2018.3.23 3月議会 意見書反対討論 広田みよ



我が党は、ただいま上程されました、議会議案第22号「自衛隊が任務遂行にまい進できる環境整備を求める意見書」に反対の立場で討論いたします。

 

この意見書は、「隊員の処遇改善や募集施策の強化などによって充足率向上をはかる」などの、自衛隊が任務遂行にまい進できる環境整備を求めています。

今、自衛隊をめぐって、そのあり方が大きく問われています。

そのひとつは、憲法9条のもとで、集団的自衛権行使を禁じ、専守防衛を目的としてきた自衛隊を海外に送り出し、武力行使まで許していいのか、という点です。

安倍政権が強行した安保法制によって、集団的自衛権行使の任務まで与えられ、PKOでもさらに危険な活動を強いられています。

第一線の自衛隊員は相手を殺傷するか、されるか、究極の選択を突き付けられます。国外では日本政府が言うような「非戦闘現場」とか「後方支援」とかのごまかしは通用しません。戦闘服を着て銃を持っていれば攻撃されます。南スーダンPKOに派遣された自衛隊員は幸いにも死傷者もなく帰国できましたが、隠ぺいされた「日報」には連日「戦闘」の文字が書かれ、危険な状態が続いており、本来はただちに撤退すべき状況でした。報道によれば、遺書をしたためていた隊員もいたとのことですし、帰国後、精神的後遺症に苦しむ方も少なくありません。

自衛官の息子さんをもつ母親は、「国土防衛とは関係のないことで、息子が海外に派兵され、危険な眼に遭うのは母親として耐えられない」として、南スーダンPKO派遣の違憲訴訟原告となりました。

自衛隊員とそのご家族が大きな岐路に立たされ、不安を抱えています。環境整備どころか、自衛隊そのものを危険にさらしているのが、安倍自公政権ではないでしょうか。

もうひとつは、憲法9条改定をめぐって自衛隊の存在とあり方が大きく変えられようとしている点です。

自民党の憲法改定案では、憲法9条を改定し、自衛隊を国防軍と明記するとしていました。

まさに、戦争するための軍隊として、憲法に明記し海外にまで出かけていくことを可能にするものでした。ところが、国民から反対の声が拡がると、安倍首相は憲法9条2項に自衛隊の存在を明記する方向を示しました。この狙いは、憲法9条そのものを骨抜きにしようとするものです。

報道では「安倍首相が憲法9条を変えれば今の自衛隊員がよって立つ前提が変わってしまう。専守防衛ではなく、海外で戦争する自衛隊になってしまう。最初に犠牲になるのは第一線の隊員です」として、首都圏の基地に十数年勤務した男性は自衛隊を辞めました。

 こうして安倍自公政権は、北東アジアにおける軍事的緊張を口実として、日本の安全保障整備の強化を正当化し、「国民を守る」どころか、集団的自衛権行使を可能とした安保法制、さらには憲法9条改定の策動の下、海外で米軍と肩を並べて戦争するための大軍拡を行なおうとしていることは明らかです。

兵器調達についても、憲法の規定では「攻撃型空母」は保有できないという、これまでの「政府見解」を投げ捨て、防衛大臣は国会の答弁に際し、自衛隊艦船「いずも」を「攻撃型空母」にすることを想定しての動きを認めました。また、最新鋭のF35ステルス戦闘機の購入・配備を行っていることは極めて重大です。これは、際限のない軍拡競争の悪循環を招き、「対話による平和的解決」に逆行する企てです。

自衛隊が、窮迫不正の主権侵害や大規模災害が起こった場合、現行憲法を守り、すべての隊員が国民の命を守るために一丸となって働いていただくことを国民は願っています。しかし、そうした思いをもって任務についた隊員の命を危険にさらすことを安倍政権は行っているのです。

よって、安保法制など海外派兵立法を撤廃すること、9条を変えるのではなく守り、軍拡ではなく軍縮に切り替えることこそ、自衛隊員の本来の任務が遂行できるのではないかと考え、この意見書には賛成できません。

 

 

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