金沢市議会3月議会 代表質問
日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
私は、日本共産党市議員団を代表して以下質問致します。
今年は、戦後70年を迎え、過去から何を学び、後世に平和への願いを伝えていくかが問われる年となっています。
こうした中、安倍首相が今年「戦後70年談話」を発表するとして内外から懸念と批判の声が広がっています。この間政府は、憲法9条で掲げた戦争しない国との立場から戦後50年の年に表明された「村山首相の談話」を継承してきました。この「村山談話」は、「植民地支配と侵略」への「痛切な反省とこころからのお詫び」との表現で過去の誤りと反省を明記し、これからの日本とアジア諸国との平和と友好への方向を政府として表明したものであります。
ところが、安倍首相は、「キーワードを同じように使うことではない」と述べ、「村山談話」の中心部分の表現を事実上否定していることは重大です。
第二次世界大戦を教訓に侵略戦争への反省と、民主主義の発展をめざすことが世界共通の出発となったものです。したがって、「村山談話」は、「植民地支配と侵略」への「痛切な反省とこころからのお詫び」を明記し、平和への決意を述べ、世界に発信されたものであります。
市長は、提案説明の中で、「戦後70年の歩みを振り返るとともに、我が国が世界の人々から信頼され尊敬される国となるよう総力を結集していかなければなりません」と述べています。市長は、この「村山談話」についてどのように受け止め、戦後70年の歩みを振り返り、平和への決意と後世に伝えていかれるのか。その考えを伺うものです。
本市は、戦中に陸軍第9師団の司令部がおかれた軍都でしたが、戦禍を免れ、平和で伝統的なたたずまいをもつ都市として発展して来ました。そうした本市の決意を述べたのが本市の平和都市宣言です。今年30周年を迎えます。
ところが、市長、あなたは提案説明では一言も述べることはありませんでした。市長は、本市の平和都市宣言をどのように受け止めておられるのですか。そして、戦後70年の年でもあることから、本市の平和都市宣言に基づく具体的取り組みについて、どのように考えておられるのか伺うものです。
質問の第2に、本市経済の現状と打開についてです。
安倍政権の経済政策によって大企業と大株主に巨額の富をもたらしています。円安と株高によって大企業には大幅な利益計上が続き、その内部留保は、285兆円にも達しています。10億円を超える高額所得者はこの1年間で2.2倍に急増しています。一方、働く人の実質賃金は19ヶ月連続でマイナスとなり、年収200万円以下の方が1120万人と史上最高となっています。アベノミクスがもたらしたものは、格差の拡大であり、多くの国民に生活苦とくらしへの不安をもたらしています。そして、地方は、住民のくらしの困難と医療、介護の危機、地域経済の衰退など深刻な問題に直面しています。市民生活をみても、消費税増税と円安による物価高が暮らしと地域経済を直撃しています。福祉、医療、介護に対する国の負担金、補助金の削減がすすめられ、保険料の引き上げなど住民負担の増加、介護職場での人手不足、「介護難民」「医療難民」という不安を招いています。大企業や大手資本の進出を一層可能にする規制緩和やTPPなど輸入自由化政策が農林水産業や中小企業、地元商店に打撃をあたえ衰退を引き起こしています。
わが党はこうした状況を打開するために第1に、消費税増税への道をやめること。第2に、社会保障費の自然増の削減と制度の後退を中止すること。第3に、ブラック企業、ブラックバイトをなくし、正社員が当たり前として雇用の改善を進めること。などを提起し、その実現を求めています。
そこで、本市の経済政策について伺います。
第1に、「呼び込み」による企業立地から転換し、地場産業を主体に地域がもつ力を応援する産業振興策に転換することです。
先端産業を立地するとして280億円を投じ造成されたテクノパークは、未だ4分の1の用地、東京ドーム2個分が売れ残ったままです。他の工業団地の立地も、一部にとどまっています。
一方、本市では、この10年間に事業所が29,740から26,471へと3,269事業所が減少しています。製造業では2割近くの減少となっています。伝統産業では、加賀友禅、金沢箔、金沢漆器、金沢仏壇の事業所は、この10年間をみても3割から5割の減少となっています。まさに存亡の危機を迎えています。
地域に根を張ってがんばっている地元中小企業と商店への支援策を強化してこそ地域再生を図ることができます。新年度予算の中でどのように考られたのか見解を伺うものです。
第2に、外資系ホテル誘致についてです。
