2012年3月23日 金沢市議会3月議会
議会議案第8号基礎自治体への円滑な権限移譲に向けた支援策の充実を求める意見書
反対討論
日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
私は、日本共産党市議員団を代表して、議会議案第8号『基礎自治体への円滑な権限移譲に向けた支援策の充実を求める意見書』に反対であります。
昨年の3.11東日本大地震と福島原子力発電所での重大事故は、私たちの暮らしと安全に大きな影響をもたらしました。そして、国の政治のあり方や地方自治体のやるべき仕事は何か。鋭い問題が提起されて来ました。
地方自治体が本来の仕事である住民の福祉向上に向け、住民が主人公を貫き、いのちと暮らしを守る事を最優先にしていくこと。そして、そのために憲法の精神に沿った地方自治が確立し、拡充していくことが求められていると考えるものです。
そうしたときに、現在の地域経済と地方自治は、長きにわたる自民党政治と今日の民主党政権によって、深刻な実態に直面しています。
第一に、これまで、「構造改革」による新自由主義の経済政策、規制緩和によって、住民の福祉と暮らしを後退させ、地域経済の担い手である中小企業、地場産業、農林漁業に深刻な打撃を与えて来ています。その結果、地域間格差が広がり、地域経済の衰退が急速に拡大しています。
第二に、地方自治体が、住民の福祉と暮らしを守るという本来の仕事と役割を発揮できず、その機能が後退させられています。
「三位一体改革」の名によって、地方交付税の一方的削減が進められ、地方自治体の財政に大きな困難をもたらしました。さらに、「地方分権改革」の名によって、各種補助金による財源保障の手直しが進められ、地方へさらなる困難を引き起こしています。
また、市町村合併が強硬に推し進められ、住民サービスの大幅低下、災害時の緊急対応の困難など自治体機能が各方面で打撃を受けています。
「民間でできることは民間へ」とのかけ声で進められてきた公立病院の廃止と民営化が一層地域医療を荒廃させてきました。保育園の民営化、公共施設の指定管理者制度の拡大などが住民の暮らしと生活に様々な影響を引き起こしています。
提出された意見書は、地域と地方自治を壊してきたこれまでの自民・公明政治に何ら反省することなく、民主党政権が「地方分権改革」の名でこれまでの政治を継承し進めることに一層の後押しする内容となっています。
第一に、保育所設置基準などこれまであった福祉の最低基準を定めた「義務づけや枠付け」の見直しなどによって、国の責任を後退させ、住民福祉の第一線としての地方自治体の機能と役割をさらに弱める方向が進められています。
第二に、道州制を視野に入れ、地方自治体のさらなる広域化と編成替えを進めようとしています。
こうした方向は、地域経済と地方自治の深刻な危機を打開するどころか、一層の困難をもたらし、住民の願いには応えることはできません。
よって、わが党は、こうした意見書には反対を表明し、討論を終わります。