市立学校の学習用端末利用について
-広田議員
まずは、市立学校の学習用端末利用についてです。現在、GIGAスクール構想のもと、学習用端末が本市立小中学生全員に貸与されています。5月頃からは家庭へ持ち帰らせ、夏休みはオンライン登校にも利用したと聞いています。まずは、夏休みのオンライン登校の実施状況と子どもたちの参加率はどれくらいだったのか、あきらかにしてください。
-野口教育長
今年の夏季休業中に学習用端末を家庭に持ち帰ってオンライン登校日を実施いたしましたが、まずはこのことはあくまで長期に渡る臨時休業を余儀なくされた場合を想定しての準備です。このことをまずご理解ください。夏休みのオンライン登校日につきましては、全ての小中学校で実施されておりますけれども、児童生徒の参加率につきましては、8月の最終週まで登校日を実施した学校もありましたので、9月に入りましてからこの調査を始めておりますので、現在調査中ということでお答えをさせていただきたいと思います。ただ調査につきましてはまとまり次第、直近の文教消防常任委員会等でしっかりとご報告をさせていただきたいと思っています。
-広田議員
発言通告もしてヒアリングもしているわけですから、できる限りわかった数字を提示するというのが本会議の場だと思います。わかっているだけでも教えていただきたいと思いますがいかがですか。
-野口教育長
今わかっているのは、先程お答えしましたけれども、まず実施につきましては7月中に小学校で9校、中学校で10校、また8月につきましては小学校で45校、中学校では15校でありまして、今その中の主な内容とか実施の日程とか、また今議員からご指摘ありましたがその中での参加率とか参加人数とか、またこの状況下の中でいわゆるWi-Fi環境が整っていない方がどのくらいいるのかということを直近の数値として知るべきだと思いますので、そんなことを含めて今調査をかけていると、そういうことでございます。なるべく早くご報告したいと思っています。
-広田議員
残念です、本会議の場でお示しいただけると思っていましたので。今手元にないでしょうからこれ以上求めてもあれですけれども、いち早く情報をお出しいただきますようにお願いいたします。ただ昨日の答弁でもWi-Fi環境がないとかいう課題がもう明らかになっているとおっしゃっておられますし、私の方でも何名かの方からご相談をいただいています。家庭内にWi-Fi環境がないのにオンライン登校が始まる、どうしたらいいのかというようなご相談があるんですね。そうした家庭環境が整っていないニーズについても今調査中ということなのかもしれませんけれども、少なくともそういう家庭が存在するということは教育長、断言できるわけですね?
-野口教育長
昨年までちょっと遡りますけれども、まず去年の4月・5月に長期に渡る臨時休業を余儀なくされました。その折に教育委員会の方から、学校の方からもそうなんですけれども、子どもたちの学習保障をしっかりと図らなくちゃいけないということで、インターネットを通じながら学習動画などを配信させていただきました。その折に、動画の受信状況をやはり知っておかなければならないということで、学校を通して各家庭に5月に調査をかけさせていただきました。その折にはWi-Fi等のインターネット環境がなく、学習用端末を接続できない子どもの数は、その当時で約3,500名いたということを掴んでおります。ただそれから時間が経過をして様々な状況が変わってきて、今我々の方では段階的にですけれどもその数が減ってきているということは掴んでいます。今年の夏休み中に行ったオンライン登校日では、家庭にWi-Fi環境がないなどの理由で学校で参加した児童は約200名ほどいたということは掴んでいます。ただこれについては実数をしっかりと掴まなければいけませんし、今Wi-Fi環境がないなどのというお話をさせていただきましたが、この「など」にもいろいろな理由があると思いますので、そんな理由も含めてしっかりと調査を受けてご報告をしたいと思っております。
-広田議員
今おっしゃられた「学習の保障」という点で、5月にアンケート調査を行い、そこですでに3,500名がない可能性があるということを掴み、その後も私の元にはどんどん相談がきて対処できていないということが明らかになっているにもかかわらず、その後の調査がオンライン登校まで進んでいないというのが大変残念ですし、調査されていないイコール対策もされていないということで、今回質問させていただいているんです。なので全てがちょっと遅すぎるんですね、学習の保障になっていないということをまず明らかにしておきたいと思います。
