2021年3月議会 森尾議員代表質問

※実際は、一括して質問して、一括して答弁をもらう形ですが、便宜上、一問一答の形にしています。

-森尾議員
 質問に先立ち、新型コロナ感染症によって亡くなられた方々、現在も闘病を続けておられる方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、日夜奮闘されている医療・介護、福祉従事者の方々に深い感謝を表明いたします。私は、日本共産党市議員団を代表して、以下質問を行います。
 最初の質問は、新型コロナ感染症対策についてです。新型コロナ感染症の拡大が全国に広がり、医療・介護分野やくらしと営業に深刻な影響をもたらしています。こうした中で、今、最も必要とされる一つが政治への信頼ですが、これを壊す不祥事と発言が相次でいます。菅首相の長男が関係した総務省幹部接待問題です。放送に続き、通信分野でも起こっています。農水省では、鶏卵大手企業と元大臣を含めた幹部職員が関係した贈収賄事件が起こっています。こうした忖度政治や官僚を巻き込んだ利権政治の実態に国民の怒りが沸き起こっています。また、コロナ感染の緊急事態宣言が出されているさなか、自民・公明両党幹部による銀座クラブ会食問題が起こり、河合元法務大臣と妻・案里前参議院議員の大型買収事件については、自民党本部からの1億5千万円の資金が渡された問題が、全く解明されていません。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森前会長の女性を蔑視した発言に対し、国内外から厳しい批判があいつぎました。会長辞任だけでは解決したわけではありません。ジェンダー平等を求める世論が広がり、日本社会全体に問題が提起されています。市長!政治と政治家への信頼について、率直な見解を伺いたいと思います。
 新型コロナ感染症対策の第一は、ワクチン接種についてです。市民からは「いったい、いつから、どこでワクチン接種ができるようになるのか」「果たして安全なのか」との意見が相次いでいます。市長の答弁も、先の緊急議会で、みずから「4月から」と述べていました。現段階で、政府は高齢者向けのワクチンを「6月配送」と述べています。3600万人の高齢者と470万人の医療従事者、併せて4070万人分のワクチンを確保し、接種するには、19か月かかってしまうのではないかとの事態も予想されています。市長!現時点で、本市において、ワクチン接種は、いつ、どのように行われるのか明らかにしていただきたいと思います。合わせ、市民に対して、正確に情報発信をどのように行うのか。明快な答弁を求めるものです。

-山野市長
 ワクチン接種計画の遅れのことについてであります。1月8日に私は金沢市で実施本部を立ち上げたいと記者会見でも申し上げました。その段階では、これまで国の情報を承りまして3月上旬には高齢者に接種券・クーポン券をお送りして、下旬に接種というふうに申し上げました。それ以降国の方から様々な情報をいただきながら、確かに森尾議員からご指摘がありましたようにそのときに比べれば遅れということになるかというふうに思っています。今現在ですけれども、国の示す計画におきましては4月中旬から65歳以上の高齢者への接種を開始し、7月以降一般の方々への接種を開始する見込みとなっています。一般の方々への接種にあたりましては、基礎疾患のある方及び高齢者施設等の従事者を優先して接種することとなっています。本市といたしましては国の計画に基づいて接種を実施できるよう準備を進めていきます。実施方法や注意事項に関する情報につきましては、接種対象者あての接種券に同封する説明書や、コールセンターでの問い合わせの対応、またホームページ等々でも発信をしていくことによって、市民への周知に努めてまいります。

-森尾議員
 本市はワクチン接種について、市内医療機関にお願いするとの方針です。医療現場は、日常診療に加え、ワクチン接種が加わるとなると大変です。どのような支援策を考えておられるのか伺います。国は、ワクチン接種にかかわる費用については、全額対応すると表明しています。医療機関へのワクチン接種にかかわる費用について、現場からの要望にこたえ、適切な対応が求められます。見解を伺います。

