2012年金沢市議会3月議会 森尾議員一般質問

金沢市3月議会 一般質問の全文

日本共産党金沢市議会議員 森尾嘉昭

 
 私は、日本共産党市議員団の一人として以下質問いたします。
 最初の質問は、介護保険料の約20%引き上げと特別養護老人ホーム等の施設整備についてです。
 市長は、今議会の提案説明の中で、「市民の幸福度・満足度を高め」「自立した市民との協働により、これからのまちづくりを進めて行く」と述べました。
 多くの市民は、自分たちの生活が向上し、幸福度と満足度が高まっていくと感じているでしょうか。
 野田内閣は、消費税を5%から10%に引き上げることを提案し、法案を提出するとしています。13兆円もの国民負担が増えることになります。さらに、高齢世帯には、物価下落を理由に0.3%の年金削減に加え、過去の物価下落時に年金を下げなかったとして、新年度から3年間で2.5%削減するとしています。その上、後期高齢者医療保険料と介護保険料の引き上げが提案されています。
 子育て世帯も多くの世帯で子ども手当が削減され、その財源に充てるとして税の年少扶養控除を廃止したため今年6月から住民税が増額されます。
 働く労働者が加入するけんぽの保険料は、4月から値上げされ、厚生年金保険料も、今年10月から値上げが実施されます。さらに、来年1月からは、復興税増税が始まります。その結果、高齢者世帯の負担増は、年約18万円、子育て世帯は年約30万円にものぼります。ほぼ1ヵ月分の収入が吹き飛んでしまう大幅な負担増であります。
 市長!市民の幸福度、満足度どころか、生活そのものが立ち行かなくなってしまいます。地方自治体が、国が進める暮らし破壊の政治から市民生活を守る防波堤としての役割を今こそ発揮しなければなりません。ところが、介護保険料は、約20%もの引き上げが提案されました。さらに、後期高齢者保険料の引き上げです。いずれも、高齢者の多くが年金から天引きされるものです。
 年金は、引き下げられ、一方保険料は、大幅な引き上げがされ、年金から天引きされるわけですから、手にする年金は、大幅な削減となります。二重三重にも高齢者の生活を苦しめることとなります。中でも、介護保険料が20%も引き上げられ、基準額は、月額4750円が5680円となるものです。2か月ごとに年金から引かれますから一回に1万円を超える額が、さらに階層では、2万円を超える額が年金から引かれることになります。
 高齢者が増え、介護サービスの増加によって、介護給付費が毎年増えて行くことは避けられません。しかし、現在の介護保険制度では、半分が公費負担、半分が保険料で賄うため、介護給付費の増加に伴って、保険料が引き上がっていくことになります。しかも、今回野田内閣は、介護職員の賃金を月に1万5千円程度引き上げるために別枠で全額国が予算措置していた交付金をやめ、介護報酬の引き上げの中で対応したため、利用者の負担がふえ、保険料にも跳ね返りました。逆に国の負担が1400億円も削減されました。
 市長!国に対して責任ある財政措置を講ずるよう求めるべきです。その見解を伺います。
 具体的に財政対策として二つの基金についてです。
 一つは、介護給付費準備基金です。前期・第4期が始まった時は、13億8千万円もの基金がありました。その前の第3期に黒字となった財源です。その財源は、今回の第5期には、どの程度引き継がれたのか。どのように使われるのか明らかにしていただきたいと思います。
 もう一つが、財政安定化基金です。介護保険財政が悪化した場合のために市町村が拠出し、都道府県に積み立てられるものです。
 本市は、平成12年、13年、14年度に拠出し積み立てられた額は、2億5158万円です。ところが、今回その内3000万円とわずか、12%が取り崩され、介護保険会計に活用されるものとなっています。こうした財源こそ活用し、保険料の引き上げにならないようすべきではありませんか。
 市長の見解を伺うものです。
 ところで、市町村が拠出した金額に相当する額を国も県も基金に拠出することとなっています。したがって、金沢市が拠出した2億5千万円を含め、県内19の自治体から7億円が基金となっています。それに相当する額が国7億円、県7億円が拠出されています。こうした財源を活用し、保険料の大幅引き上げとならないようすべきではありませんか。
 国や、県に対してこうした財源の活用を求める考えはないか。市長の見解を求めるものです。
 特別養護老人ホームの整備計画について伺います。
