奥野 ひでなり 2014年12月定例月議会 一般質問2014.12.18

金沢市議会2014年12月 一般質問

 

金沢市議会議員  奥野 秀也

 

 このたび、質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一人として質問させていただきます。

 奥野2014.12

 去る11月22日、長野県北部地震が発生し、今月5日には西日本を中心に大雪が降りました。以降も大雪による被害が全国各地で起こっております。被災された方々にはお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興・復旧をお祈り申し上げます。

 

 同時に、本市の災害対策、とりわけ地震対策について、市長にお伺いいたします。

 

 

 本市は幸いにして、200年あまり大規模な地震には見舞われてはおりません。しかしながら、歴史をひもとけば、1746年から47年にかけて8回の地震が起こり、1753年・54年にも地震が起こっています。そして1799年には、震度6程度の大地震が金沢城下を襲いました。記録によれば、金沢城の石垣28か所が損壊、城下では4000戸以上が倒壊し、15名の死者を出したといわれています。また、液状化現象を起こした形跡も残っております。

 これ以外にも、濃尾地方や福井、能登半島、大聖寺付近で起きた地震は枚挙にいとまがなく、金沢も少なからず被害を受けております。

 今回の長野県北部地震だけでなく、過去の歴史を踏まえても、日本はいつどこで地震が起こったとしても不思議ではありません。

 また、たとえ本市が地震に見舞われなくても、周辺自治体で地震が発生する可能性も考慮し、市民の安全を図るとともに、被災した方々を受け入れる体制を確立することが望まれます。

 本市は、ハード面での地震対策は進められています。

 防災備蓄倉庫には備蓄米・水・粉ミルク・保存水が確保されておりますし、民間会社などと協定を結んで、食料・雑貨などの提供を受けられる態勢を整えております。

 公民館や体育館にも毛布や日用品、おむつ、救急セット、緊急用トイレなども備えてあります。

 しかしながら、ソフト面では多くの課題が残っております。

 身近な地震対策としては、避難訓練がありますが、地域によっては内容が異なっていると伺っております。

 積極的な取り組みを行っておられる例を、広く紹介して全体のレベルアップを図っていく

とともに、さまざまな職種の方々にも参加していただいて、訓練内容を充実・改善させる必要があるのではないでしょうか?市長のご答弁を求めます。

 地震が起こった後の取り組みも、必要不可欠です。

 阪神大震災や東日本大震災のような大規模な被害が生じた際、住民の方々は避難所生活を余儀なくされます。避難所での生活が長期化すると、夏場であれば食中毒やノロウイルス対策、冬場であればインフルエンザなどの感染が懸念されます。

 加えて、病院に通っておられる方々、障害を持っておられる方々、震災で精神的に大きなショックを受けられた方々への配慮も必要不可欠です。

 病院施設が被災して使用できないというケースも想定されますが、人工透析の設備を有した病院や、小児科や産婦人科、緊急外科手術ができる病院などへの案内を周知する必要があると考えます。医師会との連携はもちろんですが、被災者の方々を受け入られる病院の場所を周知し、移動手段を確保するなどといった態勢を整えるべきと考えますが、市長のご所見をお伺いいたします。

 周辺自治体からの受け入れに関しても、住民の方々へのご理解をたまわらなければなりません。

 県の危機管理室が発行している原子力防災のしおりでは、志賀原発で原発事故が起こった際、本市は七尾市・羽咋(はくい)市・宝達志水町(ほうだつしみずちょう)の住民の方々約8万8千人を受け入れることになっておりますが、受け入れる施設側や周辺住民の方々へは、どれほど周知できておりますでしょうか? 

 周知不足は、混乱に拍車をかけるだけでなく、周辺住民と避難してこられた方々との間に無用なトラブルを生むことにもなりかねません。

私は東日本大震災の折、福島県双葉町(ふたばまち)の避難住民を受け入れたさいたまスーパーアリーナの近くに住んでおりましたが、さまざまな情報が飛び交い、風評被害に苦しまれた例をたくさん目にいたしました。こうした事態が起こらないよう、市として市民の方々に説明すべきと考えますが、いかがでしょうか?

 11月2日3日に国と県が行った原子力防災訓練でも、避難方法をはじめ多くの問題点が指摘されております。地元の方々は、原発の再稼働ストップ、そして原発廃炉を切に願って

おられます。

 こうしたお声に応え、原発再稼働の中止と廃炉を国に求めていく必要があると考えますが、市長はどのようにお考えでしょうか。この点をお伺いし、次の質問に移ります。

 

 

 

 

 

 二番目の質問は、本市における労働実態と、その対策についてです。

 

労使の問題ではあるものの、働いておられる方々、とりわけ若者が置かれている労働環境を把握するとともに、劣悪な状況にあるならば、これを改善するのが行政の責任ではないでしょうか?