-山野市長
 住民接種の費用のことについてお尋ねがございました。国においては直接的な接種委託費を負担することに加え、接種を進めるために自治体が行う体制整備費用については補助金交付の対象とする旨を示しています。本市ではこの補助金を活用し、医療機関におけるワクチン管理費用を支援するとともに、各医療機関へのワクチン配送体制を整備するほか、接種予約を管理するためのアプリを導入するなどして、接種を行う医療機関の負担軽減を図ることとしています。引き続き、医師会とも協議をしながら医療機関での接種が円滑に進められるよう、本市としても支援策を講じてまいります。

-森尾議員
 第二に、検査体制の拡充についてです。無症状の感染者を把握し、市中感染の実態をつかむことが大切になっています。そのためには、PCR検査の拡大・充実が求められます。本市は、片町地区などでの接待を伴う飲食店など780軒を対象に無料のPCR検査を実施が行われました。周辺の住民からは、道路一本隔てて、対象区域から外れ、検査も受けられない、財政支援も受けられないというのは、あまりにもひどい。との声が出されました。また、実施時期が遅れたのではないか。対象範囲が適切だったのか。書類だけでなく、市から訪問して検査実施を呼びかけるべきでなかったのか。など指摘があります。今回の取り組みから教訓とすべき点について、市長に伺います。

-山野市長
 片町地区における一斉検査のその取り組みからの教訓であります。2月17日にこれを行うときの記者会見、そして3月に入ってからまとめた記者会見も行いました。そのときにも私は申し上げましたけれども、この検査の直接的な目的は2つある、『片町』という表現が多く出ていますけれども、多くのお店では可能な限りの予防対策を取りながらされていらっしゃる、いわゆる風評被害で大変厳しい経営を強いられている、このPCR検査を通して私はその風評被害が払しょくできる一路になればという思いが1つ。もう1つは県と連携をして行うことを挙げさせていただきました。県の方でも時短要請、支援金の支給をお決めいただきました。この2つの目的を申し上げさせていただきました。少しでも実効性のあるものにするためにも、記者会見も行いました。2回封書でも案内を行いました。6割を超える店舗の申し込みを受け、啓発の意味でも私は一定の効果があったというふうに思っています。20代の方が少ないのではないかというご意見もお聞きをしております。ただこの案内のところにも1月の下旬から2月18日まで、この間クラスターが多く発生しましたけれども、多くの方々、488人であったと思いますけれども、すでに検査を受けておられます。20代の方が多かったというふうに県の方の発表でもありました。多くの方がその期間でも受けていらっしゃいます。やはりそんなことも含めて私は啓発の意味でも一定の効果があったというふうに思っています。必要な時期に適切な方法で実施することの重要性、そして県との連携もしっかりするということで、様々な施策を行うときには、その施策の直接的な目的を明確にして行うことが大切であるということも、この検査の中での教訓として感じたところでもあります。

-森尾議員
 元日本がん学会会長の黒木登志夫岐阜大学学長は、次のように述べています。「感染者が減ったから検査を減らすと言うように手を抜いたら再拡大につながります。医療、介護施設への定期的検査は、第一に行うべきです」と提言しています。市長!全国各地で一定規模でのPCR検査が実施され、県内の自治体でも、検査を実施する場合の支援策が打ち出されています。本市として、医療機関と高齢者施設などの職員や入院・入所者に対する一斉・定期的なPCR検査を実施する考えはないか。伺うものです。

-山野市長
 医療機関や高齢者施設の職員、入院者・入所者に対して一斉に定期的なPCR検査を行うということをご提案いただきました。そういうご意見をおっしゃる方もいらっしゃるようではありますけれども、様々なご議論があることも事実であります。私としましてはこれまでも県と連携をし、医療機関や高齢者施設等で感染が発生した場合、幅広に検査を実施してきました。安心は決してできる状態ではありませんけれども感染が落ち着きつつある中でもあります。一斉に定期的な検査を実施することは考えてはおりません。

-森尾議員
 第三に、保健所と医療機関の体制強化です。保健所の人員体制の強化として保健師1人、事務1人となっています。もともと保健師の定数が少ないことから抜本的強化が必要です。さらに、医療機関への支援策として市内の全ての医療機関に対して、財政的支援を行うことが求められています。市長の見解を伺います。

