2018.3.23 3月議会最終反対討論 森尾よしあき

私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。

わが党は、上程された議案58件のうち、議案第60号、議案第62号、議案第64号、議案第68号、議案第70号、議案第72号、議案第74号、議案第79号、議案第84号、議案第85号、議案86号、議案第89号、議案第92号、議案第93号、議案第95号、議案第96号、議案第99号、議案第100号、議案102号、議案第103号、議案第105号、議案第106号、議案第112号の議案23件について、反対であります。

その主な理由について述べます。

 安倍政権のもと政治も経済も深刻な行きづまりに陥っています。安倍政権は、森友問題、公文書改ざんをめぐって、その存立基盤をも失いかねない重大な局面を迎えています。そして、アベノミクスと言われる経済政策によって、貧困と格差が一層広がっています。

労働者の実質賃金は、この5年間で15万円も低下し、家計消費も22万円も落ち込んでいます。非正規雇用は、全体の約4割にも及び、預貯金などをもたない世帯が5年間で400万世帯増加し、全世帯の35%にまで広がっています。相対的貧困率は、15.6%で、約2000万世帯が貧困状態となっています。

一方、富裕層は、その資産を拡大し。大企業は、その利益をこの5年間で2.5倍増やし、内部留保金は、400兆円にも膨れ上がっています。

 こうした下で、編成された政府の新年度予算は、生活保護費を削減し、この6年間でみると削減された社会保障関係費は、実に1.6兆円を上回っており、各分野で給付の削減と国民負担が増加する事態となっています。他方、大企業のための減税やリニア新幹線建設など大型公共事業が続き、防衛費も過去最大の5兆1911億円にも上っています。

市民生活と地域経済への影響は深刻です。それゆえ、国によってもたらされる市民生活と地域経済への悪影響を食い止め、住民の暮らしと福祉の向上に努めるという地方自治体とし本来の役割を発揮することが求められています。

そうした点からみると本市新年度予算は重大な問題があります。

第一に、税金の使い方が問われました。

 第二本庁舎建設です。議会棟の移転と上空通路建設は、市民から厳しい批判の的となり断念されました。にもかかわらず、その穴埋めをするように行政の一部を移転し、建設事業が進められ、現時点でその事業費は、約60億円規模となっています。今、これだけの事業費を投入してやらなれければならないのか、市民の理解と合意はありません。

駅西地区での外資系ホテルの誘致と関連する事業です。

市長自らが提唱し、始まったこの事業は、250台の駐車場として活用していた本市が所有する駅西の用地を安く業者に売却し、外資系ホテルを誘致するとして進められてきました。。そして、今度は、周辺の整備事業だとして市道を廃止し、公園の敷地として拡張し、建設予定のホテルまでの歩道を130mにわたって、屋根をつけて整備事業が進められようとしています。そのために新年度予算に、1億2800万円が計上され、さらに、観光対策として、欧州の富裕層をターゲットとしてインバウンド戦略を推進するとしています。

建設される外資系ホテルのために利便をはかり、誘客まで支援するとは、行政がやるべきことではありません。

一方、本市の新年度予算では、法外援助制度における施設入居者に対して行われてきた歳末見舞金をばっさり削減しました。予算額は700万円です。

駅西での外資系ホテルを誘致するとしてさまざまな利便を図り、市民の税金まで投入して周辺の整備事業や、巨額の税金を投じて第二本庁舎の建設事業を進める。その一方で、一人3千円の施設入居者への歳末見舞金を削減するというのは、地方自治体の本旨である住民の暮らしや福祉の向上に努めるということからして逆行しています。

第二に、市民の理解や合意がないまま、進められようとしている点です。

まず、家庭ごみ有料化です。この2月から実施されました。

この1月末には、市内のごみの量が減っているのに、今、なぜ、有料化なのか。市民は疑問に思っているとして、2月からの有料化の中止を求める8336筆の署名が提出されました。 ところが、市長は、こうした声を聞き入れず、有料化を実施しました。それによって、市民に様々な影響をもたらしています。ステーション管理に今まで以上に負担を町会の皆さんなどにかけています。有料ごみ袋を買わなければならず、市民生活に新たな負担を強いることとなっています。市長は、子どもたちや孫たちのことを考え、環境への配慮のためだと述べています。ごみの有料化を未来永劫市民に負担させるのではなく、有料化せずとも、ごみを減らし、環境を守ったということこそ、本市の誇りとして未来に引き継ぐ道を歩んでいかれるよう強く求めたいと思います。なお、要援護者ごみ出しサポート事業は、対象者を拡大するなど市民の要望を取り入れるよう求めておきたいと思います。

宿泊税の導入です。本議会に条例が提案され、来年4月から実施するとしています。

市民の理解と合意が無く、中でも特別徴収義務者となる業界関係者にも十分理解を得られておらず、継続審議が総務常任委員会で提案されましたが、否決され、本会議にこの条例の採択が付されたものです。

