私は、日本共産党市議員団の最初の質問者として以下伺います。
最初の質問は、野田新内閣が進める政治にどのように臨むのか、伺います。
野田新内閣がスタートした途端に、鉢呂経済産業大臣が就任わずか9日目でみずからの暴言で辞任に追い込まれました。原発を担当する大臣に、このような人物を任命した野田新首相の責任が厳しく問われます。
福島原発事故の深刻さが続いているにも関わらず、復旧や原因と対策よりも原発の再稼働をすすめようとするこの内閣の政治姿勢が問われる事態となっています。この内閣は、はじめからきわだつた動きが展開されました。その一つが、野田新首相が内閣を組閣する前に、日本経団連をはじめ財界三団体を訪問するという異例な行動をとったことです。日本経団連の米倉会長は、「われわれの政策と合致点は非常に多い」と語り、手放しで喜んだと報じられました。その一致する点とは、環太平洋連携協定・TPPの推進であり、「社会保障と税の一体改革」の名による消費税増税の実現などであります。財界と直結する政治を進めていこうとする姿勢を強く打ち出したものであります。
もう一つが、自民・公明両党との党首会談でした。その会議の中で、子ども手当や高校授業料無償化など民主党の政権公約を見直し、法人税減税など税制改正の協議など三党合意を堅持する事を表明したことであります。さらに、野田新首相は、今後の対策などでの協議機関設置を話し合いました。自民党政治を変えるとして政権交代した立場をすっかり投げ捨て「大連立」を含めた「翼賛政治」に大きく踏みだそうとするものであります。
私どもは、震災復興、原発ゼロの日本をめざすたたかい、環太平洋連携協定・TPP参加や消費税増税を許さないたたかいなど広範な国民と力を合わせ、奮闘する決意であります。
市長!野田新内閣が打ち出している子ども手当の廃止、消費税増税、環太平洋連携協定・TPPの推進、原発の再稼働を進める政治は、市民と地域経済にとって大きな影響をもたらすものです。市長は、どのように臨まれるのか。伺うものです。具体的に伺います。
子ども手当の廃止についてです。今年10月から支給金額と支給要件が変わります。来年度からは、児童手当制度に再び変更され、所得制限が導入されることになります。この内容では、2千円の増額となる3歳未満の子どもが300万人であるのに対し、3千円削減となる子どもは、1420万人にのぼります。しかも、年少扶養控除が今年1月から廃止されるなど増税によって負担が増え、住民税についても来年6月から廃止されるもとで、さらに、逆転現象が増えることとなります。 所得制限の導入についても、予算の削減額は、100億円に過ぎませんが、システム改修費は、100億円弱にのぼり、事務作業を増やし、手続きの煩雑さを現場に押しつけることになるわけです。
子育て支援という重要な課題を政局にからめてすすめてきた事は、この三党合意はとても国民の合意を得られるものではありません。
市長は、この子ども手当について地方負担が増加しないよう求めていくと述べられましたが、市民へのお知らせや窓口での対応、来年度の予算計上などについて、どのように考えおられるのか伺うものです。
次に、消費税増税についてです。
金沢の経済団体の中からも、復興財源をめぐって、景気が回復しておらず、増税しては景気を悪化させるだけだとして、中小企業を応援する施策を進めてほしいとの声が相次いでいます。また、市民生活の現状からしても消費税増税はとても受け入れることはできません。
今後の市民生活と地域経済の事を考え、市長として消費税増税はすべきでないとの声をあげる考えはないか。その見解を伺うものです。
質問の第二に、原発の縮小・廃止などについて伺います。
先日、記者会見を行った作家の大江健三郎氏が、次のように述べました。「自らの体験から先の戦争・敗戦に続く大きなものが今回の大震災と原発事故だったとして敗戦を教訓に新しい憲法ができたように原発を廃炉にする国民的な決意をしなければならない」と語りました。今回の原発事故を受け、どの世論調査でも国民の7割、8割が原発の縮小・廃炉を求めるなどその意識に劇的な変化が起こっています。加えて、九州電力の「やらせメール」問題です。わが党が国会などで追及し、明らかとなって以降、中部電力、四国電力さらに、国の保安院までが、原発は安全との「やらせ」を要請するという事態まで国民の前に明らかとなってきました。国と電力会社が宣伝してきた「安全神話」がウソであった事が明るみにされ、全国で54基もの原発を建設してきた責任が厳しく問われています。
