金沢市議会3月定例月議会 一般質問
金沢市議会議員 奥野 ひでなり
このたび、質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一人として質問させていただきます。
質問に際しまして、一言申し上げます。4年前の3月11日の東日本大震災によって被災された方々、また今なお避難生活を続けておられる方々に対して、改めて心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興を願いします。
さて、本年1月から2月にかけておこったイスラム過激武装組織のISが湯川遥菜さんに続いて、ジャーナリストの後藤健二さんに対して行なった蛮行が行われました。こうしたテロは、絶対に許されません。
しかしながら、安倍政権や一部の有識者から発せられている、在留邦人の保護を口実とした集団的自衛権行使の正当化、自衛隊を海外に派遣しようとする動きに対しては、わが党は断固反対いたします。
日本はかつて、在留邦人の保護や、海外での紛争解決の名のもとに日清・日露戦争を起こしたという負の歴史があります。日中戦争もまた、しかりです。その結果、日本がどのような道を歩んだのか、それは歴史が鮮明に物語っています。
今年は戦後70年、本市では平和都市宣言を発して30周年という節目の年にあたります。10月定例月議会においても、私の質問に対して市長は、「平和に対する思いは私と同じ」と答弁されました。戦争という悲劇を繰り返さないよう、邦人救出の名のもとに自衛隊を海外に派遣するような事態は絶対に認めないことを国に強く求めていくべきと考えますが、市長のお考えはいかがでしょうか?
同時に、平和教育に力を注ぐべきだと考えます。
私事ではありますが、私の祖父は大正8年生まれで、前の大戦では南方戦線に送られました。幸いにして私の祖父は後方勤務であったがために、一発の銃弾も撃つことはありませんでしたが、戦争体験の悲惨さをことあるごとに私に申しておりました。いつ死ぬかもしれないという極限の状態で暮らしていたこと、飢えに苦しんだ日々のこと、満足な医薬品がなく赤痢に苦しめられた経験、そうした話を聞くたびに平和の大切さを痛感すると共に、憲法9条の重要性を痛感したものです。
また、私の子どもの頃には、8月になると戦争をテーマにしたドキュメンタリーや映画、ドラマ、アニメなどがテレビで放映されておりました。しかしながら、近年では戦争を題材にした番組は極端に少なくなり、前の大戦は風化の一途をたどっております。
NHKが2010年と2013年に実施した世論調査でも、「日本が真珠湾を攻撃して太平戦争が始まった日は」という設問に、12月8日と回答したのが20.0%に対し、知らない・わからないが74.8%という結果が、「広島原爆投下の年月日は」という設問には20代~30代の正答が25%、40代の正答が30%、50代の正答が33%という結果が報告がされました。また、日本がアメリカと戦争をしたということさえ知らないという若者も増えております。
あの悲惨な戦争体験は語りたくない、という方もいらっしゃいますが、いっぽうで戦争体験を今語りつがなければ、日本がふたたび戦争という道を歩みかねないと声を上げられる方も多くいらっしゃいます。自民党の元幹事長であった野中広務氏・古賀誠氏も、2月15日にTBS系列で放映された「時事放談」において、「私の世代は、愚かな戦争、苦しかった戦後を知っている最後の世代だと思う。それだけに平和の尊さをしっかり勉強して考えてもらいたい」「わずかだが戦争を経験した生き残りの一人で、戦争がいかに愚かなものかをこの体を持って知ってきた一人、戦争は絶対やってはならないということをぜひわかってほしい」などと述べられました。
こうしたお声に対し、市長はどのように感じられておられますか?
私は、戦争という愚かな行為を繰り返させないためにも、小中学校の8月6日や9日の登校日を通して、平和の尊さを学ぶ取り組みを進めるなど、教育現場や学校図書などで平和の大切さを学べる場を、また、課外授業などで戦争体験を語っていただける方を教育現場にお招きできる場を本市が積極的に提供していくべきだと考えますが、いかがでしょうか?
そして、非戦災都市であり、「平和都市宣言」をしている本市から、平和の大切さを改めて国に求めていくとともに、本市として平和への取り組みを積極的に進めていくべきだと考えますが、市長のご所見をお伺いして、次の質問に移ります。
次に、公共交通に関してお尋ねいたします。
来年度予算案には、都市内交通体系構築費が計上され、新しい交通システムの導入の検討が盛り込まれています。
これは、どのような交通システムを想定されているのでしょうか?具体的なお考えがあれば、お聞かせください。
さて、ほどなく開業する北陸新幹線によって、駅周辺から中心街の混雑ぶりは、拍車がかかることでしょう。そのいっぽうで、旧市街地や郊外で生活しておられる住民に対して、交通権を保証しなければなりません。
非戦災都市であり、旧城下町の形態を色濃く残しているこの本市で、どのような二次交通を整備するのが最善なのか。また、これからは少子高齢化・人口減少が急速に進んでいくなかで、財政基盤に見合った新交通システムとは何かなど、慎重に議論せねばならないところです。
市民・住民との意見交換を十分に行い、広く住民の英知を集めた交通システムにすべきと考えますが、市長のお考えはいかがでしょうか?
