森尾よしあき 2015年度3月定例月議会 代表質問2016.3.10

金沢市議会3月議会 代表質問

日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭

 

私は、日本共産党市議員団を代表して以下質問致します。IMG_2340

 最初の質問は、野党が共同提案した安保法制廃止法案と憲法と平和を守る取り組みについてです。

 憲法に真っ向から背く安保法制が強行に成立してから5ヶ月が経過しました。憲法守れ、安保法制廃案を求める世論と運動は粘り強く全国に広がっています。こうした中、去る2月19日5つの野党党首が会談し、安保法制いわゆる戦争法を廃止する法案を国会に提出ことを確認すると共に、次の4点で合意しました。第1に安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通目標とする。第2に、安倍政権の打倒を目指す。第3に、国政選挙で現与党およびその補完勢力を少数に追い込む。第4に、国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う。との4つが確認されました。

 こうした野党合意について、作家の瀬戸内寂聴さんは「『戦争法』に反対する人は、国民の中では多数です。だけど、政治の世界ではそうならないのは、野党がバラバラでたたかっていたから。野党が団結しない限り『戦争法』を止めさせるのは無理です。道は野党共闘しかない」と述べ、さらに、「野党が団結したことは歴史的意味がある」として「日本の未来に希望が持てるようになってきた」と語りました。憲法学者で慶応大学名誉教授の小林節さんは「野党5党がそろって、選挙協力を始めることになったことを高く評価したい」と述べ、「かつチャンスができた」と語りました。憲法を守り、平和な国づくりをとの願いがいよいよ政治を大きく動かすチャンスが到来しました。私どもは、誠実にその実現に向け奮闘する決意です。

 一方、安倍首相は、去る2月の国会で、「憲法改正を在任中に成し遂げたい」と表明しました。その内容は、戦争放棄と戦力不保持を定めた憲法9条を変更し、「国防軍の保持」と集団的自衛権行使を憲法上明文化することです。そして、緊急事態法の制定を行い、緊急時の際には、内閣と内閣総理大臣に絶大な権限を与えるというものです。いずれも、自民党が打ち出している憲法改正草案に沿ったものです。

 ところで、憲法99条は憲法を尊重する義務を定めています。首相も我々も憲法を尊重する義務があるのです。

 市長は、憲法を守り平和への国民の願いをどのように受け止めておられますか。そして、憲法99条が明記している憲法尊重義務についての見解を伺うものです。

 ところで、市長は提案理由の説明の中で、「戦後70年あまりを経た今、物質的な豊かさや合理性を求め続けてきた結果、ともすれば自己中心的な価値観が優先され、道徳心や相手を思いやる心が薄れつつあることが少なからず憂慮されます」と述べ、続いて「『権利や自由』が『義務や責任』の上に成り立っていることを一人ひとりが分かりあえるよう、明年度は学校教育の充実はもとより、家庭教育や地域教育をはじめとする生涯学習の振興に力を注いでいく」と表明しました。この内容は、市長ご自身が戦後70年をふり返って、考えた価値観を述べ、それを学校教育などに徹底していこうとする点は、教育への介入とも受けとれるもので、重大です。

そして、その発言内容です。「『権利や自由』が『義務や責任』の上に成り立っている」という考えを学校教育などに徹底していくとしています。

憲法13条は「すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」としています。

 国民一人一人が尊重され、国民の権利は、最大の尊重がされるとしているのが憲法です。一方、市長は『権利や自由』が『義務や責任』の上に成り立っていと述べました。憲法とは大きく異なった考えを述べたものです。

市長と同じような内容は、自民党の憲法改正草案にあります。ここでは、憲法が国民に保障する自由及び権利について、次のように述べています。「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」としています。

市長。あなたには自治体の長として憲法を尊重する義務があります。この憲法に反するような発言は、撤回すべきではありませんか。市長の見解を伺うものです。

 

質問の第2に、アベノミクスの破たんと市民生活を守る取り組みについてです。

安倍政権が進める経済政策であるアベノミクスの行きづまりがいよいよ明白となってきました。

大企業だけが巨額の利益をえても働く人々の賃金はあがりません。消費税の増税と各種税金などの負担増。さらに、物価の値上がり。こうした4つの重圧と苦しみに庶民は悲鳴と怒りの声を上げています。

最近の読売新聞による世論調査では、3年余りの経済政策を「評価しない」57%。複数回答でその理由のトップに挙げたのが「収入が増えない」60%。景気回復を「実感していない」84%。今後の景気回復を「期待できない」65%とのことです。

