-広田議員
質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として以下質問いたします。
まずは、来月から実施が予定されている宿泊税についてです。2016年、金沢経済同友会と市長が意見交換会を行った際、経済同友会からの提案で、市長が検討を表明したものです。このように、宿泊税は市民や多くの旅館ホテル業者の要望ではありません。さらに、市が宿泊者に課税するものですが、実際は宿泊事業者が代わりに宿泊客に税をいただかなくてはならず、宿泊事業者のみなさまのご理解とご協力がなければ成り立ちえない制度です。しかし、4月の開始を目前に、さまざまな懸念や疑問があり、ご理解が得られていないのが現状です。先行自治体の京都では、簡易宿泊所のおよそ4割が自己負担せざるを得ない状況であることも報道され、事業者の不安はさらに高まっています。
市長に、まずはお伺いしたいのですが、宿泊事業者のみなさんに特別徴収義務者としての登録を求めているところですが、既定の締め切りのタイミングでも4割と少なく、なかなか登録が進まずにきました。4月を目前に今現在でどのくらいの割合ですか。また、その状況で、事業者の理解と合意が得られ、準備が整ったと言えるでしょうか?
-山野市長
まずご理解いただきたいのは、金沢経済同友会の中には宿泊事業者の方も会員として何人も何社もいらっしゃいます。またこの議会での議論もずっとさせていただいています。議会は市民の代表の皆さんだというふうに私は思っています。その意味では、私は多くの方のご意見を参考にしながら議論を進めてきました。12月末までに新たに旅館業法の許可を受けた施設などを含め、特別徴収義務者の登録案内を送付した331の施設のうち、3月11日現在、8割に当たります269施設より申請があったところであります。昨年10月に宿泊事業者向けに事務説明会も行いました。その後問い合わせには丁寧に対応をさせていただいているところであり、登録申請数も着実に増えてきているところであります。今後ですけれども、宿泊税に係る申告書や納入書の他、制度の概要や使途を記載した広報チラシ等を宿泊事業者に送付することとしており、引き続き導入準備に万全を期してまいります。
-広田議員
いまだ2割の方が登録をされていない状況とのことです。登録について本市は、条例で義務化しているから当然だという強硬姿勢ですけれども、現場からすればいろんな懸念や疑問にも市は答えておらず、宿泊税を徴収できる環境になく登録ができない、という声も聞かれます。
にも関わらず、新年度で予算化された事務負担に対して事業者に交付する「宿泊税特別徴収事務交付金」。この交付金を、今言った「登録」というものをしなければ出さないというような説明が事業者にされている、と言うではないですか。そのような交付金要綱を作るおつもりなのでしょうか。
-山野市長
宿泊税は旅館業法の許可等を受けた宿泊事業者だけではなく、施設の運営を請け負う受託会社が特別徴収義務者となる場合もありますことから、この登録は特別徴収義務者の情報を確認するとともに、施設の所有者や宿泊約款、宿泊料金など徴収の事務を円滑に進める上で必要となる情報を把握するために条例で義務付けているものであります。したがって条例に基づく登録を行っていない事業者は交付金の対象外としているところであります。
-広田議員
あまりにも強権的と言わざるを得ません。東京や大阪も、同じ「登録」を求めていましたが、制度開始時の登録は100%でした。「登録しない方はいませんでしたか?」と担当者に伺っても、ご理解いただけるように十分に配慮したと言っていました。しかも、本市ではたとえ「登録」をしなくても「包括指定」ということで自動的に納付書などが事業者に送られてきます。
このような、「交付金」を条件に登録するよう圧力をかけて行うのではなく、理解と合意づくり、そして環境整備に尽力すべきと考えますがいかがでしょうか。
-山野市長
