2012年金沢市議会6月議会 升議員一般質問

2012年6月議会一般質問

日本共産党金沢市議会議員 升  きよみ

(一)最初に「地域主権改革」の名による保育所・特養等福祉関係の最低基準や運営基準に対する市長のご見解を伺います。
憲法では「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めております。この規定にもとづいて、これまで国は福祉や教育、安全基準等国民の生命、くらしに関わる重要な施策について、国民に保障すべき最低基準を定め、地方自治体に遵守を義務付けると共に、国庫負担金や補助金などで、地方に財源保障をしてきました。ところが今、政府が進めている「地域主権改革」は、国の責任を放棄し、守るべき最低基準も、財源保障も取り払い、福祉や教育など国民の生活に関わる基準や内容をすべて地方まかせにするというものです。そして、福祉等に関わる重要施策の最低基準について、地方自治体毎に条例で定めるようしてきております。これが進めば、おのずと地方公共団体間で行政サービスに差異が生じてくることになり、それにより、結果的に、市民への影響が出てくることになります。
そして条例で基準を定めるに当たって、国は新たに3つの基準を示してきております。 その1に、法令で義務付ける「従うべき基準」、その2に、標準、その3に、参酌すべき基準としております。従うべき基準以外の「標準」や「参酌すべき基準」は法的拘束力がなく、自治体裁量となっております。そして、今日、政府は第一次(一括法)から第三次と次々成立したものから条例化を求めてきております。それは保育所設置の最低基準からはじまって消防長の資格、地域包括支援センターの基準の条例委任など数々あります。  そこで先ず本市における、①保育所の整備・運営に関する最低基準については、昨日の御答弁で、面積基準や保育士の配置基準は国を上回る配置基準とすることが表明されましたが、調理提供、調理業務の外部委託等についても内容引き下げとなるようなものであってはなりません。 ②更に、特別養護老人ホームの基準についても、居住の定員、設備の基準、介護の方法が参酌すべき基準とされています。これまで、まちなか特養にはユニット個室が限定されていましたが、今日の多様なニーズに応えられるのか。 ③この他にも障害者及び児童施設、公営住宅の設備運営基準もありますが、少なくとも、これまで営々と市民と共に培ってきた福祉や市民の安全等の後退を絶対許さぬ立場から各々条例化に当たるべきと考えますが、市長の基本的な見解を伺います。