それで私のところにどんな相談がありますかというと、ひとり親で就学援助世帯の方です、オンライン登校に向けて、1学期中に家庭でテスト接続の宿題がありました。無償のルーターを貸し出されましたがそれだけでは使えず、自分ではどうしようもできずに学校に問い合わせても自分でなんとかしてくださいと言われ、何をしたかというと親子で学校の校庭へ行って、学校のWi-Fiを使ってテスト接続をしたんです。それは家庭での宿題ではありませんよね。そういう現状を教育長、どう思いますか。
-野口教育長
Wi-Fiの環境整備というのは、やはり今後もそうなんですが社会全体で取り組んでいかなければならない大きなインフラ整備のひとつだと思っています。そうした意味で、今我々は学校教育というのを「令和の日本型学校教育」というものの中で進めておりますけれども、その中に「義務教育において決して誰一人取り残さないことを徹底する」ということが述べられています。そうしたことも含めて、Wi-Fi環境が整っていないご家庭にも適切に対応しながら、そうした子が出ないようにしていくのが自分たちの仕事だと思っていますので、その点についてはしっかりとこれから取り組んで活かしていきたいと思っています。まずは3,500人の子どもたちが去年の時点でいましたので、その環境のもとで、いわゆるモバイルルーターなども少し準備させていただいておりますので、そういったものを有効に活用しなければならないと思いますし、今述べたように適切にこれから対応させていただきたいと思います。
-広田議員
「誰一人取り残さない」という目標がありながら、もう取り残しているという実態について、教育長はどう思うかということを問うたわけです。この間、保護者の方々と申し入れをしてきましたけれども、誰も「申し訳ない」って言わないんです、教育委員会側はね。どういう認識なのかと思うんです。保護者の方は涙ながらに訴えていましたよ。でも誰も申し訳ないって言わない。そのあたりどうですか?
-野口教育長
昨年の5月の調査をかけた段階で、家庭環境にないというお子さんに対してモバイルルーター貸し出しを準備して貸し出しをしないといけない、そういうことで準備に入っています。そのときにも、一応基本的にはそのモバイルルーターをお貸ししますが、いわゆる通信については各ご家庭の方でご負担いただけませんかということでお貸しをしているということなので、そういうことについてはご理解をいただいたのではないかなと思います。ただ今広田議員の方からそういう話がございましたので、それについては今後しっかりと対応させていただきたいと思います。
-広田議員
申し訳ないという言葉がなかなか出ないようですけれども、ずっとそうなんです、教育委員会は「ご家庭の協力のもとやる」という案内を何度も出している。だけど、せめて生活保護世帯、就学援助世帯については私は対応できているものだと思ってきたけれど、それについてもなかなか遅かった。それで昨年度、この就学援助世帯と生活保護世帯についての保障ですね、これが昨年度国が自治体に連絡しているわけです、こういうやり方があります、国庫補助も出します、ということで。それがなかなか遅い。どこまで進んでいますか。
-野口教育長
まず家庭での通信環境の整備に関する支援制度におきましては、生活保護費では国の制度を運用する上で制約がありまして、一部の世帯が対象となりますが、一方で就学援助費では家庭の通信環境によらず一律の支援となりますことから、現在本市におきましては他都市での導入事例を調査している段階であります。今議員がお触れになりましたけれども、たとえば一律にという部分もあるでしょう。ただ違う方法をとっていらっしゃる自治体もあるんではないかなと思いますし、もちろん今検討中であるというところもあると思いますので、そういったところについて調査をかけさせていただいていますので、それを見ながらしっかりと対応させていただければと思います。
-高柳福祉健康局長
現在生活保護制度では、Wi-Fi環境を新たに整備した費用や毎月の通信費、それからすでに整備して持っていらっしゃる場合に容量の増加、学校の教育のために増加した通信費の増加分については生活保護費で支給するとして対応することとなっておりますので、個々の家庭に応じた対応しているところでございます。
-広田議員
