ただいま上程されました、議会議案第35号「看護師の日雇派遣を可能とする政令の中止を求める意見書」の提案理由説明を行います。
さる1月下旬、厚生労働大臣の諮問機関にあたる労働政策審議会の部会で、介護・障害福祉施設への看護師の日雇い派遣を認める労働者派遣法の政令改正案が了承されました。その理由として、介護施設等では、看護師の確保が困難な状況があり、「突発的な欠員」への対応として「日雇い派遣」に一定のニーズがあることなどを挙げています。しかし、15日の参議院審議では、厚労省の調査結果で介護福祉施設について「活用するつもりがない」が6~8割。看護師側も「働くつもりはない」が最多であることなど明らかとなりました。
そもそも、「日雇い派遣」は 2012 年の労働者派遣法の改正によって原則禁止とされました。その背景には、適正な雇用管理が行われず、労働災害が多発していたことや、低賃金で不安定な雇用の原因となっていたことなどが挙げられ、そうした問題を解消し、労働者を救済することを目的として法改正が行われたのです。
しかし、今回の解禁にあたって提案されている対応策は、派遣元による就業条件の明示と派遣先への労働者派遣法上求められている責務の履行といったことのみであり、これをもって過去にあった問題を解消するに足りるものとは到底言えません。ましてや、低賃金・不安定雇用の問題については一切の対応策は示されておらず、議論のすすめ方としておよそ適正とは言えません。
また、介護施設等で看護師の確保が困難となっているのは、過酷な労働環境と低廉な賃金が根本的な原因であり、「日雇い派遣」の解禁で対応することは根本原因を漫然と放置することに他なりません。
何より、利用者の個別性を尊重し、多職種によるチームケアを重視しなければならない介護の現場に短期雇用の派遣労働を導入することは、利用者や派遣される看護師、その他の職員に混乱と負担をもたらすことにもなりかねません。
昨今、介護・福祉現場の人材確保をめぐって、さまざまな形で対策が打ち出されていますが、いずれも、人材不足の根本的原因である労働環境と処遇改善から目を背けるもので、同時に労働者や利用者に一方的な負担を強いるものです。
よって、介護現場などの看護師の確保については、直接雇用が可能となるような労働環境や処遇改善こそ必要であり、看護師の日雇い派遣は解禁するべきではありません。
各議員みなさまのご賛同をお願いし、提案理由といたします。