2021年3月19日 日本共産党金沢市議会議員 森尾嘉昭
私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。
わが党は、上程された議案61件のうち、議案第61号、議案第63号、議案第69号、議案第71号、議案第72号、議案第73号、議案第74号、議案第75号、議案第83号、議案第86号、議案90号、議案第98号、議案第99号、議案第104号、議案第114号、議案第117号の議案16件について、反対であります。
その主な理由について述べます。
今、私たちは、なによりもコロナウイルス感染防止対策をすすめ住民の命とくらし、営業を守り、コロナ禍で受けた様々な苦難と向き合い、救済することに全力を傾けなければなりません。とりわけ、感染力が強いとされる変異株への対応が求められます。
こうした中で編成された本市新年度予算は、市民生活を守り、本市の地域経済を振興していく上で重大な問題があり、簡潔に述べたいと思います。
第一に、市民のために税金が使われていないことです。今、コロナ感染対策に全力を尽くし、市民のいのちとくらし、営業を守ることを最優先しなければなりません。具体的な点を指摘いたします。
金沢港建設事業です。
新年度予算では、5億円が計上され、令和2年度最終補正予算と合わせ、9億8千万の事業費となっています。
大浜岸壁での事業は、大手企業こまつの工場を誘致するとして大浸水岸壁の事業が進められてきました。クルーズ船を誘致するための無量寺岸壁改良事業として、岸壁の改良事業と施設整備などの事業が行われてきました。コロナ禍の下で、クルーズ船誘致は困難となっています。
こうした主な事業費は、383億円にのぼり、本市負担は、73.5億円です。このような巨額の税金投入は辞めるべきです。
個人番号カード交付事業です。いわゆるマイナンバーカードです。
新年度予算では、交付事務費として2億4千万円ほどが計上されています。この事業のねらいは、国民の所得、や資産、医療、教育などの個人情報を集め、連携し、活用使用とするものです。しかし、個人情報が漏洩されないか。国による個人情報の管理とならないのか。国民の不安と疑問が解決されず、その普及は、2割台にとどまっています。
ところで、菅政権は個人データの利活用を推進する「データ戦略」を策定すると共に、設置されたデジタル庁によって、事業を推進しようとしています。ところが、高齢者や障がいのある方々などデジタルに対応できない住民が置き去りにされる問題や、個人データが企業のもうけの対象とならないのか。個人情報がどこまで守れるのか。など問題が相次いで提起されてきています。地方自治体でも、国が示すシステムに従うことになり、独自の施策が実施出来なくならないか。対面サービスの後退につながるのではないか。など指摘が相次いでいます。デジタル戦略都市の実現を掲げ、推進する内容には、同意することはできず、今後、市民の目線に立ち、しっかりした検討が求められます。
城北市民運動公園整備事業の中で、市民サッカー場の再整備にかかわる事業費です。
この再整備されるサッカー場は、現在地で改築予定が、公園敷地内にある少年用のサッカー場の敷地に移転し、新築するとして当初本体工事費総額が75億円としていたものが、80億円にと増額されました。令和5年度完成予定です。
この再整備されるサッカー場の建設事業費と関連する少年サッカー場の移転費用などで100億円を上回るとしています。
コロナ禍の下で市民生活、地場産業の状況から考えても、100億円もの事業費を投入してのサッカー場の移転・新築は、再検討すべきと考えます。
介護保険料です。
3年ごとに事業計画が策定され、今回保険料が据え置かれたものの、基準となる保険料は、月額6590円です。介護保険制度が始まった当初に比べ2倍となり、年金生活者にとって重い負担となっています。この3年間は、連続して毎年黒字となり、基金残高は、今年度末で24億円となりました。新年度からの3年間で、7億円を繰り入れる計画ですが、3年後に17億円が残ることとなります。保険料の引き下げを求める声は切実です。こうした声にこたえる立場から、予算とそれに伴う条例改正には、反対です。
議案第98号は、介護施設に関して、人員、施設の基準は、利用者や介護現場の願いにそったものではないことから反対です。