生活保護は法律でもう成り立っているわけですから、今もう手当てがされていると。ただ就学援助が、もちろんわかります、上限額も非常に少ないですし一律出さなければならないという苦悩もあると思うんです。だけれども検討が遅いんです、今検討しているようではということを言っておきたいと思います。それで金沢市は独自で対策をとっているわけですが、それが、Wi-Fiのないご家庭に貸し出している無償のルーターです。これは国からの予算で本市は、貸し出しルーター4,800台を、4,500万円かけて大量に購入しています。それでは、このルーターが学校から必要な世帯にどれだけ配布できたのか教えてください。
-野口教育長
モバイルルーターにつきましては、何回も言いますが昨年の5月に学校を通じて行いましたWi-Fi環境の有無についての各家庭への調査に加えまして、今GIGAスクール構想がスタートしています、そうした中で新学習指導要領による学習もスタートして本格化しています。そうした各学校での校外学習などに際してもこうしたルーターは必要であるということもありますので、そうした必要とする台数の調査などを元にして整備をし各学校に配布をしておりまして、その中から80台は教育委員会の方で確保をさせていただいております。現在でありますけれども、小学校で36台、中学校で9台の、これは通信費はご家庭のご負担ということになりますけれども、そうした形でモバイルルーターにつきましては保護者からのご要望があった方に対しては貸し出しをさせていただいています。そのほかのルーターにつきましては各学校での学習、たとえば校外学習も先程触れましたけれども、その他にも校庭に出ていっていろんな野外観察とか、そんな学習等にも有効に使っているという報告を受けております。しっかりと今は活用されていると思っています。
貸与ルーター | 4800台 |
うち 教育委員会 | 80台 |
学校の規模にあわせ | 4720台 |
うち 家庭への配布 | 5台(小学校36台 中学校9台) |
※どうして4800台も購入したのか、現在家庭に45台しか配布されていないが5月に3500名のネット未整備家庭があったのなら、すぐに配布すべきでなかったか、学校に配布されたものが本当に使われているのか、などもっと確認すればよかった。
※ここからは、答弁確認が続くので読み飛ばして大丈夫です。
-広田議員
今の答弁でいきますと、4,800台のうち80台を学校が使っている、そのうちご家庭に小学校36台、中学校9台配っているということでいいですか?
-野口教育長
すみません、答弁が下手だったかもしれません、各学校に対してはそれぞれに学校の規模に対してルーターをすでにお貸しをしています。その中で使われているということでご理解いただきたいと思います。
-広田議員
4,800台中80台しか使っていないし、当初の目的だったはずのご家庭への配布ですか、これはその45台に留まっているという実態なわけですよね。4,800台、今後どう消化するのだろうというふうに思いますけれど。ご家庭に配布しているうち、ちゃんと使えているのかということも気になるのですが、その点は把握されていますか。
-野口教育長
もう一度お話しますが、4,800台のうちまず80台は教育委員会で保管をしています。その他のルーターにつきましては、各学校の規模に応じて残りの分をすべて各学校にそれぞれに配布をさせていただいています。そしてその配布をされたものの中から、それぞれの学校で必要ですよという方が使われているということで、先程お話しいたしましたような数だけお貸しをしているということでございます。
-広田議員
それで、先程ちょっと言い忘れたかもしれませんが、学校が問題ではないんですよ。学校に何度も相談に行っても、学校は教育委員会側から何ら対応策を示されていないと。例えば生活保護、就学援助はどうしたらいいか。そして無償貸与ルーターについても、一定の説明書はありますけれどもどんな契約をしたらよいかということは全く教育委員会から示されていないので、学校は工夫してお便りを出しているわけですがそれがわからないという実態で、私は責任は教育委員会ということでやっていきたいと思いますが、把握されているのかという問いに対しては今お答えが無かったような気がしますが、私は貸し出しルーターは機械だけの貸し出しであって、ということをまず前提ということを説明しておきたいと思います。機械だけの貸し出しで、使うにはSIMカードを入れて、そのSIMカードの契約をしないと使えないということがあります。そういうことがあるものですから、よくわからないという保護者の方と一緒に電気屋さんをまわったんですね。