森尾嘉昭議員 (議会議案第3号提案理由説明)

私は、日本共産党市議員団を代表して、議会議案第3号社会保障と税の「一体改革」に関する意見書の提案理由の説明を行います。

 菅直人首相が議長を務める社会保障と税の一体改革に関する集中検討会議が、去る6月2日に社会保障改革案を取りまとめました。この改革案は、日本は少子高齢化が進み、年金や医療、福祉、子育てなどの社会保障制度にたくさんのお金がかかっているから、これらの社会保障制度のあり方を考えていくとともに、必要な財源を安定的に確保するために、税制についても一緒に見直そうというものであります。そして、打ち出された内容が、社会保障の安定財源を図るとして、2015年度までに消費税を10%に引き上げるというものです。現在の消費税を2倍に引き上げ、約13兆円もの増税を国民に押しつけようというわけであります。そして、将来は社会保障費の全体を消費税で賄うとして、20%を超えるまで消費税を引き上げるということも視野に打ち出しています。一方、社会保障制度について、首相は支え合い3本柱という耳ざわりのよいことを打ち出していますが、内容は給付の削減、自己負担の増加、高齢者負担をふやすという、国民に迫る我慢の3本柱となっています。具体的には、医療費の自己負担の増加、介護給付や生活保護の抑制、年金の支給年齢の引き上げなどが列挙されています。結局、社会保障と税の一体改革なるものは、社会保障の抑制と消費税を引き上げるというもので、最悪の組み合わせとなっています。また、この中には、企業の国際的な競争力の維持向上が必要だとして、法人税率の引き下げを案文の中に明記しています。これにこたえるように、日本経済団体連合会は社会保障と税の一体改革に対する意見なるものを発表しました。この中で、消費税を社会保障の安定的財源に充てていくというのは積年の課題解決に向けた一里塚が築かれたと絶賛し、社会保障の改革に当たっては、現役世代や企業負担をふやす改革は反対だとする態度を明らかにし、年金支給開始年齢のさらなる引き上げや社会保障給付の効率化・重点化の強化を掲げています。大企業に物が言えず、財源といえば消費税の増税では、これまでの政治と変わらず、一向に解決の糸口すら見つけ出すことはできません。民主党の内部からも、消費税を2015年度までに10%に引き上げることを明記した一体改革案に対して異論が相次ぎ、国民からの厳しい批判がわき起こりました。こうした中、昨日、政府・与党は社会保障改革検討本部会議において、社会保障と税の一体改革案を決定しました。その内容は、当初2015年度までに段階的に消費税率を10%まで引き上げとしていたものを、2010年代半ばに消費税率を10%に引き上げるとしました。結局、消費税率を10%引き上げる方針を掲げていることでは変わりません。消費税増税は、東日本大震災の被災者にも重い負担となり、救援・復興への国民的努力を壊すものです。そして、消費税増税は日本経済を悪化させ、国民生活を一層困難なものにするもので、許されるものではありません。現在、大企業の手持ち資金は52兆円と過去最大となり、利益も急速に回復しています。一部の大企業の役員報酬は数億円にも上っています。軍事費など不要不急の予算にメスを入れ、大企業や大金持ちへの行き過ぎた減税を是正することや、必要のない大型開発事業や年間320億円にも上る政党助成金など予算の無駄を見直すなど、国民の立場に立った財源策を真剣に追求することが求められています。この意見書は、社会保障給付の主要な財源を消費税に頼るやり方は、際限のない消費税増税を招く道であることを指摘し、国に対して社会保障と税の「一体改革」に当たっては、社会保障制度の財源を消費税増税に頼らず確保するとともに、社会保障の充実を図るよう求めるものであります。

 議員各位の賛同を求め、提案理由の説明を終わります。 

▲ このページの先頭にもどる

日本共産党中央委員会
「しんぶん赤旗」のご案内
日本共産党石川県委員会
井上さとし(日本共産党参議院議員)
たけだ良介(日本共産党参議院議員)
藤野やすふみ(日本共産党衆議院比例北陸信越ブロック)
金沢市議会のページへ
サイトポリシー
© 2010 - 2024 日本共産党 金沢市議員団