金沢市議会12月金沢市議会 討論 2013.12.16

2013年12月

 金沢市議会12月金沢市議会 討 論

日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭

 

 私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。

 わが党は、提出された議案のうち、第5号金沢市学校設置条例の一部改正について

反対であります。

 この議案は、野町小学校と弥生小学校を統廃合し、泉小学校とするとともに、俵小学校を廃校にし、田上小学校に統合するというものです。

 学校統廃合は、こどもの教育と地域社会の存続の双方にかかわるだけに、統廃合による影響などについて、こどもや住民ともよくよく話し合い、合意することが不可欠だと考えるものです。しかし、多くは自治体側が統廃合計画を策定し、それを住民に押し付けるというのがほとんどとなっています。

 これまで、国は、小中学校の「適正規模」を12から18学級としてきましたが、少子化が進み、地方の過疎化などから小中学校の存立が改めて重要となってきました。

 子ども同士や教師との人間的つながりの深さ、少人数だからこそできるあたたかさのある教育活動など小規模な学校の良さが輝き、その存在の大切さが改めて浮き彫りとなっています。

 また、学校は、運動会やお祭り、文化祭などを含め、地域の拠点としての役割を担っています。こどもが少なくなったからと言って安易に統廃合をすすめれば、集落や地域コミュニティーが崩壊し、地域社会の荒廃へと急速に進み、取り返しのつかない事態を招きかねません。

 「おはよう。おかえり」と歩いて通学するこどもたちと住民が声を掛け合うことがこどもたちの成長にとっても欠かすことはできません。ですから、歩いて通う学校の存在を大切することを改めて考えていただきたいと思いますし、地域住民もそのことを願っています。自分たちが学んだ学校が地域から亡くなることほどさびしいことはありません。

 今回、野町小学校と弥生小学校の統廃合は、古くなった学校を建て替え、耐震対策を進めてほしいとの願いを逆手にとり、小中一貫校という新しい学校をつくるからという打ち出し方で、この二つの小学校を統廃合し、泉中との小中一貫校を建設するというものです。

 実は、学校統廃合が目的なのですが、それを前面にすると反対の声が大きくなるので小中一貫校という新しい学校づくりを前面に押し立てて、立派な学校を作りますと言って進めてきたものです。しかも、この小中一貫校というのは、子どもの発育発達に応じて作り出された6・3・3制という戦後教育を大きくくつがえす内容を持つもので、全国で取り入れた学校でも問題点があいついできています。

 本市は小学校での英語教育、二学期制や学校選択制などをいち早く取り入れながら、問題点が教育現場からも出され、二学期制はもとの三学期制に戻す方向となっています。しかし、小中一貫教育を進めるとして学校建設を進めたとすると戻すことが困難です。大いなる実験となるような学校統廃合と小中一貫校の建設は慎重であるべきだと考えるものです。

 具体的に、学校の規模の問題です。現在、弥生小は児童が405人で15学級、職員数22人です。野町小は児童が168人で6学級、職員数15人です。統廃合されると児童数が573人、20学級、職員数も30人を超えることになります。国が示す「適正規模」である12から18学級を上回ることになります。さらに、泉中との小中一貫校となると同じ敷地に児童生徒数は、1000人規模となり、職員も60人前後となります。かつてのマンモス校のようなものです。

 同一敷地内に、幼児期の課題を残している小学校1年生と思春期に入り、第2次性徴も著しい中学3年生までが一緒に生活することや、こどもたちの成長や教育内容、指導方法などについて教育的にも検討され構築されたものとは言えないと指摘されているのが、小中一貫教育です。

 テレビドラマ「金八先生」のモデルとなった元中学校教師で教育評論家の三上満さんにお話を伺いました。

 三上さんは、小学6年生は、小学校の最上級生としての責任と下級生の面倒を見る中で、成長していくことの大切さを述べておられました。そして、新しい中学生となり、さまざまな出来事に出合い、学び歩んでいくことになる「乗り越え体験」が人間として成長していくうえでとても大切です。と話され、6・3・3制の優れた面をいかして、どの子も学び、成長していくためによりよい教育環境を整えていくことが大切です。と述べておられました。

 以上の点から、この条例改正には反対であります。

 次に、請願、陳情についてです。

 請願第27号要支援の保険外しや要介護1・2の特養ホーム入所除外の撤回を介護保険部会に求める請願で、特別養護老人ホーム入居待機者家族会代表から提出されたものです。特別養護老人ホーム入居待機者は、全国で42万人、石川県で4千人、本市では、1400人に上っています。この待機者家族会が『老いを支えて』と題する手記・その三が発行され、拝見させていただきました。その中に、「100歳を祝ってもらった母」と題する家族の手記があります。その中で、「母は95歳まで一人暮らしでした。脳梗塞で片マヒになった父を20年近く介護して、気丈な母でした。異変を感じ、もう限界と施設への入居を申し込みました。特養ホームを待っている間4年間、毎日食事を届けました。その間、タクシーで徘徊したり、ソバや天ぷらを5から6人前注文したりと、色々気の休まる事がありませんでした。大腿骨を折り、手術後2か月で退院を求められ途方に暮れ、2~3週間ごとに転々としていた時、入居が決まりました。涙の出る程うれしかったです。母は100歳を入居者の皆さんに祝っていただき、その1か月後に永眠いたしました」と言うものです。

 なかなか入居できずに亡くなってしまう方も多く、この会でも昨年140名の会員の内16名の方が入居できずに亡くなったとのことです。こうした現状にも関わらず、特別養護老人ホームの建設を進めるのではなく、入居申し込みを制限する今回の対応に怒りが広がっています。こうした点からもこの請願には賛成であります。

 請願第28号は、「秘密保護法」制定に反対する意見書の提出を求めるもので、石川憲法会議代表委員ほか5団体から提出されたものです。去る12月6日深夜、参議院に於いて、政府与党の自民、公明によって強行に採決が行われ成立しました。しかし、憲法の基本原理に違反し、国民の目、耳、口をふさぐ重大な弾圧法であるとして、多くの方々が批判し、撤回を求めています。

 共同通信が実施した世論調査では、この法律を修正・廃止と答えた方が82%に上っています。よって、この請願には賛成を表明すると共に、国民の大多数がこの法律を修正・廃止することを求めていることを明らかにしておきたいと思います。

 請願第29号TPP交渉に関するもので、交渉内容の開示と交渉から撤退を求めるとして農民運動石川県連合会から提出されたものです。
 すべての関税撤廃を貫くかどうかが交渉の中心的な課題だとされながら、その内容は、公表されず、一切が秘密のベールとなったまま先の交渉がまとまらなかったとだけ報じられました。すでに日本側は、95%まで関税撤廃を表明したと報じられ、農産物重要5品目さえも守られない状況にあります。よって、日本の食料と安全を守る立場から、この請願に賛成を表明します。

 陳情第63号子ども・子育て支援制度についてのもので、石川保育運動連絡会と保育労働組合の代表から提出されたものです。関連する法律が成立し、「子ども・子育て支援制度」がスタートします。これによって、保護者の就労を基本に保育の必要性と必要量を認定し、保護者に対して直接保育を提供するとしています。それだけに、この実施に当たって、現行の基準や制度を後退することなく、保育現場の声を反映し、十分な議論と国をはじめ、行政の責任を果たすよう求めるもので、わが党は、賛成であります。

 以上の各請願・陳情は、それぞれの対応する常任委員会で否決されました。わが党は、こうした議決に反対を表明し、討論を終わります。

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