解決されていない第一の点は、目的税として課税対象や金額、さらには、使い道などの点で疑問や問題点が払しょくされていないことです。

税金は、負担する能力に応じて税金を高くする一方で、低所得者に配慮するという税金の累進課税という考え方が無視された内容となっていることです。東京、大阪では、1万円未満の宿泊料金には、税金をかけていません。また、京都市では、修学旅行生の宿泊料金には、課税しないこととしています。本市の提案では、2万円未満の宿泊料金に一律200円、2万円以上には、500円の課税となっており、修学旅行生にもその宿泊料金に課税するとしています。

税金の累進課税という考え方をかなぐり捨て、すべてに課税することによって、本市の宿泊税導入による年間の収入は、7億2千万円とのことです。税収を確保することをことさらに強調し、一般財源と同じように使うとするなら、目的税から逸脱するものであり、到底納税に係る方からも理解を得られるものではありません。第二に、地元の中小業者にとって、宿泊税の導入は、死活的な問題を抱えることとなります。第三に、税の公平性が確保されていない点です。

本市の課税対象は、民泊も含めるとしています。ところが、この民泊は、違法民泊が広がり実態すらつかめない状態となっている上に、新たな民泊新法がこの6月から施行されることとなります。しかし、果たして違法民泊がなくなるかは不透明です。現状のままでは、この民泊まで対象とするなら、逆に宿泊税を逃れるために、違法民泊を助長しかねません。これでは、税の公平性をたもつことはできません。宿泊税の導入を見送ることが賢明だと考えるものです。

 金沢市住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例制定についてです。

 いわゆる民泊新法がこの6月から施行されることから、本市が条例を制定するものです。

 問題の第一は、市民と宿泊される方々の安全と安心を守るという点からするときわめて不十分であるということです。 

 大阪市での違法民泊での死体遺棄事件、京都市での管理者がいない簡易宿所での火災発生などを教訓に、市民と宿泊者の命と安全を守ることを基本とする条例制定が求められました。ところが、民泊新法に基づく届出制に変わったことから、旅館業法に定められた施設の要件や手続きが緩和されてしまいました。施設の安全管理の要件や管理者の常駐を義務化するなど安全・安心の確保を盛り込むことが求められています。

 第二に、民泊の制限できる区域と期間の設定です。

 他都市では、住居専用区域や、学校や児童福祉施設の周辺100m以内の区域を全ての期間、実施できないこととしており、本市の関係する業界からも要望されていることでした。ところが、本市は、国の見解からして一律に規制するのは適切でないとまで述べ、対応を拒否しました。守るべき市民の命・安全の確保を優先するのではなく、国のガイドラインを盾に市民の要望を拒む姿は、まさに、国の代弁者そのものです。市民の命・安全を確保し、生活環境を守る視点から努力することを強く求めるものです。

 なお、マンションにおける民泊問題が大きな課題です。住民の安全・安心を確保する立場から対応することを求めたいと思います。

 反対の主な理由の第三は、国。県の言いなりの事業が進められていることです。

金沢港建設事業は、新年度5億9768万円が計上され、3月補正予算と合わせ、約10億円にのぼっています。大浜岸壁での事業は、大手企業こまつの工場を誘致するとして336億円が投入され、本市の負担は57億円にのぼっています。今度は、クルーズ船を誘致するためだとして無量寺岸壁改良事業は、総事業費が60億円、施設整備などの事業費が80億円。合わせると約500億円と拡大され、さらに、クルーズ船を迎え入れる事業費が県と市で進められています。

 金沢外環状道路建設事業は、当初8車線の高規格道路として整備し、本市の3つの区画整理事業とセットしてさらに事業が拡大された道路建設が進められてきたもので本市が担当している大浦町から千木町の1.6キロ区間の事業費は、196億円にのぼっています。

東京国立近代美術館工芸館の移転は、移転とスケジュールが先にありきで始められ、関係者の中でも十分な理解と合意のないまますすめられています。新たに建設される総事業費は、33億4818万円で、県が6割、本市が4割となり、委託契約が3月最終補正で決められました。今後、美術工芸品の移転費用や運営に係る点など不透明であり、市民の理解と合意は得られているものではありません。

 マイナンバー制度については、従来から反対であります。

反対の主な理由の第四は、市民生活に係る料金についてです。

まず、3年ごとに見直される介護保険料です。

本市の介護保険料の基準月額は、第4期から第5期、さらに、第6期へと引き上げが続いてきました。その結果、48の中核市の中で、高い方から4番目となったものです。

今回、第7期6590円へと前期に比べ、310円5%引き上げられました。介護保険制度が始まった2000年には、3150円でしたから、2倍の保険料となったものです。

 介護保険制度は、給付費用の半分は、保険料で賄い、半分は、国、県、市町村の負担で運営される仕組みとなっています。したがって、高齢者が増加し、介護サービスの利用が増加すると保険料が引きあがるという根本矛盾を抱えています。

