2013年3月議会 討論
日本共産党金沢市議会議員 升 きよみ
私は、日本共産党市議員団を代表して、只今上程されました議会議案第5号、TPP交渉参加に関する意見書(案)に対する討論を行います。 去る2月22日に行われた日米首脳会談を踏まえ、TPPに関する日米共同声明が発表され、そして安倍首相は(環太平洋協定)TPP交渉参加表明を致しました。 選挙公約違反はもとより、農業や医療関係者をはじめ、国民の怒りの中での参加表明であって、首相は「守るべきは守る」と盛んに言っており、これから決めていく分野が残されている等と交渉の余地があるかの様に言いつくろっていますが、それがどれ程に論拠のないものか、国会の論戦等を通じても明快になってきました。 今回提出された意見書(案)は、参加に当たっての慎重を期することを要望しておりますが、今日段階においては、参加に当たっての慎重な対応等ではなく、直ちに参加表明の撤回をすることであり、その事がまさに国益を守る最大の要となっていることを本意見書(案)は見落としております。
ご承知の様に、先に参加したメキシコ、カナダは参加表明後、現行の交渉参加9ヶ国が、既に合意した条文は、すべてを受け入れ、再協議は行わない、拒否権や交渉打ち切りの権限がない等、不利な参加条件の念書を提出して、ようやく参加が認められたので、このことからして、ルールづくりに参加するどころかアメリカなどの9ヶ国のルールの丸呑みを迫られる交渉となることは紛れもないものといえます。 関税分野で聖域としてきた、米、小麦、砂糖、乳製品、牛豚肉の5品目を含む水産品など940品目も関税撤廃が求められ、高い水準の協定達成をしていくことが予測されます。このままでは政府の試算でも、農業生産額は3兆円も減り、食糧自給率も、40%から27%に低下する等、甚大な被害を受けることになります。そして、それによる地域経済への影響がどれ程のものか、今朝の新聞報道では、北海道だけでも4,800億円、宮崎県1,250億円と各県の影響額を発表しているように、計り知れないものとなります。
聖域なき関税撤廃の前提の交渉で、非課税分野でもサービス知的財産などの21の分野で貿易制度が撤廃されることになります。既に日米共同声明でアメリカ側が自動車保険を協議対象にしていることからも、国民皆保険制度や食の安心安全が脅かされることも必至といえます。 以上のことからしても、首相の参加表明は国民不在の決断であり、守るべきものが守れないのであって、交渉参加表明の撤回こそ求めるべきです。とりわけ今日段階では交渉不参加は可能であります。 よって、本意見書は、国民の思いを届けるものではないことを申し上げ、(反対)討論を終わります。