福島原発事故を契機にドイツ、イタリアをはじめ、世界では、原発を縮小・廃止する方向が進んでいます。その背景には、燃料となるウラン資源が少ないこと。破局的事故の恐れがあり、経済的にもなりたたないこと。放射性廃棄物の処分ができず、大きな負担を強いられることなどがあります。従って、原発は、人類の生存と未来にとって相容れない危険性をもっている事が明白となりました。
市長!市民のいのちと安全に責任を持つ立場からも、「原発からのすみやかな撤退と自然エネルギーへの本格導入」という方向に歩むべきと考えますが、市長の見解を伺うものです。具体的な点について伺います。
第一に、志賀原発の再稼働についてです。
志賀原発では、すでにストレステストが進められ、北陸電力は、一連の報告書を国に提出し、再稼働を早期に進めるとしています。こうした中で、野田新内閣は、来年4月をまたずに再稼働を進めるとの方針を打ち出しています。しかし、県内の自治体や住民からは、福島原発の事故の原因と対策が明らかにされないまま、原発の再稼働は、進められないとの意見が多く表明されています。また、七尾市、羽咋市、中能登町からは、8月10日県に対して安全協定の見直しを求めました。現在10キロ圏内でしか対応していない安全対策について、その拡大を求めたわけです。
市長は、本市が北陸電力の株主でもあり、しかるべき意見の表明を行っていくと述べてきました。市民の安全を最優先に考えるなら、福島原発の事故から半年が経過し、未だに安定的状態が確保されず、国としての原因と今後の対策すら明らかとなっていない状況では、志賀原発の再稼働には同意できないことを表明すべきです。市長の見解を伺うものです。
第二に、県に対して、現在の10キロ圏内にとどまっている安全対策についてその拡大を求めると共に、本市として原発事故に対する防災対策を早急に具体化する考えはないか。伺うものです。
質問の第三に、公共事業の入札と地元業者への仕事出しについてです。
地元のある建設業者の方が、今年になって、十数回見積もりを出し入札したが、受注できたのは、一回も無い。落札額は、とても採算のとれるような額でないとの訴えがありました。公表されている本市の工事入札結果情報を見てみました。
本市では、予定価格は事前公表されています。入札によって最低制限価格に近い業者が落札することとなります。結果を見ると、この最低制限価格にぴったしの額で落札している業者や、2千円、4千円など数千円、数万円の差で落札している業者が相次いでいます。ある業者の話では、最低制限価格を割り出すコンサルタント会社まで現れているというのです。本市では、電子入札が導入され、一般競争入札では、最低制限価格制度に一本化されました。
先日、総務常任委員会が、公共事業の発注で「函館方式」と呼ばれている函館市を訪ねその内容について調査研究してきました。その大きな特徴は、下請け業者との契約や人夫の労働賃金などをしっかり守らせるために業者との文書による誓約を求めると共に、受注した後の実態調査を行うなど徹底していることでありました。
市長!地域経済の実態は、仕事が無い。採算が合わない。もう存続できないなど深刻な状況が続いています。本市の公共事業が地域経済の振興に役立っていますか。そのための対策がどのようにとられているのか。伺うものです。
また、本市官公需の中小企業向け契約実績について明らかにしていただきたいと思います。具体的に伺います。
第一に、本市では、2億円以上の大規模工事について、一業者一工事の受注に限定しています。大型工事の分離分割発注をすすめると共に、一部の業者に集中しないよう対策を拡大する考えはありませんか。
第二に、50万円以下の簡易小額工事について、これまで指摘したように年間約6千件、15億4千万円の内、AとBランクの業者が4割以上を占めています。入札登録していない業者は、わずか600件1億1千万円程度です。改善が必要です。
第三に、住宅リフォーム助成制度の導入です。玄関や台所など住宅をリフォームする際に一定額を助成することによって、大きな経済効果を上げ中小企業に対する仕事出しにつながり、全国では300を超える自治体に広がっています。是非、不況対策として実施する事を求めるものです。市長の見解を伺うものです。
質問の第四に、大徳地区における場外車券売り場の設置計画についてです。
この問題は、市内の業者が駅西・大徳地区の空きビルに競輪の場外車券売り場の設置を計画している事であります。すでに、本市議会も本市も設置反対で明確な態度表明がされているにもかかわらず、今議会に大徳地区商工振興会の会長名で場外車券売り場の設置について賛成を求める陳情書が議会に提出されました。
