2017年12月議会 森尾議員一般質問(一問一答)

-森尾議員

 私は日本共産党市議員団の一人として、以下質問いたします。

 安倍政権は、「森友」「加計」問題にみられる国政私物化、憲法破壊、民意を踏みにじる政治に対する国民の批判が広がる中、突然の解散を行いました。そして総選挙直前には、市民と野党の共闘に対して突然の分断と逆流が展開され、日本の政界が憲法改正をすすめる二大政党化へと急速に進みかねない重大事態に直面しました。しかし、新たな野党共闘が作られ、逆流を押しとどめ、国民の願う政治への転換の方向を作り出しています。総選挙の結果、自民党と公明党が議席の3分の2を占めましたが、それは安倍政権の政治的基盤が強固になったことを意味するものではありません。小選挙区制のもとで自民党は、比例代表では得票率が33%、全有権者では17%に過ぎませんが、議席の61%を獲得しました。安倍政治に対して国民多数が信任を与えたものではありません。国民の願いとはかけ離れた政治に対する批判が強まる中、安倍政権が打ち出した憲法9条の改正と社会保障制度を後退させる方針にどのように向き合うのか問われています。そこで、憲法を順守する立場である地方自治体の長として、また本市の平和都市宣言に照らして、市長は安倍政権の進める憲法9条の改正に対してどのように向き合うのか、まず伺いたいと思います。

 

-山野市長

 度重なる北朝鮮のミサイルの発射、また中国の力による海洋進出、テロの多発、国際社会におけるパワーバランスの変化など、日本を取り巻く環境が時々刻々と変化をしているところであります。その中で安全保障制度をはじめとした憲法の在り方について、国を挙げて広く議論をしていくということは、私は重要なことだというふうに思っております。憲法は国の姿を現すものであり、国の根幹に関わってくるものであります。我が国の繁栄、そして国民の生命・財産を守り、日本の進むべき進路を見定めていくためにも、国民議論が深まることを期待をしているところであります。

 

-森尾議員

 最近の世論調査を見ますと、安倍政権の下での憲法改正について聞いたところ、賛成が36.0%、反対が48.6%とのことです。国民は安倍政権がすすめる憲法9条の改正を望んでいません。市長、このことをしっかりと受け止めるべきです。

 次に、安倍政権が社会保障制度の後退を次々に打ち出しています。そして実行しようとしています。75歳以上の医療費の自己負担を1割から2割へ、介護保険制度では「要介護1と2」の方が利用する掃除・洗濯などの生活援助を介護保険サービスから外す。医薬品の窓口負担を3割負担からさらに増やす。生活保護費見直しでは、生活扶助の最大1割の引き下げや母子加算の見直しを打ち出しています。そして消費税10%への大増税を強行する一方、法人税実行税率を20%にまで引き下げるとしています。市長はこうした安倍政権が次々に打ち出している社会保障制度の後退を進めようとする中、どのように向き合い、市民の暮らし・福祉を守って行かれるのか伺いたいと思います。

 

-山野市長

 持続可能な社会保障制度の構築というものは国家的な課題であるというふうに思っています。国が責任を持って行うべきものだというふうにも思っています。同時に少子化・高齢化が急速に進む中で、我が国の社会保障制度は今のままでは限界があるというふうにも感じています。社会保障と税の一体改革を着実に実行していくことは、私は避けて通ることのできない課題だというふうに思っています。ただ自治体にとって住民の生活実態や地方財政が与える影響に十分配慮した改革となることも大切な視点であるというふうに思っています。国の動向を注視していきながら、必要に応じ全国市長会等を通じ国に適切な対応を求めて参ります。

 

-森尾議員

 そこで明年度の予算編成について伺います。地方自治体の本来の役割というは、そこに住む住民の暮らしや福祉の向上に努めることです。この点からすると、来年度予算編成に当たって、市民生活に直結する課題について伺います。まず国民健康保険制度の問題についてです。国民健康保険制度は来年度から運営主体が都道府県に移行するわけです。先ごろ石川県が、市と町が県に支払う納付金について試算を明らかにしました。それによると2017年度の試算に比べ、県内19の市と町のうち、4割に当たる8つの自治体の負担が増加するとしています。本市もその一つです。来年1月には最終の算定結果が示されて、新たな保険料が設定されることになります。一方、厚労省は来年度に関して市町村の立場で激変を生じさせないよう配慮を求めています。市長、国民健康保険財政には15億8千万円の基金があり、保険料の引き下げは可能です。見解を伺いたいと思います。