と同時に、現行ある公共交通の整備と有効活用も積極的に検討すべきです。
もちろん、バス会社やタクシー会社などの民業を圧迫しないようにする配慮が求められますが、いっぽうで、地域の方々、とりわけご高齢の方々からのコミュニティバスの導入に関するご要望が広がっています。
本市は車中心の社会です。ただ、ご高齢の方のなかには運転への不安から、あるいはお身体の具合を悪くされてしまったために免許証を自主返納されたという方もいらっしゃいます。家族から車を運転しないように止められている場合もあります。
そうした運転されなくなった方々の交通権を確保し、広く住民の要求に応えるのが行政の役目ではないでしょうか?
私ども日本共産党市議員団は、現行ある「ふらっとバス」などにとどまらず、市内全域を対象に、公共機関、図書館、商店街やスーパー、病院、公衆浴場などを結ぶコミュニティバスを導入することを求めます。
先日も、私の地元のご高齢の方々から、
「ふれあい入浴券はあるものの、公衆浴場まで2回バスを乗り換えていかないといけない。時間もかかるし、お金もかかるから、直接公衆浴場まで行けるバスがほしい」
といったお声や、
「車を手放してから、出歩く機会が少なくなった。この辺にも、コミュニティバスが走ってくれれば、もっと気軽に図書館に通ったり、買い物に行ったりできる」
といったお声がありました。
安心して、気軽に使えるコミュニティバスの導入ついて、市民の切実な願いがありますが、これらを踏まえての市長のご所見をお伺いして、次の質問に移ります。
三番目の質問は、介護にかかわる問題です。
国が進める介護改悪によって、本年4月より、要支援1・2の方が受けている「訪問介護」「通所介護」が介護保険の対象から外され、地域支援事業として市町村に移行することになります。本市においては、約6600名の方がその対象となります。
サービス内容も、「多様な担い手による多様なサービス」と謳われているものの、実態は全国一律の基準を廃止して、専門知識や資格を持たないボランティアによる介護を認めるもので、市町村によってサービス内容に差が生じかねないばかりか、介護サービスを必要とする方々への生活が軽視されかねない、と懸念の声も上がっています。
国のこうした方策について、本市としてどのような対応をお考えになっておられるのか、お聞かせください。
さらに深刻なのは、介護度1・2の方々が特別養護老人ホームに入所できなくなる、という点です。
それでなくとも、現在、本市における特別養護老人ホームの入所待機者数は約1300名。介護度1・2の方への締め出しが行なわれれば、待機者が急増するという事態にもなりかねません。
入所を希望される方の状況を鑑みて、介護度1・2の方でも特例によって入所を認める、とされていますが、待機者数が一向に改善されない上、国が打ち出した介護報酬の2.27%引き下げによって、施設側は大きな負担を強いられるようになります。介護事業者は事業の見直しなどをせまられ、東京都の北区では特別養護老人ホームの建設が突然中止になるという事態まで発生いたしました。
市長!こうした国が進める介護改悪に対して、介護を必要とされる方はもちろん、市民の多くが不安を抱いております。次期長寿安心プランは、市民の不安を解消するものでなければなりませんが、概要を拝見する限りでは不安を増すものにはなっておりませんでしょうか?介護保険料だけを払って、サービスを受けられないという事態だけには発展しないよう、国に強く求めていくとともに、市民の方々の不安解消のために、本市として独自の取り組みをする必要があると考えますが、市長のご見解をお尋ねします。
次期長寿安心プランについての問題点は、これだけではありません。
施策目標の1番目に「多様な住まい確保」とありますが、特別養護老人ホームやグループホームの整備よりも、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームにウエイトが置かれてしまいかねないという重大な問題をはらんでいます。
ここ数年の、本市における特別養護老人ホーム・グループホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅の施設数と定員の推移について、お示しください。
同時に、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームのほうを希望される方もいらっしゃるでしょうが、特別養護老人ホームやグループホームを望んでおられる方、また入所を希望しながらも入所ができず、待機されたままお亡くなりになられるという方もいらっしゃいますので、そうした点に配慮し、特別養護老人ホームなどの施設の充実を図っていくのが行政の役割と考えますが、市長はどのようにお考えでしょうか?
