「適正な教科書採択のため公正な教科書検定を求める意見書」に対する反対討論 2014.3.24

2014年3月議会 反対討論

広田 美代

 ただ今上程されました、議案第6号「適正な教科書採択のため公正な教科書検定を求める意見書(案)」について、共産党市議員団を代表し、反対の立場で討論をいたします。

 今年1月の教科書検定基準改定により、文部科学相の諮問機関、教科用図書検定調査審議会は今月下旬にも、教科書検定で合否を判断する指針である審査要項を改定する予定です。この改定により、日本の侵略戦争の事実や平和の大切さを書いた教科書が、改悪教育基本法の「国を愛する態度を養う」に照らして「重大な欠陥」があるとして、検定で不合格になりかねません。 

 教科書検定については、「家永(いえなが)教科書裁判」などのたたかいと国民の世論と運動で、政治的・恣意的な検定をある程度やめさせ、事実に基づいて記述を修正する方向へと、一定の改善がされてきました。ところが今回の審査要項の改悪では、「愛国心」に沿った教科書かどうかという、一方的で恣意的な判断で合否を決めることが可能になります。この間の検定のあり方を大きく変えてしまうものです。

 教科書会社の関係者からは「何が『重大な欠陥』になるかわからず、『国を愛する態度』に反するといわれないように“安全”な記述をせざるをえなくなる」との声が出ています。「不合格にする」という脅しで教科書会社や執筆者を萎縮させ、日本のアジア侵略の記述を抑制させることは明らかです。

 自国を愛し、よりよい国にしようとすること自体は大切です。同時にどのような「愛国心」を持つか、あるいは持たないかは一人ひとりの自由です。国が「これが愛国心だ」と定めて押し付ければ、憲法19条が保障する「思想・良心の自由」を侵すことになります。「愛国心」を基準にして教科書の合否を決定することは、許されるものではありません。

 ことさら「愛国心」を強調する人々の中には、侵略戦争を「自存自衛のための戦争」「アジア解放の戦争」とする歴史教科書を、「愛国心」を目標に加えた改悪教育基本法にふさわしいものとして賛美し、侵略の事実を書いた多くの教科書を「自虐史観」だとしています。彼らのいう「愛国心」が、侵略戦争を美化し、子どもたちを戦前のように国家への忠誠に向かわせるものとなりかねません。

 教育基本法改定を提起した中央教育審議会の答申でさえ、「(愛国心が)国家至上主義的考えや全体主義的なものになってはならない」とのべていました。「愛国心」の名で侵略戦争美化を教科書に押し付けることは許されません。

 来年度の中学教科書検定から適用される新基準は、政府見解に基づいた記述を強要し、南京大虐殺の犠牲者数や日本軍「慰安婦」問題など侵略・加害の事実を書かせないことを意図したものです。

 日本の起こした戦争を侵略戦争として断罪することは戦後の国際秩序の土台でした。学校教育で日本の侵略と加害の事実を伝えることは、子どもたちに民主主義の道を歩む誇りと国際社会で通用する常識をはぐくむうえで欠かせません。歴史の真実を学ぶことは子どもたちの権利でもあります。よって戦後の国際社会の流れを覆す侵略美化と、偏った「愛国心」を押し付ける教科書検定を求めようとするこの意見書には反対ですし、大前提として「教育」と「政治」は独立して職務にあたることはいうまでもなく、各議員のみなさまにも反対することを呼びかけ討論を終えます。

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