森尾よしあき 2013年6月議会 一般質問   2013.6.20

6月議会質問

森尾 嘉昭

私は、日本共産党市議員団の一員として以下質問致します。

最初の質問は、特別養護老人ホームの待機者が1300人を超え、今後の施設整備方針と保健・医療・介護等の基本構想についてです。
特別養護老人ホーム入居待機者家族会によると、会員150名のうち、入居を待ち続けながら、亡くなる方が一年間に19名にのぼったとのことです。介護に疲れ、介護殺人という痛ましい事件が後を絶ちません。年間50件近くのぼる事件の4割は、「制度などが不十分でやむをえなかった行為」だとして、執行猶予判決となっています。介護をめぐる深刻な実態と悲痛の訴えが続いています。
本市は、一昨年待機者の実態調査を行いました。その調査からも深刻な実態が浮き彫りとなりました。第一に、待機者が増え続け、施設整備を行っても、追いつかず、現在も1300人を超える待機者となっています。第二に、待機者の状況は、男性が3割、女性が7割。年齢は、85歳以上が6割と高齢化し、介護度4と5の方が4割を占めています。第三に、待機者の内、在宅が約4割で、その他の方は、介護施設や病院などに入っていますが、介護者に聞いたところ、「在宅復帰見込みなし」と答えた方は、9割以上となっています。第四に、待機している期間は、1年から2年が23%、2年以上と答えた方が35%を超えています。待機している期間が長期化している実態となっています。第五に、入居の緊急性について、お世話しているケアマネージャーに聞いたところ、「できるだけ早く」31%、それを含めて、「1年以内」との答えは、53%となっています。
市長!本市が行った待機者の調査から2年が経過しました。その実態は改善されたのでしょうか。待機者の実情についてどのように受け止め、その打開を進めて行かれるのか見解を伺うものです。
ところで、厚生労働省は、去る6日新たな方針を打ち出しました。その内容は、特別養護老人ホームから「軽度者」を締めだすというものです。現在特別養護老人ホーム入居者の11.8%は、要介護1と2の方で、今後は、それより「重度」である介護度3、4、5の方を対象とするというのです。そして、軽度の方に対しては、サービス付き高齢者住宅や、在宅の訪問サービスを強化して対応するというものです。結局、施設整備を強化していくのではなく、「軽度者」を施設入居の対象から閉め出すというのは、新たな介護難民を生み出す事に他なりません。本市の待機者の内、介護度1と2の方は、約3割です。人数にすれば約400人となります。
市長!あなたは、市長選挙の公約の一つとして待機者をなくす事を掲げました。その点に照らしても、待機者の解消に向けて施設整備を進めていく責任があるのではありませんか。本市には、市が直接建てた特別養護老人ホームは一つもありません。その点からも市としての責任が問われます。今後の施設整備についてどのように進めて行かれるのか明らかにしていただきたいと思います。
また、3年ごとに検討される介護保険事業計画は、2年後の平成27年度から新たにはじまります。その計画に向けて市民参加で検討が進められることになります。一方、市長は、今議会の提案理由の説明で、「医療・介護関係者等からなる協議会を立ち上げ」「保健・医療・介護等の一体的な提供に向けた基本計画構想を本年度中に策定」との方針を打ち出しました。介護保険事業計画とは異なる新たな方針を打ち出すものなのか。市民参加や関係者の意見をどのように反映されるのかその見解を伺うものです。

質問の第二に、国民健康保険料の大幅引き上げと減免制度の拡充についてです。
保険料の4月5月分の暫定通知と納付書を発送したところ、一週間で市民からの問い合わせは、3294人に上りました。この4月から国の法令改正によって、国民健康保険料の計算方式が変わり、住民税を計算する際に行われる扶養控除、配偶者控除、障害者控除などが行われなくなり、多人数世帯、障がいのある方の世帯、母子、父子世帯などで保険料が引き上げとなったわけです。従来の保険料に比べ、約2倍近くにもなる世帯が生まれた事から、本市は、激変緩和措置を導入し、増額分を3分の1や4分の1に減らしました。しかし、加入者の4割に当たる2万4千世帯で年平均2万円の保険料の引き上げとなり、経過措置ですから、実際は3年連続、4年連続の保険料の引き上げとなるものです。
結局、国が進めている国民健康保険を都道府県単位にするという広域化は、国の負担を減らし、住民負担を増やすという内容であることを示しています。
市長!本市が行った激変緩和措置は、保険料の毎年の引き上げを市民に強いることとなっています。先の三月議会で、私は、名古屋市や岡崎市の例を示して、独自控除額の導入が可能であり、より、住民生活の実態に即した保険料となるよう改善を求めました。市民のいのちと健康に係わることだけに、本市として責任ある対策をとるべきと考えますが、その見解を伺うものです。また、保険料の減免制度の拡充を行い、払える保険料となるよう本市としての対応を求めました。
この点でも、名古屋市は、法定による減免の他に、独自に、所得の少ない方や、障がいのある方の世帯などに対して減免措置を行っています。
市長!本市の減免制度は、災害や、廃業、休業等による減免制度となっています。この制度を拡充する考えはないか伺うものです。

