※一括質問形式で質疑しましたが、答弁をわかりやすくするために、一問一答形式に直して表記しています。
-山下議員
発言の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として議案第64号令和6年度金沢市一般会計補正予算(第6号)について質疑をおこないます。
まず初めに、物価高騰の影響と今回の補正予算編成についてです。国は昨年11月22日に新たな総合経済対策を決定し、12月17日総額約14兆円にもなる補正予算が可決・成立しました。わが党は反対をしており、国会の議論では、物価高騰から国民のくらしや営業を守る予算配分がされた一方で、能登半島地震の復旧復興費の3倍ともなる8,268億円の軍事費を計上し、半導体企業など一部企業支援に1兆円を超える巨額の予算を投入するなど、緊急的に必要な事業を行うという補正予算の本来の目的から外れる予算編成であり、重点支援地方交付金の増額や消費税減税など、国民のくらしを支えるもっと手厚い対策が必要だと指摘がされています。
市民生活は、お米や野菜などの食品、郵便料金など値上がりが続き、さらに厳しさを増しています。帝国データバンクの調査では、今年1月から4月までに値上げ予定の食品は6121品目になるとしています。先日はガソリン価格を抑制する補助金をさらに縮小するという政府方針が出されたところです。実質賃金は2022年から2024年11月まで、わずか2ヶ月プラスに転じただけで、この間マイナスが続いています。 東京商工リサーチが発表した2024年の企業倒産件数は、前年度比15.1%増の1万6件となり11年ぶりに1万件を超え、うち1万4件が中小企業です。石川県内では前年より35件多い85件という現状です。子育て中の保護者の方からは、こども食堂や食糧支援など利用できるものはしているけど、それでも生活は厳しいという声を聞いています。
そこで市長におたずねします。今緊急議会の補正予算案は、先の国会で成立した補正予算に伴うものです。市長は国の補正予算をどのように受け止め、長引く物価高騰の影響を受ける市民のくらしや営業の実情をどのように捉え、本市の補正予算に当たったのかお聞かせください。
-村山市長
先月成立した国の総合経済対策には、日本経済の成長に向けた賃上げ環境の整備のほか、新たな地方創生施策や足元の物価高対策、防災・減災対策など、地方自治体が直面するさまざまな課題を克服するための対策が盛り込まれており、事業を捉えたものと思っております。特に、エネルギー・物価高騰の影響を強く受ける低所得世帯等への支援や消費の下支えのための地域経済対策につきましては、できる限り速やかな対策を講じる必要があると考え、国の重点支援地方交付金を全額活用し、3月定例月議会に先立ち、今補正予算をお諮りした次第であります。
-山下議員
次に、住民税非課税世帯等緊急支援給付金事業費および、ひとり親世帯緊急支援給付金事業費についておたずねします。この事業は、エネルギー・食料品等の物価高騰の負担感が大きい低所得世帯への負担軽減をはかる事業です。 対象世帯は2023年1月~12月の所得等が基準となりますが、2024年1月1日の能登半島地震により、本市においても収入の変化や世帯構成の変化、住民票の移動など、影響を受けた世帯は少なくありません。給付金事業の実施においては、対象の確定から支給にいたるまで、対象世帯が漏れることのないようすすめることが求められます。特に家計急変世帯が申請につながる制度案内が重要となります。そこで、給付金についての周知や申請方法を明らかにしてください。
-山口福祉健康局長
住民税非課税世帯等緊急支援給付金につきましては、昨年以前に同様の緊急支援給付金を受給した世帯のうち、世帯構成に変更のない場合は、申請のいらないプッシュ型で支給することとしております。世帯構成等に変更のあった世帯につきましては、改めて扶養の状況や振込口座を確認する必要がありますことから、確認書を送付することとしております。なお、家計急変の世帯につきましては本市で把握することができませんことから、市のホームページや新聞広報等を通じて給付金の周知を図り、対象世帯からの申請を受け付けることとしております。
-安宅こども未来局長
私の方からは、ひとり親世帯緊急支援給付金についてお答えさせていただきます。給付金の周知と申請の方法ですが、支給対象世帯に対しましては、児童扶養手当の受給者情報をもとに2月末にも支給案内を発送し、3月中旬をめどに請求行為のいらないプッシュ型で支給をしていきます。
-山下議員