 市内で特別養護老人ホームへの入居を待っている方は、1600人を超えています。
先に、本市は、その待機者の実態調査を行いました。その結果から、待機者の内85歳以上の方が約6割です。2年以上待っている方が35%です。ですから、入居出来ないまま亡くなってしまう方がおります。
 市長!あなたは、先の議会で、私の質問に対して、こうした現状について「大変深刻な状態だというふうに認識している」と述べました。したがって、やるべきことは、待機者の解消を行う為には、特別養護老人ホームの整備方針と年次計画を示すべきではありませんか。そして、本市には、市が建設した特別養護老人ホームは、一つもありません。本市が率先して建設計画を明らかにしていくべきではありませんか。市長の見解を伺います。
 質問の第二に、辰巳ダム建設と犀川ダムにおける工業用水貯留量の河川維持流量への振り替えについてです。
 辰巳ダム建設事業は、最終段階を迎えています。現在、ダムを満水にしてから放流を行う試験がおこなわれています。
 辰巳ダム建設事業が実施計画調査事業として採択されたのは、1975年昭和50年ですから、37年が経過したことになります。
 この間、ダム建設そのものが必要なのか問われてきました。現在も、事業認可の取り消しを求める住民からの訴えに基づき裁判が続いているにもかかわらず、建設事業がすすめられてきました。
 本市は、前市長が建設期成同盟会の会長として建設事業を率先して進める立場に立ってきました。現在、山野市長が会長となっています。
辰巳ダムがいよいよ運用段階を迎え、本当に犀川沿線の治水対策に必要なのか実践的に問われることになります。
 もう一つは、本市新年度予算の中に、犀川ダム工業用水補償金として3億7442万4千円が計上されたことです。
 この点について、いっさいの説明もありませんでした。
 市長から、280億円もの巨費を投じた辰巳ダム建設は、本当に必要なダムなのか見解を伺うと共に、今回の予算計上について説明を求めるものです。
 辰巳ダム建設事業は、地域住民が橋の建設を望んだ際に、ダムを建設すれば、その上は、人も車も通行でき、国費をさらに投入できるからとはじめられたと言われています。全国でも、ダム事業が大手ゼネコンと政治家が結びつき、公共事業の名の下で進められてきましたが、厳しい批判の的となってきました。
辰巳ダム建設事業もなぜ、ダム建設が必要なのか。をめぐって様々な角度から問われ、変更を余儀なくされてきました。
第一に、当初ダム建設の目的は、上水道、電力、治水など多目的ダムとして計画されましたが、その目的一つ一つが問われる事態となり、洪水調整目的に変更となりました。
中でも問われたのは、建設予定地にある辰巳用水東岩取水口がこのダム建設によって、水没することから環境と文化財を破壊するものとして県内外から厳しい批判が突きつけられました。この辰巳用水東岩取水口から取り入れられた水が兼六園に注がれてきた歴史からしても守るべき環境であり、引き継がなければならない文化財であります。建設地の変更によって、水没はまぬがれたものの、すぐ脇に51メートルもの巨大なコンクリートの壁が出現したわけです。引き継ぐべき環境と言えるのか問われ続けることになります。
 第二に、当初の目的から洪水調整としてのダムに計画が変更され、貯水する従来のダムから普段は、水をためない穴あきダムに変更されました。
治水ダムは、上流で降った雨をダムで貯めますが、それが満杯となった後、さらになる豪雨には対応できず、放流することになります。その際に、下流で豪雨となると大変な事態を招くことになります。こうした問題点と共に、穴あきダムは、流木対策、流砂対策そして、周辺の地滑り対策が問われる事態となっています。辰巳ダム建設そのものが、必要かどうかをめぐって、議論がおこなわれてきましたが、新たに穴あきダムについても、その安全性と果たして洪水調整の役割を果たすのか問われています。
第三に、辰巳ダムが、当初の計画から右岸側に150メートル上流に移動し、規模を縮小して建設されました。
 こうした変更へと導いたのが、犀川ダムの完成に伴って本市が持っていた工業用水の水利権を県にゆずり、河川維持流量に切り替えたことです。
 私は、平成13年に当時の山出市長に対して35年間一滴も利用してこなかった工業用水についてただしました。当時の市長は、必要な水利権だと言い放ちました。