また、後期高齢者医療制度については、75歳以上の方を別枠の医療制度を押し付けるものであり、反対であります。
第二に、市民の理解と合意のないまま、進められていることです。
本市ガス事業・発電事業譲渡方針に基づき、事業譲渡アドバイザイリー業務委託費が昨年度1億4千万円に引き続き、6千万円が予算化されています。2年間で2億円の業務委託となるものです。本市ガス事業・発電事業譲渡するとして北陸電力と東邦ガスを主体とする優先交渉権者が決定しました。今後、4月には、新たな会社設立、5月には、本市との仮契約、6月に必要な条例に関する手続きを経て、来年令和4年4月には、民間による事業が開始されるとしています。100年間にわたる市営事業として行われてきたガス事業・発電事業を廃止し、大企業を主体とする民間に売り渡すことは、公営事業の責任と役割を投げ捨てるものです。市民の理解と合意がないことからも譲渡方針を中止することを求めるものです。なお、従来から、家庭ごみ有料化と宿泊税について、市民生活と市内宿泊業にとって、新たな負担と徴収業務をしいるものであり、これまでも問題を指摘し、反対してきました。
第三に、水道事業と工業用水道事業についてです。
水道事業は、新年度予算で約12億円の黒字を計上しています。この黒字は、県水の契約水量や責任水量制が引き下げられたことによるもので、本来、市民に還元すべきであり、引き続き、県水受水契約の見直しに向けて取り組むよう求めておきます
工業用水道事業です。これは、先端産業を誘致するとして始まった工業団地造成事業において、立地した企業に供給する工業用水事業です。この金沢テクノパークは、いまだ2割が埋まらず、実質3社がこの工業水道を利用しています。使用料金は、開設以来変わらず、事業の赤字は、全額を一般会計で補てんししています。市政の失敗のつけを市民に負担を押しつけている事には同意出来ません。
第四に、公共施設に係る点です。
議案第90号は、青少年教育や、文化財保護に関することが、教員委員会から市長が管理し、執行することへ改定する条例です。青少年教育にかかわることは、教育的視点で対応することが求められます。また、文化財保護と開発事業とは、考え方が異なり、対立する事例が起こります。したがって、いずれも教員委員会の下で対応していくことが求められており、市長部局に組み入れることには、同意できません。
文化・スポーツ施設の管理についてです。本来公共施設の管理・運営は、行政が責任をもって行うことが求められます。指定管理制度には、様々な問題が指摘されているだけに、民間企業への指定管理には、同意できません。
議案第104号本市市営住宅条例の改正についてです。
これは、東日本大震災復興特別区域法の一部改正によって、大規模災害被害者が公営住宅に入居できる規定が10年を経過したことを持って、終了としたことから、本市条例改正を行うものです。10年を経ても、いまだ、被災された方々は、元の生活には、戻れていません。大規模災害に対する救済は、政治の責任です。したがって、この条例改正には、反対です。なお、本市では、入居継続を行っていくとのことであり、被災者支援の継続を求めておきます。
なお、歌劇座建て替え検討にかかわっては、市民の理解と合意のないまま、巨額の投資を伴う事業として進めていくことには、同意できません。
第五に、教育と職員定数に係る点です。
小将町中学校を現在の中央小学校に移転、中央小学校は、子ども図書館の用地に移転、子ども図書館は、現在の付近に新築移転し、公文書館を併設するという中央地区での整備事業です。また、新竪町小学校と菊川小学校を統廃合し、新たな犀桜小学校を建設する事業が本格化します。この地域は、洪水浸水想定区域に位置し、問題の指摘があり、地域住民からも不安の声が上がってきました。いずれも、関係者をはじめ、市民の理解と合意を十分得られたものでなく、同意出来ません。
学校給食にかかわる点です。
新共同調理場建設事業費として市内泉本町地内に8000食の共同調理場建設の基本設計予算が計上されています。今後、「新たな学校給食調理場整備計画」に基づき、大規模共同調理場を2つ新たに建設し、4つある単独調理場と8つある学校併設の調理場を廃止するとのことです。これによって、本市の学校給食から自校方式がなくなります。