また、対象世帯について住民税非課税世帯等緊急支援給付金事業では約53100世帯、ひとり親世帯緊急支援給付金事業では約1400世帯、合わせて54500世帯を見込んでいますが、その世帯数は本市全世帯数の25%にすぎません。給付金事業において、支援対象の拡大を検討されたのかお聞かせください。
-安宅こども未来局長
給付対象の拡大を検討したのかというお尋ねがございました。エネルギー・食料品価格等の物価高騰によりまして家計負担が増加していることを踏まえ、児童扶養手当を受給する低所得のひとり親世帯のうち、全国一律の緊急支援給付金の対象とならない世帯に対し、市独自の支援として同額の給付金を支給することで対象の拡大を図ったところでございます。
-山下議員
どちらの事業も早急な支援が求められますが、支給予定が3月上旬から、ないし3月中旬となっています。支給予定日について速やかな支給の検討がされたのかお聞かせください。
-山口福祉健康局長
給付金の支給予定時期を早めることはできないかとのお尋ねに対してお答えいたします。住民税非課税世帯・ひとり親世帯ともに、給付金の支給時期につきましては、手続の簡素化や事務処理の効率化を十分考慮いたしまして、できる限り早期となるように設定したものでございます。これ以上早めることは難しいというふうに考えております。
-山下議員
次に、福祉光熱費助成金についておたずねします。 2023年度の福祉光熱費助成金は、当初予算と9月補正予算で計上され1年を通した光熱費の支援となっていました。しかし今年度は当初予算では支援事業が行われず、今回の補正予算案では対象月を2024年10月~2025年3月分としています。2023年度同様に、1年を通した支援となるよう上期まで対象とする支援を検討されたのか伺います。
-山口福祉健康局長
福祉光熱費助成金につきまして、昨年度は1年を通した助成であったが今年度は10月からの半年分となっていますことについてでございますが、令和5年度の12月補正予算及び1月補正予算に加えまして、令和6年度の当初予算に緊急支援給付金を計上し、支援を行っておりますことから、今年度の上期分の光熱費については助成をしなかったものでございます。
-山下議員
2023年度冬期の助成金額は1世帯あたり1万8千円でしたが、同時期の今年度の助成金額が1万5千円と減額になった理由をお聞かせください。
-山口福祉健康局長
昨年度の助成額1万8000円から今回は1万5000円に減額となった理由についてでございますが、今回の補助単価は、電気・灯油・ガス料金それぞれ令和5年の4月の価格と令和6年12月など直近の実績との差額を6カ月分として算出しております。この算出方法は昨年度までの助成金と同様でございますが、月々の電気等の料金や、国が行っておりますエネルギーの支援額の違い等により、結果として助成額が幾分減額となったものでございます。
-山下議員
福祉光熱費助成金は、生活保護世帯と住民税非課税の児童扶養手当受給世帯、要介護3以上の高齢者や重度の障害者を在宅で支える世帯が対象となっていますが、それぞれのどのくらいの世帯数なのかお聞かせください。また対象世帯への周知をどのように行うのか、申請が必要であればその期限はいつまでなのか、支給予定はいつなのか明らかにしてください。
-山口福祉健康局長
助成金の対象ごとの世帯数、周知や申請の方法、期限、支給予定についてでございますが、助成金の対象は生活保護世帯のほか、住民税非課税の要介護3以上の高齢者世帯、重度の障害者世帯、児童扶養手当受給世帯としておりまして、生活保護世帯は3300世帯、要介護3以上の高齢者世帯は1100世帯、重度の障害者世帯は1900世帯、児童扶養手当受給世帯は1000世帯の合計7300世帯を見込んでおります。今補正予算の議決後、1月下旬から順次案内文を送付し、2月下旬に支給を開始したいと考えております。このうち生活保護世帯と児童扶養手当受給世帯につきましては受給者の情報をもとにプッシュ型で支給をいたしますが、そのほかの世帯につきましては住民税非課税などの支給要件の確認を要しますことから申請が必要となりますものの、確実に支給できるよう丁寧に周知をしてまいりたいと考えております。
-山下議員
次に、福祉施設光熱費物価高騰特別対策費、および福祉施設食材料費物価高騰特別対策費についておたずねします。 まず、福祉施設光熱費物価高騰特別対策費は、エネルギー価格高騰に対応するための事業ですが、光熱費の一部助成のなかに、ガソリン代等の燃料費を含む検討はされたのか伺います。
-村山市長
