広田みよ 2013年9月議会 一般質問 2013.9.18

質問の機会を得ましたので、日本共産党市議団の一員として以下数点にわたり質問いたします。

 

①質問の最初は、子ども・子育て支援新制度についてです。

2012年8月、「社会保障と税の一体改革」の一環として、消費税増税とセットで子ども・子育て関連3法、いわゆる「新システム」が成立しました。「新システム」は、長年の財界の要求を受けて、子育てにかかるさまざまな制度を再編成し「包括的・一元的な制度」とすること、公的保育制度をなくし保護者が保育所と「直接契約」をすること、幼稚園と保育所を統合する「幼保一体化」などを内容としています。
 目的は、保育に対する公費の支出を抑えることと、保育・子育て分野を産業化することにあります。

このような内容に対して、保育関係者だけではなく、研究者や弁護士団体などからも批判の声が上がり、政府は、当初の内容を一部変えざるを得ませんでした。
 最大の問題点は、児童福祉法第24条に規定された市町村の保育実施義務を撤廃し、国と市町村の保育の責任を放棄することでした。反対の声により、保育所については「市町村の保育実施責任」を残すこととなりました。
 しかし、子どもの保育に格差を持ち込み、保育を市場に委ねるという制度の本質は変わっていません。
 安倍政権は、待機児童解消対策の決め手として、企業参入を促しています。しかし全国各地で、企業参入による劣悪な実態が報告されています。     

株式会社の参入を推進する横浜市では、鉄道の高架下や幹線道路沿いのビルの中で株式会社が運営する認可保育園があります。

鉄道の高架下の認可保育園は、橋脚の間をぬって園舎と園庭がつくられていますが、電車が頻繁にごう音を立てて園児の頭上を通る、庭が常に日陰という驚くべき環境です。

 幹線道路沿いの5階建てのビル型認可保育園には園庭がありません。市は徒歩5分以内に公園があるとして認可していますが、4車線の大型道路を渡って散歩に行く環境です。園舎はビルの中ですから、「火事が起きたら90人の園児をどうやって避難させるのか」と疑問が投げかけられています。

このように、子どもを育てる環境を壊そうとする国に対し、これまで市民の声を聴き入れ国を上回る基準で保育行政をすすめてきた本市の役割がいっそう重要となります。

市長!株式会社の参入は、「営利目的の株式会社と保育が両立するのか」という重大な問題があります。保育を市場に委ねることについて、市長の見解をお聴かせください。
 政府は、関連3法に基づき、2015年4月から「子ども・子育て支援新制度」と名称を変えて、その本格実施を目指しています。
 そして、新制度の実施主体である市町村には、国の方針を踏まえ、2014年10月から新制度の具体的作業に入ることを求めています。しかし、肝心の国の方針である新制度の詳細は、内閣府に設置された「子ども・子育て会議」で検討をすすめている際中。しかも13年度中のわずか1年で決めるということですから、本当に子どものためになる制度の準備が出来るのか疑問です。
 本市でも、国が地方自治体の設置を努力義務としている「子ども・子育て会議」について、今議会で「金沢市子ども・子育て審議会条例」という形で提案がされています。
 この会議で、施設や事業の認可基準などが決められるため、いかに市民や現場の声・要求を集めよりよい形にしていくかが求められます。そのために、委員の選考にあたっては、各現場、各層の意見を反映できる構成とするべきで、学校や幼稚園・保育関係者はもとより、保護者・子ども・子育てに関する事業に従事する労働者と事業主の代表、学識経験者、民間の保育所や学童保育の職員・指導員、保護者などを構成員に入れみなさんの意見を真正面に受けて取り組むべきと考えますが、委員はどのような構成を想定されているのか明らかにしてください

 

市長!なにより本市は、保育については保育士の配置基準など国の基準を上回っています。国の言うとおり後退させるべきではなく、市民の声に寄り添って子どもたちの安全安心のために、これまでの姿勢を貫きさらに保育、子育ての充実に力を傾けて新制度に望むべきですがお考えを明らかにしてください。

 

②2点目は公園整備についてです。

この間、県の中央公園や本市の玉川公園などの改修に際して、そのあり方が問われ、また住民との合意形成の手法やくび長の態度が問われています。それはすなわち、公園が観光やイベントの利用だけではなく市民の憩いの場として長年愛されてきているからこそ。ですから市民への情報提供や意見を聴き入れることが重要であることは言うまでもありません。

