2020年4月臨時議会補正予算・質疑 森尾議員

-森尾議員

私は、日本共産党市議員団の一人として、提出された補正予算と関連する議案について質疑いたします。

 新型コロナウイルス感染が急速に広がっている状況をどのように受け止め、今回の補正予算を提出されたのかまず、市長に伺いたいと思います。この7日に政府が緊急事態宣言を行い、28日で3週間となります。国内感染者数は3906人から1万4308人と約4倍に増加し、死者は407人、本県では6人の方が亡くなっています。16日には、緊急事態宣言が全国に拡大され、本県など6道府県は特定警戒都道府県に位置づけされました。4月以降、本県・本市での感染者数は増え続けています。市長、どのように受け止め、補正予算に取り組まれたのか、まず伺いたいと思います。

-山野市長

 まず、森尾議員がおっしゃいました亡くなった方にご冥福を申し上げると同時に、感染された方の一日も早い完治を祈念したいと思います。どのように思ったかというと、大変にショッキングな数字であります。石川県は東京都に次いで多いとも言われています。金沢市は人口割で言えば全国でも、本当に不名誉なことではありますが上位にランクされてしまっています。改めて気を引き締めて取り組んでいかなければいけないと思っています。13日に金沢市独自、そして石川県独自の緊急事態宣言を発出いたしまして、様々な施策に取り組んできました。連休前にあたりまして、改めて市民・県民の皆様としっかりと取り組んでいかなければいけない、そんな思いを強くしているところであります。

-森尾議員

 感染者の急増に伴って、医療の現場が深刻な状況となっています。感染者が急増し、県が確保したとする170床では対応することが難しく、すぐには入院できない事態となっています。全国では、軽症との判断で自宅待機を指示されている方が容体の急変で亡くなる事態が発生しています。市長、どのように受け止めて補正予算に取り組まれたのか。そして本市として、本市市立病院での受け入れ体制の拡充と保健所の体制強化が求められます。市長の見解を伺いたいと思います。

-山野市長

 私も、ご自宅で待機されている方が急変してお亡くなりになったという報道に触れまして、やはり大変ショックを受けました。改めて、出来得る限り医療関係者の目の届くところでの療養というものが好ましいのだと思っています。市立病院におきましては、今回予算をお認めいただきましたら、看護師の補充等、様々な対応をしていくことによって、一般病床での軽症患者の受け入れというものもさせていただきたいというふうに思っています。これにより28名の受け入れが可能となります。

-森尾議員

 医療体制の強化についてですが、本市市立病院と保健所の体制強化に向けて人員の強化が打ち出されています。医師の体制強化はどのように進めるのか伺います。さらに、福岡市では医療・介護関係者への特別給付金、愛知県では医療従事者応援金が創設されました。市長は自らの給与を削減し、その費用を医療関係者への支援に充てるとしていますが、他の自治体から学び、人的・財政的支援について検討すべきと考えますが、市長の見解を伺います。なお、昨日、七尾市の公立能登総合病院で感染症病棟に勤務する看護師が感染したと報じられました。本市としても医療現場での感染防止対策の強化に向け、一層の努力を求めたいと思います。合わせて伺います。

-山野市長

 感染症患者の入院の措置であったり病床の確保であったりにつきましては、一義的には県の業務であります。市としても県としっかり連携をしながら取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。今ほど森尾議員にお話しいただきましたように、今回の補正予算におきましても病院にというわけではありませんけれども、医療関係者、医師や看護師への感謝の気持ちを表すという意味も込めまして、団体への協力金を盛り込んだところであります。引き続き、国・県としっかり連携をしていきたいと思っています。また、安全の確保が大切だということであります。私も全く同感であります。一般のマスク等々につきましては少しずつにではありますけれども製造や流通というものが回ってきましたけれども、医療用の資材というものが不足をしているというふうに言われています。しっかりと対応しなければいけないというふうに思っています。今のところ、民間の医療機関から金沢市の方に対して備品の充実を求める声はありませんけれども、やはりこれは大切な課題だというふうに思っています。必要な資材の確保につきましては、県とも連携し、要望があったときには迅速に対応できる環境を作っていきたいというふうに考えています。

-森尾議員

医療現場から感染防止対策のための医療資材が不足しているとの声が相次いでいます。県内、市内の開業医などでつくられている県の保険医協会によると、医療用のN95マスク、ガウン・エプロン、ゴーグル・フェイスシールドの不足が深刻で、この22日に県に対して緊急要望が提出されました。また、介護施設からも要望が出されています。本市としても、医療、介護施設などの実状を把握し、確保するための独自の対策が求められていると思いますが、市長の見解を伺います。