今回建設する共同調理場は、10年前の計画では、6000食だったものが、今回の計画では、8000食に。新たな駅西・臨海地区に建設するとしている共同調理場は、1万1千食です。2つの巨大な共同調理場を建設することも全国的に見てもまれに見る巨大な共同調理場となります。
そして、西南部共同調理場において、その調理を民間委託するとして2億円を超える予算が計上されています。民間業者が学校給食の調理にあたります。この民間委託方式が偽装請負であるとして全国で問題となり、本市議会でも2008年に取りあげ、その後、石川労働局から本市教育委員会に文書による指摘があったものです。
にもかかわらず、民間委託方式を拡大するというのは、教育に携わるものとして反省が示されていません。改めて指摘したいと思います。
職員定数条例の一部改正についてです。
新年度、部局の職員定数の増減がありますが、総定数としては、維持されるとしています。しかし、ごみ収集関連で9名、学校施設管理体制の見直しによって3人が削減されました。技能職定年者不補充との人事施策をやめるよう求めるものです。なお、会計年度任用職員の待遇改善は引き続き求めておきます。
次に、請願・陳情についてです。
請願第11号は、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書」の提出を求めるもので、新日本婦人の会金沢支部代表から提出されたものです。
核兵器禁止条約は、2017年7月の国連総会で採択され、今年1月22日に発効しました。今年2月現在、署名した国は、86か国、批准した国は、54か国に達しています。
国内では、こうした意見書を採択した自治体は、2月現在、531自治体に上っています。是非とも、本市議会で採択されることを訴えるものです。
請願第12号は、「医療機関等の経営安定化を図る財政支援の拡充を求める請願」は、石川県社会保障推進協議会の代表から提出されました。
新型コロナウイルス感染拡大によって医療機関は深刻な影響を受けています。
感染症患者を受け入れた。また受け入れを準備した医療機関は、全国の病院の8割が赤字となっています。受け入れていない医療機関も約5割から6割が赤字となっています。
したがって、この請願は、国に対して、医療機関等への財政支援を拡充することを求めるもので、わが党は、賛成です。
請願第13号は、「後期高齢者の医療費窓口負担の現状維持を求める意見書提出の請願書」で、同じく、石川県社会保障推進協議会の代表から提出されました。
市内のある開業医の医師は次のように話しています。
関節リュウマチで2週間に1度通院している75歳以上の方が、2週間ごとに1万8千円の薬代を払っている。この方が、治療をやめようかと悩んでいる。医療費窓口負担2倍化によって、このような方が増えていくのではと心配しています。
というものです。この請願は、国に対して「後期高齢者の医療費窓口負担の現状維持を求める」もので、わが党は、賛成です。
陳情第7号は、「新型コロナウイルス感染症問題にも係るラブホテルに対する偏見や差別を改め速やかな支援の実施を求める」陳情書で、金沢レジャーホテル協会の会長から提出されました。本市が独自に新型コロナウイルス感染症対策として打ち出した宿泊施設対象施策支援事業と同等もしくは同額の助成支援をラブホテルにも速やかにさかのぼって実施することを求めるものです。コロナ禍の下で、すべての事業者に対する支援が求められており、わが党は、賛成です。
陳情第8号は、「政務活動費の条例改正についての陳情書」で、市民オンブズマン石川の代表幹事から提出されました。政務活動費が、本来の目的に沿って、運用されるとともに、その透明性を確保し、市民からの理解を得ていくことは何より大切です。
こうした点からすると、さらなる情報公開による透明性の確保や必要な改善が求められています。この陳情が指摘する法や全国市議会議長会が示した内容と本市議会政務活動費の交付に関する条例との整合について、検討が必要との点について、その趣旨を理解するものです。
よって、こうした請願・陳情について、付託された各常任委員会、議会運営委員会で、不採択となり、その決定に反対するものです。
以上で反対討論を終わります。