わたしは、提出会派である日本共産党市議員団を代表して、議会議案第26号国民健康保険料の引き下げを求める意見書の提案理由説明を行います。
国民健康保険は、協会けんぽや組合健保といった被用者保険に比べて、高齢の加入者の占める割合が高く、医療費水準が高くなる一方、無職や非正規雇用の労働者など低所得の加入者が多い構造的な問題を抱えています。したがって、とくに所得の低い方にとっては保険料負担が重くなります。
国は、このために低所得の方々の保険料軽減措置などを行い、また昨年4月からスタートした国保改革の案を取りまとめる際も、全国知事会等との協議の結果、毎年約3400億円の財政支援を行うこととしています。しかし全国知事会との議論の過程では、国保の保険料水準を協会けんぽ並みに引き下げるために必要な公費として、1兆円の財政支援の拡充が必要という意見もあったほか、国保改革スタート後も全国知事会、全国市長会それぞれから、3400億円の確実な実施とあわせ、さらなる公費の投入が必要だと要望が出されているところです。
そもそも、国保がスタートした翌年の1962年当時の首相の諮問機関・社会保障制度審議会では、低所得者が多く、保険料に事業主負担がない国保は相当額を国庫で負担する必要があり、健保とのアンバランスは極力是正すべきだと勧告して出発したもので、これは国保制度本来の理念です。
さらに、国保には他の保険にない均等割があります。本市の均等割は、1世帯あたりの平等割が年間34,200円、一人当たりの均等割は45,000円と高額です。特に、子どもに係る均等割は子育て支援への逆行にほかならず、全国知事会からも要望が提出され、2015年に地方との協議の場で検討する合意をしてから4年が経っています。
国民健康保険料が払いたくても払えずに滞納し、差し押さえされたり、保険証が取り上げられ受診が遅れ死亡する事例が後を絶ちません。
公的医療保険は、国民に平等に医療を保障するための仕組みであり、加入する保険によって、負担や給付に大きな格差があることは、そもそも制度の趣旨に反します。同じ収入・世帯構成の家族が、加入する保険が違うだけで、保険料の負担が大きく異なる格差を解消することは、社会の公平・公正という点からも欠かせないものです。国において、国民健康保険料の引き下げに取り組むよう求めるこの意見書に、議員のみなさんのご賛同を求め、提案理由説明と致します。