新幹線開業を間近に控え、金沢駅周辺をはじめ市内での大手資本や県外資本によるホテルや商店、飲食店の開業が相次いでいます。新幹線開業による恩恵はこうした大手や県外資本に持っていかれてしまうのではないかとなかばあきらめと冷ややかな空気が地域に広がっています。こうした中で、本市が金沢駅西の一等地に外資系ホテルの誘致を打ち出したことは、いったい本市がやるべき事かとの声が出されています。
市長。外資系ホテルの誘致について、どのように市民に説明されるのか明らかにしていただきたいと思います。
第3に、土地開発公社の解散についてです。
本市行政が必要となる用地を先行買収する役割を土地開発公社が担ってきました。この間、用地買収した土地が10年20年間利用されることなく、いわゆる塩漬け用地として残ったままとなっています。今回公社を解散するにあたって、第1に、用地の内6箇所約3万6千㎡の用地について、約14億円の補正予算で買い戻す。第2に、6箇所約7千6百㎡の用地について、約10億7千万円の基金で取得する。第3に、2箇所約2万3千㎡の用地について、約23億円の起債を活用して取得し、同じようにテクノパークの売れ残った約9万4千㎡について約30億円もの起債を活用して取得するとの方針が示されました。
結局、塩漬けされた用地や売れ残ったテクノパーク用地を市民の税金でてあてするという事になるわけです。今後取得した目的の通り、活用する事ができるのか。テクノパーク用地に企業を誘致し用地が売れるのか。公社理事長の丸口副市長に伺うものです。
第4に、第二庁舎建設事業についてです。
これまで、わが党は、防災センターなどを中心に必要最小限の建て替えを検討するとともに、議会棟については、本庁舎の耐震化が完成したことから、新築移転については市民の理解は得られないと述べてきました。
今回の第二庁舎の建設事業計画についてその事業費はどの程度か。どのように市民の理解を得るのか市長に伺うものです。
質問の第3に、市民に喜ばれてきた制度を削り、健康を守る施策の市民負担を増やすことについてです。
第1に、長寿お祝い金の削減です。
現在、本市は88歳、99歳、100歳そして、101歳以上の方に対して、一人あたり3万円を贈呈してきました。また、100歳の方については、花束と記念品を贈呈しています。今回、新年度予算では、対象を88歳と100歳の方に限定し、88歳の方には、寝具用品の贈呈、100歳の方には、5万円のお祝い金を贈呈するとしています。これによって、対象者は、1900人となり、昨年度に比べ12%の削減、事業費は、3800万円となり、昨年度に比べ42%の削減となるものです。
市長!長寿お祝い金とお祝い品の贈呈は、敬老の日の記念事業として本人はもちろん家族に喜ばれてきたものです。これまで長い間ご苦労され、これからも健康でがんばって下さい。と言う意味で、市長自らもお渡ししてきたものです。そうした意義のある事業を88歳と100歳の方だけに限定し、88歳の方には寝具用品の贈呈と言うのは余りにも冷たい削減ではありませんか。市長から説明を求めたいと思います。
第2に、ふれあい入浴の利用者負担を引き上げる点です。
本市の郊外にある木越団地にお住まいの高齢者夫婦の方にお話をお聞きしました。団地の近くに銭湯が無いため、バスに乗って、東山にある銭湯に出かけこのふれあい入浴券を利用しています。少々不便で、バス賃もかかるのですが、夫婦そろって外出する機会であり、楽しみにしているとのことです。
市内の銭湯が減り、大型の入浴施設ができ若い家族などに利用が広がっています。ふれあい入浴券の自己負担100円を150円に増やすというのではなく、事業者の要望にこたえるとともに、負担を無くし、枚数を増やすなど市として積極的に拡充する事こそ検討すべきではありませんか。市長の見解を伺います。
第3に、すこやか検診、がん検診の自己負担を増やすことについてです。
18歳から39歳の若年者を対象とする健康診査の自己負担700円を800円に引き上げ、40歳以上の被保険者を対象とするすこやか検診の自己負担900円を1000円に、集団検診についても700円を800円に引き上げるとしています。
また、大腸がん検診の自己負担400円を500円に、骨粗しょう症検診の自己負担300円を400円に引き上げるものです。さらに、子宮頸がん、乳がん、大腸がん検診の無料クーポン券が国の方針で新年度に廃止されるとのことです。
受診率を引き上げ、市民の命と健康を守ることが最大の課題であるにもかかわらず自己負担を引き上げ、無料クーポン券まで廃止するのは逆に受診率を引き下げる事になってしまいます。
市長!すこやか検診、がん検診の受診率を引き上げることこそやるべきで、自己負担を引き上げる事ではありません。市長の見解を伺うものです。
こうした市民に喜ばれてきた制度を削り、健康を守る施策の自己負担を引き上げる事が市長の掲げた市政刷新NEXTなのですか。このことが市民から望まれている施策なのですか。市長の政治姿勢が問われています。その見解を伺うものです。
