議案第9号領土問題に反対討論
日本共産党金沢市議会議員 升 きよみ
私は日本共産党市議員団を代表して、議会議案第9号、領土問題に関し、適切な対応を求める意見書(案)の反対討論を行います。
領土問題は、国家の主権や国益に関わる重大な問題故、明快な立場が求められます。提案された意見書案に対して、我が党は次の見解を持つものです。
意見書にある領土問題で、先ず、北方領土については、これまでも、繰り返し述べてきておりますが、歯舞、色丹は勿論、国後、択捉以北を含む全千島が日本の歴史的領土であり、返還は当然のことです。政府は、米・英・ソ連、三国のヤルタ協定は勿論、サンフランシスコ条約に拘束されない領土問題の原則を貫くことで、あくまでも千島放棄を宣言させられたサンフランシスコ条約を不動の前提にせず、歴史的事実と国際道理に立った交渉を行うべきと考えます。そのためにも、国民的取り組みを強めながら政府及び国会議員をはじめ民間も含めたあらゆるレベルで交渉に導くようにしなければなりません。
ところで、意見書案にある「重要な無人島」というのは、尖閣諸島を指していると思いますが、そもそも、尖閣諸島は日本が実効している領土であることは明らかです。日本の領有には、歴史的にも国際法上も明確な根拠があり、中国側が、日清戦争に乗じて日本が不当に奪ったとする論拠は成り立たないことも明白です。海洋国家としての日本の国益を守るために日本政府が歴史上、国際法上の正当性を国際社会及び、中国政府に対して、理を尽くして堂々と主張し、正しく解決することです。それは、昨年の12月の日中首脳会議でも、東シナ海を平和・協力・友好の海とするための協力推進が確認されておりましたが、平和的解決の道が開かれているのですから、その道に沿って進めるべきです。
日本側から尖閣諸島問題を政治問題として先鋭化させることは、国家的話し合いによる平和的解決を逆に遠ざけるものとなります。
又、竹島についてですが、17世紀以降、日本人が竹島、当時松島と呼んでいたそうですが、そこに渡ってサザエやアワビ等を採っていたこと、それによる経済活動が行われていたこと等、この島について正確な知識を持っていたことが文献的にも確認できる歴史的事実があります。
1905年、竹島の領土編入は、この島の歴史的な権限を持つ日本が国際法に基づいて自国領土に編入したものです。この1905年が日本が朝鮮半島を植民地化していたとの理由で韓国側が言い分をあれこれ主張していますが、日本政府は、堂々と主張すべきは主張していくことです。大事なことは、日韓両国がこの島をめぐる歴史的事実とその認識を両国の国民が共有できるように、納得のできる方向で問題の解決法を図ることをめざすべきです。同時に、そうした根本的な問題解決以前にも、今日、漁業問題など両国民の利害に直接かかわる問題がありますが、それは共存共栄の精神で漁労と資源確保を行うことは可能であり、自国の利益のみを主張するのでなく、両国の共通の利益を見いだす方向で協力すべきで、万が一にも軍事的衝突などあってはなりません。
よって、本意見書にある国による土地収容に係る措置等を定めた新法制定や、あえて国際司法裁判所へ提訴する等という行為を行うことは、今成すべき解決の道を一層困難にするものと考えます。あくまでも国家間の話し合いによる平和的解決を探求することであって、政府に対してはその立場を持って、毅然たる態度で領土問題の交渉に臨むことを求めるべきと考えます。
以上申し上げ、討論を終わります。