-山野市長
 保健所の人員体制の抜本的な強化が必要ではないかという趣旨のご提案であります。令和2年度中に保健師を3名増員いたしました。感染拡大の状況に応じ、保健局内や他部局から保健師や事務職等を派遣し、事務従事でサポートをしてきたところでもあります。保健所内の業務の見直し等を実施し、職員の負担の軽減を図ってきたところであります。今後とも事務等が逼迫することがないように必要な対応をしていきたいと考えています。
 医療機関も大変な状態ということはよく理解をしているところでもあります。医療機関への経営支援につきましては、全国的な課題でもありますことから、一義的には国が対応するものだというふうに考えています。市長会を通じてそのことも強く申し上げて行きたいと考えています。

-森尾議員
 この項の質問の最後に、補償とくらしへの支援についてです。コロナ禍による市民生活と営業への影響は、深刻です。雇用と営業を守るためには、持続化給付金や家賃支援給付金など一回限りの支援とせず、再度の支援が必要です。また、国民生活を守る上で、1人10万円の支給を求める声が高まっています。先日、わが党をはじめ、野党3党が共同して、法案を国会に提出しました。与党からも要望が出されるなどその要望が広がっています。本市とし、この実施を国に求める考えはないか。見解を伺います。
 また、本市が打ち出した支援策について、業種を特定するのではなく、市内の全ての事業者に対し、事業規模に応じた支援策を行うよう求めるものです。
市長の見解伺います。

-山野市長
 住民非課税世帯等を対象に1人あたり10万円を給付する法案が国会に提出をされたということであります。新型コロナウイルス感染症対策につきましては、政府において切れ目のない政策が補正予算等を通じて講じられてきていると考えています。ご指摘の法案については現在国会で審議中とお聞きをしておりまして、今後の国会における議論を注視していきたいと考えています。
 緊急議会におきまして、飲食業者・宿泊業者に対する支援をさせていただきました。市内すべての事業者に対する支援が必要ではないかということであります。先程医療機関の支援の時にも申し上げましたが、多くの事業者がやはり厳しい経営状況であるということは理解しているところであります。ただこれはやはり金沢・石川だけが特別だというわけではありません。全国的に同様の状態であると思っておりますので、持続化給付金のように一義的には国等が対応すべきものであると思っています。市としては、市としてなしうる限りの支援策を講じてきておりますので、ご理解をいただければというふうに思っています。

-森尾議員
 質問の第二に、本市新年度予算についてです。
 コロナ禍の下で、地方自治体のあり方があらためて問われています。振り返ってみると「平成の大合併」により、全国の自治体数が3200から1700へ大幅に減り、地方自治の力を弱め、住民サービスが隅々まで行き渡らず、災害にも機敏な対応ができにくくなりました。保健所の体制も大幅に弱められました。29年前、全国で852か所あったものが469か所と半分になりました。国立・公立などの公的病院は、この間1822か所から1524か所へと300か所も減らされました。その上、さらに440か所もの統廃合を打ち出しています。公務員の削減がすすめられ、地方公務員数は、この間320万人から270万人へと50万人も減らされました。こうした地方行革の名で行われてきたことが、コロナ危機の下で、深刻な影響をもたらしています。地方自治体は、住民の福祉向上をめざすことがその本来の役割であり、今こそ、その力を発揮しなければなりません。本市の新年度予算を見てみると市税収入が対前年度に比べ、30%減少・57億円の減収となっています。コロナ禍の下で市民生活と地場産業に深刻な影響をもたらしていることを示しています。今後、感染予防対策を優先し、社会的弱者支援など福祉施策の強化、地場産業への支援強化が重要となっています。そして、一般会計総額の確保・拡充が必要です。
 そこで、市長に伺います。本市の市民生活と地場産業の現状をどのように把握し、本市新年度予算編成を行ったのかお聞きいたします。具体的に伺います。保育料と保育士の待遇改善についてです。国は、保育料の無償化を打ち出し、実施されました。これを受けて、山形県では、0歳児から2歳児までの保育料について、年収400万円未満の世帯までを軽減対象とする対策を打ち出しました。そこで、本市の第一子の保育料について、C階層を無料に、D階層の保育料半額をめざし、当面D階層1から5までを半額にすることを提案します。必要な財源は、8600万円です。
 併せて、保育士の処遇改善についてです。命を守り、未来の子を育てるにふさわしい賃金とはなっていません。東京都保育士実態調査によると退職意向者の理由として第一に挙げたのが、「給料が低い」68.7%とのことです。保育士の賃金は、働く全職種の平均に比べ、月額で10万円から15万円低くなっています。保育士のパート化や短時間勤務の保育士導入が進められてきています。本市独自に保育士の処遇改善が求められます。見解を伺います。

