2013年9月
金沢市議会9月議会 一般質問
日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
私は、日本共産党市議員団の一員として以下質問致します。
最初の質問は、若者などを使いつぶす「ブラック企業」「ブラックバイト」の実態と対策についてです。
残業手当を払わない。長時間労働を強いるなど企業の利益のために若者などを使い捨てにするという「ブラック企業」が大きな社会問題となっています。
こうした実態を告発した「ブラック企業大賞企画委員会」が2013年の大賞としたのが「ワタミフードサービス」です。内容を見ると、正社員だった26歳の女性が、厚生労働省が定める過労死ラインである月80時間の残業をはるかに上回る月141時間の残業を強いられ、わずか入社から2か月で精神疾患となり、自殺に追い込まれました。労災認定されても、創業者である渡辺美樹会長は、この家族との面談や謝罪も拒否しています。全社員に配布している冊子には、「365日24時間死ぬまで働け」と書かれていると報じられています。
さらに「ブラック企業」と批判されているのが、ユニクロです。理由の一つが、新卒社員の離職率の高さです。新卒社員の2人に1人が、3年以内に辞めています。しかも、店舗正社員における休業者のうち4割がうつ病など精神疾患との報告です。こうした事態がアルバイトにまで広がっています。
「ブラックバイト」とも言われるのは、学習塾や大手飲食店チェーン、洋服販売店などで、サービス残業の強要や、売れ残った商品を買い取らせるなど深刻な実態が明るみにされています。景気後退と低価格競争が激化した結果、正社員が激少し、アルバイトなど非正規社員が大幅に増えた事が背景にあります。
こうした中、厚生労働省は、今月の8日離職率の高い企業約1000社をはじめ、過重労働や法違反の疑いのある約4000社を対象に1ヶ月間集中的立ち入り調査を開始しました。また、9月1日には、全国一斉の電話相談が実施され、全国で1042件の相談が寄せられたことが発表されました。相談の半数が20歳から30歳代の若者に係わるもので、賃金の不払いや、残業が相談件数の半数となっています。
市長!違法な働かされ方で若者の心身を危険にさらす「ブラック企業」「ブラックバイト」の実態について、どのように受け止めておられるのか伺うものです。
本市にも、「ブラック企業」と指摘される企業の店舗は、10数社にのぼっています。今後、本市としてどのように対応されていかれるのか。とりわけ、未来ある若者たちだけに、本市としても、相談窓口を充実することが必要です。市長の見解を伺うものです。
質問の第2に、生活保護費の引き下げと不服審査請求についてです。
この8月から生活保護費の引き下げが実施されました。生活費にあたる生活扶助費が平均6.6%最大10%の削減が今後3年間で実施され、国の負担を約670億円減額するというものです。これは、生活保護制度が始まって以来、例を見ない基準引き下げとなるものです。最低賃金や、就学援助制度など各種制度への影響をもたらすなど多くの人たちの暮らしに直結するだけに重大です。
それだけに全国各地から怒りと悲鳴の声が相次いでいます。「ぎりぎりの生活なのに保護費が削られ、我慢も限界です」「月に1200円が引き下げられ、食費を削っている」という声や、都市部では4人世帯で月に7000円もの引き下げとなり、子どもの貧困を拡大させてしまうとの声が上がっています。勤労控除の一つ「特別控除」廃止も行われるなど徹底した削減が行われました。
これに対して、黙ってはいられないと全国で1万人規模の不服審査請求の取り組みが起こっています。
市長!今回の生活保護費引き下げについて、どのように受け止めておられるのか伺うものです。具体的に伺います。
第一に、就学援助制度や、介護保険料の減免など生活扶助基準を運用している各種制度があります。市長は、今回の生活保護基準の引き下げによる影響のないように対応すると述べていますが、来年度の対応について明らかにしていただきたいと思います。また、本市独自の低所得者対策である法外援護制度について充実する考えはないか伺うものです。
第二に、今回、年末一時扶助費や冬場の暖房費である冬季加算が引き下げされました。本市において独自に実施されてきた冬の見舞金が廃止され、夏の見舞金についても、生活保護世帯の在宅と病院分を削減してきました。これを復活し、支援する考えはないか伺うものです。
第三に、今回の生活保護費削減に対して、不服審査請求が一昨日全国で一斉に行われ、約7700世帯から提出されました。また、関係者が国に対して、適正な審査請求手続きの確保を求める要望書が提出されています。本市の対応と体制の充実について明らかにしていただきたいと思います。