 

-山野市長

 都道府県単位化後の保険料につきましては、今森尾議員にご指摘いただきましたように来年1月、県から通知される標準保険料率を参照のうえ、県への納付金を考慮して算定する予定となっています。現時点では保険料の引き下げは考えてはいません。

 

-森尾議員

 介護保険料について。3年ごとの事業計画と保険料の算定を行うとして来年度検討がされています。この介護保険料の負担感を考えると、その引き下げを実施すべきと考えますが、市長の見解を伺います。

 

-山野市長

 介護保険制度は法令によりまして給付費の一定割合を保険料で賄うことが定められています。今ほどご指摘ありましたように平成30年度から介護保険料をまた改定するわけですけれども、今後3年間に必要なサービスの給付量を適切に見込み、その費用に合った額を設定することとしています。

 

-森尾議員

 保育料について伺います。共働き世帯にとって保育料の負担が重くのしかかっています。来年度の保育料について、引き下げを考えるべきと考えますが、この点での市長の見解を伺います。

 

-山野市長

 本市では保育料をこれまでも国の徴収基準額よりも低く設定をしていますし、19年連続で据え置きをしているところであります。また今年度ですけれども、低所得世帯に配慮した教育認定の保育料の引き下げやひとり親世帯等にかかる負担軽減制度の拡充を行っており、今のところこれ以上の引き下げは考えてはいません。

 

-森尾議員

 水道料金について伺います。平成27年度県水受水の責任水量制の負担が7割から6割へと軽減され、28年度には県水受水契約が見直されました。その結果、県に支払う受水費が削減され、会計上では平成27年度11億5千万円、平成28年度14億円と大幅な黒字を生み出しています。したがって水道料金の引き下げを行い、市民への還元をすべきです。公営企業管理者にその見解を伺います。

 

-桶川公営企業管理者

 本市ではこれまでも老朽管対策を重要課題としてとらえ、更新計画の前倒しを行ってきていますが、高度経済成長期に重点的に整備した管路が順次更新時期を迎えますことから、今後更新費用は増大していくことが見込まれます。このため今年度新たに老朽管更新積立金を設け、中長期的な視点から毎年度の利益を積み立て、老朽管の更新費用に充てることとしております。そうした水の安定供給と健全な経営を持続するためにも、料金の引き下げは考えてはおりません。

 

-森尾議員

 明年度の予算編成に当たって最後の点を伺っておきたいと思います。それは、市長が議会のたびに相次ぐ公共施設建設を打ち出しています。市営サッカー場の1万人観客席への改築。小将町中学校を中央小学校の敷地へ移転、中央小学校をこども図書館用地へ、ここに中央小学校とこども図書館、さらに公文書館を併設。障害のある児童生徒を受け入れる学校施設の建設。学校給食のスクラップandビルド計画として6千食から7千食の調理場を建設し、鞍月共同調理場センターの改築。室内運動広場の建設が金沢プール横で始まっています。さらにコンベンション施設の検討などがあります。そして100億円以上とも言われる美大移転・新築計画が始まります。市長は、本市が立てた中期財政計画が見直しどころか破綻に追い込まれかねないと、一体財政の裏付けがあるのかと、この点について伺っておきたいと思います。

 

-山野市長

 大規模な公共事業につきましては、重要規定計画事業として財政需要を中期財政計画に的確に盛り込んでいるところであり、財政が健全性を損なうことがないよう、中長期を見据えた財政運営に心がけてきたところであります。これまでの中期財政計画の実践により、市債残高ですけれども、臨時財政対策債を除く実質で、ピーク時の約半分に減少を致しました。実質公債比率も7.9%と低く抑えられており、今のところ財政の健全性は保たれているというふうに考えています。ただこれから社会保障費の増加、さらには老朽インフラの再整備費等に巨額な財政需要が見込まれますことから、引き続きそれらの動向を注視をしながら社会保障費の伸びの的確な予測、公共施設等総合管理計画のローリング等に努め、中期財政計画に反映をさせていきたいというふうに考えています。逐次議会の皆さんに報告をしながら進めていきたいと考えています。

 