質問の第三に、大規模な学校給食共同調理場建設方針を見直し、自校方式への切り替えについてです。
私は、先の3月議会で、この問題を取り上げ、本市の学校給食が、全国的な状況からも際だった内容となってきたことを指摘しました。
その第一は、各学校で給食を作る単独校方式から共同調理場方式に急速に切り替えてきたことです。現状では、単独校方式は、4校だけとなっています。
第二に、中学校給食の実施に向け5000食以上の大規模共同調理場を3つ建設し、しかも、調理業務を民間に委託化したことです。
学校給食法は、平成20年に大幅に改定され、食育の視点を踏まえ新たな目標が加わりました。その結果、地産地消の点から地域の食材などを活かした学校給食や、栄養士、調理員などと児童生徒とのふれあい、食物アレルギーを持った児童生徒へのきめ細かな対応、学校ごと独自の献立による食への取り組みなどが実践されてきています。また、めん類や煮物などをあたたかい給食として届ける事や、災害などの時の学校給食の果たす役割の見直しなどから単独校方式の給食が改めて見直しされてきています。従って全国では、共同調理場方式から単独校方式へ切り替えるところが生まれています。
ところが、本市は、旧態依然の考え方から共同調理場一辺倒の上に、調理業務の民間委託をすすめ経済的効率の方向に邁進しています。
教育長!あなたの議会答弁を聞く限りでは、学校給食は、すべて共同調理場方式なんだとの考えで学校給食を教育として位置づけ食育教育などをどのように進めていくべきかという教育としての考えが欠落していませんか。その見解を伺うものです。
本市は、小規模共同調理場や中規模共同調理場が建設され30年以上が経過した事から、これを統廃合し、新たに7000食規模の大型共同調理場を建設するとしています。そして、4つの単独校方式をすべて廃止する方針を打ち出しました。
この方針は、民間のコンサルタントに調査を依頼し、検討されたもので、経済的効率化の視点だけが突出して打ち出されたものです。
教育長!新たに食育教育の視点が加わった学校給食の目的をどのように活かしていくか。改めて本市の学校給食のあり方を再検討する必要がありませんか。そして、大規模共同調理場の建設を見直すと共に、調理業務の民間委託を止め、自校方式への切り替えを行うよう求め、改めてその見解を伺うものです。

質問の第四にBSE対策についてです。
国産牛の全頭検査は、今から12年前の平成13年9月に、国内で初めてBSE(牛海綿状脳症)に感染した牛が確認された翌月から行われました。その4年後、アメリカ産の牛肉の輸入再開に伴い、検査対象が20か月齢以上とした際も、消費者、生産者からの強い要望から各自治体は、独自に全頭検査を実施し、本市も行ってきました。ところが、政府は、今年2月に、アメリカ産牛肉の輸入を20か月齢以下の若い牛に限っていたものを、30か月齢以下に広げ、規制の緩和を行いました。アメリカは、アメリカ産牛肉の輸入規制緩和を日本のTPP参加するための最優先課題として求めてきたわけです。そして、今度は、国産牛肉にもこの4月から同じように検査対象を「20か月齢以上」から「30か月齢以上」に引き上げ、規制の緩和を実施しました。さらに、厚生労働省は、今年4月19日付けで文書を出し、BSE検査対象を48か月齢以上に見直すから、本年7月1日から全地方自治体が一斉に全頭検査をやめるよう求めたわけです。
国は、「国内では、BSEは11年間発生していない。感染牛の98%が48か月齢以上で検出されると推定できる。だから、検査対象を48か月齢以上に引き上げても人への健康影響は無視できる」と説明しました。その上、地方自治体が全頭検査を行っていることに対し、「検査しない牛は危険であるという誤ったメッセージにつながるもので全国いっせいにやめるべきだ」と述べています。
市長!国の言う通り、従うのですか。全頭検査されているからこそ、住民は安心して牛肉を食べられるのです。
専門家の中でも、BSE対策は、危険部位の除去と全頭検査とが相まって、牛肉の安全を確保していると述べています。また、国内でも、23か月齢の若い牛からも非定型BSE牛が確認されていることから、発生のメカニズム研究と感染対策の継続を強く求めています。さらに、日本消費者連盟を始め、各方面から全頭検査の継続を求める声が広がっています。
市長!安全対策を求める市民の願いは引き続き強く、関心も高く、全頭検査の継続を望んでいます。今後の対応について、その見解を伺うものです。また、48か月齢以上の検査対象となると本市では具体的にどのような影響となるのか。現在行っている放射線の検査体制について合わせ伺うものです。