本市では現在、来年100周年を迎える卯辰山公園の魅力を図るためとして、有識者等からなる利活用検討委員会を立ち上げ議論をしているところです。

卯辰山公園は、市街地から近い自然、憩いの場として、市民の生活に大きな役割を果たしてきたとともに、将来につなげていくべき存在です。行政主導の乱開発などは許されません。しかし、過去には動物園水族館を付属した「金沢ヘルスセンター」が存在していたり、その後もカラオケボックスやラブホテルも設置され、さまざまな議論をよんだ経緯がありました。現状と将来を見据えた対応が必要です。

私も、先日全体を見て歩き、よく利用される方々にお話を聴いてきました。春には公園内各地で桜、夏には菖蒲園で菖蒲やあじさい。グランドゴルフに、見晴らし台の夜景でデート。広大な敷地の中で、それぞれの施設や広場で市民の多様な利用が広がっています。また、伝統を継承・発展させる場として卯辰山工芸工房があり、安政の泣き一揆と呼ばれる歴史の地として有名です。他にも59にも及ぶ石碑があり、金沢の歴史、文化、伝統を学び感じる場でもあります。

まずは市民にとって引き続き歴史と文化を学び、四季折々の自然や眺望に触れて憩い楽しむ場所としてさらに充実して利用できるよう検討するべきです。観光へのアイディアも市民の利用の中から見出すことができます。市長!行政主導の開発をすすめるのではなく、パブリックコメントなど市民からのお声を広く集める機会を設けるべきと考えますがいかがですか?そして最終的なまとめも、ぜひ市民の合意を得る形で行うべきと考えますがお答えください。

また検討委員会では「眺望確保には木が茂り整理も検討すべき」という意見も出されたそうです。

市民からも、元々存在する木の成長を阻む、竹やくずは整理が必要ではないかという意見も寄せられています。今後、眺望確保のために竹や木などの間伐やせん定も行われると思いますが、それに伴って発生する間伐材の処理について現状はどうなっていますか?

先日、間伐材や竹の新たな利用に取り組んでいる高岡市の中越パルプに伺いました。個人や団体から持ち込まれた竹や間伐材を買い取り、紙に混ぜて利用したり、他県の工場ではバイオマス燃料にも使用しているそうです。石川県内でも竹利用の取り組みがあります。ぜひ、本市でも竹などの間伐材の有効利用をすすめてはどうでしょうか。お答えください。

続いて、城北市民運動公園の屋内広場に関してですが、現在基本的にはどのような用途を想定しているのでしょうか?というのも、本市の保育園、学校関係、保護者の方からよく伺うのは、「雨が降ると遠足などで遊べる場所が金沢には少ない」というお声。わざわざ福井のエンゼルランドや富山の太閤山ランドまで足を伸ばしているとのことです。わたくしも、富山の太閤山ランドへ視察に行ってまいりました。その中の子ども未来館は室内にジャングルジムやさまざまな年齢のこどもたちが遊べるようにいくつもブースがあり、半日居ても飽きないものでした。

雨や雪の多い本市においても、室内で遊べる施設が必要です。ぜひ市長、城北市民運動公園の屋内広場を子どもが雨でも楽しく遊べるように進めていただくよう求めますがいかがですか?

そして、ぜひ市民の声を広く聴く機会を設けて検討すべきですがお答えください。

 

③3点目は不妊治療の助成制度についてです。

「子どもがほしい」こうした思いを持ちながら、必死で不妊治療を続ける方々が全国で230万人いるとも言われています。石川県内の医療機関で行われている不妊治療の件数も、23年で2774件と右肩上がり。本市では、体外受精や人工授精などの特定不妊治療助成の件数は昨年度で722件。ここ5年間で2倍以上の伸びです。特定不妊治療は、保険が適応されず体外受精などは1回30万から100万円と高額な費用がかかるため、当事者にとってこの制度は経済的にも精神的にも、大きな支えとなっています。

しかし全国でこうした不妊治療支援費が増加し続けることに歯止めをかけるため、国は今年度、体外受精など特定不妊治療の1回15万円の補助額を凍結胚移植などについては半分の7万5千円に引き下げました。本市もそれにあわせて引き下げ、治療をされている方々からも落胆の声が寄せられました。

そして先月、厚生労働省の検討会が、42歳までの年齢制限を設ける、回数も制限するなどの方針を打ち出したのです。  

国のいい分は母体保護や年齢を重ねると確率が下がるという理由。当然母体保護については医師から指摘を受け判断をするものですが、確率については人から確率が低いからあなたはやめなさいというものではありません。

また同時期に、民間の保険において介護とともに不妊も商品とすることが解禁されていることからすると、公的援助は減らし民間へという流れに他ならず、許されません。

まず市長、不妊治療に関して、国からのおしつけで経済的な支援を減らし、年齢や回数の制限をすることで、子どもを産みたいという本人の選択の幅を狭めてしまうことについてどう思われるでしょうか?