-森尾議員

 市民の暮らし、福祉の向上を図るという地方自治体本来の役割に立ち返り、今後の本市の発展計画と運営をすすめるよう強く求めておきたいというふうに思います。

 

 次に家庭ごみ有料化実施について伺います。

 市長は提案説明の中で「より丁寧な説明を重ね、制度のさらなる周知」について述べておられました。しかし現状は「ない」「ない」「ない」状態と、私はこう思っています。その「ない」とは、市民の理解と合意がありません。私ども市議員団がこの9月から「市民アンケート」を市内6万枚配布し取り組んだところ、1800通を超える返事をいただきました。その中で「家庭ごみ有料化についてどう思いますか」との問いに「納得いかない」という回答が6割を超えました。さらに市の行っている説明会に参加し市からの説明を聞いたことがありますかとの問いに「ない」と答えたのが50%、「説明会すらきいたことがない」19%と合わせると7割の方が市からの説明を聞いていません。市長、現状では市民の理解と合意は得られていない。こうした現状についてどう受け止めておられるでしょうか。

 

-山野市長

 これまでも平成27年3月第5期ごみ処理基本計画で施策として挙げてから、全ての議会においてこの議論がなされているところであります。説明会も何度もさせていただいたところであります。私も直接出掛けていって行った説明会もありますし、またお声をかけていただいたところにも時間が合う限り可能な限り出かけて行きながら説明をさせていただいたところでありまして、今年の3月議会に議会の皆さんのご了解をいただいて来年2月の施行に向けて準備を進めているところであります。私は市民の皆さんのご理解をいただきながら進めてきているところであります。

 

-森尾議員

 もう1つの「ない」は、今何故有料化しなければならないのか。市の説明には説得力がない、ということです。市民から様々な疑問や意見が絶えることなく続いています。私どもが取り組んだ「市民アンケート」でも多くの市民からご意見をいただきました。また地元新聞の声の欄にも意見が続いています。こうした市民の意見の特徴は、第一に「ごみの量が減っているのになぜ有料化しなければならないのか」、第二に「有料化先にありきで進めていることから、有料化導入への理解と合意作りができていない、行政が一方的に有料化を進めることはあってはならない」。こういう意見なんですが、市長はこうした市民の意見にどうお答えになられるでしょうか。

 

-山野市長

 ごみが減っているというお話が出ました。平成28年度の家庭ごみは前年度に比べて、今回議論になっております燃やすごみは1.6%減りました。家庭系全体でいえば1.7%、事業系は3%、全体で2.2%減りました。午前中の議論でも申し上げましたけれども、これは私は経済学でいうところのアナウンスメント効果で合理的に説明ができると思っています。もうひとつだけ具体的な事例を挙げます。先般、ある町連会長とお話をしておりました。これまで古新聞古雑誌ダンボールだけではなくて雑紙というものもきちんとまとめるようにした。これまで雑紙は燃やすごみに入れていた。こういうコピー用紙であったりとか郵便物や包装紙等を入れることによって大変な量になるということがよくわかったというふうにおっしゃっておられました。私は少なからずそういう方がこの2年間の間にたくさん出てきたんだというふうに思っていますし、そのことによってゴミの減量化がなされてきたものだというふうに思っています。平成21年度以降、残念ながら金沢市における家庭ごみの総量は変わってきておりませんでしたけれども、ほぼ横ばいでありましたけれども、この2年間の経緯の中で減りつつあるということは、私は大変望ましいことだというふうに思っています。そして「ありき」ではないかということですけれども、この30年近く金沢市議会においても様々な議論がなされてきました。私が平成の議事録を遡っただけでも5名の議員さんが家庭ごみの有料化について研究を進めるべきではないか、家庭ごみ有料化を進めるべきだというご意見もありました。平成15年には家庭ごみのうち粗大ごみの有料化に取り組み、22年には検討事項の中で中長期計画の中で入れ、平成26年には包括外部監査からも家庭ごみの有料化を検討すべきというふうにいただいて、順々に追って時間をかけて説明をしながら取り組んできているところであります。決して「ありき」ではありません。

 