そうすると、仮に就学援助制度のオンライン学習通信費、上限額1,000円/月を使ったとしても、これに見合うような契約はなく月2,000円以上かかります。そして多くは最初に3,000円ほどの手数料がかかります。これは就学援助制度から出ないのではないかと思うのでカバーできない。しかもこのルーターが、電気屋さんの話によると2017年版で、これに使うSIMカードは現在はナノが主流ですが今回のはマイクロであって、何か側をつけないと使用できない。これはネットとかそういうのがわからない人はきっと難しいと思いますよというようなお話を受けて、何も契約できずに帰ってきたという状況です。それで今までの話を総合すると、これまでも求めてきたのですが、私は貸し出しルーターにSIMカードを入れて教育委員会で一括契約するしか道はないと思うのですが、いかがですか。
-野口教育長
まずSIMカードですが、これはご家庭において新たに契約することなくすぐにインターネットに接続できるというようなものでありますけれども、まず教育委員会の方でもいろんなメーカーさんとお話をさせていただきますけれども、今お話をされたようなことはなくスムーズに装着ができるのではないかということは教育委員会としてお話をお伺いしています。やはり教育委員会としては、ご要望があればになりますけれども、臨時休業に限定してになりますけれども、そうしたSIMカード入りのルーターについてはもう準備をさせていただいて貸し出しを少しずつ始めております。やはり今回のデルタ株によって7月・8月と爆発的に子どもたちの感染が増えましたので、非常に危機感を持っておりまして、そういう準備は必要だろうということで準備を進めておりますので、ぜひご安心いただきたいと思いますし、先程、今環境下にない子どもたちを調べていますという話をしましたけれども、そうした環境下にないお子さんが何人いて、各学校でどれくらいのものを準備する必要があるのかということもしっかり調べたうえで、今後の対応をしなくてはいけないと思っていますので、少しお時間をいただいて準備を進めていきたいと思っています。
※メーカーに話しを聞いていると言うが、それは専門家ならそうでしょうが、そもそもネット環境のない家庭の保護者がわかるでしょうか。
-広田議員
今のご答弁ですと、臨時休業に限定するけれども契約したルーターを貸し出すということをもう始めているということなんですね?臨時休業はそうしたらなんとかクリアできるけれども、学校によっては宿題をそれでやるというところがもう出てるんですね。それについてはどうするんですか。
-野口教育長
あくまでも、このSIMカードを使って家庭で勉強をするのは臨時休業のときだけなんです。私たちが言っているのは、そんな家庭で宿題をやりましょうということについては教育委員会は言っていません。そのあたりはもしそういうことがあるっておっしゃるのならば、しっかりと調査したうえで、そうじゃありませんよということは学校の方に徹底させていただきます。
※教育長はこう答弁しましたが、実際には複数の学校で宿題が出ています。
-広田議員
接続をするという宿題も宿題ですからね、事例を挙げたんですけれども。じゃあ臨時休業のときには貸し出すし、かつ日々の宿題では家庭内のWi-Fiを使うことはないということを今教育長はおっしゃっているわけですね?といっても、臨時休業が突然多くの学校で、そして全校規模で起こる可能性もありますし、やはり早めに大規模に一括契約できる手段をぜひ検討しておいてほしいと思いますがいかがですか。
-野口教育長
ですので今、どれくらいの人数がそういった環境下にあるかということを含めながら対応するために、人数を確認をさせていただいておりますので、そうした人数を調べたうえで対応させていただきたいと思います。今教育委員会にあります80台にはSIMカードをつけてありますけれども、それを臨時休業にあたっては学校の方に持っていっているんです。それで時間的なロスもありますし、迅速さがないので、今お話ししたように学校の方ですぐに対応できるような形を取りたいということで、これから準備に入るということであります。なるべく早くやります。
-広田議員