-山野市長
 保育料の引き下げのことについて、他県では0歳から2歳児の保育料を段階的に無償化する動きがある、本市も考えるべきではないかということでありました。本市におきましても子育て世帯の経済的負担を軽減するため、保育料を国の徴収基準額より低く設定するとともに、23年連続で据え置くこととしています。さらに今回、保護者の所得ときょうだい同時入所に係る要件を撤廃をし、第2子を半額、第3子以降を無料とする負担軽減制度の拡充をお諮りをしているところでありますので、まずは議員各位にお認めをいただきまして、着実なこの実施に取り組んでまいりたいというふうに思っています。これ以上の引き下げは考えてはいません。
 保育士の処遇改善のことについてお尋ねがございました。国ではこれまで保育士の給与水準の改善を図るため、平成25年度以降で約14%の処遇改善を行うとともに、中堅保育士の技能・経験に応じた処遇改善を実施しています。本市ではUJIターン希望者への転居費用・宿舎借り上げに対する支援を行うとともに、国基準を上回る保育士の配置に加え、感染症にかかる周辺業務を担う保育支援者の配置等を支援しており、今のところ本市独自の新たな処遇改善は考えてはいません。

-森尾議員
 国民健康保険料についてです。本市の加入者は、5万8千世帯です。保険料を一世帯あたり、年間1万円引き下げることを提案します。必要な財源は、約6億円です。また、18歳までの子ども一人当たりに均等割の保険料が実施されています。本市では、6500人です。これを無くすことを提案します。必要な財源は、1億7千万円です。基金残高が25億9千万円あることから、これを活用すれば、可能です。
 介護保険料についてです。本市の65歳以上の方を対象とする保険料は、所得に応じて13段階となっています。新年度から始まる3か年間の第8期介護計画では、基準となる保険料・月額6590円が示されました。この保険料を一人、年間1万円引き下げることを提案します。必要な財源は、12億円です。基金残高23億円を活用することを検討していただきたいと思います。市長から見解を求めたいと思います。

-山野市長
 国民健康保険料の引き下げのこと、さらには18歳までの子どもの均等割り保険料の廃止のことについてお触れでした。明年度から保険料率については県から示された標準保険料率に準拠しつつ、市民生活への影響に配慮をし、財政調整基金の取り崩し等により引き下げを行うこととしました。基金は保険料の引き上げが必要となった場合などの負担緩和財源として効果的な活用を図っていくこととしており、さらなる保険料の引き下げのために活用することは考えてはいません。子どもの均等割り保険料については令和4年度より少子化対策の観点から、国と地方の取り組みとして未就学児を対象に均等割り額の5割を軽減する制度が創設される予定でありますことから、この制度に基づいて支援をしていきたいと考えています。
 介護保険料の引き下げについてご提案をいただきました。今般取りまとめた、介護保険事業計画において、高齢者人口は引き続き増加傾向にあり、団塊の世代の方々が75歳以上となる次期計画期間中のサービス給付費はさらに増加すると推計をしています。仮に基金を取り崩して1年間に限って保険料を引き下げたとしても、次期の保険料の引き上げ額が大きくなるものと想定されますことから、これを緩和するため今回は保険料を据え置きとし、引き下げは考えてはいません。