ところが、2年後の平成15年11月に県から市に対してこの水利権を譲っていただきたいとの申し出が行われました。すぐに、市は検討委員会をたちあげ、3回の会合を経て3ヶ月後には、工業用水利権はいらない。県に譲るのは妥当との結論を出しました。その結論をもって、県からの要請から5ヶ月後には、本市は、工業用水利権を県に譲りますとの返答を出したのです。そして、県は、平成16年7月に犀川水系河川整備基本方針を策定し、辰巳ダム建設計画の変更を明らかにしたものです。
 市長!こうした経緯について市民にどのように説明されるのですか。あれほどまでに工業用水利権は、必要だとして35年間も持ち続けていた考えは、誤りだったと反省したというのでしょうか。見解を伺います。
 かつて県が金沢港周辺で工業団地計画を打ち出しました。そのため、工業用水が必要だとして1965年昭和40年に完成した犀川ダムから工業用水207万トンを確保し、犀川大橋の詰で水を確保し、パイプラインで出雲から金沢港へと運ぶ計画を打ち出しました。そのための工業用水利権を確保するとして、県に対して認可申請をし、許可されたものです。ところが、金沢港周辺での工業団地計画は、頓挫し、ゴルフ場に変わってしまいました。それでも、工業用水利権だけは、認可が継続され、本市は一滴も使わない水利権を持ち続け必要な費用を支払い続けたのです。そして、今度は認可を継続してきた当事者である県が譲ってくれと要請し、工業用水利権が、辰巳ダム建設のために河川維持流量へと変更したのです。
 県も本市も自らの失政を反省することなく、工業用水利権が河川維持流量へと振り替え、新たな辰巳ダム建設へと変更を行い、一気に本格的建設事業を進めてきました。
 市長!今回の予算計上は、こうした一連のやりとりの結果、財政上の措置とでも言うのですか。市民にどのように説明されるのか見解を伺うものです。
 質問の最後に、老人介護福祉施設の運営会社に対する行政処分と本市への権限移譲についてです。
 去る2月14日県は、老人介護福祉施設の運営会社「ジェーティー・ピー」と「清泉の宿」に対して、行政処分を行いました。その内容は、運営する本市、野々市市、穴水町にある9つの施設で、介護報酬の不正受給や、介護保険法に定める職員配置の虚偽報告などがあったとして、4つの施設の指定取り消し、5つの施設で半年間の営業停止や新規利用者の受け入れ停止等です。事実上介護施設として運用は、出来なくなるもので、1ヶ月後のこの3月26日付けから執行し、その間に利用者が引き続き必要な介護サービスを利用できるように対策を求めたものです。
 この運営会社は、事業所の指定を申請する際に、勤務できる見込みのない職員を記載するなど職員の勤務実態を虚偽報告すると共に、運営にあたっても看護、介護職員数を水増しするなど介護報酬を請求し、加算金などを含め約1800万円を不正請求したと言うものです。
 処分を受けた施設は、有料老人ホームと併設する介護サービス事業所であり、多くの高齢者が住み、介護サービスを利用しています。対応が求められます。
そして、この4月から、県が持っていた行政権限が本市に移譲されることから本市が直接かかわることとなります。
 市長!今回の事態について、どのように受け止め、今後の対応を進めて行かれるのか。伺うものです。具体的に伺います。
 第一に、県がおこなった処分によって、施設の利用者への影響は避けられません。本市の場合、どの程度の利用者が影響を受けるのか。その方々が引き続き介護サービスを利用できるようにどのように 対応をとられるのか明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、介護報酬の返還について、本市が施設に対して請求することになりますが、その請求する期間と金額について明らかにしていただきたいと思います。
 さて、今回地方分権一括法に基づき、県の持っていた介護福祉施設に対する指定、監督権限がこの4月から本市に移譲されることになります。
 今回の事態は、指定、監督権限をもっていた県は、何をしていたのかと厳しい意見が出されています。
 今後ますますこうした施設が増えて行くだけに、市民が安心して介護サービスを受けられるようするためには、施設設置者の社会的責任が問われます。そして、本市の責任も重大です。
 本市が指定、監督権限をもって対象とする施設は、どの程度になるのか。本市の体制作りとも合わせ市長から明らかにしていただくよう求め、私の質問を終わります。

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