2024年12月議会 一般質問 森尾議員(12月11日) 

-森尾議員
 私は、日本共産党市議員団の一人として以下質問いたします。
 最初の質問は、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことについてです。 『ヒロシマ・ナガサキ あの日 あの時からそして 今』と題する小冊子が、2015年8月15日 石川県原爆被災者友の会から発行されました。県内30人の方々からの被爆体験がつづられています。原爆投下後、広島市内で家族を探して歩いた様子、軍の命令で死体処理やがれきの撤去作業に携わった体験などがつづられています。その後、放射線による健康被害に苦しみ続けている様子は、被爆者体験者の心の叫びとなっています。当時友の会会長の西本多美子さんも被爆体験者としてこの小冊子の中で次のように記しています。「『ふたたび被爆者をつくるな!核兵器なくせ!』は私たち被爆者の心からの叫びです」この小冊子の中で述べています。昨日、ノーベル平和賞授与式がノルウェー・オスロで行われました。日本原水爆被害者団体協議会の代表委員・田中てるみさんは、スピーチの中で自らの被爆体験を語り「核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願い」だと述べ「核も戦争もない世界」を呼びかけました。
 市長。今回、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞についての所感を伺います。

-村山市長
 唯一の被爆国である日本の原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞されたことについて、祝意を申し上げたいと思います。 多くの方々のこれまでの長年に渡り大変ご苦労のあった活動に心から敬意を表する次第であります。平和都市宣言を行っている本市として、改めて平和の尊さ、戦争の悲惨さを後世に伝えていかなければならないとの思いを強くしたところであります。
 
-森尾議員
 金沢市平和都市宣言には「核兵器の全面禁止・廃絶は人類すべてのねがいであり、われわれは、その実現に向けて不断の努力をしていかなければならない」と決意を明記しています。来年被爆80周年を迎えます。金沢市平和都市宣言の40周年でもあります。金沢市としての具体的取り組みについて伺います。

-村山市長
 本市では平和都市宣言に基づき、毎年夏に市立図書館において「原爆と人間展」を開催しております。今年度はこれに加え、第2本庁舎と戦没者慰霊式においても展示を行いました。戦後80年、平和都市宣言40周年の節目の年となる明年は、毎年開催している原爆と人間展の充実を図りたいと考えています。加えて、どのような取り組みができるか、金沢市遺族連合会や広島平和記念資料館などの関係機関と協議をしてまいりたいと存じます。

-森尾議員
 来年3月、国連で核兵器禁止条約締結国の第3回会議が開かれます。この禁止条約への署名は、94か国・地域、批准したのは73か国・地域に広がっています。去る11月27日、政府与党である公明党が核兵器禁止条約締結国会議への参加を石破総理大臣に要請しました。石破総理大臣は「唯一の戦争被爆国である日本が最も強い説得力を持つ」と応じたとのことです。
 市長。金沢市平和都市宣言の立場からも、政府に対して核兵器禁止条約への賛同と締結国会議への参加を要請するよう求めます。その見解を伺います。

-村山市長
 公明党が首相に対して核兵器禁止条約締結国会議に政府がオブザーバー参加するよう要請したことは承知しております。が、国への要請につきましては本市も加盟する平和首長会議の国内加盟都市会議として行ってきたことから、改めて市として直接要請する考えはありません。

-森尾議員
 質問の第2に、総選挙で示された民意と市長の政治姿勢について伺います。
 先の総選挙の結果「与党である自民と公明が過半数割れ」となりました。国民の審判は裏金問題への批判と怒りと物価高騰に苦しむ国民の声が、今の政治を変えてほしいとの流れを作り出したものです。市長は総選挙後、学生との意見交換の場で「能登半島地震からの復旧復興の途中であり、やっぱり自公政権が安定的になるのがいい」と述べたとのことです。総選挙で示された民意とは大きくかけ離れた発言です。市長は、総選挙によって自公政権が過半数割れとなったことについてどのような見解をお持ちか伺います。