(二)次に「介護保険法」改正に伴って伺います。
先般一斉に年金通知が届きました。引き上げとなった介護保険料と、手にする年金額の低さを見ながら、4月からの介護保険のみなおしによる様々のご意見が私達のところに寄せられております。
一つに、要介護、要支援の方々への訪問介護、生活援助の時間削減になった事です。  利用者の方から 「これまでは、ヘルパーさんに買い物と身の回りの簡単なお掃除と料理の下ごしらえをしてもらっていましたが、今は買い物だけになりました。」 「ヘルパーさんに声をかけることも出来ません。」  ヘルパーさんからも 「利用者さんに身体の状況や気持ちの変化を確認することも出来ません」と訴えられる等、苦情が多く寄せられました。認知症の1人暮らしの方は、毎日のヘルパーさんの訪問で成り立っています。にもかかわらず、事業者は4月以降これまでの60分を45分に、90分を70分に短縮すると言ってきたので、びっくりしました。と訴えられました。  こんなことになったのは、生活援助の基準時間が3月末までは、60分未満と60分以上に分けられていたものが、4月からは45分未満と45分以上とに分けられ、短縮されたことによるものです。このような事態をもたらしたのは、紛れもなく国が介護保険の給付抑制をしようとしたことにあります。充分なサービスが受けられずのままの方もでました。「もう少し利用時間を確保したい」と申し出て、結局保険外の自己負担となった方もいらっしゃいます。今回の時間制限により、利用者、ヘルパー、事業者と介護現場からの悲鳴があがり、厚生労働省は、見直し以前に提供されていた60分程度のサービスや90分程度のサービスは、45分以上の生活援助として位置付け、継続的に提供することは可能としましたが、介護報酬改定はそのままですから、しわよせは事業者か、ヘルパーさんか、利用者さんのいずれかに行きます。  訪問介護の時間区分の問題の解決は、基本的には国にあるのですが、現実的、具体的な対応として、市当局は、これまで通りの時間提供できる、時間短縮できる周知徹底通知を出されたのか、又、大阪市、川崎市の様に出されるべきと考えます。どのようになさったのか伺います。
二つに、特別養護老人ホーム等整備についてです。  本市はこれまで、民間による特養整備を進めてきましたが、依然と1600人の待機者(現在18ヶ所1752人)状況の中で、去る5月に特養広域型100床、介護老人保健施設広域型120床の公募することを明らかにされ(現在11ヶ所1309人)、7月31日迄の応募期間を発表されました。今回の公募に当たっては、明年度中までに開設することを条件に、建設費の公費補助はなく自己財源で行うことを条件にしております。公的資金を得ずとも福祉分野に参入しようとする民間事業者の方へ門戸を開けるのですから資金力のある事業者、篤志家の方と思われます。いささかなりとも入居者へのサービスの低下などあってはならないのは当然です。老婆心ながら補助金外しによる質の低下を招かないかと危惧するものですが、市長のご見解をお聞きします。又、こうした補助金外しを今後も続けていかれるとしたら、問題は重大です。私は特養等の施設整備については、公的責任を果たす上からも少なくとも1ヶ所は市が責任を持って建設することが、全体の質の低下を防止し、これからの高齢化社会のモデル的牽引施設となると考えます。市長!そんなご意思はございませんか。  ところで、本市の安心プランによる特養の施設目標量で見ても、高齢人口のうちの特養利用の割合や利用者数が少なく見込まれ老人保健施設も利用人数を減らして見込んでおられます。目標量の数字からみて施設整備については極力抑制の方向に見受けられます。在宅介護が叫ばれても、現実には居宅介護が厳しく施設入所希望となる実態、介護殺人まで生じる程のこの現実の状況に充分にこたえた整備を積極的に進めることではありませんか。
三つに、低所得層対策です。  生活保護受給者の方がまちなかの特養施設に入居したいと願っても入居出来ません。生活保護受給に至らないまでも、わずかな老齢年金で細々と暮らしている高齢者の方々から「いったい低所得の私たちは何処に行ったらよろしいのか。あちこちで有料老人ホーム、グループホーム等ができています。又、介護サービス付き高齢者住宅等作られていますが、居住費や食費も高く、入居出来ないです。」と訴えられます。 こうした低所得層の方々への対策をどの様にお考えかお伺いします。
四つに、住宅改修です。 介護のための居宅サービスに住宅改修があり、23年度も572件の方が利用されていますが、目標量は実績よりも100件減らすなどしております。その理由を明らかにして下さい。

(三)質問の第3点は、住宅支援制度の充実と住宅リフォーム制度についてです。
本市の住宅支援制度は、まちなかでの新築購入、分譲マンション購入及び、中古分譲マンションの購入・改修、空屋購入、共同建替と、まちなかでの空地活用促進等への補助金制度等をメインに、全市域では、地元産木材活用の木の家づくり奨励事業をはじめ、太陽光、既存建物の耐震化改修工事補助制度や地区計画や「まちづくり協定」を進めた地域での「いい街金沢」住まいづくりの補助制度等があります。これまで実施してきた本市住宅支援策が、まちなか空洞化防止に力を注いできたことから始まったのですから、当然中心部を重点に、比較的手厚い補助制度があります。しかし、そのまちなか区域の中にあっても、幹線道路沿いは近代的都市景観創出区域となっており、ビルの裏の一般住宅の改修、建替えは対象となっておりません。本当に居住者を増やす、金沢に住んでいただける方を増やそうと考えるには、区域拡大をはじめ、改善策が必要です。加えて本市が進めている要介護高齢者等の生活自立のための、浴室、トイレ等の整備のための住まいづくり助成などがありますが、この制度も又、色々制約があります。市長!本市におけるこれ迄の諸制度の検証と併せ、少子高齢化時代に向けて、制度の充実や今後の住宅支援策をどのようにお考えですか。  私たちはこの間、住宅リフォーム制度を提案してきました。しかし、市長は、現存の制度に幅広いリフォーム制度があるから、これらの成果を検証しながら研究したい旨の御答弁にとどまっております。制度を求める職人大学に通う若い大工さんや、一人親方で頑張っている左官屋さん等、市長への期待を込めていつから実施かと待ち望んでおられましたが、この4月より、県内での津幡町実施のニュースに「金沢市は本当に俺らの生活を守ってくれるのか」と率直な声をよせておられました。一方、津幡町の反響の大きさにびっくりされていました。制度が後押しとなってリフォームを決めたご家庭が多く、町内の業者を利用して増改等を進める申請が相次いでいるとのことです。地域の仕事出し、経済活動を少しでも前進させる立場に立って、足を踏み出すことではありませんか。市長!答弁を求めます。