前からやってるみたいな感じですけれど、初めてですよ、そこまで踏み込んだのは。ずっとこの間保護者の方と言っていて、ずっと家庭にご協力をご協力をと言われて、やっと今教育委員会が足を踏み出したというふうにとらえています。調査も遅いですよね。学びの保障ができていないわけですから、本当ならばもっと早めに調査をするべきだったと思うんです。なんで私がこんなことを言うかというと、やっぱり原点に立ち返ると、本来義務教育は無償が原則ということがあります。なので、いくらGIGAスクール構想であるからといって、Wi-Fiしかり、学校からタブレットのケース購入を迫られている学校もあったりします。なので基本的なお約束として、このGIGAスクール構想によって保護者にあらたな負担を生じさせないでほしいということを求めたいと思いますがいかがでしょうか。
-野口教育長
やはりこうした声は、我々も大事なんですけれどもいろいろなところから声をあげて国にも要望を求めていくこともとても大事なことだと思っています。今自分の立場でありますけれども、中核市の方で会長をさせていただいていますが、実は中核市教育長会におきましても次年度要望を取りまとめるにあたって多くの教育長さんの方から家庭の環境によらないで公平な学習環境を確保するために、Wi-Fi環境が整っていない家庭に貸与するモバイルルーターの通信費への国庫補助を創設することが必要だという声が届きました。その声をもとにして8月上旬にしっかりと国の方に要望させていただきました。そのときに国の方からは、家庭環境に係る通信費の支援は急務の課題とし、学習用端末の持ち帰り等への対応に伴う通信費の増額を次年度予算の概算要求に計上するというご回答をいただいております。その概算要求は9月の頭に出ていると思います、ご確認になっているかもしれませんが。その中でいわゆる月額1,000円というお話がありましたけれども、これが3,000円増額ということで、12,000円が15,000円になっていますけれども、私たちが求めているのはそうではなくて、Wi-Fi環境が整っていない家庭に貸与するモバイルルーターの通信費への補助、国庫補助を創設をしてほしいということを求めているわけなんで、こうした要望が速やかに課題改善されることを願いながら、またこれからも活動をしっかりと続けていきたいと思っています。今後なんですけれども、もし新たな負担が生じるようなことがありましたら、やはり中核市の教育長会の方でいろんな要望も寄せられますので、こうした意見をまとめて国の方に届けたいと思いますが、中核市教育長会だけでは足りないこともあるかと思います。全国の教育長会とも連携しながら、大きな力として要望していく、そのことも大事だと思っています。がんばります。
-広田議員
このGIGAスクール構想が見切り発車だったということを、教育長自身も感じているし、国にもそのように求めているということですから、ぜひがんばってください、お願いします。
最後に、今回の件を通じて子どもの貧困だなんだとか言いながらご家庭の状況とか経済的負担に対する教育委員会の意識の程度が、なんとも露呈したのではないかと私は思っています。これまで教育委員会からは就学援助制度は必要な方は受けているというご認識をお聞きしてきましたが、果たしてそうなっているのかという疑問がふつふつと沸いています。私はやはり、現場レベルの努力だけでは難しいと感じており、システムとして対象世帯を捕捉していただきたいと。10月からは就学援助制度の最初の申請が始まります。今回のことを教訓に、就学援助制度を全員に希望調査するようなやり方に改善してほしいと思いますがいかがですか。
-野口教育長
経済的な事情に左右されることなく、子どもたちの学びを私たちはしっかりと保障しなければならないと思っています。そうした意味でも、就学援助については希望される世帯が申告漏れとならないように、毎年4月当初に全小中学校の児童生徒の保護者に対しまして就学援助制度の案内のチラシを配布させていただいています。その他、市のホームページや新聞広告等を通して広く周知を図っております。また小学校1年生の保護者に対しましては就学前の健康診断に合わせて制度の説明も行っています。全員に希望調査を行うことまではまだ今は考えてはおりませんけれども、今後とも学校とか関係する部局と連携しながら、制度を必要とする世帯に誤解がなくわかりやすい、そうした周知に努めてまいります。
-広田議員
チラシ配布とおっしゃいますけれども、入学案内の時に分厚い資料が一気に配られて、そのうちの1枚なんですね。だから気付かない、知らないという人もまだいらっしゃいますし、学校ごとにどれくらいのボリュームで説明するかというのも学校それぞれなんです。なので「システムとして」ということを申し上げているんです。これは引き続き求めていきたいと思います。学校は、私は格差を是正する機関であると思っていますので、それが格差を広げることのないよう、GIGAスクール構想にしっかりご対応いただきたいと思います。
