議案第13号マイナンバー法案に反対討論
日本共産党金沢市議会議員 升 きよみ
只今上程されました、議会議案第13号マイナンバー法案の成立を求める意見書案に、日本共産党市議員団は反対であることを表明し、討論を行います。
野田政権は「税と社会保障の一体改革」関連法案の一つに共通番号(マイナンバー)法案を提出してきました。この法案によると、国が国民一人ひとりに個人番号マイナンバーをつけて、本人確認のためのカードに番号、氏名、住所、生年月日、顔写真を記載して、利用できるようにすると言うものです。
その利用は、年金、労働、福祉、医療、税務、災害とされています。現在、年金手帳や医療・介護保険証など、制度毎に番号がついていますが、共通番号制では国や自治体など別々の機関が管理している番号や社会保障の利用情報が「情報提供ネットワークシステム」によって、共通番号となるもので、国は、国民一人ひとりの情報を共通番号によって名寄せすることが可能となり、これによって、手続きの簡素化や行政事務の効率化や納税の公平性・透明化が図られるとしていますが、狙いは全く別の処にあります。社会保障の給付削減抑制を今より「効率的」に実行する道具として位置づけていることです。それは長年この制度導入を要求し続けてきたのは、日本経団連であり、財界です。「社会保障関連の歳出について、徹底的な合理化、効率化を進めるべき、その具体的方法として強調されておりました。そして、この法案担当の古川国家戦略大臣がいみじくもおっしゃる様に、「社会保障を本当に必要な人には、給付を行う一方で、そうでない人には遠慮してもらう。そのための重要なインフラ」と選別の手段に使うということを公言されていたように、番号制度を給付削減のテコにする狙いは明らかです。そして、行政内部にとどまらず、民間でも活用できる様にすることも考えられています。
国が国民の負担と給付の状況を、効率的に掌握することで医療や介護、「この人は保険料負担に比べて給付が手厚すぎる」等とする様な事態が生じかねません。
提出意見書には、不正利用や情報漏洩などの防止対策を盛り込んでありますが、共通番号制が普及しているアメリカにおいてクレジットカード被害の続出やプライバシー侵害等、多くの問題を抱え、庶民にとっては、百害あって一利なしと迄言われており、この悪法ができること自体が問題です。
また、この番号制について、日本弁護士会は「名寄せされる個人情報の範囲が広範になればなる程、プライバシーに重大な脅威をもたらす」と批判する意見書も上がっている程です。
この、マイナンバーによる国民背番号制は、社会保障を解体へと導くもので、国民にとっては、極めて危険なものと言わねばなりません。
以上を述べまして、私の討論を終わります。