質問の第4に、市民の願いにこたえた自治体本来のくらし、福祉の向上という役割を発揮する点についてです。
安倍政権がすすめる社会保障の大幅な削減、くらしを圧迫する方向が進んでいるだけに自治体が住民のくらし、福祉を守る防波堤としての役割を発揮しなければなりません。具体的に伺います。
第1に、こども医療費の助成制度についてです。
この制度は、すでに37都府県で医療機関での窓口無料化が実施されています。こうした中、県に対して窓口無料化の実施を求める県民の要望と運動が広がり、県議会で4度にわたって請願が採択されてきました。また、県内の市と町からも償還払いから現物給付に改善する要望があいついできました。その結果、県はようやく、この制度を改善し、現物給付であっても補助を継続するとしました。しかし、県の制度は、通院の対象が3歳児まで、入院の対象が小学校入学までのままで、しかも、所得制限があり、今回も窓口での一部負担を求めるものとなっています。一方、県内の自治体では、住民の願いに応え、対象は、18歳までとする自治体が7割近くにまで広がっています。輪島市では、昨年11月から窓口無料化が始まっています。これに続き、白山市、加賀市、能美市、宝達志水町などが実施を表明してきています。
市長!本市は、この7月から償還払いから現物給付に制度を改善するとしました。一方、通院では一回500円の負担。入院では月に1000円の負担を求めるとしています。対象年齢も中学校卒業までとしています。
市長!県内自治体の中で、遅れることなく、窓口完全無料化と対象年齢の引き上げを実施するべきと考えますが、その見解を伺うものです。
第2に、介護保険料の引き上げについてです。
65歳以上の第1号被保険者の介護保険料の基準月額5,680円を6,280円に引き上げる提案がされました。3年ごとの見直しによるもので、介護保険制度が始まった2000年に3,150円だった保険料が2倍に引きあがることになります。年金の3年連続引き下げが実施され、消費税の増税と物価の上昇が、高齢者の生活を直撃し、その生活実態が悪化の一途をたどっています。こうした中での今回の介護保険料の引き上げです。
市長!現在の介護保険制度は、高齢者が増え、介護サービスや施設の増加とともに保険料も引き上がるという仕組みのなかで、高齢者の負担も限界となってきています。国の責任ある財政負担が必要です。国への働きかけを強く求めるとともに、本市独自に財政措置を講じ保険料の引き上げをやめるべきと考えますが、市長の見解を求めるものです。
第3に、介護報酬の引き下げと施設整備についてです。
安倍政権は介護報酬の2.27%引き下げ、過去最大規模の削減を打ち出しました。
一方介護の現場では、介護職員の低賃金によって職員が集まらず、深刻な人手不足となっています。今回の介護報酬の引き下げによって、運営が立ちいかなくなるとして、特別養護老人ホーム建設を中止する事態が生まれています。今回、介護職員に対する処遇改善加算が盛り込まれましたが、介護報酬全体の引き下げによって、施設自体の運営が困難に追い込まれ、結果として人員の削減や施設の縮小、閉鎖に追い込まれることが危惧されています。
市長!介護報酬の削減を中止するよう国に求めるべきです。その考えを伺います。また、新たな本市の介護事業計画における特別養護老人ホームなど施設整備計画の具体的目標を明らかにするとともに、今回の介護報酬引き下げによる影響をどのように考えておられるのか伺うものです。
質問の第5に、くらし応援の市政の転換についてです。
第1に、水道料金の引き下げ実施を求めるものです。
県は、新年度から県水の責任水量を現在の7割を6割に引き下げること表明しました。この間、受水している12の市と町が要望してきました。また、わが党をはじめ、県民の会、市民の会などから繰り返し求めてきたものであります。県が県水の責任水量の割合を引き下げた結果、受水している市と町の財政支出が軽減することになります。まず、本市の軽減額を明らかにするよう求めるものです。
本市の水道料金が高くなっているのは県水受水にあることは明らかです。
本市は、自己水の単価に比べ3.8倍も高い県水を膨大に受け入れ、責任水量制によって、その7割を支払わなれければなりません。その額は、年間32億4900万円にのぼります。一方、安くておいしい自己水で十分まかなえるにも関わらず、配水能力の3割程度しか使っていません。わが党は繰り返し、こうした問題点を明らかにし、県に対しても直接改善を求めてきました。
今回、県が県水の責任水量を引き下げたことによって生み出された財源は、水道料金の引き下げを実施し、市民に還元すべきです。さる3月5日市民の会が水道料金の引き下げを求める署名814筆を企業管理者に提出しました。水道料金の引き下げ実施についてその見解を伺うものです。