-森尾議員
 この項の最後に、不要不急の事業を見直し、市政運営の転換を求めます。
 新しいサッカー場の建設です。現在あるサッカー場が使用されている中、現在地改築の方針が、敷地内にある少年サッカー場の場所に移転・新築する方針へと変わりました。その事業費は、当初75億円でした。ところが、新年度予算では、80億円となっています。さらに、現在の少年向けのサッカー場を移転する費用は、25億円程度としています。全体として、100億円をさらに上回る財政規模となろうとしています。今、こうした新しいサッカー場の建設は必要でしょうか。市長から説明を求めたいと思います。

-山野市長
 サッカー場の再整備につきましてご意見がございました。サッカー場の施設内や施設周辺におもてなし空間を確保するほか、観客席を屋根付きとするJリーグのスタジアム基準に対応する必要も生じたことから、スポーツ推進審議会での審議を得て計画を変更したものであります。

-坪田都市整備局長
 新しいサッカー場本体工事費についてお答えいたします。当初、金沢プールを建設したときの土質データを参考に、杭の本数などの建物基礎の使用を想定しておりましたが、今年度サッカー場の建設場所で土質調査を実施した結果、想定以上に地盤が悪く、当初より長い杭が必要となり、加えてアフターコロナ対策などを考慮し、可能な限り歩行空間を確保することによって本体工事費を増額したものでございます。

-森尾議員
 歌劇座の新築や移転をめぐる問題です。市長は、歌劇座周辺に、コンベンションホールの機能を備えたいと表明したかと思えば、今度は、オペラを上演する規模にしたい。そして、今度は、移転・新築として、日銀跡地が候補となるなど情報発信が相次いでいます。市長は、歌劇座の役割と今後の方向について、どのように考えているのか。市民と議会に説明が求められます。見解を伺うものです。

-山野市長
 歌劇座のことについて、役割・今後の方向性についてお尋ねがございました。建設されてから半世紀以上に渡りまして県内最大規模のホールとして観劇や発表の場として市民に親しまれ、芸術・文化に触れる機会を創出してきました。このような施設は本市にとって、芸術・文化の面からいってもまちづくりの面からいっても重要である一方、現施設の老朽化が進んでいることに鑑み、中長期的な視点から歌劇座の建て替えにかかる検討については必要であると考えています。

