私は、日本共産党市議員団を代表して、議会議案第6号戸別所得補償制度見直し等農業政策の立て直しを求める意見書(案)に反対の立場で討論します。
意見書にある通り、日本の食糧自給率は40%を切り、今や主要国で最低の水準にまで落ち込んでいます。その最大の要因は、歴代の政権が米国と財界の要求に応じて食料輸入を次々に自由化し、輸入への依存を強めてきたことや、農業政策に関する予算を大幅に減らしてきたことです。
この農業危機の原因に触れないまま、歴代自公政権、そして現在の野田政権がやろうとしているのが、農家1戸あたりの平均耕地面積を現在の10倍以上に拡大するような大規模化を柱とした農業改革です。
2012年度の予算では、TPPへの参加にむけて、小規模農家に農地放出を迫るなど規模拡大をすすめ、高度なとりくみに対する加算措置を設けるなど、家族を中心とする多くの小規模農家を切り捨てる内容となっています。
その法制化に向けて今月はじめには、民主党・自民党・公明党が協議に入ったという報道もありました。
食料自給率の向上に向けて、国内の農地を活用し、担い手が意欲を持って消費者の需要にこたえられるような食料の供給体制を整備するためには、今まで進められてきた大規模経営、輸入の拡大路線では実現できないことはすでに実証済みです。
本当に農業を再生させるためには、農産物貿易を市場メカニズムだけに任せず、自国の必要に応じて食と農業のあり方を決め、関税や輸入規制の国境措置をとることができるよう、経済主権と食料主権を確立することが不可欠です。
また、工業と違い自然の制約を受ける農業の再生には、経営を安定して持続できるよう保障することが不可欠です。現実には、農畜産物の生産者価格が再生産費を割り込み、農業経営が成り立たない実態が広がっています。若い人たちが農業に参入しないのも、他産業なみの所得を得られる見通しがもてないためです。
わが党は農業を国の基幹産業として位置づけ、農家と農業経営を守るために抜本的な強化が求められていると考えます。
まず、農産物の価格補償と所得補償を組み合わせて、再生産が可能な農業収入を保証すること。また、「平地で20〜30ha」「中山間地で10〜20ha」規模の経営体への構造改革を進めようとする戸別所得補償経営安定推進事業は、米生産者の9割以上の離農を迫るものであり中止する。そしてTPPには参加しないこと、などです。
日本には温暖多雨な自然やすぐれた農業技術、安全・安心な食料を求める消費者ニーズなど、農業の発展に必要な条件があります。これらを生かすことで農業の再生は可能です。
よって、農地集積など今までの改革路線で立て直しを求めるこの意見書には反対を表明し討論を終わります。