第2に、国民健康保険料の引き下げと軽減措置の拡大についてです。
国民健康保険料の算定方式を住民税方式から旧ただし書き方式に一昨年、変更したため、6万4千世帯の加入者の内、約4割にあたる2万4千世帯の保険料が引きあがりました。そのため、激変緩和措置が取られましたが、一般世帯では、今年度で終了し、障害のある方の世帯などでは新年度で終了します。住民税方式に比べ2倍にもなるなど保険料の負担が大きく、その結果、支払えない世帯が加入者の2割にのぼっています。
市長!保険料を引き下げるとともに、低所得者や障害のある世帯に対する軽減措置を講ずる考えはありませんか。見解を伺うものです。
第3に、家庭ごみ有料化の導入検討についてです。
本市は、平成27年度から41年度までの15年間を計画期間とする第5期ごみ処理基本計画を策定するとしています。その計画概要の中で、新たに、家庭ごみ有料化の導入を検討することを打ち出しました。市民生活にかかわるだけに重大な問題です。
本市では、今から55年前の昭和35年にごみ収集手数料条例が制定され、ごみ収集手数料が昭和36年1月から実施をされました。しかし、5年後の昭和41年3月には廃止された経緯があります。
私の大先輩の浅井市議が当時、この問題に取り組み、市長を相手に裁判を起こすとともに市民からの批判が高まり、廃止にいたたったわけです。
問われたのは、地方自治体が税金を持って行政サービスをおこなっているにも関わらず、広く市民にかかわる家庭ごみにお金を取っていいのか。税金の二重取りではないか。という点でした。
現在、町会をはじめ、多くの市民の方々の協力によって分別収集、資源回収、ステーション管理などが行われています。その上、家庭ごみの有料化によって、市民に経済的負担をかけることは、市民の理解を得られるものではありません。
市長!ごみの有料化がいったん導入されたものの廃止された本市の歴史的経過をどのように受け止めますか。そして、家庭ごみの有料化の導入についてやめるべきです。市長の見解を伺うものです。
質問の最後に、競輪場外車券売り場設置をめぐる疑惑解明のために設置され百条委員会を通じて問われた市長の責任についてです。
わが党市議員団が提出したこの問題の疑惑解明のための百条委員会設置議案が昨年10月議会で可決・成立し、この間5人の証人尋問が行われ、市長も二度にわたる証言が行われてきました。今回、報告書がまとめられることになりますが、この百条委員会を通じて市長ご自身の責任が問われました。
市民と議会に対して裏切った行為として批判された第1は、ギャンブル施設は、いらない!との市民と議会の声を裏切り、競輪場外車券売り場の設置同意文書に署名・押印したこと。第2は、市民と市議会に隠し続けたこと。競輪場外車券売り場設置をめぐって、4年前の市長選挙出馬の際に業者と念書を交わし、市長に当選すると設置同意文書に署名・押印しておきながら、この事が1年8か月後に明るみになるまで隠していました。第3は、税金投入する代替案を太田武男元社長に提示し、高岩勝人市議とともに密室で協議を行ったこと。
この三つの点に加え、2つの虚偽の発言でした。その第1は、設置同意文書への署名・押印した事が明らかとなり、その釈明を行った一昨年3月29日に開かれた本市議会全員協議会で、「これ以外のことは全くない」とのべながら、税金投入での代替案について提案し業者と話し合っていた事が明るみとなり、市議会に虚偽答弁したことになると厳しい指摘がされました。第2に、4年前の市長選挙への立候補表明の際に交わした念書について、山野市長は、「私が押印いたしました」と証言しましたが、太田武男氏は、「奥様が判こを持っていらっしゃいまして、その提出した2枚に判こを押していただいた」と証言しました。山野市長が2月20日の再度の証人尋問で釈明し、「妻が押した」と証言しました。前代未聞の対応であり、市長!あなたの証言は、偽証として告発に値すると百条委員会で私は、発言しました。
代替案の内容がストックヤードだったのか。リサイクルプラザだったのか。証言に食い違いが残ったままです。金銭の授受について証言に食い違いがあります。
そして、市議が市長といっしょになって税金投入やその議案をいかに通すかなど議会対策が密室の中で話し合われるなどその経過も明らかとなり、議会と議員のあり方が問われました。そして、何よりも密室の中で、利権がうごめく話し合いが進められるなどその政治の実態と市長の責任が問われました。
市長!46万市民の暮らしを守って、公正公平な市政運営を図らなければならないあなたが、一部の業者のために利便を図り、自ら犯した過ちをおおいかくし、市長という立場を守るために税金投入の代替案まで業者に提示し、密室で話し合うなど市長としての資格が問われました。市長の職を辞職し、選挙で再選されたからと行って免罪されるものではありません。
