広田みよ
私は日本共産党市議員団を代表して、認定第2号平成29年度金沢市公営企業特別会計決算認定に対して、認定できないことを表明し、討論を行います。
その主な理由について、第1に、水道事業特別会計です。水道事業では県水受水について、その契約内容の変更が行われてきました。その1つが県水受水の責任水量制です。これまでは契約水量の7割を支払うというものでしたが、平成27年度から6割に引き下げられました。その結果、年間の受水費30億円が25億7,000万円へと4億3,000万円削減となりました。
2つ目に、平成28年度、県水受水契約が変更され、1日最大受水量11万8,950トンがさらに10年間延長されました。そして、平成29年1月から能美市の県水受水開始に伴って、本市の1日最大受水量が削減されました。その結果、受水費が3,000万円削減されました。
以上のことから、29年度の決算では26年度と比べ5億5,400万円の支出削減となり、水道事業特別会計は平成28年度で14億1,871万円、平成29年度で15億5,601万円と大幅な黒字を生み出しました。したがって、水道料金の引き下げを行い、市民への還元をすべきでした。ところが、本市企業局はこの黒字額をほとんど建設改良積立に積み立て、建設改良事業の財源としました。県水受水契約の改善によってもたらされた財源は、水道料金の引き下げに用い、市民に還元すべきです。
本市の水道事業の現状と今後の方針について指摘しておきたいと思います。
本市の水道事業の現状は、県水が46%、自己水が54%となっています。その県水単価は1立米当たり99円、自己水単価は1立米当たり24.48円です。ですから、県水は自己水に比べ4倍も高いものとなっています。一方、自己水は20万5,000トンの配水能力がありながら、37%しか利用していません。こうした原因を生み出しているのが県水受水契約であり、その内容が必要以上の契約水量の上に、責任水量制となっているからです。責任水量制について、その割合が7割から6割に引き下げられたとはいえ、膨大な契約水量の6割を受け入れています。その結果、単価が自己水に比べ4倍も高い県水を受け入れ、安くておいしい自己水を約4割しか利用していません。今後、安くておいしい自己水を基本とする水道行政に切りかえることを強く求めておきます。
さらに、水道事業を含む、水道、下水、ガスについて、28年度から検診や、メーター取り換え、収納業務などの業務委託を行っており、市民の命とくらしに関わるもので、継続した対応が求められることから直営に戻すよう求めておきます。
第2に、工業用水道事業特別会計についてです。先端産業を誘致するとして造成されたテクノパークは、29年度決算時は、20割が売れ残ったままとなっています。この工業用地に進出した企業に、工業用水道を提供するとして設置され運営されているのがこの特別会計です。当初から利用する企業からの給水収益では賄えないとして、赤字は全て一般会計から補填してきました。平成29年度決算では、一般会計から収益的収入、資本的収入合わせて2,700万円が補助金として支出されています。一方、給水使用料金は開設以来20年間同じ料金となっています。
現状では、この工業用水道を利用しているのは3社に過ぎません。そのうち1社の利用が9割を占めています。事実上一握りの企業のために2,700万円の市民の税金が毎年投入され続けているのが現状です。本市の事業の失敗によって、市民に負担を押しつけている現状は到底市民の理解を得られるものではありません。以上で討論を終わります。