本市が保険料のランクを11段階から13段階に増やしました。その結果、新たにつくられた12段階、13段階は、6期の保険料に比べ989円、1977円増加し、第1段階の保険料は、124円の増加となりました。6期に比べ保険料が引き下がったわけでなく、保険料のランクを増やした結果、第1段階の保険料の引き上げ幅がほかに比べ軽減されたにすぎません。

 市当局の資料や説明は誤解を招くことになりかねないことを指摘しておきます。

 食肉流通センターにおける使用料金の引き上げをはじめ、料金の引き上げには同意することはできません。新たに設置される室内運動広場の使用料金については、小学校就学前まで無料となっているものの、家族で利用した場合、3時間で大人100円高校生以下50円となっています。家族の方々にも利用料金を徴収しないよう求めたいと思います。

 また、法改正によって、介護療養病棟から介護医療院に改編されることとなり、関係条例が改正されることとなりました。人員配置やサービス基準の緩和で介護・医療の質の低下を招くことや、病床削減の受け皿になりかねないことを指摘しておきたいと思います。同じように障がい関係の施設に対する人的配置やサービス基準の緩和には同意できません。

 なお、文化、スポーツ施設を民間団体に管理を委託する指定管理者制度における利用料金制の拡大や外郭団体の統廃合等は、公的施設の管理のあり方や責任、さらに、市民のサービス向上を図る上からも同意できません。

 水道料金についてです。

27年度から県水の責任水量制が7割から6割に引き下げられるなど県水受水費が軽減され、水道事業特別会計は大幅な黒字が続いています。したがって、水道料金の引き下げを行い、市民への還元をすべきです。
 また、工業用水道事業特別会計です。先端産業を誘致するとして造成されたテクノパークに進出した企業に工業用水道を提供するとして設置されたものです。当初から利用する企業からの給水収益では賄えないとして、赤字は全て一般会計から補填するとして毎年3000万円を超える額が支出されてきました。改善を求めるものです。なお、呼び込み型企業立地は、多くの問題を抱えるだけに今後の工業団地造成について、十分検討をされるよう求めておきたいと思います。

 国民健康保険料についてです。

 一般会計や基金からの繰り入れ等を行った結果、前年度に比べ総額で2億3千万円の保険料の引き下げが盛り込まれました。市民からの度重なる要望などに応えたものであり、引き続き基金などを活用して保険料の引き下げ実施を求めたいと思います。なお、国民健康保険制度の運用主体を都道府県に移行することには反対であり、条例改正には、同意できません。

 反対の主な理由の第五に、教育と職員定数に係る点です。

泉小学校・泉中学校建設は、二つの小学校を統廃合し、小中校の一体的建設へと進められ、その事業費は、体育館の建設事業を合わせると70億円を超えることとなります。

結局、学校の統廃合を進め、小中一体となった教育へと進めていくもので、十分な地域住民や市民的理解が得られたものではなく、同意できません。

小将町中学校を現在の中央小学校に移転、中央小学校は、子ども図書館の用地に移転、子ども図書館は、現在の付近に新築移転し、公文書館を併設するという中央地区での構想が始まろうとしています。関係者の理解と合意を得ることを強く求めておきたいと思います。

職員定数条例の一部改正についてです。

新年度、部局の定数の増減がありますが、総定数としては、維持されるとしています。しかし、平成23年度と29年度の実績を比較すると正規職員が50人削減され、非常勤職員が185人増加しています。正規職員を減らし、非常勤職員を増やしてきました。こうした人事政策をやめるよう強く求めるものです。

 次に、請願についてです。

 請願第27号は、核兵器禁止条約の日本政府の署名と批准を求める意見書の採択についての請願で、新日本婦人の会の方から提出されたものです。

核兵器禁止条約が昨年7月国連会議で加盟国の3分の2にあたる122か国の賛成で採択されました。核兵器のない世界を求める国内外の多くの世論にこたえ、唯一の被爆である日本が率先して核兵器禁止条約に賛成・署名し、批准することは当然だと考えるものです。したがって、わが党は、この請願に賛成であり、委員会の不採択に反対です。

 請願第28号は、家庭ごみ有料化の中止と見直しを求める請願で、ストップごみ有料化!市民の声の方から提出されたものです。

このまま有料化を続けていくのではなく、一度立ち止まり、再考し、減量・再資源化を進めていくために必要な課題を見直すことを求めています。したがって、わが党は、この請願に賛成であり、こうした市民の声にこたえるべきと考えるものです。なお、この請願について、一事不再議をもって議決を要しないとの対応は、提出された請願を審議し、議決しなければならない議会としてふさわしいものではなく、同意できません。

 以上で討論を終わります。

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