この交付金は宿泊税にかかる特別徴収義務者の様々な事務負担に対し交付するものであります。その様々な事務負担の中に、条例で義務付けられている登録も含まれているところであります。当然、登録しないものはこの交付の対象外となります。引き続き、登録申請を行っていない宿泊事業者には粘り強く働きかけるとともに、今後の問い合わせ等にも丁寧に対応をしてまいります。
-広田議員
登録しなくても納付の義務が発生します。納付をせざるを得ない環境に陥ることは同じです。私は、このような強権的なやり方ではなく、理解と合意を求めることを強く求めたいと思いますし、まだ問題が解決していない事業者もいますので、環境整備に最善を尽くしていただきたいと求めておきます。
このように、事業者が理解や納得もしていない制度は拙速にはじめるべきではありません。4月からの実施は見送り、一度立ち止まって見直しを求めますがいかがでしょうか。
-山野市長
概ねご理解をいただいているというふうに思っています。昨年3月の定例議会におきまして条例もお認めもいただきました。総務大臣の同意もいただきました。手続きを丁寧にとっているところでもありますし、事務説明会の開催もさせていただいております。問い合わせにつきましても適切に丁寧に対応をし、制度周知に努めているところでもあります。見直すことは考えてはいません。
-広田議員
先程も言いましたけれども、この宿泊税は市が宿泊者に課税するものですけれども、実務的には事業者が行わなければならない。やはり協力をいただくということが大前提でありますので、先程も言いましたがやはり理解と合意、そして環境整備を行っていくことを求めたいと思います。
次に、ごみの有料化について質問いたします。2015年に市長が検討を始めだしてから、再三とりあげてきました。私は「環境をよくする」という目的は、市長と同じ思いです。しかし、その方法である「ごみを減らす」という施策を行うのは市長に責任があり、そのために市民は税金を預け協力もしてきました。なのに市民の理解と合意もないまま、有料化を強行するのは、私は自治体のやるべきことではないと考えます。
昨日のご答弁で、有料化開始1年のごみ量についてあきらかとなりました。家庭系ごみでは燃えるごみは2割削減、埋め立てごみはおよそ3割削減というものでした。
しかし、燃えるごみと埋め立てごみのふたつだけで「ごみ全量」というわけではありませんし、金沢市が計画上減らすとしているのは、燃えるごみ、埋め立てごみだけではなく、資源ごみがあるのです。1年経って資源ごみの状況はいかがでしょうか。本市の資源搬入ステーションにおける、容器包装プラスチック、ペットボトル、古紙、新聞紙の、前年同期比をあきらかにしてください。
-佐久間環境局長
資源搬入ステーションでの昨年2月から本年1月までの1年間の資源回収量は、速報値で前年同期比、容器包装プラスチックが79.2%の増、ペットボトルが42.1%の増、新聞紙等の古紙が66.6%の増、ダンボールが90.2%の増となっております。
-広田議員
資源ごみについては、容器包装プラスチックが8割増、ペットボトルが4割増、古紙などは7割増、段ボールはほぼ2倍という結果です。家庭ごみが減ったのではなく、資源ごみが移動したという捉え方もできるはずです。さらにその要因は、みなさん方現場と市民の協力で資源ごみの受け皿が増えたからだと考えます。古紙回収登録団体は151団体へ増加、民間も含めた搬入場所も市が把握するだけでも64か所もあります。ストアくるステーションも二桁になりました。
このような受け皿を、そして出す機会を増やすこと、これは有料化せずともできることです。市長の見解を伺います。
-山野市長
まず事実誤認がありますので訂正させていただければと思います。2015年から私が検討を始めたということ、これは違います。平成5年から、国も金沢市も金沢市が所属する全国市長会も検討をし、何度もこの議会で議論をなされているところであります。検討という表現でいうならば、平成22年の第4期ごみ処理基本計画の中で書かれているところであります。そのことをまず申しあげたいと思います。