家計調査を見ても、実質実収入は減少し、30年前以下の水準に落ち込んでいます。GDP・国内総生産はマイナスが続き、回復どころか成長が止まったままとなっています。そして、日本銀行が打ち出したマイナス金利は、アベノミクスの破たんを示すもので、預貯金金利が下がるなど国民への影響が広がっています。

日本経済が低迷しているのは、庶民の消費が停滞しているからです。こうした状況にも関わらず、安倍政権は、来年4月から消費税を8%から10%へと引き上げ実施を打ち出しています。これに対して、スーパーなどでつくる日本チェーンストア協会の会長は「10%への消費税増税について実施を再延長か。凍結してほしい」と述べています。金沢同友会代表幹事は「消費税増税の反動が回復しておらず、10%引き上げは反対だ」と述べています。

市長。市民生活の現状と地域経済の実態から消費税10%引き上げを見送るよう国に求めるべきと考えますが、その見解を伺います。

私どもは、暮らし優先で日本経済を立て直すために4つの提案を行っています。第1に、消費税10%増税中止。第2に、社会保障削減から充実に転換する。第3に、人間らしい雇用ルールをつくる。第4に、TPP交渉から撤退し、日本経済の主権を回復する。こうした4つの提案を行い、その実行を求めています。そこで、市民生活と地域経済の振興を図る上で、次の3点について伺います。

第1に、国民健康保険料の引き下げ実施とすべての加入者に保険証を届ける事です。私は昨年の12月議会で取り上げ、国民健康保険への加入者は所得の少ない世帯が多く、国民健康保険料が収入の1割、総所得の2割にも上ること。国保財政は、4年連続黒字で、累積収支は約13億4千万円にのぼっていること。さらに、国からの財政対策として3億7千万円が本市の国保財政に入ったことを明らかにし、国民健康保険料の引き下げ実施を強く求めたところです。

 
   

今回新年度予算で保険料率の引き下げ実施が提案されています。保険料の算定方式を変更して4年が経過する中で、初めての引き下げとなりますが、その具体的内容と対象世帯など明らかにしていただきたいと思います。

 

新年度新たに基金を創設し、これまでの黒字分を積み立てました。その額は16億5千万円です。新年度その基金から2億1千万円が取りくずすこととなります。また、国からの財政対策として新年度4億3千万円予定していることからするとさらなる保険料の引き下げ実施が可能です。市長の見解を伺うものです。

 次に、資格証明書の発行です。国民皆保険制度はすべての国民が何らかの医療保険に加入することで全国どこでも医療を受ける事を保障し、命を守ってきた優れた制度です。ところが、保険料が納められない事態となると保険証が取り上げられ、医療機関の窓口で、全額支払わなければならない資格証明書の発行が行われています。ところが、いったん資格証明書が発行されると数年間にわたって保険証が届けられない事態が続いています。そうした実態と本市での資格証明書の現状と対応について明らかにしていただきたいと思います。

 加入者に保険証を交付するのは、自治体の責任です。すべての加入者に保険証の交付を行うよう強く求めるものです。見解を伺います。

 第2に、就学援助制度の充実についてです。

 義務教育は無償との見地から小中学校の就学に対して、経済的な理由で困難をかかえている方に対して就学に必要な費用の一部を援助するとしてこの制度が実施されています。

 まず、本市における就学援助制度の利用実績について、教員委員会から明らかにしていただきたいと思います。

 ワーキングプアーの年収といわれる年収200万円以下の方が1069万人に上っています。さらに、子どもの貧困が深刻となっているもとで、すべての子どもたちが安心して就学する上で、この制度の充実は欠かすことができません。そこで、二つの点について改善を求めるものです。

一つは、新入生に対して行われる新入学学用品費が8月末に支給されていることです。制服代はじめ入学にあたっての費用は10数万円にのぼります。新入学時に間に合うように支給時期を改善することが求められています。すでに県内でも、白山市、小松市では3月中に支給を実施しています。

二つ目は、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費を支給項目に加える点です。国は2010年平成22年から支給項目としていることから本市でも早急に実施することが求められています。この点での見解を伺うものです。

 

