議会議案第11号共謀罪の立法化に反対する意見書の提案理由の説明
2016.6.21 日本共産党金沢市議会議員 森尾 よしあき
私は、日本共産党金沢市議員団を代表して議会議案第11号共謀罪の立法化に反対する意見書の提案理由の説明を行います。
これまで自民党政権は、この共謀罪の立法化に向け、3度国会に提出しましたが、人権侵害との厳しい批判を受け、廃案となってきました。
安倍政権は、今度は装いを変え、共謀罪の名称を「テロ等組織犯罪準備罪」とし、対象を「組織的犯罪集団」に限るとしました。しかし、以前から批判が集中していた対象犯罪については、以前と同じ600を超えたままとなっています。
この共謀罪の問題の本質は、犯罪が行われなくても「犯罪を共謀した」というだけで処罰するというところにあります。
近代の刑罰法では、思想・信条を処罰の対象にしてはならないことは当然です。そして、刑罰は犯罪行為が実行された場合のみを対象とする原則が確立しています。
対象についても、問題が指摘されてきました。その結果、これまでの「団体」としてきたものを「組織的犯罪集団」に変更しました。しかし、「2人以上で計画した」グループが組織的犯罪集団として対象となるわけですから、内容が変わったわけでなく、どんな団体にしろ対象となる危険がなくなったわけではありませし、捜査機関の拡大解釈と乱用を危ぶむ意見や、いったん法律が制定されると対象範囲が拡大されたりする恐れも指摘されています。
今回の法案提出をめぐって、TPP・環太平洋協定の承認案件を優先するとして見送りの可能性が報じられています。一方、自民党二階幹事長は、「できるなら早く決着をつけた方がいい」と発言しながらも慎重な姿勢を述べ、提出の断念を決断してはいません。
よって、この意見書は、国に対して我が国の刑事法体系の基本原則に矛盾し、基本的人権の保障と深刻な対立を引き起こし、国民の強い批判の中で廃案となってきた経緯から、こうした共謀罪の立法を行わないよう強く要望するものです。
こうした本意見書に対して、議員各位の賛同を求め提案理由の説明を終わります。