率のことを仰いましたけれども、私はやっぱり分母が違うんだというふうに思っています。燃やすごみは80000t後半の数字であります。資源ごみにつきましては10t単位、100t単位がほとんどでありますので、まず分母が違うということもご理解をいただければというふうに思っています。この間ずっとごみ収集の努力を行政と市民の皆さんと様々な形で行ってまいりました。確か去年のこの本会議であったかと思いますけれども、経済学でいうところのアナウンスメント効果という表現で申し上げました。インセンティブが働くことによって、私は資源ごみの回収量というのも大幅に増えてきておりますし、家庭ごみも減量化してきているというふうに思っています。やはりこのインセンティブというものは極めて大きいものがあったと思いますし、何も金沢の独自の施策ではありません。繰り返しになりますけれども、平成5年以降全国で少しずつ動いてきたものであります。
-広田議員
市長が言うインセンティブ、それは、今年度のごみ袋の販売収益では6億5千万円となって表れているわけです。つまり、市民からこの1年で6億5千万円近い新たな負担を強いたと言えます。私は、そんな大変な負担をさせなくても、家庭ごみの、少なくとも分別はできたんじゃないかということを言っています。
さらに、この移動した資源ごみの行き先は、市長が言う分母が違います。これまで指摘したとおり、本市が把握している場所だけにはとどまらず、多くの民間のスーパーなどへ出されているのです。しかも市が集める資源より圧倒的に多いのではないかと推測されます。
これまで幾度も市長に、民間の調査を行わなければ全体の傾向はつかめないと調査を求めてきましたが、そのつもりはないとの返答です。
そこで、市民団体が民間のスーパーに協力を得て調べることができました。
とあるスーパーでは、容器包装プラスチックはおよそ2割増、ペットボトルは24%増、新聞は45%増、雑紙は8割増、段ボールはほぼ2倍という結果です。
市長!本市のごみ減量化は、燃えるごみ、埋め立てごみだけではなく、資源ごみも含めたごみ全体を減らすという政策のはずです。今のままでは資源ごみが増えたのか減ったのかもわかりません。資源ごみの移動について、その量を調べることは、次の第6期ごみ処理基本計画を立てるためにも必要ですし、今後のプラスチック対策にも必要不可欠です。市としても取り組むべきですがいかがでしょうか。
-山野市長
何度も恐縮ですけれども、やはり事実誤認があります。6億円余り新たに負担というふうにおっしゃいますが、違います。これまで税金で処理をしていました。税金が使われているんです。無料ではありません。さらにごみが減ったということはその処理量だけではなく人件費等々も含めて税金で行ってきているところでありますので、ご理解をいただければというふうに思います。
スーパーのことについてお尋ねがございました。これまで、これも金沢市だけではありません、どこの自治体もそうですけれども、国が定めた基準で集計をし、ごみ処理基本計画に反映をしているところであります。民間独自のルートで回収した資源ごみの排出量につきましては、市への報告義務もありません。把握が物理的に難しいということもご理解をいただければというふうに思っております。
-広田議員
税金で40億円かけてごみ収集処理がされています。これは市長のお金でもなく、市民が払った税金です。それにプラスして6億5千万円の有料化の袋代を払わさせられていると、市長自らがわかっていらっしゃるではないですか。さらに報告義務はなくても、そして物理的に資源ごみの民間の調査が難しいとおっしゃいましたけれども、市民団体でもできたということを述べておきたいと思います。市長は、子孫のために良い環境を残すと言いますが、指標となるごみ量の統計なしに正確な検証ができるでしょうか。目の前の一部の量だけみて、有料化の評価はできません。市民がどんなものをどれだけプラごみや紙ごみとして民間に出しているのか、これを把握せずして対策は打てません。
次に事業系ごみの量について伺います。家庭系ごみは少なくとも資源に移行はしているとは言えますが、7月の報告でも事業系ごみは減るどころか増えていました。1年経って事業系ごみの前年同期比をあきらかにしてください。
-佐久間環境局長
制度を開始いたしました昨年2月から1月までの1年間の事業系ごみ排出量は、速報値で前年同期比、燃やすごみが1.1%の減、埋め立てごみが0.8%の増となっております。以上です。
