私は、認定第2号 令和6年度金沢市公営企業特別会計決算認定について、認定できない立場を表明し、その主な理由を述べます。
まず第1に、中央卸売市場についてです。
2023年1月に策定された「金沢市中央卸売市場再整備基本計画」のもと、金沢の豊かな食と文化を支え、北陸のハブ拠点となる一体型総合市場」を目指し、再整備事業が進められてきました。
当初8,900万円で契約した基本設計は、2024年9月末に完了する予定でしたが、市場関係者との合意が得られず、2025年2月末まで延長されました。市当局はこの5カ月延長の方針を出した際も、期日通りに進行すると繰り返し説明してきたにもかかわらず、再び合意に至らず、2026年2月まで工期が再延長される事態となっています。
この間、どのような協議が行われ、何が問題となったのかについて、議会や市民への十分な報告がなく、進め方の不透明さは厳しく指摘せざるを得ません。
加えて、再延長に伴い基本設計に関わる3,500万円が2024年度最終補正に計上されましたが、期日通りに完了していれば不要であった経費であり、その責任は重大です。
さらに、基本計画の重点である「一体的総合市場」「現地建て替え」「工期10年」の方針に沿わない設計業務となるのであれば、追加補正ではなく新たな契約として履行すべきです。
以上を踏まえ、再整備事業については、市場関係者の理解と合意を改めて得たうえで、基本計画に立ち戻ることを強く求めます。
第2に、水道事業についてです。
2024年度決算では、3億3,000万円余の純利益が計上され、これで15年連続の黒字となりました。老朽管の更新や設備の維持管理が重要であることは言うまでもありませんが、長引く物価高騰の影響を受け、日々の暮らしに不安を抱える市民に対して、水道料金の引き下げという形で利益を還元すべきです。
また、市民が利用する水道水の約半分は県水であり、残り半分が自己水です。県水は自己水に比べて4倍近く高額であるにもかかわらず、責任水量制により、契約水量の6割を受け入れなければならない仕組みとなっています。この制度のもとで、安価でおいしい自己水の活用が制限され、市民の負担が増しているのが現状です。
県水受水契約による膨大な受水量や責任水量制を見直し、自己水の供給を最大限に活用することこそ、市民生活を守る行政の責務です。
第3に、工業用水道事業についてです。
金沢テクノパークにおける工業用水道事業は、従来から給水収入の減少が続いています。全区画の企業誘致が完了したにもかかわらず、供給量の増加が見込めない状況です。
2024年度決算では、収益的収入および資本的収入をあわせて、一般会計から2,550万円の繰り入れが行われました。
現在、工業用水道を利用しているのは5事業所ですが、実質的には3社のみであり、そのうち1社が全体の9割を占めています。結果として、特定企業への依存度が極端に高い状況となっています。限られた市民の税金を用いて、特定企業のための水道事業を継続的に支えることが妥当なのか、検討が必要です。工業用水道事業の構造的課題に向き合い、抜本的な見直しを求めます。
第4に、下水道事業についてです。
2024年度には、下水道事業へのウォーターPPP導入検討調査が行われました。
国は2027年度以降、汚水管改築事業に対する交付金の要件としてウォーターPPP導入を求め、官民連携による維持管理や運営等を通じて、財政資金の効率的使用や行政の効率化などを図ると説明しています。
しかし、交付金の要件となるウォーターPPPレベル3.5の導入は、下水道事業の民営化を段階的に進めるものです。市民のいのちと生活に直結するインフラを利益追求の対象にすることに、強く反対します。
さらに、原則10年に及ぶ長期契約による民間委託は、議会のチェックが行き届かず、市民の声が反映されにくい構造をうみ、公共性を損ないます。災害時の対応や緊急修繕などを困難にし、地元業者の排除や雇用の不安定化も懸念され、行政や地域における技術継承にも悪影響を及ぼします。
下水道事業の持続可能性は、民営化によってではなく、公的責任のもとでの改善と市民参加によってこそ実現すべきです。
以上の理由から、令和6年度 金沢市 公営企業特別会計 決算認定に反対いたします。














