私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。
わが党は、上程された議案54件のうち、議案第57号、議案第59号、議案第64号、議案第65号、議案第67号、議案第68号、議案第69号、議案第71号、議案第72号、議案第74号、議案82号、議案第83号、議案第86号、議案第88号、議案第89号、議案第90号、議案第91号、議案第97号、議案第98号、議案第101号、議案第105号、議案第106号の議案22件について、反対であります。
その主な理由について述べます。
国民生活と地域経済の深刻な実態が続いています。
先日、政府の月例経済報告が発表され、3年ぶりに景気判断が下方修正されました。その
前に発表された内閣府の景気動向について、その指数が3か月連続悪化し、景気判断を下方修正したことに続くもので、政府自身が景気悪化を認めざるを得ない事態となっています。こうした経済状況からして、安倍政権が、この10月から消費税10%増税を打ち出していますが、それを実行する状況にはありません。国民からは、「消費税増税はとんでもない」との怒りの声があがり、全国に広がっています。
安倍政権は、その経済政策であるアベノミクスの成果を誇示するため、経済・統計の偽装
まで行い、強硬な政治を進めています。30年間の消費税収は、372兆円。同じ期間に法人3税は290兆円減り、企業内部留保の中心である利益剰余金は、300兆円以上増加しています。消費税が福祉に回るどころか、国民のふところから大企業へ回っています。その結果、家計消費は落ち込み、深刻な影響をもたらしています。
5年前、消費税が5%から8%へと増税されました。そのことによって、2人以上世帯の
実質家計消費支出は、年間25万円も落ち込んでいます。
日本経済は深刻な消費不況に落ち込んでいます。こうした状況で、消費税10%増税を強行
するならば、国民生活と経済は、大変な事態となる事は明らかです。
私どもは、消費税に頼らない別の道があることを示しています。
大企業に中小企業並みの税負担を求めることや、富裕層に応分の負担を求めることで、消費税10%増税分の税収が確保できます。
こうした中で編成された本市新年度予算は、市民生活を守り、本市の地域経済を振興して
いく上で重大な問題があります。
第一に、本市新年度予算では、消費税10%増税をそっくり、市民に押し付けるものとなっていることです。
消費税10%増税導入を踏まえ、本市手数料、使用料55件を引き上げるとして、その総額は、790万円です。また、本市のガス料金、水道料金、下水道使用料に消費税10%が転嫁され、その総額は、1億7700万円にのぼります。したがって、消費税増税による市民生活への影響をなくすため手数料、使用料の引き上げを中止し、本市公共料金の引き下げを行う事が求められました。
なお、政府は、消費税増税に伴う対策を打ち出しています。しかし、消費税の複数税率は、複雑で、混乱が起こり、ポイント還元は、キャッシュレス決済の手段を持たない方には何一つ還元はありません。地域の商店でのキャッシュレス決済を導入しても手数料や設備投資費用に見合う利益の保証はわかりません。そして、プレミアム商品券の発行では地方自治体が対応にすることになります。こうした混乱を引き起こす対策であることから、消費税増税こそやめるべきです。
第二に、今、地方自治体は、国によってもたらされる市民生活と地域経済への悪影響を食い止め、住民の暮らしと福祉の向上に努めるという本来の役割を発揮することが求められています。そのことからすると本市新年度予算には問題があります。
国民健康保険料についてです。
昨年4月から「国民健康保険の都道府県化」がはじまりました。国は、スタートにあたって、「激変緩和」を指示したことから、全国的には、保険料の引き上げが抑制されたものの新年度以降、本格的な保険料の引き上げが連続して行われる仕組みが押し付けられようとしています。県から「標準保険料率」が示され、その実行が求められています。仮に新年度、県が示した「標準保険料率」を適用すると一人当たり保険料は、約1万円引きあがることになります。世帯の構成と収入によっては5万円引きあがる事態となります。こうした事が毎年続くこととなります。
本市が一般会計からの繰り入れや基金の財源を活用し、保険料の抑制を行いました。しかし、保険料は、一人当たり1818円引き上げ、賦課限度額は年89万円から93万円へと引き上げが盛り込まれました。
公費の1兆円の投入で保険料を協会けんぽ並みに引き下げることを強く国に求めるものです。そして本市では、18億円にのぼる基金などを活用し、保険料の引き下げ、を強く求めるものです。
介護保険料についてです。
新年度では、65歳以上の方で、13段階ある保険料の内、第1段階で年間6千円、第2段階で年間1万円、第3段階で年間2千円の引き下げが盛り込まれました。対象となるのは、約3割に当たる4万人です。国による介護保険の制度改悪が続き、必要な介護保険サービスが受けられない、介護施設に入れないなど事態が起こっています。介護の現場では、働きたくても賃金が低く、続けることが困難となり、介護の担い手が不足する事態が恒常化してきています。さらに、年金から引かれる介護保険料が高いとの悲鳴が続いています。