(四)次に、小中一貫教育に関連して、教育行政に当たって野口教育長に伺います。
「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人価値を尊び、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身共に健康な国民の育成を期して行われなければならない。」これは、教育基本法第一条の教育の目的です。これまで永らく学校現場で子ども達と向き合って、実践をされていた教育長には釈迦に説法でしょうが、この度の新たなる意欲に燃えて本市の教育長の任に就かれました。あらためて教育基本法に基づく教育をしっかり実行されることを願ってお尋ねします。  本市はご承知の様にこれまで、学校教育金沢モデルとして、小中一貫英語教育、学校指導基準、金沢スタンダード、学校の2学期制の実践を行ってきました。  先ず、①教育長はこれらをどの様に評価されておられますか。率直な所感をお聞きします。そして昨年引き続いて、第二次学校教育金沢モデル戦略会議の提言が出され、それによる小中連携の視点から、平成22年度より小中一貫教育モデル事業を立ち上げ、今後9年間の小中一貫教育のあり方について3つのモデル校区を設定され、検討委員会に委ねられました。報道によると第一回の検討会で、既に導入する事を決めておられるようですが、②本市教育委員会は、この間のモデル事業の検証をどのようにされておられるのか伺うものです。具体的には3つのモデル校区を指定し、施設一体型には、芝原中学と湯涌小、校区一体型には、緑中学とみどり小、安原小、校区分離型には、泉中学と弥生小、野町小、中村小をもって実践研究するとしておりますがこのモデル事業が義務教育9年間を通して、児童生徒を育成する立場から教職員の意識改革や児童生徒の交流ふれあいが進む等の効果が期待されるとしております。 この対象となる③各々の学校の特性がどのように反映され、教育実践の効果をどの様に期待されているのか伺います。またいわゆる通学区域のみなおしや学校統廃合との関係でどのようにみるのですか。  学校間の統合、分離、通学区域の変更などを抱えた学校がこうした小中一貫教育のモデル事業となっているのではと率直な思いを致しますが、モデル校として選定した理由をお聞かせ下さい。  ④最後に、この対象校となっている泉中学校と弥生小学校は、昭和34年35年建築の体育館、校舎がそのままとなっている学校です。耐震化もされていない危険な学校施設をそのままにしておくことは許されません。併せてお伺いします。

(五)最後に寺町台伝統的建造物群保存地区に関して伺います。
本年4月より寺町台伝建保存地区に指定された区域は22ヘクタール、保存計画では、伝統的建造物等に196件が特定され、今後地区内での建物の新築や改築、修理等には許可を得ることとなります。私権の制限はあるものの、その経費の一部が助成されることになります。寺町台が前田藩主の浄土真宗の一向宗を恐れ、戦略的街づくりから、日蓮宗や曹洞宗、真言宗など社寺があり、貴重な歴史的建造物と共に文化財的価値あるものがまだ沢山存在しております。しかし、これまで、檀家の少ない寺院では寺院そのものを守るのも大変で駐車場や土地の切り売り等せざるを得なかった環境にもなっておりました。今日ようやく、これら建造物と共に寺院群全体を市民の手で保全していく方向になっていくことに、ほっとする想いです。しかし、地区内一般家庭の方々や周辺地域住民の方々の思いには複雑なものがあります。道路一本はさんで狭い道路と木造住宅が並ぶ状態で防災・防火対策や空き屋対策がどうなるのか。区域内には高齢世帯、独居世帯、空き屋が増えてきております。こうした実態をどの様にとらえていらっしゃいますか。空き屋を再生していくことも大切です。地域に人が住んで、街に誇りを持てることが大事です。 私はこの春、本市と同様、一向宗、浄土真宗の寺内町として成立した奈良県橿原市の今井町の伝建保存地区を視察してきましたが、この街並みを守る運動は、昭和30年頃から始まっているとことです。そして、その後行政と住民が一体となってまちづくりが進められ、今日に至っているとのことです。 当初は厳しい規制がかかることで、なかなか地域住民の方々の理解が得られなかったそうですが、最近では、住民たちは様々な制約の中でも色々工夫して、個性的なデザインを生み出し、美意識の向上も出てきて、補修が進み、この街に住みたいという若い人達が増えているとおっしゃっていました。地区の方が街を案内して下さいましたが、要はそこに住んでいる人達がどれ程に街を愛せるか、行政と共に歩む地区づくりとなるかが肝要と思います。住民への啓発、街づくりについての具体策をお聞きし、質問を終わります。

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