この項の質問の最後に、ハローワークの常設相談窓口を12月から市役所本庁舎1階で開設するとし、市長は、「国と連携しながら生活保護受給者等の就労と自立の支援に努めていく」との表明がありました。自分に合った仕事を得ることによって、生活の自立ができることは望ましいと考えます。しかし、「生活保護を受ける前に仕事を探せ」とか、「なんでもいいから仕事を探して、保護から卒業しろ」とか、こうしたことがあってはなりません。すべての人が人間として尊重され、住居を確保して生活を安定させる事が何よりも優先しなければなりません。
今回の対応によって、「低賃金でもとりあえず就労」「保護よりも仕事だ」など働きたくても働けない実態を無視し、生活保護を受けさせない、追い出すという事にもつながりかねません。市長の見解を伺うものです。
質問の第3に、本市の介護施設整備方針についてです。
来年度までの3ヶ年計画に基づいて、地域密着型特別養護老人ホームは、29床規模の施設を5か所、認知症グループホームは、18床規模の施設を9か所整備する方針が具体化されて来ています。先日、開設事業者の応募状況が明らかにされました。特別養護老人ホーム1か所の応募には、2つの事業者。認知症グループホーム7か所の応募には、30もの事業者から応募があったとの報告です。
そこで、市長から本市がどのような選考方法を行っているのか。選考過程の透明性は確保されているのか。明らかにしていただきたいと思います。
ところで、これだけ業者間の激しい競争となっているだけに、本市の総合評価による事業者を決めることに問題はないか問われています。
第1に、総合評価による合計点数によって、事業計画と業者が決定されるのですが、実際は、その計画通り、建設できなくなったり、職員の確保ができなくなったりする事態が起こっています。これでは、事業計画が単なる選考するためのプランにすぎないとしたら、重大な問題です。
第2に、総合評価による合計点数を引き上げるために、職員の配置や働く環境等のソフト面より、施設などのハード面を引き上げる事につながり、結局利用者の負担が引き上がることになります。現在の月の負担は、15万円前後になっています。利用者の負担軽減への対策が求められています。
第3に、本市の体制についてです。審査は長寿福祉課が対応し、建設された後の点検、指導は介護保険課と福祉指導監査課が担当しています。施設の事業計画から開設、運営まで統一した体制であたることが必要です。
以上の点について、見解を求めるものです。
質問の第4に、市内で引き続き競輪場外車券売場の開設を進めるとの考えと本市のまちづくりについてです。
金沢市自転車スポーツ振興会が本市近岡町のスーパー銭湯の空き店舗を利用し、競輪場外車券売場「サテライト金沢」を開設するとして去る7月10日に住民説明会を行いました。前日、わが党市議員団は、振興会の小嶋会長から直接お話を伺い、現地を見て、市長に対して問題点を明らかにした申し入れを行いました。その後、私は、鞍月校下の町会をすべて訪問し、ご意見を伺いました。みなさんの多くは、「大徳地区でダメになったものをなんで近岡に持ってくるのか」とか、「町会をまきこまないでほしい」、「金沢にこうした施設が必要なのか。市としてもしっかり対応してほしい」などの意見が相次ぎました。こうした中、先日、金沢市自転車スポーツ振興会は、近岡町での設置を断念したとの事であります。一方、振興会の小嶋敬二会長は、引き続き、市内でサテライト金沢の開設をめざすとしています。
競輪場外車券売場の設置をめぐっては、2007年12月本市議会が全会一致で大徳地区の設置計画に反対する請願を採択して以来6年近くが経過し、この間、繰り返し、議論が交わされてきました。そして、先の3月議会では、大徳地区での設置反対の陳情が採択されました。同時に、設置を計画しているこの会の小嶋敬二会長から提出されたサテライト金沢開設の陳情について、条件を付して、採択しました。
そして、問題となったのは、市長!あなたが業者から依頼され、設置に同意する文書に署名・捺印し、それを1年8か月にわたって明らかにしてこなかったことです。先の3月議会終了と共に重大な問題となりました。
市長!くりかえしこうした施設の設置計画がもちあがり、住民をまきこんで来ています。あなたが、この件で、設置に同意する文書に署名・捺印をしていたことを本当に反省していると言うならば、競輪場外車券売場設置に関して、明快な態度表明が求められています。市長の見解を伺うものです。
第1に、金沢のまちづくりとギャンブル施設についてです。