-村山市長
 先月、金沢市内の大学生で構成されている金沢市選挙サポーターE7(イーナ)との意見交換会に出席した際の発言についてであります。能登半島地震からの復旧復興と、被災者の一日も早い生活の再建に向けては、国と県内自治体との緊密な連携体制のもとで、国の迅速な判断と対応が求められますことから、そのことを「政権の安定」という言い方で表現したものであります。なお、自公政権が過半数割れをしたという中ではあります。これは非常に厳しい審判が下されたというようには認識しておりますけれども、その他の党での政権が樹立したというわけではありません。民意とかけ離れているというご指摘は当たらないというように思っております。

-森尾議員
 もうひとつ伺います。
 去る11月22日、金沢経済同友会との意見交換が行われ、その場において市長は、重要な市政方針にかかわる発言を行いました。金沢駅前の旧都ホテル跡地の再開発と小学校跡地利用についてです。いずれも市民と市政にとって重要な課題であり、今議会でも議論となるものです。議会を通じて市民に明らかにするというのが議会制民主主義の基本です。ところが市長は、金沢経済同友会との意見交換の場において、重要な市政方針を明らかにしました。しかも、その発言内容が重大です。金沢市は保存と開発を掲げ、そのまちづくり方針の骨格をなす市内のエリアごとに開発の基本を示し市民の合意づくりを進めてきました。金沢駅前のエリアは、建物の高さは60mとし、景観を配慮したまちづくりを進めるとしてきました。ところが市長は、先の金沢経済同友会との意見交換の場で、この高さ制限を除外するための整備方針を12月下旬にも内閣府へ申請すると表明し、容積率にもとらわれず開発できることを追記する方向であるとしました。議会では、3週間前の10月28日、都心軸再整備特別委員会が提言書を市長に提出しました。この中で「金沢駅周辺区域においては、鉄道やバスなど広域交通結節点の特性を生かし、鼓門ともてなしドームなどから構成される金沢駅東広場などと調和した意匠や景観に配慮した都市開発を誘導すること」などを盛り込んだものです。市長は、議会の議論をどのように受け止めたのですか。市民とともに金沢市が作り上げてきた金沢固有のまちづくりの景観や歴史的・文化的な景観をはじめ、都市の風格についてどのように考えておられるのか。見解を伺います。

-村山市長
 都市再生緊急整備地域の指定に向けましては、準備協議会での意見や市民アンケートに加え、本会議や常任委員会、特別委員会での議論を踏まえて、地域整備方針の素案を取りまとめてきたところであります。この地域整備方針の中では、駅前について「鼓門やもてなしドームなどで構成される金沢駅東広場及び周辺の中高層建築物群の落ち着いた形態意匠との調和に配慮した都市開発事業を誘導」というように記載しております。これは、「金沢駅東広場などと調和した景観への配慮」と盛り込まれた特別委員会の報告書と内容が同じものであるというように認識しております。本定例月議会での議論も経て、国へ申請したいというように考えております。
 これまでまちづくりの分野において、保全すべきエリアと開発すべきエリアを区分けし、都心軸においては市街地再開発事業等を推進する一方で、後背地には歴史文化遺産や豊かな自然が存在し、金沢らしい景観を維持・継承するなど、保全と開発の調和を図りながら多面的かつ重層的な施策を展開してきたことにより、都市の風格や文化的景観が築かれたと認識しております。都市再生緊急整備地域の指定に当たっても、保全と開発の調和など、これまでのまちづくりの方向性や上位計画との整合性を図ったうえで、金沢駅周辺区域と都心軸区域の特性を際立たせた都市づくりを推進していきたいと考えております。

-森尾議員
 質問の第3に、市民生活に係る対策についてです。
 市民生活を物価高騰が直撃しています。市民生活を守ることが緊急課題となっています。
 第1は、市民生活を守る緊急対策の実施を求めます。去る11月22日、内閣府は全国財政担当者に対して「重点支援地方交付金」の追加について通知を発しました。この中で、①低所得者世帯支援枠を追加拡大するとともに、②物価高騰の影響を受けた生活者や事業者を引き続き支援するために重点支援地方交付金を追加するとしています。そして「可能な限り早期の予算化に向けた検討」を求めています。昨年、生活困窮者への冬季特別対策が実施されました。今回の補正予算には、市民生活を守る対策が十分ではありません。市長。市民生活の現状を考えれば、緊急の対策が求められます。国は「重点支援地方交付金」に基づく早期の予算化を求めています。見解を伺います。