-山野市長

 まず、金沢市としては一義的に市立病院の充実を図っていきたいというふうに思っています。様々な医療資材の必要な数等々を精査した上で、今回予算をお諮りいたしました。お認めいただきましたなら様々なルートを通してしっかりと確保していきたいというふうに思っています。今お話いただきましたように、他の医療機関や福祉施設に対しても、要望等々ありましたら県と連携してしっかりと対応できるような環境を作っていきたいというふうに考えています。

-森尾議員

 次に、本市補正予算と感染防止対策についてです。今回の補正予算の規模は487億円となっています。そのうち、一人当たり10万円を支給する「特別定額給付金事業」として、455億5千万円が計上されています。また、財源として国が地方に1兆円規模とする「臨時交付金」が充てられています。一方、本市単独事業の予算は約12億円で、全体の2.4%にすぎません。市長から、補正予算の提案にあたって、どのような考えで取り組んだのか伺います。

-山野市長

 単独事業としての予算は今お話いただいた通りであります。午前中の議論でも申し上げましたが、私はかねがね休業要請と保障はセットであるというふうに申し上げていました。残念ながら、国の方で対応されませんでしたけれども、石川県当局の方で積極的に対応していただけるということで、ここは金沢市と折半、半額ずつ負担しているところであります。この分で12億円を負担しています。そして今回は国の緊急予算に対応した予算を一義的なものだというふうに思っていますので、雇用調整助成金の上乗せであるとか様々な施策をとることによって、まずは市民の皆さんに国の予算を利用しやすい環境を作っていきたい、そんな思いからも予算を組ませていただきました。

-森尾議員

 感染対策が長期化することから国による1兆円規模の交付金について、さらなる拡充を求める要求が全国知事会からも上がっています。市長の見解を伺いたいと思います。また、一人当たり10万円を支給する「特別定額給付金事業」についてですが、第一に、本人確認書類のコピーを送らなくても受給できるように対応できないか。第二に、DVの被害者などシェルターに居住していて住民票が無い方が現在住んでいる所でも受け取れるようすること。こうした要望に対応しての見解を伺いたいと思います。

-山野市長

 まず国におきまして、特別定額給付金の申請につきましては、郵送申請とオンライン申請を基本と考えているというふうにお聞きをしています。郵送申請の場合は、本人確認書類としてマイナンバーカードや運転免許証等の写しを必要とするとされています。オンライン申請ではマイナンバーカードの電子署名により本人確認を実施しますことから、本人確認書類の添付が不要になりますので、そちらをご利用いただければというふうに思っています。DV被害者のことについてお尋ねがございました。こちらの方も、基準日として4月27日に住民基本台帳に記載されているということが基本になっています。ただ、様々な事情でそれ以前に住民票を移すことができない方がいらっしゃることも事実でありますので、そういう方には4月30日までに金沢市の人権女性政策推進課にご連絡をいただくことによって適切な対応をしていきたいというふうに思っています。

-森尾議員

 感染対策としてPCR検査体制の抜本的な改善と拡充が緊急の課題として提起されています。先の県保険医協会によると7割以上の医療機関で、PCR検査依頼をしたが断られた経験があるとのことです。検査体制の拡充を大幅に進めるべきと考えます。すでに何回か提案をしてきましたが、全国的にもPCR検査センターの設置、ドライブスルー方式の導入、公的機関や民間への依頼など取り組みが進められていますが、本市としての取り組みを伺います。

-山野市長

 県におきましてはこれまで積極的に対応されてきましたけれども、患者数が増加しているということ、また退院する患者の方への対応ということもありまして、今回、県の要請を受け保健所においてPCR検査を開始したところであります。なお、県と調整をいたしまして、当面確実に実施できる件数として検査件数を一日最大12件としているところであります。ただ、今後職員の検査技術の向上や、手順の効率化を図り、検査体制の充実を図っていきたいと考えています。

-森尾議員

13日に私は、この対策強化を求めて文書質問を提出し、今答弁があったように市長から昨日27日に回答がありました。その中で、市長は本市保健所でのPCR検査を開始したことを明らかにされました。17日に厚生労働省が通知を出しました。この中で、各地域の自治体に「PCR外来・検査センター」の設置を促しました。中核市にも要請が行われました。改めて市長から、PCR検査体制の拡充について具体化を伺いたいと思います。

-山野市長

 これまでも金沢市は石川県と連携をしながら取り組んできたところであります。この度、県の要請を受けて、退院する方たちのための検査をさせていただいたところであります。必要とあるならば、県と連携をしながら金沢市としてできることを精一杯やらせていただきたいと思っています。