市長は、本市は、「世界交流都市」をめざすとしています。ギャンブル施設を通じて人と人との交流を促進していくことをまさか考えておられるのではないと思います。金沢の都市としての魅力を内外に発信していくとしています。その魅力の中にギャンブルができますなんて言うことにはならないと思います。
市長!金沢のめざすまちづくりの方向と、ギャンブル施設とは相容れないと明確に述べるべきではありませんか。市長の見解を伺うものです。
第2に、本市は、景観を守るために景観保全条例などを設置してきました。地区計画を住民と共につくり、よりよい地域環境の形成に努力してきました。今回近岡町での競輪場外車券売場の設置を計画した場所の道路一本隔てた地域は区画整理事業が進められ、地区計画が定められました。その中には、こうした施設の設置について制限を明記しています。
市長!そこで、本市が都市計画法に基づいて文教地区を指定し、この中で、地区計画と同様によりよい環境を具体化することを提案するものです。すでに、東京都、神戸市などが行っています。市長の考えを伺うものです。
質問の最後に、学校におけるいじめ、体罰の訴えと対応についてです。
先日、市内の学校に通う子どもさんの家族から相談が寄せられました。この5月に学校で、「デブ」とか「キモイ」とか言われ、さらには「学校に来るな」という言葉まで発せられ、とうとう自分の部屋に閉じこもってしまい、学校にも通えなくなってしまったというのです。すくわれたのは友だちが呼びに来てくれたことです。ようやく学校にも行くようになったが、自習室でプリントの学習が続いているという事でした。学校も一生懸命対応していただいたが、プリント学習では遅れてしまうと言ったら、勉強は親も見てほしいと言われたことにはショックだったと述べておられました。なんとか、部活動の所属もかわり、通学するようになり、ほっとしています。という内容でした。
教育長!いじめの問題は、子どもたちや家族を巻き込んで深刻です。「いじめ自殺」という深刻な事態も起こっています。教育現場にも、多くの悩みと困難な課題が提起されています。教育委員会は、どのようにいじめ問題に向き合い、取り組んでおられるのか伺いたいと思います。
また、昨年度のいじめの状況調査の結果について、全国ならびに本市の実態について明らかにしていただきたいと思います。
いじめ問題にとりくんで、私自身の教員としての経験、親としての経験そして、相談を受けて今日的な実態に直面してみて次のように考えています。
第一に、いじめの訴えがあった場合、子ども同士の問題だとせず、しっかりと向き合い、子どもの命と安全を最優先に、対応することが大切だということです。
第二に、ささいな事に思っても、様子見せず、親も、学校も情報を共有し、対応に当たることです。
第三に、被害にあった子どもの安全を確保し、加害者に対しても、いじめをやめ、立ち直るまでしっかり対応することがなによりも大切だと思います。
第四に、いじめのない学校、地域社会をめざし、人間関係をはぐくみ、支えあうことです。そのためには、教職員の研修や子ども同士が自主的に学び、活動することも大切だと思います。
そして、教育長!教育委員会としてもしっかりしたサポート体制が必要です。生徒指導支援室が今年度からスタートしましたが、専任配置が一人です。いじめや、不登校、問題行動など総合的な支援体制としては大変です。今後の体制強化について明らかにしていただきたいと思います。
次に、体罰についてです。
文部科学省が公表した昨年度の体罰実態調査によると、全国で体罰の発生が3600校、体罰を行った教員数は5400人、体罰の被害を受けた児童生徒数は、約1万2000人に上ったとのことです。体罰が行われている深刻な実態となっています。
教育長!本市の実態と対応について明らかにしていただきたいと思います。
大阪の高校部活動で、教員の暴力により生徒が自殺するという痛ましい事件が起こりました。肉体的な苦痛や恐怖で子どもたちに言うことをきかせることは、成長途上の子どもの身体だけでなく心に複雑で深い傷を残します。体罰や暴力を教育の現場で行うことは絶対にあってはなりません。
スポーツ界での暴力も重大な問題です。
一流のアスリートの方々が、暴力は、競技力向上にも有害で、人間性を否定するものであり、スポーツとは相容れないと述べていることに多くの共感が広がっています。こうした内容について学校や部活動の指導者にも知らせてくことが大切だと考えるものです。
そこで、本市が独自に行っている「体罰等についての自己診断シート」についてです。この中には、部活動についての項目や体罰を知ったらすみやかに報告する等の記載がありません。体罰ゼロに向けての教育委員会の決意と取り組みについて伺いまして私の質問を終わります。