-村山市長
 先月、国の総合経済対策が閣議決定された際、内閣府から重点支援地方交付金の追加について通知がありました。低所得世帯支援枠に関する給付金制度と、物価高対策を支援するための推奨事業メニューの早期の予算化に向けた検討を進めるよう要請がございました。この9日に、この重点支援地方交付金を含めた国の補正予算が国会に提出され、現在審議が行われているところであります。その動向を注視するとともに、今後制度の詳細が明らかになれば、可能な限り早い時期に市として必要な予算をお諮りしたいと考えております。

-森尾議員
 第2に、国民健康保険料、介護保険料、保育料の引き下げを求めます。
 国民健康保険会計には、今年度末、基金残高は12億円とのことです。引き続き、一般会計からの繰り入れによって、保険料の引き下げを求めます。

-村山市長
 令和7年度の国民健康保険料につきましては、年明けにも県から示される標準保険料率に準拠しつつ、市民生活への影響にも十分配慮し、基金の活用なども含め適正な負担となるよう設定したいと考えています。

-森尾議員
 介護保険会計は、昨年度末の基金残高が29億円にのぼりました。この基金を次期3年間で活用し、保険料を据え置きました。ところが、今年度予定していた基金からの繰り入れが半分となり、今年度末の基金残高は当初見込んでいた22.4億円が26億円と多くなる見込みです。したがって、基金活用を適切に行えば、保険料の引き下げが可能だったのではありませんか。今後の見通しとあわせ、見解を伺います。

-村山市長
 令和6年度から3か年の第9期介護保険料につきましては、市民の負担が過大にならないよう、市民生活への影響に配慮し、令和5年度末の介護給付費準備基金残高である約29億円のうち、約26億円を今後3年間で計画的に取り崩すことにより、基準月額を据え置いたところであります。第10期の介護保険料につきましては、令和8年度に検討することになりますが、高齢化の進展に伴い要介護認定者が増え、介護給付費の増額が見込まれるため、引き下げることは難しいと考えております。

-森尾議員
 保育料についてです。3歳以上児の保育料無償化が行われています。しかし、給食費は無償となっていません。また、0歳から2歳児の保育料無償化が強く求められています。見解を伺います。

-村山市長
 保育料につきまして、本市では令和3年9月の保育料から、保護者の所得と兄弟同時入所にかかる要件を撤廃し、第2子を半額、第3子以降を無料とする負担軽減制度の拡充を行ったところであります。

-森尾議員
 金沢市では、若い共働きの方の0歳から2歳児の保育料が月4万円にも上り、負担が重くのしかかっています。D階層の保育料が高くなっているからです。他の都市では、月2万円から3万円となっていることから、改善が求められます。見解を伺います。

-村山市長
 所得に応じた階層別保育料については、国の示す階層区分よりも細分化するとともに、すべての階層について国の徴収基準額よりも低く設定するなど、子育て世帯の負担軽減に努めております。さらに保育料を26年間据え置いているということをご理解いただければと存じます。

-森尾議員
 第3に、学校給食費の無償化実施を求めます。
 国の見解は「各自治体に於いて地域の実情に応じて検討いただくことがふさわしい」としています。その結果、小中学校とも学校給食費無償化の自治体がこの6年間で7倍増となっています。今回、政府の経済対策に盛り込まれた「重点支援地方交付金」について、推奨事業メニューとして、小中学校における学校給食費の支援が明記されています。金沢市一般会計予算の規模は1800億円です。その1.1%の予算で学校給食費の無償化を実施することができます。市長。あなたの決断が求められています。見解を求めます。