-森尾議員

 市長が有料化導入したところではごみの量が平均14%減ると。有料化によってそれが実現すれば、東部環境エネルギーセンターの焼却炉を新しくする際に規模を小さくできると。20億円~30億円少なくて済むと説明してきました。しかし説明すればするほどその説明について問題が指摘されています。第一に、有料化しなくてもごみを減らす道はある。有料化を前提にしてごみを減らせば財源が助かるという論法は、有料化導入を何が何でも市民に押し付けるとんでもない説明だということ。第二に、ごみ焼却炉をいつどのように新しくするのか。財源対策を含めて検討を進めることとごみの有料化の是非をリンクするのはおかしい。財源を言うなら焼却炉での売電によって毎年7億円もの財源があるではないか。というものです。結局、市長の説明と答弁は有料化先にありきなんです。市民の協力と参加でごみを減らそうということへの市民を信頼する気持ちも勇気も自信もないという表れだと考えます。ごみの有料化についてこの間、ある識者は「やってみないとゴミの量がどの程度減るかは分からない」と述べています。校下婦人会のある役員は「有料化先にありきではなくて、どうやったらごみを減らすか、市民の協力を優先しろ」と述べられています。消費者関係のある方は「先に有料化ありきではなく市民とよく協力相談をして、ごみを減らす策を優先して取り組むべきだ」と述べています。市長、有料化先にありきとの考えを今一度考え直し、市としてやるべき実践を行い、市民参加と協力によってごみを減らしていくという立場で取り組まれる考えはありませんか。市長の見解を伺います。

 

-山野市長

 先ほど申し上げましたように、この30年あまりずっと議論をしてきました。そしてこの間、半透明ごみ袋であったりだとか、また私もこの議会で何度も申し上げておりますけれども、ダンボールコンポストの普及、これは各学校にもご協力いただきました。民間会社にもご協力もいただきました。さらには議会の皆さんからもご提案をいただき、電気式コンポストの助成金も当初2万円だったのものが今3万円まで上げさせていただいて、より多くの皆さんにご利用いただけるようなことに努めてきているところであります。また古新聞・古雑誌等々を多くするためにも、大野町校下はじめ多くの地域の皆さんとご協力をいただきながら取り組んできたところであります。順々に手続きを順番を取りながら進めさせていただいているところでありますし、全国的な傾向におきましても昨年の段階ですでに全国の市のうち83%以上が取り組んでいるところでもあります。もちろん環境問題は金沢市だけで取り組めるものではありません。常に全国の事業を勘案をしながら取り組んでいかなければいけないという思いもあります。議会の皆さんにも先の3月期議会でご理解をいただいて、来年2月から行うことで今準備をさせていただいているところでありますので、ただ引き続き市民の皆さんへの丁寧な説明を重ねていかなければいけないと思っていますし、森尾議員先ほどお話ありました市民のご意見にも耳を傾けながら取り組んでいかなければいけないと思っております。

 

-森尾議員

 市長は都合のよい数字を並べたてて有料化先にありきという論法を行う説明というのは、私は市民の理解と合意は得られないと、度重ねて具体的に指摘しました。今の答弁から言うと、中核市の中での有料化の実施率は48市中14市と、29%です。最近を見ても、平成26年に大分市で実施したに過ぎません。ですので一定規模での有料化の問題は、なかなか市民の理解と合意が得られない、むしろごみを減らすために市民との共同・協力を通じてこそごみを減らすという方向を歩んでいることを改めて指摘しておきたいと思います。

 3つ目の「ない」、これは決めたからやるっきゃない、こういう考え方です。家庭ごみ有料化は市民生活に直接関わる問題です。市民の理解と合意を得られずしてこの問題を進めるわけにはいきません。こうした中で市長、地元経済界からも意見が出されたと聞いています。11月30日金沢経済同友会と市長との意見交換会において、この家庭ごみ有料化についてのご意見が出されたと聞いていますが、どのようなご意見だったのでしょうか。市長はどういうふうに受け止められたのか明らかにしていただきたいと思います。

 

-山野市長

 ごみ有料化よりも宿泊税の導入を優先すべきではないかというご意見をいただきました。また街路灯の負担のことについてもお尋ねがありました。さらにスケジュールのことについてもお尋ねがありました。私なりに真摯に受け止めて私なりに丁寧にお答えをさせていただいて、ご理解をいただけるように説明をさせていただいたつもりでいます。で、最後に私はこういうふうに申し上げました。これは、まだまだ説明をしっかりしろという激励だというふうに受け止めて、引き続き丁寧な説明に重ねて参りますというふうに申し上げまして、私はご理解をいただいたというふうに思っています。ただ、繰り返しますけれども、一度二度説明をしたからご理解をいただけるものとは思っていません。引き続き様々な機会をとらまえていきながら丁寧な説明をさせていただくことによって、ご理解をいただけるように努めて参りたいと考えています。