-森尾議員

市長も述べたように、自粛要請とセットで補償することが必要だと、この課題について伺います。国の「持続化給付金」は50%以上の売り上げ減少などが要件です。県の「感染拡大防止協力金」は、対象業種と店の規模などが要件です。本市は、国の給付金の対象とならない方や事業者に対して独自に実施するとしていますけれども、売上高30%から50パーセント未満減少や対象の業種についてなどの要件を示しています。私は、これらの要件をなくすことが必要だと考えます。また、一回きりではなく、継続した支援が必要だと考えますが、市長の見解を伺います。

-山野市長

 まず休業要請の要件は、これは特措法に基づきまして石川県がお決めになることでありまして、金沢市としては精一杯一緒に取り組んでいきたいというふうに思っています。また30%から50%未満という基準を設けさせていただきました。やはりここは一定の線引きが必要だという観点から、政策的な配慮の中で一定の線引きをさせていただいたところであります。また継続的な支援が必要ではないかということであります。まずは5月6日までの緊急事態宣言を念頭に置いて、国も県も市も様々な施策を打ってきているところでありまして、今後この対応がどうなるかということによって状況が変わってくるのではないかというふうに思っています。必要が求められるならば、金沢市としてできる限りのことをやっていかなければいけないというふうに思っています。

-森尾議員

 観光地域づくり緊急支援給付金事業が補正予算で計上されました。前回の補正予算ではホテル・旅館などに対する支援として1億7千万円が予算化されましたが、今回の支援として対応が組み込まれているのか伺います。昨日、市内の主なホテル等の方々が本市に対策強化を要請されました。この中で、市内の宿泊施設の現状を調べたところ、21施設からの回答では、宿泊のキャンセルなどで被害総額は25億5千万円にのぼるとのことです。このことから、2月から8月の被害総額は76億円にのぼるとの試算を明らかにされました。このままでは事業の継続ができないというふうに強く訴えておられます。今後の財政的支援を強く求めておられますので、必要な対策が求められると考えますが、市長の見解を伺います。

-山野市長

 昨日の皆さん方もそうですし、様々な方たちから切実な声をお聞きしているところであります。先程、飲食関係・観光関係の話が出ました。また今回の観光地域づくり緊急支援給付金事業におきましても、ホテル・旅館等宿泊業者を該当とさせていただくところでもあります。引き続き強力な支援というものも考えていきたいというふうに考えています。繰り返しになりますけれども、まずは5月6日までのことを念頭に置いて取り組んでいるところではありますけれども、状況を勘案しながら様々な施策に速やかに取り組んでいきたいというふうに思っています。必要とあるならばできる限りの施策に取り組んでまいります。

-森尾議員

 今回の補正予算に当たって、どういう考え方に立って組まれたのかという点において、改めて伺っておきたいと思います。感染拡大防止対策を重視するということならば、自粛要請に伴って休業など協力をいただいた全ての業種に対して、条件を付けることなく支援策を講ずるべきではないかと考えます。一方、経済的支援だとするならば、市内のホテル関係者が調べたところでも大きな影響額が示されています。しかし、現実に本市としての補正予算は、前回のホテル・旅館への支援の1億7千万円に過ぎません。あまりにも影響額が大きく、すでに倒産する事態が生まれています。一体、感染拡大防止策を本当に重視するという立場で補正予算を組まれたのか、それとも市内で現実に起こっている経済的支援を本気で行おうとしたのか、改めて伺いたいと思います。

-山野市長

 提案説明でも申し上げましたけれども、4つの柱を念頭に置いて、いずれも本気で組ませていただいたところであります。必ずしも充分ではないというお声があるならば真摯に受け止めて、できる限りのことはしていきたいというふうに考えています。

-森尾議員

市民生活に関わって、2点お伺いします。今回提案されている国民健康保険及び後期高齢者医療における傷病手当金の支給についてです。他の医療保険制度の中で制度化されている傷病手当が実施されることとなりましたが、負担と給付を等しく制度化し、病気による賃金や収入が得られない場合、傷病手当として3分の2程度を補てんするという考え方に立つならば、今回の条例改正案で「給与等の支払いを受けている被保険者」を対象とすると明記されていますが、この対象としてフリーランスや個人事業主など雇用主についても適用する考えはないでしょうか。市長の見解を伺います。

-山野市長

 フリーランスや雇用主の方につきましては、国・県・市で重層的に融資制度や給付金などの支援措置を講じておりますことから、本市において傷病手当を支給することは今のところ考えてはおりません。