-村山市長
 学校給食費の無償化につきましては、自治体間の格差が生じないよう、国の指導により全国一律かつ恒久的に実施されることが望ましく、加えて恒常的に多額の財源を要することから、現時点で給食費の無償化は考えておりません。引き続き国の動向を注視するとともに、市長会等を通じて国の主導による学校給食制度の改正とその財源措置について要望してまいりたいと存じます。

-森尾議員
 教育委員会に伺います。学校給食法第11条は、学校給食にかかわる経費の負担について明記し、保護者負担について記載があります。この学校給食法が戦後間もない時期に制定され、厳しい国の財源を考慮しつくられた経緯などが国会で議論されてきました。そして、義務教育は無償との立場から、国は、学校給食法第11条は自治体による給食費の全額補助を否定しているものではないとしました。教育委員会はこうした国の見解を承知しているものと考えますが、お答え願います。

-堀場教育次長
 学校給食法第11条に関しまして、国は自治体の判断により給食費を全額補助することを否定するものではないとの見解を示していることにつきまして、教育委員会は承知しているかとのお尋ねがございました。本市では学校給食法第11条に定められる給食の実施に必要な経費の分担の原則に基づきまして、経費の適切な負担の観点から食材費のみを保護者に負担していただくこととしております。この条文について、各自治体が給食費の一部、または全部を負担することを否定するものではないとの見解は承知しており、本市では令和4年度以降、食材費の高騰が続く状況下におきまして、保護者の負担を軽減するため、食材費の不足分を全額公費で補填しているところでございます。

-森尾議員
 第4に、この12月2日から従来の健康保険証の新規交付を中止し、マイナ保険証へと切り替えが強行されました。マイナ保険証の利用率は1割台にすぎず、医療・介護関係者からも従来の保険証発行を継続することが強く求める声が続いています。市長。国に対し、従来の保険証の発行を継続するよう求めていただきたいと思います。見解を伺います。
 なお、来年7月末で、従来の国民健康保険証の有効期限が切れるが、今後の対策について明らかにしてください。

-村山市長
 マイナ保険証の利用により、診療時に過去の健診結果や薬剤情報が共有でき、適切な医療に繋がるなど、市民の利便性が高まると考えております。国に対して従来の保険証の発行を継続できるよう求めることは考えておりません。
 有効期限が切れる前に、マイナ保険証を保有していない方には、従来の保険証の代わりとなる資格確認書を送付いたします。引き続き納入通知書等を送付する際に、制度改正の内容を記載したチラシを同封するとともに、市ホームページ等を活用した広報活動を行うなど、制度周知に努めてまいります。