今回の百条委員会を通じて問われた市長としての責任についてどのように受け止め、自らを処するのか。明確な答弁を求め、私の代表質問を終わります。
今年は、戦後70年を迎え、過去から何を学び、後世に平和への願いを伝えていくかが問われる年となっています。
こうした中、安倍首相が今年「戦後70年談話」を発表するとして内外から懸念と批判の声が広がっています。この間政府は、憲法9条で掲げた戦争しない国との立場から戦後50年の年に表明された「村山首相の談話」を継承してきました。この「村山談話」は、「植民地支配と侵略」への「痛切な反省とこころからのお詫び」との表現で過去の誤りと反省を明記し、これからの日本とアジア諸国との平和と友好への方向を政府として表明したものであります。
ところが、安倍首相は、「キーワードを同じように使うことではない」と述べ、「村山談話」の中心部分の表現を事実上否定していることは重大です。
第二次世界大戦を教訓に侵略戦争への反省と、民主主義の発展をめざすことが世界共通の出発となったものです。したがって、「村山談話」は、「植民地支配と侵略」への「痛切な反省とこころからのお詫び」を明記し、平和への決意を述べ、世界に発信されたものであります。
市長は、提案説明の中で、「戦後70年の歩みを振り返るとともに、我が国が世界の人々から信頼され尊敬される国となるよう総力を結集していかなければなりません」と述べています。市長は、この「村山談話」についてどのように受け止め、戦後70年の歩みを振り返り、平和への決意と後世に伝えていかれるのか。その考えを伺うものです。
本市は、戦中に陸軍第9師団の司令部がおかれた軍都でしたが、戦禍を免れ、平和で伝統的なたたずまいをもつ都市として発展して来ました。そうした本市の決意を述べたのが本市の平和都市宣言です。今年30周年を迎えます。
ところが、市長、あなたは提案説明では一言も述べることはありませんでした。市長は、本市の平和都市宣言をどのように受け止めておられるのですか。そして、戦後70年の年でもあることから、本市の平和都市宣言に基づく具体的取り組みについて、どのように考えておられるのか伺うものです。
質問の第2に、本市経済の現状と打開についてです。
安倍政権の経済政策によって大企業と大株主に巨額の富をもたらしています。円安と株高によって大企業には大幅な利益計上が続き、その内部留保は、285兆円にも達しています。10億円を超える高額所得者はこの1年間で2.2倍に急増しています。一方、働く人の実質賃金は19ヶ月連続でマイナスとなり、年収200万円以下の方が1120万人と史上最高となっています。アベノミクスがもたらしたものは、格差の拡大であり、多くの国民に生活苦とくらしへの不安をもたらしています。そして、地方は、住民のくらしの困難と医療、介護の危機、地域経済の衰退など深刻な問題に直面しています。市民生活をみても、消費税増税と円安による物価高が暮らしと地域経済を直撃しています。福祉、医療、介護に対する国の負担金、補助金の削減がすすめられ、保険料の引き上げなど住民負担の増加、介護職場での人手不足、「介護難民」「医療難民」という不安を招いています。大企業や大手資本の進出を一層可能にする規制緩和やTPPなど輸入自由化政策が農林水産業や中小企業、地元商店に打撃をあたえ衰退を引き起こしています。
わが党はこうした状況を打開するために第1に、消費税増税への道をやめること。第2に、社会保障費の自然増の削減と制度の後退を中止すること。第3に、ブラック企業、ブラックバイトをなくし、正社員が当たり前として雇用の改善を進めること。などを提起し、その実現を求めています。
そこで、本市の経済政策について伺います。
第1に、「呼び込み」による企業立地から転換し、地場産業を主体に地域がもつ力を応援する産業振興策に転換することです。
先端産業を立地するとして280億円を投じ造成されたテクノパークは、未だ4分の1の用地、東京ドーム2個分が売れ残ったままです。他の工業団地の立地も、一部にとどまっています。
一方、本市では、この10年間に事業所が29,740から26,471へと3,269事業所が減少しています。製造業では2割近くの減少となっています。伝統産業では、加賀友禅、金沢箔、金沢漆器、金沢仏壇の事業所は、この10年間をみても3割から5割の減少となっています。まさに存亡の危機を迎えています。
地域に根を張ってがんばっている地元中小企業と商店への支援策を強化してこそ地域再生を図ることができます。新年度予算の中でどのように考られたのか見解を伺うものです。
第2に、外資系ホテル誘致についてです。
新幹線開業を間近に控え、金沢駅周辺をはじめ市内での大手資本や県外資本によるホテルや商店、飲食店の開業が相次いでいます。新幹線開業による恩恵はこうした大手や県外資本に持っていかれてしまうのではないかとなかばあきらめと冷ややかな空気が地域に広がっています。こうした中で、本市が金沢駅西の一等地に外資系ホテルの誘致を打ち出したことは、いったい本市がやるべき事かとの声が出されています。
