6月議会に提出された、「国公立大学の入学式及び卒業式における国旗の掲揚及び国家の斉唱を求める意見書」への質疑(予定稿)です。
これが意見書
1 意見書を提出した意図と主旨について
私は、日本共産党金沢市議員団の一人として、この意見書は、憲法上重大な疑義があることから提出者に対して、以下の点について質疑いたします。
まず、提出者に伺いたい点は、なぜ。この時期にこのような意見書を提出したのか。という点です。2015年6月16日当時の下村文科大臣が、全国86の国立大学の学長に対し、口頭で卒業式・入学式での国旗の掲揚及び国歌の斉唱を要請しました。
これに対して、全国の憲法研究者100名がこの発言について撤回を求める声明を発表しました。
これを承知の上で、この意見書を提出されたのでしょうか。
問題にされたのは、大学に対してこうした要請は憲法やそれに基づく法律に違反するという点でした。提出者は、こうした認識はお持ちでしょうか。
2 意見書は、憲法違反に当たらないか。
先の下村文科大臣の要請について、これは、学生に対して、国旗の掲揚及び国歌の斉唱するように教育しなさい。と言うものだが、大学に文科省が特定の教育内容を教えるように指導する権限は法的に存在しないと厳しい指摘があります。大学設置基準にも、教育内容は、大学が自主的に定めるものとされており、これは、憲法23条が学問の自由を定めているからです。
この憲法23条に基づき、学問、研究、発表の自由、教育の自由、大学の自治があり尊重されなければなりません。この意見書は、国公立大学に対して、国旗の掲揚及び国歌の斉唱するよう求め、国に対して、何らかの仕組み作りまで行うよう求めています。これは、学問の自由や大学の自治、大学の自主権に反する内容ではありませんか。この点をどのように考えて提出したのかただしたいと思います。
3 教員基本法が排除している政治による教育への介入とならないか。
教育基本法は、第7条2項で「大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と明記され、第16条で不等な支配に屈することなく。として教育への不当な介入を排除しています。
国が財源を出しているから言うことを聞けとか。本市が設置者であり、財源を負担しているから、教育内容にまで及ぶことを求めていいのだというのは、あってはなりません。憲法26条は、教育を受ける権利を保障し、国に教育制度・施設の整備する義務を課しています。したがって、教育内容にまで意見を述べる根拠はありません。この意見書は、こうした点にてらしてみると、この意見書が求めていることは、政治による教育への介入にあたります。
どのように考えているのか。伺います。
再 質 疑
1-1
去る5月23日、本市議会総務常任委員会が開かれ、小林誠市議は、「本市美大の入学式に出席した際に、国旗の掲揚はされていたが、国歌の斉唱が行われておらず、違和感を覚えたとして卒業式ではどうだったか」と質問しました。さらに、「設置者であるから本市が美大に対して、国歌の斉唱を要請する考えはないか」と質問いたしました。
さらに、続けてこうも述べています。「大学については、各大学の自主性を重んじる形で、強制はできないのかもしれないが、美大は金沢市が設置者であり、市民の税金などで賄われている。国旗の掲揚、国歌の斉唱はしっかり行うべきだと私は考えている」と述べています。
1-2
すると美大や本市にいくら言ってもだめだから、今度は国に対して国公立大学に対して国旗掲揚、国歌の斉唱をさせるための仕組み作りまで求めるということで、この意見書を提出したということですか。
明らかに、政治による教育への介入です。教育内容にまで意見を述べる根拠はありません。その点について、どのように考えいるのか。伺います。
再々 質 疑
1
この意見書が憲法に違反する、教育基本法が禁じた政治による教育への介入になるという重大さについて、提出者は理解されていないのか。理解されたうえで、数の力で押し切ろうとしているのか。明快にしていただきたいと思います。
さらに、伺いたい点は、この意見書は、単に本市美大にとどまらず、全国の国公立大学に対して求めていることです。
いったい学問の自由や大学の自治について、どのように考えておられるのですか。そして、どのような根拠とうらずけを持ってこの意見書を提出したのか。
納得いく説明が求められます。