歳以上の医療費窓口負担を2倍化するとしています。これによって、1割負担を2割に引き上げることによる対象は「年収200万円以上、夫婦とも75歳以上の場合、年収合計が320万円以上」で、約370万人が想定されています。

 年収200万円の方の場合、税金や保険料を差し引いた場合、年間175万円となり、月14万円程度です。こうした方々が医療費の自己負担が2倍になるのです。

 厚生労働省は、この導入によって受診抑制となり、給付費が年間1050億円削減できるとしています。ここに今回の狙いがあります。

 年齢を重ねることで病気にかかりやすくなり、負担が増えれば、経済的な理由で医療機関への受診を控えざるを得なくなります。このことで健康状態がさらに悪化することにつながりかねません。病気の早期発見早期治療こそ大切です。そのことで、医療費の軽減にもつながります。したがって、75歳以上の高齢者の医療費自己負担を増やすのではなく後期高齢者医療制度における国の負担の引き上げが求められます。

 財源の確保をどうするのか。

この点について、述べておきたいと思います。

これまで、国は、「社会保障の財源確保のために消費税は必要だ」などといって、消費税を引き上げてきました。ところが、消費税を増税しても、社会保障は良くなるどころか制度の改悪が続いてきました。

自公政権の9年間で消費税は5%から10%に引き上げられ、13兆円もの増税が国民にのしかかりましたが、その一方で、年金給付の削減、高齢者の医療費窓口負担増、生活保護の削減など、9年間で6兆円もの社会保障の改悪が行われてきました。

そもそも、日本の財政が悪化した主な原因は、社会保障予算のせいではなく、自公政権が大企業や富裕層への減税をくりかえしてきたからです。1989年消費税が導入されてから33年が経過しましたが、その税収は448兆円にもなります。そのほぼ同じ期間に法人三税は323兆円、所得税・住民税は286兆円も減額となっています。

防衛費も増加の一途をたどっています。その額は、新年度国家予算では、5兆円をこえ、10年連続の増加、8年連続で史上最高を更新しています。

私どもは、当面、富裕層や大企業への優遇をあらためる税制改革や、歳出の浪費をなくすことを提案しています。これによって、当面19兆円の財源が確保できます。

ところで、大企業は、この間利益を上げ、巨額の内部留保を積み上げてきました。とりわけ、アベノミクスによって、ひどくなり、2012年から2020年にかけて資本金10億円以上の大企業の内部留保は130兆円増えて466兆円にもなっています。

先の国会で、これに適正な課税を行うことを提案しました。このことで毎年2兆円程度、総額で10兆円程度の新たな財源ができます。

医療分野では、不合理・不透明な薬価制度や高額な薬価の是正が必要だと提案しています。新薬価格を2割引き下げるだけでも、1兆円の財源が出てきます。これによって得られた財源を、医療の充実や患者の負担の軽減に振り向けることが可能です。

こうした税のあり方、予算のあり方を変えれば、社会保障など拡充するための財源は、消費税にたよらずに確保することができるとして具体的提案を行っています。

以上、この意見書は、国に対して、公的年金の削減に加え、さらに医療費の負担増まで強いる75歳以上の医療費負担2倍化の実施を中止するよう求めるものです。

議員各位におかれては、この意見書に賛同することを求め提案説明を終わります。

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