-広田議員
1年経って、家庭系の燃えるごみ・埋立ごみは着実に減っているのに、事業系ごみは相変わらずの数字です。市長は今の数字を聞いてどのような認識でしょうか。
-山野市長
これまでもこの議論でも申し上げておりますけれども、事業系ごみというものは、景気動向に大きく左右されるものでもあります。やや下がっているにしても横ばいで推移しているというのは、やはり好調な経済活動の持続が要因の一つとも考えられるかというふうに思っています。ただやはりここは、大切なテーマでもありますので、引き続きしっかりと事業者へも働きかけをしていかなければいけないというふうに思っています。これまでも事業者への立ち入り指導により分別の徹底などを求めてきたところであり、引き続き生ごみの減量化、さらには紙ごみの資源化を積極的に促していかなければいけないというふうに思っています。
-広田議員
市民にとっては、景気の影響が出ていないんでしょうか。
新年度はようやく事業系ごみの具体的な対策が打ち出されました。必要な対策ばかりですがもっとはやくやるべきことです。市民には、大きな負担を負わせているのに、事業系ごみへの認識は甘かったのではないかと考えます。しっかりとした対応を求めますし、新規事業に中小企業への減量化計画書を作成するという項目がありますが、まずは466事業所の「大規模事業所」に対して、指導する余地が十分にあると考えますがいかがでしょうか。
-山野市長
来年度は、古紙回収業者や製紙業者と連携し、機密文書等のオフィスペーパーリサイクルの促進、これをまず図っていきたいというふうに思っています。事業系のごみはこれが大変多いというふうにお聞きをしていますので、これを促進を図っていく。さらには生ごみ堆肥化の促進にも取り組んでいかなければならないと思っています。当然、大規模事業所はもちろんですし、中小事業所や各種団体にも減量化計画書の作成を働きかけ、広く事業所における減量化意識の醸成を促していきたいと考えています。
-広田議員
大規模事業所については、前回の議会でも確認しましたけれども、減量計画書の提出率が締めきりである5月末でも55%という状況ですし、中身を見ましたけれども、全国のチェーン店を展開しているような事業所とは思えないような計画書であったり、ということが散見されます。まだまだ指導の余地がありますので、ぜひ責任を事業所にも持っていただいて、皆さんにも指導をしていただきたいと思います。
次に、市民がごみを出せる環境づくりも本市の責任です。要援護者ごみ出しサポート事業は1年やってみて、70名という利用の低さです。予算上の見込みは600名ということですが、だいぶ余力があります。必要な方が受けられていないということもありますが、私は要支援の方へのごみ出しサポートが求められていると考えます。ケアマネさんによれば、要支援の方の多くが杖歩行や歩行器を使用しています。杖の場合、片手にごみ袋を下げての歩行はバランスを崩し大変危険です。歩行器も荷物を乗せて運ぶ用途ではなく、あくまでも歩行の補助機です。要支援の方のごみ出し支援は転倒リスクの軽減にもつながります。要支援1以上に要件を引き下げるよう求めますが、いかがでしょうか。
-山野市長
要援護者ごみ出しサポート事業のこの要件ですけれども、他都市と比べましても大変利用しやすいものとなっています。今のところ引き下げることは考えてはいません。ただ、その周知につきましては、ここはしっかりとやっていかなければいけない、本当に必要な方が適切に利用できるように、新たに福祉のパンフレットにも制度の概要を掲載するなど、きめ細やかな周知に努めてまいります。
-広田議員
まだ福祉のパンフレットに載っていなかったということがちょっと驚きなんですけれども。根本としては、今は環境施策としてやっていますが、やはり最初は福祉事業として、ふれあい収集として検討していた、あの考え方に私は立ち戻るべきだと考えています。福祉事業に立ち戻るよう求めておきたいと思います。
さらに、低所得世帯や生活保護世帯には、このごみ袋は生活をいっそう圧迫するもとになっていると、次々報告があがっています。生活弱者へのごみ袋の無料配布を改めて求めますがいかがでしょうか。