福祉施設光熱費物価高騰特別対策費につきまして、本事業は高騰している電気・ガスなどの光熱費の一部を助成するものであります。ガソリン価格の高騰対策につきましては、別途国が対応するものと認識をしております。
-山下議員
次に、今回の2つの物価高騰特別対策事業の対象施設に、医療機関や保育施設を含む検討がされたのか、対象施設に含まれない理由もあわせて明らかにしてください。
-山口福祉健康局長
福祉施設に対する物価高騰特別対策費についてでございますが、医療機関につきましては、県が地域の実情に応じて医療提供体制の確保を行うこととなっております。本市として支援することは考えておりません。
-安宅こども未来局長
福祉施設光熱費並びに食材料費物価高騰特別対策費についてでございますが、保育施設につきましては既に当初予算におきまして1年分の光熱費及び食材費の物価高騰分が含まれていますことから、追加することは考えておりません。
-山下議員
また、児童館や公民館、児童クラブについては当初予算で光熱費について助成されていますが、今回の補正予算に追加する検討がされたのかお聞かせください。
-安宅こども未来局長
児童館や児童クラブなどについては、既に当初予算において1年分の光熱費上昇相当分を運営費に加算していますことから、追加することは考えておりません。
-山下議員
最後に、2つの物価高騰特別対策事業の対象施設への周知方法や申請の期限など、助成金支給までの流れを明らかにしてください。
-山口福祉健康局長
対象となる施設に対しましては、補正予算可決後速やかに申請方法や申請書の様式をホームページに掲載いたしますほか、各事業所宛に電子メールでも送付し、周知を図ることとしております。申請は2月1日から受け付けし、順次支給していくこととしております。申請期限は3月末でございますが、同様の支援策をこれまでも数度にわたって行っておりまして、未申請者への申請の勧奨を行うなど、漏れのない支給に努めてまいります。
-山下議員
次に、金沢の買い物応援商品券事業費についておたずねします。 商店街が発行する商品券事業は、本市でも経済対策、物価高騰対策として繰り返し行なわれてきました。今回の補正予算案では、歳入の一般財源約1億9千万円すべてが商品券事業に充てられています。市民の買い物負担を軽減し消費を下支えする目的を掲げていますが、商品券の購入者に要件はなく、金沢市民に限らず購入することができます。また商店街の活性化もあわせて目的とする事業ですが、団体に加入していない店舗は対象とならず、商店街によっては大型店舗に消費が偏るという傾向も見られます。他自治体の分析では、商品券事業期間の前後で買い控えが起きるため、期間中の売上のみで正しい経済効果が算出できないとも言われています。そこでこの事業が、市民の経済的負担を軽減し、物価高騰分を価格転嫁できない小規模事業者の経営を支える事業となるのかお聞かせください。
-村山市長
買い物応援商品券事業については、物価高騰が続く中で、消費を拡大しながら家計負担を軽減できる最適な手段と捉えています。加えて、これまで買い物応援商品券事業に取り組んだ際には、地域の商店街から、購買者の大多数は地元の皆さんであり、地域の店舗で利用され大変ありがたいとの感謝の声を伺っております。小規模事業者の下支えの役割も十分果たしていると捉えています。
-山下議員
最後に市独自の財源についておたずねします。今回の補正予算歳入の多くは国庫支出金が充てられています。重点支援地方創生臨時交付金約26億7500万円のうち、地方公共団体が地域の実情に応じて独自に活用できる推奨事業メニュー分が約8億9千万円交付される見込みです。推奨事業メニューには、今回の補正予算に提案されなかった農林水産業、中小企業等への支援、さらには個人や事業者へ幅広く支援が行き届くと考えられる上下水道料金の減免などにも交付金が充当できるとされています。 市独自の財源を積極的に投入し、こうした事業をおこなう検討がされたのかお聞きします。
-村山市長
予算に限りがある中で、特にエネルギー・物価高騰の影響を強く受ける低所得世帯や福祉施設等を優先的に支援する必要があると考えまして、国から交付される重点支援地方交付金を全額活用して必要な対策をお諮りいたしました。今補正予算の歳出の総額が重点支援地方交付金の交付額を上回ることとなりました。その差について、令和5年度の決算剰余金の一部を充当することとさせていただきます。エネルギー・物価高騰が続くことが想定されることから、引き続き、国や県の動向を注視しながら、適宜適切な対応・対策を検討していきたいと存じます。