第3に、住宅リフォーム助成制度についてです。

 本市における個人事業所数は1981年昭和56年に2万件ありましたが、2014年平成26年には9600件と23年間で1万400件減り、半減以下となりました。

本市の個人事業所のうち製造業と建設業が14%を占め、この間、建設業の減少率が業種の中でもっとも高くなっています。

こうした中、住宅関連の消費喚起で地域経済を活性化し、定住促進や市民の住環境を向上する目的で、住宅リフォーム助成制度が全国各地に広がり大きな効果を上げています。

地域住民が住宅をリフォームする際に、その経費の一部を自治体が助成することにより、住宅の改善に寄与し、さらに地元業者への仕事出しにもつながるものです。本市の個人事業所が急激に減少している実態からも、こうした制度が強く望まれています。市長の見解を伺うものです。

 質問の第3に、連携中枢都市圏構想についてです。

 これは、本市、白山市、かほく市、野々市市、津幡町、内灘町の4市2町を対象に人口約72万人の都市圏を構想するものです。昨年12月議会で宣言を行い、本議会にはそれぞれの市と町との連携協約の締結議決が提案されています。

 そこで、まず、この構想がどんな目的で、具体化されていくのか市長に伺うものです。

 人口の流出などによる人口減少や高齢化の急速な進行がすすみ、地域経済の疲弊が全国各地で進んでいます。こうした中で、安倍政権が打ち出したのが地方創生です。ところがこの方針は、なぜ、ここまで地方の衰退が進行したのかその検証もないまま市町村の連携と称して地方への企業や公的機関の移転をすすめ、新たな拠点づくりを進めようとしています。

 小泉内閣のもとで行われた平成の大合併と三位一体改革が地方自治体と住民に大きな犠牲と負担を押し付け、今日の事態を引き起こしてきました。

 平成の大合併によって、3000あった自治体が1700と半分近くに減りました。三位一体改革と称して地方交付税が3年間で約5兆円削減され地方の財政運営に困難をもたらしました。社会保障の削減が進み、規制緩和によって地域経済を支えてきた商店などが地域からなくなり、生活するのに困難な状況が広がっています。

 私どもは先般、白山市を訪ね、2005年に松任市、美川町、鶴来町、はくさん五村の1市2町5村が合併し、その後の状況を伺ってきました。合併による広大な地域を対象とした行政運営に苦労されていました。中でも、スキー場の閉鎖による財政負担や合併特例債が終了し、その返済に伴う財政運営など多くの課題を抱えておられました。

 市長。本市は当時野々市町との合併などを進めましたが実現しませんでした。この教訓をどのように受け止めておられるのか伺うものです。

 安倍政権があらたな自治制度の改編として政令指定都市を道府県から独立させる「特別自治市」を打ち出しました。さらに、都道府県を解体し、道州制へと移行していく方向を示しています。

 今回の連携中枢都市圏構想が目指すものとは、人口72万都市の形成へとすすみ、本市を中心とした道州制の中心都市として位置づけられるものです。これは地方自治の発展どころか新たな装いをもってすすめる自治体の合併そのものです。

この方向には、住民が参加と協働による地方自治の発展という姿はありません。

市長の見解を伺うものです。

 この項の質問の最後に、今後どのように進めていかれるのか具体的に伺います。

第一に、連携による都市機能の強化、生活関連機能サービスの向上を掲げていますが、その具体化はどのように進めていかれるのか。第二に、石川中央都市圏ビジョンなるものはどこで検討されるのか、その際、本市の重点戦略や県の長期計画、各自治体の総合戦略との兼ね合いは、どのように考えていかれるのか伺います。第三に、こうしたビジョンを進めるための財政計画はどのように考えているのか。以上の点について見解を求めるものです。

 質問の第4に、議会棟が主たる第二庁舎建設事業についてです。

 市長は、提案説明の中で、第二庁舎建設について、3年後の平成31年の完成を目指し実施設計に取り組んでいくと述べました。

 この間、私は本会議並びに委員会で繰り返し取り上げ、問題点を明らかにしてきました。とうてい市民の理解を得られる事業ではありありません。

第一に、第二庁舎建設事業は、議会棟が主たるもので、事業費が64億円に上り、こうした事業に市民の税金を投入して進めてよいのか問われています。

 市役所本庁舎は、耐震工事を終えたばかりで議会棟は現在も使用が可能です。この間、共有スペースと会議室などを減らしたものの、事業費は、65億円が64億円に変更されたにすぎず、議会棟が共有スペースを除き全体の半分を占める事にはかわりはありません。税金の無駄遣いとの批判を拭い去ることはできません。

 