 

-森尾議員

 この点では地元新聞の社説にもこの問題が取り上げられるなど、家庭ごみ有料化導入についての市民的な理解の合意がないということの一つの表れだと私は受け止めています。市長がどんなに言葉では真摯に受け止めるとか丁寧な説明とこうおっしゃいますけれども、市民の中では先ほど示しましたように「納得がいかない」が現時点でも6割を超える、こういう状況です。改めて、市民のこうした状況を考えると、11月18日に開かれた市民との説明会でも今一度ごみ有料化実施について考えを改めるよう求める意見が相次ぎました。市長改めて、来年2月実施をいったん取り止め、市民の理解と合意作りを最優先する考えはありませんか。伺います。

 

-山野市長

 森尾議員のおっしゃった、日本共産党さんの責任で行ったアンケートも、私は市民の声としてしっかり受け止めなければならないというふうに思っていますし、先ほど私は全国の市の例を言いましたけれども、中核市は現在6割を超える市が取り組んでいるところでありますし、お聞きをするところではあと10市あまりが今検討をしているということをお聞きをしているところであります。お互い都合のいい数字を言い合うのではなくて客観的なデータを提示をしながら説明をすることによって、市民の皆さんにご理解をいただけるように努めていかなければならないと改めてここで思わさせていただきましたので、きちんと引き続き丁寧な説明を重ねていく中で、ご理解をいただけるよう努めて参ります。

 

-森尾議員

 私の示した有料化の実施率については、当局から通じて、また調べた数字ですので、間違いはありません。市長の方で改めた方がいいと思います。

 この有料化問題は市長も議員も選挙公約にはありませんでした。市民の声をしっかり聞いて、市政に反映していただきたいという意見が町会の会合の中からも出されましたし、市長とのミーティングの中でも地域の中でこうした意見が指摘をされるくらいです。私は今一度、立ち止り、ごみをどのように減らしていくのか、やらなければならないことは何なのか、市民の皆さんと考えようではありませんか。そのために私は、2月実施をいったん中止することを強く求めておきたいというふうに思います。

 

 最後に、宿泊税の導入と民泊新法に基づく条例化について伺います。

 市長は提案説明の中で宿泊税について京都市の制度を基本に早急に実施するようにとの報告があって、その方向で進める考えを述べました。その京都市では宿泊税を全ての宿泊施設を対象としています。税額は、宿泊料金が5万円以上が1000円、2万円以上5万円未満が500円、2万円未満が200円としています。京都市での宿泊税について指摘されている問題は、第一に違法民泊などが把握できていない状況から課税対象の捕捉すらできず、税の公平性が担保できない。第二に、税金を負担する力に応じて税金を高くし低所得者に配慮することで税の公平性が保たれるという累進課税制があることから、宿泊料金2万円未満はすべて200円の宿泊税を課すことは税の在り方に逆行しているのではないか、という指摘があります。この点についてどのように考えておられますか。

 

-山野市長

 京都市の宿泊税は、宿泊料金2万円未満は200円、2万円以上5万円未満は500円、5万円以上は1000円となっているところであります。民泊を含むすべての宿泊施設の利用者を対象とすべきという意見、さらには税率区分が多いと事務処理が煩雑になるとの意見もありますから、こうした意見も踏まえ今後具体的な制度設計を行っていきたいと思っています。また法律ができましたので、その法律でしっかりと担保をしながら進めていく施策でありますので、私は問題ないというふうに考えています。

 

-森尾議員

 この宿泊税について、東京都ではホテル・旅館を対象にしています。大阪府ではホテル・旅館・簡易宿所・特区の民泊を対象にし、税額では宿泊料金1万円未満については東京都・大阪府ともに無料としています。税収を多く確保するためだとするなら、導入に対する理解を得られるものではありません。この宿泊税の導入が市内の中小零細業者に事務手続きなどで新たな負担を強いる上に、問題はここなんです、宿泊者に負担をお願いできず、事業者自らが負担を余儀なくされる事態が発生しかねません。そしてこの宿泊税は目的税ですから、その使い道について明確にしなければなりません。まちづくりとか観光振興とかという名目だけでは一般財源となんら変わることはありません。宿泊税の導入について、市民や関係者の理解とかコンセンサスが得られないまま導入するべきではないと考えますが、市長の見解を伺います。