市立学校での生理用品の配布について
続いて、市立学校での生理用品の配布についてまた教育長に伺っていきますが、生理用品の配布について、わが市議会でも女性議員全員で、教育委員会と市長に対し、学校のトイレにも設置してほしいと申し入れをしてきました。羽咋市では6月の市議会からの要望を受け市内全中学校の女子トイレに試験的に生理用品を配置し、利用があったため2学期も継続するということが報じられました。本市議会でも先日取り上げられましたが、まだ必要性と現状が十分に伝わっていないようですので質問致します。この夏休み、女性団体のみなさんが、市内小中高校生にアンケートをとってくださいました。なかなか答えにくいアンケートなのですが、35名の方にご協力いただき、その中から抜粋した内容をもとに質問いたします。
まず、これまで、教育委員会は生理用品は保健室に配置していると繰り返してきましたが、アンケート結果では、「保健室に生理用品が置いてありますが、もらいに行きやすいですか?」という質問に対し、「はい」が、28.6%、「いいえ」が71.4%という結果です。
「もらいに行きにくい」理由としては、このような記述回答がありました。
○保健室に行くにはまず職員室に報告してナンバープレートをもらわなければならない、いろいろ書類を書かなきゃいけない
○そもそも保健室にあまり先生がいない、普段めったに保健室を利用しないから行きにくい
○人にわかってしまうのではずかしい、他の生徒や男子のいる保健室に取りにいくのが恥ずかしい
○先生にもらうとき何て言ったらいいのか、生理というのが言いづらいのでもらいに行きづらい
○行く暇がない
○置いてあることを知らない という声。
そして、「生理用品が学校のトイレに置いてあったら、いいと思いますか?」には、「はい」が94.3%と圧倒的です。ちなみに、小中学生に絞ると、「はい」が100%です。
その理由としては、
○準備していても足りなかったり、突然生理になったときは、トイレに置いてあれば助かる
○カバンから出すのが恥ずかしいので助かる、生理用品を持って行くのを見られない
○保健室だともらいに行きづらい
○忘れても安心して学校にいられる
○急な生理にすぐに対応できる
○誰でも使いやすい、気軽に取り換えられる
○人に言う必要がなく、自分でその場で対応し解決できる という声。
そこで質問ですが、これらの回答からわかることとして、まず保健室に置いてあるとしても、保健室へ行く許可が必要な学校もあるようですし、保健室に先生が常時いないということ、また保健室自体滅多に行かない、保健室に他の生徒がいる場合など「保健室ではもらいにくい」という実態があるようですが、この点は把握されていますか。
-野口教育長
お答えいたします。まず基本ですけれども、学校には一般的に緊急時以外には保健室に行くときに児童生徒の健康の様子とかまた所在等の把握をする必要があるために、担任の先生もしくは教科の先生等に保健室に行くことを伝えてから保健室に行くように、そういった指導をしていることは承知をしておりますし、私も30年間学校におりましたので、自分の勤めた学校では全てそうなっておりました。それは基本ではないかと思います。
-広田議員
体調不良時ならそれで良いと思うのですけれども、ナプキンをもらいに行くので例えば男性の先生に保健室行っていいですかと言えるかどうかという話なんですね。また書類をかかなければならないって、仕事か?ということです。実態としてはそういうルールがあるということは把握されていると、でもそれがもらいにくいそうです。そして回答から考える必要があるのは、生理であることをなぜ他人に知られなくてはならないのかということです。もちろん「生理は恥ずかしいこと」というスティグマから脱する性教育は必要だと思いますが、自分が生理であることを言うか言わないかは本人の判断です。他の生徒にはもちろん、保健室の先生であっても言いたくなければ言う必要がないと私は考えるのですが、いかがですか。
-野口教育長
思春期にあります、児童生徒が保健室で生理用品をもらうために養護教諭などの先生方(他人)に状況等を伝えることに躊躇いがあるということは理解できます。ただ、ぜひご理解いただきたいのは、保健室というのは児童生徒の突然の体調不良等の場合に迅速かつ適切に対応する施設でありまして、保健室を訪れた児童生徒が身体の状況を養護教諭に伝えることで、体調に応じた対応とか指導に繋げる必要があり、そうしたために生理用品も含めていろいろな保健備品というものが保健室に配置されている。そのことについてもご理解いただければと思います。