-森尾議員
 質問の最後に、本市ガス事業・発電事業譲渡方針についてです。
 この二つの事業譲渡の優先交渉権者が決定したことが明らかにされました。その発表の仕方も、内容も大変驚きました。この優先交渉権者の選考過程は、一切非公開でした。対応する本市議会の常任委員会にも内容の報告はなく、密室で進行しました。そして突然、2月26日午後、一枚のペーパーで報道提供され、私どもにも知ることとなりました。3月1日、本議会にて市長から提案理由の説明が行われました。その中では、優先交渉権者を決定したことだけで、文書にするとわずか4行でした。本市ガス事業・発電事業は、二つ共に100年間にのぼる歴史をもち、本市の誇るべき事業であり市民の財産です。今回、この二つの事業を売却するとして、優先交渉権者が明らかにされました。市長!自ら記者会見を行うなど、市民と議会にしっかり、説明する必要があるのではありませんか。市政の歴史を振り返っても、重大な決定となる事柄でもあり、市長としての説明責任が問われます。説明を求めるものです。本市議会は、この一年間特別委員会を設け、様々な角度から検討し、意見を交わしてきました。それだけに、今回の決定について議会に対し、しっかりした説明を求めるものです。
 第2に、この二つの事業譲渡方針が、市民の理解と合意を得ていないことです。したがって、本市は、この5月に会社の設立、事業譲渡仮契約の締結、そして来年4月には民間による事業開始との方針を打ち出していますが、この方針をいったん中止することを求めるものです。見解を伺います。
 第3に、今回の優先交渉権者による提案内容にも大変驚き、唖然としました。今回の提案内容によると本市ガス事業・発電事業を300億円で北陸電力、東邦ガスを中心とする民間企業に売却するというものです。北陸電力は、北陸地方を代表する大企業です。東邦ガスは、名古屋経済界の有力企業で、愛知、岐阜、三重県で、50市25町1村を範囲にガス事業を行っています。なぜ、こうした大企業に売り渡すのか。説明が求められます。
 市長は、当初本市ガス事業・発電事業のあり方を検討するとしていました。そして「あり方検討委員会」を立ち上げ、実質3回の審議を経て、「二つの事業を株式会社に譲渡する」との答申を経て、これを本市の方針としました。今回の内容では、北陸を代表する大企業と中部圏を代表する大企業を中心とする民間企業に売却するというものです。あり方を検討するとしたはずが、大企業に売却することを打ち出しました。
 地方公営企業法では、その目的に「地方自治の発達に資する」とし、経営の基本原則について「公共の福祉を増進するように運営されなければならない」としています。 市長も、公営企業管理者もこうした立場に立ち、本市公営事業を運営しなければなりません。本市ガス事業・発電事業を大企業に売却するなどあってはなりません。その権限も与えられていません。説明を求めたいと思います。
 第4に、譲渡価格についてです。今回、優先交渉権者が示した譲渡価格は300億円です。本市の募集要項では、最低譲渡価格186億円以上としました。これは、資産、負債について帳簿に記載されている帳簿価格すなわち簿価との説明でした。一方、民間に委託した調査報告書の中では、発電事業の事業評価は、472億円から1098億円に評価があがるとしています。あまりにも開きがありすぎます。1000億円以上の事業価値があるものを300億円で売却するとしたら、含み利益として、700億円にのぼる利益を大企業にもたらす事となります。本市のガス事業は10年連続の黒字で、単年度10億円の利益となり、平成22年度・2010年度、120億円の起債残高が、今年度末には、75億円に減少しています。発電事業は毎年1億円から3億円の黒字となり、起債残高はゼロです。これだけの優良事業を売却する必要があるのですか。納得できる説明を求めます。
 第5に、出資構成についてです。代表企業の北陸電力が48.0%、構成員の東邦ガスが43.0%、北国銀行と北国新聞が共に、2.0%、松村物産と小松ガスが共に1.0%、そして、本市が3.0%との提案となっています。新しい会社は、北陸電力と東邦ガスが事実上運営することとなります。本市は3%ですから、ほとんど関与する余地はありません。これまで市民に対して公営事業者として果たしてきた役割と責任を投げ捨て責任放棄とも言えるものです。市民に対して説明がつかないではありませんか。市長!売却して、後はどのようになっても本市は、知りませんというのはあまりにも無責任と言わざるを得ません。説明を求めるものです。

-山野市長
 ガス事業・発電事業譲渡方針について何点かお尋ねがございました。募集要項では最優秀提案者の選定、優先交渉権者の決定を令和3年2月から3月に行うとしており、2月18日開催の第6回選定委員会での審査結果に基づき、庁内手続きを得て優先交渉権者を決定したことから、速やかに公表したものであります。今後円滑な事業譲渡に向けて基本協定の締結に係る協議を進めていくことになります。
 事業譲渡に向けた手続き、さらには2つの大企業を中心とする企業グループへの売却でいいのかという問題提起をいただきました。ガス発電事業の譲渡につきましては、これまでもあり方検討会や譲渡先選定委員会の検討状況を随時議会へ報告をし、ホームページに公表をしてきたところであります。昨年度実施しましたパブリックコメントの際には、都市ガス・簡易ガスすべてのお客様に対しダイレクトメールを送付をし、幅広い意見募集に努めてきたところであります。優先交渉権者は過般実施した公募型プロポーザルにおける譲渡先選定委員会の審査結果に基づき決定したものであり、今後提案概要について議会への報告、ホームページでの掲載のほか、5月には市民や事業者向けに市主催の説明会を開催をし、提案のあった料金・サービスの内容等を広く周知していきたいと考えています。
 事業価値、最低譲渡価格との大きな開きのことについてどのように考えるかということでありました。ご指摘のコンサルタント会社の調査報告書に示された事業価値は、複数行った資産のうち売電価格の上昇を前提として試算された最大値であり、様々な電力取引市場の新設が本市の売電価格に及ぼす影響の見通しが立たないことなど、将来の不確実性が高いことを前提に試算されたものと企業局から報告を受けています。また募集要項に定めた最低譲渡価格もつきましては、複数の方法により算出された事業価値の中から最も客観性の高い簿価によることが適当であるとの譲渡先選定委員会の審議結果に基づき設定したものであります。この先の譲受希望価格は、優先交渉権者となった企業グループにおいて総合的に判断されたものと受け止めています。