 

-山野市長

 ご指摘ありましたように、宿泊事業者、特別徴収義務者と呼ばれますけれども、特別徴収義務者の事務負担に配慮をするということは私は大切なことであるというふうに思っています。制度設計に合わせて検討をしなければいけないというふうに思っています。また京都市はじめ先行自治体では税収の具体的な使途につきまして、導入が決まったあと予算編成の中で明らかにしていますが、本市においては先般、庁内プロジェクト案において現時点で想定される使途をお示しをしたところであります。特別徴収義務者となります宿泊事業者への説明というものは欠かせないものだというふうに思っています。

 

-森尾議員

 宿泊税については、先行している東京・大阪府・京都、それぞれの議論が行われてきました。その内容を私は先ほど述べた点を指摘しましたけれども、よくよくこの点は議論を通じてコンセンサスが必要だということを改めて述べておきたいというふうに思います。

 次に、来年6月に施行される住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法に基づく民泊への対応について伺っておきたいと思います。そもそもこの民泊新法について、宿泊者や周辺住民の安心安全を守る旅館業法の最低限の基準を満たさなくても宿泊業を認め、ホテルや旅館の営業が認められない住宅専用用地でも民泊営業が届け出だけで可能というものです。全国で5万を超えるとされる民泊の多くが無許可となっている状況にも関わらず、この対策が取られないまま、今回の民泊新法はこうした状況を合法化するという点で批判があるだけに、本市の条例化に当たってしっかり対応と内容が求められると考えます。まず、本市のホテル・旅館や民泊の現状について、担当局長から答弁を求めたいと思います。

 

-越田保健局長

 本市の旅館・ホテル・簡易宿所の軒数は、平成29年10月末現在、ホテル74、旅館58、簡易宿所109でございます。いわゆる民泊につきましては、完全には把握できておりませんが、本市が調査いたしました大手仲介サイトには、平成29年10月末現在、284部屋が掲載されておりました。このうち、175部屋はすでに旅館業法の許可を受けており、また本市の指導によって13の部屋が申請の準備を進めているところでございます。なお、残りの96部屋につきましては現時点では所在地が特定できない、こういった状況でございます。

 

-森尾議員

 簡易宿所がこの5年間で6倍に急増し、109軒497部屋と。インターネットを通じて宿泊者を募集している市内の部屋数は、この2年あまりで8倍と急増し、市内には284室にのぼって、そのうち4割は無許可。しかも34%に当たる96部屋が所在地不明と、どこにあるのかわからないと。こういう状況の下でこの民泊新法に基づく条例化を進めるという点で、市長にまず違法民泊の対応を講じなければならないというのが一点。二点目は、住居専用地域における民泊の営業を規制すること。第三は、地域住民が環境を守るために作られたまちづくり協定については最優先対応を求めること。この点が必要だと考えますが、市長の見解を求めます。

 

-山野市長

 まず違法民泊に対しましては法の罰則規定に従い、当局ともしっかりと連携をしながら厳正に対処をしていかなければならないというふうに思っています。住居専用地域における平日の事業実施は、私は制限する方向で条例に盛り込むこととしています。またまちづくり条例のことについてもお尋ねがございました。まちづくり協定の順守を盛り込むこととしておりまして、地域住民の総意に基づき、可能な限りの対応ができる仕組みを導入をしていきたいというふうに思っています。民泊条例の制定に合わせ、まちづくり条例の改定も行っていかなければいけないというふうに思っています。

 

-森尾議員

 市民の安心安全という立場でしっかり検討を進めることを求めて、私の質問を終わります。

▲ このページの先頭にもどる

日本共産党中央委員会
「しんぶん赤旗」のご案内
日本共産党石川県委員会
井上さとし(日本共産党参議院議員)
たけだ良介(日本共産党参議院議員)
藤野やすふみ(日本共産党衆議院比例北陸信越ブロック)
金沢市議会のページへ
サイトポリシー
© 2010 - 2024 日本共産党 金沢市議員団