-広田議員
保健室の先生に相談に行きたい方は行けばいいと思うんです。それも自由です。ただ、月に1回必ず1回来る、もう慣れきっているという方が、たまたま忘れたときに先生に言いづらいから自分で解決できずに、例えばトイレットペーパーを当てているとか、そういう実態があるかもしれないので、トイレに置いたらどうかという提案をしているわけなんですね。教育長は6月議会で「児童・生徒が気軽に生理用品を求めやすい環境づくりに努め、必要とする児童・生徒に行き渡るように配慮したい」とお答えになっているんですね。でもアンケート結果によれば保健室では気軽に求めやすい環境にはなっていませんし、そして行き渡っていないという現状が見えて来たんです。やはり、安心して子どもたちが学校生活を送るために、必要な子どもが誰でも気軽に手に取れる学校トイレに生理用品を配置するよう求めますがいかがですか。
-野口教育長
生理用品をトイレに置くことにつきましては、引き続いて現在の保健室での使用状況とか養護教諭などの意見も踏まえつつ、トイレに置くことへの管理面や衛生面での課題等をしっかり整理をしていきたいと思います。その上で、合わせて教育的な観点により生理用品を保健室に配置をしながら、思春期にある児童生徒の心情に配慮できる方法が本当にないのかということについて、他の都市の状況とか他の施設での取り組みなどを踏まえながら、今しばらく研究をさせていただきたいと思います。
-広田議員
管理ってことをおっしゃられますけれども、今やファミリーレストランとか居酒屋とかにも普通に女子トイレに置いてあるんです。で、子どもたちは日々トイレで見てます。そういう状況ですし、子どもたちがいたずらするというのは私は子どもを信頼していないと、まぁそこまでおっしゃっていませんけれどもそういうことを考えているのならそうですし、教育的観点とか先程の体調不良の対応とかいうことであれば、トイレに置いてある生理用品に一言、「何かお困りの方はご相談ください」ってつけてあげれば行きやすいし。今は結局、何にも頼れていない子どもたちがいるということです。保健室にも行けなくて、結局自分で処理されてしまっているという。このまま放置していいんですかっていうことなんですね。研究と言わずぜひ検討を求めますが、いかがでしょうか。
-野口教育長
繰り返しになりますが、思春期にある児童生徒の心情に配慮できる方法が本当にないのかということについて、今一度しっかりと研究させていただきたいと思っています。お時間をいただきたいと思います。
-広田議員
アンケート結果でわかる通り、保健室に行きづらい理由は、自分が生理であることを他人にも言えない思春期の事情もあるんです。親にも言えない子もいるんですよ。そんな子が保健室で言えるでしょうか?保健の先生は適切な業務をされていると思いますけれども、やっぱり内面の事情として言えないこともあるということも実際あるわけですから、そして多くの自治体で取り組みも広まって、別に問題も報告されていませんし、ぜひ、それこそ思春期の子どもたちに対応する姿だということでお答えをいただきたいと思います。
本市ガス・発電事業譲渡について
事業譲渡の禁止を巡って、10年間行ってはならないとあるものの最後に但し書きで「市の承認を得た場合はこの限りではない」というふうに書き足してある。これは議事録を読む限り、企業局が書き足したものです。委員さんから提案はありませんでした。あきらかに企業局の誘導だというふうに思います。そして公共施設をもてあそぶということを防ぐという目的にかなっていないと。市長は委員会の議事録とその点についてどのように思われるか、お答えください。
-山野市長
議事録も拝見しているところであります。適切な形でご議論がなされたというふうに理解しています。
と、タイムオーバーでここまでしか質問できなかったのですが、実際は以下のような質問を準備していました。
本市の事業譲渡先選定委員会の議論では、出資が3%になった経緯や最低譲渡価格が186億円になった経緯が合理的なものとは言えないことなど、特別委員会であきらかになりました。
さらに、再譲渡の制限に関わる議論にも問題があります。
・まず、市長は再譲渡などの禁止はなぜ必要だと考えていらっしゃいますか。
―
草薙委員長は、転売禁止がなぜ必要か聞かれ「公的な資産というものをもてあそばれることを避けたい、そしてなにより市民に安心してもらう」と答えています。違いますか?