-森尾議員

もう1点、収入の減少により家賃が払えず、住居を失う恐れのある方への支援事業が打ち出されています。また、休業や失業で生活資金の支援などについても、本市生活支援課を窓口に本市社会福祉協議会が対応するとしています。現在の実施状況と今後の取り組みについて明らかにしていただきたいと思います。また、相談窓口の設置や体制の強化も含めて、答弁をお願いしたいと思います。

-山野市長

 まず住居確保給付金事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した方を対象に加えるなど、制度の拡充がされ、その受付を4月20日から始めたところであります。24日までの受付件数ですけれども7件ありました。ただ相談はいくつも受けているところであります。さらに生活福祉資金貸付事業につきましては、休業や失業等に対する特例貸付が3月25日から実施されておりまして、4月24日までの受付件数は、緊急小口資金424件、総合支援資金30件であります。窓口の体制作りについてですが、住居確保給付金も生活福祉資金貸付の窓口も、金沢市社会福祉協議会に一本化するとともに、来所による感染リスクを軽減するためにも郵送による申請を受け付けしているところであります。市からも職員を派遣し、相談体制の強化を図っています。また市役所に生活費の相談に来られる方に対しましても、これらの制度についてご案内をし、申請書類をお渡しして説明するなど、相談者の負担を軽減しているところであります。引き続き、相談される方に対して寄り添った形で取り組んでいきたいと考えています。

-森尾議員

連休が始まります。期限も明記をされている状況で5月6日までということなんですが、市民への相談窓口の設置という点は、この連休中どういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。

-高柳福祉局長

 このGW中につきましても、この住居確保給付金と生活福祉資金貸付事業につきましては受付、あるいは電話相談等対応できるよう体制を整えているところでございます。

-森尾議員

 最後に、教育長に伺っておきたいと思います。学校休校が継続し、今回の補正予算の中でも小中学校臨時休業対応費が計上されています。こうした中、21日に文部科学省が「最低限取り組むべき事項」という通知も出されています。子どもたちの学びの保障は大切であり、重要だと考えます。家庭や学校、教師を細かく拘束する内容に現場からは懸念の声が上がっているだけに、地域や学校の状況を的確に把握し、現状に即した対策と実施が何よりも重要だというふうに考えています。本市教育委員会の取り組みについて伺っておきたいと思います。

-野口教育長

 まず子どもたちの声をしっかりと聞くということが大事だと思っておりますので、担任を通して1週間に1回、児童・生徒への電話連絡を通して、様々に学習の状況や健康状態について把握させていただいております。午前中も答弁させていただきましたけれども、学習支援につきましては学校が作成しましたプリントに加えまして、教育委員会におきましても独自にチャレンジワークというものを作成しておりまして、そうしたものを郵送しながらしっかりと教科書を使って予習ができるような工夫もさせていただいております。また、担任が児童・生徒へ電話した折には、今取り組んでいる学習についてわからないことがないか等について尋ねさせていただいておりまして、もし質問があった場合には丁寧に対応させていただいております。

-森尾議員

今お話があったように、臨時休業期間中の学習用プリントを児童・生徒に届けるとしています。その際に、電話等で子どもたちの様子などを把握し、相談などに対応されているかと思います。子どもたちは大変大きな不安と、長期に渡った休校でストレスも高まっています。子どもへの虐待も見えにくくなっています。子どもたちからのSOSをキャッチするために、様々な方面での努力が必要だと考えています。ぜひ、教育委員会としてもこうした子どもたちの現状に寄り添い、対策と取り組みを行っていっていただきたいというふうに思っています。改めて、答弁を求めたいと思います。

-野口教育長

 先程もお話させていただいた通り、やっぱりしっかりと子どもと直接対話をして子どもの様子をしっかりと把握するというのが大変大事だと思っておりまして、しっかりと電話の中で健康状態とか学習状況を確認しておりますけれども、その際一番大事にしていることは、やはりこの子どもが悩みとか不安を訴えてくる、そうしたときには、担任とか教育相談の担当教員がおりますので、そうした教員を中心として対応したり、またスクールカウンセラーと連携するなどして、できるだけきめ細かく対応するように努めております。合わせまして、教育委員会の方で「こころの相談窓口」をまとめた一覧表を作成して、学校を通して児童・生徒に配布しておりますし、その他にも家庭において気になる様子が感じられる場合には児童相談所と連携し、児童・生徒の安全を最優先に対応できる体制を確保しているところでございます。今後も児童・生徒と定期的な連絡を継続いたしますとともに、悩み等に丁寧に対応して参りたいと考えております。

-森尾議員  以上で質疑を終わります。

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