次ぎに、市長の競輪場外車券売場設置に対して、同意文書に署名・捺印したことの責任について伺います。
先の3月議会が終了した翌日に同意文書の存在が明るみに出されました。
市長の説明では、1年8か月前に、小阪市議とともに、業者が市長室を訪ねてきた際に、駅西大徳地区にあるゼノンビルでの競輪場外車券売場設置について、同意するとの文書に署名・捺印されたとのことです。
わが党市議員団は、去る4月15日上京し、直接経済産業省の担当者にお聞きしました。その結果、この文書は、業者が設置認可申請の際に、正式に受理されていました。
市長!2010年11月の市長選挙の前にこの業者との間で設置に同意するとの念書を交わしていたとされています。そして、あなたは、市長に当選され、その8か月後に金沢市長山野之義として同意文書に署名・捺印したのです。
市長!この業者との念書があったから同意文書に署名・捺印したのですか。業者と特別の関係があったからですか。納得いく説明を求めたいと思います。
業者が認可申請を提出した後、さらに、事態は市議会を巻き込むことになります。業者が認可申請をした翌月の9月市議会では、設置推進を求める陳情書をめぐって、無記名投票という異例の対応がとられました。結果、反対21、賛成18によって、否決されました。市長は、この結果について、「議会の意思は市民の意思だと重く受け止めたい」と述べました。
その8か月後、経済産業省は、業者に対して設置の不許可を通知しました。ところが、これで終わったわけではありません。
その7か月後の昨年12月に競輪場外車券売場設置を推進する陳情が議会に提出されました。その直後に、業者から市長あてに内容証明郵便が届けられたとされています。そして、この陳情は、継続審議を経て、この3月議会で意見を付して採択され、一方住民からの設置反対の陳情が賛成多数で採択されました。
市長!あなたが同意文書に署名・捺印した事によって、このような経過を引き起こし、住民と議会を巻きこんだことになりませんか。しかも、同意文書の存在を1年8か月にわたって、明らかにして来なかったことは、重大です。
市長!あなたはこの同意文書を隠し通したかったのではありませんか。なぜなら、業者との関係が明らかになることがまずかったからではありませんか。いったいどんな関係だったのか、真実を明らかにしていただきたいと思います。
46万市民を代表し、行政のトップである市長がこっそりと設置認可に係わる同意文書に署名・捺印していたなど前代未聞の出来事であります。このままでは、市民からも職員からも信頼を得て、行政運営を進めることはできないのではありませんか。
市長!市民と議会に同意文書の存在を1年8か月間も隠し通し、その間の議会には、事実上虚偽の答弁をしてきたことになります。その責任が問われています。
市長!自らの処遇にけじめをつける考えはありませんか。明快な答弁を求めるものです。

最後に、追加議案に対する質疑を行います。
本市職員の給与平均3.8%減額し、この7月から来年の3月まで実施するとして総額8億6千万円を減額する追加補正予算と条例が提案されました。
これは、国が東日本大震災の復興財源を捻出する事を名目に、昨年度から2年間、国家公務員給与を7.8%削減し、地方公務員にもこの7月から国に準じた措置を求めたものです。しかも、国は、今年度地方自治体に配分する地方交付税を6000億円圧縮し、その実施を迫ったものです。これに対して、全国知事会長である山田啓二京都府知事は、次のように述べています。「交付税を使って政策を強要するのは、地方分権に反する」と反発し、その撤回を求めました。
地方公務員の給与は、地方自治体に裁量権があり、今回、国が地方交付税を削減し、国の方針に地方を従わせようとする事に批判が相次いだわけです。しかも、地方自治体からすれば、国に先駆けて職員の削減や給与削減に取り組んできたという思いがあり、国の言うとおり実行されていないのが現状です。
市長!今回の国の強引な方針について、どのような見解を持っておられるのか伺うものです。そして、安倍政権が進める経済政策は、国民の所得を増やす事をめざしているはずです。今回の公務員給与削減は、この方針とは正反対のことを進めています。市長の見解を伺うものです。本市では、21、22、23年と連続して、給与、期末手当を削減してきました。今回の削減と合わせて総額と職員一人あたりの影響額について伺いまして私の質疑を終わります。
 

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