  市長は本年3月議会において、いわゆるブラック企業に対して、国などの動向を注視しながら、労働局や関係機関と連携をするとご答弁されていますが、その後、どのような取り組みがなされておられるのか、また、労働問題の実態に関してどの程度、把握しておられるか、お伺いいたします。

 わが党が参議院に労働基準法の一部を改正する法案、いわゆる「ブラック企業規制法案」を提出いたしました。 

 法案の内容は、

第一にサービス残業を抑止し、年間の総残業時間を制限するなど長時間労働を是正する。

第二に求職者や就職活動中の学生などに、離職者数の公表など労働条件ならびに職場環境がわかるよう情報を公開する。

第三に達成できないノルマを課して精神疾患や過労死・過労自殺に追い込んだり、「追い出し部屋」に隔離し、繰り返しの面談で退職を強要したりするようなパワハラをやめさせるとともに、退職を希望する労働者に「違約金」を請求して辞めさせないようにする違法行為を厳しく取り締まるというものです。

この法案提出・審議の過程のなかで、ブラック企業の実態が明らかとなりました。しかし、

今なお、過酷な労働条件で働いておられる方は多く、無法な長時間労働を強いられたり、いじめ・パワハラが繰り返されたりといった事例は全国各地で見られ、大きな社会問題となっています。

 去る11月28日の福井地裁においても、パワハラで19歳の男性従業員を自殺に追い込んだ消防機販売会社に対して、賠償金の支払いを命じるという報道がありました。

 男性は平成22年2月からアルバイトで勤務し、4月から正社員として登用されたものの、12月に自宅で自殺したとのことです。男性は、上司から日々注意された内容をメモに残しており、そのメモには「死んでしまえばいい」「辞めればいい」「ウソつき」といった暴言の数々が書かれていたといいます。

 本市が行なっている労働相談でも、内容別相談件数は横ばい、または増加の傾向にあります。なかでも深刻なものが、いじめ・嫌がらせに関する相談です。平成24年度には5件だったものが、25年度では8件、26年度の4~11月期には14件となっています。

 これ以外にも、相談する窓口がわからないという方、窓口に相談すれば職場内でのいじめや嫌がらせに拍車がかかるのではないかと懸念され、相談を控えるという方々もいらっしゃいますので、いじめや嫌がらせに苦しんでおられる方々の実態は、市に寄せられている相談数の数倍から十数倍になると想定されます。

石川労働局の発表でも、いじめ・嫌がらせの相談件数が過去最高となり、企業に対しての助言・指導受付件数も過去最高になっています。

 泣き寝入りを許さず、安心して長く仕事をし続けられる環境を整備する。

 そのためにも、市として、長時間労働や過酷ノルマを強いる企業を規制するよう国に求めていくとともに、パワハラ・いじめ・嫌がらせが横行する企業の実態を把握するとともに、こうした企業に規制が行われるよう、国や関係機関への働きかけを積極的に行っていくべきと考えますが、市長のご見解はいかがでしょうか? 

 労働問題は、ブラック企業だけではありません。違法・無法なアルバイト形態、いわゆるブラックバイトも横行しております。

 過酷な勤務日程や形態で労働させられ、テスト期間中も休めない。ノルマを課されたり、売れ残り商品を買わされたりするといった問題が、全国各地で発生しています。

 学園都市であり、多くの学生が暮らしている本市にとって、この問題について迅速な対応

が必要ではないでしょうか。

 先日、文部科学省が各都道府県労働局に対して、ブラックバイト対策の事務連絡文書を送付したとの報道がありました。

「学生などが労働関係法令に違反した状態でアルバイトに従事させられるような事態を防ぐため、もしくは、そのような事態が生じた場合に適切に対処するため」、各都道府県労働局が相談を受け付けるよう学生に周知するとともに、大学も労働局と連携をはかるよう要請しています。

 市長!この通達は、本市でも把握されておられますか?

 把握しておられるようでしたら、これを真摯に受け止め、積極的に県労働局や教育機関や教育委員会などと連携を強め、ブラックバイトを横行させない取り組みを進めていく必要があると考えますが、市長のご見解はいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

 三番目に、街づくりと観光客の方々の誘致について質問いたします。

 

 市長は重点戦略のひとつに、観光を軸とした交流の活発化を掲げておられます。その一環として、駅西広場周辺の拠点施設の整備促進をうたわれ、外資系ホテルの誘致などにぎわい創出に努めるとされておられます。

 来年の北陸新幹線開業にともない、駅の近くに有名な外資系ホテルがあれば、たしかに外国人観光客の方々や富裕層の方々は利用されることでしょう。しかし、地元への経済効果は少なく、海外資本だけが潤うという結果にはならないでしょうか。市長のご見解をお伺いいたします。