市長。外資系ホテルの誘致について、どのように市民に説明されるのか明らかにしていただきたいと思います。
第3に、土地開発公社の解散についてです。
本市行政が必要となる用地を先行買収する役割を土地開発公社が担ってきました。この間、用地買収した土地が10年20年間利用されることなく、いわゆる塩漬け用地として残ったままとなっています。今回公社を解散するにあたって、第1に、用地の内6箇所約3万6千㎡の用地について、約14億円の補正予算で買い戻す。第2に、6箇所約7千6百㎡の用地について、約10億7千万円の基金で取得する。第3に、2箇所約2万3千㎡の用地について、約23億円の起債を活用して取得し、同じようにテクノパークの売れ残った約9万4千㎡について約30億円もの起債を活用して取得するとの方針が示されました。
結局、塩漬けされた用地や売れ残ったテクノパーク用地を市民の税金でてあてするという事になるわけです。今後取得した目的の通り、活用する事ができるのか。テクノパーク用地に企業を誘致し用地が売れるのか。公社理事長の丸口副市長に伺うものです。
第4に、第二庁舎建設事業についてです。
これまで、わが党は、防災センターなどを中心に必要最小限の建て替えを検討するとともに、議会棟については、本庁舎の耐震化が完成したことから、新築移転については市民の理解は得られないと述べてきました。
今回の第二庁舎の建設事業計画についてその事業費はどの程度か。どのように市民の理解を得るのか市長に伺うものです。
質問の第3に、市民に喜ばれてきた制度を削り、健康を守る施策の市民負担を増やすことについてです。
第1に、長寿お祝い金の削減です。
現在、本市は88歳、99歳、100歳そして、101歳以上の方に対して、一人あたり3万円を贈呈してきました。また、100歳の方については、花束と記念品を贈呈しています。今回、新年度予算では、対象を88歳と100歳の方に限定し、88歳の方には、寝具用品の贈呈、100歳の方には、5万円のお祝い金を贈呈するとしています。これによって、対象者は、1900人となり、昨年度に比べ12%の削減、事業費は、3800万円となり、昨年度に比べ42%の削減となるものです。
市長!長寿お祝い金とお祝い品の贈呈は、敬老の日の記念事業として本人はもちろん家族に喜ばれてきたものです。これまで長い間ご苦労され、これからも健康でがんばって下さい。と言う意味で、市長自らもお渡ししてきたものです。そうした意義のある事業を88歳と100歳の方だけに限定し、88歳の方には寝具用品の贈呈と言うのは余りにも冷たい削減ではありませんか。市長から説明を求めたいと思います。
第2に、ふれあい入浴の利用者負担を引き上げる点です。
本市の郊外にある木越団地にお住まいの高齢者夫婦の方にお話をお聞きしました。団地の近くに銭湯が無いため、バスに乗って、東山にある銭湯に出かけこのふれあい入浴券を利用しています。少々不便で、バス賃もかかるのですが、夫婦そろって外出する機会であり、楽しみにしているとのことです。
市内の銭湯が減り、大型の入浴施設ができ若い家族などに利用が広がっています。ふれあい入浴券の自己負担100円を150円に増やすというのではなく、事業者の要望にこたえるとともに、負担を無くし、枚数を増やすなど市として積極的に拡充する事こそ検討すべきではありませんか。市長の見解を伺います。
第3に、すこやか検診、がん検診の自己負担を増やすことについてです。
18歳から39歳の若年者を対象とする健康診査の自己負担700円を800円に引き上げ、40歳以上の被保険者を対象とするすこやか検診の自己負担900円を1000円に、集団検診についても700円を800円に引き上げるとしています。
また、大腸がん検診の自己負担400円を500円に、骨粗しょう症検診の自己負担300円を400円に引き上げるものです。さらに、子宮頸がん、乳がん、大腸がん検診の無料クーポン券が国の方針で新年度に廃止されるとのことです。
受診率を引き上げ、市民の命と健康を守ることが最大の課題であるにもかかわらず自己負担を引き上げ、無料クーポン券まで廃止するのは逆に受診率を引き下げる事になってしまいます。
市長!すこやか検診、がん検診の受診率を引き上げることこそやるべきで、自己負担を引き上げる事ではありません。市長の見解を伺うものです。
こうした市民に喜ばれてきた制度を削り、健康を守る施策の自己負担を引き上げる事が市長の掲げた市政刷新NEXTなのですか。このことが市民から望まれている施策なのですか。市長の政治姿勢が問われています。その見解を伺うものです。
質問の第4に、市民の願いにこたえた自治体本来のくらし、福祉の向上という役割を発揮する点についてです。