-森尾議員
 本市公営企業管理者に伺います。
 昨年の決算委員会で、2018年と2020年の民間に委託した調査報告書が明るみにされました。その中で、一昨年11月から昨年2月にかけて10社の有力ガス・電力会社を本市企業局幹部が訪問していたことが記載されていました。決算の書類審査において事実を確認しました。その中に、一昨年の11月28日今回の優先交渉権者の構成員となる企業を訪問しています。この訪問の後、10か月後になる昨年の10月に募集要項と最低譲渡価格が公表され、募集が始まりました。まさに事前交渉とも言えるもので、その内容が募集要項・最低譲渡価格となったとすると公正・公平な募集が行われたと言えますか。説明を求めるものです。
 第6に、職員の派遣についてです。優先交渉権者の提案によると2022年81人、2023年55人、2024年29人の本市職員の派遣を予定するとしています。この派遣は民間企業への派遣ですから、本市職員を退職するこことなります。今回の売却は、職員の退職派遣を行い実施するものとなっています。市民のために働くという高い使命感を持って本市職員となったはずが、いったん退職して派遣されることとなります。派遣期間は、3年までとしており、本市職員として戻ることが出来るとされていますが、戻ってきても元の職場はありません。まさに片道切符ではありませんか。市長はかねがね本市職員を守ると述べ、私の使命だとも言ってきました。このような退職派遣は、辞めるべきではありませんか。見解を伺います。

-平嶋公営企業管理者
 事業譲渡につきまして数点お尋ねがございました。まず市の出資比率3%についてでございます。譲渡先選定委員会におきましては、両事業に対する国の厳しい監督体制を踏まえまして、市の関与について出資条件と契約条件との組み合わせによることが適切とされたところでございます。具体的には市の出資を3%以上10%未満とし、会計帳簿閲覧謄写請求権を担保するとともに、経営状況確認の義務付けを事業譲渡契約書に明文化することによりまして、経理や経営計画、事業実績などの詳細な把握が可能となります。またこの度の優先交渉権者からは市との情報連絡会を開催をし、経営体制や法令順守、保安措置等の状況について開示することも提案されているところであります。
 次に、昨年度の企業への訪問調査の件でご指摘がございました。このご指摘の調査は、昨年度のあり方委員会からの答申を踏まえまして、市として譲渡方針を検討するにあたって、すでに民間譲渡した他都市において実施をされておりましたヒアリング調査も参考にしながら、エネルギー事業者10社を訪問し、公募に対する参加意欲や応募要件等について調査するため実施をしたものでございます。
 次に、職員の退職派遣についてお答えをいたします。株式会社への派遣につきましては、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律におきまして、市への復職を前提とした退職派遣であること、派遣期間は3年以内であることなどが定められておりまして、加えて国の通知では勤務条件をはじめとする身分取り扱いなどについて不利にならないように配慮し、職員に対しては十分な説明を行うことが適当であること、また任命権者の要請に応じた職員の意思に基づく退職であることなどが示されております。引き続きこれらのことを職員に説明していきますとともに、優先交渉権者と円滑な譲渡に向けた協議を進めてまいります。