第二に、地下通路建設は止めるべきです。

 当初、第二庁舎の計画は、地下2階地上3階の建物としました。本庁舎と結ぶ地下通路について、本庁舎と第二庁舎建設予定地である南分室との間には用水があり、文化財である西外惣構堀があることから地下深くならざるを得ないとしてきました。ところが。具体的検討に入ると地下10m深く掘ることになり、そうなると事業費がかさむとして断念せざるを得ませんでした。そして何とか打ち出したのが市庁舎と21世紀美術館との間にある道路の下に建設するというものです。しかし、この案も大きな問題があります。道路下にある埋設物を移転するための補償費用が約4億円にものぼることです。さらに、この案では、地下通路は、直線で結ぶことができず、しかも、第二庁舎建設の計画では、地下2階であったものを地下1階に変更せざるを得ませんでした。また地下通路は平たんではありません。坂道となっています。補償費用を含む建設事業費は8億4千万円です。いったい誰のための地下通路なのか。こうした地下通路を建設する必要があるのか。市長から説明をもとめるものです。

市長。この事業は根本から見直すことが必要です。その決断を求めるものです。

 

質問の最後に、家庭ごみ有料化制度導入についてです。

 市長は、昨年3月議会であらたに策定された本市ごみ処理基本計画に基づき家庭ごみ有料化導入を打ち出しました。

 
   

3回開かれた市民フォーラムでも参加された市民からは家庭ごみ有料化に対する疑問と批判の意見が多く出され、昨年11月に打ち出した家庭ごみ有料化実施計画(素案)に対する意見公募には約300件の意見が市民から寄せられました。

市民からの疑問や批判が日増しに広がる中、昨年の12月議会では提出された「家庭ごみ有料化せず、ごみの減量化と資源化を求める」陳情が継続審査となっています。今年1月には「市民の会が」家庭ごみ有料化反対の署名3065筆を提出しましたが、市長ご自身は直接会おうともしませんでした。

今年1月に開かれた廃棄物総合対策審議会では、町会連合会や婦人会の代表から「今すぐに、有料化を受け入れることはできない」と強い表明があり、有料化導入をすぐに受け入れを了承する答申とはなりませんでした。ごみステーションの管理をはじめ、資源回収などに取り組んでいる町会の方などから、われわれに話もなく有料化を進めることはもってのほかだという意見や、市はわれわれの苦労を知っているのか。ボランティアでごみ処理にあたっている市民の気持ちを理解しての有料化の提案なのか疑問だ。など意見が相次ぎました。

市長。こうした市民の意見をどのように受け止めておられますか。「有料化先にありき」では到底市民からは受け入れられないという事こそ、あなたが述べた「真摯に受け止める」べき事ではありませんか。有料化の説明ではなく、ごみの収集処理や減量化をどのように進めるのか。市民とじっくり話し合う事こそやるべきです。市長の見解を伺うものです。

 第二に、市が説明してきた有料化導入の説明や制度設計が市民から受け入れられないことから有料化導入を断念すべきです。

 市当局が有料化の目的として掲げたのは、ごみの減量化、負担の公平、ごみ処理経費の削減そして、将来世代への負担軽減でした。

 これに対して、市民からは有料化しても、その効果は、長続きせず、市民的な協力で、ごみの減量化に取り組むことが大切でないのか。資源化率を上げようとするなら、もっと資源化への取り組みを盛り上げ、事業系のごみの分別・資源化を強化することこそ、やるべきことではないのか。など有料化する前にまだ、やるべきことがあるのではないか。との意見が表明されました。

そして、ごみ処理は、自治体本来のサービス事業であり、これは税金をもって充てるのが本来の姿であり、指定ゴミ袋を市民に買ってもらうという家庭ごみ有料化はやめるべきとの意見でした。

 市長。家庭ごみ有料化を断念し、市民の意見をしっかり聞いて、市民と行政が信頼を築き、ごみ行政を進めていくことがなにより大切ではありませんか。その見解を伺います。

 

最後に、ごみの減量化への取り組みについてです。

 新聞紙、雑誌類、古着類の回収、資源回収の常設化、せん定枝の回収と再利用、生ごみの減量化をはじめ、資源化に向けた市民的規模での取り組み、事業系ごみの分別資源化の徹底。こうした取り組みを市民とともに行うことが求められています。市長から今後の取り組みについて伺い、私の代表質問を終わります。

※ここをクリックしていただくと、図・表などが入った森尾議員質問原稿をPDFで表示します。

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