本市では、今年度から新たに向こう10年間とりくむ「新・男女共同参画推進行動計画」が実施されています。この中でこれまでには無かった項目である「不妊治療への支援の充実」として「不妊に悩む夫婦に対して、心の悩みのアドバイスや相談窓口の紹介、費用負担軽減などの支援を行います」と明記されています。さらに具体的な取り組みとしては「不妊治療助成制度」のことがあがっているのです。

日常的には、女性相談支援室でも相談にのっておられるとのことですが、本市の明文化された具体的な取り組みはこの助成制度です。これを行動計画発表とともに助成額を半分に引き下げたことはまことに遺憾です。

そして、来年度から国が回数制限をし27年度からは年齢制限をするというこの流れに素直に従うとすれば、10年の計画の最初で行き詰まることに他なりません。  

本市の計画を遂行するためにも、そして誰もが安心して妊娠・出産ができる環境にするためにも、昨年までの制度基準15万円に戻し、回数制限・年齢制限も今のまま、むしろ充実するくらいの構えをするべきです。

市長、後退する国の制度に歩調を合わさず、本市で治療を続ける方々を応援するため本市単独で助成制度を充実するお考えはありませんか。あわせて、国にも、後退させるべきでないと声をあげるべきと考えますが、見解を明らかにしてください。

 

④最後に福島原発事故と志賀原発に関して市長の見解を伺います。

東日本大震災と福島原発事故から2年半が経ちました。今もなお福島原発事故は到底収束と言える状況にはありません。汚染水タンク4カ所から高濃度の汚染水が毎日何百トンと大量に漏れだしており、原子力規制委員会は先月末、トラブルの深刻さを示す国際原子力事故評価尺度を「レベル1」から「レベル3」に引き上げると発表し、地元の住民や漁業関係者、国内外から不安の声が寄せられています。福島県漁連のみなさんは、漁場のモニタリングを継続し、消費者に安心を持ってもらえるよう試験操業の準備を進めてきていたところを、中断・延期をせざるを得なくなりました。   

国はようやく「東京電力任せにせず、抜本的な対策をとる」と基本方針を示しましたが、その中身は東電が作成し破綻した従来の延長にすぎず、「漏らさない」という建前すらないがしろにする海洋放出まで打ち出しています。このままでは汚染水が流出し続け、さらに汚染が拡大しかねない非常事態です。

そんな状況のもと、オリンピック招致のスピーチの中で首相は「完全にブロックされている」「コントロールできている」などと発言したことが波紋をよんでいます。地元の方々も驚き、東京電力ですら、その発言については否定をせざるをえませんでしたし、菅官房長官も安倍首相の「完全にブロックされている」という発言の真意を問われ、「全部の水をストップするということではない」と述べ、港湾の内外で汚染水を含む海水が出入りしていることを認めました。世界への公約でありながらも、すでに釈明を余儀なくされたのです。汚染水問題はコントロールどころか制御不能に陥り、見通しも立っていない深刻な事態ですが、市長はどのように認識をしていますか?

いまだ福島原発は原子炉の中を見ることもできず、事故原因もあきらかでないし、汚染水問題は深刻です。福島からの避難者はいまだ15万人も不自由な生活を余儀なくされている現状です。国は「収束宣言」を撤回し、東京電力任せではなく文字通り国が主体となる態勢に転換すべきと考えますが、市長の考えを伺います。

本市は志賀原発から50kmのところに位置し、この度原子力防災計画も策定しました。

防災計画はあくまでも行政内部のおおまかな動きであり、重要なのは個々の住民、町会が具体的にどう動けばいいかという避難計画です。市民の避難についてはどのように考えているのか明らかにしてください。

また、県の原子力災害対策計画では、広域避難者の受け入れ体制を定め、本市は七尾市の一部や羽咋市、宝達志水町の住民約9万人を受け入れることになっています。が、避難所までの誘導や避難所はどうするのか、避難所の運営は誰がするのか、など受け入れの仕組みについて不安の声が寄せられています。明らかにしてください。

9月15日には、福井の大飯原発が点検に入り、日本中全ての原発が稼働停止となっています。しかし翌日の台風で福井のもんじゅにつながる一本道のトンネルの前後で土砂崩れがあり、もんじゅとの行き来もできず、もんじゅと原子力規制庁を結ぶ緊急時対策支援システムのデータ回線も停止ししたのです。今求められるのは根本的なリスクを減らすことです。志賀原発を廃炉にし、自然エネルギーの推進に力を傾けることを国、県そして北陸電力に求めるべきだと思いますが、市長の考えを伺い質問を終わります。

 

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