安倍政権がすすめる社会保障の大幅な削減、くらしを圧迫する方向が進んでいるだけに自治体が住民のくらし、福祉を守る防波堤としての役割を発揮しなければなりません。具体的に伺います。
第1に、こども医療費の助成制度についてです。
この制度は、すでに37都府県で医療機関での窓口無料化が実施されています。こうした中、県に対して窓口無料化の実施を求める県民の要望と運動が広がり、県議会で4度にわたって請願が採択されてきました。また、県内の市と町からも償還払いから現物給付に改善する要望があいついできました。その結果、県はようやく、この制度を改善し、現物給付であっても補助を継続するとしました。しかし、県の制度は、通院の対象が3歳児まで、入院の対象が小学校入学までのままで、しかも、所得制限があり、今回も窓口での一部負担を求めるものとなっています。一方、県内の自治体では、住民の願いに応え、対象は、18歳までとする自治体が7割近くにまで広がっています。輪島市では、昨年11月から窓口無料化が始まっています。これに続き、白山市、加賀市、能美市、宝達志水町などが実施を表明してきています。
市長!本市は、この7月から償還払いから現物給付に制度を改善するとしました。一方、通院では一回500円の負担。入院では月に1000円の負担を求めるとしています。対象年齢も中学校卒業までとしています。
市長!県内自治体の中で、遅れることなく、窓口完全無料化と対象年齢の引き上げを実施するべきと考えますが、その見解を伺うものです。
第2に、介護保険料の引き上げについてです。
65歳以上の第1号被保険者の介護保険料の基準月額5,680円を6,280円に引き上げる提案がされました。3年ごとの見直しによるもので、介護保険制度が始まった2000年に3,150円だった保険料が2倍に引きあがることになります。年金の3年連続引き下げが実施され、消費税の増税と物価の上昇が、高齢者の生活を直撃し、その生活実態が悪化の一途をたどっています。こうした中での今回の介護保険料の引き上げです。
市長!現在の介護保険制度は、高齢者が増え、介護サービスや施設の増加とともに保険料も引き上がるという仕組みのなかで、高齢者の負担も限界となってきています。国の責任ある財政負担が必要です。国への働きかけを強く求めるとともに、本市独自に財政措置を講じ保険料の引き上げをやめるべきと考えますが、市長の見解を求めるものです。
第3に、介護報酬の引き下げと施設整備についてです。
安倍政権は介護報酬の2.27%引き下げ、過去最大規模の削減を打ち出しました。
一方介護の現場では、介護職員の低賃金によって職員が集まらず、深刻な人手不足となっています。今回の介護報酬の引き下げによって、運営が立ちいかなくなるとして、特別養護老人ホーム建設を中止する事態が生まれています。今回、介護職員に対する処遇改善加算が盛り込まれましたが、介護報酬全体の引き下げによって、施設自体の運営が困難に追い込まれ、結果として人員の削減や施設の縮小、閉鎖に追い込まれることが危惧されています。
市長!介護報酬の削減を中止するよう国に求めるべきです。その考えを伺います。また、新たな本市の介護事業計画における特別養護老人ホームなど施設整備計画の具体的目標を明らかにするとともに、今回の介護報酬引き下げによる影響をどのように考えておられるのか伺うものです。
質問の第5に、くらし応援の市政の転換についてです。
第1に、水道料金の引き下げ実施を求めるものです。
県は、新年度から県水の責任水量を現在の7割を6割に引き下げること表明しました。この間、受水している12の市と町が要望してきました。また、わが党をはじめ、県民の会、市民の会などから繰り返し求めてきたものであります。県が県水の責任水量の割合を引き下げた結果、受水している市と町の財政支出が軽減することになります。まず、本市の軽減額を明らかにするよう求めるものです。
本市の水道料金が高くなっているのは県水受水にあることは明らかです。
本市は、自己水の単価に比べ3.8倍も高い県水を膨大に受け入れ、責任水量制によって、その7割を支払わなれければなりません。その額は、年間32億4900万円にのぼります。一方、安くておいしい自己水で十分まかなえるにも関わらず、配水能力の3割程度しか使っていません。わが党は繰り返し、こうした問題点を明らかにし、県に対しても直接改善を求めてきました。
今回、県が県水の責任水量を引き下げたことによって生み出された財源は、水道料金の引き下げを実施し、市民に還元すべきです。さる3月5日市民の会が水道料金の引き下げを求める署名814筆を企業管理者に提出しました。水道料金の引き下げ実施についてその見解を伺うものです。
第2に、国民健康保険料の引き下げと軽減措置の拡大についてです。