-山野市長
指定ごみ袋の収集制度は、ごみ排出量に応じた費用を負担していただくことで、減量化に向けたインセンティブを働かせるものであります。市民負担の公平性の観点からも、全ての市民を対象とすべきものであるということから、無料配布をすることは考えてはいません。
-広田議員
市長のいう市民負担の公平は、やっぱり間違っています。
市長。本市の家庭ごみ有料化は減っているとは言えません。資源ごみの分別が進んだのかもしれませんが、それは受け皿を増やせば有料化せずにできたことです。さらに、市民に負担を負わせているのに、科学的な検証もしない。これは自治体のあるべき姿ではありません。川上である製造の段階からごみとなるものを減らすこと、減量義務のある事業系ごみへの対策を強化すること、市民には罰則ではなく意識啓発と協力でごみを減らす、前向きな環境施策を行うことを求めてごみ有料化の質問を終わりたいと思います。
さいごに学童保育について伺います。
子どものいる世帯への実態調査によって、経済的な貧困層のみならず、一般世帯でも厳しい生活をされているということが明らかとなりました。子どもの貧困基本計画も作られましたが、市長も昨日からおっしゃられている通り、今ある制度を確実に実施するということも大切です。
学童保育は保護者が共働きなどでも放課後の生活を子どもも親も安心して過ごすことのできる大事な場所です。そんな学童保育の拡充を求めて、毎年、保護者や支援員さんたちが市長へ要望書を出し担当課に実態の改善を求めてきました。しかし、新年度予算案をみても学度保育については積極的な予算があるとは言えません。市長の学童保育への認識を伺うとともに、拡充を求めて質問したいと思います。
まずは、待機児童について伺います。本市では、この3年間でも入所児童が増え続け、今年度は5000名を超えています。待機児童数は、本市の報告では19名でしたが、実際はもっと多いはずです。なぜなら、市役所へ申請する保育所と違い、学童保育の場合はそれぞれのクラブに直接申し込むので、数は正確に挙げられないこと。また、はじめから高学年は受け入れない、としているクラブもあります。今年度の在所児童の学年別人数を見てもあきらかで、小3までしか子どもがいないクラブは、95クラブ中29、小4までだと過半数を超えるのです。定数の基準である70名を超えているクラブも20クラブもあるのが実態です。居住校下の学童保育は待機児童が出ているので、通学する学校自体を変えたり、親が仕事を辞めるという事態にまで陥っています。新年度予算案では、3か所の増設が予定されていますが、まだまだ不足する状況ではないでしょうか。市長の待機児に対する認識を伺います。
-山野市長
地域によっては入所できない児童がいることは、私も承知をしているところであります。今年度、保護者を対象とした児童クラブ利用の意向調査を行ったところでありまして、明年度策定する「次期子ども・子育て支援事業」において今後の利用人数の見込みを算定していくこととしており、地域の運営主体となる地区社会福祉協議会や社会福祉法人にご協力をいただきながら、受け入れ定員の拡充に共に努めてまいりたいと考えています。
-広田議員
入所できない実態が地域ごとにあるということはわかっているということは、共通の思いですし、今ニーズ調査を行ったということですけれども、保育と違うのは申請段階で市が行うか学童保育が行うかということで、かなり正確な数字が出てこないのではないかということもありますので、この際、正確な待機児童の把握をどう行うかということを検討していただくことよう求めておきたいと思います。
待機児童を解消し、また基準を越えて子どもが溢れているクラブが安全に保育できるようにするためには、分割や新増設が必要です。しかし、なかなか適した用地や物件が見つからないという問題があります。しかも、保護者が仕事の合間を縫って探しているのが実態です。学童保育に責任ある本市として、公共用地や公共の建物など、場所の確保を行うべきではありませんか。
-山野市長