 また、東京や海外の有名都市と変わらないホテルばかりであれば、金沢の宿泊施設を利用しなくても、新幹線などを利用して東京のホテルを利用するという事態も想定されます。そうなれば、本市への滞在も一過性のものになってしまいかねません。

 とある出版社の調査においても、日本に来られた外国人観光客の方の宿泊先は、ホテルやビジネスホテルが71.5%と多いものの、次に日本に来た時には旅館や民宿に泊まりたいと

希望されている方が67.5%と、ホテルやビジネスホテルを利用したいと答えておられる方よりも17.3ポイント高い数値が出ています。

 さらに、旅館や民宿に泊まりたいと回答された方の中の29.2%が、古民家など日本の古い建築物を利用した宿を希望され、27.7%の方が日本人の日常生活が体験できる宿とお答えになっており、日本らしさを味わえる宿が人気を集めています。

 こうした調査を踏まえ、今やるべきは外資系ホテル誘致ではなく、現在営業されている宿泊施設への支援を行なうべきと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。

 街中の景観に関しても同様です。

 産業局観光交流課が平成25年に実施した調査によれば、本市に旅行に来られた方のお目当ては、30.1%の方が史跡・名所めぐり、22.5%の方が街並みを楽しみたいとなっています。

 史跡や名所、街並みを楽しみに来られた方が、金沢駅に降りられた時、東京や海外の都市などと何ら変わりない景観を目にされれば、どのようにお感じになられるでしょう。 

 東京や海外の都市との違いを打ち出し、金沢らしいまちづくりを進めることこそ必要だと考えますが、市長のご見解をお伺いして、次に移ります。

 

 

 

 

 

 最後に、街なかの商店街についてお尋ねいたします。

 

 今回の補正予算では、商店街振興費が組まれております。

 その内容は、中心地や都心軸への出店を促進するというものですから、都心軸や中心市街地の商店街活性化という面では、一定程度の効果はあると思われます。しかしながら、依然として片町や竪町の商店街は空き店舗も多くなっています。 

 旧市街地の商店街は、さらに深刻です。

 私は子どもの頃、祖父母に連れられて寺町や円光寺の商店街に行き、食堂・洋菓子店を利用しました。しかし、今では廃業されてしまった店舗も少なくなく、店先に掲示された閉店の案内を見る度に心が痛みます。

 商店街の活性化なくして、本市の活性化は図れません。都心軸や中心市街地だけでなく、

旧市街地の商店街への出店に対しても、積極支援を求めますが、市長のご意見はいかがでしょうか?

 同時に、民業圧迫とならないよう、行政として、ある程度の配慮をする必要はあろうかと思いますが、今現在、営業されておられる商店を積極点に支援するため、「商店街応援メニュー」の補助率や限度額の拡大、支援期間の延長などを進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 さらに申し上げれば、商店街の空き店舗が増えている大きな要因は、円安・物価の高騰に加え、消費増税によって個人消費が大きく落ち込んでいることもありますが、駅周辺や郊外に大型店舗・県外資本のチェーン店が凄まじいスピードで進出しているためでもあります。

 作家の相場英雄(あいばひでお)さんが書かれた推理小説「震える牛」においても、大規模店舗・県外資本のチェーン店の過剰な進出が、地方商店街の破壊につながったというシーンが描かれております。

 どこもかしこも同じようなチェーン店、郊外型の大型店ができた結果、その土地ならではという特色が薄れてしまうことは明白です。  

 市長!人口減少・高齢化社会という大きな問題に直面している現況を鑑みて、大型店舗呼び込み型・大型店舗依存の社会から、本市で頑張ってお商売をされている方々を支援する方策に転換すべき時と考えますが、市長のご所見をお伺いいたし、私からの質問とさせていただきます。

 

再質問 

 ブラック企業・ブラックバイトの実態把握と規制は大きな問題となっております。

 市がブラック企業・ブラックバイト対策を積極的に取り組み、可能性や才能を持った若者が生き生きと働けるような環境整備を進めれば、多くの若者が本市で働きたいと意欲を持つようになるのではないでしょうか?

 ブラック企業・ブラックバイトには、一刻も早い対応が求められますが、改めて市長の御見解を伺います。

 

 

 

 

 

 今、お商売をされておられる方は、消費の落ち込みや物価の高騰などで大変な現状にあります。これから年末、年度末を迎えるにあたって、お商売をされている方々の悲痛なお声は、ますます大きくなるでしょう。商店街を守ることは、コミュニティを守ることになり、ご高齢の方々や一人暮らしの方々の安否確認など、安心してくらせるまちづくりに大きな貢献を果たしております。商店街の支援を充実する必要について、再度、市長のご見解を伺います。

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