こうした事態を打開することを国に強く求めると共に、本市介護保険事業には、11億5400万円の基金があります。その活用などでさらなる保険料の引き下げが求められます。
本市配食サービスについてです。
消費税増税に伴って、一食あたり、500円の利用者負担を510円に引き上げることが盛り込まれました。本市がやるべきは、利用者への負担を一方的に押しつけることではなく、本市が行っている配食サービスを利用されている方への見守り支援として一世帯150円の補助を引き上げることです。
本市病院事業特別会計と病床数の削減を盛り込んだ条例改正についてです。
安倍政権が進める社会保障の削減と関連する医療と介護分野の制度改悪が進み、深刻な事態が起こっています。医療関連においても、診療報酬の抑制と病床数の削減が進められ、医療の崩壊ともいうべき状況が全国に広がっています。
本市の市立病院においても、3年連続の赤字となり、累積赤字は、28億円を超えました。 この間、国による急性期病棟での適用基準が強化され、診療報酬の抑制が続いてきました。その結果、病棟の維持が困難となり、今回、本市の市立病院では、5つの病床数削減などが打ち出されました。
困難を打開するには、国が進めている診療報酬の抑制、病床数の削減、医療制度の改正による国民負担の増加などの政策について、その転換を求めること。そして、何よりも、地域の開業医や地域住民の要望にこたえ、積極的な打開策を進めていくことだと考えるものです。
なお、後期高齢者医療制度については、75歳以上の方を別枠の医療制度を押し付けるものであり、反対であります。
反対の主な理由の第三は、国、県の言いなりの事業が進められていることです。
金沢港建設事業は、平成30度最終補正予算と新年度予算を合わせ、77億円にのぼり、本市の負担は約21億円です。大浜岸壁での事業は、大手企業こまつの工場を誘致するとして336億円が投入され、本市の負担は57億円にのぼっています。クルーズ船を誘致するとして行われている無量寺岸壁改良事業は、総事業費が62億円、施設整備などの事業費が80億円と予想されるものです。県が国に提出した資料によると金沢港建設事業は、全体の事業費が870億円にのぼる巨額の事業費を投ずるもので、従前からわが党は、反対です。
東京国立近代美術館工芸館の移転は、移転とスケジュールが先にありきで始められ、関係者の中でも十分な理解と合意のないまますすめられています。総事業費は、33億5千万円で、県が6割、本市が4割を負担するとしています。今後、美術工芸品の移転費用や運営に係る点など不透明であり、市民の理解と合意は得られているものではありません。
反対の主な理由の第四は、市民のために、税金が使われていないことです。
第二本庁舎建設です。議会棟の移転と上空通路建設は、市民から厳しい批判の的となり断念されました。ところが、その穴埋めをするように行政の一部を移転し、建設事業が進められ、その事業費は、約56億円規模となっています。今、これだけの事業費を投入する必要があるのかとの意見が出されるなど、十分な市民の理解と合意はありません。
金沢駅西口広場横での外資系ホテルの誘致と関連する事業です。
市長が提唱し、始まったこの事業は、250台の駐車場として活用していた本市が所有する用地を安く業者に売却し、外資系ホテルを誘致するとして進められてきました。さらに、周辺の整備事業だとして金沢駅西口からホテルまでの130mにわたって屋根つきの歩道を整備し、融雪対策、無電柱化など現時点で、8億4千万円の税金を投ずるとしています。整備され施設の管理運営にも事業者の参加が検討され、さらに、今後、観光対策として、欧州の富裕層をターゲットとしてインバウンド戦略を推進するとしています。
建設される外資系ホテルのために様々な利便をはかり、税金を投ずることは、行政がやるべきことではありません。
また、工業用水道事業特別会計です。先端産業を誘致するとして造成されたテクノパークに進出した企業に工業用水道を提供するとして設置されたものです。当初から利用する企業からの給水収益では賄えないとして、赤字は全て一般会計から補填するとして毎年3000万円を超える額が支出されてきました。改善を求めるものです。
一方、本市の新年度予算では、民生費のうち、法外援護費として、救護施設入居者に対して行われてきた夏季と歳末見舞金をばっさり削減しました。予算額は60万円です。
地方自治体の本旨である住民の暮らしや福祉の向上に努めるということからして逆行しています
反対の主な理由の第五は、市民の理解や合意がないまま、進められていることです。
家庭ごみ有料化です。昨年2月から実施され1年が経過しました。
家庭ごみ有料化の実施によって、市民に様々な影響をもたらしています。これまでに比べ高い有料ごみ袋を買わなければならず、市民生活に新たな負担を強いることとなっています。ステーション管理に今まで以上に負担を町会の皆さんなどにかけています。