-森尾議員
 質問の第3に、教科書採択についてです。
 今年、中学校教科書の採択が行われました。金沢市教育委員会は、この教科書採択にあたってどのようにのぞんだのか。その基本方針を伺います。教科書の採択は、子どもたちの未来の選択であります。教育や教科書は、子ども自身が学び、育つ力を支えるものです。子どもたちの学習をする権利を十分に保障するために、責任ある教科書採択を行うことが求められています。私が1970年東京教育大学に入学した当時、日本史の教授であった家永三郎氏が自ら作成した日本史教科書が当時の文部省の検定により、削除・修正が行われたのは、憲法に違反するとして裁判に訴えていました。いわゆる教科書裁判です。1970年7月、東京地方裁判所の判決が下されました。その判決は、国家の教育権を否定し、検定は、憲法と教育基本法に違反するというものでした。この判決は、国による検定の行き過ぎを指摘し、教育は国民の立場に立ち憲法と教育基本法に基づき行われることを求めたものでした。教科書の採択は、子どもたちの学習権を保障し、未来への選択であり、憲法と教育基本法に基づいて行われることが大切だと考えます。教育委員会は教科書の採択に当たってどのようにのぞんだのか伺います。
 第2に、教科書採択をめぐる状況についてどのように受け止め、対応されたのか。伺います。教育委員会での審議をはじめ、教科書採択についてオープンな議論を通じて、国民の理解と合意が大切となってきています。したがって、各地で教育委員会の市民の傍聴の下で審議が行われるなど取り組みが進められています。金沢市教育委員会の見解を伺います。
 第3に、どの教科書がふさわしいのか。国民的な議論が行われてきました。この点、どのように受け止め今回の教科書採択にのぞんだのか。伺います。その契機となったのは「新しい歴史教科書をつくる会」が発足し、2001年扶桑社から歴史教科書と公民教科書が検定を経て教科書として登場したことでした。従来の教科書は、日本の歴史の負の部分をことさら強調したものだと主張しました。そして、新しい教科書において、あの太平洋戦争は、日本が中国に侵略したためだとか、ことさら強調する自虐史観ではなく、誇り高い日本の歴史を明らかにするとしました。2007年以降、扶桑社にかわって自由社と育鵬社から教科書が発行されていますが、いずれも採用は少数となっています。今回、金沢市教育委員会は中学校歴史教科書について、育鵬社から帝国書院を採択しました。教科書をめぐる議論の中で、憲法と教育基本法に基づき子どもたちにどんなことを学び、生きる力としていくかが問われてきました。教科書をめぐる国民的な議論について、どのように受け止めたのか。伺います。
 この質問の最後に、教育基本法が示した教育の目的について、教育長に伺います。教育基本法第1条は、次のようなものです。「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」と明記しています。令和2年9月議会で、私の質問に答え野口教育長は「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の憲法三原則に基づき、教育基本法は戦後教育の原点であると私も思っている」と述べました。今回の教科書採択にあたって、公開された議事録の中で野口教育長の発言は、先の発言とは異なるものがずいぶん見られました。教育基本法が示した教育の目的に沿って教科書の採択、教育の実践を進めていかれるよう期待したいと思います。見解を求めます。

-野口教育長
 教科書採択につきましてご質問がございました。はじめに、教科書採択に当たっての基本姿勢についてお答えをいたします。教科書はすべての児童生徒にとって、学校における授業や家庭における学習活動に重要な役割を果たすものであります。その採択に当たりましては、採択権者であります教育委員一人ひとりが教科用図書調査委員会による専門的な調査報告書、学校ごとの教科用図書研究委員会の報告書、教科書展示会における保護者や一般の方々の意見とともに、教育委員それぞれの調査の視点も加え、すべての発行者の教科書を綿密に調査し、公正性・透明性に疑念を生じさせることのないように、その職責の重さを十分に自覚して、教科書採択に臨んでおります。
 次に、教科書採択の際、市民が傍聴する中などで行われる自治体があることについて、どのように理解しながら採択に臨んだのかということについてお尋ねがございました。昨年7月の教育委員会議におきましては、国の通知等を踏まえ、教科書採択にかかる会議を公開するかどうかについて真摯に話をさせていただきました。教育委員会議におきましては、会議を公開した場合に意思形成過程での自由闊達な議論を行うことが難しいのではないかなどといった意見が出され、議論の結果として本市としては会議を非公開とすることに決定をいたしました。繰り返しになりますけれども、教科書採択は採択権者の判断と責任によって綿密な調査・研究を踏まえたうえで、公正性・透明性に疑念を生じさせることがなく適切に行えることが大切であることから、昨年度から議事録の公表に当たりましては発言者を記載し、透明性を高めてきており、今年度も同様に教科書採択の審議過程の公表を行わせていただきました。教科書採択にかかる教育委員会の公開につきましては現時点では考えておりませんが、次回の採択の際に改めて教育委員会議において話し合われるべきものと考えております。
 また、どの教科書がふさわしいかについての議論の中で、どのように教科書採択に臨んだのかとのお尋ねについてお答えいたします。教科書採択に当たりましては、森尾委員もお触れになりましたが、日本国憲法と教育基本法を踏まえるとともに、各学校が教育課程を編成する基準となる学習指導要領に基づいて行われるべきものと思っております。その学習指導要領の総則におきましては、「学校においては教育基本法および学校教育法等に示すところに従い、適切な教育課程を編成するものとする」と規定されており、今回の教科書採択におきましても、現行の学習指導要領において示されている内容の取扱いやその記載内容等につきまして、すべての発行者の教科書を綿密に調査したうえで、教育委員会が本市の子どもたちに最もふさわしい教科書を採択権者の判断と責任により採択いたしました。
 最後になりますけれども、日本国憲法および教育基本法を踏まえて、どのような姿勢で教科書採択に臨んだのかとのお尋ねがございました。仰せになりました通り、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三大原則を基本とする日本国憲法と、教育基本法第1条に規定する人格の完成、平和で民主的な社会の形成者、健康な国民の3つの教育の目的は、戦後教育の原点であると考えており、この考えは今も全く変わっておりません。このことを踏まえて教科書採択に臨んだところでございます。