本市の放課後児童クラブは、これまでも歴史的に言っても地域が運営主体となり地域の社会福祉協議会や社会福祉法人が主な運営主体となり、民有施設や児童館等々での開設を基本としているところでありますし、施設の新設や改修の他、民間施設の賃借料などの補助制度を活用をしていただいているところであります。もちろん、個々の相談に丁寧に対応をしながら、施設の整備ということにも考えていかなければいけないというふうに思っております。
-広田議員
何度も担当課への要望の中で言っていますけれども、保護者も地域も疲弊していてできないという実態もあります。ぜひその現実に向き合っていただき、市が責任を持って用地や物件を確保するという取り組みを、今一度検討をしてみていただきたいと思います。
また、支援員のなり手が不足しているのも問題です。市長はこの間、処遇改善をしてきたと言いますが、一般職とはほど遠く、求人を出しても手をあげられないというのが実態です。ここは、国の補助事業であるキャリアアップ処遇改善の基準通りに行うなど、抜本的な引き上げを行うよう求めますがいかがでしょうか。
-山野市長
平成29年度に放課後児童支援員認定資格を有する支援員に対し、2%の賃金改善を行ったところであります。明年度にはこれを3%に増額することとしております。今後とも、支援員の処遇改善に努めてまいります。
-広田議員
少子化は国難とまで言われている問題であり、国がせっかく補助を出すと言っているのになぜやらないのかというふうに保護者は疑問を持っています。ぜひ、キャリアアップ処遇改善事業通りにやるよう求めたいと思います。
さらに、開所時間の延長についても要望が強く、国の補助基準である18時半以上ならできるのにというクラブもあります。しかし本市は独自基準で19時以上としています。国費を今も入れているのだから、国の基準に合わせて18時半以上を補助対象に変更するべきではないかと考えますがいかがでしょうか。
-山野市長
開所時間を延長するためには、先程から出ています支援員の確保、施設の問題などがあり、導入が難しい児童クラブもあるということは承知をしています。引き続き制度の周知を図りながら、それぞれの地域の状況に応じた環境整備に努めてまいります。なお、開所時間延長に係る補助要件の緩和につきましては、運営主体、さらには保護者の声を聞きながら、今後の研究課題とさせていただければと思います。
-広田議員
さいごに会計業務について伺います。一部の学童保育で、保護者や指導員が給料なども含めた会計を行っていて大変だ、という現状が報告されています。会計任務者として適切といえるのかという問題もありますし、保護者の負担を減らすための学童保育の施策であるはずが、逆に負担が増えているというのも矛盾です。もちろん、保護者や指導員が求めて行っているのではなく、運営上そうならざるを得ない状況ということです。このような状況を、市長は適切だと思われますか。
-山野市長
先程も申し上げましたが、これまで金沢の放課後児童クラブの歴史というものは、それぞれ地域地域で取り組んでこられました。その中で、会計事務も含め、その運営につきましてはその地域の実情に応じて様々な方々に参加をしていただいており、会計を担当する方につきましても各児童クラブで自主的に判断をしていただくものと考えております。
-広田議員
学童保育などの会計をめぐっては、この間本市では事件も発生しています。本市は、民設民営が多いうえに、先程おっしゃったように学童保育によって、運営委員会、社協、保護者と会計主体もばらばらです。しかも複数確認体制もとれていないという実態もあります。保育園などでは毎年監査もあるのにそれもなかった。本市は、新年度から監査を行うということにしていますが、その頻度や監査項目などどのようにお考えなのか、現場からすでにいくつか問題が指摘されていますのでその点が網羅されたものになっているのかどうかなど、教えてください。また会計をどのように行えばよいかを定めたガイドラインなどもつくるべきと考えますがいかがでしょうか。
-山野市長
