尖閣諸島、竹島をめぐる領土・領有問題に関する意見書の提案理由

議会議案第1号意見書 提案理由

日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭

 私は、日本共産党金沢市議員団を代表して、議会議案第1号尖閣諸島、竹島をめぐる領土・領有問題に関する意見書の提案理由の説明を行います。
尖閣諸島をめぐって日本と中国との間で対立と緊張が高まり、深刻な事態が続いています。こうした中で、先週9月20日わが党は、政府に対して提案と申し入れを行いました。その主な内容は、尖閣諸島の問題を解決するためには、政府がとってきた「領土問題は存在しない」という立場をあらため、領土に係わる紛争問題が存在することを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決を図るという立場に立つべきだというものです。
翌日21日には、わが党の志位委員長が駐日中国大使と会談を行いました。この中で、志位委員長は、尖閣諸島に対する日本の領有権の正当性を主張するとともに、両国間に領土に関する紛争問題が存在するという立場に立って、冷静で理性的な外交交渉を通じて問題の解決を図ることが必要であることを述べました。
そもそも、尖閣諸島について、日本の領有は歴史的にも国際法上も正当であります。中国側は、この島は、台湾に付属する中国固有の領土であり、日清戦争に乗じて日本が不当に奪ったものだとしています。しかし、この主張は、あたらず、しかも、中国は、1895から1970年までの75年間、一度も異議も抗議も行ってきませんでした。従って、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府に対して、理をつくして主張することが求められてきました。
ところが、歴代政府は、「領土問題は存在しない」と繰り返すだけで、1972年の日中国交正常化交渉や、1978年の日中平和友好条約締結の際にも、この問題を「棚上げ」してきました。このことによって、領土に関する紛争問題が存在することを認めておきながら、その後、「領土問題は存在しない」として、尖閣諸島の領有の正当性について理を尽くして主張したことはありませんでした。反論を行えば、「領土問題の存在を認める」ことになるからという自己矛盾に陥ってきました。結局、「領土問題は存在しない」という立場は一見すると「強い」ように見えても、そのことによって、日本の立場の主張もできず、中国側の主張への反論もできないという点で日本の立場を弱いものにしています。
尖閣諸島の問題を解決するためには領土問題に関わる紛争問題が存在することを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決を図るべきです。
竹島については、日本政府が1905年1月に日本領として島根県に編入しており、これまで領有権を主張してきたことには歴史的に根拠があります。同時に、この編入は日本が韓国を武力で植民地化していく過程で行われており、編入当時、韓国の外交権は奪われていたことを考慮して、韓国の主張をしっかり検討する姿勢が求められます。韓国の李明博大統領の竹島上陸は、日韓両国の緊張を高める行動であり、大変遺憾です。天皇の訪韓条件として日本植民地統治時代の独立運動家への謝罪を求めた大統領発言は、「不適切」と言わざるをえません。今の天皇は憲法上、政治的権能をもっていません。日本政府に対する植民地支配の精算要求ではなく、その謝罪を天皇に求めること自体、筋違いです。
韓国側にとって、竹島問題は日本による侵略の象徴であり、話し合いすら拒否する要因となっています。日本政府が韓国併合への反省に立ち、歴史的事実をつきあわせ、問題の解決を図らなければなりません。
領土問題の解決は、政府間の交渉のみならず、相手国の国民世論をも納得させるような対応が求められます。
緊張を激化させる行動や対応ではさらなる緊張を引き起こすだけで解決にはつながりません。相互の主権を尊重し、平和友好の精神を貫きながら冷静な外交交渉を計り、解決を図ることを強く求めるものです。 この意見書は、こうした立場と内容を国に求めるものであり、議員各位の賛同を求め、提案理由の説明を終わります。

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