平成19年12月市議会で、設置計画に反対する二つの請願書が全議員の賛成で可決しました。これを受けて当時の山出市長は、「議会の意思は市民の意思」と表明し、設置反対の議会の意思と同様の立場を表明いたしました。
従って、その後5回にわたって、同様の陳情書が議会に提出されましたが、いずれも否決や取り下げが行われてきました。
ところが、市長!あなたが就任されたとたんにこの問題が息を吹き返したように動きが起こってきました。
市長就任直後の、昨年12月市議会で市長は、地元町会の同意があれば、市長として認めるかのような表明をされました。このことが設置へと大きくカジをきることにつながりました。
市長!あなたが議員であったときは、設置反対でした。市長に就任すると、今度は賛成なのですか。立場が変われば、手のひらを返すように政治姿勢も変貌するというのでしょうか。何か心変わりする事があったのですか。設置に反対と述べる事が出来ない理由があるのですか。明快な見解を伺うものです。
今回の駅西・大徳地区における競輪の場外車券売り場設置計画の場所から半径1キロ以内に大徳小学校と中学校をはじめ、2つの高等学校、3つの保育園があります。また、計画の場所から1.5キロ先には、今年5月に開館した海みらい図書館があります。この地域は、文教地域です。したがって、こうした地域にギャンブル施設はふさわしくないと言うのが、圧倒的な地域住民の声となってきました。地域振興や自転車競技の振興を述べたとしても競輪の場外車券売り場は、ギャンブル施設なのです。
市長!あなたは、スポーツを通じて地域の振興を掲げ、シティーフルマラソンの実施を進めておられます。今議会の提案説明の中でも、「いいねがいっぱい秋の金沢」と題してにぎわいの創出を述べておられます。その中に、駅西地区での競輪の公営ギャンブル・場外車券売り場もその一つとなり、全国に発信すると言うのでしょうか。市長の見解を伺うものです。
市長の提案説明の中に、今後「責任と誇りを持てる金沢像」をめざすとのことです。市長!わがまち金沢が誇りを持って未来に引き継がれていくよう責任を負う立場からも、駅西・大徳地区での競輪の場外車券売り場の設置計画には、明確に反対の立場を表明すべきと考えますが、市長の見解を伺うものです。
質問の最後に、中学校における武道の必修についてです。
来年度から中学校保健体育において武道が必修となり、男女とも柔道が授業で実施されることとなります。
柔道は、相手を投げる。抑え込む。絞めるなどの技を用いて攻防するため、他のスポーツに比べ危険度が高い種目となっています。
学校管理下での死亡・障害事例について調査した報告によると1983年から2010年の28年間で、114人の子どもが中学・高校での柔道事故で死亡しています。年間で4人以上の子どもの命が奪われていることに私は愕然としました。これは、学校管理下の事故であって、民間の道場などは含まれていませんし、脳障害など後遺症を抱えている事例も含まれていません。
したがって、柔道の授業にあたって、安全管理と対策を最優先しなければなりません。
全日本柔道連盟が、「柔道の安全指導」というパンフレットを発行しています。その中で、「柔道はケガをしない。させない。」と述べ、稽古心得三カ条として「正しい技と受け身を身に付けよう。相手を尊重し、無理のない稽古をしよう。服装・道場の安全点検をしよう」と述べています。
教育委員会は、来年度から中学校保健体育において、男女とも柔道が実施されるにあたり、どのように受けとめ、実施されるのか。伺うものです。
私は、この夏、市内の中学校を訪ね、柔道場の施設や現在の取り組みについて現場の様子を伺ってきました。具体的な点について伺います。
第一に、柔道場の施設についてです。柔道場がない学校もありました。柔道場があっても、スプリングの畳が敷かれている学校は、少数でした。硬く古くなった畳が敷かれ、隙間がむき出しとなっていました。柔道施設の改善が早急に求められています。
第二に、柔道を指導する経験者が少なく、女性の指導者がほとんどおりません。この夏、柔道講習会が開かれ、指導者養成が行われているようですが、男女とも来年度から必修される事を考えると現場では困難を抱えています。
第三に、柔道着です。すでに、ひとりひとりに購入を進めている学校もありましたし、学校として備えているところもありました。今後、生徒一人一人に購入をすすめるとしたら、何らかの援助は考えられないか。以上の点について、教育委員会の見解を伺い、私の質問を終わります。