ご指摘のように、様々な課題も承知をしているところであります。明年度からですけれども、社会福祉法人の監査周期に合わせ、3年に1回の指導監査を行っていきたいと考えております。指導監査では主に会計処理を確認することになりますが、児童クラブ運営委員会などの体制等につきましても確認をしていきたいと考えています。併せて、これも明年度から行っていきたいと思っていますが、全市的に統一した会計の手引きを作成していきたいと考えています。説明会等を通じその周知を図り、適正な運営を指導していきたいと考えています。
-広田議員
今、各地域で出されている問題点が改善されるような監査になるように、求めておきたいと思います。
さいごに、「学童保育の指導員2名以上」という基準に関して、国の方で「従うべき」ものから、「参酌すべき」に変更しました。支援員が集まらないから基準を下げるなどとんでもないやり方です。本市は今の水準を堅持すべきだと、12月議会にも求めましたが、今一度市長のお考えをあきらかにしていただきたいと思いますし、国にもその水準を堅持することができる財政措置を求めるべきだと考えますがいかがでしょうか。
-山野市長
本市では放課後児童クラブの職員につきましては国の基準を上回る人数を配置するとともに、資格要件につきましても保育士資格や実務経験が必要なことを条例で定めているところであります。先の議会におきましても広田議員からご指摘がありました。国が示したものですけれども、人員配置について地域の実情に応じて現行の基準を緩和できるという内容でありました。私は、児童クラブの質の向上を図るという観点から、今後の対応につきましては運営主体や保護者の意見も聞きながら、私はこの国の基準の緩和につきましては極めて慎重な対応をしていかなければいけないというふうに思っています。今まずは、地元でしっかりと対応をしていくということが大切だというふうに思っています。
-広田議員
すでに保護者や支援員さんからは「今の基準を堅持してほしい」という声がありますので、ぜひ堅持するというふうに市長におっしゃっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
-山野市長
国の基準がひとつ示されました、それはそれでひとつの考え方だと思いますけれども、やはり金沢市としては、これまで何度も先程来申し上げてますけれども、地域地域で様々な取り組みをしてきたところでありますので、運営主体や保護者のご意見をお聞きをしながら、このことにつきましては私は慎重に、極めて慎重に取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。
-広田議員
ぜひ「堅持」という言葉をここではっきりと言っていただきたいと皆さん望んでいるんですけれども、これから考えると。しかし「極めて慎重に」というお言葉を胸に、期待をしております。
わたしも、学童保育で小学校1年生から6年生まで過ごし、豊かな放課後生活を送ることができました。民間の学童保育が公的な制度へと確立し、本市でも100近い学童保育が運営されているのは、これまでの保護者や関係者のみなさんの取り組み、市行政の賜物と言えると思います。子どもや親をひとりにしない、地域で育てるという大事なこの場所をもっとよくするために、私も引き続きがんばりたいと思いますし、市長にもぜひ、先程の水準を堅持するということも含め、拡充を求めたいと思いますが、最後にいかがでしょうか。
-山野市長
私は平成7年に初めて市会議員になりました。翌年、平成8年にこの放課後児童クラブのことを議会で取り上げました。それ以降何度も、私なりの問題意識の中で議会で提案をさせていただいているところでありますし、運動をされている方たちとも意見交換をしています。亡くなられた大桑議員ともそのときに知り合って、当時まだ議員ではありませんでしたけれども、大桑さんともいろいろご指導をいただきながらこの放課後児童クラブの充実について、私なりにずっと取り組んできました。私も思いを強く持っているところでありますし、昨日から申し上げておりますけれども子供の施策の充実の中にも、間違いなくこのテーマも入ってくるんだというふうに思っております。思いは同じだというふうに思っております。しっかりと取り組んでまいります。