国民健康保険料の算定方式を住民税方式から旧ただし書き方式に一昨年、変更したため、6万4千世帯の加入者の内、約4割にあたる2万4千世帯の保険料が引きあがりました。そのため、激変緩和措置が取られましたが、一般世帯では、今年度で終了し、障害のある方の世帯などでは新年度で終了します。住民税方式に比べ2倍にもなるなど保険料の負担が大きく、その結果、支払えない世帯が加入者の2割にのぼっています。
市長!保険料を引き下げるとともに、低所得者や障害のある世帯に対する軽減措置を講ずる考えはありませんか。見解を伺うものです。
第3に、家庭ごみ有料化の導入検討についてです。
本市は、平成27年度から41年度までの15年間を計画期間とする第5期ごみ処理基本計画を策定するとしています。その計画概要の中で、新たに、家庭ごみ有料化の導入を検討することを打ち出しました。市民生活にかかわるだけに重大な問題です。
本市では、今から55年前の昭和35年にごみ収集手数料条例が制定され、ごみ収集手数料が昭和36年1月から実施をされました。しかし、5年後の昭和41年3月には廃止された経緯があります。
私の大先輩の浅井市議が当時、この問題に取り組み、市長を相手に裁判を起こすとともに市民からの批判が高まり、廃止にいたたったわけです。
問われたのは、地方自治体が税金を持って行政サービスをおこなっているにも関わらず、広く市民にかかわる家庭ごみにお金を取っていいのか。税金の二重取りではないか。という点でした。
現在、町会をはじめ、多くの市民の方々の協力によって分別収集、資源回収、ステーション管理などが行われています。その上、家庭ごみの有料化によって、市民に経済的負担をかけることは、市民の理解を得られるものではありません。
市長!ごみの有料化がいったん導入されたものの廃止された本市の歴史的経過をどのように受け止めますか。そして、家庭ごみの有料化の導入についてやめるべきです。市長の見解を伺うものです。
質問の最後に、競輪場外車券売り場設置をめぐる疑惑解明のために設置され百条委員会を通じて問われた市長の責任についてです。
わが党市議員団が提出したこの問題の疑惑解明のための百条委員会設置議案が昨年10月議会で可決・成立し、この間5人の証人尋問が行われ、市長も二度にわたる証言が行われてきました。今回、報告書がまとめられることになりますが、この百条委員会を通じて市長ご自身の責任が問われました。
市民と議会に対して裏切った行為として批判された第1は、ギャンブル施設は、いらない!との市民と議会の声を裏切り、競輪場外車券売り場の設置同意文書に署名・押印したこと。第2は、市民と市議会に隠し続けたこと。競輪場外車券売り場設置をめぐって、4年前の市長選挙出馬の際に業者と念書を交わし、市長に当選すると設置同意文書に署名・押印しておきながら、この事が1年8か月後に明るみになるまで隠していました。第3は、税金投入する代替案を太田武男元社長に提示し、高岩勝人市議とともに密室で協議を行ったこと。
この三つの点に加え、2つの虚偽の発言でした。その第1は、設置同意文書への署名・押印した事が明らかとなり、その釈明を行った一昨年3月29日に開かれた本市議会全員協議会で、「これ以外のことは全くない」とのべながら、税金投入での代替案について提案し業者と話し合っていた事が明るみとなり、市議会に虚偽答弁したことになると厳しい指摘がされました。第2に、4年前の市長選挙への立候補表明の際に交わした念書について、山野市長は、「私が押印いたしました」と証言しましたが、太田武男氏は、「奥様が判こを持っていらっしゃいまして、その提出した2枚に判こを押していただいた」と証言しました。山野市長が2月20日の再度の証人尋問で釈明し、「妻が押した」と証言しました。前代未聞の対応であり、市長!あなたの証言は、偽証として告発に値すると百条委員会で私は、発言しました。
代替案の内容がストックヤードだったのか。リサイクルプラザだったのか。証言に食い違いが残ったままです。金銭の授受について証言に食い違いがあります。
そして、市議が市長といっしょになって税金投入やその議案をいかに通すかなど議会対策が密室の中で話し合われるなどその経過も明らかとなり、議会と議員のあり方が問われました。そして、何よりも密室の中で、利権がうごめく話し合いが進められるなどその政治の実態と市長の責任が問われました。
市長!46万市民の暮らしを守って、公正公平な市政運営を図らなければならないあなたが、一部の業者のために利便を図り、自ら犯した過ちをおおいかくし、市長という立場を守るために税金投入の代替案まで業者に提示し、密室で話し合うなど市長としての資格が問われました。市長の職を辞職し、選挙で再選されたからと行って免罪されるものではありません。
今回の百条委員会を通じて問われた市長としての責任についてどのように受け止め、自らを処するのか。明確な答弁を求め、私の代表質問を終わります。