私は、日本共産党市議員団を代表して、議会議案第2号 共同親権を導入する改定民法の根本的な見直しを求める意見書について、提案理由説明を行います。
当事者から不安と怒りが寄せられる中、本年5月、離婚後も父母の双方が子どもの親権者となる共同親権の導入を柱とする改定民法が成立しました。国会審議でも問題点が次々と指摘され、当事者だけでなく、その支援者、弁護士、医療、教育、福祉の現場からも懸念の声があがっています。
改定民法の最大の問題は、離婚する父母の双方が合意していなくても、裁判所が離婚後の共同親権を決めることができる点です。DVや虐待のおそれがあると家庭裁判所が判断した場合は単独親権にできますが、DVや虐待を立証することは容易でなく、家庭裁判所が的確に判断するという保証はありません。
親権とは、親の権利ではなく、子どもの利益のために監護・教育を行い、子どもの財産を管理するなど、子どもに対する養育の義務・責任のことです。本来親権者は、子どもの居所、教育、医療、財産などの重要事項を子どもの利益にそって決めることになりますが、離婚後共同親権となった場合、子どもに関する重要事項について速やかに決定できないことや、父母の争いが長期化し子どもにストレスを与えること、別居している親による干渉や支配が復活し継続する手段となり、子どもの福祉や権利が損なわれてしまうおそれも出てきます。家庭裁判所で不本意な共同親権が強制されることで、立場の弱い方を追い詰め、子どもの利益が害される危険を否定できません。
当事者間に合意のない「共同」の強制は、「個人の尊重」を最も大切な価値とする憲法にも反します。あるべき法改正は、「合意のない共同親権を認めない」と条文を改めること、問題の根本にある親権の再定義をすることです。あわせて、家庭裁判所の業務負担に対応するため、裁判官、調査官の大幅増員など、家庭裁判所の体制強化も不可欠です。
この意見書は、憲法24条が定めている家庭内での個人の尊厳と両性の平等を実現する民法となるよう、国に対して、改定民法の2年後の施行までに根本的な見直しを行うよう強く求めるものです。議員各位のご賛同をお願いしまして、提案理由説明といたします。