―
・しかし、選定委員会で決められた結果、募集要項や仮契約にある禁止事項は、第三者との合併、会社分割、事業譲渡などを10年間行ってはならない、とあるものの、さいごにただし書きで、「市の承認を得た場合はこの限りではない」と書いてあるのです。
・つまり、市の承認さえあれば、譲渡して仮に1週間後でも会社分割や、転売、他社との合併などができるということでいいです。
これは、市長がさきほどおっしゃったことに反するのではありませんか?
―
しかもね、これは譲渡先選定委員会で決められたものですが、その議論も納得いくものではありません。
再譲渡を5年にするか、10年にするかという議論をしている中で、5年じゃ心配だという意見もある中、このような発言もありました。
委員「要するに5年で転売されたらおかしいんじゃない?と思われないようにするだけの話なのであって、そのところを、さっきおっしゃった金沢駅西口のホテルの話は、あれも10年だけど、市が承認したらいいって書いてある。だから、そのようなことを、要するに、そんな5年で転売するような人を選定していいのかということに対する逃げ口上というか、そういうことを言っているのであって。」
別の委員「10年にしておいたらいいと思います。ただし書に市の承認を受けた場合は変更することができると入っているので10年間でいいんじゃないかと思います。」
・平嶋局長、局長はこの委員会のメンバーでもありますが、この逃げ口上ってどんな意味なのですか?
・草薙委員長はさきほども言いましたが、こう答えているんです。「公的な資産というものをもてあそばれることを避けたい、そしてなにより市民に安心してもらう」
でも、実際は、逃げ口上の議論をしていたわけですよ。
・市長もこの議事録をお読みになったと思いますが、いかがですか?
―
・そして平嶋局長、昨日もお認めになっていましたが、これは企業局が、「ただし、市の承認があればその限りでない」と入れたものですよね。それは、第3回の委員会のときの提案にはなく、委員からも「ただし書きが必要だ」なんて意見は出なかったのに、第4回の委員会のときに突然、ただし書きが入ったことから明らかです。
なにか委員会以外のやりとりがあったのですか?そうでなければ市が誘導したということですか?
―
しかも、議会との関係についてもやりとりがあります。
委員「この市の承認というのは、議会にかかった承認という意味ですか。」
事務局「これはやってないです。」
委員「かけないくていいんですか。」
事務局「議会の議決までは必要ないと考えられるところです。」
・そんなに議会に関わってほしくないということでしょうか。
平嶋局長、市の承認というのは、通常は行政だけのことを指すのかもしれませんが、議会の議決も必要ということも議論によっては入れることができるんじゃないのですか。
―
・一般的にはそうだとしても、この議論は、わたしたち議員も傍聴ができない非公開でしたし、議事録だって、仮契約が交わされた6月30日の翌日からの公開であり、知るすべがなかったのですよ。
このように、市民と議会をないがしろにし、しかも企業局が誘導したような議論によって決まったものを通すわけにはいきません。
・市長は、選定委員会の冒頭あいさつで、「本市にとって、市民にとって、公正・公平な審議を」とおねがいしていましたよね。それに反するのではないですか?
譲渡を見直すべきですがいかがですか。
―