介護の問題に関して、いまひとつ重大な問題に、介護現場における慢性的な人手不足という点があります。
来年度予算案、ならびに次期長寿安心プランの概要において、介護職員の定着促進のための相談窓口と情報交換の場(ケアワーカーカフェ)を開設するとありますが、これはどのような施設を想定されておられるのか、まず、お伺いいたします。
そして、介護の職に就いておられる方は休憩時間も満足に取れない状態にあり、病気であっても欠勤することもままならないといわれております。そうしたなかで、ケアワーカーカフェが活用されるのか危惧されますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
さらに申し上げれば、このケアワーカーカフェが介護職員の人材確保につながる事業になるのか、お伺いしたいと存じます。
介護現場での人手不足を招く要因のひとつに、待遇面があげられます。賃金があまりにも安いことから、若い介護職員は結婚を機に退職するという現象も起こっています。介護職を志す学生も年々減少傾向にあります。
介護現場での人手不足は、介護難民を生み出し、無理な在宅介護によって介護疲れ・看病疲れから自殺や殺人に発展するという事件が、全国各地で発生しています。
警察庁の調査でも、過去5年間で介護・看病疲れによる「殺人」「自殺」は1741件、年平均348件にのぼると発表されています。
国が介護報酬の引き下げをはじめとした介護の改悪を続ける現状を前にして、本市が進めるべきは国の方針に追随するのではなく、介護が必要なすべての方々に安心して介護サービスを受け入れられるような体制をつくることではないでしょうか。その最たるものが、介護施設の充実と、介護職員の待遇を改善することであると考えます。
そして、団塊の世代の方々が75歳を迎える2025年問題の前に、介護制度そのものが破たんしないよう、国に強く求めていくとともに、本市として独自の取り組みを進めるべきだと考えますが、市長のご見解をお尋ねして、最後の質問に移ります。
泉小学校・泉中学校の一体整備について、お尋ねいたします。
老朽化が進み、地域の方々からも要望の強かった学校の建て替えは、歓迎されるところです。社会の宝であり、無限の可能性を持った子どもさんが、豊かな学力を身につけ、感性を育み、成長を遂げられる学び舎となることを切に願います。
ただ、旧弥生小学校と野町小学校が統合されることで、校下という本市特有の地域コニュニティが維持できるのか、というご心配の声が寄せられております。この点について、当局のお考えをお聞かせください。
同時に、通学区域の見直しによって、これまでは高岡中学校に通うこととなっていた中村町小学校出身の生徒が、同校に通学することとなります。その結果、通学距離が長くなる生徒が生まれ、登下校時の安全面が危惧されます。また、校舎やグラウンドなどが整備されるまでの間、生徒や周辺住民の方々に、騒音・振動など大きな負担をかけることになります。安全面の確保と負担軽減に全力をあげるとともに、保護者の方々へはもちろん、生徒、周辺住民の方々にご理解をえられるよう取り組む必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか?
併せて、教職員の負担も危惧されます。現状でさえ、教職員は打ち合わせや研修に追われ、多忙感・負担感を感じております。この上、1000人規模の生徒が通うマンモス校となれば、生徒一人一人に行き届いた教育はできるのでしょうか?
そしてもう一点、危惧されるのが、2016年度から自治体の判断で小中一貫校を制度化する法案が国会に提出されることと、本市において中学1年生を対象に統一テストが行われることです。泉小学校・泉中学校の一体整備は、この小中一貫校の先取りではないか、あるいは学力優先の教育がなされるのではないか、という点です。
こうした点を踏まえての当局のご所見、ならびに、親御さんたちのご懸念にどのように答えるのかをお尋ねして、私からの質問とさせていただきます。
再質問
昨日、わが党市議団の森尾議員の質問で、市長は2017年までに特別養護老人ホームを9施設261床、グループホームは3施設54床整備されるとご答弁されました。
しかし、この計画によって入所待機者の解消につながるのでしょうか。市長は介護保険料とのバランスとおっしゃいますが、住民の福祉向上が地方自治体の責務であることを考えれば、特別養護老人ホームやグループホームの施設充実を積極的に進めていくべきではないでしょうか。市長のご見解を伺います。
本市の平和都市宣言では、「世界の恒久平和と核兵器の全面禁止・廃絶は、人類すべての願いであり、われわれはその実現に向けて不断の努力をしていかなければならない」とあります。この平和都市宣言の文言を念頭に、教育に取り組んでいく必要があろうかと思いますが、教育長のご見解を伺いたいと思います。