ごみの有料化を未来永劫市民に負担させるのではなく、有料化せずとも、ごみを減らし、環境を守る施策こそ、本市が進むべき選択の方向であることを改めて述べておきたいと思います。
宿泊税についてです。来月4月から実施するとしています。
市民の理解と合意が無く、なかでも特別徴収義務者となる宿泊事業者にも十分理解を得られておらず、実施する環境が整ってはいません。
解決されていない第一の点は、目的税として課税対象や金額、さらには、使い道などの点で疑問や問題点が払しょくされていないことです。
この宿泊税は、負担する能力に応じて税額を設定すると共に、低所得者に配慮するという税金の累進課税という考え方を無視するものとなっています。東京、大阪では、1万円未満の宿泊料金には、税金をかけていません。また、京都市では、修学旅行生の宿泊料金には、課税していません。本市では、2万円未満の宿泊料金に一律200円、2万円以上には、500円の課税となっており、修学旅行生にもその宿泊料金に課税するとしています。
第二に、地元の中小業者にとって、宿泊税の導入は、死活的な問題を抱えることとなり、税の公平性が確保されていない点です。
導入実施された京都市では、簡易宿泊事業者の4割が宿泊税を肩代わりせざるを得ない状況が報告されています。本市が目的税として導入する宿泊税を特別徴収義務者となる事業者に徴収させる仕組みとなっています。本来宿泊料金に対して課税するはずの宿泊税について、実際は事業者が支払うとになれば、宿泊税の導入が、事業者の経営を圧迫するという事態を発生させることとなります。こうした事になれば、宿泊税は、とんでもない悪税となります。
税の公平性を確保する上からも東京、大阪では、1万円未満の宿泊料金には、税金をかけていません。また、本市の宿泊税導入による年間の収入は、7億2千万円ですが、その使い道についても、市民の理解と合意が得られているものではありません。
したがって、4月からの宿泊税導入を見送ることが賢明だと考えるものです。
反対の主な理由の第六に、教育と職員定数に係る点です。
小将町中学校を現在の中央小学校に移転、中央小学校は、子ども図書館の用地に移転、子ども図書館は、現在の付近に新築移転し、公文書館を併設するという中央地区での事業がはじまります。また、新竪町小学校と菊川小学校を統廃合し、新たな犀桜小学校を建設する事業がはじまります。いずれも、関係者をはじめ、市民の理解と合意を十分得られたものではありません。
職員定数条例の一部改正についてです。
新年度、部局の職員定数の増減がありますが、総定数としては、維持されるとしています。しかし、学校施設管理体制の見直しによって7人が削減されました。本市の職員全体では、2014年と2019年を比較すると正規職員が33人削減され、2018年には、非正規職員が1346人となり、全体の約3割にのぼっています。非正規職員を減らし、正規職員を増やすと共に、定年者不補充との人事施策をやめるよう求めるものです。
市長が打ち出している1万人規模のサッカー場建設、歌劇座の新築、中央卸売場の
新築、市立病院の新築などは、市民的議論を最優先に急がないこと。こうした立場から、基金に関する新設改編には同意できません。また、21世紀美術館に関する条例改正についてです。コレクション展の観覧料金などの引き上げやスイミング・プールの地上部を有料ゾーンに追加するなど新たな負担を求める事には、反対です。
新たに設置される谷口吉郎・吉生記念金沢建築館の指定管理者の指定に関しては、本市が直接管理運営にあたることを求め、同意できません。
次に、請願についてです。
請願第34号は、金沢市導入宿泊税の条例内容の一部見直しと見直し期間短縮を求める請願書で、金沢市の宿泊税を考える会の会長から提出されました。
市内の宿泊業者からの宿泊税に関する改善要望として、わが党は、賛成です。
請願第35号は、金沢市導入の宿泊税の課税免除を求める請願書で、金沢市内のラブホテルを宿泊税から守る会から提出されたものです。
この4月から導入される宿泊税に関して課税免除などを求めるもので、わが党は賛成です。
請願第36号は、主要農作物種子法の復活等をもとめる意見書採択に関する請願で、農民運動石川県連合会の会長から提出されました。種子法の廃止によって、食の安全・安心が脅かされることが危惧されており、種子法の復活等を求めるこの請願に、わが党は、賛成です。
請願第37号は、主要農作物種子法廃止に伴い日本の種子の保全の施策を求め石川県条例の制定を求める請願で、農民運動石川県連合会の会長から提出されました。
安心して種子を作り続けられるよう石川県に対して、条例の制定を求める趣旨の請願であり、わが党は、賛成です。
請願第38号は、憲法9条の改定に反対し、憲法を生かした政治の実現を求める意見書採択についての請願で、石川憲法会議の代表委員から提出されたものです。
憲法9条の改定に反対し、平和を守ってほしいとの国民世論は、多数の支持を集め、広がっています。わが党は、この請願に賛成です。
以上の請願がいずれも付託された各常任委員会において不採択となり、その決定に反対するものです。
以上をもって反対討論を終わります。