-森尾議員
 質問の最後に、粟崎地区での液状化対策についてです。
 金沢市はこの対策として「地下水位低下工法」を採用し、実施することを明らかにしました。この工法は、道路の地下に集水管を埋め、地下水を集め、近くの大野川に自然排水することで、液状化を防ぐというものです。そこで、この工法による効果ついて明らかにしていただきたいと思います。今後、来年実施設計、翌年工事開始とのことです。粟崎の液状化の区域全体を対象に実施するとして、どの程度の期間を要するのか。住民から不安の声が出されています。見解を伺います。合わせて、地域住民への説明は、どのように進めるのか明らかにしてください。

-村山市長
 粟崎地区の液状化への対応でありますが、液状化対策は他都市の事例からも長期にわたる取り組みとなります。今月中にも住民説明会を開催し、液状化対策と道路の復旧計画について説明することとしております。地域住民の方々との合意形成を図りながら、今年度内に液状化対策工法を決定したうえで、明年度に実施設計に着手したいと考えております。実施設計業務の中で、必要な事業費や事業期間を具体的に確定していくこととなります。

-山崎危機管理監
 粟崎地区での地下水位低下工法についてお尋ねでございました。先般開催いたしました第3回被災地区復旧技術検討会議におきまして、地盤調査の決定に基づき液状化の判定を行い、地下水位を20cmから最大で2m程度低下させることにより、液状化被害の抑制と側方流動の低減が可能であることを確認いたしました。地下水位の低下による地盤沈下量が極めて小さく、宅地への影響が少ないと判断をしております。

-森尾議員
 この質問の最後に、大野川護岸沿いでの浸水被害対策についてです。10数軒で被害が発生し、隣接する金沢市が管理する木谷(きや)公園にも影響が及んでいることから、県が明年度以降改修工事に着手すると、去る9月議会の私の質問に対し答弁がありました。すでに被害の大きかった1軒の家は解体が行われました。住民からは、緊急対策として護岸のかさ上げ要望が出されています。県に働きかけていただきたいと思います。見解を伺いまして私の質問を終わります。

-高木都市整備局長
 木谷公園に隣接する大野川の護岸の改修についてお尋ねがございました。この護岸の改修につきまして、改めて河川管理者である石川県に確認しましたところ、早急に工事に着手できるよう検討を進めるということをお聞きしております。

再質問

-森尾議員
 市長に改めて伺いたいと思います。年末を迎え、物価の高騰の中で、市民生活の状況は一段と厳しいものがあります。金沢市としてやれることはないのか。私は、2つの点を改めて問いたいと思います。冬季にあたって灯油を含めた支援策はとれないのか。2つめは、金沢市が決断をすれば、学校給食費の無償化は実現できるんです。この2つの点を、市としても決断するべきではないかと思いますので、改めて答弁を求めたいと思います。

-村山市長
 2点についてご質問をいただきました。現在国の方で議論が進められている経済対策につきまして、先程申し上げた通りでありますけれども、なるべく早く予算化をしていきたいと思っております。市独自としての灯油等の対策については現在のところ考えておりません。
 そして、給食費につきましては、先程も申し上げた通りにございますけれども、これは国として一体として考えるべき話だというようにとらえております。どこかの自治体がこれを行って、それに横並びにしなければならないというものでもないというように考えております。恒久的、そして多額の財源が必要となるということをご理解いただければというように存じます。市の予算の1.1%、これはかなり大きな額だというように捉えております。

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