2010年9月 金沢市議会9月議会
議会議案第1号金沢市長の在任期間に関する条例(案)
質 疑
日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
私は、日本共産党市議員団の一人として上程されました議会議案第1号金沢市長の在任期間に関する条例(案)に対して質疑いたします。
第一に、この条例案が、憲法違反に当たらないかという点です。
平成19年10月18日衆議院総務委員会で、次のようなやり取りがあります。
質問 神奈川県議会で10月12日に知事多選禁止条例が成立をいたしましたが、総務省の評価はいかがでしょうか。
答弁に立った久元政府参考人は、「法律解釈について申し上げたいと思います。まず、結論から申しますと今回成立いたしました神奈川県知事の在任の期数に関する条例は違法であるというふうに考えております。その理由でありますが、現行の地方自治法は、知事の任期については定めておりますが、在任できる期数については定めておりません。知事の在任期数を制限するとすれば、それは法律上の根拠を要するというふうに考えております」
と答弁を行っています。
答弁は続いて、知事の在任期数を制限する規定について、次のように述べています。「立候補することができない者を、被選挙権を有しない者として成年被後見人あるいは公民権を停止されている者など一定の範囲に限定している公職選挙法の規定を逸脱ものであり、違法である」と述べています。
総務省の下で「首長の多選問題に関する調査研究会」がつくられ、その報告書の中で、首長の多選制限について必ずしも憲法に反するものとはいえないとの見解をまとめています。平成19年5月30日です。この国会でのやり取りは、報告書が提出された後のことであります。また、この報告書では、多選制限について、「制度化する場合には、法律にその根拠を置くことが憲法上必要であり、地方公共団体の組織及び運営に関する事項を一般的に定めた地方自治法において規定することが適当である」と述べています。
多選を理由に条例などで任期を制限したり、自粛すると言うのは、憲法が明記する基本的人権、民主主義の原則からして問題があるのではありませんか。
最高裁判所の判決でも「立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえで、極めて重要である」と明快に述べています。
以上の事から、この条例案が憲法違反に当たらないのか。答弁を求めるものです。
第二に、二元代表制ということからすると議会が市長の在任期間に関して条例提案することは問題がないのか。伺います。
憲法は、地方自治の原則として議会と首長がどちらも住民から選挙を通じて直接選ばれる二元代表制を定めています。
したがって、両者が抑制と均衡というチェック・アンド・バランスをもって、お互いの独断や暴走を防ぎ、民主主義を保障するという仕組みとなっています。
市長の多選が気にくわない。問題だと言って、議会が市長の多選を自粛したり、禁止したりすることは問題ありませんか。
二元代表という視点から、この条例案について、どのように考えたのか伺うものです。
第三に、この条例案の第2条で、「市長は、連続した3任期の当該3任期目以降の各任期に係る選挙において投票率が別に定める割合を超えない場合には、当該任期の次の任期に在任することのないよう努めるとする」としています。
これは、3期連続して当選した場合、その時の投票率が20%台だった場合、次の4期目には、立候補しないよう努めると言うものです。
その投票率が30%を超えない場合とするのか。40%とするのか。50%とするのか。別の条例で定めるとしています。これは、大変重要な事でもあり、なぜ、この条例で示さなかったのか。示さないということは、この条例案にとって致命的な欠陥とならないのか。伺うものです。
第四に、この条例案は、附則で「この条例は、平成22年12月10日から施行する」としています。
今期山出市長の任期は、平成22年12月9日までであります。したがって、新しい市長の任期は、平成22年12月10日から始まります。
するとこの条例は、山出市長の6期目出馬には、適用しないと言うことになります。これでは、山出市長の6期目の出馬は良いと言うことになり、多選自粛というこの条例案の目的からして、つじつまが合わなくなりませんか。
その点について、伺うものです。
最後に、誰を選ぶか。その権利は、国民にあります。選挙によって、有権者の意思を判断すべきではありませんか。
その点を伺いまして質疑を終わります。