-森尾議員
 最後に、今回とは異なる別の選択があると言うことです。この二つの事業を売却するのではなく、本市公営事業として未来ある事業を担っていく道です。そのことは、本市企業局自身が明らかにした方向です。2016年本市企業局は、今後10年間の経営戦略を明らかにしました。その中で「本市企業局は、ガス、水道、公共下水道、発電、工業用水道という市民生活や産業を支える『水』と『エネルギー』を総合的に担う総合ライフライン事業者であり、これらの適切な経営により市民に貢献していく責務がある」と述べています。ガス事業は、安全・安心のエネルギーとして市民に供給しています。発電事業は、様々な困難を乗り越え、100年間にわたって事業を行い、全国唯一の市営事業として誇るべき事業です。これから、クリーンなエネルギーとして未来ある事業の展開が可能です。市長!今一度立ち止まり、この二つの事業について、未来ある事業の展開を検討し、市営事業として継続していく道を選択するよう求めます。

-山野市長
 5つの事業を担う総合ライフライン事業として発展させることも考えるべきではないかというお話でありました。国の制度改正により、制度が変わったということをまずはご理解をいただきたいと思います。電力・ガスを合わせた総合エネルギー市場へ市場の形態が変化しているということ、さらには人口減少、地球温暖化など事業を取り巻く環境も大きく変化しているということ、将来にわたり市民に対し安全・安心で安定したエネルギー供給を確保するとともに、速やかに市民がエネルギー自由化の恩恵を享受できる環境を創出することが重要と考え、事業譲渡を決断したものであり、令和4年4月1日の譲渡に向けて手続きを進めてまいります。

再質問)

-森尾議員
 市長に再度伺いたいと思います。長野県が県営水力発電所を中部電力に譲渡する計画を中止しました。再生可能エネルギー活用で健全な経営は可能だと判断して、引き続き公営事業として継続するということを打ち出したわけです。京都大学講師の中山琢夫氏が、京都大学大学院の再生可能エネルギー経済講座の中で次のように述べています。「金沢市企業局は、全国の公営企業電気事業者の中で唯一の市営電気事業者であるとして、5つの発電所は戦後の公営電気復元運動の中で北陸電力から金沢市が勝ち取った犀川総合開発事業の一環として建設されたものである。柔軟かつ制御可能な再生可能エネルギー源である水力発電所を、易々と民間事業者に譲渡するとすれば、筆者にとっては驚きである」と、こう述べています。改めて市長、いったいなぜ、こうした発電事業をガス事業とセットで大企業に売却しなければならないのか。市民の理解を得ていないと思うんです。一度立ち止まって検討する考えはありませんか。伺います。

-山野市長
 長野県の事例を詳しく把握しているものではありません。大学の先生のご意見も、今森尾議員から拝聴いたししました。様々な事例はあるかと思いますけれども、先程来答弁の中でも申し上げましたように、制度が変わりました。やはり公が発電事業を持つという大切な視点は地産地消という視点であるというふうに思っています。長野県の事例は把握しているものではありませんけれども、やはりその視点からいって、すでに北陸電力でいえば首都圏等々でも販売しているということもお聞きをしています。私はその視点からいって、やはり公が持つという視点は制度改正の中で変わってきているのではないかというふうに思っています。

-森尾議員
 では市長、もう1点伺います。5つある発電事業の1つに、上寺津発電所があります。これが一番最初に作られた発電所で、大きな発電能力を持つ発電所です。平成30年から令和2年度にかけて、3か年で13億円投じてリニューアルされました。昨年12月に完成後本格運転が開始されました。タービンを新しくしまして、発電能力を高めた、こういうわけです。市長はこのことを市民と議会にどう説明されるのかと。発電事業を本市公営事業として継続していく立場からリニューアルしたんじゃないですか。そうしたら今度は売却、どう説明されるのか伺っておきたいと思います。

-山野市長
 なんといっても、安全で安定的に供給をしてもらうことが必要であります。それは公であろうが民間であろうが必要なことであります。計画的な修繕であります。

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藤野やすふみ(日本共産党衆議院比例北陸信越ブロック)
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